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特開2023-183198移動体、移動体の電力制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183198
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】移動体、移動体の電力制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231220BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231220BHJP
   B60L 58/20 20190101ALI20231220BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20231220BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/02 J
B60L58/20
B60L53/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096695
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕
(72)【発明者】
【氏名】久保田 裕孝
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 俊康
(72)【発明者】
【氏名】小林 克明
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB06
5G503FA06
5G503GB03
5H125AA13
5H125AC13
5H125BB07
5H125BB09
5H125BC29
5H125CB02
5H125EE01
5H125EE23
(57)【要約】
【課題】電力をより有効に活用できる。
【解決手段】モータと、第一バッテリと、モータと第一バッテリとを接続する第一電線と、制御機器と、第二バッテリと、制御機器と第二バッテリとを接続する第二電線と、第一電線と第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、第一バッテリ及び第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、モータの駆動時に、第二電力変換器で第二バッテリの電力を第一電線に供給する放電アシストモードと、モータの回生時に、第二電力変換器で第二電線に電力を供給し、第二バッテリを充電する充電アシストモードと、第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、第一バッテリの電力を第二電力変換器で第二電線に電力を供給し、第二バッテリを充電し、かつ、制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を実行させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
第一バッテリと、
前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、
制御機器と、
第二バッテリと、
前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、
前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、
前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、
前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、
前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を実行させる移動体。
【請求項2】
前記第二電線に配置され、前記第二電線を介して前記制御機器に供給される電圧を前記制御機器で使用可能な電圧に変換する第二電力変換器を有する請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第一電線の電圧値を取得し、
前記電圧値が、第1閾値以下の場合、前記放電アシストモードを実行し、
前記電圧値が、第2閾値以上の場合、前記充電アシストモードを実行する請求項1に記載の移動体。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第一バッテリの充電可能電流及び放電可能電流を取得し、
前記放電可能電流以上の放電が必要である場合、前記放電アシストモードを実行し、
前記充電可能電流以上の充電が必要である場合、前記充電アシストモードを実行する請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
前記コントローラは、前記モータの駆動時に、前記モータの必要電力が前記第一バッテリの電力よりも低い場合、前記第二バッテリから前記モータに電力を供給せず、前記第一バッテリから前記モータに電力を供給し、
前記モータの必要電力が第一バッテリの電力よりも高く、かつ、前記第一バッテリと前記第二バッテリから前記モータに供給できる合計電力よりも低い場合、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリから電力を供給する請求項1に記載の移動体。
【請求項6】
前記第一バッテリは、着脱可能である請求項1に記載の移動体。
【請求項7】
モータと、第一バッテリと、前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、
制御機器と、第二バッテリと、前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備える移動体の電力制御方法であって、
前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、
前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、
前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を実行させる移動体の電力制御方法。
【請求項8】
モータと、第一バッテリと、前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、制御機器と、第二バッテリと、前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備える移動体を制御するプログラムであって、
前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、
前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、
前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、前記コントローラで実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体の電力制御方法、移動体及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体として、バッテリの電力でモータを駆動させる移動体がある。特許文献1には、バッテリの充電を回生動作でも実行する移動体で、バッテリとモータとの間に2つのコンバータを設け、回生動作で入力される電流の大きさにより、コンバータの動作を切り替えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6693446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、コンバータを2つ備えることで、回生動作の充電を効率よく実行しているが、電力をより有効に活用することが求められる。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、電力をより有効に活用できる移動体、移動体の電力制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動体は、モータと、第一バッテリと、前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、制御機器と、第二バッテリと、前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を実行させる。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動体の電力制御方法は、モータと、第一バッテリと、前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、制御機器と、第二バッテリと、前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備える移動体の電力制御方法であって、前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を実行させる。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、モータと、第一バッテリと、前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、制御機器と、第二バッテリと、前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備える移動体を制御するプログラムであって、前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を前記コントローラで実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電力をより有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る移動体システムの模式図である。
図2図2は、移動体の構成の模式図である。
図3図3は、移動体の電力供給の概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、移動体の電力制御方法の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、放電アシストモードの処理を説明する説明図である。
図6図6は、充電アシストモードの処理を説明する説明図である。
図7図7は、第二バッテリ充電モードの処理を説明する説明図である。
図8図8は、待機モードの処理を説明する説明図である。
図9図9は、移動体の電力制御方法の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第一バッテリの充電率と設定との関係を説明図である。
図11図11は、第二バッテリの充電率と設定との関係を説明図である。
図12図12は、移動体の電力制御方法の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、移動体の電力制御方法の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、移動体の電力供給の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(移動体システムの全体構成)
図1は、第1実施形態に係る移動体システムの模式図である。図1に示すように、第1実施形態に係る移動体システム1は、複数の移動体10及び充電装置12と、バッテリ交換装置14と、管理装置16を含む。移動体システム1は、設備に所属する移動体10を制御するシステムである。設備は、例えば倉庫など、物流管理される設備であるが、それに限られず任意の設備であってよく、例えば屋外であってもよい。移動体システム1においては、移動体10を設備の領域内で移動させる。領域は、例えば設備の床面である。移動体システム1は、移動体10を、設備の作業エリア2とバッテリ管理エリア4とで移動させる。作業エリア2は、移動体10を移動させ、荷役の搬送等の作業を実行させる領域である。バッテリ管理エリア4は、充電装置12と、バッテリ交換装置14と、を有し、移動体10の充電や、移動体10に搭載されているバッテリの交換を行う。
【0013】
充電装置12は、移動体10に電力を供給して、移動体10に搭載されたバッテリを充電する。バッテリ交換装置14は、移動体10に搭載されているバッテリを交換する。つまりバッテリ交換装置14は、使用された移動体10のバッテリを、充電済みのバッテリに交換する。
【0014】
管理装置16は、少なくとも、移動体10の移動に関する情報や移動体10の充電に関する情報などを演算する装置、いわゆる地上システムである。ただし、管理装置16の設置位置などは任意であり、いわゆる地上システムに限られない。管理装置16は、コンピュータであり、演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む記憶装置や、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路の演算装置とを含む。管理装置16は、各移動体10が搬送する荷役の選定や、移動経路の算出し、移動体10の移動を管理する。また、管理装置16は、移動体10のバッテリの残量等に基づいて、バッテリへの充電やバッテリの交換を実行するタイミングの算出を行い、移動体10のバッテリの状態の管理を行う。
【0015】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。移動体10は、自動で移動可能な装置である。移動体10は、自動で移動可能な任意のビークルであってよいが、例えば、非ホロノミック系で真横に移動できない移動体である。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、より詳しくはいわゆるAGF(Automated Guided Forklift)である。図2に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26と、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、前方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、後方向とする。
【0016】
センサ26は、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び姿勢の少なくとも1つを検出する。センサ26は、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の姿勢とを検出するともいえる。本実施形態では、センサ26は、それぞれのマスト22の側面と、車体20の後方向側とに設けられている。ただし、センサ26の設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。例えば、移動体10に設けられる安全センサを、センサ26として流用してもよい。安全センサを流用することで、新たにセンサを設ける必要がなくなる。
【0017】
センサ26は、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26は、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26は、いわゆる2D-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26は、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3D-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0018】
(移動体の電源構成)
次に、移動体10の電源構成について説明する。図3は、移動体の電力供給の概略構成を示すブロック図である。移動体10は、コントローラ30と、第一バッテリ32と、第二バッテリ34と、第一電力変換器36と、第二電力変換器38と、インバータ40と、モータ42と、制御機器44と、第一電線50と、第二電線52と、を含む。
【0019】
ここで、モータ42は、移動体10の移動用の駆動源のモータや、フォーク24等を移動させる荷役作業用のモータである。モータ42は、駆動時に供給された電力で駆動される。また、モータ42は、回生動作が可能であり、ブレーキ動作時、減速動作時に、電力を生成する。
【0020】
インバータ40は、モータ42と接続され、第一電線50に配置されている。インバータ40は、モータ42の駆動電圧、電流を制御する機器である。インバータ40は、例えば、AC/DCコンバータであり、第一電線50の直流を交流に変換してモータ42に供給する。つまり、モータ42の駆動時に、第一電線50からモータ42に供給される直流を交流に変換する。また、インバータ40は、モータ42から供給される交流を直流に変換して第1電線に供給する。つまり、モータ42の回生時にモータ42から第一電線50に供給される交流を直流に変換する。
【0021】
制御機器44は、移動体10の各部の動作を制御する機器である。制御機器40は、通信機器、演算機器、記憶機器を有し、管理装置16から入力される情報に基づいて、動作を制御する。通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶機器は、演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。演算機器は、例えばCPUなどの演算回路を含む。
【0022】
第一電線50は、第一バッテリ32と、第一電力変換器36と、インバータ40とを接続する。第二電線52は、第二バッテリ34と、第一電力変換器36と、第二電力変換器38とを接続する。
【0023】
第一バッテリ32は、第一電線50を介してインバータ40と接続する。第一バッテリ32は、基本的に、モータ42を駆動するための電力を供給するバッテリであり、モータ42の使用電圧に合わせた電力を供給することができる。第一バッテリ32は、繰り返し充電、放電が可能な二次電池である。第一バッテリ32として、種々の二次電池を用いることができ、例えばリチウムイオン電池、全固体電池、鉛電池等を用いることができる。第一バッテリ32は、移動体10に対して着脱可能であり、バッテリ交換装置14で交換することができる。
【0024】
第二バッテリ34は、第二電線52を介して第二電力変換器38と接続する。第二バッテリ34は、基本的に、制御機器44、コントローラ30を駆動するための電力を供給するバッテリであり、制御機器44、コントローラ30の使用電圧に合わせた電力を供給することができる。第二バッテリ34は、第一バッテリ32よりも低い電圧で電力を供給する。
【0025】
第二バッテリ34は、繰り返し充電、放電が可能な二次電池である。第二バッテリ34として、種々の二次電池を用いることができ、例えばリチウムイオン電池、全固体電池、鉛電池等を用いることができる。第二バッテリ34は、移動体10に対して固定される。
【0026】
第一電力変換器36は、第一電線50と、第二電線52との間に配置される。第一電圧変換器36は、DC/DCコンバータである。第一電力変換機器36は、コントローラ30の制御に基づいて、電力の流れる方向を制御することができる。第一電力変換器36は、第一電線50から第二電線52に電力が供給されるように、第一電線50の電力を、第二電線52を流れる電力の値に合わせる変換ができる。第一電力変換器36は、第二電線52から第一電線5に電力が供給されるように、第二電線52の電力を、第一電線50を流れる電力の値に合わせる変換ができる。
【0027】
第二電力変換器38は、第二電線52と、制御機器44及びコントローラ30と、を接続する。第二電力変換器38は、第二電線52から供給される電力を、制御機器44及びコントローラ30の規格に合わせて変換して、制御機器44及びコントローラ30に供給する。
【0028】
コントローラ30は、移動体10の電力の供給と充電を制御する機器である。コントローラ30は、各部の電流、電圧と、モータ42、制御機器44の要求電力等に基づいて、第一バッテリ32、第二バッテリ34、第一電力変換器36を制御し、充電、放電を制御する。コントローラ30は、通信機器、演算機器、記憶機器を有し、管理装置16から入力される情報に基づいて、動作を制御する。通信方式は、本実施形態では有線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶機器は、演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。演算機器は、例えばCPUなどの演算回路を含む。
【0029】
コントローラ30は、制御機器44からモータ42の要求出力、各部の動作状態を取得し、第一電線50の電流値、電圧値、第二電線52の電流値、電圧値、第一バッテリ32の充電率、第二バッテリ34の充電率等の情報を取得する。コントローラ30は、取得した情報に基づいて、第一電力変換器36を制御し、第一バッテリ32、第二バッテリ34の充放電を制御する。コントローラ30は、放電アシストモード、充電アシストモード、第二バッテリ充電モード、待機モード等を切り替える。
【0030】
次に、図4から図8を用いて、移動体の電力制御方法について説明する。図4は、移動体の電力制御方法の一例を示すフローチャートである。図5は、放電アシストモードの処理を説明する説明図である。図6は、充電アシストモードの処理を説明する説明図である。図7は、第二バッテリ充電モードの処理を説明する説明図である。図8は、待機モードの処理を説明する説明図である。図4に示す処理は、コントローラ30が各部から情報を取得し、各部の動作、主に第一電力変換器36の動作を制御することで実行する。コントローラ30は、図4の処理を繰り返し実行する。
【0031】
コントローラ30は、第一バッテリ32、第二バッテリ34の充電率情報を取得する(ステップS12)。次に、コントローラ30は、第一電線50の電圧値を取得する(ステップS14)。なお、ステップS12の処理と、ステップS14の処理は、並行して処理しても、逆の順番で処理してもよい。
【0032】
コントローラ30は、電圧値が第1閾値以下であるかを判定する(ステップS16)。ここで、第1閾値は、予め設定した値である。第1閾値は、モータの駆動に必要な電圧よりも低い値である。つまり、電圧値が第1閾値以下の場合、第一電線の電圧がモータの駆動に必要な電圧に到達していない状態となる。
【0033】
コントローラ30は、電圧値が第1閾値以下である(ステップS16でYes)と判定した場合、放電アシストモードを実行し(ステップS18)、本処理を終了する。ここで、放電アシストモードは、モータの駆動時に、第二バッテリの電力をモータ42に供給するモードである。つまり、移動体10は、図5に示すように、第二バッテリ34の電力を第2電線52の経路102で第一電力変換器36に供給し、第一電力変換器36で、第一電線50に供給可能な電圧に変換し、第一電線50の経路104でインバータに供給する。また、移動体10は、第一バッテリ32の電力を第一電線50の経路106でインバータ40に供給する。さらに、移動体10は、第二バッテリ34の電力を第2電線52の経路108で第二電力変換器38に供給する。これにより、モータ42には、第一バッテリ32、第二バッテリ34の両方から電力が供給される。
【0034】
コントローラ30は、電圧値が第1閾値以下ではない(ステップS16でNo)と判定した場合、電圧値が第2閾値以上であるかを判定する(ステップS20)。第2閾値は、予め設定される値であり、第一バッテリ32で充電可能な電圧に基づいて設定される。
【0035】
コントローラ30は、電圧値が第2閾値以上である(ステップS20でYes)と判定した場合、充電アシストモードを実行し(ステップS22)、本処理を終了する。ここで、充電アシストモードは、モータ42の回生で生じた電力を、第一バッテリ32と第二バッテリ34の両方に供給する。移動体10は、図6に示すように、モータ42の回生で発生した電力を、インバータ40を介して第1電線50の経路112で第一バッテリ32に供給し、第一バッテリ32を充電する。また、移動体10は、モータ42の回生で発生した電力を、インバータ40を介して第1電線50の経路114で第一電力変換器367に供給し、第一電力変換器36で第二電線52に供給可能な電圧に変換し、第二電線52の経路116で第二バッテリ34に供給する。さらに、移動体10は、第二バッテリ34の電力を第2電線52の経路108で第二電力変換器38に供給する。なお、移動体10は、第一電力変換器36から供給される電力を第二電力変換器38に供給されてもよい。
【0036】
コントローラ30は、電圧値が第2閾値以上ではない(ステップS20でNo)と判定した場合、第一バッテリの充電率が第3閾値以上、かつ、第二バッテリの充電率が第4閾値以下であるかを判定する(ステップS24)。第3閾値、第4閾値は、予め設定された値である。第3閾値は、第一バッテリ32の充電率に余裕があり、一部の電力を放出してもモータ42の駆動に影響がないと判定できる値である。第4敷地は、第二バッテリ34の充電率が低く、制御機器44への電力供給可能な期間が短いと判定できる値である。
【0037】
コントローラ30は、第一バッテリの充電率が第3閾値以上、かつ、第二バッテリの充電率が第4閾値以下であるか(ステップS24でYes)と判定した場合、第二バッテリ充電モードを実行し(ステップS26)、本処理を終了する。ここで、第二バッテリ充電モードは、第一バッテリ32の電力を、第一電力変換器36を介して第二バッテリ34に供給し、第二バッテリ34を充電する。移動体10は、図7に示すように、、第一バッテリ32の電力を第一電線50の経路120で第一電力変換器36に供給し、第一電力変換器36で第二電線52に供給可能な電圧に変換し、第二電線52の経路116で第二バッテリ34に供給する。これにより、第二バッテリ34を充電する。さらに、移動体10は、第一電力変換器36から供給される電力を第二電線52の経路124で第二電力変換器38に供給する。
【0038】
コントローラ30は、第一バッテリの充電率が第3閾値以上、第二バッテリの充電率が第4閾値以下の少なくとも一方を満たさない(ステップS24でNo)と判定した場合、待機モードを実行し(ステップS28)、本処理を終了する。待機モードは、第一電力変換器36を介した第一電線50と第二電線52との間の電力の移動を行わない処理である。つまり、第一電線50と第二電線52とが繋がっていない状態と同様の処理である。移動体10は、図8に示すように、第一電線50の経路130で、第一バッテリ32とインバータ40との間で電力が供給され、モータ42の駆動と回生、第一バッテリ32の充電、放電が行われる。移動体10は、第二電線52の経路132で、第二バッテリ34から第二電力変換器38に電力が供給される。つまり、待機モードは、第一バッテリ32のみからモータ42に電力が供給され、モータ42で発生した回生電力は、第一バッテリ32のみに供給され、第二バッテリ34とモータ42との間での電力の授受が行われない。また、待機モードは、第二バッテリ34のみから第二電力変換器38に電力が供給され、第一バッテリ32から第二電力変換器38に電力が供給されない。
【0039】
移動体10は、以上のように、第一電力変換器36を有する電源回路を形成し、コントローラ30で第一電力変換器36の設定を制御し、放電アシストモード、充電アシストモード、第二バッテリ充電モードを実行可能とし、また、条件に応じて、放電アシストモード、充電アシストモード、第二バッテリ充電モード、待機モードを切り替えることで、第一バッテリ32、第二バッテリ34の電力を効率よく利用することができる。
【0040】
また、移動体10は、放電アシストモードを実行することで、第一バッテリ32から放出できる電圧以上の電圧が必要な場合、第二バッテリ34から電力を供給することができ、モータ42の出力をより高くすることができる。また、本実施形態のように、電圧値が第1閾値以下の場合は、放電アシストモードを実行し、電圧値が第1閾値より高い場合は、放電アシストモードを実行しない、つまり、第二バッテリ34からモータ42に電力を供給せず、第一バッテリ32のみからモータに電力を供給することで、第一バッテリ32、第二バッテリ34の状態、例えば充電率に基づいた制御を行うことができる。一例として、必要ない場合に第二バッテリの電力を消費することを抑制できる。
【0041】
また、移動体10は、充電アシストモードを実行することで、モータ42の回生で発生した電力を有効に活用することができる。つまり、モータ42の回生で発生した電力が充電に使用されず、放電されることを抑制できる。また、本実施形態のように、電圧値が第2閾値以上の場合は、充電アシストモードを実行し、電圧値が第2閾値より低い場合は、充電アシストモードを実行しない、つまり、モータ42から電力を第二バッテリ34に供給せず、第一バッテリ32のみ充電することで、第一バッテリ32、第二バッテリ34の状態、例えば充電率に基づいた制御を行うことができる。一例として、容量が大きく、電力をより多く消費する第一バッテリ32を優先して充電することができる。また、第一バッテリ32のみを充電することで、第一電力変換器36での電力の変換が生じないため、充電効率を高くできる。
【0042】
また、移動体10は、第二バッテリ充電モードを実行することで、モータ42の回生で発生した電力第二バッテリ充電モードを実行することで、制御機器44を駆動させる第二バッテリ34の電力が低下することにより、移動体10の制御が停止することを抑制できる。
【0043】
また、移動体10は、待機モードを実行可能とすることで、独立した制御も可能となり、必要ない場合に、第一電力変換器36で電力の変換を行い、変換で生じる電力消費を抑制できる。
【0044】
なお、コントローラ30は、ステップS16、ステップS20、ステップS24の判定処理を別々の処理として実行してもよい。また、モータの力行時に、ステップS16の判定を行い、モータの回生時にステップS20の処理を行うようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態の移動体10は、第二電力変換器38を設けることで、制御機器44に供給する電力を適切に制御することができるが、これに限定されない。移動体10は、第二電力変換器38を備えない構成としてもよい。この場合、第二バッテリ34、第一電力変換器36で、電流電圧を制御する。
【0046】
ここで、コントローラ30の各モードの判定基準は、電圧値に限定されない。図9は、移動体の電力制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0047】
コントローラ30は、第一バッテリ32、第二バッテリ34の充電率情報を取得する(ステップS12)。次に、コントローラ30は、第一バッテリ32の充放電可能電流を算出する(ステップS32)。充放電可能電流は、放電可能電流と、充電可能電流である。放電可能電流は、第一バッテリ32の放電時に放電可能な最大電流である。充電可能電流は、第一バッテリ32が充電時に利用可能な最大電流である。充放電可能電流は、第一バッテリ32の充電率や、設計値等から算出できる。なお、ステップS12の処理と、ステップS34の処理は、並行して処理しても、逆の順番で処理してもよい。
【0048】
コントローラ30は、第一バッテリ32の放電可能電流以上の放電が不要であるかを判定する(ステップS34)。コントローラ30は、制御機器44からモータ42の駆動に必要な電力の情報を取得し、必要な電力が、第一バッテリ32の放電可能電流以上であるかを判定する。
【0049】
コントローラ30は、モータ42で第一バッテリ32の放電可能電流以上の放電が必要である(ステップS34でNo)と判定した場合、放電アシストモードを実行し(ステップS18)、本処理を終了する。つまり、第一バッテリ32と第二バッテリ34の両方から電力を供給し、モータ42等の負荷に必要な電力を供給する。
【0050】
コントローラ30は、モータ42で第一バッテリ32の放電可能電流以上の不要である(ステップS34でYes)と判定した場合、第一バッテリ32の充電可能電流以上の充電が必要であるかを判定する(ステップS36)。つまり、モータ40が回生状態であり、モータ40から供給される電力(放電)が充電可能電流以上であるかを判定する。
【0051】
コントローラ30は、モータ42から第一バッテリ32の充電可能電流以上の充電が必要である(ステップS36でYes)と判定した場合、充電アシストモードを実行し(ステップS22)、本処理を終了する。
【0052】
コントローラ30は、充電可能電流以上の充電が必要ない(ステップS36でNo)、充電可能電流以上の充電が不要であると判定した場合、第一バッテリの充電率が第3閾値以上、かつ、第二バッテリの充電率が第4閾値以下であるかを判定する(ステップS24)。
【0053】
コントローラ30は、第一バッテリの充電率が第3閾値以上、かつ、第二バッテリの充電率が第4閾値以下である(ステップS24でYes)と判定した場合、第二バッテリ充電モードを実行し(ステップS26)、本処理を終了する。
【0054】
コントローラ30は、第一バッテリの充電率が第3閾値以上、第二バッテリの充電率が第4閾値以下の少なくとも一方を満たさない(ステップS24でNo)と判定した場合、待機モードを実行し(ステップS74)、本処理を終了する。
【0055】
このように、第一バッテリの状態と、必要な放電電力、供給される回生電力に基づいて、モードを判定してもよい。
【0056】
図10は、第一バッテリの充電率と設定との関係を説明図である。図11は、第二バッテリの充電率と設定との関係を説明図である。図10及び図11に示すように、第一バッテリ、第二バッテリは、充電率(SOC)に基づいて放電可能電力、放電可能電流、充電可能電力、充電可能電流が変化する。移動体10は、充電率を検出し、充電率に基づいて、放電可能電力、放電可能電流、充電可能電力、充電可能電流を算出し、算出した値に基づいて実行するモードを決定することで、第一バッテリ、第二バッテリの充放電をより好適に制御することができる。
【0057】
移動体は、モータの動作状態に応じて、判定処理を切り替えてもよい。図12及び図13は、それぞれ移動体の電力制御方法の一例を示すフローチャートである。図12は、モータ駆動時の制御の一例で、図13は、モータ回生時の制御の一例である。
【0058】
図12に示すように、コントローラ30は、モータ駆動時、つまり、バッテリから電力を供給する場合、第一バッテリ、第二バッテリの充電率情報を取得し(ステップS60)、必要電力を取得する(ステップS62)。必要電力は、モータ42の駆動に必要な電力である。次に、コントローラ30は、制御機器消費電力を取得する(ステップS64)。制御機器消費電力は、制御機器44及びコントローラ30、つまり第二電力変換器38から電力を供給する各部に必要な電力の合計値である。
【0059】
次に、コントローラ30は、合計電力が必要電力以下かを判定する(ステップS66)。ここで、合計電力は、第一バッテリ、第二バッテリから出力できる電力の合計から、制御機器消費電力を減算した値である。コントローラ30は、合計電力が必要電力以下である(ステップS66でYes)と判定した場合、出力不可処理を行い(ステップS68)、本処理を終了する。ここで、出力不可処理とは、要求された出力で駆動出来ないことを通知し、駆動を停止する処理、要求の出力を低下させる情報を出力する処理である。
【0060】
コントローラ30は、合計電力が必要電力以下ではない(ステップS66でNo)と判定した場合、第一バッテリの電力が必要電力以下であるかを判定する(ステップS70)。コントローラ30は、第一バッテリの電力が必要電力以下である(ステップS70でYes)と判定した場合、放電アシストモードを行い(ステップS72)、本処理を終了する。コントローラ30は、第一バッテリの電力が必要電力以下ではない(ステップS70でNo)と判定した場合、待機モードを行い(ステップS74)、本処理を終了する。つまり、コントローラ30は、モータ42に電力を供給する場合、第二バッテリ34からモータ42に電力を供給せず、第一バッテリ32からモータ42に電力を供給する。
【0061】
移動体10は、モータ駆動時に図12に示す処理を行うことで、第一バッテリ32と第二バッテリ34の充電状態によって、モータ42に供給する電源を適切に切り替えることができる。つまり、第一バッテリ32と第二バッテリ34の両方からモータ42に電力を供給する放電アシストモードと、第一バッテリ32のみからモータ42に電力を供給する待機モードを適切に切り替えることができる。
【0062】
図13に示すように、コントローラ30は、モータ回生駆動時、つまり、バッテリから電力を供給する場合、第一バッテリ、第二バッテリの充電率情報を取得し(ステップS80)、モータから回生電力を取得する(ステップS82)。次に、コントローラ30は、制御機器消費電力を取得する(ステップS84)。
【0063】
次に、コントローラ30は、回生電力が第一バッテリの上限以下であるかを判定する(ステップS86)。コントローラ30は、回生電力が第一バッテリの上限以下ではない(ステップS86でNo)と判定した場合、充電アシストモードを行い(ステップS88)、本処理を終了する。コントローラ30は、回生電力が第一バッテリの上限以下である(ステップS86でYes)と判定した場合、待機モードを行い(ステップS90)、本処理を終了する。
【0064】
このように、移動体10は、移動体10の運転状態に応じて、判定する対象を切り替えてもよい。また、移動体10は、待機モードと判定されている場合、第二バッテリ充電モードを実行するかを判定することもできる。
【0065】
移動体10は、モータ回生時に図13に示す処理を行うことで、第一バッテリ32と第二バッテリ34の充電状態によって、充電するバッテリを適切に切り替えることができる。つまり、第一バッテリ32と第二バッテリ34の両方を充電する充電アシストモードと、第一バッテリ32のみを充電する待機モードを適切に切り替えることができる。
【0066】
図14は、移動体の電力供給の概略構成を示すブロック図である。図14に示す移動体10aは、第一電力変換器の位置を除いて、基本的な構成は、移動体10と同様である。以下移動体10aに特有の構成を説明する。移動体10aは、第一電線50と第二電力変換器38とが接続する。第一電力変換器36は、第二バッテリ34と第一電線50とを接続する。
【0067】
移動体10aは、第一電線50で、第一バッテリ32と第二電力変換器38を接続し、第一電力変換器36が、第二バッテリ34と第一電線50とを接続する構造とした場合でも、コントローラ30で、第一電力変換器36の動作を制御することで、放電アシストモード、充電アシストモード、第二バッテリ充電モード、待機モードとを切り替えることができる。また、移動体10aは、第二バッテリ34の電流、電圧を適切に制御することができる。
【0068】
なお、移動体10のように、第一電線50と第二電線52及び第二電力変換器38との間に第一電力変換器36を配置することで、第一電線50から第二電線52に供給される電流、つまり第一バッテリ32から供給される電流を第一電力変換器36で適切に制御することができる。また、移動体10は、第二電力変換器38を有することで、電圧値が異なるモータ42と制御機器44とに適切な電圧を供給でき、制御機器44を安定して稼働させることができる。
【0069】
本開示は、以下の発明を開示している。なお、下記に限定されない。
(1)モータと、
第一バッテリと、
前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、
制御機器と、
第二バッテリと、
前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、
前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、
前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、
前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、
前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を実行させる移動体。
【0070】
移動体は、第一バッテリと第二バッテリとを備え、放電アシストモードと、充電アシストモードと、第二バッテリ充電モードを実行可能とすることで、モータの駆動、モータからの回生を適切に行うことができる。これにより、移動体の駆動力を高くすることができ、回生電力を有効活用でき、バッテリを効率よく使用でき、第二バッテリの充電を維持して移動体の制御機能を長時間使用可能にできる。
【0071】
(2)前記第二電線に配置され、前記第二電線を介して前記制御機器に供給される電圧を前記制御機器で使用可能な電圧に変換する第二電力変換器を有する(1)に記載の移動体。移動体は、第二電力変換器を有することで、電圧値が異なるモータと制御機器とに適切な電圧を供給でき、制御機器を安定して稼働させることができる。
【0072】
(3)前記コントローラは、前記第一電線の電圧値を取得し、
前記電圧値が、第1閾値以下の場合、前記放電アシストモードを実行し、
前記電圧値が、第2閾値以上の場合、前記充電アシストモードを実行する(1)または(2)に記載の移動体。移動体は、第一電線の電圧値に基づいて、実行するモードを選択することで、適切にモードを切り替えることができる。
【0073】
(4)前記コントローラは、前記第一バッテリの充電可能電流及び放電可能電流を取得し、
前記放電可能電流以上の放電が必要である場合、前記放電アシストモードを実行し、
前記充電可能電流以上の充電が必要である場合、前記充電アシストモードを実行する(1)から(3)のいずれかに記載の移動体。移動体は、第一バッテリの状態に基づいて、実行するモードを選択することで、適切にモードを切り替えることができる。
【0074】
(5)前記コントローラは、前記モータの駆動時に、前記モータの必要電力が前記第一バッテリの電力よりも低い場合、前記第二バッテリから前記モータに電力を供給せず、前記第一バッテリから前記モータに電力を供給し、
前記モータの必要電力が第一バッテリの電力よりも高く、かつ、前記第一バッテリと前記第二バッテリから前記モータに供給できる合計電力よりも低い場合、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリから電力を供給する(1)から(4)のいずれかに記載の移動体。移動体は、モータ駆動時に必要電力に基づいて電力の供給源を切り替えることで適切にモータに電力を供給することができる。
【0075】
(6)前記第一バッテリは、着脱可能である(1)から(5)のいずれかに記載の移動体。移動体は、第一バッテリを着脱可能とすることで、モータを駆動する容量の大きい電力源の充電を移動体から切り離しで実行することができる。これにより、第一バッテリの充電で移動体が使用できない時間を低減することができる。
【0076】
(7)モータと、第一バッテリと、前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、
制御機器と、第二バッテリと、前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備える移動体の電力制御方法であって、
前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、
前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、
前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を実行させる移動体の電力制御方法。
【0077】
第一バッテリと第二バッテリとを備え、放電アシストモードと、充電アシストモードと、第二バッテリ充電モードを実行可能とすることで、モータの駆動、モータからの回生を適切に行うことができる。これにより、移動体の駆動力を高くすることができ、回生電力を有効活用でき、バッテリを効率よく使用でき、第二バッテリの充電を維持して移動体の制御機能を長時間使用可能にできる。
【0078】
(8)モータと、第一バッテリと、前記モータと前記第一バッテリとを接続する第一電線と、
制御機器と、第二バッテリと、前記制御機器と前記第二バッテリとを接続する第二電線と、前記第一電線と前記第二電線とを接続する電線に配置され、双方向で電圧を変換する第一電力変換器と、前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの充電率の情報を取得し、各部の動作を制御するコントローラと、を備える移動体を制御するプログラムであって、
前記モータの駆動時に、前記第二電力変換器で前記第二バッテリの電力を前記第一電線に供給する放電アシストモードと、
前記モータの回生時に、前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電する充電アシストモードと、
前記第二バッテリの充電率が閾値以下の場合、前記第一バッテリの電力を前記第二電力変換器で前記第二電線に電力を供給し、前記第二バッテリを充電し、かつ、前記制御機器に供給する第二バッテリ充電モードと、を前記コントローラで実行させるプログラム。
【0079】
第一バッテリと第二バッテリとを備え、放電アシストモードと、充電アシストモードと、第二バッテリ充電モードを実行可能なプログラムとすることで、モータの駆動、モータからの回生を適切に行うことができる。これにより、移動体の駆動力を高くすることができ、回生電力を有効活用でき、バッテリを効率よく使用でき、第二バッテリの充電を維持して移動体の制御機能を長時間使用可能にできる。
【0080】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0081】
10 移動体
12 充電装置
14 バッテリ交換装置
16 管理装置
30 コントローラ
32 第一バッテリ
34 第二バッテリ
36 第一電力変換器
38 第二電力変換器
40 インバータ
42 モータ
44 制御機器
50 第一電線
52 第二電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14