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特開2023-183192ワイヤハーネス用プロテクタおよび電線収容方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183192
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス用プロテクタおよび電線収容方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20231220BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H02G3/04 087
B60R16/02 623U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096687
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】野本 剛志
(72)【発明者】
【氏名】高木 歩
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DE03
5G357DE08
(57)【要約】
【課題】電線群をプロテクタ本体へ収容する際の作業性がよく、電線のはみ出しや噛み込みを防止することができるワイヤハーネス用プロテクタおよび電線収容方法を提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス用プロテクタ1は、底壁の両側縁から側壁23が立設されて底壁と側壁23とによって電線群50を収容する収容部22が形成されたプロテクタ本体20Aと、プロテクタ本体20Aに装着されて収容部22を覆う蓋体10Aと、前記プロテクタ本体20Aにおける側壁23の先端に突設された可撓性を有するストッパー片30と、ストッパー片30の基部に形成された開口35と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁の両側縁から側壁が立設されて前記底壁と前記側壁とによって電線群を収容する収容部が形成されたプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体に装着されて前記収容部を覆う蓋体と、
前記プロテクタ本体における前記側壁の先端に突設された可撓性を有するストッパー片と、
前記ストッパー片の基部に形成された開口と、
を備えるワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネス用プロテクタであって、
前記ストッパー片は、前記側壁の先端から前記側壁と同一方向に突設された一対の突出片と、前記一対の突出片の先端部を連結して前記開口を区画形成する連結部と、を有し、
前記連結部が、前記側壁の外側面より外側に凸形状となるように形成されたワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤハーネス用プロテクタであって、
複数の前記ストッパー片が、前記底壁の両側縁から立設された前記側壁のそれぞれに千鳥状に配置されたワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のワイヤハーネス用プロテクタに電線群を収容する電線収容方法であって、
配索板上に固定された前記プロテクタ本体に前記電線群を収容する際には、前記配索板上に立設された係止ピンを前記開口に挿通することにより、前記ストッパー片の先端部が前記側壁より外側に開いた状態で保持される電線収容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス用プロテクタおよび電線収容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に配索されるワイヤハーネスには、他の車載機器との外部干渉から電線群を保護すると共に配索経路を規制する目的で、樹脂成形品からなるプロテクタを取り付ける場合が多い。
この種のプロテクタは、互いに組み合わされることにより電線群を収納可能な筒体を形成するプロテクタ本体および蓋体を備えている。そして、樋形状としたプロテクタ本体内に挿通されるワイヤハーネスの電線群が、テープ巻き結束せずにバラバラの状態で挿通される場合、電線の癖付き等により電線がはみ出しやすくなる。そこで、プロテクタからの電線のはみ出しや蓋体による電線の噛み込みを防止する構造が、種々提案されている(特許文献1,2、参照)。
【0003】
例えば、上述した特許文献1,2に開示されたワイヤハーネス用プロテクタでは、プロテクタ本体の側壁の先端から可撓性を有する羽根部(ストッパー片)を突設し、この羽根部で電線のはみ出しや噛み込みを防止する。即ち、プロテクタ本体の側壁が低く、電線がはみ出しそうな箇所に羽根部を設けることで、側壁の高さを補って電線のはみ出しを防止することができる。そして、蓋体をプロテクタ本体に被せる際には、羽根部を蓋体或いは手指で下向きに押し下げて、プロテクタ本体内に挿通した電線を底壁側に押し込んでいくため、プロテクタ本体と蓋体との間に電線が噛み込まれることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-171816号公報
【特許文献2】特開2009-268163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1,2に開示された羽根部は、プロテクタ本体の側壁の先端に突設され、矩形状とすると共に薄肉状として可撓性を持たせている。そこで、プロテクタ本体内に挿通される電線群の挿通方向に沿った押さえ範囲を拡張するために羽根部の幅を広げると、羽根部を屈曲する際の反発力が大きくなる。
【0006】
したがって従来のワイヤハーネス用プロテクタは、例えば図8に示すように、羽根部540の幅W1を所定以下(例えば、15mm以下)に制限して屈曲作業性の低下を抑えながら使用していた。そのため、電線群の挿通方向に沿った押さえ範囲を拡張したい場合には、幅W1より狭い所定以下の幅W2を有する羽根部530をプロテクタ本体520Aの側壁523の先端に複数本突設していた。
【0007】
その結果、羽根部530の本数が増加することで、蓋体(図示せず)をプロテクタ本体520Aに被せる際には羽根部530,540を押さえる回数が多くなり、電線群をプロテクタへ収容する作業性が良くなかった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線群をプロテクタ本体へ収容する際の作業性がよく、電線のはみ出しや噛み込みを防止することができるワイヤハーネス用プロテクタおよび電線収容方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネス用プロテクタは、下記(1)を特徴としている。
(1) 底壁と、前記底壁の両側縁から立設された側壁とによって電線群を収容する収容部が形成されたプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体に装着されて前記収容部を覆う蓋体と、
前記プロテクタ本体における前記側壁の先端に突設された可撓性を有するストッパー片と、
前記ストッパー片の基部に形成された開口と、
を備えるワイヤハーネス用プロテクタ。
前述した目的を達成するために、本発明に係る電線収容方法は、下記(2)を特徴としている。
(2) 上記(1)に記載のワイヤハーネス用プロテクタに電線群を収容する電線収容方法であって、
配索板上に固定された前記プロテクタ本体に前記電線群を収容する際には、前記配索板上に立設された係止ピンを前記開口に挿通することにより、前記ストッパー片の先端部が前記側壁より外側に開いた状態で保持される電線収容方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るワイヤハーネス用プロテクタおよび電線収容方法によれば、電線群をプロテクタ本体へ収容する際の作業性がよく、電線のはみ出しや噛み込みを防止することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るワイヤハーネス用プロテクタの分解斜視図である。
図2図2は、図1に示したプロテクタ本体の要部斜視図である。
図3図3は、図2に示したプロテクタ本体の平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に相当する成型金型の概略断面である。
図5図5は、図1に示したワイヤハーネス用プロテクタに電線群を収容する電線収容方法を説明する要部斜視図である。
図6図6は、図5に示したプロテクタ本体に電線群を収容する途中状態を示す要部斜視図である。
図7図7は、図6に示したプロテクタ本体に電線群が収容された状態を示す要部斜視図である。
図8図8は、図7におけるVIII-VIII断面矢視図である。
図9図9は、従来のワイヤハーネス用プロテクタを説明する要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワイヤハーネス用プロテクタ1の分解斜視図である。図2は、図1に示したプロテクタ本体20Aの要部斜視図である。図3は、図2に示したプロテクタ本体20Aの平面図である。図4は、図3のIV-IV線に相当する成型金型100の概略断面である。
なお、本明細書中、ワイヤハーネス用プロテクタ1の長手方向(電線群50の挿通方向)に沿う上下方向および左右方向は、図1に示した矢印の方向に従うものとする。
【0014】
本実施形態に係るワイヤハーネス用プロテクタ1は、図1に示すように、双方の端部同士が連結された2つのプロテクタ本体20A,20Bと、3つの蓋体10A,10B,10Cとで長尺状に構成されている。ワイヤハーネス用プロテクタ1は、プロテクタ本体20A,20Bの底壁21の下面に設けられたアンカー部(図示せず)によって、車体等の被取付け部に固定される。
【0015】
これらプロテクタ本体20A,20Bおよび蓋体10A,10B,10Cは、それぞれ電気絶縁性の合成樹脂材によりそれぞれ一体成形されている。
プロテクタ本体20A,20Bは、底壁21と、底壁21の両側縁から立設された側壁23とによってそれぞれ断面視略U字状に形成され、電線群50を収容する収容部22とされている。
【0016】
蓋体10A,10B,10Cは、それぞれプロテクタ本体20A,20Bにおける収容部22の上方開口側に被せるように装着され、プロテクタ本体20A,20Bの収容部22を閉鎖する。蓋体10Aは、上壁部11と、この上壁部11の両縁部から突出された複数の係合片13とを有している。
【0017】
プロテクタ本体20Aの長手方向一端部における左右の側壁23の外面側には、一対の連結被係止枠28が設けられている。プロテクタ本体20Bの長手方向一端部における左右の側壁23の先端には、一対の連結係止片26が突設されている。そして、プロテクタ本体20Bの連結係止片26がプロテクタ本体20Aの連結被係止枠28に挿し込まれて係止されることで、これらプロテクタ本体20Aとプロテクタ本体20Bとは一体に連結された状態となる。
プロテクタ本体20A,20Bにおける左右の側壁23の外面側には、蓋体10Aの係合片13に対応して複数の蓋体固定枠25が設けられている。
【0018】
図2に示すように、本実施形態に係るプロテクタ本体20Aは、側壁23の高さが低く、電線群50の電線51がはみ出しそうな箇所の側壁23の先端に、複数本のストッパー片30と、ストッパー片40とが突設されている。
【0019】
ストッパー片40は、側壁23の先端の内面側から側壁23と同一方向に一体的に突設されている。ストッパー片40は、略矩形状とすると共に薄肉状とされて可撓性を持たされている。ストッパー片40は、幅W1が所定以下(例えば、15mm以下)とされ、電線群50の挿通方向に沿った通常の押さえ範囲を有する。
【0020】
ストッパー片30は、側壁23の先端の外面側から側壁23と同一方向に一体的に突設された一対の突出片31,31と、一対の突出片31,31の先端部を連結して開口35を区画形成する連結部33と、を有する。即ち、ストッパー片30の基部には、開口35が形成されている。
【0021】
一対の突出片31,31は、それぞれ幅W3が所定以下(例えば、15mm以下)とされ、突出高さTが収容部22の幅(対峙する側壁23,23の間隔)W5の1/4以上を覆うことができる長さとされた略矩形状に形成されている。突出片31は、側壁23の肉厚の1/2~1/4程度の薄肉とされて可撓性を持たされている。
【0022】
連結部33は、図3に示すように、突出片31の外側面より外側に凸形状となるようにアーチ状に形成されている。即ち、連結部33の内側面は、突出片31の外側面より外側に位置する。そして、一対の突出片31,31の先端部が連結部33により連結されたストッパー片30の基部には、開口35が形成される。
【0023】
例えば、プロテクタ本体20Aを射出成形するための成型金型100は、図4に示すように、プロテクタ本体20Aを成形する溶融樹脂が射出されるキャビティ130を区画形成するため上下に可動する可動型110と固定型120とで構成される。
【0024】
キャビティ130は、底壁21を成形する底壁キャビティ131と、一対の側壁23,23を成形する側壁キャビティ133,133と、ストッパー片30を成形するストッパー片キャビティ135と、連結被係止枠28を成形する連結被係止枠キャビティ137と、有する。
【0025】
図2及び図3に示したように、ストッパー片30の突出片31は、側壁23の先端の外面側から側壁23と同一方向に一体的に突設され、ストッパー片30の連結部33の内側面は、突出片31の外側面より外側に位置するように構成される。
【0026】
そこで、図4に示すように、それぞれストッパー片キャビティ135を区画形成する可動型110のキャビ面110aと固定型120のキャビティ面120aとは、可動型110の上下可動方向に沿って対向し、且つ、摺接することによって、開口35を成形することができる。即ち、基部に開口35が形成されたストッパー片30をプロテクタ本体20Aに一体成形する成型金型100には、アンダーカット部が生じるのを回避することができ、成型金型100の構造が複雑になるのを防止できる。
【0027】
その結果、基部に開口35が形成されたストッパー片30をプロテクタ本体20Aに一体成形したことによるコスト上昇を抑えることができる。
従って、本実施形態のプロテクタ本体20Aにおけるストッパー片30の幅W4は、突出片31の幅W3の2倍の長さに連結部33の幅を加えた長さを有し、電線群50の挿通方向に沿ったストッパー片30の押さえ範囲が拡張される。
【0028】
さらに、ストッパー片30を屈曲する際には、ストッパー片30の先端部を底壁21側に屈曲させる。ここで、ストッパー片30は、開口35が形成された基部で屈曲し易くされている。即ち、ストッパー片30を屈曲する際には、幅W4よりも狭い幅W3を有する突出片31の基部をそれぞれ屈曲することになり、屈曲する際の反発力が所定以上に大きくなるのを抑制できる。
【0029】
また、ストッパー片30を屈曲する際には、先端部が連結部33により連結された一対の突出片31,31を一体的に屈曲させることができる。そこで、蓋体10Aをプロテクタ本体20Aに被せる際にストッパー片30を押さえる回数が、従来の羽根部530(図9参照)のように多くなることはない。
【0030】
更に、複数のストッパー片30が、底壁21の両側縁から立設された側壁23,23のそれぞれに千鳥状に配置されている。
そこで、本実施形態のワイヤハーネス用プロテクタ1によれば、底壁21の両側縁から立設された側壁23,23のそれぞれに千鳥状に配置された複数のストッパー片30によって、電線群50を挿通方向に沿った両側から良好に押さえることができる。
【0031】
次に、図5図8を参照して、上記のように構成されるワイヤハーネス用プロテクタ1に電線群50を収容する電線収容方法について詳細に説明する。
図5は、図1に示したワイヤハーネス用プロテクタ1に電線群50を収容する電線収容方法を説明する要部斜視図である。図6は、図4に示したプロテクタ本体20Aに電線群50を収容する途中状態を示す要部斜視図である。図7は、図6に示したプロテクタ本体20Aに電線群50が収容された状態を示す要部斜視図である。図8は、図7におけるVIII-VIII断面矢視図である。
【0032】
本発明の一実施に係る電線収容方法では、図5に示すように、図示しない配索板上に固定されたプロテクタ本体20A,20Bの収容部22に電線群50を収容する際、側壁23の外側面に隣接するように配索板上に立設された係止ピン60がストッパー片30の開口35に挿通される。これにより、基部の開口35に係止ピン60が挿通されたストッパー片30は、先端部が側壁23より外側に開いた状態で保持される。
【0033】
そこで、プロテクタ本体20A,20Bの収容部22に電線群50を挿通する際には、電線群50がストッパー片30の先端部に引っ掛かり難くなる。また、プロテクタ本体20A,20Bの収容部22に収容された電線群50は、収容部22からはみ出そうとする電線51が、側壁23の先端に突設されたストッパー片30,40に当たってはみ出しを阻止される。
【0034】
そして、プロテクタ本体20A,20Bに電線群50を収容した後は、係止ピン60をストッパー片30の開口35から抜く。すると、ストッパー片30は屈曲自在となるので、ストッパー片30により電線51を底壁21側に押し込むことができる。
【0035】
従って、図6に示すように、蓋体10Aをプロテクタ本体20A,20Bに被せる際には、ストッパー片30を底壁21側に屈曲し、プロテクタ本体20A,20B内に挿通した電線群50の電線51を底壁21側に押し込む。そのため、プロテクタ本体20A,20Bと蓋体10Aとの間に電線51が噛み込まれることはない。
【0036】
ここで、ストッパー片30は、開口35が形成された基部で屈曲し易くされている。そこで、ストッパー片30の幅を広げた場合でも、ストッパー片30を屈曲する際の反発力が所定以上に大きくなるのを抑制できる。したがって、電線群50の挿通方向に沿ったストッパー片30の押さえ範囲を拡張する場合には、ストッパー片30の幅W4を広げることで、幅W2を所定以下に制限した従来の羽根部530(図9参照)の本数に比べてストッパー片30の本数を減らすことができる。その結果、ストッパー片30の押さえ範囲を拡張する場合でも、ストッパー片30を押さえる回数が多くなるのを抑制することができ、電線群50をワイヤハーネス用プロテクタ1へ収容する作業性が良くなる。
【0037】
さらに、図7及び図8に示すように、蓋体10Aをプロテクタ本体20A,20Bにおける収容部22の上方開口側に被せた後、蓋体10Aの係合片13をプロテクタ本体20A,20Bの蓋体固定枠25に挿入して係止する。この時、電線群50はストッパー片30,40でしっかりと収容部22内に押し込まれているため、蓋体10Aとプロテクタ本体20A,20Bとの間に噛み込まれることを防止できる。
【0038】
従って、本実施形態に係るワイヤハーネス用プロテクタ1および電線収容方法によれば、電線群50をプロテクタ本体20A,20Bへ収容する際の作業性がよく、電線51のはみ出しや噛み込みを防止することができる。
【0039】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
上記実施形態では、双方の端部同士が連結された2つのプロテクタ本体20A,20Bと、3つの蓋体10A,10B,10Cとで長尺状のワイヤハーネス用プロテクタ1が構成された例について説明した。しかしながら、ワイヤハーネス用プロテクタの構成はこれに限らず、1つのプロテクタ本体と1つの蓋体とで構成することもできる。
また、ストッパー片30の構成も上記実施形態の構成に限らず、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0040】
ここで、上述した本発明に係るワイヤハーネス用プロテクタ及び電線収容方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 底壁(21)と、前記底壁(21)の両側縁から立設された側壁(23,23)とによって電線群(50)を収容する収容部(22)が形成されたプロテクタ本体(20A)と、
前記プロテクタ本体(20A)に装着されて前記収容部(22)を覆う蓋体(10A)と、
前記プロテクタ本体(20A)における前記側壁(23)の先端に突設された可撓性を有するストッパー片(30)と、
前記ストッパー片(30)の基部に形成された開口(35)と、
を備えるワイヤハーネス用プロテクタ(1)。
【0041】
上記[1]の構成のワイヤハーネス用プロテクタ(1)によれば、プロテクタ本体(20A)の収容部(22)に電線群(50)を挿通する際には、プロテクタ本体(20A)の収容部(22)からはみ出そうとする電線群(50)の電線(51)が、側壁(23)の先端に突設されたストッパー片(30)に当たってはみ出しを阻止される。
また、蓋体(10A)をプロテクタ本体(20A)に被せる際には、ストッパー片(30)を底壁(21)側に屈曲し、プロテクタ本体(20A)内に挿通した電線(51)を底壁(21)側に押し込む。そのため、プロテクタ本体(20A)と蓋体(10A)との間に電線(51)が噛み込まれることはない。
ここで、ストッパー片(30)は、開口(35)が形成された基部で屈曲し易くされている。そこで、ストッパー片(30)の幅を広げた場合でも、ストッパー片(30)を屈曲する際の反発力が所定以上に大きくなるのを抑制できる。したがって、電線群(50)の挿通方向に沿ったストッパー片(30)の押さえ範囲を拡張する場合には、ストッパー片(30)の幅を広げることで、幅W2を所定以下に制限した羽根部(530)の本数に比べてストッパー片(30)の本数を減らすことができる。その結果、ストッパー片(30)の押さえ範囲を拡張する場合でも、ストッパー片(30)を押さえる回数が多くなるのを抑制することができ、電線群(50)をワイヤハーネス用プロテクタ(1)へ収容する作業性が良くなる。
【0042】
[2] 上記[1]に記載のワイヤハーネス用プロテクタ(1)であって、
前記ストッパー片(30)は、前記側壁(23)の先端から前記側壁(23)と同一方向に突設された一対の突出片(31,31)と、前記一対の突出片(31,31)の先端部を連結して前記開口(35)を区画形成する連結部(33)と、を有し、
前記連結部(33)が、前記側壁(23)の外側面より外側に凸形状となるように形成されたワイヤハーネス用プロテクタ(1)。
【0043】
上記[2]の構成のワイヤハーネス用プロテクタ(1)によれば、側壁(23)の先端から側壁(23)と同一方向に突設された一対の突出片(31,31)の先端を連結して開口(35)を区画形成する連結部(33)が、側壁(23)の外側面より外側に凸形状となるように形成される。即ち、連結部(33)の内側面が、突出片(31)の外側面より外側に位置する。そこで、基部に開口(35)が形成されたストッパー片(30)をプロテクタ本体(20A)に一体成形する成型金型(100)には、アンダーカット部が生じるのを回避することができ、成型金型(100)の構造が複雑になるのを防止できる。その結果、基部に開口(35)が形成されたストッパー片(30)をプロテクタ本体(20A)に一体成形したことによるコスト上昇を抑えることができる。
【0044】
[3] 上記[2]に記載のワイヤハーネス用プロテクタ(1)であって、
複数の前記ストッパー片(30)が、前記底壁(21)の両側縁から立設された前記側壁(23,23)のそれぞれに千鳥状に配置されたワイヤハーネス用プロテクタ(1)。
【0045】
上記[3]の構成のワイヤハーネス用プロテクタ(1)によれば、底壁(21)の両側縁から立設された側壁(23,23)のそれぞれに千鳥状に配置された複数のストッパー片(30)によって、電線群(50)を挿通方向に沿った両側から良好に押さえることができる。
【0046】
[4] 上記[1]~[3]の何れか1つに記載のワイヤハーネス用プロテクタ(1)に電線群(50)を収容する電線収容方法であって、
配索板上に固定された前記プロテクタ本体(20A)に前記電線群(50)を収容する際には、前記側壁(23)の外側面に隣接するように前記配索板上に立設された係止ピン(60)が前記開口(35)に挿通されることにより、前記ストッパー片(30)の先端部が前記側壁(23)より外側に開いた状態で保持される電線収容方法。
【0047】
上記[4]の構成の電線収容方法によれば、プロテクタ本体(20A)に電線群(50)を収容する際、側壁(23)の外側面に隣接するように立設された係止ピン(60)がストッパー片(30)の開口(35)に挿通される。これにより、ストッパー片(30)は、先端部が側壁(23)より外側に開いた状態で保持される。そこで、プロテクタ本体(20A)の収容部(22)に電線群(50)を挿通する際には、電線群(50)がストッパー片(30)の先端部に引っ掛かり難くなり、電線収容作業が容易となる。そして、プロテクタ本体(20A)に電線群(50)を収容した後は、係止ピン(60)をストッパー片(30)の開口(35)から抜くことで、ストッパー片(30)は屈曲自在となるので、ストッパー片(30)により電線(51)を底壁(21)側に押し込むことができる。
【符号の説明】
【0048】
1…ワイヤハーネス用プロテクタ
10A…蓋体
20A…プロテクタ本体
21…底壁
22…収容部
23…側壁
30…ストッパー片
35…開口
50…電線群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9