(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183164
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20231220BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231220BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231220BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231220BHJP
B60L 9/18 20060101ALN20231220BHJP
B60L 50/60 20190101ALN20231220BHJP
【FI】
H05K9/00 L
H02G3/04 087
B60R16/02 620A
B60R16/02 623H
H01B7/00 301
B60L9/18 J
B60L50/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096644
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 準矢
【テーマコード(参考)】
5E321
5G309
5G357
5H125
【Fターム(参考)】
5E321AA01
5E321AA03
5E321AA14
5E321AA21
5E321BB60
5E321GG05
5E321GG09
5G309AA10
5G357DA04
5G357DA05
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
5H125AA01
5H125AC12
5H125FF03
5H125FF04
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で磁界の影響を抑制可能としたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス10は、車両のボデーBによって車外と区別される車室内に少なくとも一部が配置される。ワイヤハーネス10は、第1電線22と第1電線22を覆う金属製のシールド部材23とを有する電線部材21と、車室内に配置され、開口部31を有するとともに電線部材21が収容される樹脂ケース30と、樹脂ケース30の開口部31を覆う金属部材40とを備える。樹脂ケース30は、金属部材40を保持可能な保持部35を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボデーによって車外と区別される車室内に少なくとも一部が配置される高電圧用のワイヤハーネスであって、
電線と前記電線を覆う金属製のシールド部材とを有する電線部材と、
前記車室内に配置され、開口部を有するとともに前記電線部材が収容される樹脂ケースと、
前記樹脂ケースの前記開口部を覆う金属部材と、を備え、
前記樹脂ケースは、前記金属部材を保持可能な保持部を有している、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記金属部材は、前記ボデーと離間した状態で前記保持部に保持されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記金属部材は、横断面形状がU字状に形成されており、前記ボデー側が開口している、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記樹脂ケースは、横断面形状がU字状に形成されており、前記ボデーの反対側が開口して前記開口部を構成している、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記シールド部材は、編組部材にて構成され、
前記金属部材は、金属板にて構成されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記電線は、高電位用の第1電線であり、
更に、前記シールド部材に覆われることなく前記電線部材と共に前記樹脂ケースに収容される低電位用の第2電線を備えている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記シールド部材は、接地部を有している、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記樹脂ケースは、前記ボデーに対して固定される固定部を有している、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等には、高電圧用のワイヤハーネスが備えられる。このようなワイヤハーネスとしては、車両のボデーの外側であって、いわゆる床下を通るように配置されたものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなワイヤハーネスでは、ワイヤハーネスと搭乗者との間にボデーが介在されることなどから、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることは抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような高電圧用のワイヤハーネスが、いわゆる床上のような車室内を通るように配置された場合、なんらかの対策を施さないと、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与える懸念がある。
【0005】
本開示の目的は、簡素な構成で磁界の影響を抑制可能としたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、車両のボデーによって車外と区別される車室内に少なくとも一部が配置される高電圧用のワイヤハーネスであって、電線と前記電線を覆う金属製のシールド部材とを有する電線部材と、前記車室内に配置され、開口部を有するとともに前記電線部材が収容される樹脂ケースと、前記樹脂ケースの前記開口部を覆う金属部材と、を備え、前記樹脂ケースは、前記金属部材を保持可能な保持部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネスによれば、簡素な構成で磁界の影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のワイヤハーネスの一部斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のワイヤハーネスの一部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]車両のボデーによって車外と区別される車室内に少なくとも一部が配置される高電圧用のワイヤハーネスであって、電線と前記電線を覆う金属製のシールド部材とを有する電線部材と、前記車室内に配置され、開口部を有するとともに前記電線部材が収容される樹脂ケースと、前記樹脂ケースの前記開口部を覆う金属部材と、を備え、前記樹脂ケースは、前記金属部材を保持可能な保持部を有している。
【0010】
同構成によれば、電線を覆う金属製のシールド部材によっていわゆる電磁ノイズ等の電磁波の放射が抑制される。また、車室内に配置され電線部材が収容される樹脂ケースの開口部は金属部材によって覆われるため、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることは抑制される。また、金属部材は、樹脂ケースの開口部を覆うことで、樹脂ケースからの電線部材の逸脱を防ぐ物理的なカバーとして機能するため、例えば、樹脂ケースの開口部を覆う樹脂カバーを別途備えた構成に比べて、簡素な構成とすることができる。また、金属部材は、樹脂ケースの保持部に保持されるため、例えば、金属部材に取付足等を設けてボデー等にボルトで締結固定するといった構成に比べて、小型化を図ることができる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記金属部材は、前記ボデーと離間した状態で前記保持部に保持されていてもよい。
同構成によれば、金属部材は、ボデーと離間した状態で保持部に保持されるため、例えば、製造誤差等に関わらず金属部材に力が掛かってしまうことが抑えられる。すなわち、例えば、樹脂ケースの保持部に保持されつつボデーと当接する構成では、製造誤差等によって寸法がばらつくと、保持部とボデーとの間で金属部材に力が掛かったままの状態となる虞があるが、これを回避することができる。
【0012】
[3]上記[1]または[2]において、前記金属部材は、横断面形状がU字状に形成されており、前記ボデー側が開口していてもよい。
同構成によれば、金属部材は、横断面形状がU字状に形成されており、前記ボデー側が開口しているため、電線部材の外周全体をボデーと金属部材とで包囲することができる。よって、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることは良好に抑制される。
【0013】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つにおいて、前記樹脂ケースは、横断面形状がU字状に形成されており、前記ボデーの反対側が開口して前記開口部を構成していてもよい。
【0014】
同構成によれば、樹脂ケースは、横断面形状がU字状に形成されており、ボデーの反対側が開口して開口部を構成しており、その開口部が金属部材によって覆われるため、車室内の搭乗者と電線部材との間に金属部材が介在される。よって、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることは抑制される。
【0015】
[5]上記[1]から[4]のいずれか1つにおいて、前記シールド部材は、編組部材にて構成され、前記金属部材は、金属板にて構成されていてもよい。
同構成によれば、シールド部材は、編組部材にて構成され、金属部材は、金属板にて構成されているため、それぞれ適した構成とすることができる。すなわち、シールド部材は、編組部材にて構成されるため、いわゆる電磁ノイズ等の電磁波の放射を好適に抑制できる。また、金属部材は、金属板にて構成されるため、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることを好適に抑制できる。
【0016】
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つにおいて、前記電線は、高電位用の第1電線であり、更に、前記シールド部材に覆われることなく前記電線部材と共に前記樹脂ケースに収容される低電位用の第2電線を備えていてもよい。
【0017】
同構成によれば、高電位用の第1電線と対をなす低電位用の第2電線は、シールド部材に覆われることなく電線部材と共に樹脂ケースに収容される。よって、低電位用の第2電線に無駄にシールド部材を使用することがなく、さらに樹脂ケースを共用として第1電線及び第2電線を好適に配策することができる。
【0018】
[7]上記[1]から[6]のいずれか1つにおいて、前記シールド部材は、接地部を有していてもよい。
同構成によれば、シールド部材は、接地部を有するため、いわゆる電磁ノイズ等の電磁波の放射を好適に抑制できる。
【0019】
[8]上記[1]から[7]のいずれか1つにおいて、前記樹脂ケースは、前記ボデーに対して固定される固定部を有していてもよい。
同構成によれば、樹脂ケースは、ボデーに対して固定される固定部を有するため、ボデーに容易に固定することができる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「平行」や「直交」は厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。また、本明細書における「円」や「円弧」は厳密に円や円弧の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね円や円弧の場合も含まれる。
【0021】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、2個又は3個以上の電気機器を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、高電圧用であり、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両Vの前部に設置されたインバータ11と、そのインバータ11よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリ12とを電気的に接続する。
【0022】
インバータ11は、車両走行の動力源となる図示しない車輪駆動用のモータと接続される。インバータ11は、高圧バッテリ12の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリ12は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0023】
ワイヤハーネス10は、車両VのボデーBによって車外と区別される車室内に少なくとも一部が配置されている。本実施形態のワイヤハーネス10は、車両Vの後方においては、ボデーBの外側であって、いわゆる床下を通るように配置され、車両Vの中央から前方にかけては、ボデーBの内側であって、いわゆる床上を通るように配置されている。すなわち、ワイヤハーネス10は、運転席や助手席と対応した部位でボデーBの内側である床上を通るように配索されている。
【0024】
図2から
図4に示すように、ワイヤハーネス10は、上記電気機器同士を電気的に接続する電線群20と、樹脂ケース30と、金属部材40とを備えている。
(電線群20の構成)
図4に示すように、電線群20は、電線部材21を有している。電線部材21は、高電位用の電線としての第1電線22と第1電線22を覆う金属製のシールド部材23とを有している。第1電線22は、芯線22aと該芯線22aの外周を被覆する絶縁被覆22bとを有している。芯線22aとしては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や、単芯線等を用いることができる。絶縁被覆22bは、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。シールド部材23は、複数の金属素線が筒状に編み込まれた編組部材にて構成されている。すなわち、電線部材21は、いわゆるシールド電線である。
【0025】
また、電線群20は、低電位用の第2電線24を有している。第2電線24は、芯線24aと該芯線24aの外周を被覆する絶縁被覆24bとを有している。芯線24aとしては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や、単芯線を用いることができる。絶縁被覆24bは、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。第2電線24は、第1電線22よりも径が細く形成されている。そして、高電位用の第1電線22の芯線22aは、高圧バッテリ12のプラス端子に接続され、低電位用の第2電線24の芯線24aは、高圧バッテリ12のマイナス端子に接続される。
【0026】
また、
図1に示すように、シールド部材23は、接地部23aを有している。接地部23aは、シールド部材23の両端部に設けられ、例えば、コネクタ等を介して金属ケースやボデーBに電気的に接続されることで接地されている。
【0027】
(樹脂ケース30の構成)
図3及び
図4に示すように、樹脂ケース30は、横断面形状がU字状に形成されており、ボデーBの反対側が開口して開口部31を構成している。本実施形態の樹脂ケース30は、車両Vの前後方向に沿って配策される電線群20を収容すべく、車両Vの前後方向に沿って長く形成されている。
【0028】
詳しくは、
図4に示すように、樹脂ケース30は、ボデーBと対向する底部32と、底部32から屈曲して延びる側壁部33とを有している。底部32には、固定部としての嵌着部34が設けられている。嵌着部34は、樹脂ケース30の長さ方向の複数箇所に設けられている。嵌着部34は、ボデーBに設けられた固定孔Baに嵌め込まれると抜け方向に係合することでボデーBに対して固定される。
【0029】
また、
図3に示すように、側壁部33には、保持部35が設けられている。保持部35は、樹脂ケース30の長さ方向の複数箇所に設けられている。なお、
図3では、保持部35は、樹脂ケース30の一方の側壁部33にのみ設けられているように図示されているが、他方の側壁部33にも設けられていてもよい。保持部35は、側壁部33から外側に張り出しつつ、ボデーBの反対側に開口した挿入部36を有している。また、保持部35は、内部に図示しない爪を有している。
【0030】
(金属部材40の構成)
図3及び
図4に示すように、金属部材40は、横断面形状がU字状に形成されており、ボデーB側が開口している。金属部材40は、金属板にて構成されている。すなわち、金属部材40は、金属板に打ち抜き加工や曲げ加工が施されることで構成されている。そして、金属部材40は、樹脂ケース30の開口部31を覆うように取り付けられる。
【0031】
詳しくは、金属部材40は、樹脂ケース30の開口部31を覆う頂部41と、頂部41から屈曲して延びて樹脂ケース30の側壁部33を覆う側部42とを有している。
また、
図3に示すように、側部42には、樹脂ケース30の保持部35に保持される保持片43が設けられている。保持片43は、保持部35と対応した位置であって、金属部材40の長さ方向の複数箇所に設けられている。保持片43は、側部42の先端から基端側に延びる一対の切り欠き44が形成されることで、挿入部36に挿入可能に形成されている。また、保持片43には、保持孔45が設けられている。保持片43は、保持部35の挿入部36に挿入されると、保持孔45に保持部35の図示しない爪が係合することで保持部35に対して保持される。
【0032】
また、
図4に示すように、金属部材40が樹脂ケース30の保持部35に保持された状態で、側部42はボデーBに当接しない長さに設定されている。これにより、金属部材40は、ボデーBと離間した状態で保持部35に保持されている。
【0033】
そして、
図4に示すように、金属部材40の上方には、例えば、フロアカーペット50が配置されている。
上記実施形態の作用について説明する。
【0034】
ボデーBの内側であって、いわゆる床上を通る電線群20は、樹脂ケース30及び金属部材40に覆われている。よって、例えば、ワイヤハーネス10がフロアカーペット50の上から搭乗者に踏まれたとしても、電線群20に力が掛かって変形するといったことは防止される。
【0035】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)第1電線22を覆う金属製のシールド部材23によっていわゆる電磁ノイズ等の電磁波の放射が抑制される。また、車室内に配置され電線部材21が収容される樹脂ケース30の開口部31は金属部材40によって覆われるため、電線部材21の第1電線22を流れる大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることは抑制される。また、金属部材40は、樹脂ケース30の開口部31を覆うことで、樹脂ケース30からの電線部材21の逸脱を防ぐ物理的なカバーとして機能する。よって、例えば、樹脂ケース30の開口部31を覆う樹脂カバーを別途備えた構成に比べて、簡素な構成とすることができる。また、金属部材40は、樹脂ケース30の保持部35に保持されるため、例えば、金属部材40に取付足等を設けてボデー等にボルトで締結固定するといった構成に比べて、小型化を図ることができる。
【0036】
(2)金属部材40は、ボデーBと離間した状態で保持部35に保持されるため、例えば、製造誤差等に関わらず金属部材40に力が掛かってしまうことが抑えられる。すなわち、例えば、樹脂ケース30の保持部35に保持されつつボデーBと当接する構成では、製造誤差等によって寸法がばらつくと、保持部35とボデーBとの間で金属部材40に力が掛かったままの状態となる虞があるが、これを回避することができる。
【0037】
(3)金属部材40は、横断面形状がU字状に形成されており、ボデーB側が開口している。よって、電線部材21の外周全体をボデーBと金属部材40とで包囲することができる。よって、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることは良好に抑制される。
【0038】
(4)樹脂ケース30は、横断面形状がU字状に形成されており、ボデーBの反対側が開口して開口部31を構成しており、その開口部31が金属部材40によって覆われるため、車室内の搭乗者と電線部材21との間に金属部材40が介在される。よって、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることは抑制される。
【0039】
(5)シールド部材23は、編組部材にて構成され、金属部材40は、金属板にて構成されているため、それぞれ適した構成とすることができる。すなわち、シールド部材23は、編組部材にて構成されるため、いわゆる電磁ノイズ等の電磁波の放射を好適に抑制できる。また、金属部材40は、金属板にて構成されるため、大電流によって生じる磁界が搭乗者に影響を与えることを好適に抑制できる。
【0040】
(6)高電位用の第1電線22と対をなす低電位用の第2電線24は、シールド部材23に覆われることなく電線部材21と共に樹脂ケース30に収容される。よって、低電位用の第2電線24に無駄にシールド部材23を使用することがなく、さらに樹脂ケース30を共用として第1電線22を含む電線部材21及び第2電線24を好適に配策することができる。
【0041】
(7)シールド部材23は、接地部23aを有するため、いわゆる電磁ノイズ等の電磁波の放射を好適に抑制できる。
(8)樹脂ケース30は、ボデーBに対して固定される固定部としての嵌着部34を有するため、ボデーBに容易に固定することができる。本実施形態では、固定部が嵌着部34であるため、嵌めるだけでボデーBに容易に固定することができる。
【0042】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、金属部材40は、ボデーBと離間した状態で保持部35に保持されるとしたが、これに限定されず、例えば、樹脂ケース30の保持部35に保持されつつ一部がボデーBと当接するようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、金属部材40は、横断面形状がU字状に形成されており、ボデーB側が開口しているとしたが、これに限定されず、他の形状に変更してもよいし、他の方向に開口するように設けてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、樹脂ケース30は、横断面形状がU字状に形成されており、ボデーBの反対側が開口しているとしたが、これに限定されず、他の形状に変更してもよいし、他の方向に開口するように設けてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、シールド部材23は、編組部材にて構成され、金属部材40は、金属板にて構成されるとしたが、それぞれ他の構成に変更してもよい。例えば、シールド部材23は、金属箔等にて構成してもよい。また、例えば、金属部材40は、厚さの異なる部位を有する鋳造品等に変更してもよい。
【0046】
・上記実施形態では、高電位用の第1電線22と対をなす低電位用の第2電線24は、シールド部材23に覆われることなく電線部材21と共に樹脂ケース30に収容されるとしたが、これに限定されず、第2電線24もシールド部材に覆われていてもよい。また、もちろん、第1電線22及び第2電線24以外の信号線等の他の電線が樹脂ケース30に収容されていてもよい。
【0047】
・上記実施形態では、樹脂ケース30は、ボデーBに対して固定される固定部としての嵌着部34を有するとしたが、これに限定されず、他の構成に変更してもよい。例えば、固定部は、ボデーBに対してボルト等で締結される取付足としてもよい。また、樹脂ケース30は、ボデーBに対して固定される固定部を有さず、例えば、ボデーBに対して固定された他の部材に固定される構成としてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、ワイヤハーネス10は、インバータ11と高圧バッテリ12とを電気的に接続するものとしたが、これに限定されず、他の電気機器を電気的に接続するものとしてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、数百ボルトの高圧バッテリ12に対応したワイヤハーネス10に具体化したが、60ボルトから600ボルトの電圧に対応した他の高電圧用のワイヤハーネスに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 ワイヤハーネス
11 インバータ
12 高圧バッテリ
20 電線群
21 電線部材
22 第1電線
22a 芯線
22b 絶縁被覆
23 シールド部材
23a 接地部
24 第2電線
24a 芯線
24b 絶縁被覆
30 樹脂ケース
31 開口部
32 底部
33 側壁部
34 嵌着部
35 保持部
36 挿入部
40 金属部材
41 頂部
42 側部
43 保持片
44 切り欠き
45 保持孔
50 フロアカーペット
B ボデー
Ba 固定孔
V 車両