(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183153
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】光学系及びそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20231220BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096632
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 匠
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA07
2H087PA08
2H087PA09
2H087PA18
2H087PA19
2H087PB10
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA36
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】小型軽量で高い光学性能を有する光学系を提供すること。
【解決手段】光学系は、物体側から像側へ順に配置された、フォーカシングに際して不動の負の屈折力の第1レンズ群、フォーカシングに際して移動する正の屈折力の第2レンズ群、フォーカシングに際して不動の第3レンズ群からなる光学系であって、第1レンズ群は、最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズを備え、第3レンズ群は、最も像側に配置された負の屈折力の第2レンズと、該第2レンズの物体側に隣接して配置された負の屈折力の第3レンズとを備え、無限遠合焦時における開口絞りから像面までの光軸上の距離、無限遠合焦時における第1レンズの物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離、第2レンズの物体側のレンズ面の曲率半径、第3レンズの像側のレンズ面の曲率半径を各々適切に設定すること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、フォーカシングに際して不動の負の屈折力の第1レンズ群、フォーカシングに際して移動する正の屈折力の第2レンズ群、フォーカシングに際して不動の第3レンズ群からなる光学系であって、
前記第1レンズ群は、最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズを備え、
前記第3レンズ群は、最も像側に配置された負の屈折力の第2レンズと、該第2レンズの物体側に隣接して配置された負の屈折力の第3レンズとを備え、
無限遠合焦時における開口絞りから像面までの光軸上の距離をPD、無限遠合焦時における前記第1レンズの物体側のレンズ面から前記像面までの光軸上の距離をLD、前記第2レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR11、前記第3レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR22とするとき、
0.60<PD/LD<1.00
0.0<(R22+R11)/(R22-R11)<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
-12<f1/f<0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
0<f2/f<5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
前記第3レンズ群は、負の屈折力を有し、
前記第3レンズ群の焦点距離をf3、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
-5.0<f3/f<-0.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項5】
前記第3レンズ群は、正の屈折力を有し、
前記第3レンズ群の焦点距離をf3、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
0.5<f3/f<4.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項6】
前記第2レンズと前記第3レンズとの合成焦点距離をf3n、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とするとき、
0.2<|f3n/f3|<1.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項7】
前記第2レンズのd線における屈折率をnd31、前記第3レンズのd線における屈折率をnd32とするとき、
0.8<nd32/nd31<1.1
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項8】
前記第2レンズと前記第3レンズとの光軸上の空気間隔をDair、前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面から前記第2レンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をD3とするとき、
0.2<Dair/D3<0.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項9】
前記第2レンズと前記第3レンズとの間の空気レンズの焦点距離をfair、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
-2.0<fair/f<-0.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項10】
前記第1レンズ群は、前記第1レンズの像側に隣接して配置された負の屈折力の第4レンズを備え、
前記第1レンズと前記第4レンズとの合成焦点距離をf1n2、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.02<f1n2/f1<0.60
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項11】
無限遠合焦時における前記第2レンズの像側のレンズ面から前記像面までの光軸上の距離をskとするとき、
0.1<sk/LD<0.4
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項12】
前記光学系の半画角をωとするとき、
80<2ω<180
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項13】
前記第1レンズ群は、正の屈折力のレンズを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項14】
前記第1レンズ群は、前記第1レンズの像側に隣接して配置された負の屈折力の第4レンズを備え、
前記第1レンズと前記第4レンズは、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項15】
前記第1レンズ群は、最も像側に配置された正の屈折力の第5レンズを備え、
該第5レンズの像側のレンズ面は、凹面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項16】
前記第1レンズ群は、非球面レンズを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項17】
前記第1レンズ群は、前記第1レンズの像側に隣接して配置された負の屈折力の第4レンズを備え、
前記第4レンズは、非球面レンズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項18】
前記第2レンズ群は、非球面レンズを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項19】
前記第3レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力のレンズ、前記第3レンズ、前記第2レンズからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項20】
前記第2レンズの像側のレンズ面は、凸面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項21】
正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズの接合レンズを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項22】
正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズの接合レンズを2枚有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項23】
請求項1又は2に記載の光学系と、
該光学系によって形成される像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系に関し、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ、車載カメラ等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型でありながら、高い光学性能を有する広角レンズが求められている。特許文献1には、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の前側レンズ群、開口絞り、負の屈折力のフォーカシングレンズ、正の屈折力の後側レンズ群からなるレンズが開示されている。特許文献2には、3個のレンズ群からなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化し、最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面が像側に向いた凹面であるレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6374713号公報
【特許文献2】特許第6784951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のレンズは、前側レンズ群が正の屈折力を有するため、小型化が困難である。また、最も像側に配置されたレンズと該レンズの像側に隣接して配置されたレンズとの間の空気間隔(空気レンズ)の物体側の面の曲率が強くなるため、像面湾曲が悪化する。
【0005】
また、特許文献2のレンズは、フォーカシングに際して移動するレンズの枚数が多く、小型化が困難である。また、絞りが像側に近い位置に配置されるため、レンズ前玉が大きくなり、小型化が困難となる。
【0006】
本発明は、小型軽量で高い光学性能を有する光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、フォーカシングに際して不動の負の屈折力の第1レンズ群、フォーカシングに際して移動する正の屈折力の第2レンズ群、フォーカシングに際して不動の第3レンズ群からなる光学系であって、
第1レンズ群は、最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズを備え、
第3レンズ群は、最も像側に配置された負の屈折力の第2レンズと、該第2レンズの物体側に隣接して配置された負の屈折力の第3レンズとを備え、
無限遠合焦時における開口絞りから像面までの光軸上の距離をPD、無限遠合焦時における第1レンズの物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をLD、第2レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR11、第3レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR22とするとき、
0.60<PD/LD<1.00
0.0<(R22+R11)/(R22-R11)<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型軽量で高い光学性能を有する光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の光学系の物体距離無限遠時の断面図である。
【
図2】実施例1の光学系の物体距離無限遠時の収差図である。
【
図3】実施例2の光学系の物体距離無限遠時の断面図である。
【
図4】実施例2の光学系の物体距離無限遠時の収差図である。
【
図5】実施例3の光学系の物体距離無限遠時の断面図である。
【
図6】実施例3の光学系の物体距離無限遠時の収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1,3,5はそれぞれ、実施例1乃至3の光学系の物体距離無限遠時の断面図である。各実施例の光学系は、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ、車載カメラ等の撮像装置に用いられる。
【0012】
各断面図において左方が物体側で、右方が像側である。各実施例の光学系は複数のレンズ群を有して構成されている。なお、レンズ群は1枚のレンズから構成されていてもよいし、複数のレンズから成っていてもよい。また、レンズ群は開口絞りを含んでいてもよい。
【0013】
各実施例の光学系は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1群(第1レンズ群)L1、正の屈折力の第2群(第2レンズ群)L2、第3群(第3レンズ群)L3からなる。
【0014】
SPは、開口絞りである。IPは像面であり、各実施例の光学系をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例の光学系を銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際には像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
【0015】
図2,4,6はそれぞれ、実施例1乃至3の光学系の物体距離無限遠時の収差図である。球面収差図においてFnoはFナンバーであり、d線(波長587.56nm)、g線(波長435.835nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図においてΔSはサジタル像面における非点収差量、ΔMはメリディオナル像面における非点収差量を示している。歪曲収差図においてd線に対する歪曲収差量を示している。色収差図ではg線における色収差量を示している。ωは撮像半画角(度)である。
【0016】
次に、各実施例の光学系における特徴的な構成について述べる。
【0017】
第1群L1は、最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズL11を備える。
【0018】
第3群L3は、最も像側に配置された負の屈折力の第2レンズL31と、第2レンズL31の物体側に隣接して配置された負の屈折力の第3レンズL32とを備える。
【0019】
各実施例の光学系は、以下の条件式(1)及び(2)を満足する。
【0020】
0.60<PD/LD<1.00 (1)
0.0<(R22+R11)/(R22-R11)<2.0 (2)
ここで、PDは、無限遠合焦時における開口絞りSPから像面IPまでの光軸上の距離である。LDは、無限遠合焦時における第1レンズL11の物体側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離である。R11は、第2レンズL31の物体側のレンズ面の曲率半径である。R22は、第3レンズL31の像側のレンズ面の曲率半径である。
【0021】
条件式(1)は、開口絞りSPから像面IPまでの光軸上の距離と第1レンズL11の物体側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離(光学全長)との比を規定している。開口絞りSPを物体側に適切に配置することで、小型化と高い光学性能を両立させることができる。条件式(1)の下限値を下回ると、バックフォーカスを短くすることができるため、光学系の全長小型化に有利だが、レンズ前玉が大型化するため、好ましくない。条件式(1)の上限値を上回ると、開口絞りSPは最も物体側に配置されたレンズより物体側に配置される。これにより広角レンズに適したレンズの配置が困難となるため、好ましくない。
【0022】
条件式(2)は、第2レンズL31の物体側のレンズ面の曲率形状と第3レンズL32の像側のレンズ面の曲率形状とによって形成される空気レンズの形状(シェープファクター)を規定している。空気レンズの形状を適切に設定することで、小型化と高い光学性能を両立させることができる。条件式(2)の下限値を下回ると、空気レンズの物体側の面の曲率が強くなり、像面湾曲が悪化するため、好ましくない。条件式(2)の上限値を上回ると、像面IPに入射する光線を屈折させる力が弱くなり、像面湾曲の低減に有利であるが、光学系が大型化するため、好ましくない。
【0023】
上述した構成を有することで、小型軽量で高い光学性能を有する光学系を実現することができる。
【0024】
なお、条件式(1)及び(2)の数値範囲を以下の条件式(1a)及び(2a)の数値範囲とすることが好ましい。
【0025】
0.65<PD/LD<0.90 (1a)
0.2<(R22+R11)/(R22-R11)<1.0 (2a)
また、条件式(1)及び(2)の数値範囲を以下の条件式(1b)及び(2b)の数値範囲とすることが更に好ましい。
【0026】
0.70<PD/LD<0.80 (1b)
0.4<(R22+R11)/(R22-R11)<0.7 (2b)
次に、各実施例の光学系において、満足することが好ましい構成について述べる。
【0027】
第1群L1は、正の屈折力のレンズを備えることが好ましい。これにより、第1群L1で発生する倍率色収差の補正と軸上色収差の補正を両立させることができる。
【0028】
第1群L1は、第1レンズL11の像側に隣接して配置された負の屈折力の第4レンズL12を備えることが好ましい。第1レンズL11と第4レンズL12は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズであることが望ましい。これにより、第1群L1で発生する倍率色収差の補正と広角化を両立させることができる。
【0029】
第1群L1は、最も像側に配置された正の屈折力の第5レンズL13を備えることが好ましい。第5レンズL13の像側のレンズ面は、凸面であることが好ましい。これにより球面収差の補正と光学系の全長小型化を両立させることができる。
【0030】
第1群L1は、非球面レンズを備えることが好ましい。これにより、非球面レンズを保護することができ、更に主に軸外光線によって発生する像面湾曲のフォーカシングによる変動を適切に補正することが可能となる。なお、第1レンズL11の像側に隣接して配置された負の屈折力のレンズ(第4レンズL12)が非球面レンズであることがより好ましい。
【0031】
第2群L2は、非球面レンズを備えることが望ましい。これにより、主に軸上光線によって発生する球面収差のフォーカシングによる変動を適切に補正することが可能となる。
【0032】
第3群L3は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力のレンズ、第3レンズL32、第2レンズL31からなることが好ましい。これにより、光学系の小型化と倍率色収差の抑制を両立させることができる。
【0033】
第2レンズL31の像側のレンズ面は、凸面であることが好ましい。これにより、ゴースト等の迷光の抑制と歪曲補正の抑制を両立させることができる。
【0034】
フォーカス群は、1つであることが好ましい。各実施例では、フォーカシングに際して、第1群L1と第3群L3が不動であり、第2群L2が移動する。これにより、フォーカス群を移動させるために必要なモーター等の部品を削減することができるため、光学系を軽量化することができる。フォーカシングに際して第2群L2の全体を同一の軌跡で移動させてもよいし、第2群L2の一部のレンズから構成される複数のフォーカス群を異なる軌跡で移動させてもよい。
【0035】
光学系は、正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズの接合レンズを有することが好ましい。これにより、フォーカシング時における軸上色収差と倍率色収差の変動を抑制することができる。なお、正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズの接合レンズを2枚有することがより好ましい。
【0036】
次に、各実施例の光学系が満足することが好ましい条件について述べる。各実施例の光学系は、以下の条件式(3)乃至(12)のうち1つ以上を満足することが好ましい。
【0037】
-12<f1/f<0 (3)
0<f2/f<5.0 (4)
-5.0<f3/f<-0.5 (5-1)
0.5<f3/f<4.0 (5―2)
0.2<|f3n/f3|<1.0 (6)
0.8<nd32/nd31<1.1 (7)
0.2<Dair/D3<0.5 (8)
-2<fair/f<-0.5 (9)
0.02<f1n2/f1<0.6 (10)
0.1<sk/LD<0.4 (11)
80<2ω<180 (12)
ここで、fは、光学系の焦点距離である。f1は、第1群L1の焦点距離である。f2は、第2群L2の焦点距離である。f3は、第3群L3の焦点距離である。f3nは、第2レンズL31と第3レンズL32との合成焦点距離である。nd31は、第2レンズL31のd線における屈折率である。nd32は、第3レンズL32のd線における屈折率である。Dairは、第2レンズL31と第3レンズL32との光軸上の空気間隔である。D3は、第3群L3の最も物体側のレンズ面から第2レンズL31の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離(第3群L3の光軸上の厚さ)である。fairは、第2レンズL31と第3レンズL32との間の空気レンズの焦点距離である。f1n2は、第1レンズL11と第4レンズL12との合成焦点距離である。skは、第2レンズL32の像側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離(空気換算でのバックフォーカス)である。ωは、光学系の半画角(度)である。
【0038】
条件式(3)は、第1群L1の焦点距離f1と光学系の焦点距離との比を規定している。条件式(3)の下限値を下回ると、第1群L1の屈折力が弱くなり、フォーカス群に入射する光線がアフォーカルに近くなるため、フォーカシングによる諸収差の変動が減少し、高画質化に有利となる。しかしながら、光学系の広角化が困難となると共に、光学系の大型化を招くため、好ましくない。条件式(3)の上限値を上回ると、第1群L1の屈折力が強くなることで、光学系の広角化と小型化に有利であるが、倍率色収差の抑制が困難となるため、好ましくない。
【0039】
条件式(4)は、第2群L2の焦点距離と光学系の焦点距離との比を規定している。条件式(4)の下限値を下回ると、第2群L2の屈折力が強くなることで、フォーカス移動量が短縮され、光学系の小型化と最至近撮影時における撮影倍率拡大に有利となるが、フォーカシングによる諸収差の変動が拡大するため、好ましくない。条件式(4)の上限値を上回ると、第2群L2の屈折力が弱くなり、フォーカシングによる諸収差の変動が減少するため、高画質化に有利となるが、フォーカス移動量が長くなり、光学系の大型化を招くため、好ましくない。
【0040】
条件式(5-1)は、第3群L3が負の屈折力を有する場合の第3群L3の焦点距離と光学系の焦点距離との比を規定している。条件式(5-1)の下限値を下回ると、第3群L3の屈折力が弱くなり、像面IPに入射する光線を屈折させる力が低下し、ペッツバール和の低減に有利となるが、光学系の大型化を招くため、好ましくない。条件式(5-1)の上限値を上回ると、像面IPに入射する光線を屈折させる力が強くなり、小型化に有利となるが、像面湾曲の悪化を招くため、好ましくない。
【0041】
条件式(5-2)は、第3群L3が正の屈折力を有する場合の第3群L3の焦点距離と光学系の焦点距離との比を規定している。条件式(5-2)の下限値を下回ると、第3群L3の正の屈折力が強くなることで、球面収差や像面湾曲の悪化を招くため、好ましくない。条件式(5-2)の上限値を上回ると、第3群L3の正の屈折力が弱くなり、正の屈折力のレンズによって発生する球面収差の抑制に有利となるが、光学系の大型化を招くため、好ましくない。
【0042】
条件式(6)は、第2レンズL31と第3レンズL32の合成焦点距離と第3群L3の焦点距離との比の絶対値を規定している。条件式(6)の下限値を下回ると、第2レンズL31と第3レンズL32の負の屈折力が強くなり、像面IPに入射する光線を屈折させる力が強くなるため、光学系の小型化に有利となる。しかしながら、ペッツバール和の低減が困難となるため、好ましくない。条件式(6)の上限値を上回ると、第2レンズL31と第3レンズL32の負の屈折力が弱くなり、撮像面に入射する光線を屈折させる力が低下するため、ペッツバール和の低減に有利となる。しかしながら、光学系の大型化を招くため、好ましくない。
【0043】
条件式(7)は、第2レンズL31のd線における屈折率と第3レンズL32のd線における屈折率との比を規定している。条件式(7)の下限値を下回ると、倍率色収差の補正に有利となるが、ペッツバール和の低減が困難となるため、好ましくない。条件式(7)の上限値を上回ると、第2レンズL31のd線における屈折率が低くなり、ペッツバール和の低減に有利となるが、倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0044】
条件式(8)は、第2レンズL31と第3レンズL32との間の空気レンズの光軸上の距離と第3群L3の光軸上の厚さとの比を規定している。条件式(8)の下限値を下回ると、空気レンズの光軸上の距離が短くなり、光学系の小型化に有利となるが、空気レンズの物体側の面と像面の面に入射する軸外光線の光線高さの差が小さくなるため、像面湾曲の補正が困難となり、好ましくない。条件式(8)の上限値を上回ると、空気レンズの光軸上の距離が長くなり、空気レンズの物体側の面と像側の面に入射する軸外光線の光線高さの差が大きくなるため、像面湾曲の補正に有利となるが、光学系の大型化を招くため、好ましくない。
【0045】
条件式(9)は、第2レンズL31と第3レンズL32との間の空気レンズの焦点距離と光学系の焦点距離との比を規定している。条件式(9)の下限値を下回ると、空気レンズの焦点距離が短くなり、空気レンズの負の屈折力が強くなるため、像面IPに入射する光線を屈折させる力が強くなり、光学系の小型化に有利となるが、ペッツバール和の低減が困難となるため、好ましくない。条件式(9)の上限値を上回ると、空気レンズの焦点距離が長くなり、空気レンズの負の屈折力が弱くなるため、像面IPに入射する光線を屈折させる力が低下し、ペッツバール和の低減に有利となるが、光学系の大型化を招くため、好ましくない。
【0046】
条件式(10)は、第1レンズL11と第4レンズL12との合成焦点距離と第1群L1の焦点距離との比を規定している。条件式(10)の下限値を下回ると、第1群L1の屈折力に対する第1レンズL11と第4レンズL12の負の屈折力が強くなり、光学系の広角化に有利となるが、軸外光線によって発生する歪曲収差や倍率色収差が悪化するため、好ましくない。条件式(10)の上限値を上回ると、第1群L1の屈折力に対する第1レンズL11と第4レンズL12の負の屈折力が弱くなり、軸外光線を曲げることができなくなるため、光学系の広角化が困難となり、光学系の大型化を招くため、好ましくない。
【0047】
条件式(11)は、バックフォーカスと光学全長との比を規定している。条件式(11)の下限値を下回ると、バックフォーカスの距離が短縮し、より撮像素子に近い位置にレンズを配置できるため、像面湾曲や倍率色収差の改善に有利となるが、シャッター部材等の配置が難しくなるため、好ましくない。条件式(11)の上限値を上回ると、バックフォーカスの距離が増大し、撮像素子に近い位置にレンズを配置できなくなるため、像面湾曲や倍率色収差の改善が困難となり、結果として低画質化を招き、好ましくない。
【0048】
条件式(12)は、半画角を規定している。条件式(12)の下限値を下回ると、光学系の広角化が困難となるため、好ましくない。条件式(12)の上限値を上回ると、所望する画角以上の撮影が可能となり、光学系の大型化を招くため、好ましくない。
【0049】
なお、条件式(3)乃至(12)の数値範囲を以下の条件式(3a)乃至(12a)の数値範囲とすることが好ましい。
【0050】
-11<f1/f<-1 (3a)
0.3<f2/f<4.5 (4a)
-4.2<f3/f<-1.0 (5a-1)
1.0<f3/f<3.5 (5a-2)
0.3<|f3n/f3|<0.9 (6a)
0.82<nd32/nd31<1.08 (7a)
0.25<Dair/D3<0.45 (8a)
-1.8<fair/f<-0.6 (9a)
0.04<f1n2/f1<0.45 (10a)
0.15<sk/LD<0.35 (11a)
83<2ω<150 (12a)
0.65<PD/LD<0.9 (1a)
-1.0<(R22+R11)/(R22-R11)<-0.2 (2a)
また、条件式(3)乃至(12)の数値範囲を以下の条件式(3b)乃至(12b)の数値範囲とすることが更に好ましい。
【0051】
-10<f1/f<-2 (3b)
0.5<f2/f<4.0 (4b)
-3.8<f3/f<-2.0 (5b-1)
2.0<f3/f<3.0 (5b-2)
0.4<|f3n/f3|<0.8 (6b)
0.85<nd32/nd31<1.05 (7b)
0.3<Dair/D3<0.43 (8b)
-1.5<fair/f<-0.8 (9b)
0.06<f1n2/f1<0.40 (10b)
0.2<sk/LD<0.3 (11b)
86<2ω<120 (12b)
次に、各実施例の光学系について詳細に述べる。
【0052】
実施例1,2の光学系は、物体側から像側へ順に配置された、負、正、負の屈折力の第1群L1乃至第3群L3からなる。
【0053】
実施例3の光学系は、物体側から像側へ順に配置された、負、正、正の屈折力の第1群L1乃至第3群L3からなる。
【0054】
実施例1の光学系において、第2群L2は、第1部分群と、第1部分群の像側に配置された第2部分群から構成される。無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、第1部分群は像側に移動し、第2部分群は物体側に移動する。実施例2の光学系において、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、第2群L2は物体側に移動する。実施例3の光学系において、第2群L2は、第1部分群と、第1部分群の像側に配置された第2部分群から構成される。無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、第1部分群は像側に移動し、第2部分群は像側に移動する。
【0055】
各実施例の光学系は、像振れ補正のために光軸に直交する方向の成分を含む方向へ移動する像振れ補正群を有してもよい。
【0056】
以下に、実施例1乃至3にそれぞれ対応する数値実施例1乃至3を示す。
【0057】
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.56nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd,NF,NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0058】
なお、各数値実施例において、d、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(度)は全て各実施例の光学系が無限遠物体に焦点を合わせたときの値である。「バックフォーカス」は、レンズ最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものである。「レンズ全長」は、光学系の最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた長さである。
【0059】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、Kを円錐定数、A4,A6,A8,A10,A12,A14を各次数の非球面係数とするとき、
X=(h2/R)/[1+{1-(1+K)(h/R)2}1/2 +A4×h4+A6×h6
+A8×h8+A10×h10+A12×h12+A14×h14
で表している。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
【0060】
[数値実施例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 21.126 1.20 1.91082 35.2
2 9.340 4.27
3* 81.582 1.00 1.49700 81.5
4* 14.985 5.62
5 33.400 1.67 1.91082 35.2
6 -237.881 (可変)
7(絞り) ∞ 2.58
8* -20.444 0.54 1.69680 55.5
9 -33.648 2.77 1.67000 57.3
10 -12.460 (可変)
11 27.849 7.81 1.49700 81.5
12 -10.471 0.91 1.90043 37.4
13 -15.797 (可変)
14 -82.437 4.17 1.49700 81.5
15 -16.971 0.77
16 -28.607 0.89 1.78472 25.7
17 90.906 4.88
18* -22.014 1.20 1.85400 40.4
19 -26.339 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4= 3.51114e-04 A 6=-7.13885e-06 A 8= 9.70083e-08
A10=-7.14163e-10 A12= 2.60509e-12
第4面
K = 0.00000e+00 A 4= 3.77659e-04 A 6=-6.83409e-06 A 8= 6.88972e-08
A10=-1.04342e-10
第8面
K = 0.00000e+00 A 4=-5.53155e-05 A 6=-1.40563e-07 A 8= 6.97343e-09
A10=-3.63214e-10 A12= 4.44319e-12
第18面
K = 0.00000e+00 A 4=-7.11244e-05 A 6=-1.11799e-08 A 8=-1.01869e-08
A10= 1.66071e-10 A12=-1.70251e-12 A14= 5.80273e-15
焦点距離 15.42
Fナンバー 2.91
半画角(度) 49.73
像高 18.20
レンズ全長 69.48
BF 15.51
倍率 無限 -0.16倍
d 6 4.01 1.67
d10 2.79 0.77
d13 0.79 2.07
d19 15.51 15.51
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -31.22
2 7 17.87
3 14 -55.85
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 20.838 1.20 2.00100 29.1
2 9.633 5.61
3* 190.626 1.00 1.49700 81.5
4* 11.594 0.50
5 11.123 6.02 1.80100 35.0
6 331.195 (可変)
7(絞り) ∞ 2.58
8* -16.457 0.80 1.85478 24.8
9 -26.297 4.31 1.49700 81.5
10 -10.502 0.95
11 -180.170 0.80 1.68893 31.1
12 53.405 6.64 1.72916 54.7
13* -11.521 (可変)
14 -23.362 4.15 1.49700 81.5
15 -14.356 0.09
16 -25.647 1.00 1.59270 35.3
17 35.285 5.84
18* -16.777 1.20 1.84666 23.8
19 -25.156 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.51423e-04 A 6=-6.62086e-06 A 8= 1.10458e-07
A10=-1.05121e-09 A12= 4.41544e-12
第4面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.99649e-04 A 6=-6.99713e-06 A 8= 8.18626e-08
A10=-4.96175e-10
第8面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.88782e-04 A 6=-1.52507e-06 A 8=-1.06873e-07
第13面
K = 0.00000e+00 A 4= 8.52222e-05 A 6= 3.93059e-07 A 8=-8.23760e-09
A10= 2.39796e-10 A12=-2.37264e-12 A14= 1.04718e-14
第18面
K = 0.00000e+00 A 4=-8.30560e-06 A 6= 2.30107e-07 A 8=-8.83388e-09
A10= 1.20284e-10 A12=-9.39082e-13 A14= 2.85580e-15
焦点距離 18.20
Fナンバー 2.91
半画角(度) 47.70
像高 20.00
レンズ全長 68.27
BF 16.21
倍率 無限 -0.19倍
d 6 3.06 2.18
d13 0.20 1.07
d19 16.21 16.21
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -89.21
2 7 12.57
3 14 -21.98
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 284.930 1.20 1.48749 70.2
2 8.859 4.26
3* 132.861 1.00 1.49700 81.5
4* 20.456 5.05
5 24.562 2.48 1.77250 49.6
6 -67.248 3.83
7(絞り) ∞ 0.73
8 17.946 1.00 1.90043 37.4
9 9.415 4.16 1.49700 81.5
10 66.847 (可変)
11 33.383 3.90 1.69680 55.5
12* -17.526 (可変)
13 -149.008 0.91 1.80400 46.5
14 17.583 (可変)
15 25.963 8.08 1.53775 74.7
16 -16.030 0.14
17 -103.978 0.90 1.63980 34.5
18 55.093 5.99
19* -15.829 1.20 1.60342 38.0
20 -30.135 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4= 8.16252e-05 A 6= 1.53418e-06 A 8=-1.11162e-07
A10= 2.31070e-09 A12=-1.73078e-11
第4面
K = 0.00000e+00 A 4= 5.98434e-05 A 6= 2.25148e-06 A 8=-1.86292e-07
A10= 4.17505e-09 A12=-3.56520e-11
第12面
K = 0.00000e+00 A 4= 6.47353e-05 A 6= 7.51683e-07 A 8=-5.83593e-08
A10= 1.67827e-09 A12=-2.43938e-11 A14= 1.36945e-13
第19面
K = 0.00000e+00 A 4=-5.64405e-05 A 6= 2.41460e-07 A 8=-9.26389e-09
A10= 4.36906e-11 A12= 1.76303e-13 A14=-3.69749e-15
焦点距離 19.10
Fナンバー 2.91
半画角(度) 43.62
像高 18.20
レンズ全長 69.24
BF 13.36
倍率 無限 -0.20倍
d10 0.84 1.68
d12 0.88 2.19
d14 3.24 1.09
d20 13.36 13.36
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -179.74
2 11 71.76
3 15 42.94
各数値実施例における種々の値を、以下の表1にまとめて示す。
【0061】
【0062】
[撮像装置]
次に、各実施例の光学系を撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)の実施例について、
図11を用いて説明する。
図11において、10はカメラ本体、11は実施例1乃至5で説明したいずれかの光学系によって構成された撮影光学系である。12はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系11によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体10はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでもよいし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでもよい。
【0063】
このように各実施例の光学系をデジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用することにより、レンズが小型である撮像装置を得ることができる。
【0064】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された、フォーカシングに際して不動の負の屈折力の第1レンズ群、フォーカシングに際して移動する正の屈折力の第2レンズ群、フォーカシングに際して不動の第3レンズ群からなる光学系であって、
前記第1レンズ群は、最も物体側に配置された負の屈折力の第1レンズを備え、
前記第3レンズ群は、最も像側に配置された負の屈折力の第2レンズと、該第2レンズの物体側に隣接して配置された負の屈折力の第3レンズとを備え、
無限遠合焦時における開口絞りから像面までの光軸上の距離をPD、無限遠合焦時における前記第1レンズの物体側のレンズ面から前記像面までの光軸上の距離をLD、前記第2レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR11、前記第3レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR22とするとき、
0.60<PD/LD<1.00
0.0<(R22+R11)/(R22-R11)<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
(構成2)
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
-12<f1/f<0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載の光学系。
(構成3)
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
0<f2/f<5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1又は2に記載の光学系。
(構成4)
前記第3レンズ群は、負の屈折力を有し、
前記第3レンズ群の焦点距離をf3、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
-5.0<f3/f<0.5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至3の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成5)
前記第3レンズ群は、正の屈折力を有し、
前記第3レンズ群の焦点距離をf3、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
0.5<f3/f<4.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至3の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成6)
前記第2レンズと前記第3レンズとの合成焦点距離をf3n、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とするとき、
0.2<|f3n/f3|<1.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至5の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成7)
前記第2レンズのd線における屈折率をnd31、前記第3レンズのd線における屈折率をnd32とするとき、
0.8<nd32/nd31<1.1
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至6の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成8)
前記第2レンズと前記第3レンズとの光軸上の空気間隔をDair、前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面から前記第2レンズの最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をD3とするとき、
0.2<Dair/D3<0.5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至7の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成9)
前記第2レンズと前記第3レンズとの間の空気レンズの焦点距離をfair、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
-2.0<fair/f<-0.5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至8の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成10)
前記第1レンズ群は、前記第1レンズの像側に隣接して配置された負の屈折力の第4レンズを備え、
前記第1レンズと前記第4レンズとの合成焦点距離をf1n2、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.02<f1n2/f1<0.60
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至9の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成11)
無限遠合焦時における前記第2レンズの像側のレンズ面から前記像面までの光軸上の距離をskとするとき、
0.1<sk/LD<0.4
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至10の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成12)
前記光学系の半画角をωとするとき、
80<2ω<180
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至11の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成13)
前記第1レンズ群は、正の屈折力のレンズを備えることを特徴とする構成1乃至12の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成14)
前記第1レンズ群は、前記第1レンズの像側に隣接して配置された負の屈折力の第4レンズを備え、
前記第1レンズと前記第4レンズは、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズであることを特徴とする構成1乃至13の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成15)
前記第1レンズ群は、最も像側に配置された正の屈折力の第5レンズを備え、
該第5レンズの像側のレンズ面は、凹面であることを特徴とする構成1乃至14の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成16)
前記第1レンズ群は、非球面レンズを備えることを特徴とする構成1乃至15の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成17)
前記第1レンズ群は、前記第1レンズの像側に隣接して配置された負の屈折力の第4レンズを備え、
前記第4レンズは、非球面レンズであることを特徴とする構成1乃至16の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成18)
前記第2レンズ群は、非球面レンズを備えることを特徴とする構成1乃至17の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成19)
前記第3レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力のレンズ、前記第3レンズ、前記第2レンズからなることを特徴とする構成1乃至18の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成20)
前記第2レンズの像側のレンズ面は、凸面であることを特徴とする構成1乃至19の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成21)
正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズの接合レンズを有することを特徴とする構成1乃至20の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成22)
正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズの接合レンズを2枚有することを特徴とする構成1乃至21の何れか一つの構成に記載の光学系。
(構成23)
構成1乃至22の何れか一つの構成に記載の光学系と、
該光学系によって形成される像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
L1 第1群(第1レンズ群)
L11 第1レンズ
L2 第2群(第2レンズ群)
L3 第3群(第3レンズ群)
L31 第2レンズ
L32 第3レンズ