(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183201
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】複合弁
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20231220BHJP
F16K 11/20 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F16K27/00 D
F16K11/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096700
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北林 勇人
(72)【発明者】
【氏名】原 聖一
【テーマコード(参考)】
3H051
3H067
【Fターム(参考)】
3H051AA07
3H051AA08
3H051BB10
3H051CC13
3H051CC17
3H067AA24
3H067AA32
3H067AA33
3H067BB08
3H067CC32
3H067DD02
3H067DD13
3H067DD14
3H067DD32
3H067EA06
3H067EA32
3H067EC25
3H067FF11
(57)【要約】
【課題】全体をコンパクトに収めることが可能な複合弁を提供する。
【解決手段】複合弁10は、流体を出入りさせる複数の継手22,24,26,28,32,34,36,38を備えたボディーブロック12と、ボディーブロック12の内部に設けられ、何れかの継手から流入した流体を、他の何れかの継手から選択的に流出させるための第1の四方弁50、及び第2の四方弁52を備え、一方の第1の四方弁50のステムバルブ56を操作する軸56Aは、ボディーブロック12の一方側に設けられ、他方の第2の四方弁52のステムバルブ56を操作する軸56Aは、ボディーブロック12の一方側とは反対側に設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を出入りさせる複数の継手を備えた弁本体と、
前記弁本体の内部に設けられ、何れかの継手から流入した流体を、他の何れかの継手から選択的に流出させるための2個の四方弁と、
を備え、
一方の前記四方弁の弁体を操作する軸は、前記弁本体の一方側に設けられ、
他方の前記四方弁の弁体を操作する軸は、前記弁本体の前記一方側とは反対側に設けられている、
複合弁。
【請求項2】
前記弁体は、ロータリー型のものが用いられている、
請求項1に記載の複合弁。
【請求項3】
一方の前記四方弁の前記弁体を操作する前記軸の軸線と、他方の前記四方弁の前記弁体を操作する前記軸の軸線とは、同一線上に配置されている、
請求項2に記載の複合弁。
【請求項4】
前記弁本体は、第1の方向に延びる第1部分と、前記第1部分と交差して前記第1の方向とは交差する方向に延びる第2部分とを備えた十字形状に形成され、
一方の前記四方弁の前記弁体を操作する前記軸に回転駆動力を伝達する第1の四方弁駆動装置が、十字形状に形成された前記弁本体の一方側の十字面に設けられ、
他方の前記四方弁の前記弁体を操作する前記軸に回転駆動力を伝達する第2の四方弁駆動装置が、十字形状に形成された前記弁本体の他方側の十字面に設けられている、
請求項2または請求項3に記載の複合弁。
【請求項5】
前記弁本体の内部に、2個の前記四方弁と共に、何れかの前記継手から流入した流体を、他の何れかの前記継手から選択的に流出させるための4個の三方弁を備え、
前記第1部分と前記第2部分とで形成される4つの隅部分に、前記三方弁を駆動する4個の三方弁駆動装置が分散して配置されている、
請求項4に記載の複合弁。
【請求項6】
前記第1部分には、長手方向中央部分に前記一方の四方弁が設けられると共に、前記一方の四方弁の両側に前記三方弁が設けられ、前記一方の四方弁と2つの前記三方弁が前記第1部分の長手方向に沿って配置されており、
前記第2部分には、長手方向中央部分に前記他方の四方弁が設けられると共に、前記他方の四方弁の両側に残りの前記三方弁が設けられ、前記一方の四方弁と残りの2つの前記三方弁が前記第2部分の長手方向に沿って配置されている、
請求項5に記載の複合弁。
【請求項7】
前記一方側の十字面の前記第1部分には、4つの前記継手が前記第1部分の長手方向に沿って設けられ、
前記他方側の十字面の前記第2部分には、他の4つの前記継手が前記第2部分の長手方向に沿って設けられている、
請求項6に記載の複合弁。
【請求項8】
前記弁本体は、前記継手を8個備えている、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項5、請求項6、または請求項7に記載の複合弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合弁に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の弁を一体化した複合弁として、例えば、特許文献1に記載の複合弁が知られている。特許文献1に記載の複合弁では、弁本体に、三方弁と開閉弁とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多数の流路を切り換える複合弁として、弁本体の内部に2つの四方弁を設けることが考えられる。しかし、単に2つの四方弁を弁本体の内部に配置しただけでは複合弁全体をコンパクトに収めることはできない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、全体をコンパクトに収めることが可能な複合弁の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の複合弁は、流体を出入りさせる複数の継手を備えた弁本体と、前記弁本体の内部に設けられ、何れかの継手から流入した流体を、他の何れかの継手から選択的に流出させるための2個の四方弁と、を備え、一方の前記四方弁の弁体を操作する軸は、前記弁本体の一方側に設けられ、他方の前記四方弁の弁体を操作する軸は、前記弁本体の前記一方側とは反対側に設けられている。
【0007】
請求項1に記載の複合弁は、一方の四方弁の弁体を操作する軸が弁本体の一方側に設けられ、他方の四方弁の弁体を操作する軸が弁本体の一方側とは反対側に設けられている。このため、請求項1に記載の複合弁は、一方の四方弁の弁体を操作する軸と、他方の四方弁の弁体を操作する軸とを弁本体の一方側のみ、または他方側のみに設けた場合に比較して、全体をコンパクトに収めることができる。
【0008】
複合弁において、前記弁体は、ロータリー型のものが用いられていてもよい。
【0009】
複合弁において、一方の前記四方弁の前記弁体を操作する前記軸の軸線と、他方の前記四方弁の前記弁体を操作する前記軸の軸線とは、同一線上に配置されていてもよい。
【0010】
複合弁において、前記弁本体は、第1の方向に延びる第1部分と、前記第1部分と交差して前記第1の方向とは交差する方向に延びる第2部分とを備えた十字形状に形成され、一方の前記四方弁の前記弁体を操作する前記軸に回転駆動力を伝達する第1の四方弁駆動装置が、十字形状に形成された前記弁本体の一方側の十字面に設けられ、他方の前記四方弁の前記弁体を操作する前記軸に回転駆動力を伝達する第2の四方弁駆動装置が、十字形状に形成された前記弁本体の他方側の十字面に設けられていてもよい。
【0011】
複合弁において、前記弁本体の内部に、2個の前記四方弁と共に、何れかの前記継手から流入した流体を、他の何れかの前記継手から選択的に流出させるための4個の三方弁を備え、前記第1部分と前記第2部分とで形成される4つの隅部分に、前記三方弁を駆動する4個の三方弁駆動装置が分散して配置されていてもよい。
【0012】
複合弁において、前記第1部分には、長手方向中央部分に前記一方の四方弁が設けられると共に、前記一方の四方弁の両側に前記三方弁が設けられ、前記一方の四方弁と2つの前記三方弁が前記第1部分の長手方向に沿って配置されており、前記第2部分には、長手方向中央部分に前記他方の四方弁が設けられると共に、前記他方の四方弁の両側に残りの前記三方弁が設けられ、前記一方の四方弁と残りの2つの前記三方弁が前記第2部分の長手方向に沿って配置されていてもよい。
【0013】
複合弁において、前記一方側の十字面の前記第1部分には、4つの前記継手が前記第1部分の長手方向に沿って設けられ、前記他方側の十字面の前記第2部分には、他の4つの前記継手が前記第2部分の長手方向に沿って設けられていてもよい。
【0014】
複合弁において、前記弁本体は、前記継手を8個備えていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明の複合弁によれば、全体をコンパクトに収めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る複合弁を示す斜視図である。
【
図10】第1の四方弁、及び第1の四方弁駆動用モータを示す分解斜視図である。
【
図11】(A),(B)は、第1の四方弁を示す断面図である。
【
図12】第1の三方弁、及び第1の三方弁駆動用モータを示す分解斜視図である。
【
図13】(A)~(C)は、第1の三方弁を示す断面図である。
【
図14】(A)は、流体の流れの一例を示す回路図であり(B)は
図14(A)に示す回路図における三方弁の開閉状態を説明する説明図である。
【
図16】流体の流れの更に他の例を示す回路図である。
【
図17】第2の実施形態に係る複合弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施形態]
図1~
図16を用いて、本発明の第1の実施形態に係る複合弁10について説明する。
なお、図面において、矢印F方向は複合弁10の正面の方向、矢印B方向は複合弁10の背面の方向、矢印U方向は複合弁10の上面の方向、矢印D方向は複合弁10の下面の方向、矢印R方向は複合弁10の右側面の方向、矢印L方向は複合弁10の左側面の方向を表している。
【0018】
図1、及び
図2に示すように、複合弁10は、正面視で十字形状とされた合成樹脂製の弁本体の一例としてのボディーブロック12を備えている。なお、十字形状とは、プラス(+)形状と言い換えることができる。
【0019】
ボディーブロック12は、水平方向に延びる第1部分14と、第1部分14と直角に交差して上下方向に延びる第2部分16とを備えている。なお、本実施形態において、第1部分14と第2部分16とは同じ長さに形成されている。これにより、ボディーブロック12は、正面側に十字形状とされた正面十字面18が設けられ、
図3に示すように、背面側に十字形状とされた背面十字面20が設けられている。
【0020】
(複合弁の外観構造)
図1、及び
図2に示すように、ボディーブロック12の正面十字面18には、第1部分14に矢印L方向側から矢印R方向側に向けて、H継手22、G継手24、E継手26、及びF継手28が間隔を開けて設けられている。
【0021】
図8に示すように、H継手22、G継手24、E継手26、及びF継手28は、ボディーブロック12の孔12Aに挿入され、ボディーブロック12にネジ止めされたプレートP1で押えられている。なお、H継手22、G継手24、E継手26、及びF継手28の大径部分の外周には、孔12Aとの間の隙間をシールするOリング39が装着されている。
【0022】
図1、及び
図2に示すように、ボディーブロック12の矢印F方向側の正面十字面18には、後述する第1の四方弁駆動装置の一例としての第1の四方弁駆動用モータ30が第2部分16の長手方向に沿ってネジ止めされている。
【0023】
図3に示すように、ボディーブロック12の背面十字面20には、第2部分16に矢印U方向側から矢印D方向側に向けて、B継手34、C継手32、D継手38、及びA継手36が間隔を開けて設けられている。
図9に示すように、B継手34、C継手32、D継手38、及びA継手36は、ボディーブロック12の孔12Bに挿入され、ボディーブロック12にネジ止めされたプレートP1で押えられている。なお、B継手34、C継手32、D継手38、及びA継手36の大径部分の外周には、孔12Bとの間の隙間をシールするOリング39が装着されている。
【0024】
図3に示すように、ボディーブロック12の背面十字面20には、後述する第2の四方弁駆動装置の一例としての第2の四方弁駆動用モータ40が第1部分14の長手方向に沿ってネジ止めされている。
【0025】
図2、
図4、及び
図5に示すように、第2部分16の矢印L方向側の第1部分14の上面と、第2部分16の矢印L方向側の側面とでなす隅部には、後述する三方弁駆動装置の一例としての第1の三方弁駆動用モータ42が配置されている。第1の三方弁駆動用モータ42は、第2部分16の側面にネジ止めされている。
【0026】
図2、
図4、及び
図6に示すように、第2部分16の矢印R方向側の第1部分14の上面と、第2部分16の矢印R方向側の側面とでなす隅部には、後述する三方弁駆動装置の一例としての第2の三方弁駆動用モータ44が配置されている。第2の三方弁駆動用モータ44は、第1部分14の上面にネジ止めされている。
【0027】
図2、
図5、及び
図7に示すように、第2部分16の矢印L方向側の第1部分14の下面と、第2部分16の矢印L方向側の側面とでなす隅部には、後述する三方弁駆動装置の一例としての第3の三方弁駆動用モータ46が配置されている。第3の三方弁駆動用モータ46は、第1部分14の下面にネジ止めされている。
【0028】
図2、
図6、及び
図7に示すように、第2部分16の矢印R方向側の第1部分14の下面と、第2部分16の矢印R方向側の側面とでなす隅部には、後述する三方弁駆動装置の一例としての第4の三方弁駆動用モータ48が配置されている。第4の三方弁駆動用モータ48は、第2部分16の側面にネジ止めされている。
【0029】
(8方弁の内部構造)
図8の断面図で示すように、ボディーブロック12の内部には、矢印F方向側に第1の四方弁駆動用モータ30で駆動される第1の四方弁50が設けられ、矢印B方向側に第2の四方弁駆動用モータ40で駆動される第2の四方弁52が設けられている。
第1の四方弁50、及び第2の四方弁52は、同様の構成であるので、代表して第1の四方弁50を以下に説明する。
【0030】
(第1の四方弁)
図8、
図10、及び
図11に示すように、第1の四方弁50は、ボディーブロック12に形成された弁室54の内部に、ロータリー型の弁体の一例としてのステムバルブ56が回転自在に配置されている。ステムバルブ56には、ステムバルブ56を回転させる軸56Aが一体的に設けられている。この軸56Aは、先端部が第1の四方弁駆動用モータ30に連結されており、ステムバルブ56は、第1の四方弁駆動用モータ30によって回転駆動される。なお、第1の四方弁駆動用モータ30は、
図10に示すプレート68を介してボディーブロック12にネジ止めされている。
【0031】
第1の四方弁駆動用モータ30は、細長い箱形状とされ、その長手方向が第2部分16の長手方向に沿うように正面十字面18の第2部分16にネジ止めされている。
【0032】
ステムバルブ56は、軸(回転軸)方向から見て略扇形に形成されている。軸直角断面で見て、ステムバルブ56の内部にはL字形の通路58が形成されている。ステムバルブ56の外周面には、軸線を挟んで通路58とは反対側にL字形の凹み60が形成されている。L字形の凹み60は、ステムバルブ56が弁室54の内部に配置されることで、流体が通るL字形の通路となる。
【0033】
図11に示すように、ステムバルブ56には、凹み60とは反対側の外周面に、通路58の両端が開口しており、各々の開口部分に形成された環状溝62に、Oリング64、及び環状のバルブシート66が嵌め込まれている。Oリング64、及びバルブシート66によって、弁室54の内周面とステムバルブ56の凹み60とは反対側の外周面との間の隙間がシールされている。
【0034】
図8に示すように、弁室54には、ステムバルブ56、及び環状のバルブ押え70が順に挿入されている。
図10に示すプレート68は、ボディーブロック12の外面に第1の四方弁駆動用モータ30と共にネジ止めされ、バルブ押え70、及びステムバルブ56が弁室54内の所定の位置に止まるようにバルブ押え70、及びステムバルブ56を押え付けている。なお、ステムバルブ56の軸56Aは、バルブ押え70を貫通してボディーブロック12から矢印F方向へ突出している。
【0035】
図8、及び
図10に示すように、バルブ押え70の外周には、弁室54の内周面との間の隙間をシールするOリング72が装着され、ステムバルブ56の軸56Aの外周には、バルブ押え70の内周面との間の隙間をシールするOリング74が装着されている。
【0036】
なお、バルブ押え70には、ステムバルブ56のストッパとしての突起70Aが設けられており、第1の四方弁50は、ステムバルブ56の側面が突起70Aに突き当たることで、ステムバルブ56の回転角度が制限されるように構成されている。
【0037】
(第2の四方弁)
第2の四方弁52は、第1の四方弁50と同様の構成であるが、
図8に示すように、ステムバルブ56の軸56Aがボディーブロック12から矢印B方向へ突出するように、第1の四方弁50とは反対向きに設けられている。本実施形態では、第1の四方弁50のステムバルブ56の軸56Aの軸線と第2の四方弁52の軸56Aの軸線とが同一線CL上にある。なお、第2の四方弁52において、第1の四方弁50と同一構成には同一符号を付している。
【0038】
図3に示すように、第2の四方弁駆動用モータ40は、第1の四方弁駆動用モータ30と同様に細長い箱形状とされ、その長手方向が第1部分14の長手方向に沿うように背面十字面20の第1部分14に配置されている。
【0039】
(三方弁)
図8に示すように、ボディーブロック12の第1部分14には、第1の四方弁50の矢印R方向側に第1の三方弁80が設けられており、第1の四方弁50の矢印L方向側に第2の三方弁82が設けられている。
【0040】
また、
図9に示すように、ボディーブロック12の第2部分16には、第2の四方弁52の矢印U方向側に第3の三方弁84が設けられ、第2の四方弁52の矢印D方向側に第4の三方弁86が設けられている。本実施形態の第1の三方弁80、第2の三方弁82、第3の三方弁84、及び第4の三方弁86は、各々の向きが90°異なる3つの流路が連結され、直線方向とL字方向とに流路を切り換える構成のものである。
【0041】
(第1の三方弁)
第1の三方弁80~第4の三方弁86は、同様の構成であるので、代表して第1の三方弁80を以下に説明する。
図8、
図12、及び
図13に示すように、第1の三方弁80は、ボディーブロック12に形成された弁室88の内部に、ロータリー型の弁体の一例としてのボール弁体90が回転自在に配置されている。ボール弁体90には、ボール弁体90を回転させるステム92、及びジョイント軸94が連結されている。なお、ステム92とジョイント軸94とは、相対回転不能に接続されている。
【0042】
第1の三方弁80のジョイント軸94は、ボディーブロック12の外側へ突出して、ボール弁体90を回転駆動する第1の三方弁駆動用モータ42に連結されている。なお、ボール弁体90を回転させるステム92、及びジョイント軸94の軸線は、第1の四方弁50の軸56Aの軸線、及び第2の四方弁52の軸56Aの軸線と直交する方向に向けられている。
【0043】
第1の三方弁駆動用モータ42とボディーブロック12との間には、
図12に示す環状の押え96が配置されている。この押え96は、ボディーブロック12にネジ止めされている。
【0044】
押え96の内周面には、突起98が形成されており、押え96を貫通するジョイント軸94の基部94Aには、押え96の突起98と当接可能とされた突起100が形成されている。押え96の突起98とジョイント軸94の突起100とで、ボール弁体90の回転角度を制限するストッパが構成されている。
【0045】
図13に示すように、ボール弁体90を軸線(回転軸)に対して直角な断面で見ると、ボール弁体90の内部にはT字状の通路90Aが形成されており、ボール弁体90の外面には、3つの開口が形成されている。
【0046】
弁室88は、ボディーブロック12に形成された丸穴102の開口部分をE継手26で塞ぐことで形成されている。なお、E継手26には、丸穴102に挿入される大径部分の外周に、丸穴102との間の隙間をシールするOリング104が装着されている。
【0047】
弁室88の内部には、ボール弁体90と、ボール弁体90を両側から挟む環状のバルブシート106と、バルブシート106をボール弁体90に押圧するためのOリング108が挿入されている。
【0048】
(継手、四方弁、及び三方弁の接続)
次に、H継手22、G継手24、E継手26、F継手28、C継手32、B継手34、A継手36、D継手38、第1の四方弁50、第2の四方弁52、第1の三方弁80、第2の三方弁82、第3の三方弁84、及び第4の三方弁86の流路の接続について説明する。
図8、
図9、及び
図14(A),(B)に示すように、第1の四方弁50には、A継手36と接続された流路110、第2の三方弁82と接続された流路112、B継手34と接続された流路114、第1の三方弁80と接続された流路116が接続されている。
【0049】
第2の四方弁52には、F継手28と接続された流路118、第3の三方弁84と接続された流路120、H継手22と接続された流路122、第4の三方弁86に接続された流路124が接続されている。
【0050】
第1の三方弁80には、流路116の他に、E継手26、及び流路118と接続された流路128が接続されている。
【0051】
第2の三方弁82には、流路112の他に、G継手24、及び流路122と接続された流路132が接続されている。
【0052】
第3の三方弁84には、流路120の他に、C継手32、及び流路114と接続された流路136が接続されている。
【0053】
第4の三方弁86には、流路124の他に、D継手38、及び流路110と接続された流路138が接続されている。
【0054】
(作用、効果)
第1の四方弁50は、第1の四方弁駆動用モータ30を駆動することで、ステムバルブ56を
図11(A)に示す第1の状態(ステムバルブ角度0°)と、
図11(B)に示す第2の状態(ステムバルブ角度90°)とに切り換えることができる。第1の状態では、流路110と流路112とが連通し、流路114と流路116とが連通する。一方、第2の状態では、流路110と流路116とが連通し、流路112と流路114とが連通する。
【0055】
なお、図示による説明は省略するが、第2の四方弁52も第1の四方弁50と同様に各流路の連通状態を切り換えることができる。
【0056】
第1の三方弁80は、第1の三方弁駆動用モータ42を駆動することで、ボール弁体90を
図13(A)に示す第1の状態(ボール弁体角度0°)、
図13(B)に示す第2の状態(ボール弁体角度90°)、及び
図13(C)に示す第3の状態(ボール弁体角度180°)に切り替えることができる。
【0057】
図示による説明は省略するが、第2の三方弁82、第3の三方弁84、及び第4の三方弁86も第1の三方弁80と同様に各流路の連通状態を切り換えることができる。
【0058】
本実施形態の複合弁10は、一例として、
図14(A)、
図15、及び
図16に示すように、各継手における流体の流れ切り換えることができる。これら
図14(A)、
図15、及び
図16の回路図において、矢印A~Hは、各継手における流体の出入りの方向を示している。
図14(A)の回路図で示す第1の三方弁80、第2の三方弁82、第3の三方弁84、及び第4の三方弁86において、白抜きの三角は、開状態を示しており、黒塗りの三角は、閉状態を示している(
図14(B)参照)。
【0059】
例えば、
図14(A)に示す状態では、A継手36から流入した流体が第1の四方弁50、及び第2の三方弁82を経由してG継手24から排出され、B継手34から流入した流体が第1の四方弁50、及び第1の三方弁80を経由してE継手26から排出され、F継手28から流入した流体が第2の四方弁52、及び第3の三方弁84を経由してC継手32から排出され、H継手22から流入した流体が、第2の四方弁52、及び第4の三方弁86を介してD継手38から排出される。
【0060】
なお、本実施形態の複合弁10は、第1の四方弁50、第2の四方弁52、第1の三方弁80~第4の三方弁86を各々切り換えることで、流体の流れを
図14(A)、
図15、及び
図16に示す以外に変更することができる。
【0061】
(弁配置による効果)
本実施形態の複合弁10は、一方の第1の四方弁50のステムバルブ56を操作する軸56Aがボディーブロック12の正面側(矢印F向側)に設けられ、他方の第2の四方弁52のステムバルブ56を操作する軸56Aがボディーブロック12の背面側(矢印B向側)に設けられている。
このため、本実施形態の複合弁10は、第1の四方弁50のステムバルブ56を操作する軸56Aと、第2の四方弁52のステムバルブ56を操作する軸56Aとを、ボディーブロック12の正面側の正面十字面18、または背面側の背面十字面20の何れか一方に設けた場合に比較して、全体をコンパクトに収めることができる。
【0062】
本実施形態のように、細長い箱型形状である第1の四方弁駆動用モータ30、及び第2の四方弁駆動用モータ40を、互いに干渉しないように正面十字面18、または背面十字面20の何れか一方に配置しようとすると、ボディーブロック12を大型化せざるを得ず、複合弁10をコンパクトに収めることが出来なくなる。
【0063】
本実施形態の複合弁10では、ボディーブロック12が第1部分14と、第1部分14と交差する方向に延びる第2部分16とで十字形状に形成されているので、第1部分14と第2部分16とで形成される4つの隅部分、即ち4つの凹んだ部分がデッドスペースとなっている。
【0064】
本実施形態の複合弁10では、第1の三方弁駆動用モータ42、第2の三方弁駆動用モータ44、第3の三方弁駆動用モータ46、及び第4の三方弁駆動用モータ48の4つの三方弁駆動用モータが、上記4つの隅部分に分散して配置されているので、4つの隅部分に分散して配置しない場合に比較して、複合弁10全体をコンパクトに収めることができる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、
図17にしたがって、本発明の第2の実施形態に係る複合弁10を説明する。
なお、第1の実施形態と同一構成に関しては同一符号を付し、その説明は省略する。
図17に示すように、本実施形態の複合弁10では、第1の四方弁50のステムバルブ56、及び第2の四方弁52のステムバルブ56に、各々連結軸56Bが一体的に形成されており、第2の四方弁駆動用モータ40が省かれている。
【0066】
第1の四方弁50のステムバルブ56の連結軸56Bには、先端に凸部140が形成されており、この凸部140が第2の四方弁52のステムバルブ56の連結軸56Bの先端に形成された凹部142に嵌合することで、第1の四方弁50のステムバルブ56と第2の四方弁52のステムバルブ56とが一体となって回転可能となっている。
【0067】
なお、ボディーブロック12には、連結軸56Bが貫通する孔144が形成されている。第2の四方弁52のステムバルブ56の連結軸56Bの外周には、孔144と該連結軸56Bとの間の隙間をシールするOリング146が装着されている。また、本実施形態の複合弁10では、第2の四方弁駆動用モータ40の代わりに、連結軸56Bを覆うカバー148がボディーブロック12にネジ止めされている。
【0068】
本実施形態では、第1の四方弁駆動用モータ30を駆動することで、第1の四方弁50のステムバルブ56と第2の四方弁52のステムバルブ56とを同期して回転させることができ、第2の四方弁駆動用モータ40を必要としていない。このため、第1の実施形態の複合弁10に比較して弁駆動用モータの数が削減されている。
【0069】
本実施形態では、第1の四方弁駆動用モータ30を残して第2の四方弁駆動用モータ40を省いたが、第2の四方弁駆動用モータ40を残して第1の四方弁駆動用モータ30を省いてもよい。
【0070】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0071】
上記実施形態の複合弁10では、H継手22、G継手24、E継手26、F継手28、C継手32、B継手34、A継手36、及びD継手38の合計8個の継手を備えた、所謂八方弁であるが、継手の数は8個に限らず、7個以下であってもよく、9個以上であってもよい。
【0072】
上記実施形態の複合弁10では、第1の四方弁50、及び第2の四方弁52の他に4個の3方弁(第1の三方弁80、第2の三方弁82、第3の三方弁84、及び第4の三方弁86)が設けられていたが、第1の四方弁50、及び第2の四方弁52以外の弁は、三方弁以外の構成の切換え弁や開閉弁、流量調整弁などであってもよい。
【0073】
上記実施形態の複合弁10において、第1の四方弁50、及び第2の四方弁52以外の弁の数は、3個以下であってもよく、5個以上であってもよい。
【0074】
図1に示す複合弁10の姿勢(取り付けの向き)は一例であり、複合弁10の姿勢は適宜変更可能である。
【0075】
第1の四方弁50、及び第2の四方弁52の弁体は、
図10、
図11等に示す形状とは異なっていてもよく、同様に、第1の三方弁80、第2の三方弁82、第3の三方弁84、及び第4の三方弁86の弁体も
図12に示す形状とは異なっていてもよい。これらの弁体は、回転することで流路を切り換え可能であればよく、例えば、円筒形状、その他の形状であってもよい。
また、第1の四方弁50、第2の四方弁52、第1の三方弁80、第2の三方弁82、第3の三方弁84、及び第4の三方弁86は、ロータリー型以外の弁体を設けた他の構造の切換弁であってもよい。
【0076】
上記実施形態の複合弁10では、第1の四方弁50のステムバルブ56の軸56Aの軸線と第2の四方弁52のステムバルブ56の軸56Aの軸線とが同一線CL上に設けられていたが、第1の四方弁50のステムバルブ56の軸56Aの軸線と第2の四方弁52のステムバルブ56の軸56Aの軸線とが同一線CL上に設けられていなくてもよい。
例えば、第2の実施形態のように、第1の四方弁50のステムバルブ56と第2の四方弁52のステムバルブ56とを同期させて回転させる場合には、第1の四方弁50のステムバルブ56の連結軸56Bと第2の四方弁52のステムバルブ56の連結軸56Bとを、ギヤ等を用いて連結すればよい。
【0077】
上記実施形態の複合弁10では、ボディーブロック12が十字形状であったが、ボディーブロック12は、十字形状以外の形状、例えば、立方体形状であってもよい。
【0078】
上記実施形態の複合弁10では、ボディーブロック12の外側に、第1の四方弁駆動用モータ30、第2の四方弁駆動用モータ40、第1の三方弁駆動用モータ42、第2の三方弁駆動用モータ44、第3の三方弁駆動用モータ46、及び第4の三方弁駆動用モータ48を取り付けた構造となっていたが、ボディーブロック12を立方体形状とし、その内部に第1の四方弁駆動用モータ30、第2の四方弁駆動用モータ40、第1の三方弁駆動用モータ42、第2の三方弁駆動用モータ44、第3の三方弁駆動用モータ46、及び第4の三方弁駆動用モータ48を内蔵するように構成してもよい。この場合でも、複合弁10の最大外形寸法を、十字形状のボディーブロック12を備えた上記実施形態の複合弁10の最大外形寸法と同程度にコンパクトに収めることができる。
【符号の説明】
【0079】
10 複合弁
12 ボディーブロック(弁本体)
18 十字面
20 十字面
22 継手H
24 継手G
26 継手E
28 継手F
30 第1の四方弁駆動装置
32 継手C
34 継手B
36 継手A
38 継手D
40 第2の四方弁駆動装置
50 第1の四方弁(四方弁)
52 第2の四方弁(四方弁)
56 ステムバルブ(弁体)
56A 軸