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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183171
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】内燃機関の排気構造
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20231220BHJP
   F02D 35/00 20060101ALI20231220BHJP
   F01N 3/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F01N13/00 A
F02D35/00 360C
F01N3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096653
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 大輔
【テーマコード(参考)】
3G004
3G091
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA05
3G004BA06
3G004DA01
3G004DA25
3G091AA02
3G091AA17
3G091AB01
3G091AB13
3G091BA10
3G091BA13
3G091BA26
3G091EA17
3G091GB17X
3G091HA37
3G091HB01
(57)【要約】
【課題】排気管が熱膨張するとリード線に強い張力が作用するおそれがある。
【解決手段】排気管11は、内燃機関に固定されている。センサガイド21の基端P1は、排気管11に固定されている。リード線25は、排気温度センサからセンサガイド21の内部を通ってセンサガイド21の外部にまで延びている。リード線25は、センサガイド21の外部において車両のボディに固定される。センサガイド21の先端P2は、基端P1から視て前方側に位置している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に固定されている排気管と、
基端が前記排気管に固定されている管状のセンサガイドと、
前記排気管に固定されているセンサと、
前記センサから前記センサガイドの内部を通って前記センサガイドの外部にまで延びており、前記センサガイドの外部において車両のボディに固定されるリード線と、
を備え、
前記排気管の中心軸に沿う方向のうち、排気の上流側に向かう方向を第1方向としたとき、
前記センサガイドの先端は、前記基端から視て前記第1方向側に位置している
内燃機関の排気構造。
【請求項2】
前記リード線における前記ボディに対して固定される箇所を固定点としたとき、前記先端は、前記固定点から視て前記第1方向側に位置している
請求項1に記載の内燃機関の排気構造。
【請求項3】
前記排気管の途中に、排気中の粒子状物質を捕集するGPF又は排気を浄化する触媒装置を備え、
前記先端は、前記排気管の途中に設けられた前記GPF又は触媒装置に対して前記第1方向とは反対の第2方向側に位置している
請求項1に記載の内燃機関の排気構造。
【請求項4】
前記GPFと前記先端との最短距離が30cm以下であり、且つ、前記GPFと前記先端との間に他の部材が介在していない
請求項3に記載の内燃機関の排気構造。
【請求項5】
前記車両に搭載された状態において、前記センサガイドの前記先端を含む一部分又は前記センサガイドの全体は、前記先端に向かうほど前記車両の下方側に位置している
請求項1~4のいずれか一項に記載の内燃機関の排気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、内燃機関の排気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内燃機関の排気構造を開示している。特許文献1の排気構造は、内燃機関に固定された排気管、排気を浄化するための触媒、及び空燃比センサを備えている。排気管は、排気を流通させるための排気通路を区画している。触媒は、排気管の途中に位置している。空燃比センサは、排気管における触媒から視て上流側に位置している。空燃比センサは、排気管に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-214944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような排気構造では、リード線がセンサに接続されている。また、リード線は、排気管の外部において、ブラケットなどを介して車両のボディに固定されている。ここで、排気管は、高温になることがある。また、排気管は、高温になると熱膨張する。そして、排気管が熱膨張すると、センサとブラケットなどとの位置関係が変化する。仮に、排気管の熱膨張に伴いセンサとブラケットなどとの間の距離が長くなると、リード線に強い張力が作用するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための内燃機関の排気構造は、内燃機関に固定されている排気管と、基端が前記排気管に固定されている管状のセンサガイドと、前記排気管に固定されているセンサと、前記センサから前記センサガイドの内部を通って前記センサガイドの外部にまで延びており、前記センサガイドの外部において車両のボディに固定されるリード線と、を備え、前記排気管の中心軸に沿う方向のうち、排気の上流側に向かう方向を第1方向としたとき、前記センサガイドの先端は、前記基端から視て前記第1方向側に位置している。
【0006】
上記構成では、排気管が高温になると、内燃機関を起点として排気管が、第1方向とは反対の第2方向に向かって熱膨張する。その一方で、センサガイドは、当該センサガイドの基端を起点として、センサガイドの先端側、すなわち第1方向に向かって熱膨張する。したがって、上記構成によれば、排気管の熱膨張に伴ってセンサガイドの先端が第2方向へと変位するのを、センサガイドの熱膨張によって一部相殺できる。そのため、熱膨張に伴ってセンサガイドの先端と固定点との位置関係が、排気管の中心軸に沿う方向で変化する量を抑制できる。その結果、センサガイドの先端と固定点との位置関係が変わることに伴ってリード線に無理な張力が作用することは抑制できる。
【0007】
上記構成において、前記リード線における前記ボディに対して固定される箇所を固定点としたとき、前記先端は、前記固定点から視て前記第1方向側に位置していてもよい。
上記構成によれば、排気管及びセンサガイドの熱膨張に伴う第2方向へのセンサガイドの先端の変位量が、排気管の中心軸に沿う方向でのセンサガイドの先端と固定点との距離以下であれば、排気管及びセンサガイドの熱膨張に従ってセンサガイドの先端と固定点との距離は短くなる。したがって、排気管の熱膨張に伴い、リード線におけるガイドセンサの先端から固定点までの間の部分に強い張力が作用することは防げる。
【0008】
上記構成において、前記排気管の途中に、排気中の粒子状物質を捕集するGPF又は排気を浄化する触媒装置を備え、前記先端は、前記排気管の途中に設けられた前記GPF又は触媒装置に対して前記第1方向とは反対の第2方向側に位置していてもよい。
【0009】
上記構成によれば、センサガイドの先端には排気管の途中に設けられたGPF又は触媒装置からの熱が多く作用する。そのため、センサガイドの先端の近傍において熱膨張が生じやすくなる。
【0010】
上記構成において、前記GPFと前記先端との最短距離が30cm以下であり、且つ、前記GPFと前記先端との間に他の部材が介在していなくてもよい。
上記構成によれば、GPFからの熱が効率よくセンサガイドの先端に作用する。したがって、センサガイドの先端の近傍において熱膨張が生じやすくなる。
【0011】
上記構成において、前記車両に搭載された状態において、前記センサガイドの前記先端を含む一部分又は前記センサガイドの全体は、前記先端に向かうほど前記車両の下方側に位置していてもよい。
【0012】
上記構成によれば、センサガイドの先端からセンサガイド内に水分が入り込んでも、当該水分の自重によりセンサガイド外へと水分を排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、内燃機関の排気構造の下面図である。
図2図2は、内燃機関の排気構造の側面図である。
図3図3は、内燃機関の排気構造の斜視図である。
図4図4は、比較例の排気構造において、排気管が熱膨張したときのセンサガイドと固定点との位置関係を説明する図である。
図5図5は、実施形態の排気構造において、排気管が熱膨張したときのセンサガイドと固定点との位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<内燃機関の排気構造の全体構成>
以下、本発明の一実施形態を図1図3に従って説明する。なお、以下の説明では、排気構造10が車両に搭載されているものとして説明する。また、方向について言及するときには、車両の運転席にドライバーが座った状態において、当該ドライバーの上下、前後、及び左右を基準とする。
【0015】
図1に示すように、排気構造10は、排気管11と、GPF(ガソリンパティキュレートフィルタ)12と、排気温度センサ13と、を備えている。排気管11は、管本体11Aと、取付部11Bとを有している。管本体11Aは、略円管状である。管本体11Aは、排気を流通させるための排気通路を区画している。管本体11Aの上流端は、図1図3において図示を省略する内燃機関Eに固定されている。管本体11Aは、内燃機関Eから車両後方に延びている。したがって、内燃機関Eからの排気は、管本体11Aの内部を後方へと流れる。なお、排気管11の中心軸Cは、車両の前後軸に沿っている。また、前方が第1方向に相当し、後方が第2方向に相当する。
【0016】
取付部11Bは、略円筒状である。取付部11Bの一端は、管本体11Aにおける左方側の外面に接続している。取付部11Bは、管本体11Aの外面から左方に突出している。取付部11Bの内部は、管本体11Aの内部に繋がっている。
【0017】
GPF12は、管本体11Aの途中に位置している。具体的には、GPF12は、管本体11Aのうちの取付部11Bから視て前方側に位置している。GPF12は、円筒状の外郭の内部にセラミック製のフィルタが収容された構造になっている。GPF12は、管本体11Aと共に排気通路を区画している。GPF12は、排気中に含まれる粒子状物質を捕集する。
【0018】
図3に示すように、上記排気管11及びGPF12は、車両のアンダーパネル50から視て下方(図3において上方)に位置している。アンダーパネル50は、車両の床面を構成するパネルである。すなわち、アンダーパネル50は、車両のボディの一部である。アンダーパネル50は、平坦部分50Aと、センタートンネル50Bとを有している。センタートンネル50Bは、平坦部分50Aに対して上方(図3において下方)に窪んでいる。センタートンネル50Bは、車両の前後軸に沿って延びている。排気管11及びGPF12は、センタートンネル50Bの窪みの内側に位置している。
【0019】
図1に示すように、排気温度センサ13は、排気管11における取付部11Bの内部に位置している。排気温度センサ13は、取付部11Bに固定されている。なお、図1では、排気温度センサ13を仮想線で図示している。排気温度センサ13は、略棒状である。排気温度センサ13の一部は、管本体11A内に位置している。排気温度センサ13は、管本体11Aを流通する排気の温度を検出する。なお、取付部11Bは、GPF12に対して後方側に位置している。したがって、排気温度センサ13は、GPF12から視て下流側の排気の温度を検出する。
【0020】
排気構造10は、センサガイド21と、リード線25と、コネクタ26と、取付金具30と、を備えている。センサガイド21は、円管状である。センサガイド21の基端P1は、取付部11Bに固定されている。センサガイド21の内部は、取付部11Bの内部に繋がっている。センサガイド21は、リード線25が他の部材に干渉しないように特定方向へとガイドするためのものである。なお、センサガイド21の構造の詳細については後述する。
【0021】
リード線25は、排気温度センサ13へ電力を供給する電力線、及び排気温度センサ13からの信号を送受信する信号線などを1つにまとめた多軸ケーブルである。リード線25の第1端は、排気温度センサ13に接続している。リード線25における第1端を含む一部分は、センサガイド21の内部を通っている。リード線25における第1端とは反対の第2端を含む一部分は、センサガイド21の外部に位置している。つまり、リード線25は、排気温度センサ13からセンサガイド21の内部を通ってセンサガイド21の外部にまで延びている。
【0022】
コネクタ26は、リード線25の第2端に接続している。コネクタ26は、リード線25を、他の配線等に電気的に接続するためのものである。コネクタ26により、リード線25は、車両の電気制御装置に電気的に接続される。
【0023】
図3に示すように、取付金具30は、ブラケット30Aと、ワイヤ30Bと、を有している。ブラケット30Aは、略板状である。ブラケット30Aは、2つのボルトBにより、アンダーパネル50における平坦部分50Aに固定されている。
【0024】
ワイヤ30Bは、金属製の線材である。ワイヤ30Bの第1端は、ブラケット30Aに固定されている。ワイヤ30Bは、途中で複数回屈曲されている。ワイヤ30Bは、リード線25を挟み込んで支持できるようになっている。したがって、ワイヤ30Bは、取付金具30を介して、車両のボディの一部であるアンダーパネル50に固定されている。なお、リード線25の第1端からリード線25を辿っていったときに、最初にワイヤ30Bに接触する点が、アンダーパネル50に対して固定される固定点Fである。図1に示すように、固定点Fは、排気管11の中心軸Cに沿う方向において、センサガイド21の基端P1と同位置になっている。
【0025】
<センサガイド及びその周辺の構造>
図1に示すように、センサガイド21は、途中で略90度屈曲している。具体的には、図3に示すように、センサガイド21は、基端P1を含む一部である第1部分21Aと、基端P1とは反対側の先端P2を含む一部である第2部分21Bと、を有している。第1部分21Aは、排気管11の取付部11Bから左方へと直線状に延びている。第1部分21Aは、センサガイド21の全長のうちおよそ3分の1を占めている。
【0026】
第2部分21Bは、第1部分21Aの左端に接続している。図2に示すように、第2部分21Bは、第1部分21Aの左端から前方且つ下方に斜めに延びている。つまり、第2部分21Bは、先端P2に向かうほど下方側に位置している。右方を向いてセンサガイド21を視たとき、第2部分21Bの中心軸と、排気管11の中心軸Cと、がなす鋭角は、45度以下になっている。第2部分21Bは、センサガイド21の全長のうち、残りのおよそ3分の2を占めている。つまり、第2部分21Bは、第1部分21Aよりも長くなっている。
【0027】
図3に示すように、センサガイド21が屈曲した形状であることから、センサガイド21の先端P2は、基端P1から視て前方側に位置している。なお、上述したとおり、リード線25の固定点Fは、排気管11の中心軸C、すなわち前後軸に沿う方向において、センサガイド21の基端P1と同位置になっている。したがって、センサガイド21の先端P2は、固定点Fから視ても前方側に位置している。
【0028】
また、センサガイド21の先端P2は、GPF12から視て後方に位置している。その結果として、センサガイド21の先端P2からGPF12までの最短距離は、センサガイド21の基端P1からGPF12までの最短距離よりも、短くなっている。また、センサガイド21の先端P2からGPF12までの最短距離は、30cm以下、具体的には20cmになっている。そして、センサガイド21の先端P2からGPF12までを最短距離で結ぶ線分上には、他の部材が存在していない。
【0029】
<本実施形態の作用>
先ず、センサガイド21の基端P1とリード線25の固定点Fとの位置関係に関して説明する。仮に、センサガイド21の基端P1が、固定点Fから視て前方側に位置しているとする。この場合、基端P1が固定点Fに対して相対的に後方側へ移動すると、基端P1が固定点Fに対して徐々に近づくことになる。
【0030】
これに対して、センサガイド21の基端P1が、中心軸Cすなわち前後軸に沿う方向において、固定点Fと同位置又は固定点Fから視て後方側に位置しているとする。この場合、基端P1が固定点Fに対して相対的に後方側へ移動すると、基端P1が固定点Fに対して徐々に離れることになる。したがって、上記の例の場合、基端P1が固定点Fに対して相対的に後方側へ移動すると、センサガイド21の形状によっては、センサガイド21の先端P2と固定点Fとの距離が長くなることがある。
【0031】
具体的には、図4に示すように、センサガイド21が、第1部分21Aのみを有している場合を仮定する。すなわちセンサガイド21の先端P2が、前後軸に沿う方向において基端P1と同位置である場合を仮定する。
【0032】
排気管11の温度が低いときのセンサガイド21の基端P1及び先端P2の位置が、図4において黒丸で示す位置であるとする。そして、排気管11が高温になると、当該排気管11は、熱膨張する。このとき、内燃機関Eは車両のボディに対して固定されているため、ボディに対する内燃機関Eの位置は変化しない。したがって、排気管11は、後方に向かって膨張する。これに伴い、図4において白丸で図示するように、センサガイド21の基端P1は、後方に変位する。同様に、センサガイド21の先端P2も、後方に変位する。なお、図4では、基端P1及び先端P2の変位長さL1を誇張して図示している。変位長さL1は、実際には、数mm~数cmである。
【0033】
一方、取付金具30は、車両のボディの一部であるアンダーパネル50に固定されている。したがって、リード線25のうちの取付金具30との接触点である固定点Fは、排気管11が熱膨張したか否かに拘わらず、ボディに対する相対位置がほぼ変わらない。したがって、固定点Fから視た場合に、排気管11が熱膨張する前は、先端P2が右方に存在していたところ、排気管11が熱膨張した後は、先端P2が右斜め後方へと遠ざかることになる。したがって、排気管11が熱膨張した後の先端P2と固定点Fとの距離D2は、排気管11が熱膨張する前の先端P2と固定点Fとの距離D1よりも長くなる。
【0034】
次に、図5に示すように、本実施形態の場合について説明する。
排気管11の温度が低いときのセンサガイド21の基端P1及び先端P2の位置が、図5において黒丸で示す位置であるとする。そして、排気管11が高温になると、排気管11は、後方に向かって膨張する。これに伴い、図5において白丸で図示するように、センサガイド21の基端P1は、後方に変位する。なお、このときの変位長さを、変位長さL1とする。
【0035】
ここで、仮に、センサガイド21が熱膨張しなければ、センサガイド21の先端P2の位置は、図5において灰色の丸で図示するように、熱膨張前の先端P2の位置から変位長さL1だけ後方の位置になる。ただし、センサガイド21の第2部分21Bも熱膨張する。第2部分21Bは、第1部分21Aの左端を起点として先端P2側、すなわち前方へと熱膨張する。したがって、熱膨張後の先端P2は、センサガイド21が熱膨張しなかったと仮定した先端P2の位置に対して、前方に変位する。この変位長さを変位長さL2とする。これらを総合すると、熱膨張前後において、センサガイド21の先端P2の後方への変位長さは、基端P1の変位長さL1よりも短い「L1-L2」となる。
【0036】
本実施形態では、排気管11が熱膨張していない状態において、センサガイド21の先端P2が、固定点Fから視て前方に位置している。したがって、固定点Fから視た場合に、排気管11が熱膨張する前は、先端P2が右斜め前方に存在していたところ、排気管11が熱膨張するに従い、先端P2が右方寄りへと近づくことになる。そして、固定点Fから視て先端P2が右方に位置したときに、固定点Fと先端P2との距離が最も近くなる。ここで、熱膨張前後での先端P2の後方への変位長さ「L1-L2」が、熱膨張前での固定点Fと先端P2との中心軸Cに沿う方向での距離D3以下であるとする。この条件下では、排気管11が熱膨張した後の先端P2と固定点Fとの距離D2は、排気管11が熱膨張する前の先端P2と固定点Fとの距離D1よりも短くなる。
【0037】
<本実施形態の効果>
(1)上記の作用の欄で説明したように、排気管11の熱膨張に伴う、センサガイド21の基端P1の後方への変位長さL1は、センサガイド21の先端P2の前方への変位長さL2によって一部相殺できる。そのため、熱膨張に伴ってセンサガイド21の先端P2と固定点Fとの位置関係が、排気管11の中心軸Cに沿う方向で変化する量を抑制できる。その結果、センサガイド21の先端P2と固定点Fとの位置関係が変わることに伴ってリード線25に無理な張力が作用することは抑制できる。
【0038】
(2)上記の作用の欄で説明したように、熱膨張前後での先端P2の後方への変位長さ「L1-L2」が、熱膨張前での固定点Fと先端P2との中心軸Cに沿う方向での距離D3以下であるとする。この条件下であれば、排気管11及びセンサガイド21が熱膨張するに従って、センサガイド21の先端P2と固定点Fとの距離D2が短くなる。したがって、上記先端P2の後方への変位長さの条件を満たしていれば、排気管11及びセンサガイド21の熱膨張に従ってリード線25に強い張力が作用することはなく、むしろリード線25の張力を低くできる。
【0039】
(3)上記実施形態において、センサガイド21には、排気管11の熱が基端P1側から伝わる。したがって、センサガイド21の基端P1は排気管11の熱で暖まりやすく、センサガイド21の先端P2は排気管11の熱で温まりにくい。その一方で、上記実施形態では、センサガイド21の先端P2が、GPF12から視て後方に位置している。そのため、センサガイド21の先端P2には、GPF12からの熱が多く作用する。したがって、排気管11からの熱が先端P2に伝わりにくくても、GPF12からの熱で先端P2及びその近傍を温めることができる。その結果、上述した変位長さL2を長くできる。
【0040】
(4)上記実施形態では、GPF12とセンサガイド21の先端P2との最短距離が30cm以下である。換言すると、センサガイド21の先端P2は、GPF12からの熱により熱膨張が生じ得るほどに、GPF12に近い箇所に位置している。また、GPF12と先端P2との間に他の部材が介在していない。そのため、GPF12からの熱が効率よくセンサガイド21の先端P2に作用する。したがって、センサガイド21の先端P2の近傍において熱膨張が生じやすくなる。
【0041】
(5)上記実施形態では、センサガイド21の第2部分21Bは、先端P2に向かうほど下方側に位置している。この構成によれば、センサガイド21の先端P2からセンサガイド21内に水分が入り込んでも、当該水分の自重によりセンサガイド21外へと水分を排出できる。
【0042】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・上記実施形態の排気構造10は、GPF12及び排気温度センサ13以外の部材を備えていてもよい。例えば、排気構造10においてGPF12を省略してもよいし、排気構造10がGPF12に代えて又は加えて排気を浄化する触媒装置を備えていてもよい。なお、GPF12に代えて触媒装置を備えている場合、上記実施形態のGPF12とセンサガイド21との位置関係と同様に、触媒装置とセンサガイド21との位置関係を設定すればよい。
【0044】
・また、排気構造10は、空燃比センサを備えていてもよい。なお、排気温度センサ13以外のセンサを備えている場合、排気温度センサ13のセンサガイド21に加えて又は代えて、他のセンサのセンサガイドに上記実施形態の構成を採用してもよい。
【0045】
・排気管11の中心軸Cは、車両の前後軸に沿っていなくてもよい。つまり、排気管11の中心軸Cは、車両の前後軸に対して傾斜していてもよい。この場合、第1方向は車両の前方と一致せず、第2方向は車両の後方と一致しない。
【0046】
・車両に対する排気管11及びGPF12の搭載位置は問わない。つまり、排気管11及びGPF12は、アンダーパネル50のセンタートンネル50B内に位置していなくてもよい。
【0047】
・排気管11に対する排気温度センサ13の取付態様は問わない。つまり、排気管11における取付部11Bに排気温度センサ13を固定する態様に限られない。
・リード線25は、1本の配線に限らない。つまり、リード線25として複数本の配線が存在していてもよい。この場合、複数本のリード線25を、センサガイド21内に通せばよい。
【0048】
・コネクタ26の有無は問わない。リード線25を、電子制御装置等に電気的に接続できるのであれば、その態様は問わない。
・取付金具30の構造は問わない。取付金具30は、リード線25を車両のボディに固定できるものであれば、どのような構造であっても構わない。さらに、取付金具30を省略して、リード線25を接着剤等で車両のボディに直接的に固定してもよい。この場合、リード線25のうちの接着剤に触れている箇所が固定点Fである。
【0049】
・リード線25が固定される対象はアンダーパネル50に限られない。リード線25が固定される対象はアンダーパネル50以外のその他のパネルであってもよいし、車両のフレームであってもよい。つまり、車両のボディには、車両の骨組みであるフレーム、及び車両の外郭であるパネルが含まれる。
【0050】
・固定点Fは、センサガイド21の基端P1から視て前方側に位置していてもよい。この場合でも、排気管11の熱膨張に伴い基端P1が後方への変位した場合に、センサガイド21の先端P2と固定点Fとの位置関係が変化するという課題は生じる。
【0051】
・センサガイド21の形状は適宜変更できる。センサガイド21の基端P1から視て先端P2が前方側に位置しているのであれば、センサガイド21の形状は、リード線25を導き出したい向き等を勘案して変更できる。例えば、センサガイド21は、途中で複数回屈曲していてもよいし、円弧状に湾曲していてもよい。
【0052】
・センサガイド21の先端P2が、GPF12から視て左方、又は前方に位置していてもよい。また、センサガイド21の先端P2とGPF12との最短距離が、30cmより長くてもよい。さらに、センサガイド21の先端P2とGPF12との間に、他の部材が介在していてもよい。この場合でも、センサガイド21の搭載状態がGPF12からの熱が作用するような搭載状態であれば、センサガイド21の先端P2近傍が熱膨張する。また、センサガイド21の基端P1から先端P2へと熱が伝わるので、センサガイド21の先端P2近傍も熱膨張する。
【0053】
・センサガイド21の先端P2が、固定点Fから視て後方に位置していてもよい。この場合、センサガイド21の先端P2の前方への変位長さL2の分だけ、排気管11の熱膨張に伴って、先端P2が後方へと遠ざかることを抑制できる。
【0054】
・センサガイド21の第1部分21Aが、左端に向かうほど下方側に位置していてもよい。換言すれば、センサガイド21の全体が、先端P2に向かうほど下方側に位置していてもよい。また、センサガイド21の全体が、水平面に沿って延びていてもよい。さらに、センサガイド21の一部分又は全体が、先端P2に向かうほど上方側に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…排気構造
11…排気管
12…GPF
13…排気温度センサ
21…センサガイド
25…リード線
C…中心軸
P1…基端
P2…先端
F…固定点
図1
図2
図3
図4
図5