(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183144
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/04 20060101AFI20231220BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231220BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231220BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20231220BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20231220BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20231220BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20231220BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20231220BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231220BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H05B33/04
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/26 Z
H05B33/28
H05B33/10
G09F9/30 365
G09F9/30 309
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096615
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 優子
(72)【発明者】
【氏名】大畑 公孝
(72)【発明者】
【氏名】小亀 平章
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107DD23
3K107DD27
3K107DD89
3K107EE48
3K107EE50
3K107FF13
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG13
3K107GG28
5C094AA01
5C094AA31
5C094BA27
5C094DA07
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA01
5G435AA06
5G435BB05
5G435FF11
5G435KK05
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】 表示装置の表示品位または信頼性を向上させる。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、第1乃至第3画素開口を有するリブと、リブの上に配置された下部とその側面から突出した上部とを含む隔壁と、第1画素開口と重なる第1表示素子と、第2画素開口と重なる第2表示素子と、第3画素開口と重なる第3表示素子と、第1表示素子を覆うとともに上部の上に位置する第1部分を有する第1封止層と、第2表示素子を覆うとともに上部の上に位置する第2部分を有する第2封止層と、第3表示素子を覆うとともに上部の上に位置する第3部分を有する第3封止層と、を備える。さらに、第1部分と上部が重なる領域の第1幅、第2部分と上部が重なる領域の第2幅、および、第3部分と上部が重なる領域の第3幅のうちの少なくとも2つが互いに異なる。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素開口、第2画素開口および第3画素開口を有するリブと、
前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを含み、前記第1画素開口、前記第2画素開口および前記第3画素開口を囲う隔壁と、
第1下電極、第1上電極、および、前記第1下電極と前記第1上電極の間に配置された第1有機層を含み、前記第1画素開口と重なる第1表示素子と、
第2下電極、第2上電極、および、前記第2下電極と前記第2上電極の間に配置された第2有機層を含み、前記第2画素開口と重なる第2表示素子と、
第3下電極、第3上電極、および、前記第3下電極と前記第3上電極の間に配置された第3有機層を含み、前記第3画素開口と重なる第3表示素子と、
前記第1表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第1部分を有する第1封止層と、
前記第2表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第2部分を有する第2封止層と、
前記第3表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第3部分を有する第3封止層と、
を備え、
前記第1部分と前記上部が重なる領域の第1幅、前記第2部分と前記上部が重なる領域の第2幅、および、前記第3部分と前記上部が重なる領域の第3幅のうちの少なくとも2つが互いに異なる、
表示装置。
【請求項2】
前記第1幅、前記第2幅および前記第3幅が互いに異なる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1画素開口の面積は、前記第3画素開口の面積よりも大きく、
前記第1幅は、前記第3幅よりも小さい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1画素開口の面積は、前記第2画素開口の面積よりも大きく、
前記第3画素開口の面積は、前記第2画素開口の面積よりも小さく、
前記第1幅は、前記第2幅よりも小さく、
前記第3幅は、前記第2幅よりも大きい、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1有機層は、青色の光を放ち、
前記第2有機層は、緑色の光を放ち、
前記第3有機層は、赤色の光を放つ、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
第1画素開口、第2画素開口および第3画素開口を有するリブと、
前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを含み、前記第1画素開口、前記第2画素開口および前記第3画素開口を囲う隔壁と、
第1下電極、第1上電極、および、前記第1下電極と前記第1上電極の間に配置された第1有機層を含み、前記第1画素開口と重なる第1表示素子と、
第2下電極、第2上電極、および、前記第2下電極と前記第2上電極の間に配置された第2有機層を含み、前記第2画素開口と重なる第2表示素子と、
第3下電極、第3上電極、および、前記第3下電極と前記第3上電極の間に配置された第3有機層を含み、前記第3画素開口と重なる第3表示素子と、
前記第1表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第1部分を有する第1封止層と、
前記第2表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第2部分を有する第2封止層と、
前記第3表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第3部分を有する第3封止層と、
を備え、
前記第2部分と前記上部の間に、前記第2部分と前記上部で閉じられた隙間が形成されている、
表示装置。
【請求項7】
前記第1部分は、前記上部に接触している、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第3部分と前記上部の間に開かれた隙間が形成されている、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1有機層は、青色の光を放ち、
前記第2有機層は、緑色の光を放ち、
前記第3有機層は、赤色の光を放つ、
請求項6乃至8のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
第1下電極、第2下電極および第3下電極を形成し、
前記第1下電極と重なる第1画素開口、前記第2下電極と重なる第2画素開口および前記第3下電極と重なる第3画素開口を有するリブを形成し、
前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを含み、前記第1画素開口、前記第2画素開口および前記第3画素開口を囲う隔壁を形成し、
前記第1画素開口を通じて前記第1下電極に接触する第1有機層と、前記第1有機層を覆う第1上電極とを含む第1蒸着膜を表示領域の全体に形成し、
前記第1蒸着膜を覆う第1封止層を前記表示領域の全体に形成し、
前記第1封止層および前記第1蒸着膜のうち、前記第1下電極の上方に位置する部分を残し、前記第2下電極および前記第3下電極の上方に位置する部分を除去する第1パターニング工程を実施し、
前記第2画素開口を通じて前記第2下電極に接触する第2有機層と、前記第2有機層を覆う第2上電極とを含む第2蒸着膜を前記表示領域の全体に形成し、
前記第2蒸着膜を覆う第2封止層を前記表示領域の全体に形成し、
前記第2封止層および前記第2蒸着膜のうち、前記第2下電極の上方に位置する部分を残し、前記第1下電極および前記第3下電極の上方に位置する部分を除去する第2パターニング工程を実施し、
前記第3画素開口を通じて前記第3下電極に接触する第3有機層と、前記第3有機層を覆う第3上電極とを含む第3蒸着膜を前記表示領域の全体に形成し、
前記第3蒸着膜を覆う第3封止層を前記表示領域の全体に形成し、
前記第3封止層および前記第3蒸着膜のうち、前記第3下電極の上方に位置する部分を残し、前記第1下電極および前記第2下電極の上方に位置する部分を除去する第3パターニング工程を実施する、
ことを含み、
前記第1パターニング工程は、前記第1封止層に対する異方性ドライエッチングと、当該異方性ドライエッチングの後に実施される前記第1封止層に対する等方性ドライエッチングとを含み、
前記第3パターニング工程は、前記第3封止層に対する異方性ドライエッチングを含み、前記第3封止層に対する等方性ドライエッチングを含まない、
表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2パターニング工程は、前記第2封止層に対する異方性ドライエッチングと、当該異方性ドライエッチングの後に実施される前記第2封止層に対する等方性ドライエッチングとを含む、
請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記第3パターニング工程における前記異方性ドライエッチングの処理時間は、前記第1パターニング工程における前記異方性ドライエッチングの処理時間よりも長い、
請求項10または11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
第1下電極、第2下電極および第3下電極を形成し、
前記第1下電極と重なる第1画素開口、前記第2下電極と重なる第2画素開口および前記第3下電極と重なる第3画素開口を有するリブを形成し、
前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを含み、前記第1画素開口、前記第2画素開口および前記第3画素開口を囲う隔壁を形成し、
前記第1画素開口を通じて前記第1下電極に接触する第1有機層と、前記第1有機層を覆う第1上電極とを含む第1蒸着膜を表示領域の全体に形成し、
前記第1蒸着膜を覆う第1封止層を前記表示領域の全体に形成し、
前記第1封止層および前記第1蒸着膜のうち、前記第1下電極および前記第3下電極の上方に位置する部分を残し、前記第2下電極の上方に位置する部分を除去する第1パターニング工程を実施し、
前記第2画素開口を通じて前記第2下電極に接触する第2有機層と、前記第2有機層を覆う第2上電極とを含む第2蒸着膜を前記表示領域の全体に形成し、
前記第2蒸着膜を覆う第2封止層を前記表示領域の全体に形成し、
前記第2封止層および前記第2蒸着膜のうち、前記第2下電極の上方に位置する部分を残し、前記第1下電極および前記第3下電極の上方に位置する部分を除去する第2パターニング工程を実施し、
前記第2パターニング工程の後に、前記第1封止層および前記第1蒸着膜のうち、前記第1下電極の上方に位置する部分を残し、前記第3下電極の上方に位置する部分を除去する第3パターニング工程を実施し、
前記第3画素開口を通じて前記第3下電極に接触する第3有機層と、前記第3有機層を覆う第3上電極とを含む第3蒸着膜を前記表示領域の全体に形成し、
前記第3蒸着膜を覆う第3封止層を前記表示領域の全体に形成し、
前記第3封止層および前記第3蒸着膜のうち、前記第3下電極の上方に位置する部分を残し、前記第1下電極および前記第2下電極の上方に位置する部分を除去する第4パターニング工程を実施する、
ことを含み、
前記第1パターニング工程は、前記第1封止層に対する異方性ドライエッチングと、当該異方性ドライエッチングの後に実施される前記第1封止層に対する等方性ドライエッチングとを含み、
前記第4パターニング工程は、前記第3封止層に対する異方性ドライエッチングを含み、前記第3封止層に対する等方性ドライエッチングを含まない、
表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2パターニング工程は、前記第2封止層に対する異方性ドライエッチングを含み、前記第2封止層に対する等方性ドライエッチングを含まない、
請求項13に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2パターニング工程における前記異方性ドライエッチングの処理時間は、前記第1パターニング工程における前記異方性ドライエッチングの処理時間よりも長い、
請求項14に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第3パターニング工程は、前記第1封止層に対する異方性ドライエッチングと、当該異方性ドライエッチングの後に実施される前記第1封止層に対する等方性ドライエッチングとを含む、
請求項13に記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第4パターニング工程における前記異方性ドライエッチングの処理時間は、前記第1パターニング工程における前記異方性ドライエッチングの処理時間よりも長い、
請求項13乃至16のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
上記のような表示装置を製造するにあたり、表示品位や信頼性を向上させる技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表示品位または信頼性を向上させることが可能な表示装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、リブと、隔壁と、第1表示素子と、第2表示素子と、第3表示素子と、第1封止層と、第2封止層と、第2封止層とを備えている。前記リブは、第1画素開口、第2画素開口および第3画素開口を有する。前記隔壁は、前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを含み、前記第1画素開口、前記第2画素開口および前記第3画素開口を囲う。前記第1表示素子は、第1下電極、第1上電極、および、前記第1下電極と前記第1上電極の間に配置された第1有機層を含み、前記第1画素開口と重なる。前記第2表示素子は、第2下電極、第2上電極、および、前記第2下電極と前記第2上電極の間に配置された第2有機層を含み、前記第2画素開口と重なる。前記第3表示素子は、第3下電極、第3上電極、および、前記第3下電極と前記第3上電極の間に配置された第3有機層を含み、前記第3画素開口と重なる。前記第1封止層は、前記第1表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第1部分を有する。前記第2封止層は、前記第2表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第2部分を有する。前記第3封止層は、前記第3表示素子を覆うとともに、前記上部の上に位置する第3部分を有する。さらに、前記第1部分と前記上部が重なる領域の第1幅、前記第2部分と前記上部が重なる領域の第2幅、および、前記第3部分と前記上部が重なる領域の第3幅のうちの少なくとも2つが互いに異なる。
【0007】
一実施形態の他の観点によれば、前記第2部分と前記上部の間に、前記第2部分と前記上部で閉じられた隙間が形成されている。
【0008】
一実施形態に係る表示装置の製造方法は、第1下電極、第2下電極および第3下電極を形成し、前記第1下電極と重なる第1画素開口、前記第2下電極と重なる第2画素開口および前記第3下電極と重なる第3画素開口を有するリブを形成し、前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを含み、前記第1画素開口、前記第2画素開口および前記第3画素開口を囲う隔壁を形成し、前記第1画素開口を通じて前記第1下電極に接触する第1有機層と、前記第1有機層を覆う第1上電極とを含む第1蒸着膜を表示領域の全体に形成し、前記第1蒸着膜を覆う第1封止層を前記表示領域の全体に形成し、前記第1封止層および前記第1蒸着膜のうち、前記第1下電極の上方に位置する部分を残し、前記第2下電極および前記第3下電極の上方に位置する部分を除去する第1パターニング工程を実施し、前記第2画素開口を通じて前記第2下電極に接触する第2有機層と、前記第2有機層を覆う第2上電極とを含む第2蒸着膜を前記表示領域の全体に形成し、前記第2蒸着膜を覆う第2封止層を前記表示領域の全体に形成し、前記第2封止層および前記第2蒸着膜のうち、前記第2下電極の上方に位置する部分を残し、前記第1下電極および前記第3下電極の上方に位置する部分を除去する第2パターニング工程を実施し、前記第3画素開口を通じて前記第3下電極に接触する第3有機層と、前記第3有機層を覆う第3上電極とを含む第3蒸着膜を前記表示領域の全体に形成し、前記第3蒸着膜を覆う第3封止層を前記表示領域の全体に形成し、前記第3封止層および前記第3蒸着膜のうち、前記第3下電極の上方に位置する部分を残し、前記第1下電極および前記第2下電極の上方に位置する部分を除去する第3パターニング工程を実施することを含む。前記第1パターニング工程は、前記第1封止層に対する異方性ドライエッチングと、当該異方性ドライエッチングの後に実施される前記第1封止層に対する等方性ドライエッチングとを含む。前記第3パターニング工程は、前記第3封止層に対する異方性ドライエッチングを含み、前記第3封止層に対する等方性ドライエッチングを含まない。
【0009】
他の実施形態に係る表示装置の製造方法は、第1下電極、第2下電極および第3下電極を形成し、前記第1下電極と重なる第1画素開口、前記第2下電極と重なる第2画素開口および前記第3下電極と重なる第3画素開口を有するリブを形成し、前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを含み、前記第1画素開口、前記第2画素開口および前記第3画素開口を囲う隔壁を形成し、前記第1画素開口を通じて前記第1下電極に接触する第1有機層と、前記第1有機層を覆う第1上電極とを含む第1蒸着膜を表示領域の全体に形成し、前記第1蒸着膜を覆う第1封止層を前記表示領域の全体に形成し、前記第1封止層および前記第1蒸着膜のうち、前記第1下電極および前記第3下電極の上方に位置する部分を残し、前記第2下電極の上方に位置する部分を除去する第1パターニング工程を実施し、前記第2画素開口を通じて前記第2下電極に接触する第2有機層と、前記第2有機層を覆う第2上電極とを含む第2蒸着膜を前記表示領域の全体に形成し、前記第2蒸着膜を覆う第2封止層を前記表示領域の全体に形成し、前記第2封止層および前記第2蒸着膜のうち、前記第2下電極の上方に位置する部分を残し、前記第1下電極および前記第3下電極の上方に位置する部分を除去する第2パターニング工程を実施し、前記第2パターニング工程の後に、前記第1封止層および前記第1蒸着膜のうち、前記第1下電極の上方に位置する部分を残し、前記第3下電極の上方に位置する部分を除去する第3パターニング工程を実施し、前記第3画素開口を通じて前記第3下電極に接触する第3有機層と、前記第3有機層を覆う第3上電極とを含む第3蒸着膜を前記表示領域の全体に形成し、前記第3蒸着膜を覆う第3封止層を前記表示領域の全体に形成し、前記第3封止層および前記第3蒸着膜のうち、前記第3下電極の上方に位置する部分を残し、前記第1下電極および前記第2下電極の上方に位置する部分を除去する第4パターニング工程を実施することを含む。前記第1パターニング工程は、前記第1封止層に対する異方性ドライエッチングと、当該異方性ドライエッチングの後に実施される前記第1封止層に対する等方性ドライエッチングとを含む。前記第4パターニング工程は、前記第3封止層に対する異方性ドライエッチングを含み、前記第3封止層に対する等方性ドライエッチングを含まない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、第1副画素を囲う隔壁とその近傍の構造を示す概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、第2副画素を囲う隔壁とその近傍の構造を示す概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、第3副画素を囲う隔壁とその近傍の構造を示す概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図7の製造方法の一工程を示す概略的な断面図である。
【
図19】
図19は、第1実施形態との比較例に係る製造方法を説明するための図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態における第1副画素を囲う隔壁とその近傍の構造を示す概略的な断面図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態に係る表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0013】
各実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0015】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0016】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、青色の第1副画素SP1、緑色の第2副画素SP2および赤色の第3副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0017】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEとを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0018】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。表示素子DEは、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。
【0019】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0020】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、第1副画素SP1と第3副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。第1副画素SP1と第2副画素SP2も第1方向Xに並んでいる。さらに、第2副画素SP2と第3副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。
【0021】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2,SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の第1副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0022】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0023】
表示領域DAには、リブ5および隔壁6が配置されている。リブ5は、第1副画素SP1において第1画素開口AP1を有し、第2副画素SP2において第2画素開口AP2を有し、第3副画素SP3において第3画素開口AP3を有している。
【0024】
図2の例においては、第1画素開口AP1の面積が第2画素開口AP2の面積よりも大きい。第1画素開口AP1の面積は、第3画素開口AP3の面積よりも大きい。さらに、第3画素開口AP3の面積は、第2画素開口AP2の面積よりも小さい。
【0025】
隔壁6は、隣り合う副画素SPの境界に配置され、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yとを有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2,AP3の間、および、第2方向Yに隣り合う2つの第1画素開口AP1の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP2の間、および、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0026】
図2の例においては、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として画素開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0027】
第1副画素SP1は、第1画素開口AP1とそれぞれ重なる第1下電極LE1、第1上電極UE1および第1有機層OR1を備えている。第2副画素SP2は、第2画素開口AP2とそれぞれ重なる第2下電極LE2、第2上電極UE2および第2有機層OR2を備えている。第3副画素SP3は、第3画素開口AP3とそれぞれ重なる第3下電極LE3、第3上電極UE3および第3有機層OR3を備えている。
【0028】
第1下電極LE1、第1上電極UE1および第1有機層OR1は、第1副画素SP1の第1表示素子DE1を構成する。第2下電極LE2、第2上電極UE2および第2有機層OR2は、第2副画素SP2の第2表示素子DE2を構成する。第3下電極LE3、第3上電極UE3および第3有機層OR3は、第3副画素SP3の第3表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層(光学調整層)を含んでもよい。
【0029】
第1下電極LE1は、第1コンタクトホールCH1を通じて第1副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。第2下電極LE2は、第2コンタクトホールCH2を通じて第2副画素SP2の画素回路1に接続されている。第3下電極LE3は、第3コンタクトホールCH3を通じて第3副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0030】
図2の例において、コンタクトホールCH2,CH3は、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2,AP3の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。また、第1コンタクトホールCH1は、第2方向Yに隣り合う2つの第1画素開口AP1の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1,CH2,CH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0031】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SLおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。
【0032】
回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
図3の断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3はいずれも有機絶縁層12に設けられている。
【0033】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。
【0034】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、
図3においては上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということもできる。
【0035】
第1有機層OR1は、第1画素開口AP1を通じて第1下電極LE1を覆っている。第1上電極UE1は、第1有機層OR1を覆い、第1下電極LE1と対向している。第2有機層OR2は、第2画素開口AP2を通じて第2下電極LE2を覆っている。第2上電極UE2は、第2有機層OR2を覆い、第2下電極LE2と対向している。第3有機層OR3は、第3画素開口AP3を通じて第3下電極LE3を覆っている。第3上電極UE3は、第3有機層OR3を覆い、第3下電極LE3と対向している。
【0036】
図3の例においては、第1上電極UE1の上に第1キャップ層CP1が配置され、第2上電極UE2の上に第2キャップ層CP2が配置され、第3上電極UE3の上に第3キャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の光学特性を調整する。
【0037】
第1副画素SP1には第1封止層SE1が配置され、第2副画素SP2には第2封止層SE2が配置され、第3副画素SP3には第3封止層SE3が配置されている。第1封止層SE1は、第1キャップ層CP1や第1副画素SP1の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第2封止層SE2は、第2キャップ層CP2や第2副画素SP2の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第3封止層SE3は、第3キャップ層CP3や第3副画素SP3の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。
【0038】
封止層SE1,SE2,SE3の端部(周縁部)は、上部62の上に位置している。
図3の例においては、副画素SP1,SP2間の隔壁6の上部62の上に位置する封止層SE1,SE2の端部同士が離間し、副画素SP1,SP3間の隔壁6の上部62の上に位置する封止層SE1,SE3の端部同士が離間している。
【0039】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。さらに、封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0040】
有機絶縁層12および樹脂層13,15は、有機材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、例えばシリコン窒化物(SiNx)などの無機材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al2O3)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層および酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。
【0041】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば銀(Ag)で形成された中間層と、この中間層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層とを有している。各導電性酸化物層は、例えばITO(IndiumTin Oxide)、IZO(IndiumZinc Oxide)またはIGZO(IndiumGallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0042】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0043】
有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層の積層構造を有している。
【0044】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば、透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1,SE2,SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3は省略されてもよい。
【0045】
隔壁6の下部61は、例えばアルミニウム(Al)によって形成されている。下部61は、アルミニウム-ネオジム(AlNd)などのアルミニウム合金によって形成されてもよいし、アルミニウム層とアルミニウム合金層の積層構造を有してもよい。さらに、下部61は、アルミニウム層またはアルミニウム合金層の下に、アルミニウムやアルミニウム合金とは異なる金属材料で形成された薄膜を有してもよい。このような薄膜は、例えばモリブデン(Mo)によって形成することができる。
【0046】
隔壁6の上部62は、例えばチタン(Ti)などの金属材料で形成された第1薄膜と、ITOなどの導電性酸化物で形成された第2薄膜との積層構造を有している。上部62は、チタンなどの金属材料の単層構造を有してもよい。
【0047】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0048】
第1下電極LE1と第1上電極UE1の間に電位差が形成されると、第1有機層OR1の発光層が青色の波長域の光を放つ。第2下電極LE2と第2上電極UE2の間に電位差が形成されると、第2有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。第3下電極LE3と第3上電極UE3の間に電位差が形成されると、第3有機層OR3の発光層が赤色の波長域の光を放つ。
【0049】
図4は、第1副画素SP1を囲う隔壁6とその近傍の構造を示す概略的な断面図である。
図5は、第2副画素SP2を囲う隔壁6とその近傍の構造を示す概略的な断面図である。
図6は、第3副画素SP3を囲う隔壁6とその近傍の構造を示す概略的な断面図である。これらの図においては、基板10、回路層11、有機絶縁層12、樹脂層13、封止層14および樹脂層15を省略している。
【0050】
図4乃至
図6に示すように、隔壁6の下部61は、側面SFを有している。また、隔壁6の上部62は、側面SFから突出した端部EDと、上面UFとを有している。上電極UE1,UE2,UE3は、側面SFに接触している。
【0051】
図4に示すように、第1封止層SE1は、上面UFよりも第3方向Zに突出した第1部分P1を有している。第1部分P1の一部は、上部62の上に位置している。
【0052】
第1部分P1は、突出部PR1と、充填部FLとを有している。突出部PR1は、第1封止層SE1のうち第1キャップ層CP1を覆う部分と連続している。突出部PR1は、上端部が上部62の上に張り出すように湾曲している。充填部FLは、このような形状の突出部PR1の側面に形成される窪みを満たしている。
図4の例においては、突出部PR1が上面UFに接触せず、充填部FLが上面UFに接触している。他の例として、突出部PR1の一部が上面UFに接触してもよい。
【0053】
なお、突出部PR1および充填部FLは、同じ材料で形成されている。したがって、突出部PR1と充填部FLが一体化し、これらの境界が生じないこともある。
【0054】
図5に示すように、第2封止層SE2は、上面UFよりも第3方向Zに突出した第2部分P2を有している。第2部分P2の一部は、上部62の上に位置している。
【0055】
第2部分P2は、突出部PR2と、閉塞部RDとを有している。突出部PR2は、第2封止層SE2のうち第2キャップ層CP2を覆う部分と連続している。突出部PR2は、上部62の上方にも位置し、上面UFと隙間GP1を介して対向している。閉塞部RDは、この隙間GP1の入口部分を塞いでいる。すなわち、隙間GP1は、第2部分P2と上部62で閉じられた隙間である。隙間GP1の高さは、例えば、第2有機層OR2、第2上電極UE2および第2キャップ層CP2の合計厚さと同等である。
【0056】
なお、突出部PR2および閉塞部RDは、同じ材料で形成されている。したがって、突出部PR2と閉塞部RDが一体化し、これらの境界が生じないこともある。
【0057】
図6に示すように、第3封止層SE3は、上面UFよりも第3方向Zに突出した第3部分P3を有している。第3部分P3の一部は、上部62の上に位置し、上面UFと隙間GP2を介して対向している。隙間GP2は、隙間GP1のように塞がれていない。すなわち、隙間GP2は、開かれた隙間である。隙間GP2の高さは、例えば、第3有機層OR3、第3上電極UE3および第3キャップ層CP3の合計厚さと同等である。
【0058】
図4に示すように、第1部分P1と上部62が第3方向Zに重なる領域は、第1幅W1を有している。
図5に示すように、第2部分P2と上部62が第3方向Zに重なる領域は、第2幅W2を有している。
図6に示すように、第3部分P3と上部62が第3方向Zに重なる領域は、第3幅W3を有している。例えば、これら幅W1,W2,W3は、それぞれ副画素SP1,SP2,SP3の周囲における平均値である。
【0059】
本実施形態においては、幅W1,W2,W3のうちの少なくとも2つが互いに異なる。具体的には、第1幅W1が第2幅W2よりも小さい(W1<W2)。さらに、第3幅W3が第2幅W2よりも大きい(W2<W3)。すなわち、この例においては、幅W1,W2,W3が互いに異なる。
【0060】
このように、本実施形態においては、隔壁6の上に位置する封止層SE1,SE2,SE3の端部の形状が相違する。このような構成は、以下に説明する製造方法によって表示装置DSPを製造した結果、生じるものである。
【0061】
図7は、本実施形態に係る表示装置DSPの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図8乃至
図18は、
図7に示す工程を説明するための概略的な断面図であり、(a)第1副画素SP1を囲う隔壁6とその近傍の構成、(b)第2副画素SP2を囲う隔壁6とその近傍の構成、(c)第3副画素SP3を囲う隔壁6とその近傍の構成をそれぞれ示している。
【0062】
表示装置DSPの製造にあたっては、先ず基板10の上に回路層11が形成され(工程Q1)、回路層11を覆う有機絶縁層12が形成され(工程Q2)、有機絶縁層12の上に下電極LE1,LE2,LE3が形成される(工程Q3)。
【0063】
さらに、下電極LE1,LE2,LE3の上にリブ5が形成され(工程Q4)、リブ5の上に隔壁6が形成される(工程Q5)。リブ5の画素開口AP1,AP2,AP3は、工程Q5の前に形成されてもよいし、工程Q5の後に形成されてもよい。
【0064】
続いて、表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程が実施される。本実施形態においては、画素開口AP1,AP2,AP3のうち面積が最も大きい第1画素開口AP1と重なる第1表示素子DE1が最初に形成され、次に面積が大きい第2画素開口AP2と重なる第2表示素子DE2が2番目に形成され、面積が最も小さい第3画素開口AP3と重なる第3表示素子DE3が最後に形成される場合を想定する。ただし、表示素子DE1,DE2,DE3の形成順はこの例に限られない。
【0065】
第1表示素子DE1の形成にあたっては、
図8に示すように、第1画素開口AP1を通じて第1下電極LE1に接触する第1有機層OR1、第1有機層OR1を覆う第1上電極UE1、および、第1上電極UE1を覆う第1キャップ層CP1が蒸着によって順に形成される(工程Q6)。以下の説明においては、第1有機層OR1、第1上電極UE1および第1キャップ層CP1を第1蒸着膜V1と呼ぶ。第1蒸着膜V1の形成の後、第1蒸着膜V1を覆う第1封止層SE1が形成される(工程Q7)。
【0066】
第1蒸着膜V1および第1封止層SE1は、表示領域DAの全体に形成される。したがって、
図8(a)(b)(c)にそれぞれ示すように、第1蒸着膜V1および第1封止層SE1は、第1下電極LE1の上方だけでなく第2下電極LE2および第3下電極LE3の上方にも位置している。
図8(a)に示すように、第1副画素SP1には、第1蒸着膜V1および第1下電極LE1を含む第1表示素子DE1が形成される。
【0067】
第1蒸着膜V1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。したがって、第1蒸着膜V1のうち上部62の上に位置する部分は、第1蒸着膜V1のうちリブ5の上に位置する部分と離間している。第1封止層SE1は、隔壁6によって分断されることなく連続している。
【0068】
工程Q7の後、第1封止層SE1および第1蒸着膜V1のうち、第1下電極LE1の上方に位置する部分を残し、第2下電極LE2および第3下電極LE3の上方に位置する部分を除去する第1パターニング工程X11が実施される。
【0069】
第1パターニング工程X11においては、先ず
図8(a)に示すように、第1封止層SE1の上にレジストR11が形成される(工程Q8)。レジストR11は、第1下電極LE1の上方に配置され、第2下電極LE2および第3下電極LE3の上方には配置されていない。レジストR11は、第1副画素SP1を囲う隔壁6の一部と第3方向Zに重なっている。
【0070】
工程Q8の後、レジストR11をマスクとして、第1封止層SE1に対し異方性ドライエッチングが施される(工程Q9)。
図9は、当該異方性ドライエッチングにより第1封止層SE1が侵食される様子を示している。
図9(a)に示すように、第1副画素SP1の近傍においては、第1封止層SE1のうち隔壁6の上でレジストR11から露出した部分の厚さが低減される。また、
図9(b)(c)に示すように、第2副画素SP2および第3副画素SP3とこれらの近傍においては、第1封止層SE1の厚さが全体的に低減される。なお、当該異方性ドライエッチングは第3方向Zと略平行な指向性を有しており、
図9(b)(c)に示す上部62の下方においては第1封止層SE1が殆ど侵食されない。
【0071】
工程Q9の後、第1封止層SE1に対し等方性ドライエッチングが施される(工程Q10)。
図10は、当該等方性ドライエッチングにより第1封止層SE1が侵食される様子を示している。当該等方性ドライエッチングにおいては、第1封止層SE1のうち異方性ドライエッチングにて厚さが低減された部分が完全に除去される。
【0072】
さらに、当該等方性ドライエッチングにおいては、
図10(a)に示すように、レジストR11の下方に位置する第1封止層SE1の一部が侵食される。また、
図10(b)(c)に示すように、副画素SP2,SP3を囲う上部62の下方に残っていた第1封止層SE1が除去される。
【0073】
工程Q10の後、レジストR11をマスクとして、第1蒸着膜V1に対しエッチングが施される(工程Q11)。さらに、レジストR11が剥離され、アッシングによって残渣が除去される(工程Q12)。例えば、第1蒸着膜V1に対するエッチングは、第1キャップ層CP1に対するウェットエッチングまたはアッシング、第1上電極UE1に対するウェットエッチング、および、第1有機層OR1に対するアッシングを含む。
【0074】
図11は、工程Q11,Q12を経た副画素SP1,SP2,SP3の状態を示している。
図11(a)の例においては、第1副画素SP1を囲う隔壁6の上に位置していた第1蒸着膜V1が工程Q11のエッチングによって除去されている。これにより、第1封止層SE1のうち上部62から突出した突出部PR1(第1部分P1)と、上部62との間に、隙間GP0が形成される。ただし、隙間GP0に第1蒸着膜V1の一部が残ってもよい。
図11(b)(c)のように、副画素SP2,SP3においては第1蒸着膜V1が全体的に除去され、下電極LE2,LE3がそれぞれ画素開口AP2,AP3を通じて露出する。
【0075】
以上の第1パターニング工程X11の後、第2表示素子DE2を形成するための工程が実施される。具体的には、
図12に示すように、表示領域DAの全体に対し、第2有機層OR2、第2有機層OR2を覆う第2上電極UE2、および、第2上電極UE2を覆う第2キャップ層CP2が蒸着によって順に形成される(工程Q13)。第2副画素SP2において、第2有機層OR2は、第2画素開口AP2を通じて第2下電極LE2に接触している。以下の説明においては、第2有機層OR2、第2上電極UE2および第2キャップ層CP2を第2蒸着膜V2と呼ぶ。第2蒸着膜V2の形成の後、第2蒸着膜V2を覆う第2封止層SE2が形成される(工程Q14)。
【0076】
図12(b)に示すように、第2副画素SP2においては、第2蒸着膜V2および第2下電極LE2を含む第2表示素子DE2が形成される。
図12(b)(c)に示すように、副画素SP2,SP3において、第2蒸着膜V2は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。第2封止層SE2は、隔壁6によって分断されることなく連続している。
【0077】
図12(a)に示すように、第1副画素SP1においては、第1封止層SE1が第2蒸着膜V2によって覆われる。隔壁6の上に位置する突出部PR1の側面は急峻であるため、当該側面において第2蒸着膜V2が途切れ得る。また、隙間GP0の近傍においても第2蒸着膜V2が途切れ得る。
【0078】
工程Q14の後、第2封止層SE2および第2蒸着膜V2のうち、第2下電極LE2の上方に位置する部分を残し、第1下電極LE1および第3下電極LE3の上方に位置する部分を除去する第2パターニング工程X12が実施される。
【0079】
第2パターニング工程X12においては、先ず
図12(b)に示すように、第2封止層SE2の上にレジストR12が形成される(工程Q15)。レジストR12は、第2下電極LE2の上方に配置され、第1下電極LE1および第3下電極LE3の上方には配置されていない。レジストR12は、第2副画素SP2を囲う隔壁6の一部と第3方向Zに重なっている。
【0080】
工程Q15の後、レジストR12をマスクとして、第2封止層SE2に対し異方性ドライエッチングが施される(工程Q16)。
図13は、当該異方性ドライエッチングにより第2封止層SE2が侵食される様子を示している。
図13(b)に示すように、第2副画素SP2の近傍においては、第2封止層SE2のうち隔壁6の上でレジストR12から露出した部分の厚さが低減される。また、
図13(a)(c)に示すように、第1副画素SP1および第3副画素SP3とこれらの近傍においては、第2封止層SE2の厚さが全体的に低減される。なお、当該異方性ドライエッチングは第3方向Zと略平行な指向性を有しており、
図13(c)に示す上部62の下方においては第2封止層SE2が殆ど侵食されない。
【0081】
工程Q16の後、第2封止層SE2に対し等方性ドライエッチングが施される(工程Q17)。
図14は、当該等方性ドライエッチングにより第2封止層SE2が侵食される様子を示している。当該等方性ドライエッチングにおいては、第2封止層SE2のうち異方性ドライエッチングにて厚さが低減された部分が完全に除去される。
【0082】
さらに、当該等方性ドライエッチングにおいては、
図14(b)に示すように、レジストR12の下方に位置する第2封止層SE2の一部が侵食される。また、
図14(c)に示すように、第3副画素SP3を囲う上部62の下方に残っていた第2封止層SE2が除去される。
【0083】
第2蒸着膜V2は、当該等方性ドライエッチングに対するエッチングストッパとして機能する。したがって、
図14(a)に示すように、第1封止層SE1のうち第2蒸着膜V2で覆われている部分は侵食されない。しかしながら、
図14(a)の例においては、第1副画素SP1の周囲の隔壁6の上で第2蒸着膜V2が途切れているため、この途切れた領域を通じて第1封止層SE1が侵食される。これにより、突出部PR1の幅が低減され得る。
【0084】
工程Q17の後、レジストR12をマスクとして、第2蒸着膜V2に対しエッチングが施される(工程Q18)。さらに、レジストR12が剥離され、アッシングによって残渣が除去される(工程Q19)。例えば、第2蒸着膜V2に対するエッチングは、第2キャップ層CP2に対するウェットエッチングまたはアッシング、第2上電極UE2に対するウェットエッチング、および、第2有機層OR2に対するアッシングを含む。
【0085】
図15は、工程Q18,Q19を経た副画素SP1,SP2,SP3の状態を示している。
図15(b)の例においては、第2副画素SP2を囲う隔壁6の上に位置していた第2蒸着膜V2が工程Q18のエッチングによって除去されている。これにより、第2封止層SE2のうち上部62から突出した突出部PR2(第2部分P2)と、上部62との間に、隙間GP1が形成される。ただし、隙間GP1に第2蒸着膜V2の一部が残ってもよい。
図15(a)(c)のように、副画素SP1,SP3においては第2蒸着膜V2が全体的に除去されている。第3副画素SP3においては、第3下電極LE3が第3画素開口AP3を通じて露出する。
【0086】
以上の第2パターニング工程X12の後、第3表示素子DE3を形成するための工程が実施される。具体的には、
図16に示すように、表示領域DAの全体に対し、第3有機層OR3、第3有機層OR3を覆う第3上電極UE3、および、第3上電極UE3を覆う第3キャップ層CP3が蒸着によって順に形成される(工程Q20)。第3副画素SP3において、第3有機層OR3は、第3画素開口AP3を通じて第3下電極LE3に接触している。以下の説明においては、第3有機層OR3、第3上電極UE3および第3キャップ層CP3を第3蒸着膜V3と呼ぶ。第3蒸着膜V3の形成の後、第3蒸着膜V3を覆う第3封止層SE3が形成される(工程Q21)。
【0087】
図16(c)に示すように、第3副画素SP3においては、第3蒸着膜V3および第3下電極LE3を含む第3表示素子DE3が形成される。第3副画素SP3において、第3蒸着膜V3は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。第3封止層SE3は、隔壁6によって分断されることなく連続している。
【0088】
図16(a)に示すように、第1副画素SP1においては、第1封止層SE1が第3蒸着膜V3によって覆われる。隔壁6の上に位置する突出部PR1の側面は急峻であるため、当該側面において第3蒸着膜V3が途切れ得る。また、
図16(b)に示すように、第2副画素SP2においては、第2封止層SE2が第3蒸着膜V3によって覆われる。隔壁6の上に位置する突出部PR2の側面は急峻であるため、当該側面において第3蒸着膜V3が途切れ得る。さらに、隙間GP1の近傍においても第3蒸着膜V3が途切れ得る。
【0089】
工程Q21の後、第3封止層SE3および第3蒸着膜V3のうち、第3下電極LE3の上方に位置する部分を残し、第1下電極LE1および第2下電極LE2の上方に位置する部分を除去する第3パターニング工程X13が実施される。
【0090】
第3パターニング工程X13においては、先ず
図16(c)に示すように、第3封止層SE3の上にレジストR13が形成される(工程Q22)。レジストR13は、第3下電極LE3の上方に配置され、第1下電極LE1および第2下電極LE2の上方には配置されていない。レジストR13は、第3副画素SP3を囲う隔壁6の一部と第3方向Zに重なっている。
【0091】
工程Q22の後、レジストR13をマスクとして、第3封止層SE3に対し異方性ドライエッチングが施される(工程Q23)。本実施形態において、工程Q23の異方性ドライエッチングの強度は、工程Q9,Q16の異方性ドライエッチングの強度よりも大きい。具体的には、工程Q23の異方性ドライエッチングの処理時間は、工程Q9,Q16の異方性ドライエッチングの処理時間よりも長い。
【0092】
図17は、工程Q23の異方性ドライエッチングにより第3封止層SE3が侵食される様子を示している。
図17(c)に示すように、第3副画素SP3の近傍においては、第3封止層SE3のうち隔壁6の上でレジストR13から露出した部分が全て除去される。また、
図17(a)(b)に示すように、第1副画素SP1および第2副画素SP2とこれらの近傍においては、第3封止層SE3が全体的に除去される。
【0093】
第3蒸着膜V3は、当該異方性ドライエッチングに対するエッチングストッパとして機能する。したがって、
図17(a)(b)に示すように、第1封止層SE1および第2封止層SE2のうち第3蒸着膜V3で覆われている部分は侵食されない。
【0094】
なお、工程Q22の異方性ドライエッチングは、第3方向Zと略平行な指向性を有している。そのため、
図17(a)に示すように、突出部PR1の側面の窪みには第3封止層SE3の一部が残り、
図4に示した充填部FLが形成される。また、
図17(b)に示すように、隙間GP1の入口付近には第3封止層SE3の一部が残り、
図5に示した閉塞部RDが形成される。
【0095】
第3パターニング工程X13は、第1パターニング工程X11および第2パターニング工程X12のような等方性ドライエッチングを含んでいない。工程Q23の後、レジストR13をマスクとして、第3蒸着膜V3に対しエッチングが施される(工程Q24)。さらに、レジストR13が剥離され、アッシングによって残渣が除去される(工程Q25)。例えば、第3蒸着膜V3に対するエッチングは、第3キャップ層CP3に対するウェットエッチングまたはアッシング、第3上電極UE3に対するウェットエッチング、および、第3有機層OR3に対するアッシングを含む。
【0096】
図18は、工程Q24,Q25を経た副画素SP1,SP2,SP3の状態を示している。
図18(c)の例においては、第3副画素SP3を囲う隔壁6の上に位置していた第3蒸着膜V3が工程Q24のエッチングによって除去されている。これにより、第3封止層SE3のうち上部62から突出した第3部分P3と、上部62との間に、隙間GP2が形成される。ただし、隙間GP2に第3蒸着膜V3の一部が残ってもよい。
図18(a)(b)のように、副画素SP1,SP2においては第3蒸着膜V3が全体的に除去されている。
【0097】
このようにして表示素子DE1,DE2,DE3とこれらを覆う封止層SE1,SE2,SE3が形成された後、
図3に示した樹脂層13が形成される(工程Q26)。さらに、樹脂層13を覆う封止層14が形成され(工程Q27)、封止層14を覆う樹脂層15が形成される(工程Q28)。これにより、
図3乃至
図6に示した構造の表示装置DSPが得られる。
【0098】
工程Q9,Q16,Q23の異方性ドライエッチングおよび工程Q10,Q17の等方性ドライエッチングには、例えば、フッ素を含むエッチングガスが用いられる。このようなエッチングガスの例としては、六フッ化硫黄(SF6)、四フッ化メタン(CF4)、六フッ化エタン(C2F6)、三フッ化メタン(CHF3)および三フッ化窒素(NF3)が挙げられる。
【0099】
本実施形態においては、レジストR11が第1副画素SP1を囲う隔壁6と重なる領域の幅、レジストR12が第2副画素SP2を囲う隔壁6と重なる領域の幅、レジストR13が第3副画素SP3を囲う隔壁6と重なる領域の幅が同等である。そのため、2度の等方性ドライエッチング(工程Q10,Q17)を経て形成される第1部分P1の第1幅W1、1度の等方性ドライエッチング(工程Q17)を経て形成される第2部分P2の第2幅W2、および、等方性ドライエッチングを経ずに形成される第3部分P3の第3幅W3の関係は、上述した通りW1<W2かつW2<W3となる。
【0100】
以上の本実施形態においては、封止層SE1,SE2をパターニングする際に、先ず異方性ドライエッチングが実施され、次に等方性ドライエッチングが実施される。仮に封止層SE1,SE2を全て等方性ドライエッチングにてパターニングすると、レジストR11,R12の下方の封止層SE1,SE2が側方から大きく侵食され、表示素子DE1,DE2に至る水分浸入経路が生じ得る。
【0101】
これに対し、異方性ドライエッチングにより封止層SE1,SE2の厚さを低減させた後に等方性ドライエッチングを実施すれば、レジストR11,R12の下方の封止層SE1,SE2の侵食を低減することができる。
【0102】
また、仮に封止層SE1,SE2を全て異方性ドライエッチングにてパターニングすると、これら封止層SE1,SE2を除去すべき副画素において、封止層SE1,SE2のうち隔壁6の上部62の下方に位置する部分を良好に除去できない可能性がある。このような残渣が生じると、その後に当該残渣の上に形成される封止層が良好に隔壁6に密着せず、水分浸入経路が生じ得る。また、上電極と隔壁6の下部61との接触不良も生じ得る。
【0103】
これに対し、異方性ドライエッチングの後に等方性ドライエッチングを実施すれば、上部62の下方に位置する封止層SE1,SE2を良好に除去することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、第3封止層SE3のパターニングは異方性ドライエッチングにより行われ、等方性ドライエッチングは用いられない。この構成による効果の一例について以下に説明する。
【0105】
図19は、本実施形態との比較例に係る製造方法を説明するための図である。この図においては、
図18(a)に示した工程Q23の後に第3封止層SE3に対する等方性ドライエッチングを施した場合の第1副画素SP1の近傍の構成を示している。
【0106】
図18(a)に示した第1部分P1の幅は、2度の等方性ドライエッチングを経て小さくなっている。そのため、さらに等方性ドライエッチングが実施されると、
図19に示すように第1部分P1が消失し、隔壁6の上部62の下面や下部61の側面が第1封止層SE1から露出し得る。この場合、隔壁6と第1封止層SE1の境界を通じて第1表示素子DE1に水分が浸入するリスクが生じる。第1表示素子DE1に水分が浸入すると、第1副画素SP1の表示に悪影響が生じ、表示品位が低下し得る。
【0107】
これに対し、本実施形態のように第3封止層SE3のパターニングにおいて等方性ドライエッチングを実施しない場合、第1部分P1を残すことが可能であり、比較例のような水分浸入の発生を抑制することができる。
【0108】
また、
図4および
図18(a)に示すように、第3封止層SE3によって充填部FLが形成されれば、第1部分P1の幅が大きくなる。これにより、水分浸入経路をより好適に遮断することが可能となる。
【0109】
第3封止層SE3のパターニングにおいて等方性ドライエッチングを実施しない場合、第2副画素SP2においても第2部分P2の幅を大きくすることができる。これにより、第2表示素子DE2への水分浸入を抑制することができる。
【0110】
さらに、
図5および
図18(b)に示すように、隙間GP1の入口部分が閉塞部RDによって塞がれる。これにより、隙間GP1を通じた水分浸入を抑制することが可能となる。なお、この閉塞部RDは、比較例のように第3封止層SE3のパターニングにおいて等方性ドライエッチングが実施されれば消失し得る。
【0111】
このように、本実施形態に係る表示装置DSPとその製造方法によれば、水分浸入を好適に抑制し、表示装置DSPの表示品位と信頼性を向上させることができる。その他にも、本実施形態は種々の好適な効果を奏する。
【0112】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0113】
図20は、第2実施形態における第1副画素SP1を囲う隔壁6とその近傍の構造を示す概略的な断面図である。この図においては、基板10、回路層11、有機絶縁層12、樹脂層13、封止層14および樹脂層15を省略している。
【0114】
本実施形態においては、第1封止層SE1の第1部分P1が充填部FLを有していない。一方で、第1部分P1と上面UFの間に隙間GP0が形成され、この隙間GP0の入口部分が閉塞部RD0によって塞がれている。
【0115】
なお、第2副画素SP2とその近傍の構成は
図5と同様であり、第3副画素SP3とその近傍の構成は
図6と同様である。例えば、本実施形態においては、第1幅W1が第2幅W2と同等である。第1実施形態と同じく、第1幅W1および第2幅W2は、第3幅W3よりも小さい(W1,W2<W3)。
【0116】
図21は、本実施形態に係る表示装置DSPの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図22乃至
図30は、
図21に示す工程を説明するための概略的な断面図であり、(a)第1副画素SP1を囲う隔壁6とその近傍の構成、(b)第2副画素SP2を囲う隔壁6とその近傍の構成、(c)第3副画素SP3を囲う隔壁6とその近傍の構成をそれぞれ示している。
【0117】
表示装置DSPの製造にあたっては、先ず第1実施形態と同様の工程Q1,Q2,Q3,Q4,Q5によって回路層11、有機絶縁層12、下電極LE1,LE2,LE3、リブ5および隔壁6が形成される。
【0118】
続いて、表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程が実施される。本実施形態においても第1表示素子DE1が最初に形成され、次に第2表示素子DE2が形成され、最後に第3表示素子DE3が形成される場合を想定する。ただし、表示素子DE1,DE2,DE3の形成順はこの例に限られない。
【0119】
第1表示素子DE1の形成にあたっては、先ず、第1実施形態における工程Q6,Q7と同様に第1蒸着膜V1および第1封止層SE1が形成される(工程S1,S2)。その後、第1封止層SE1および第1蒸着膜V1のうち、第1下電極LE1および第3下電極LE3の上方に位置する部分を残し、第2下電極LE2の上方に位置する部分を除去する第1パターニング工程X21が実施される。
【0120】
第1パターニング工程X21においては、先ず
図22に示すように、第1封止層SE1の上にレジストR21が形成される(工程S3)。レジストR21は、第1下電極LE1および第3下電極LE3の上方に配置され、第2下電極LE2の上方には配置されていない。
図22(a)に示すように、レジストR21は、第1副画素SP1を囲う隔壁6の一部と第3方向Zに重なっている。また、
図22(c)に示すように、レジストR21は、第3副画素SP3を囲う隔壁6の一部とも第3方向Zに重なっている。
【0121】
工程S3の後、第1実施形態における工程Q9,Q10と同様に、レジストR21をマスクとして第1封止層SE1に対し異方性ドライエッチングと等方性ドライエッチングが施される(工程S4,S5)。
【0122】
図23は、工程S4の異方性ドライエッチングと工程S5の等方性ドライエッチングにより第1封止層SE1が侵食される様子を示している。
図23(a)に示すように、第1副画素SP1の近傍においては、
図10(a)の例と同じく第1封止層SE1のうち隔壁6の上でレジストR21から露出した部分が除去されるとともに、レジストR21の下方に位置する第1封止層SE1の一部が侵食される。また、
図23(c)に示すように、第3副画素SP3の近傍においても、第1封止層SE1のうち隔壁6の上でレジストR21から露出した部分が除去されるとともに、レジストR21の下方に位置する第1封止層SE1の一部が侵食される。一方で、
図23(b)に示すように、第2副画素SP2とその近傍においては、
図10(b)の例と同じく第1封止層SE1が全て除去される。
【0123】
工程S5の後、レジストR21をマスクとして、第1蒸着膜V1に対しエッチングが施される(工程S6)。さらに、レジストR21が剥離され、アッシングによって残渣が除去される(工程S7)。
【0124】
工程S6,S7を経た第1副画素SP1および第3副画素SP3とこれらの周囲の構造は、
図11(a)の例と同様である。工程S6,S7を経た第2副画素SP2とその周囲の構造は、
図11(b)の例と同様である。
【0125】
以上の第1パターニング工程X21の後、第2表示素子DE2を形成するための工程が実施される。具体的には、第1実施形態における工程Q13,Q14と同じく、第2蒸着膜V2と第2封止層SE2が表示領域DAの全体に対し形成される(工程S8,S9)。
【0126】
その後、第2封止層SE2および第2蒸着膜V2のうち、第2下電極LE2の上方に位置する部分を残し、第1下電極LE1および第3下電極LE3の上方に位置する部分を除去する第2パターニング工程X22が実施される。
【0127】
第2パターニング工程X22においては、先ず、第2封止層SE2の上にレジストR22が形成される(工程S10)。
図24は、工程S10を経た副画素SP1,SP2,SP3の状態を示している。レジストR22は、
図24(b)に示すように第2下電極LE2の上方に配置され、第1下電極LE1および第3下電極LE3の上方には配置されていない。レジストR22は、第2副画素SP2を囲う隔壁6の一部と第3方向Zに重なっている。
図24(a)(c)に示す第1副画素SP1および第3副画素SP3とこれらの周囲の構造は、
図12(a)の例と同様である。
【0128】
工程S10の後、レジストR22をマスクとして、第2封止層SE2に対し異方性ドライエッチングが施される(工程S11)。本実施形態において、工程S11の異方性ドライエッチングの強度は、工程S4の異方性ドライエッチングの強度よりも大きい。具体的には、工程S11の異方性ドライエッチングの処理時間は、工程S4の異方性ドライエッチングの処理時間よりも長い。なお、第2パターニング工程X22は、第2封止層SE2に対する等方性ドライエッチングを含んでいない。
【0129】
図25は、当該異方性ドライエッチングにより第2封止層SE2が侵食される様子を示している。
図23(b)に示すように、第2副画素SP2の近傍においては、第2封止層SE2のうち隔壁6の上でレジストR22から露出した部分が除去される。また、
図25(a)に示すように、第1副画素SP1とその近傍においては、第2封止層SE2が全体的に除去される。
【0130】
図25(a)に示すように、隙間GP0の入口付近には第2封止層SE2の一部が残り、
図20に示した閉塞部RD0が形成される。
図25(c)に示す第3副画素SP3とその近傍の構成は、
図25(a)に示す第1副画素SP1の例と同様である。
【0131】
工程S11の後、レジストR22をマスクとして、第2蒸着膜V2に対しエッチングが施される(工程S12)。さらに、レジストR22が剥離され、アッシングによって残渣が除去される(工程S13)。
【0132】
以上の第2パターニング工程X22の後、第1封止層SE1および第1蒸着膜V1のうち、第1下電極LE1の上方に位置する部分を残し、第3下電極LE3の上方に位置する部分を除去する第3パターニング工程X23が実施される。
【0133】
第3パターニング工程X23においては、先ず、レジストR23が形成される(工程S14)。
図26は、工程S14を経た副画素SP1,SP2,SP3の状態を示している。レジストR23は、
図26(a)に示すように第1副画素SP1における第1封止層SE1の上に配置されるとともに、
図26(b)に示すように第2副画素SP2における第2封止層SE2の上に配置される。レジストR23は、第3副画素SP3には配置されていない。
図26(b)の例においては、突出部PR(第2部分P2)と上部62の間に隙間GP1が形成され、この隙間GP1がレジストR23で満たされている。
【0134】
図26(a)の例においては、第1部分P1が全体的にレジストR23で覆われている。
図26(b)の例においては、突出部PR2の側面がレジストR23から露出している。他の例として、突出部PR2の側面がレジストR23で覆われてもよい。
【0135】
なお、
図26(b)に示すレジストR23は、レジストR22がそのまま残されたものであってもよい。この場合においては、工程S13が省略される。
【0136】
工程S14の後、レジストR23をマスクとして、第2封止層SE2に対し異方性ドライエッチングと等方性ドライエッチングが順に施される(工程S15,S16)。
【0137】
図27は、工程S15の異方性ドライエッチングと工程S16の等方性ドライエッチングにより第1封止層SE1が侵食される様子を示している。
図27(c)に示すように、第3副画素SP3とその近傍においては、第1封止層SE1が全て除去される。また、
図27(b)に示すように、第2副画素SP2の近傍においては、レジストR23の下方に位置する第2封止層SE2の一部が侵食される。
【0138】
工程S16の後、レジストR23をマスクとして、第1蒸着膜V1に対しエッチングが施される(工程S17)。これにより、
図27(c)において第3副画素SP3に残っていた第1蒸着膜V1が除去される。さらに、レジストR23が剥離され、アッシングによって残渣が除去される(工程S18)。
【0139】
第3パターニング工程X23の後、第3表示素子DE3を形成するための工程が実施される。具体的には、第1実施形態における工程Q20,Q21と同じく、第3蒸着膜V3と第3封止層SE3が表示領域DAの全体に形成される(工程S19,S20)。
【0140】
その後、第3封止層SE3および第3蒸着膜V3のうち、第3下電極LE3の上方に位置する部分を残し、第1下電極LE1および第2下電極LE2の上方に位置する部分を除去する第4パターニング工程X24が実施される。
【0141】
第4パターニング工程X24においては、先ず
図28に示すようにレジストR24が形成される(工程S21)。レジストR24は、第3下電極LE3の上方に配置され、第1下電極LE1および第2下電極LE2の上方には配置されていない。
図28(c)に示すように、レジストR24は、第3副画素SP3を囲う隔壁6の一部と第3方向Zに重なっている。
【0142】
工程S21の後、レジストR24をマスクとして、第1実施形態における工程Q23と同様に第3封止層SE3に対し異方性ドライエッチングが施される(工程S22)。当該異方性ドライエッチングの強度は、工程S4,S15の異方性ドライエッチングの強度よりも大きい。具体的には、工程S22の異方性ドライエッチングの処理時間は、工程S4,S15の異方性ドライエッチングの処理時間よりも長い。
図29は、工程S22の異方性ドライエッチングにより第3封止層SE3が侵食される様子を示している。
図29(c)に示すように、第3副画素SP3の近傍においては、第3封止層SE3のうち隔壁6の上でレジストR24から露出した部分が全て除去される。また、
図29(a)(b)に示すように、第1副画素SP1および第2副画素SP2とこれらの近傍においては、第3封止層SE3が全体的に除去される。なお、
図29(b)に示すように、隙間GP1の入口付近には第3封止層SE3の一部が残り、閉塞部RDが形成される。
【0143】
第4パターニング工程X24は、等方性ドライエッチングを含んでいない。工程S22の後、レジストR24をマスクとして、第3蒸着膜V3に対しエッチングが施される(工程S23)。さらに、レジストR24が剥離され、アッシングによって残渣が除去される(工程S24)。
【0144】
図30は、工程S23,S24を経た副画素SP1,SP2,SP3の状態を示している。
図30(c)の例においては、第3副画素SP3を囲う隔壁6の上に位置していた第3蒸着膜V3が工程S23のエッチングによって除去されている。これにより、第3封止層SE3のうち上部62から突出した第3部分P3と、上部62との間に、隙間GP2が形成される。
図30(a)(b)のように、副画素SP1,SP2においては第3蒸着膜V3が全体的に除去されている。
【0145】
このようにして表示素子DE1,DE2,DE3とこれらを覆う封止層SE1,SE2,SE3が形成された後、第1実施形態における工程Q26,Q27,Q28と同様に、樹脂層13、封止層14および樹脂層15が順に形成される。これにより、第2実施形態に係る表示装置DSPが得られる。
【0146】
第1実施形態においては、第3副画素SP3に位置するリブ5が工程Q10,Q17の2度にわたり、封止層SE1,SE2に対するドライエッチングに晒される。そのため、リブ5を封止層SE1,SE2,SE3と同じ材料で形成したり、異なる材料であるが封止層SE1,SE2,SE3とのエッチング選択比が小さい材料で形成したりした場合には、工程Q10,Q17を経て第3副画素SP3に位置するリブ5が大きなダメージを受け得る。
【0147】
これに対し、本実施形態においては、第3副画素SP3に位置するリブ5が工程S16において第1封止層SE1に対するドライエッチングに晒されるが、第2封止層SE2に対するドライエッチングには晒されない。これにより、リブ5のダメージを軽減することが可能である。
【0148】
また、第1実施形態においては、第1副画素SP1に形成された第1封止層SE1のうち隔壁6の上に位置する部分の側面が工程Q10,Q17の2度にわたり等方性ドライエッチングに晒される。そのため、第1部分P1の第1幅W1が小さくなる。
【0149】
これに対し、本実施形態に係る製造方法においては、第1副画素SP1に形成された第1封止層SE1のうち隔壁6の上に位置する部分の側面が等方性ドライエッチングに晒される回数は、工程S5の1度である。そのため、
図20に示したように第1部分P1の第1幅W1を大きくすることが可能となり、結果として第1表示素子DE1への水分浸入を良好に抑制することができる。ここで述べた他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。
【0150】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置およびその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置およびその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0151】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0152】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0153】
DSP…表示装置、DA…表示領域、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、LE1,LE2,LE3…下電極、OR1,OR2,OR3…有機層、UE1,UE2,UE3…上電極、SE1,SE2,SE3…封止層、DE1,DE2,DE3…表示素子、5…リブ、6…隔壁、61…隔壁の下部、62…隔壁の上部、P1…第1部分、P2…第2部分、P3…第3部分。