(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183149
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】開封弁付き包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 33/24 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
B65D33/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096626
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000237787
【氏名又は名称】富士特殊紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100198797
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 裕
(72)【発明者】
【氏名】水谷 礼士
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA30
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA12
3E064HM01
3E064HN64
3E064HP02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】包装体の取り扱い易さと衛生性を有し、且つ、内容物によって再封機能が損なうことがない開封弁付き包装体を提供する。
【解決手段】可撓性フィルムにより構成される包装体1に破断して開封口26を形成する開封予定線9と、その下方に開封弁7と、その下方に収容部27を設け、開封弁は長尺側部と短尺側部からなる山折りフィルム2と、長尺側部の下端と包装体の前面10又は背面11の何れか一方の内側とを接合する山折りフィルム下端熱融着部4と、山折りフィルムの山折部内側で長尺側部及び短尺側部と一部が接する帯状フィルム3と、その下端と山折りフィルム下端熱融着部4と対向する前面又は背面の何れか一方の内側とを融着する帯状フィルム下端熱融着部5と、山折りフィルム及び帯状フィルムと包装体の両側端部とを融着する固定用の熱融着部6から構成され、山折りフィルムと帯状フィルムは熱融着可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルムにより構成される包装体であって、
前記包装体は、破断することで開封口が形成される開封予定線と、前記開封予定線の下方に設けられた開封弁と、前記開封弁の下方に設けられた収容部とを備え、
前記開封弁は、長尺側部と短尺側部からなる山折りフィルムと、前記山折りフィルムの長尺側部の下端と前記包装体の前面又は背面の何れか一方の内側とを接合する山折りフィルム下端熱融着部と、前記山折りフィルムの山折部内側で前記長尺側部及び短尺側部と一部が接する帯状フィルムと、前記帯状フィルムの下端と前記山折りフィルム下端熱融着部と対向する前記前面又は背面の何れか一方の内側とを融着する帯状フィルム下端熱融着部と、前記山折りフィルム及び帯状フィルムと前記包装体の両側端部とを融着する固定用の熱融着部から構成されていること、
前記山折りフィルムと帯状フィルムは熱融着可能であること、
を特徴とする開封弁付き包装体。
【請求項2】
前記包装体は、1枚の合成樹脂製フィルムの両端部の熱融着可能な面同士を合わせて成る背貼り熱融着部及び上端熱融着部を設けることにより形成された合掌袋であることを特徴とする請求項1に記載の開封弁付き包装体。
【請求項3】
前記包装体は、1枚の合成樹脂製フィルムの両端部を突き合わせて筒状にし、前記突き合わせ部の熱融着可能な面に前記合成樹脂製フィルムと熱融着可能なテープ状のつなぎ部材を挿入して成るつなぎ熱融着部及び上端熱融着部を設けることにより形成されたテープ挿入袋であることを請求項1に記載の開封弁付き包装体。
【請求項4】
前記包装体は、包装体の前面と背面の両面が熱融着可能なフィルムで構成された1枚の合成樹脂製フィルムの両端部の前面と背面を重ね合わせて成る封筒貼り熱融着部及び上端熱融着部を設けることにより形成された封筒貼り袋であることを特徴とする請求項1に記載の開封弁付き包装体。
【請求項5】
前記包装体は、包装体の前面となるフィルムと背面となるフィルムが熱融着可能な面を対向させて配置した状態で両側端熱融着部及び上端熱融着部を設けることにより形成された三方袋であることを特徴とする請求項1に記載の開封弁付き包装体。
【請求項6】
前記包装体は、包装体の前面となるフィルムと背面となるフィルムが熱融着可能な面を対向させて配置した状態で包装体の底部となる1辺に熱融着可能な面が前記包装体の前面となるフィルムと背面となるフィルムの熱融着可能な面に接するように折りたたまれた底部フィルムを挿入し、両側端熱融着部、上端熱融着部及び底熱融着部を設けることにより形成された自立型袋であることを特徴とする請求項1に記載の開封弁付き包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
包装体の両端を手指で把持し開封弁を屈曲させると開封弁が開いて内容物を取り出すことができ、かつ、容易に再封することができる開封弁付き包装体を提供する。
【背景技術】
【0002】
食品や雑貨などの内容物が収納された包装体において、開封後に内容物を一度に使い切ることができないと想定される場合には、包装体の開口部からの内容物の落下防止や保管性を考慮して再封可能な手段を設けた包装体を使用することが一般的である。
【0003】
このような再封の手段としては、合成樹脂製であってオス型とメス型の成型物同士を圧着嵌合して包装体の開口部を繋ぎ留めるジッパーや、粘着剤を包装体の開封口となる位置に塗布し、その粘着剤により包装体の開口部を接着させるものが公知となっている。
【0004】
しかし、上述のジッパーでは、内容物が粉末や顆粒状等の細かな物品の場合、包装体から内容物を取り出す際にメス型成型物の椀状部分に内容物が入り込んでしまい、再封時にオス型成型物との圧着嵌合が阻害されて再封機能が失われる虞がある。
【0005】
また、粘着剤を包装体の開封口に塗布する包装形態の場合は、内容物を開封口から取り出す際に内容物が粘着剤に貼り付いて取り出し難いことや、手指の皮脂等の外的要因により粘着剤に汚れが付着する虞があるため、特に内容物が食品の場合には不衛生であることが問題点として挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことを鑑みて本発明の目的は、包装体の取り扱い易さと衛生性を有し、且つ、内容物によって再封機能が損なうことがない開封弁付き包装体を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の問題を解決するため、請求項1に記載の発明は、開封弁付き包装体において、可撓性を有するフィルムにより構成される包装体であって、前記包装体は、破断することで開封口が形成される開封予定線と、前記開封予定線の下方に設けられた開封弁と、前記開封弁の下方に設けられた収容部とを備え、前記開封弁は、長尺側部と短尺側部からなる山折りフィルムと、前記山折りフィルムの長尺側部の下端と前記包装体の前面又は背面の何れか一方の内側とを接合する山折りフィルム下端熱融着部と、前記山折りフィルムの山折部内側で前記長尺側部及び短尺側部と一部が接する帯状フィルムと、前記帯状フィルムの下端と前記山折りフィルム下端熱融着部と対向する前記前面又は背面の何れか一方の内側とを融着する帯状フィルム下端熱融着部と、前記山折りフィルム及び帯状フィルムと前記包装体の両側端部とを融着する固定用の熱融着部から構成されていること、前記山折りフィルムと帯状フィルムは熱融着可能であることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装体において、1枚の合成樹脂製フィルムの両端部の熱融着可能な面同士を合わせて成る背貼り熱融着部及び上端熱融着部を設けることにより形成された合掌袋であることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の包装体において、1枚の合成樹脂製フィルムの両端部を突き合わせて筒状にし、前記突き合わせ部の熱融着可能な面に前記合成樹脂製フィルムと熱融着可能なテープ状のつなぎ部材を挿入して成るつなぎ熱融着部及び上端熱融着部を設けることにより形成されたテープ挿入袋であることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の包装体において、包装体の前面と背面の両面が熱融着可能なフィルムで構成された1枚の合成樹脂製フィルムの両端部の前面と背面を重ね合わせて成る封筒貼り熱融着部及び上端熱融着部を設けることにより形成された封筒貼り袋であることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の包装体において、包装体の前面となるフィルムと背面となるフィルムが熱融着可能な面を対向させて配置した状態で両側端熱融着部及び上端熱融着部を設けることにより形成された三方袋であることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の包装体において、包装体の前面となるフィルムと背面となるフィルムが熱融着可能な面を対向させて配置した状態で包装体の底部となる1辺に熱融着可能な面が前記包装体の前面となるフィルムと背面となるフィルムの熱融着可能な面に接するように折りたたまれた底部フィルムを挿入し、両側端熱融着部、上端熱融着部及び底熱融着部を設けることにより形成された自立型袋であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によると、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、可撓性を有するフィルムにより構成される包装体1内に設けられる開封弁7は、山折りフィルム下端熱融着部4、帯状フィルム下端熱融着部5及び固定用両側端熱融着部6により山折りフィルム2が帯状フィルム3の上部を覆った状態で包装体1に固定されているため、開封予定線9に沿って包装体1のフィルムを切り裂いて開封口26が形成された包装体1を逆さにしても、収容部27に収容された内容物は包装体1外へこぼれ落ちない。
【0015】
ここで、
図2に示すように、山折りフィルム2と帯状フィルム3は、それぞれ山折りフィルム2の長尺側部12の下端に設けられた山折りフィルム下端熱融着部4と帯状フィルム3の下端に設けられた帯状フィルム下端熱融着部5により、包装体1の前面10と背面11に接合されており、山折りフィルム下端熱融着部4と帯状フィルム下端熱融着部5を設ける位置と各熱融着部の面積を同じにすることで、固定されていない開封弁7の面積は包装体1の前面10側と背面11側で同じになる。
この構成により、包装体1を逆さにした際の開封弁7に掛かる内容物の荷重は分散され、開封弁7の長手方向中央部に集中し難くなるため、開封弁7の形状が維持され、内容物の意図しない漏洩や落下を防ぐことができる。
なお、
図1及び
図2において、山折りフィルム2は包装体1の背面11、帯状フィルム3は包装体1の前面10に接合されているが、山折りフィルム2を包装体1の前面10、帯状フィルム3を包装体1の背面11に接合する構成としてもよい。
【0016】
また、
図3に示すように、包装体1の固定用両側端熱融着部6付近を手指で把持し、包装体1を撓ませながら開封弁7付近を屈曲させることで、山折りフィルム2と帯状フィルム3がそれぞれ長手方向中央部を起点として包装体1の前面10側と背面11側に向かって広がるように折れ曲がり、山折りフィルム2と帯状フィルム3の間に空隙14が形成されるため、この空隙14を通して収容部27内の内容物を包装袋1から取り出すことができる。
【0017】
さらに、上述のように一旦開封弁7を屈曲変形させても、固定用両側端熱融着部6により開封弁7の両端は元の形状が維持されているため、開封弁7付近を包装袋1の前面10側と背面11側の双方から押さえつけたり、包装体1の両端部にあたる固定用熱融着部6付近を手指で摘んで左右同時に引っ張ったりすることで、前面10側と背面11側に向かって屈曲変形していた山折りフィルム2と帯状フィルム3が伸長されて空隙14はなくなり、開封弁7は
図1(b)や
図2に示す変形前の形状に戻るため、包装体1を再封することができる。
【0018】
加えて、上述の内容物の取り出し機能と再封機能の2つが両立した包装体1を得るためには、山折りフィルム2及び帯状フィルム3の寸法を包装体の横幅に合わせて調整することが重要である。
【0019】
まず、包装体1の横幅は、片手で把持し易い50mmから120mmが適しており、より好ましくは70mmから100mmであり、山折りフィルム2と帯状フィルム3、固定用熱融着部6から成る開封弁7の横幅は、包装体1の横幅と同じである。
【0020】
包装体1の横幅が前記の50mmから120mmの場合、
図2に示す山折りフィルム2の短尺側13の長さは、10mmから15mmが適しており、山折りフィルム2と帯状フィルム3の寸法は、
図1(b)に示す短尺側部13と帯状フィルム3が重なる長さL1と帯状フィルム3の上端から帯状フィルム下端熱融着部5の上端までの長さL2の比率をL1:L2=1:1.2~2.5とすることが望ましい。
包装体1の横幅が長くなると、山折りフィルム2と帯状フィルム3の横幅も長くなり、開封弁7が変形する度合いや範囲も大きくなるため、包装袋1に適切な再封機能を付与させるためには、L1をより長く調整する必要がある。
【0021】
L2の長さがL1の長さの1.2倍未満であると、包装体1の固定用熱融着部6付近を握って山折りフィルム2と帯状フィルム3を最大限まで変形させても十分な面積の空隙14が形成されないため、内容物のサイズが大きい場合や重量が軽い場合には取り出すことが困難になる。
【0022】
一方、L2の長さがL1の長さの2.5倍より長くなると、帯状フィルム3の可動範囲が大きくなり、帯状フィルム3が帯状フィルム3の上部を覆う山折りフィルム2の短尺側部13から外れて空隙14が形成されやすくなってしまう。
この場合、包装袋1を逆さにして内容物の荷重を開封弁7にかけただけで内容物がこぼれ落ちる可能性が高くなるため、内容物を封止する機能が損なわれる。
【0023】
短尺側部13の長さとL1及びL2の比率を前記の好適な範囲内で調整することで、包装袋1の固定用熱融着部6付近を手指で把持し、開封弁7を屈曲させた際に生じる空隙14の大きさを調整することができるため、内容物の大きさや重さによって開封弁7の寸法を設定する。
【0024】
内容物の重量や内容量が大きい場合には、山折りフィルム2及び帯状フィルム3に重量に耐えうる剛性を付与させる必要がある。山折りフィルム2及び帯状フィルム3に剛性を付与させる方法としては、3層以上の積層フィルムとし、その中間層に高剛性である合成樹脂製の延伸フィルムや紙、金属箔等を用い、最外層及び最内層にはそれぞれ熱融着が可能なフィルムを用いて積層させる方法や、山折りフィルム2及び帯状フィルム3の厚みを厚くするといった方法がある。ここで、山折りフィルム2と帯状フィルム3を構成する材質や厚みは、それぞれの剛性バランスを保つため、同じものに合わせた方が良い。
【0025】
なお、包装体1を構成する合成樹脂製フィルムの材質構成は、特に制限されることはなく、従来の包装材料から変更する必要はない。
【0026】
請求項2に記載の発明によると、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、1枚の合成樹脂製フィルムの両端部を合わせて成る背貼り熱融着15及び上端熱融着部8を設けることにより形成された合掌袋1aにおいて、開封予定線9より下部に山折りフィルム2の内面に帯状フィルム3を挿入した開封弁7を導入し、前記の内容物の取り出し機能と再封機能を付与させることができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によると、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、1枚の合成樹脂製フィルムの両端部を突き合わせて筒状にし、前記突き合わせ部分の熱融着可能な面に前記合成樹脂製フィルムと熱融着可能なテープ状のつなぎ部材17を挿入して成るつなぎ熱融着部18及び上端熱融着部8を設けることにより形成されたテープ挿入袋1bに開封予定線9より下部に山折りフィルム2の内面に帯状フィルム3を挿入した開封弁7を山折りフィルム下端熱融着部4、帯状フィルム下端熱融着部5及び固定用熱融着部6によりテープ挿入袋1bと接合することで前記の内容物の取り出し機能と再封機能を付与させることができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によると、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、包装体の外面と内面の両面が熱融着可能なフィルムで構成された1枚の合成樹脂製フィルムの両端部の外面と内面を重ね合わせて筒状にし、互いが接した状態で熱融着して成る封筒貼り熱融着部19と上端熱融着部8を設けることにより形成された封筒貼り袋1cに開封予定線9より下部に山折りフィルム2の内面に帯状フィルム3を挿入した開封弁7を山折りフィルム下端熱融着部4、帯状フィルム下端熱融着部5及び固定用熱融着部6によりテープ挿入袋1bと接合することで前記の内容物の取り出し機能と再封機能を付与させることができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によると、
図7に示すように、包装体の前面10となるフィルムと背面11となるフィルムが熱融着可能な面を対向させて配置された状態で両側端熱融着部20及び上端熱融着部8が施されることにより形成された三方袋1dに開封予定線9より下部に山折りフィルム2の内面に帯状フィルム3を挿入した開封弁7を山折りフィルム下端熱融着部4、帯状フィルム下端熱融着部5及び固定用熱融着部6により三方袋1dと接合することで前記の内容物の取り出し機能と再封機能を付与させることができる。
【0030】
請求項6に記載の発明によると、
図8に示すように、包装体の前面10となるフィルムと背面11となるフィルムが熱融着可能な面を対向させて配置した状態で包装体の底部となる1辺に熱融着可能な面が前記包装体の前面10となるフィルムと背面11となるフィルムの熱融着可能な面に接するように折りたたまれた底部フィルムを挿入し、両側端熱融着部20、上端熱融着部8及び底熱融着部21を設けることにより形成された自立型袋1eに開封予定線9より下部に山折りフィルム2の内面に帯状フィルム3を挿入した開封弁7を山折りフィルム下端熱融着部4、帯状フィルム下端熱融着部5及び固定用熱融着部6により自立袋1eと接合することで前記の内容物の取り出し機能と再封機能を付与させることができる。
【0031】
内容物を封入するための充填口16は、従来の自立袋であれば包装体の上端に設けるが、自立袋1eには開封弁7が存在するため、山折りフィルム下端熱融着部4、帯状フィルム下端熱融着部5及び固定用熱融着部6により開封弁7が自立袋1eに固定された状態では上端から内容物を入れることができない。そのため、自立袋1eの充填口16は、
図8(a)に示すように両側端熱融着部20のどちらか一方の開封弁7と底熱融着部21の間に設けることができる。
【0032】
また、従来の自立袋と同様に包装体の上端から内容物を充填する場合は、
図8(b)に示すように内容物の通り道を確保するため、開封弁7の山折りフィルム下端熱融着部4もしくは、帯状フィルム下端熱融着部5のどちらか一方を熱融着しないでおき、内容物を充填した後に前記未実施の山折りフィルム下端熱融着部もしくは、帯状フィルム下端熱融着部5のどちらかと上端を熱融着し、密封する方法がある。前記の通り、
図8(b)では帯状フィルム下端熱融着部5を熱融着していないが、山折りフィルム下端熱融着部4を熱融着しないでおいても良い。
【0033】
なお、三方袋1d及び自立袋1eに開封弁7を導入する場合、固定用熱融着部6は、両側端熱融着部20中に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】(a)請求項1に記載の包装体を正面から示す図である。(b)請求項1に記載の包装体を(a)中のI-I´に示す一点鎖線の位置で切り取った場合の断面図である。
【
図3】包装体を手指で把持し、開封弁が開いた状態を示す写真である。
【
図4】(a)合掌袋を正面から示す説明図であり、実施例1にて使用する包装体である。(b)合掌袋を(a)中のII-II´に示す一点鎖線の位置で切り取った場合の断面図である。
【
図5】(a)テープ挿入袋を正面から示す説明図である。(b)テープ挿入袋を(a)中のIII-III´に示す一点鎖線の位置で切り取った場合の断面図である。
【
図6】(a)封筒貼り袋を正面から示す説明図である。(b)封筒貼り袋を(a)中のIV-IV´に示す一点鎖線の位置で切り取った場合の断面図である。
【
図8】(a)両側端熱融着部の一部に充填口を設けた自立袋を正面から示す説明図である。(b)上端部に充填口を設けた自立袋を正面から示す説明図である。
【
図9】実施例1で使用する合掌袋及び実施例2で使用する三方袋を構成する合成樹脂製積層フィルムの断面図である。
【
図10】実施例1及び実施例2で使用する山折りフィルムと帯状フィルムを構成する合成樹脂製積層フィルムの断面図である。
【
図11】実施例1で使用する包装体において内容物を包装体から取り出す様子を示す写真である。
【
図12】実施例1で使用する包装体において開封弁が閉じた状態で包装体の開封口を下に向けた状態を示す写真である。
【
図13】実施例2で使用する包装体において内容物を包装体から取り出す様子を示す写真である。
【
図14】実施例2で使用する包装体において開封弁が閉じた状態で包装体の開封口を下に向けた状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施例を
図1~
図14に基づいて詳細に説明する。
【実施例0036】
実施例1では、包装形態を
図4(a)及び
図4(b)に示す合掌袋1aとし、合掌袋1aの寸法は、横幅を90mm、高さを150mmとし、横幅10mmの背貼り熱融着部15及び縦幅10mmの上端熱融着部8を設けることにより1枚の合成樹脂製フィルムから合掌袋1aを形成した。
【0037】
合掌袋1aに設ける開封予定線9は、合掌袋1aの上端から下方13mmの位置に設定し、その開封予定線9の位置から3mm下に開封弁7の上端が位置するように設定した。
【0038】
開封弁7は、
図1(a)及び
図1(b)と同様に、山折りフィルム2の山折部の内側に帯状フィルム3を入れ込んだ状態で合掌袋1aに挿入し、その両端に設けた横幅5mmの固定用熱融着部6と縦幅10mmの山折りフィルム下端熱融着部4及び帯状フィルム下端熱融着部5により合掌袋1aと接合することで形成した。
本実施例において、山折りフィルム2は合掌袋1aの前面10、帯状フィルム3は合掌袋1aの背面11と接するように配置したが、山折りフィルム2と帯状フィルム3は合掌袋1aの前面10と背面11のどちらに接しても開封弁7としての機能には影響がないため、それらは本実施例と逆に配置しても良い。
【0039】
山折りフィルム2は、合掌袋1aの高さ方向の全長を42mmとして、長尺側12が30mm、短尺側13が12mmとし、
図2に示す形状のように、山折部の頂点が上端熱融着部8側を向くように形成し、帯状フィルム3は、山折りフィルム2の山折部の内側に入れ込む際に余裕を持たせるため、合掌袋1aの高さ方向の長さを28mmとし、山折りフィルム2の山折部の頂点と帯状フィルム3の上端との間に2mmの空白を設けた。
【0040】
以上のように作製した開封弁7における山折りフィルム2の短尺側部13と帯状フィルム3が重なる長さL1は10mmであり、帯状フィルム3の上端から帯状フィルム下端熱融着部5の上端までの長さL2は18mmとなる。
したがって、L1とL2の比率は、L1:L2=1:1.8である。
【0041】
合掌袋1aを形成する合成樹脂製フィルムの層構成は、一般的に広く使用されている材質構成とし、
図9に示すように、最表層の基材フィルムは、耐熱性があり、熱融着による包装体形成時に熱収縮が発生しにくいポリエチレンテレフタレートフィルム22(以下、PETと言う。)フィルム厚12μm、熱融着が可能なシーラントフィルムは、未延伸ポリプロピレンフィルム23(以下、CPPと言う。)フィルム厚40μmであり、これら2種の合成樹脂フィルムはウレタン系2液硬化型の接着剤24を用いたドライラミネート方式にて積層されている。
【0042】
山折りフィルム2及び帯状フィルム3の層構成は、合掌袋1aの内面と熱融着が可能であり、かつ、山折りフィルム2と帯状フィルム3同士が熱融着できるようにする必要があるため、
図10に示すように、合掌袋1aと接する側から順にCPP23(フィルム厚40μm)/接着剤24/PET22(フィルム厚12μm)/接着剤24/耐熱CPP25(フィルム厚40μm)とし、ドライラミネート方式で積層されたものを使用した。
なお、内容物と接する側の山折りフィルム2及び帯状フィルム3の熱融着可能なフィルムは、製袋工程で山折りフィルム下端熱融着部4及び帯状フィルム下端熱融着部5を形成する際に内容物と接する側の山折りフィルム2と帯状フィルム3が熱融着しないように耐熱CPP25を使用する。固定用熱融着部6を形成する際には、高い温度と圧力をかけ、合掌袋1aと開封弁7のみならず、耐熱CPP25面同士である山折りフィルム2と帯状フィルム3も熱融着させる。
【0043】
本発明に係る合掌袋1aを用いて内容物を取り出す方法及び再封する方法は以下の通りである。
【0044】
合掌袋1aに収容する内容物には、開封弁7に生じる空隙14から内容物の自重だけで合掌袋1aから容易に取り出すことができ、かつ、再封時に合掌袋1aの開封口26を下に向けた状態でも合掌袋1aからこぼれ落ちないことを検証するため、食品と同程度の大きさと重量を有するおはじきAを複数用い(合計重量150g)、食品ダミーとして使用した。
【0045】
先ず、おはじきA150gを合掌袋1aの下端に設けられた充填口16から収容部27に収容する。
次に、開封予定線9に沿ってフィルムを切り裂いて合掌袋1aを開封し、開封口26を形成する。
【0046】
次に、
図11に示すように、合掌袋1aの固定用両側端熱融着部6付近を手指で把持し、合掌袋1aを撓ませながら開封弁7付近を屈曲させると、
図3に示すように、山折りフィルム2と帯状フィルム3の間に空隙14が形成される。
次に、空隙14が形成された状態で開封口26を下方に向けると、空隙14を通過したおはじきAは、開封口26から合掌袋1a外にこぼれ落ち、そのまま収容部27に収容された全てのおはじきAを合掌袋1aから取り出すことができた(
図11)。
【0047】
おはじきAを合掌袋1aから取り出した後、固定用熱融着部6付近を手指で摘んで左右同時に引っ張ることで開封弁7を伸展させ、変形した山折りフィルム2と帯状フィルム3を元の形状を戻して空隙14を閉じ、再びおはじきA150gを充填口16から収容部27に収容する。
次に、空隙14が閉じた状態で開封口26を下方に向けたところ、
図12に示すように、おはじきAは、山折りフィルム2の山折部で係止され、開封口26から合掌袋1a外にこぼれ落ちることなく合掌袋1a内に保持されたため、合掌袋1aは再封機能を有していることが確認された。
【0048】
なお、本実施例においては、同一の合掌袋1aで内容物の取り出し機能と再封機能を連続して検証評価するために充填口16をシールしていないが、充填口16をシールして合掌袋1aを密封することが可能なことは勿論である。
三方袋1dには、実施例1の合掌袋1aと異なり、両側端熱融着部20が設けられているが、上述の評価結果より、内容物の取り出し機能と再封機能には影響がないことが分かった。