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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183199
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】調剤薬局管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20231220BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G16H20/10
E05B47/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096696
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 篤士
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】調剤薬局の信頼性を向上できる調剤薬局管理システムを提供すること。
【解決手段】調剤薬局1を管理する調剤薬局管理システムでは、調剤薬局は、第1薬品を取り扱う第1調剤室12と、第1薬品よりも強く規制される第2薬品を取り扱う第2調剤室であって第1調剤室内に設けられる第2調剤室13とを有し、第1調剤室に出入りするための第1ゲート122に設けられ、入室者の本人確認を行う第1本人確認用装置115(2)と、第1調剤室から第2調剤室へ出入りするための第2ゲート132に設けられ、入室者の本人確認を行う第2本人確認用装置115(3)と、第1本人確認用装置および第2本人確認用装置に接続され、第1本人確認用装置による本人確認に成功した場合は第1ゲートを解錠し、第2本人確認用装置による本人確認に成功した場合は第2ゲートを解錠する管理装置110と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調剤薬局を管理する調剤薬局管理システムであって、
前記調剤薬局は、第1薬品を取り扱う第1調剤室と、前記第1薬品よりも強く規制される第2薬品を取り扱う第2調剤室であって前記第1調剤室内に設けられる第2調剤室とを有し、
前記第1調剤室に出入りするための第1ゲートに設けられ、入室者の本人確認を行う第1本人確認用装置と、
前記第1調剤室から前記第2調剤室へ出入りするための第2ゲートに設けられ、入室者の本人確認を行う第2本人確認用装置と、
前記第1本人確認用装置および前記第2本人確認用装置に接続され、前記第1本人確認用装置による本人確認に成功した場合は前記第1ゲートを解錠し、前記第2本人確認用装置による本人確認に成功した場合は前記第2ゲートを解錠する管理装置と、
を備える
調剤薬局管理システム。
【請求項2】
前記第1本人確認用装置は、前記入室者が本人であると確認されると、所定回数または所定期間有効な確認済情報を設定し、前記確認済情報が有効ならば前記入室者を本人であると確認する
請求項1に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項3】
前記第1調剤室には、前記第1薬品を調剤する第1調剤ピッキングシステムが設けられており、
前記第2調剤室には、前記第2薬品を調剤する第2調剤ピッキングシステムが設けられており、
前記管理装置は、受け付けられた処方箋に記載の処方箋情報に基づいて、前記第1調剤ピッキングシステムまたは前記第2調剤ピッキングシステムのいずれか一方または両方を制御する
請求項2に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項4】
前記第1調剤室には受付窓口が設けられており、
前記受付窓口の近傍には前記管理装置に接続される受付用表示装置が設けられ、
前記管理装置は、
前記第1調剤ピッキングシステムおよび前記第2調剤ピッキングシステムの動作状態に基づいて、処方箋ごとの進捗を検出し、
前記検出された処方箋ごとの進捗を前記受付用表示装置に表示させる
請求項3に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項5】
前記第1調剤室には前記管理装置に接続される第1調剤室用表示装置が設けられ、
前記管理装置は、前記第1調剤ピッキングシステムにより調剤されている薬品の情報を前記第1調剤室用表示装置に表示させる
請求項4に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項6】
前記第1調剤ピッキングシステムまたは前記第2調剤ピッキングシステムにより調剤された薬品を収容する薬袋を、前記管理装置により管理される自動配送装置により配送させる
請求項3に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項7】
前記自動配送装置には、前記薬袋を受け取る者を確認する配送用本人確認用装置が設けられている
請求項6に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項8】
前記管理装置は、前記処方箋情報に基づいて、あらかじめ用意された複数の本人確認方法の中から前記配送用本人確認用装置で使用される本人確認方法を選択する
請求項7に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項9】
前記本人確認方法には、前記薬袋を受け取る者が参加している登録制会員交流サービスのアカウント名を用いた本人確認方法が含まれる
請求項8に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項10】
前記自動配送装置は、前記調剤薬局の外部で使用される
請求項8に記載の調剤薬局管理システム。
【請求項11】
前記自動配送装置は、前記管理装置により指定された場所に到着すると、前記薬袋を受け取る者に対して到着した旨を連絡し、前記管理装置により選択された本人確認方法により、前記薬袋を受け取る者が本人であるか確認し、本人確認に成功すると、格納部を解錠する
請求項10に記載の調剤薬局管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤薬局管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
調剤室および劇薬室に不審者が出入りできないように入退室を厳正に管理するシステムが求められている。そのために特許文献1では、危険物などの個々の保管物品に認識検知票を付与して規定の場所に保管しておき、そこへの出入口に認識検知票を検知するスキャナを設け、予め登録された人が持参するIDカードを照合し、保管物品を持ち出した人を監視できる技術を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-43468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、IDカードによる入室管理を一回だけ行っているにすぎないため、不正防止の観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、調剤薬局の信頼性を向上できるようにした調剤薬局管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従う調剤薬局管理システムは、調剤薬局を管理する調剤薬局管理システムであって、調剤薬局は、第1薬品を取り扱う第1調剤室と、第1薬品よりも強く規制される第2薬品を取り扱う第2調剤室であって第1調剤室内に設けられる第2調剤室とを有し、第1調剤室に出入りするための第1ゲートに設けられ、入室者の本人確認を行う第1本人確認用装置と、第1調剤室から第2調剤室へ出入りするための第2ゲートに設けられ、入室者の本人確認を行う第2本人確認用装置と、第1本人確認用装置および第2本人確認用装置に接続され、第1本人確認用装置による本人確認に成功した場合は第1ゲートを解錠し、第2本人確認用装置による本人確認に成功した場合は第2ゲートを解錠する管理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1調剤室に出入りする際に第1本人確認用装置による本人確認を行うと共に、第1調剤室内の第2調剤室に出入りする際にも第2本人確認用装置による本人確認を行うことができ、調剤薬局の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例に係り、調剤薬局管理システムの全体構成図。
図2】本人確認ユニットの構成図。
図3】本人確認ユニットの外観図。
図4】他の本人確認ユニットの外観図。
図5】さらに別の本人確認ユニットの外観図。
図6】調剤サーバの構成図。
図7】入退室可能な薬剤師を登録する処理のフローチャート。
図8】ドアの解錠処理を示すフローチャート。
図9】調剤ピッキングシステムの制御処理を示すフローチャート。
図10】第2実施例に係り、調剤薬局管理システムの全体構成図。
図11】処方箋の受付から調剤指示までの処理を示すフローチャート。
図12】調剤ピッキングシステムの構成を示す説明図。
図13】調剤ピッキングシステムの制御処理を示すフローチャート。
図14】第3実施例に係り、調剤薬局管理システムの全体構成図。
図15】待合室ディスプレイの表示を制御する処理のフローチャート。
図16】調剤室ディスプレイの表示を制御する処理のフローチャート。
図17】第4実施例に係り、自動配送ロボットの構成例を示す説明図。
図18】自動配送ロボットの他の例を示す説明図。
図19】自動配送ロボットによって薬袋を配送する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態の調剤薬局管理システムは、調剤薬局1に出入り可能な薬剤師U1を事前に登録する。本実施形態では、調剤室12内に劇薬室13が設けられており、調剤室12および劇薬室13に出入りするたびに本人確認処理が行われる。劇薬室13への入室が認められた薬剤師に対しては、調剤室での本人確認と劇薬室での本人確認との2段階の本人確認が行われる。
【0010】
「本人確認用装置」としての本人確認ユニット115は、例えば、運転免許証などの顔写真付き本人確認書類を用いて、本人確認を行う。本人確認では、例えば、本人確認書類が真正であるか否か、いま撮影した顔画像と本人確認書類に印刷または記憶された顔画像とが一致するか否か、本人確認ユニットから指示した通りの向きで顔を撮影できるか否かといった複数処理が実施される。後述するように、本人確認処理を簡略化する方法も用意されている。
【0011】
本実施形態では、薬剤師の入室管理を厳正に実施すると共に、調剤作業の自動化(半自動化)も実施する。これにより、本実施形態の調剤薬局管理システムでは、調剤サーバ110から各調剤ピッキングシステム121,131へ指示を出すことにより、入室資格のある薬剤師によって正しく調剤作業が行われるようにしている。
【0012】
本実施形態では、待合室ディスプレイ401と調剤室ディスプレイ402,403を設け、待合室ディスプレイには調剤作業の進捗状況を処方箋ごとに表示し、調剤室ディスプレイ402,403には調剤される薬品名などを表示する。これにより、薬を待つ患者U2は自分の薬が用意されている状況を知ることができ、調剤室および劇薬室では薬剤師が誤った調剤をしないか相互に監視することもできる。
【0013】
本実施形態では、自動配送ロボットを用いることにより、調剤薬局内または調剤薬局外で、薬袋を患者(または患者の代わりに薬袋を受け取る権限を有する者)へ配送することもできる。これにより、調剤薬局の運営人数を減らして運営コストを低減できると共に、薬袋を手渡しする際の人為的ミスの発生を防止できる。
【0014】
このように構成される本実施形態では、調剤薬局1の管理を自動化(または半自動化)することができ、調剤薬局の信頼性を向上させつつ運営コストも低減可能である。
【実施例0015】
図1図9を用いて第1実施例を説明する。図1は、調剤薬局管理システムの全体構成を示す。調剤薬局1では、医療機関2で発行された処方箋101に基づいて薬剤師U1が調剤し、調剤された薬を薬袋102に詰めて患者に渡す。薬袋102には説明書103も添付される。
【0016】
先に医療機関2について説明すると、医療機関2には、処方箋を発行する装置である処方箋管理クライアント211と、処方箋管理クライアント211に接続されたプリンタ212が設けられている。図示せぬ医者が処方箋管理クライアント211に処方情報を入力すると、処方箋プリンタ212は処方箋101を印刷する。
【0017】
調剤薬局1について説明する。調剤薬局1には、受付窓口11、調剤室12および劇薬室13が設けられている。調剤室12は「第1調剤室」の例である。劇薬室13は「第2調剤室」の例である。受付窓口11の前の空間は待合室となっている。受付窓口11には、受付クライアント111と、処方箋読取部112が設けられている。処方箋読取部112で読み取られた処方箋101の情報は、受付クライアント111から調剤サーバ110へ送信される。
【0018】
受付窓口11と調剤室12との間には、管理クライアント114および管理用本人確認ユニット115(1)と、「第1本人確認用装置」としての調剤室用本人確認ユニット115(2)とが設けられている。調剤室用本人確認ユニット115(2)は、薬剤師U1が調剤室12へ入る際に本人確認を行う装置である。調剤室用本人確認ユニット115(2)による本人確認に成功すると、調剤室ドア122の電気錠1221(図6で後述)が解錠される。薬剤師U1の入室後、ドア122は自動的に施錠される。なお、薬剤師U1が調剤室12から出る場合も本人確認してもよい。
【0019】
調剤室12は、薬の調剤を行う空間である。調剤室12の中に劇薬室13が設けられている。調剤室12には、例えば、調剤サーバ110、調剤クライアント116、プリンタ117、普通薬調剤ピッキングシステム121、劇薬室用本人確認ユニット115(3)が設けられている。
【0020】
調剤サーバ110は、調剤薬局1の機能を制御するコンピュータである。調剤クライアント116は、調剤の終わった薬についての説明書103をプリンタ117から印刷させるコンピュータ端末である。
【0021】
劇薬室用本人確認ユニット115(3)は、入室権限を有する薬剤師U1が劇薬室13へ入室する際に本人確認を行う装置であり、「第2本人確認用装置」の例である。劇薬室用本人確認ユニット115(3)での本人確認に成功すると、劇薬室ドア132の電気鍵1321(図6で後述)が解錠される。薬剤師U1の入室後、ドア132は自動的に施錠される。薬剤師U1が劇薬室13から退室する際も本人確認してもよい。ドア122は「第1ゲート」の例である。ドア132は「第2ゲート」の例である。
【0022】
普通薬調剤ピッキングシステム121は、普通薬を収容する普通薬品庫123(図12で後述)の各棚の開閉を制御する。各棚には所定の普通薬が所定数収容されており、それら収容された普通薬の数量などは調剤サーバ110で管理される。
【0023】
劇薬室13に設けられた劇薬用調剤ピッキングシステム131も同様に、劇薬を収容する劇薬薬品庫133(図12で後述)の各棚の開閉を制御する。各棚には所定の劇薬が所定数収容されており、それら収容された劇薬の数量などは調剤サーバ110で管理されている。普通薬は「第1薬品」の例であり、劇薬は「第2薬品」の例である。
【0024】
先に全体の流れを説明する。詳細なフローチャートは後述する。患者U2は、医者から受け取った処方箋101を、調剤薬局1の調剤受付窓口11で薬剤師U1に提出する。薬剤師U1は、受付クライアント111に接続された処方箋読取部112を用いて、処方箋101に記載された情報(処方箋情報)を読み取る。処方箋読取部112は、文字認識機能を備える光学スキャナ装置のように構成される。処方箋読取部112は、文字認識機能を持つスマートフォンでもよい。
【0025】
薬剤師U1は、処方箋読取部112による処方情報の文字認識結果を確認し、問題なければ調剤サーバ110に登録する。文字認識結果に問題があれば、薬剤師U1が訂正して調剤サーバ110に登録する。
【0026】
調剤薬局1を運営する事業者は、管理クライアント114を用いて、調剤室12および劇薬室13に入室可能な薬剤師U1を調剤サーバ110に事前に登録する。管理クライアント114は、管理用本人確認ユニット115(1)および調剤サーバ110に電気的に接続されている。管理用本人確認ユニット115(1)を用いて、運転免許証などの顔写真付き本人確認書類の情報を読み取り、読み取った情報を管理クライアント114から調剤サーバ110に送信して登録させる。
【0027】
調剤室12に入ろうとする薬剤師U1は、調剤室用本人確認ユニット115(2)によって本人であるか確認される。事前登録された薬剤師であるかを確認する本人確認には、例えば運転免許証、旅券などの顔写真付き本人確認書類が使用される。本人確認ユニット115(2)は、本人確認書類の真正性、いま撮影した本人の顔画像と本人確認書類の顔画像との照合、指示した通りの向きで撮影可能であるか(ライブネス撮影画像による即時性)などを確認する。本人確認に成功すると、本人確認ユニット115(2)は本人確認に成功した旨を調剤サーバ110へ送信する。調剤サーバ110は、調剤ドア122の電気錠1221を解錠する。これにより、薬剤師U1は調剤室12へ入室する。
【0028】
調剤サーバ110に登録された処方箋情報は、普通薬調剤ピッキングシステム121に送られる。調剤室12内の薬剤師U1は、処方箋情報にしたがって薬品庫から所定の普通薬を所定量取り出して調剤する。処方箋情報に劇薬が含まれている場合、薬剤師U1は劇薬室用本人確認ユニット115(3)で本人確認を受けて、劇薬室13へ入室する。
【0029】
調剤サーバ110に登録された処方箋情報は、劇薬調剤ピッキングシステム131にも送られている。劇薬室13内の薬剤師U1は、処方箋情報にしたがって劇薬薬品庫から所定の劇薬を所定量取り出して調剤する。
【0030】
調剤が終了すると、薬剤師U1は調剤クライアント116を使用し、プリンタ117から説明書103を印刷出力させる。薬剤師U1は、調剤した薬が収容された薬袋102と説明書103を、受付窓口11にて患者U2に引き渡す。以下、本人確認ユニット115(1)~115(3)を区別しない場合、本人確認ユニット115と略記する。
【0031】
図2は、本人確認ユニット115の構成を示す。本人確認ユニット115は、例えば、制御部1150、ユーザインターフェース部1151、カメラ1152、本人確認書類読取部1153、通信部1154を備える。図中、ユーザインターフェースを「UI」と略記する。
【0032】
制御部1150は、図示せぬプロセッサおよびメモリを有するコンピュータであり、例えば管理コード管理部11501、媒体真正性確認部11502、本人確認部11503を実現させる。
【0033】
管理コード管理部11501は、本人確認ユニット115による本人確認処理を開始させるためのトリガとなる管理コードを発行し、管理する。管理コードは、複数桁の数字、2次元コード、3次元コードなどの形態を取ることができる。管理コードは、薬剤師U1を特定する情報と結びついており、本人確認ユニット115の前にいる人物が登録された薬剤師U1であるか否かを確認するための本人確認処理を開始させる。なお、薬剤師U1の数が少ない場合、管理コードを用いて本人確認を開始しなくてもよい。
【0034】
媒体真正性確認部11502は、本人確認書類が真正なものであるか確認する。媒体真正性確認部11502は、例えば、本人確認書類の両面に記載された文字列および数列の整合性、透かしの有無、本人確認書類に内蔵されたICチップの有無、ICチップの製造番号などから、本人確認書類が本物であるか判定する。
【0035】
本人確認部11503は、本人確認ユニット115の前に立つ人物が事前登録された薬剤師U1であるか判定する。本人確認部11503は、本人確認書類の券面に印刷された画像または本人確認書類に内蔵されたICチップに記録された画像と、カメラ1152で撮影された画像とを比較することにより、管理コードを入力した者が薬剤師本人であるか判定する。
【0036】
本人確認部11503は、薬剤師U1に対して顔の向きなどを指示し、指示にしたがった薬剤師U1の顔を撮影することにより、なりすましを防止することもできる。
【0037】
本人確認部11503は、顔画像の照合による本人確認処理だけでなく、指静脈など生体情報に基づく本人確認処理なども可能である。さらに後述のように、本人確認部11503は、簡略化された本人確認処理を実行することもできる。
【0038】
ユーザインターフェース部1151は、本人確認ユニット115を操作する薬剤師U1との間で情報を交換する装置である。ユーザインターフェース部1151は、情報を出力して提供する機能と、入力される情報を受け取る機能を持つ。ユーザインターフェース部1151は、例えば、タッチパネル、マイクロフォン、スピーカなどを備える。タッチパネル、マイクロフォン、スピーカなどを備えるタブレット端末をユーザインターフェース部1151として使用することもできる。
【0039】
カメラ1152は、薬剤師U1の画像を撮影する。カメラ1152は連続的に撮影することもできる。カメラ1152は、一つでもよいし、複数でもよい。
【0040】
本人確認書類読取部1153(以下、読取部113と略記することがある。)は、本人確認書類から情報を読み取る装置である。読取部1153は、本人確認書類の両面に印刷された情報と、本人確認書類に内蔵されたICチップに記録された情報とを読み取ることができる。読取部1153は、薬剤師U1の指静脈パターンなどの生体情報を読み取る機能を備えてもよい。
【0041】
通信部1154は、調剤サーバ110と双方向通信する装置である。通信部1154は、有線または無線の通信手段を介して、調剤サーバ110に接続される。
【0042】
図3図5を用いて、本人確認ユニット115の外観形態の幾つかの例を説明する。以下に述べる例以外の外観であってもよい。
【0043】
図3は、組込み一体型のユーザインターフェース部1151を備える本人確認ユニット15の例である。ユーザインターフェース部1151の近傍にはカメラ1152とスピーカ1154が配置されている。ユーザインターフェース部1151の下側には読取部1153が設けられている。
【0044】
読取部1153は、例えば、複数の光源を用いることで、載置された本人確認書類の表面と裏面とからほぼ同時に情報を読み取ることができる。読取部1153は、殺菌用の紫外線光源を備えてもよい。
【0045】
図4は、タブレット端末をユーザインターフェース部1151として使用する縦型の本人確認ユニット115Aを示す。図5は、同じくタブレット端末をユーザインターフェース部1151として使用する横型の本人確認ユニット115Bを示す。
【0046】
図6は、調剤サーバ110の構成を示す。調剤サーバ110は、例えば、メモリ1101、プロセッサ1102、ユーザインターフェース部1103、通信部1104を備えるコンピュータとして構成される。
【0047】
メモリ1101は、管理コード発行部11011、薬剤師情報管理部11012を実現するための所定のコンピュータプログラムを記憶する。プロセッサ1102がそれらのコンピュータプログラムを実行することで、上述の機能11011,11012が実現される。ユーザインターフェース部1103は、調剤サーバ110を操作する薬剤師U1との間で情報を交換する装置である。
【0048】
ユーザインターフェース部1103は、例えば、モニタディスプレイ、キーボード、マウス、マイクロフォン、スピーカなどを備える。ユーザインターフェース部1103は、調剤薬局1内に設置された監視カメラ(図示せず)の映像を映し出すこともできる。調剤サーバ110を操作する薬剤師U1は、本人確認ユニット115による本人確認の状況と、監視カメラの映像とを同時に把握することもできる。
【0049】
通信部1104は、有線または無線の通信手段により、各本人確認ユニット115および各電気錠1221,1321と接続されている。
【0050】
調剤サーバ110は、本人確認ユニット115による本人確認の結果に応じて、電気鍵1221,1321へ制御信号を出力し、施錠または解錠させる。調剤室12の前に来た薬剤師U1が本人確認ユニット115(1)により薬剤師本人であると確認されると、調剤サーバ110は、調剤室ドア122の電気錠1221を解錠させる。これにより、薬剤師U1は、調剤室12内に入ることができる。
【0051】
調剤室12内の薬剤師U1が劇薬室13に入る場合、劇薬室ドア132の近くの本人確認ユニット115(2)により、薬剤師U1の本人確認が再び実施される。本人確認ユニット115(2)により薬剤師本人であると確認されると、調剤サーバ110は、劇薬室ドア132の電気鍵1321を解錠させる。
【0052】
図7は、調剤室12または劇薬室13へ入室可能な薬剤師U1を登録する処理を示すフローチャートである。図7の下側には、調剤薬局管理システムに登録される薬剤師を管理する情報T1の概要が示されている。以下では、薬剤師が調剤室12へ入室する場合と劇薬室13へ入室する場合を区別せずに説明する。
【0053】
事業者または事業者から委任された薬剤師U1(以下、管理者)は、管理クライアント114を用いて、調剤サーバ110にアクセスし、薬剤師の氏名などの個人情報C11~C14を登録する(S101)。個人情報には、例えば氏名C11、住所C12、連絡先C13、薬剤師の資格種別C14などがある。連絡先C13には、例えば電話番号、電子メールアドレス、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のアカウント名などが含まれる。
【0054】
さらに、管理者は、薬剤師が本人であるか確認するための認証情報C16を登録する(S102)。認証情報としては、例えば本人確認書類の種類、書類番号、暗証番号、生体情報などがある。生体情報としは、例えば指紋、虹彩、指静脈パターン、薬剤師の顔画像などがある。
【0055】
管理者は、入室権限C15を設定する。入室権限C16は、登録した薬剤師が調剤室12のみ入室可能なのか、それとも調剤室12および劇薬室13の両方へ入室可能なのかを示す情報である。曜日や時間帯で入室権限を設定してもよい。例えば、パートタイムで勤務する薬剤師の場合、その勤務時間帯のみ調剤室12へ入室可能に設定できる。
【0056】
その他C17には、後述する確認済フラグの値などを記憶させる。確認済フラグは、いったん本人確認に成功した場合に、所定回数または所定期間だけ本人確認を簡略化させるための情報である。
【0057】
図8は、ドア122,132の施解錠処理を示すフローチャートである。本人確認ユニット115は、本人確認を受けようとする薬剤師から文字入力などによって管理ID C10を取得すると(S111)、薬剤師管理情報T1を参照し、その管理IDが存在するか判定する(S112)。
【0058】
存在しない管理IDの場合(S112:NO)、入力ミスまたは光学的読み取りエラーの場合もあり得るため、ステップS111へ戻る。存在しない管理IDが所定回数入力された場合、図示せぬエラー処理を実行する。エラー処理では、例えば「その管理IDは登録されていません。」などのメッセージを、音声または文字、あるいは、音声および文字で出力する。
【0059】
本人確認ユニット115は、読取部1153に置かれた本人確認書類の真正性を確認し(S113)、本人確認書類が真正であると判断すると(S114:YES)、本人確認書類から顔画像を取得する(S115)。
【0060】
薬剤師U1が本人確認書類を忘れた場合、読取部1153は本人確認書類から情報を読み取ることができないため、本人確認書類は真正ではないと判断される(S114:NO)。この場合、確認済フラグの有無が判定される(S116)。確認済フラグとは、過去に本人確認に成功したことを示す情報である。確認済フラグが薬剤師管理情報T1に設定されている場合(S116:YES)、薬剤師管理情報T1に登録されている薬剤師の顔画像が読み出され、カメラ1152で撮影された画像と照合される。
【0061】
本人確認ユニット115は、カメラ1152で撮影された薬剤師の顔画像と本人確認書類から取得された顔画像とを照合することにより、またはカメラ1152で撮影された薬剤師の顔画像と薬剤師管理情報T1から読み出された薬剤師の顔画像とを照合することにより、薬剤師本人であるか判定する(S117)。
【0062】
本人確認ユニット115を操作している薬剤師が薬剤師管理情報T1に事前登録されている薬剤師本人であると判定されると(S117:YES)、つまり本人確認に成功すると(S117:YES)、調剤サーバ110は、その薬剤師の入室権限を確認する(S118)。
【0063】
調剤サーバ110は、薬剤師が調剤室12へ入室しようとする場合、その薬剤師の入室権限C15に「調剤室入室可」を示す情報が登録されているか確認する。調剤サーバ110は、薬剤師が調剤室12から劇薬室13へ入室しようとする場合、その薬剤師の入室権限C15に「劇薬室入室可」を示す情報が登録されているか確認する。
【0064】
調剤サーバ110は、入室権限ありと判定すると(S119:YES)、ドア122,132の電気錠1221,1321を解錠させる(S120)。そして、調剤サーバ110は、確認済フラグを薬剤師管理情報T1に設定する(S121)。
【0065】
調剤サーバ110が入室権限なしと判定した場合(S119:NO)、エラー処理が実行される(S122)。エラー処理では、例えば「あなたは調剤室(または劇薬室)へ入室できません。」といったメッセージが出力される。警察、警備会社、事業者へ通知してもよい。
【0066】
確認済フラグは、調剤薬局1への入場券の役割を持ち、所定期間または所定回数有効である。所定期間または所定回数には任意の値を設定できる。所定期間は、例えば、「30分間」、「今日一日」などのように設定可能である。所定回数は「1回」、「3回」のように設定可能である。ステップS116で「YES」と判定されると、所定回数は1ずつ減算される。確認済フラグが設定されていない場合(S116:NO)、エラー処理が実施される(S122)。
【0067】
なお、確認済フラグによる本人確認の簡略化を廃止し、調剤室12へ入室する場合および劇薬室13へ入室する場合のいずれの場合も、本人確認書類を用いた厳正な本人確認を実行してもよい。あるいは、薬剤師が調剤室12へ入室する際の本人確認では確認済フラグを使用するが、薬剤師が調剤室12から劇薬室13へ入室する際には本人確認書類を用いた本人確認を行うようにしてもよい。
【0068】
図8では、薬剤師が調剤室12または劇薬室13へ入室する場合の処理を説明したが、薬剤師が調剤室12または劇薬室13から退室する場合にも本人確認を行うようにしてもよい。この場合、いつ誰が退室したかの記録を調剤サーバ110で管理することができるため、薬品の不正な持ち出しなどが発生した場合などに犯人捜しに役立つ。このような利点に代えて、退室時の本人確認は省略してもよい。調剤室12および劇薬室13を監視するように設置された監視カメラの映像を保存しておくことで、いつ誰が退室したのかを特定できるためである。
【0069】
図9は、調剤サーバ110が調剤ピッキングシステム121,131を制御する処理を示すフローチャートである。以下、調剤室12の調剤ピッキングシステム121を制御する場合と、劇薬室13の調剤ピッキングシステム131を制御する場合とを区別せずに説明する。
【0070】
調剤サーバ110は、処方箋101の読み取り結果を受付クライアント111から受信すると(S201)、その処方箋で指定された薬品の保管されている部屋12,13に薬剤師が在室しているか確認する(S203)。
【0071】
薬剤師が在室していない場合(S203:NO)、ステップS202へ戻り、薬剤師が入室するのを待つ。薬剤師が入室すると(S203:YES)、調剤サーバ110は、調剤ピッキングシステムへ指示を出す(S204)。薬剤師が調剤室12または劇薬室13に居ないのに、調剤ピッキングシステム121,131へ指示するのは無駄であるだけでなく、安全管理の面でも好ましくないためである。
【0072】
調剤ピッキングシステムは、調剤サーバ110からの指示を受信すると(S301)、指定された薬品棚(不図示)を開扉させ、処方箋に記載された薬品の取り出しを許可する(S302)。薬剤師が薬品を必要数だけ取り出して薬品棚を閉扉すると、調剤終了と判定される(S303:YES)。薬品棚は閉扉すると自動で施錠される。
【0073】
なお、調剤ピッキングシステム121,131をピッキングロボットと搬送車などで構成し、薬品を画像処理で認識して必要数取り出す構成としてもよい。つまり、調剤ピッキングシステム121,131は自動装置として構成可能である。
【0074】
このように構成される本実施例によれば、調剤室12および劇薬室13へ入室する際に本人確認ユニット115により本人確認を行うため、第三者が無断で調剤室12または劇薬室13へ入室するのを阻止でき、調剤薬局1の信頼性や安全性が向上する。
【0075】
本実施例では、調剤室12での本人確認を確認済フラグにより簡略化可能である一方、劇薬室13へ入室する際の本人確認は簡略化しないため、信頼性および安全性と利便性とを両立させることができる。
【0076】
本実施例では、調剤室12には普通薬調剤ピッキングシステム121を設けると共に、劇薬室13には劇薬用調剤ピッキングシステム131を設けるため、調剤時に人為的ミスが発生するのを防止できる。したがって、第三者の不正な侵入防止と手作業によるミス防止の両方を実現することができ、調剤薬局1の安全性および信頼性が向上する。
【実施例0077】
図10図13を用いて実施例2を説明する。本実施例を含む以下の各実施例では、実施例1との相違を中心に説明する。本実施例では、調剤ピッキングシステム121,131の使用例を説明する。本実施例の調剤薬局管理システムでは、処方箋管理クライアント211は、通信ネットワークCNを介して処方箋管理センタ3の処方箋管理サーバ311に接続されている。
【0078】
詳細は図11とともに後述するが先に簡単に説明すると、処方箋管理センタ3では、複数の医療機関2から処方箋101の情報を処方箋管理サーバ311で受信して管理する。処方箋管理サーバ311は、調剤薬局1の調剤サーバ110からの要求に応じて、処方箋情報を送信する。
【0079】
医療機関2で処方された処方箋情報は、処方箋管理クライアント211に入力され、通信ネットワークCNを介して処方箋管理サーバ311へ送信され、処方箋管理サーバ311に登録される。
【0080】
図11のフローチャートを用いて、本実施例の調剤薬局管理システムの全体処理の概要を説明する。
【0081】
上述の通り、処方箋管理クライアント211は、医者により処方された情報(処方箋情報)を処方箋管理サーバ311へ送信する(S401)。処方箋管理サーバ311は、処方箋管理クライアント211から処方箋情報を受信すると(S501)、受信した処方箋情報を図示せぬデータベースに登録する(S502)。処方箋管理サーバ311は、登録された処方箋情報にアクセスするためのアクセスコードを発行し(S503)、発行されたアクセスコードを処方箋管理クライアント211へ送信する(S504)。
【0082】
処方箋管理クライアント211は、処方箋管理サーバ311からアクセスコードを受信すると(S402)、そのアクセスコードの印刷された電子処方箋101Aを発行する(S403)。
【0083】
患者U2は、処方箋101Aを調剤薬局1の受付窓口11に提出する。薬剤師U1は、処方箋101Aの記載内容を読取部112で読取り(S601)、調剤サーバ110へ送信する(S602)。
【0084】
調剤サーバ110は、受付クライアント111から送信された情報を受信すると(S211)、その情報に含まれるアクセスコードにしたがって処方箋管理サーバ311にアクセスし、処方箋情報を送信するよう要求する(S212)。
【0085】
処方箋管理サーバ311は、調剤サーバ110から処方箋情報の送信要求を受信すると(S505)、アクセスコードで特定される処方箋情報をデータベースから読みだして調剤サーバ110へ送信する(S506)。
【0086】
調剤サーバ110は、処方箋管理サーバ311から処方箋情報を受信すると(S213)、調剤ピッキングシステム121,131へ指示を出す(S214)。調剤ピッキングシステム121,131の動作についてはさらに後述する。なお、処方箋情報は、重要な個人情報であるため、第三者に漏洩しないように暗号化処理が施される。
【0087】
図12は、調剤ピッキングシステム121,131の構成を示す。普通薬調剤ピッキングシステム121は、例えば、複数の普通薬を収容する普通薬薬品庫123と、バーコードリーダ124を備える。バーコードリーダ124は、調剤サーバ110と無線アクセスポイント151を介して接続されている。バーコードリーダ124は、カメラ1241と、図示せぬディスプレイを備えている。
【0088】
普通薬用調剤ピッキングシステム121と同様に、劇薬用調剤ピッキングシステム131も、劇薬薬品庫133とバーコードリーダ134を備える。バーコードリーダ134は、カメラ1341と図示せぬディスプレイを有し、調剤サーバ110と無線アクセスポイント151を介して接続されている。
【0089】
普通薬薬品庫123および劇薬薬品庫133は、複数の棚を有し、それら複数の棚は電気錠(いずれも不図示)によって施錠されている。薬品庫123,133の各棚の施解錠は、調剤サーバ110によって行われる。各棚には、そこに収容された薬品名および薬品名を示すバーコードが表示されている(いずれも不図示)。
【0090】
図13は、調剤ピッキングシステムの制御処理を示すフローチャートである。ここでは、普通薬用調剤ピッキングシステム121と劇薬用調剤ピッキングシステム131を区別せずに説明する。
【0091】
調剤サーバ110は、電子処方箋101Aの読取り結果を受付クライアント111から受信すると(S221)、図示せぬ薬品庫管理情報を参照する(S222)。薬品庫管理情報は、薬品庫123,133の複数の棚のどこにどれだけの薬品が収容されているかを管理する情報である。つまり、薬品庫管理情報は、薬品庫123,133の在庫を管理している。
【0092】
調剤サーバ110は、処方箋管理サーバ311から取得した処方箋情報に基づいて、調剤情報をバーコードリーダ124,134へ送信する(S223)。調剤情報は、薬品名と数量を含む。
【0093】
バーコードリーダ124,134は、調剤サーバ110から調剤情報を受信すると(S701)、受信した調剤情報をディスプレイに表示させる(S702)。薬剤師は、調剤情報で指示された薬品棚の前に移動し、その薬品棚をカメラ1241,1341で撮影する。バーコードリーダ124,134は、バーコードの表示された薬品棚の画像を取得すると(S703)、その画像を調剤サーバ110へ送信する(S704)。
【0094】
調剤サーバ110は、バーコードリーダ124,134から薬品棚を撮影した画像を受信すると(S224)、その画像に含まれるバーコードで特定される薬品とステップS223でバーコードリーダ124,134へ送信した調剤情報に指定される薬品とが一致するか判定する(S225)。
【0095】
調剤サーバ110は、薬剤師が撮影した画像で特定される薬品名と調剤情報で指定された薬品名とが一致すると(S225:YES)、調剤ピッキングシステム121,131に解錠信号を送信する(S226)。
【0096】
調剤ピッキングシステム121,131は、調剤サーバ110から解錠信号を受信すると(S311)、所定の薬品棚の電気錠を解錠させる(S312)。薬剤師は、解錠された薬品棚を開扉し、薬品を所定数取り出す。調剤ピッキングシステム121,131は、薬品棚が閉扉されたことを検出すると(S313:YES)、その薬品棚の電気錠を施錠する(S314)。
【0097】
一方、調剤サーバ110は、解錠信号を送信した後(S226)、調剤情報を更新し(S227)、処方箋情報に示されたすべての調剤が終了したか判定する(S228)。調剤が終了していない場合(S228:NO)、調剤サーバ110は、ステップS224へ戻る。このように処方箋情報に示された薬品ごとに薬品棚が解錠されて、薬剤師により薬品が取り出される。取り出された薬品は調剤されて薬袋102に収容される。
【0098】
調剤サーバ110は、調剤された薬の説明書103と薬袋102は、受付窓口11で患者U2に手渡される。
【0099】
このように構成される本実施例も実施例1と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、バーコードリーダ124,134を用いて薬品庫123,133の薬品棚を撮影し、薬品棚に表示されたバーコードで特定される薬品とバーコードリーダ124,134に送られた調剤情報の示す薬品とが一致する場合に、薬品棚を解錠する。これにより、人為的ミスで間違った薬が取り出される可能性をなくし、調剤薬局1の信頼性を向上させることができる。
【実施例0100】
図14図16を用いて実施例3を説明する。本実施例では、待合室R1に待合室ディスプレイ401を、調剤室12に調剤室ディスプレイ402を、劇薬室13に劇薬室ディスプレイ403を、配置する。待合室ディスプレイ401は「受付用表示装置」の例である。調剤室ディスプレイ402は「第1調剤室ディスプレイ」の例である。
【0101】
各ディスプレイ401~403は、調剤サーバ110に接続されており、調剤サーバ110から送信された情報を表示させる。
【0102】
図15は、待合室ディスプレイ401の表示を制御する処理を示す。調剤サーバ110は、図13で述べた調剤ピッキングシステム121,131の状況などに基づいて、調剤の進捗状況を処方箋ごとに検出し、待合室ディスプレイ401へ送信する。
【0103】
待合室ディスプレイ401は、調剤サーバ110から調剤進捗状況を受信すると(S801)、調剤進捗状況を表示する(S802)。調剤サーバ110は、調剤が終了すると(S803:YES)、終了した調剤進捗状況の表示を消去させる(S804)。
【0104】
図15の下側に示すように、待合室ディスプレイ401は、例えば、処方箋番号と、担当薬剤師名と、進捗状況とを対応付けて表示する。調剤の終了した行は待合室ディスプレイ401から消去される。
【0105】
図16は、調剤室ディスプレイ402(劇薬室ディスプレイ403も同様。)の表示を制御する処理を示す。調剤室ディスプレイ402は、調剤サーバ110から調剤情報を受信すると(S811)、調剤中の状況を表示する(S812)。図16に示すように、例えば、処方箋番号と、担当薬剤師名と、調剤中の薬品名とが調剤室ディスプレイ402に表示される。
【0106】
そして、調剤サーバ110は、調剤の終了を検出すると(S813:YES)、ディスプレイ402に表示されている処方箋ごとの作業状態の中から終了した行を消去する(S814)。
【0107】
このように構成される本実施例も実施例1と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、受付クライアント111の近くに設置された待合室ディスプレイ401に、処方箋ごとの調剤進捗状況が表示されるため、薬を待つ患者は、自分の薬の用意がどの程度進んでいるのかなどを把握でき、患者にとっての利便性が向上する。
【0108】
本実施例では、調剤室ディスプレイ402,劇薬室ディスプレイ403も設け、調剤中の薬品の情報などを表示させるため、薬剤師の人為的ミスを他の薬剤師が発見して指摘することも可能となり、調剤薬局1の信頼性が向上する。
【実施例0109】
図16図19を用いて実施例4を説明する。本実施例では、自動配送ロボット3を用いて、患者U2へ薬袋102および説明書103を配送する。
【0110】
図17は、「自動配送装置」の一つの例である自動配送ロボット3の構成を示す。自動配送ロボット3は、少なくとも一つの車輪32を有する車型配送ロボットとして構成される。自動配送ロボット3は、例えば、筐体31、車輪32、制御部33、駆動部34、センサ部35、格納部36および本人確認ユニット37を備える。
【0111】
車輪32は1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上設けられてもよい。車輪に代えてクローラを用いてもよい。制御部33は、自動運転機能、格納部開閉機能などの自動配送ロボット3の動作を制御する機能を有する。駆動部34は、車輪32の方向および回転速度を制御する。
【0112】
センサ部35は、例えば、進行方向の前後左右を撮影するカメラ、距離センサ、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ、超音波レーダなどを含み、自動運転に必要な情報を制御部33に提供する。
【0113】
格納部36は、筐体31に設けられており、施錠可能なシャッタ部361を有する。格納部36には、薬袋102と説明書103が格納される。格納部36内に図示せぬ複数の小部屋を設け、小部屋ごとに施錠可能な扉を設けてもよい。各小部屋には、それぞれ異なる処方箋に基づいた薬袋102および説明書103を収容可能である。
【0114】
本人確認ユニット37は、薬袋102および説明書103を受け取る者があらかじめ登録された人物であるか確認する。本人確認ユニット37は、例えば、本人確認書類の券面を撮影する機能、本人確認書類1に内蔵されたICチップからデータを読みだす機能、自動配送ロボット3の周囲の人物を撮影する機能、入力された生体情報と登録済みの生体情報を照合するなどを備える。本人確認ユニット37は、上述した本人確認ユニット115と同様に構成することができる。
【0115】
受取人は患者U2に限らず、患者U2の家族、患者U2の指名した第三者でもよい。それら受取人の情報は、事前に管理用本人確認ユニット115(1)を用いて調剤サーバ110に登録される。
【0116】
図18は、ドローン型の自動配送ロボット3Aの構成を示す。自動配送ロボット3Aは、例えば、筐体31A、翼32A、制御部33A、駆動部34A、センサ部35A、格納部36Aを備える。翼32Aは、固定翼でもよいし回転翼でもよい。駆動部34Aは、翼32Aを用いて飛行させる。センサ部35A、格納部36Aなどは、図17で述べたと同様の機能を実現するため、その説明を省略する。
【0117】
このように構成される自動配送ロボット3,3Aを用いることで、薬袋102および説明書103を患者U2などの受取人のところまで自動搬送することができる。自動配送ロボット3,3Aは調剤薬局1内で使用することもできるし、調剤薬局1の外で使用することもできる。
【0118】
図19は、自動配送ロボット3,3Aによって薬袋102および説明書103を配送する処理を示す。
【0119】
処方箋管理クライアント211を用いて処方箋を処方箋管理サーバ311へ登録する際に、患者U2は自動配送を利用するか否か指定することができる(S411)。
【0120】
自動配送を行う場合(S411:YES)、薬袋102および説明書103を受け取るための認証情報を登録する(S412)。認証情報としては、例えば、住所氏名、電話番号、SNSアカウント名、顔画像、患者以外の受取人の氏名、指静脈パターンなどの生体情報がある。
【0121】
処方箋管理クライアント211は、薬袋102および説明書103を受け取る際の認証レベル(本人確認に要するレベル)を登録する(S413)。そして、処方箋管理クライアント211は、処方箋情報を処方箋管理サーバ311へ送信し(S414)、プリンタ212により処方箋を印刷させる(S415)。
【0122】
ここでステップS413を説明すると、本実施例では、受け取りケースごとに認証レベルを設定することができる。受け取りケースには、例えば、調剤薬局1内で受けとる場合、患者の自宅または介護施設などで受け取る場合、患者本人が受け取る場合、患者の代理人が受け取る場合、普通薬のみの場合、劇薬が含まれる場合のように様々である。
【0123】
リスクが大きくなるほど、受け渡しに使用する認証レベルを厳格にしてもよい。例えば、患者の自宅から離れた場所で、患者の代理人が劇薬を受け取る場合は、運転免許証などの本人確認書類を用いた本人確認とその場で撮影した画像による本人確認を行い、患者の自宅で普通薬のみ受けとる場合は、顔画像の照合だけで本人を確認してもよい。
【0124】
調剤ピッキングシステム121,131により用意された薬は薬袋102に詰められ、説明書103とともに格納部36,36Aへ収容される。自動配送ロボット3,3Aは、調剤サーバ110から指定された配送先へ向けて移動する(S901)。
【0125】
自動配送ロボット3,3Aは配送先に到着すると受取人に連絡する(S902)。自動配送ロボット3,3Aから受取人に対して自動音声による電話、電子メール、SNS内のチャットなどで連絡してもよいし、自動配送ロボット3,3Aから到着した旨の報告を受けた調剤サーバ110から受取人に連絡してもよい。
【0126】
自動配送ロボット3,3Aは、受取人が現れると本人か否か確認し(S903)、本人確認に成功すると格納部36,36Aを解錠して開扉させる(S904)。これにより、受取人は、格納部36,36Aから薬袋102および説明書103を受け取る、
自動配送ロボット3,3Aは薬袋102および説明書103の配送を終えると、指定場所へ戻る(S905)。指定場所は、出発地でもよいし、出発地以外の場所でもよい。例えば、複数の医療機関と複数の調剤薬局1が連携して薬の自動配送サービスを提供する場合、自動配送ロボット3,3Aは薬自動配送サービス全体から見て都合のよい場所に待機すればよい。
【0127】
なお、本発明は上記した実施例に限定されず、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換することが可能である。
【符号の説明】
【0128】
1:調剤薬局、2:医療機関、3,3A:自動配送ロボット、11:受付窓口、12:調剤室、13:劇薬室、101:処方箋、102:薬袋、103:説明書、110:調剤サーバ、111:受付クライアント、112:読取部、114:管理クライアント、115(1)~115(3):本人確認ユニット、116:調剤クライアント、117:プリンタ、121,131:調剤ピッキングシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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