(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183189
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】選果装置および載置台
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20231220BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01N21/84 C
G01N21/85 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096682
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】志賀 敦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕介
(72)【発明者】
【氏名】上戸 文貴
(72)【発明者】
【氏名】深井 諒一
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AA04
2G051AA05
2G051AB02
2G051BA01
2G051BB02
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051DA07
2G051EB01
2G051EC01
(57)【要約】
【課題】 果菜を安定して保持しつつ、果菜の撮影時に遮蔽の少ない撮影画像を得られるようにすること。
【解決手段】 載置台は、コンベア上に配置され、複数の線状部材を組み合わせた骨組み構造の構造物を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア上に配置され、複数の線状部材を組み合わせた骨組み構造の構造物を含む載置台。
【請求項2】
前記骨組み構造の構造物に果菜が載置される、請求項1に記載の載置台。
【請求項3】
前記複数の線状部材は、
第1の輪を成す第1の線状部材と、
前記第1の輪における複数の位置から、高さ方向に傾斜しながら当該輪の中心に向かうように延在する複数の第2の線状部材と
を含む、請求項1に記載の載置台。
【請求項4】
前記複数の線状部材は、
第2の輪を成す第3の線状部材を更に含み、
前記複数の第2の線状部材は、両端部が前記第1の輪における複数の位置と前記第2の輪における複数の位置とにそれぞれ接続されている、
請求項3に記載の載置台。
【請求項5】
前記構造物の表面が黒化処理されている、請求項1に記載の載置台。
【請求項6】
前記構造物は、透明度が一定以上の樹脂材料で形成されている、請求項1に記載の載置台。
【請求項7】
前記構造物の一部に取り付けられたレバーと、
前記構造物の下に配置される台座と、
前記台座の一部と前記構造物の一部とを回動可能に接続するヒンジと
を更に具備し、
前記ヒンジを中心に前記構造物が上方へ回動して傾くように構成されている、
請求項1に記載の載置台。
【請求項8】
請求項7に記載の載置台と、
前記レバーを跳ね上げる跳上げ機構を含む落下機構と、を備える選果装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の載置台と、
果菜よりも低い位置から前記果菜を撮影する第1及び第2の撮像装置、並びに、前記果菜よりも高い位置から前記果菜を撮影する第3の撮像装置と、
前記第1、第2、及び第3の撮像装置がそれぞれ撮像を行う方向へ光を照射する第1、第2、及び第3の光源と
を具備する、選果装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の撮像装置は、それぞれ、撮像を行う方向が鉛直方向に対して傾斜している、請求項9に記載の選果装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の光源は、それぞれ、ドーム照明である、請求項9に記載の選果装置。
【請求項12】
前記第3の光源は、第1及び第2の撮像装置の視野範囲以上の面積を有する、請求項9に記載の選果装置。
【請求項13】
前記第3の光源は、面光源である、請求項12に記載の選果装置。
【請求項14】
各光源は、照射する光が各撮像装置の視野に干渉しないように配置されている、請求項9に記載の選果装置。
【請求項15】
光源間を仕切る仕切り板を更に具備する、請求項9に記載の選果装置。
【請求項16】
各光源は、時差をもって光を照射する、請求項9に記載の選果装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選果装置および載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜又は果物(果菜)の選別を行う選果装置の例としては、コンベアチェーンを構成する個々の搬送体ユニットに、果菜を載置する載置台として2本の金属線が並列配置された載置部を配置し、当該載置部に載置される果物の糖度および酸度を計測するものがある。また、載置台の別の例では、物品選別用受け皿として、受皿本体の上に衝撃緩衝用の弾性体を配置し、この弾性体の上に多数の弾性舌片を有するカバー体を配置し、このカバー体に農作物を載置させるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4611494号公報
【特許文献2】特許第5967003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、情報処理装置の処理能力の急激な発達に伴い、AI(Artificial Intelligence)やディープラーニング(深層学習)などの技術(以下、AI等)を活かした各種処理の自動化が行われるようになってきた。果菜の選別においても、果菜の撮影画像に基づいてAI等を用いた画像処理を行うことにより、従来の目視選別の代替となる自動選別処理を実現することが期待されている。そのためには、形状が一定ではない自然物である果菜を安定して保持しつつ、撮像を阻害する遮蔽をできるだけ取り除いた状態で果菜を撮影できるようにすることが望まれる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、果菜を安定して保持しつつ、果菜の撮影時に遮蔽の少ない撮影画像を得ることを可能にする、選果装置および載置台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様による載置台は、コンベア上に配置され、複数の線状部材を組み合わせた骨組み構造の構造物を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、果菜を安定して保持しつつ、果菜の撮影時に遮蔽の少ない撮影画像を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る選果装置全体の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、果菜の具体例として椎茸の選別を行う場合の選果装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、主コンベアの変形例を示す図である。
【
図4】
図4は、副コンベアの変形例を示す図である。
【
図5】
図5は、載置台4の構造の一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、載置台4の構造物が傾斜した状態の一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、下側に位置する線状部材41Aの輪よりも、上側に位置する線状部材41Bの輪の方が大きい場合の例を示す展開図である。
【
図8】
図8は、上側に位置する線状部材41Bの輪よりも、下側に位置する線状部材41Aの輪の方が大きい場合の例を示す展開図である。
【
図9】
図9は、検査部5において複数の撮像装置8A、8B、8Cと複数の光源7A、7B、7Cとが配置された構成の一例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、撮像装置8Bの視野範囲に対応する画像の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、複数の光源と複数の撮像装置の配置の変形例(その1)を示す図である。
【
図12】
図12は、光源7A及び7Bと光源7Dとの間に仕切り板9を設置した変形例(その2)を示す図である。
【
図13】
図13は、制御部の機能を含む果菜管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、判定項目および判定ランクを示す表である。
【
図16】
図16は、実施形態による効果を要約したものを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
[A.装置の構成]
以下、実施形態に係る選果装置の構成について説明する。
【0011】
[1.装置全体]
図1は、実施形態に係る選果装置全体の概略構成を示す図である。また、
図2は、果菜の具体例として椎茸の選別を行う場合の選果装置の一例を示す図である。
【0012】
図1及び
図2に示される選果装置1は、主コンベア2、投入部3、載置台4(ここでは図示せず)、検査部5、選別部6、および制御部(ここでは図示せず)を含む。投入部3には、コンベア3Aおよび作業台3Bが備えられる。選別部6は、選別した各果菜を個々の回収部へ導く複数の副コンベア6Aを備えている。副コンベア6Aの数は、
図1や
図2の例に限定されない。
【0013】
図1及び
図2に示される選果装置の構成例は一例であって、この構成例に限定されるものではなく、適宜変形して実施することができるものである。例えば、垂直方向に周回するコンベア2の代わりに、
図3に示されるような水平方向に周回するコンベア2’を採用してもよい。また、選別部6で選別した各果菜を、複数の副コンベア6Aで個々の回収部へ導く代わりに、
図4に示されるような複数の滑り台状の副搬送部6Bで個々の回収部へ導くようにしてもよい。また、ここでは選果の対象となる果菜が椎茸である場合を例に説明するが、椎茸に限らず、そのほかの果物または野菜を選果の対象とすることができる。
図5は、載置台4の構造の一例を示すものであるが、その詳細については後で説明する。
【0014】
選果装置1は、上記した各種の要素により、自動で椎茸を検査・選別する装置である。選果装置1は、下記の特徴を有する。
【0015】
1)検査・選別の対象である果菜は、後述する載置台4に載置された状態で、検査部5による検査、選別部6による選別が行われる。
【0016】
2)載置台4は、例えば副無端回収機構である主コンベア2(例えば、ベルトコンベアまたはトップチェーンコンベア)により搬送される。
【0017】
3)主コンベア2による搬送経路の上流から下流に至る順に、投入部3、検査部5、選別部6が設けられている。
【0018】
4)選別部6は、例えば副無端回収機構である副コンベア6A(例えば、ベルトコンベア)を備えている。
【0019】
[2.主コンベア]
主コンベア2は、椎茸を搭載した載置台4を運搬するものであり、下記の特徴を有する。
【0020】
1)主コンベア2の種類として、例えば搬送面にプレート状板を使用したトップチェーンコンベアを使用している。なお、載置台4の形状に合わせて、上記トップチェーンコンベアと異なる種類のベルトコンベアまたはチェーンコンベアを使用してもよい。
【0021】
2)トップチェーンコンベアの場合、プレートには円形の凹部が設けられる。この凹部に後述する載置台4またはその土台の一部をはめ込む形で搭載する。
【0022】
3)主コンベア2は、支持体となるフレームに収納されている。フレームは例えば作業卓状の形状を成している。投入作業は作業者により行われるため、想定する作業者の作業姿勢により高さを設定しフレームを作製する。
【0023】
4)主コンベア2、例えば4個の案内車(スプロケット)により駆動される。案内車は全て駆動するものとしてもよく、駆動、従動を組み合せて採用してもよい。案内車は2つ以上で駆動することが可能である。装置の大きさ、コンベアの長さに応じて調整してもよい。本実施形態では、運搬対象の載置台4が後述するようにフレーム構造を成しているため、軽量であり、駆動源となる電動モータを小さくすることが可能となる。
【0024】
5)主コンベア2は、例えば高さ方向に周回するよう案内車を設置している。そのほか、搬送経路に設けられる各部を考慮し、高さ方向ではなく、
図3の例に示されるように水平方向にチェーンコンベア2’が周回する様に案内車、コンベアを設定してもよい。水平方向にチェーンコンベア2’を周回させる場合、載置台4が常時上方を向くため、周回中の有効稼働時間を増加させることが出来る。例えば往路にて1バッチ目の投入部から検査部、選別部を通って回収部に至る搬送経路を設け、復路にて2バッチ目の投入部から検査部、選別部を通って回収部に至る搬送経路を設けることで、処理速度を倍増させることも可能である。また、水平方向の周回は、ボトルネックとなる機構の増設が容易であり、処理速度を上げることも可能となる。例えば検査部5が装置全体のボトルネックとなる場合、水平方向の搬送で増加したコンベア上に検査部5を増設しボトルネックを解消するなどの対策が可能である。
【0025】
6)搬送時にコンベア表上が上方を向く箇所については、コンベア表上以外の部分がフレームもしくカバーで覆われる。コンベア表上には椎茸が載置台4に載置されるため、搬送時にコンベア表上が側方や下方を向く箇所については、フレームもしくはカバーで全体的に覆うことが安全上好ましい。水平搬送時は、この限りでなく、コンベアの側面のみを覆えばよい。フレームの材料としては重量、耐食性などの観点から、アルミ合金の成型加工品とすることが好ましい。
【0026】
[3.投入部]
投入部3は、例えばコンベア3Aから作業台3Bに送られる椎茸を、主コンベア2上の載置台4に搭載する部位である。本例では人手で椎茸を載置台4に搭載する。そのため、コンベア表上は開放部となっている。なお、搭載は椎茸に対する適切な移送を行う移送装置を用いて機械的に行ってもよい。
【0027】
[4.載置台]
図5は、載置台4の構造の一例を示す斜視図である。また、
図6は、載置台4の構造物が傾斜した状態の一例を示す斜視図である。
【0028】
載置台4は、複数の線状部材を組み合わせた骨組み構造のフレーム構造物を含む。この骨組み構造の構造物には果菜が載置される。複数の線状部材は、少なくとも、第1の輪(リング)を成す線状部材41Bと、第1の輪における複数の位置から、高さ方向に傾斜しながら当該輪の中心に向かうように延在する複数の線状部材42とを含む。
【0029】
本例では、複数の線状部材は、更に第2の輪(リング)を成す線状部材41Aを含む。複数の第2の線状部材42は、両端部が第1の輪における複数の位置と第2の輪における複数の位置とにそれぞれ接続されている。
【0030】
また本例では、載置台4は、更に、上記フレーム構造物の一部(線状部材41Aの一部)に取り付けられたレバー4aと、上記フレーム構造物の下に配置される台座40と、台座40の一部と上記フレーム構造物の一部(線状部材41Aの一部)とを回動可能に接続するヒンジ4bと備える。
【0031】
図6に示されるように、レバー4aが押し上げられたときには、ヒンジ4bを中心に上記フレーム構造物が上方へ回動して傾くように構成されている。レバー4aの押し上げは、後述する落下機構61に備えられる羽根61Aを跳上げることで実現される。台座40は、例えば主コンベア2上の例えば2段の支持体4-1及び4-2の上部に固定されている。
【0032】
なお、線状部材41Aの輪と線状部材41Bの輪とは、大小関係が逆であってもよい。
図7は、
図5に示される載置台4の構造と同様、下側に位置する線状部材41Aの輪よりも、上側に位置する線状部材41Bの輪の方が大きい場合の例を示す展開図である。一方、
図8は、
図5に示される載置台4の構造とは異なり、上側に位置する線状部材41Bの輪よりも、下側に位置する線状部材41Aの輪の方が大きい場合の例を示す展開図である。
図7、
図8の各図において、(a)は載置台4のフレーム構造物の平面図を、(b)は載置台4のフレーム構造物の側面図を示している。
図7、
図8のいずれかの構造を採用するかは、載置する果菜の種類やサイズに応じて決めればよい。
【0033】
このような構造の載置台4は、椎茸の、搬送、検査、選別、および回収を行うために使用される。載置台4は、具体的には下記の特徴を有する。
【0034】
1)載置台4は、台座40の上にヒンジ4bを介して配置されている。
【0035】
2)載置台4は、フレーム構造(骨組み構造)を有する。この構造により、最小表面積で椎茸を保持することが可能である。
【0036】
3)載置台4は、フレーム構造に加え、五徳のような形状を有する。
【0037】
(a)俯瞰視した場合、載置台4は、椎茸の傘の直径より小さな直径を有する円状のフレーム(線状部材41Bに相当)と、その円周から中心に伸びる1本以上の直線フレーム(線状部材42に相当)と、当該直線フレームが接合される円状のフレーム(線状部材41Aに相当)とを有する。
【0038】
こうすることにより椎茸の平面方向の重心が円状フレームの内側に含まれる。
【0039】
(b)側面視した場合、上記直線フレーム(線状部材42に相当)は、上記円状のフレーム(線状部材41Bに相当)の円周部から中心に向かいつつ、鉛直方向に落ち込むように、傾斜している。
【0040】
こうすることにより椎茸の高さ方向の重心より下位置にフレームの少なくとも一部が存在する。
【0041】
このような載置台4の形状により、平面方向の椎茸の重心がフレームの内側に含まれ、かつ、高さ方向の椎茸重心より下側にフレームの一部が存在することになる。
これにより椎茸の傘部を下にして安定的に椎茸を静置することが可能となる。
【0042】
4)載置台4のフレーム構造物は、複数の線材料から構成されている。フレーム構造を形成する線材料は、線長さ/断面最大長さ=30倍以上(例:円周長62.8mm÷針金直径2mm)となるように構成されている。この比率とすることで、椎茸の積載に耐え、かつ撮像の際の遮蔽を最小とすることが出来る。
【0043】
5)載置台4のフレーム構造物は、表面を黒化処理してもよい。黒化処理することで撮像の際、フレームからの反射を抑止できる。
【0044】
6)載置台4のフレーム構造物は、強度が一定以上あり、透明度が一定以上の樹脂材料(例えば、ポリカーボネート)で構成してもよい。透明樹脂を用いることで凸レンズ効果により画像が遮蔽される(歪んだ画像となってしまう)ことがあるが、その場合は学習的画像処理を行うことでフレームに遮蔽された椎茸の状態を画像補正して得ることが可能である。
【0045】
7)載置台4の下部に、上記直線フレーム(線状部材42に相当)の下側が接合される円状のフレーム(線状部材41Aに相当)には、レバー4aが接合されている。さらに、その円状フレームの円周上の遠方端には、ヒンジ4bがある。このヒンジ4bとレバー4aがあることにより、載置台4を傾斜させることが可能となる。
【0046】
[5.検査部]
1)概要
検査部5は、主コンベア2により搬送される載置台4上の椎茸を撮像して検査する部位である。検査部5は、椎茸を複数の方向から撮像できる複数の光源と複数の撮像装置(カメラ)を有する。光源およびカメラは、少なくとも椎茸(載置台4)の上側に1台、斜め下側に2台の設置とすることが好ましい。
【0047】
図9は、検査部5において複数の撮像装置8A、8B、8Cと複数の光源7A、7B、7Cとが配置された構成の一例を示す斜視図である。また、
図10は、撮像装置8Bの視野範囲に対応する画像の一例を示す図である。
【0048】
なお、
図10中に示される載置台4は、前述した線状部材41A,42,41Bのほか、更に小さい輪を成す線状部材41Cおよび曲がった線状部材41Dが加えられた構造を有するものとなっている。
【0049】
図9及び
図10中には、載置台4上に載置された検査対象Mがある。検査対象Mは、椎茸を含む果菜一般を概念化したものである。以下の説明において検査対象Mの各部の位置関係を把握しやすくするため、
図9及び
図10中の検査対象Mの表面領域を3つに分け、それぞれの領域に異なる種類の模様を付している。
【0050】
図9の例では、検査対象Mよりも低い位置から検査対象Mを撮影する第1の撮像装置8A及び第2の撮像装置8B、並びに、検査対象Mよりも高い位置から検査対象Mを撮影する第3の撮像装置8Cが、それぞれ所定の位置に配置されている。また、第1の撮像装置8A、第2の撮像装置8B、及び第3の撮像装置8Cがそれぞれ撮像を行う方向へ光を照射する第1の光源7A、第2の光源7B、及び第3の光源7Cが、それぞれ所定の位置に配置されている。
【0051】
第1撮像装置8A及び第2の撮像装置8Bは、それぞれ、撮像を行う方向が鉛直方向に対して傾斜している。第1の光源7A及び第2の光源7Bは、それぞれ、ドーム形状の照明(ドーム照明)である。第3の光源7Cは、面光源であり、第1撮像装置8A及び第2の撮像装置8Bの両方の視野範囲以上の面積を有する。各光源は、照射する光が各撮像装置の視野に干渉しないように配置されている。
【0052】
本例では、AI等を利用する処理にて、目視検査(全表面検査)代替を可能とするために、複数方向からの画像取得を行う。椎茸の傘、軸、石突の各部位を遮蔽(影)が無い様に、椎茸を複数方向から撮像して画像を取得する。また、本例では、上方向から撮像した1枚、斜め下方向から撮像した2枚、の合計3枚の画像を取得する。これら3枚により椎茸自体の遮蔽(影)を解消するようにしている。
【0053】
撮像装置単体で全表面画像が得られない理由は下記の通りである。
【0054】
(a)椎茸に限らず多くの果菜には光学不感地帯となる裏表が存在する。
【0055】
(b)椎茸の傘おもては、真下から撮像すれば平面に近い撮像が得られる。しかし、真下からの撮像は行いにくい。真下に撮像装置を設置してレンズを真上に向けると、レンズに塵埃堆積が生じるためである。このため、斜め下から撮像すると、撮像装置単体では遮蔽が発生する。
【0056】
(c)椎茸の傘うらは、載置台4に搭載した際、平面に近い撮像が可能である。しかし、軸と石突部は後述する上方設置カメラに対し突出方向に位置するため、遮蔽が発生する場合もある。
【0057】
これらを解消するために、複数の撮像装置による撮像が求められる。
【0058】
2)載置台検出部
載置台検出部(図示せず)は、主コンベア2上の任意の載置台4が検査部5へ近接したことを検知する装置である。載置台4の検査部5へ近接は、光学的に感知してもよく磁気的に感知してもよい。ここではレーザー素子を用いて検知を行っている。
【0059】
3)遮蔽ケース
検査部5は、遮蔽ケースにより覆われている。遮蔽ケースは、外枠支持体を介して主コンベア2のフレームに取り付けられており、主コンベア2および載置台4を上方向からトンネル状に覆う様に形成されている。主コンベア2を通過させるため、遮蔽ケースの両側面、すなわちトンネルの上流側、下流側には、開口部が設けられている。これにより撮像の際の画像に対する外光影響を最小限とすることが出来る。
【0060】
遮蔽ケースの外観形状は略直方体である。直方体、正方体が装置安定性に優れるが、内部の光効率を考慮し、球状もしくは半球状にしてもよい。内部の形状を球状として外殻を直方体としてもよい。
【0061】
遮蔽ケース内部は白色に着色されている。これにより光エネルギーの高効率利用が可能となる。また光源は基本的に白色なので、別カメラに映り込んだ際の影響を低減する効果もある。白色着色は酸化チタン塗料等の着色により行うが、白色反射フィルム等を貼り合わせることで白色としてもよい。
【0062】
4)撮像装置
(a)撮像装置の配置
上述したように、下側に2台の撮像装置8A及び8B、上側に1台の撮像装置8Cを配置する。下側の撮像装置8A及び8Bは傘表の撮像を、上側の撮像装置8Cは椎茸の石突および傘裏の撮像を行う。
【0063】
下側の撮像装置を2台以上設ける理由は、塵埃堆積防止のためである。つまり、下側の撮像装置が撮像を行う方向を真上に向けた場合、レンズに塵埃が堆積する。このため、撮像装置を2台とすると、レンズを真上に向けることなく傾斜をつけて撮像を行うことが可能となる。これによりレンズ部への塵埃の堆積を防ぐことが可能になる。また、下側の撮像装置を2台とすることで、より広域の表面積の撮像が可能となる。ただし、傾斜するほど塵埃の堆積は軽減できるが、1台の撮像装置が捉える椎茸傘表の死角が増加することになる。
【0064】
これらのことを勘案すると、傾斜角度は、水平方向に対して30~80度上方を向くことが好ましく、50~60度上方を向くことがより好ましい。
【0065】
撮像装置の数が多い方が、多方向からの画像を得ることができ、解析は有利となる。ただし、少なくとも上側の撮像装置が1台、下側の撮像装置が2台あれば、画像処理に必要な画像を取得できる。
【0066】
(b)設置距離
ドーム照明は、その特性上、該当する光源及び撮像装置を撮影対象に近づけることで遮蔽(影)の映り込みの効果を軽減することができる。ただし、本例の場合、光源及び撮像装置を撮影対象に近づけすぎると、主コンベア2と接触してしまう恐れがあるため、適切な距離として約600mmの距離にて撮影を行う。
【0067】
(c)設置位置
下側の撮像装置8A、8Bは、光源7A、7Bの反射板や導光板と共に1つの部品として光源7A、7Bに組み込まれている。上側の撮像装置8Cは、光源(面光源)7Cの一部から露出させる構造で設置している。下側の撮像装置8A、8Bは、ドーム照明の反射板底面から露出させて設置している。設置位置に特に制約はない。各撮像装置は、得られる画像を考慮して光源の外部に設置してもよい。
【0068】
5)光源
上述したように、下側に2台の光源7A及び7B、上側に1台の光源7Cを配置する。各光源には、下記の特徴がある。
【0069】
(a)各光源が照射する自然光もしくはそれに類する白色光を用いて自然画像を撮像する。
【0070】
(b)各光源は各撮像装置の撮像に適する形に配置されている。このため、下側の2台の光源7A及び7Bは、照射方向を真上にすることなく傾斜をつけて配置されている。具体的な角度は水平方向に対して上方向30~80度の間に設定することが好ましく、50~60度の間に設定することがより好ましい。塵埃堆積防止効果は、撮像装置の場合と同様である。
【0071】
(c)下側の光源7A及び7Bには、間接光によるドーム照明を用いている。ドーム照明を用いることで、照明から照射される光は散乱光となり、椎茸と光源7A及び7Bとの間にある載置台4を多方向から照射することができる。これにより椎茸の下方に位置する載置台4の影を最小限とすることができる。
【0072】
更に、上側の光源7Cと下側の撮像装置8A、8Bとの関係を下記のように設定している。
【0073】
(d)「光源7Cの面積≧撮像装置8A、8Bの視野範囲」という関係があり、光源7Cの面積内で均一な光量、色度を有する。光源7Cは面光源であり、具体的には撮像装置8A、8Bの視野範囲以上の面積を有する面光源である。
【0074】
本例では、載置台4をフレーム構造としているため、撮像(照射)対象を透過する光源光が多くなる。無為に設置された光源からの透過光は、別位置に配置された撮像装置の視野に一部のみ侵入する。つまり一部が背景として映り込む。また光源光同士の干渉が発生する。これを防ぐために、本例では「光源7Cの面積≧撮像装置8A、8Bの視野範囲」の関係が成立するようにしている。
【0075】
(e)設置距離は、上記4)で示した撮像装置の場合と同じ600mm距離とする。使用する光源や撮像装置の種類によっては特に制約なく距離を設定してよい。
【0076】
6)光源について別のバリエーション
上記のほか、複数の光源と複数の撮像装置の配置は、下記のいずれかを採用してもよい。
【0077】
(a)光源が撮像装置の視野に干渉しない位置に配置される例
図11に、複数の光源と複数の撮像装置の配置の変形例(その1)を示す。
図11の例では、光源7A、7Bからの出射光が撮像装置8Dの視野に侵入せず、かつ光源7Dからの出射光が撮像装置8A、8Bの視野に侵入しないように配置されている。
【0078】
撮像には複数の撮像装置とセットとなる複数の光源が必要である。載置台4はフレーム構造のため、光が載置台4により遮蔽されにくい(透過し易い)。このため、撮像時に意図しない別光源からの出射光が撮像装置の視野に侵入することがある。つまり出射光が互いに干渉し易い。これを防ぐため、複数の光源と複数の撮像装置を
図11のように設置することで干渉を防いでいる。
【0079】
(b)光源間に仕切り板が設置される例
図12に、複数の光源と複数の撮像装置の配置の変形例(その2)を示す。
図12の例では、光源7A及び7Bと光源7Dとの間に仕切り板9を設置することにより、光源7A、7Bからの出射光と光源7Dからの出射光とが干渉しないようにしている。
【0080】
仕切り板9は、主コンベア2および載置台4を跨ぐように配置され、光源7A、7Bからの出射光と光源7Dからの出射光とが干渉しないように仕切る。仕切り板9には、任意の形状を適用することが可能であるが、遮蔽ケースの内側と同系統色とすること好ましい。こうすることによって、撮像背景を均一化でき、AI等による解析を容易とすることができる。
【0081】
(c)撮像に際して複数の光源が時差をもって椎茸に光を照射する例。
【0082】
例えば
図11のような構成において、各光源をストロボ発光のように非連続に時差をもって発光、照射させることで、各光源からの出射光を互いに干渉しないように撮像することが可能である。この場合、セットとなる撮像装置の撮像タイミング(シャッタースピード)と光源の発光タイミングとを同期させる。この手法を採用した場合、複数の撮像装置および複数の光源の設置スペースを省略でき、装置をコンパクトにすることが可能である。
【0083】
[6.選別部]
選別部6は、後述する制御部または判定部からの指示に基づいて、検査した椎茸を選別する装置である。
【0084】
1)落下機構
(a)
図1、
図2には図示されていないが、主コンベア2の側部には
図6に示される複数の落下機構61が設けられている。例えば主コンベア2の片側面のみに落下機構61を複数設置すれば、人手による回収の際、動線が固定できる。これにより回収部(回収箱)の回収が容易となるが、設置スペースの都合によりそのように落下機構61を配置できない場合は、落下機構61は主コンベア2の両側面のうちのどちらに設けてもよい。例えば、1つ目の落下機構61を主コンベア2の両側面のうちの一方(第1の側部)に配置し、2つ目の落下機構61を主コンベア2の両側面のうちの他方(第2の側部)に配置し、3つ目の落下機構61を上記第1の側部に配置し、4つ目の落下機構61を上記第2の側部に配置し、・・・といったように、個々の落下機構61を交互に配置してもよい。
【0085】
(b)落下機構61は、
図5及び
図6に示されるように載置台4のレバー4aを跳ね上げる跳上げ機構を含む。跳上げ機構は、側面に羽根61Aの付いたプッシュソレノイドを備えている。これにより所定箇所位置した載置台4を傾斜させることができ、落下シュート部にある副コンベア6Aに椎茸を放出することができる。
【0086】
(c)落下機構61は、選別等級ごとに設けられる。
【0087】
2)副コンベア
(a)副コンベア6Aの平面位置
副コンベア6Aは、落下機構61ごとに(選別等級ごとに)設けられる。個々の副コンベア6Aは、主コンベア2から支流を形成するように設置されている。
【0088】
(b)副コンベア6Aの高さ位置
副コンベア6Aは、落下機構61により載置台4から落下させられた椎茸を受領する。そのため、副コンベア6Aは主コンベア2よりも低い位置にある。また、副コンベア6Aは、下流側に設けられた回収容器に向かって椎茸を移動させるように延伸している。また、副コンベア6Aは、搬送方向に傾斜をつけて回収容器との高低差を無くし、回収容器に椎茸を投入した際の衝撃を小さくしている。
【0089】
(c)副コンベア6Aの種類
副コンベア6Aには、ベルトコンベアが使用される。椎茸の落下を受け止めるため、織物ベルト、柔軟なゴムベルト、樹脂ベルトが使用されることが好ましい。本例では織物ベルトを使用している。
【0090】
(d)副コンベア6Aの支持体
副コンベア6Aは、支持体となるフレームに収納されている。高さ以外の制約は、主コンベア2と同様である。
【0091】
(e)副コンベア6Aの駆動
副コンベア6Aは、2個の案内車により駆動される。案内車の駆動は、主コンベア2と同様である。
【0092】
(f)副コンベア6Aの周回方向
副コンベア6Aは、主コンベア2から回収容器に向かって椎茸を搬送する方向に周回するように駆動される。また前述したように、副コンベア6Aの代わりに、
図4に示されるような複数の滑り台状の搬送部6Bが採用されてもよい。その場合、滑り台状の搬送部6Bには、椎茸が自重で落下移動できるだけの角度を有するものとする。
【0093】
3)回収容器
回収容器は、副コンベア6Aの露出端部の下方に設置されている。回収容器は、副コンベア6Aから落下した椎茸を受領する。これにより、個々の椎茸が予め指定したグループごとに選別できるようになっている。
【0094】
なお、その他、選別方法として把持ハンドによるピックアップ、分岐搬送路による分離、落下シュートによる落下選別、を採用することも可能である。これらのうち、椎茸の選別には、本例に示す落下選別が好適である。落下選別は、把持ハンド等と異なり、装置の構造を簡易化し易い。椎茸は落下による自壊が起きにくいため、落下選別を採用することができる。
【0095】
[7.制御部]
制御部は、選果装置の全体の動作を司るものである。制御部は、
図1、
図2に示される構成のどこに設置されていてもよい。また、制御部の機能は、果菜に関する管理を行う果菜管理システムの一部として組み込まれていてもよい。
【0096】
図13に、制御部の機能を含む果菜管理システムの構成の一例を示す。制御部の機能は、
図13に示される果菜管理システムに含まれる主要処理部10により実現することができる。但し、
図13の構成例は一例であって、この例に限定されるものではない。例えば、ハードウェアで実現される機能のいくつかは、ソフトウェア(プログラム)で実現されてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で実現される機能のいくつかは、ハードウェアで実現されてもよい。
【0097】
図13に示される果菜管理システムは、情報処理部10A及び10B、シーケンス処理部10Cなどを含む主要処理部10を有するほか、データベースDBを備えた情報管理部20を有する。データベースDBには、選果結果や撮影画像などの情報を保管され、所定の事務所(拠点1)や事務所(拠点2)からのアクセスが可能であり、また、農家は携帯電話機などによりデータベースDB上の自身の果菜に関する情報をメールで受信するなどして確認することが可能である。
【0098】
情報処理部10Aは、コンピュータPC1を備えるほか、バーコードリーダーB、センサーSなどを備えている。情報処理部10Bは、コンピュータPC2を備えている。シーケンス処理部10Cは、PLC11、インダクションモーター12、インバータ13、バーコードリーダー14、ソレノイド15などを備えている。
【0099】
情報処理部10A内のコンピュータPC1は、バーコードリーダーBにより読み込まれた農家番号などの情報を取り込んだり、PLC11から与えられる載置台番号を取り込んだり、載置台が所定位置を通過することをセンサーSが検出するタイミングに合わせて撮像装置8A、8B、8Cのシャッター制御を行ったり、撮像装置8A、8B、8Cにより撮影された画像を取り込んだり、取り込んだ画像からAIにより椎茸の等級を判定したり、判定した結果(選果結果および載置台番号)をPLC11に伝えたり、当該コンピュータで得られた選果結果や撮影画像などの情報をまとめて情報処理部10B内のコンピュータPC2に供給したりする。
【0100】
情報処理部10Bは、情報処理部10Aから情報を吸い上げるとともに、得られた選果結果や撮影画像などの情報を情報管理部20へ供給する。また、コンピュータPC3は、情報管理部20のデータベースDBに保管される情報を取得し、当該情報を必要時にコンピュータPC1に供給することができるようになっている。
【0101】
PLC11は、予め定められたシーケンスに従って、バーコードリーダー14により読み込まれる載置台番号の情報を取り込んだり、その載置台番号をコンピュータPC1に伝えたり、コンピュータPC1から伝えられる選果結果および載置台番号の通知を受け、その載置台番号の選果結果に対応するソレノイド15(前述した複数の落下機構61のいずれかに備えられるプッシュソレノイド)を稼働させたりする。
【0102】
前述した制御部は、例えば下記の各種要素により構成される。ただし、下記の構成は一例であって、この例に限定されるものではない。
【0103】
制御部は、例えば(1)データメモリ、(2)プログラム格納部を有するとともに、プログラム処理部のハードウェア内に、(3)モータ駆動回路、(4)光源制御回路、(5)撮像装置制御回路、(6)判定回路、(7)選別装置制御回路、(8)各部連動回路、(9)これらを接続するパス、が内蔵されている。なお、上記(3)~(8)の各回路で実現される機能のいくつかは、ソフトウェア(プログラム)で実現されてもよい。
【0104】
例えば、(6)判定回路の代わりに、ソフトウェアが実施する(6’)判定機能を備えるようにしてもよい。以下では、(6)判定回路または(6’)判定機能を、「判定部」と総称する場合がある。
【0105】
上記(1)データメモリ、(2)プログラム格納部、及び(6’)判定機能は、例えば前述した情報処理部10Aで実現することが可能である。上記(3)モータ駆動回路、(4)光源制御回路、(5)撮像装置制御回路、(6)判定回路、(7)選別装置制御回路、(8)各部連動回路、及び(9)パスは、例えば前述したシーケンス処理部10Cで実現することが可能である。
【0106】
以下、各種要素について説明する。
【0107】
(1)データメモリ
磁性体もしくは半導体からなるメモリである。検査部5の各撮像装置から得られた画像データを保存する。画像データは例えばハードディスク内に保存される。
【0108】
(2)プログラム格納部
制御部が実行するプログラムが格納されている。
【0109】
(3)モータ駆動回路
主および副コンベアを駆動する案内車の動力源となるモータを駆動・制御する回路である。通常は定速駆動のため、ON-OFFのみの制御となる。ただし、各部の処理速度(撮像速度、落下動作など)や作業効率に応じて速度を変更することが可能である。
【0110】
(4)光源制御回路
各光源が各撮像装置と連動して動作するように各光源を制御する回路である。
【0111】
(5)撮像装置制御回路
各撮像装置を制御する回路である。検査部5の上流に設けられた載置台検出部(図示せず)からの信号を受取り、当該信号に応じて各撮像装置を動作させる。
【0112】
(6)判定回路または(6’)判定機能
AIにより椎茸の等級を判定するものである。AIは、各撮像装置により撮影されて記憶媒体に蓄積された画像データから、椎茸の大きさ、形状や、虫、異物付着等の情報を抽出する。
【0113】
(7)選別装置制御回路
選別部6の選別動作を制御する回路である。
【0114】
(8)各部連動回路
上記(3)~(7)の各要素の上位(マスター)にあたり、当該各要素を制御する回路である。
【0115】
(9)接続パス
上記(3)~(8)の各要素を接続し、上記(8)各部連動回路からの指示を、上記(3)~(7)の各要素へ伝達するパスである。
【0116】
[B.装置の動作]
次に、
図14を参照して、選果装置1の一連の動作について説明する。
【0117】
以下の動作は、主に上述した制御部によって行われる。
【0118】
1)搬送コンベア、駆動案内車の駆動(ステップS1)
制御部は、主コンベア2用の駆動案内車の駆動を行う。これにより、主コンベア2が上流の投入部3から、検査部5、選別部6の順に進んで周回する。通常は一定の任意速度で動作する。
【0119】
2)椎茸の搭載(ステップS2)
主コンベア2上に設けられた載置台4上に椎茸が投入される。椎茸の搭載は人手で行ってもよいが、適切な機械があれば、機械によって制御部のもとで椎茸の搭載を行うようにしてもよい。
【0120】
3)載置台検出(ステップS3)
制御部は、検査部5の上流に設けられた載置台検出部(図示せず)からの信号により、載置台4上の椎茸が検査部5を通過するタイミングにあわせて各撮像装置および各光源を駆動する。
【0121】
4)検査(ステップS4)
制御部は、検査部5の各撮像装置および各光源を制御することにより、椎茸の検査を行う。
【0122】
4-1)下側の撮像装置・下側の光源の動作
下側の撮像装置および下側の光源は、主コンベア2により椎茸が検査設定位置(該撮像装置の視野位置)に搬送された時に発光と撮像を行う。この際、下側の撮像装置に対し、上側の光源からの出射光は入射しない位置となるように設定されている、もしくは光源7Cの様に入射しても撮像に影響がない様に設定されているものとする。そのため、判定阻害要因となるハレーション等は発生することが無い。
【0123】
4-2)上側の撮像装置・上側の光源の動作
上側の撮像装置および上側の光源も、主コンベア2により椎茸が検査設定位置に搬送された時に発光と撮像を行う。上側の撮像装置・上側の光源が真下を向いていること、及び、下側の光源との位置関係から、下側の光源の影響を受けることなく撮像を行うことができる。
【0124】
5)データ処理(ステップS5)
5-1)判定
制御部は、撮影された画像データをデータメモリに保管し、前述した判定部により判定を行う。
【0125】
本例では、3台の撮像装置から画像を取得している。このため、得られる画像は上方向から撮像した1枚、斜め下方向から撮像した2枚、の合計3枚である。よって、3枚の画像がAIによる判定を受けることになる。それら3枚は1表示面上に3枚同時に配置、表示され、同時に、過去のAI学習により判定を受ける。1表示面とすることで記憶媒体の負荷低減を行うことができる。ただし、高精度画像による判定が必要な場合、画像毎に表示部に表示して判定を行うようにしてもよい。
【0126】
図15の表を参照して、判定項目および判定ランクについて説明する。
【0127】
判定項目は、椎茸のa)サイズ、b)形状欠損、c)昆虫や異物の付着、d)傘の開き具合、等である。特にd)のような選果特徴は感覚的な基準に左右されるため、単純な数値判定でなく、複数の特徴を相互作用から判定するAIの活用が必要となる。このようなAI活用を進めた場合、属人的属域的な選果基準の差異が解消され、広産地域における品質が統一されることになり、結果的に椎茸全体の品質向上を見込むことが可能となる。勿論、この効果は本技術を適用することで他の果菜にも展開することが可能である。
【0128】
上記a)サイズには、判定ランクが5種類ある。上記b)形状欠損には、OKと保留の2種類がある。上記c)昆虫や異物の付着には、OKと保留の2種類がある。上記d)傘の開き具合には、判定ランクが3種類ある。
【0129】
よって、判定結果としては下記のように16通りあることになる。
【0130】
「a)サイズ」が5種×「d)傘の開き具合」が3種+「保留」=16通り
その他、画像から得られる情報は、椎茸選果や生育のための情報として保管、活用することができる。例えば、採果時期と色味、選果時画像と出荷先評価との紐づけから、画像による味覚良否の推定等を行うことが考えられる。AIは事前に与えた正答だけでなく、自己学習により隠れた規則性を見出し推論することが可能なため、適切な画像データを大量に与えることで、現時点で想定した以上の活用を行える可能性がある。
【0131】
5-2)判定情報の入力
前述した判定部は、判定結果を示す判定情報を、前述した各部連動回路に送付する。
【0132】
5-3)選別指示
各部連動回路は、判定部から送付された判定情報を元に、選別部6に対し動作指示を送る。具体的には、選別部6に対し落下動作を指示する。より具体的には、所定の時間の後に、主コンベア2の側部にある落下機構61の跳上げ機構(プッシュソレノイド)に動作指示を出す。
【0133】
主コンベア2は定速で周回しており、主コンベア2の側面の所定位置にはランクに応じた複数の選別シュートが設けられている。このため、検査部5から通過した椎茸は、所定時間を経過すると、所定の選別シュートの上方に到達する。このタイミングで跳上げ機構を動作させ、載置台4を傾斜させることにより、椎茸を落下させることが可能である。
【0134】
ここでは先述した通り16通りの判定に基づき選別を行っているため、16パターンの落下動作が行われることになる。
【0135】
6)選別処理(ステップS6)
6-1)落下動作
選別部6は、前述した各部連動回路からの指示を受けて、待機状態にある落下機構61の跳上げ機構を動作させる。跳上げ機構は、主コンベア2により運搬されてくる椎茸が対応する選別位置に達した際に動作する。具体的には、跳上げ機構に内蔵されたプッシュソレノイドに電圧を印加することで、当該ソレノイドとその側面の羽根61Aが上昇する。
【0136】
主コンベアの側面には、落下シュート部が、その対側面には跳上げ機構が付いている。このため、上昇した羽根61Aは載置台4のレバー4aを跳ね上げ、載置台4を落下シュート側に傾斜させる。これにより、載置台4に載置されていた椎茸は、落下シュート部に放出される。椎茸放出後、ソレノイドは戻りバネにより元の位置に復帰し、跳上げ機構は待機状態に戻る。
【0137】
6-2)副コンベア
制御部は副コンベア6A用の駆動案内車の駆動を行う。副コンベア6Aは、主コンベア2の支流を形成するように周回する。副コンベア6Aの露出面上流には、落下機構があり、副コンベア6Aの下流には回収容器がある。
【0138】
副コンベア6Aは、主コンベア2の下側に位置しており、主コンベア2の落下機構もしくは跳上げ機構により、載置台4から落下させられた椎茸を受領して運搬し、上面露出端部で回収容器へ落下させる。
【0139】
ここでは、副コンベア6Aを主コンベア2の駆動のタイミングに合わせて駆動しているが、副コンベア6Aの駆動のタイミングに制限は無く、主コンベア2の駆動と同時に駆動してもよく、椎茸が一定数量、副コンベア6Aに堆積したのち駆動してもよい。こうすることで駆動モータの電力を節約することが可能となる。
【0140】
副コンベア6Aの周回速度は、主コンベア2の駆動速度と同一としているが、駆動速度にも制限は無く、椎茸の選別ランクの分布によりいくつかの特定の副コンベア6Aの速度を上げたり、落としたりして、処理の効率化を図ってもよい。
【0141】
6-3)選果された椎茸の回収
落下シュートの下側に設置された回収容器ごとに、選別済の椎茸を回収する。
【0142】
これにより、本装置による選別処理が完了する。
【0143】
[C.実施形態の効果のまとめ]
図16に、実施形態による効果を要約したものを示す。
【0144】
1)コンベアにより果菜を定速搬送すること
これにより、光に時差をつけて照射でき、確認物自体の遮蔽(影)を低減させることができる。また、ほぼ連続的に大量の画像データを取得することができる。
【0145】
2)載置台(保持治具)が面を持たないフレーム構造となるように構成すること
これにより、載置台(保持治具)による遮蔽を低減させることができる。また、自然物を取り扱う環境下での運用に適したものとすることができる。そのほか、塵埃付着防止、選別(落下シュート)動作が容易、といった効果がある。
【0146】
3)搬送経路中に複数の光源と撮像装置(カメラ)を設置すること
これにより、多角度からの撮像を行うことができ、確認物自体の遮蔽(影))を低減させることができる。また、傾斜配置により塵埃付着防止が可能になり、自然物を取り扱う環境下での運用に適したものとすることができる。光源同士の干渉を抑制できる(フレーム構造のために透過光が多くなることを配置により抑制できる)。
【0147】
4)光源に関する手法
(1)光源がドーム形状の照明とすること
これにより、ドーム照明は散乱光を照射するので、多方向からの照射を行うことができ、載置台(保持治具)の影を最小限にすることができ、載置台(保持治具)による遮蔽を低減させることができる。
【0148】
(2)「上側の光源の面積≧下側の撮像装置(カメラ)視野範囲」の関係にすること
これにより、塵埃対策が可能になり、自然物を取り扱う環境下での運用に適したものとすることができる。そのほか、光源面積内で均一な光量、色度を有するものとすることができ、背景の映り込みを防止することができる。
【0149】
(3)上側の光源が面光源となるように構成すること
この場合も、塵埃対策が可能になり、自然物を取り扱う環境下での運用に適したものとすることができる。背景の映り込みを防止することもできる。
【0150】
以上詳述したように、実施形態によれば、果菜を安定して保持しつつ、果菜の撮影時に遮蔽の少ない撮影画像を得ることを可能にする、選果装置および載置台を提供することができる。
【0151】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1…選果装置、2…主コンベア、3…投入部、3A…コンベア、3B…作業台、4…載置台、4a…レバー、4b…ヒンジ、4-1,4-2…支持体、5…検査部、6…選別部、6A…副コンベア、6B…滑り台状の副搬送部、7A,7B,7C,7D…光源、8A,8B,8C,8D…撮像装置、9…仕切り板、10…主要処理部、10A,10B…情報処理部、10C…シーケンス処理部、11…PLC、12…インダクションモーター、13…インバータ、14…バーコードリーダー、15…ソレノイド、20…情報管理部、40…台座、41A,41B,41C,41D,42…線状部材、61…落下機構、61A…羽根、DB…データベース、PC1,PC2,PC3,PC11,PC12…コンピュータ、B…バーコードリーダー、S…センサー。