(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183206
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】被写体追尾装置、被写体追尾装置の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/695 20230101AFI20231220BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20231220BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20231220BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20231220BHJP
【FI】
H04N5/232 990
H04N5/232 290
G03B17/56 B
G03B15/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096715
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】小菅 輝
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA03
2H105AA06
2H105AA11
2H105AA13
5C122EA65
5C122FH11
5C122GD04
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA82
5C122HB01
5C122HB06
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】追尾撮影中に生じる、例えばハンチングやロスト傾向を迅速に軽減することができる被写体追尾装置、被写体追尾装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】被写体追尾装置100は、被写体を撮像する撮像素子205を有する撮像装置101と、撮像素子205を回動させる駆動部200とを制御して、被写体を追尾する。被写体追尾装置100は、撮影画像から被写体位置を検出する位置検出手段(CPU210)と、撮影画面内に設定された目標位置を被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御手段(CPU210)とを備える。追尾制御手段は、被写体位置が目標位置から遠ざかり、かつ、被写体位置の変化方向と撮像素子205の回動方向とが異なるか否かを判断し、その判断結果に応じて、追尾敏感度を調整する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置であって、
前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出手段と、
前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御手段と、を備え、
前記追尾制御手段は、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記被写体位置の変化方向と、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動方向とが異なるか否かを判断し、その判断結果に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする被写体追尾装置。
【請求項2】
前記追尾制御手段は、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記変化方向と前記回動方向とが互いに反対方向である場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減することを特徴とする請求項1に記載の被写体追尾装置。
【請求項3】
前記追尾制御手段は、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記変化方向と前記回動方向とが同方向である場合にロスト傾向と判断して、前記追尾敏感度を増加することを特徴とする請求項1に記載の被写体追尾装置。
【請求項4】
前記追尾敏感度の調整は、前記駆動手段を作動させるための制御量の増減であることを特徴とする請求項1に記載の被写体追尾装置。
【請求項5】
前記追尾敏感度の調整は、前記駆動手段を作動させるための制御量を演算する際に前記被写体位置と前記目標位置との距離に乗じられるゲインの増減であることを特徴とする請求項1に記載の被写体追尾装置。
【請求項6】
前記撮影画面内には、前記目標位置と異なる位置に、前記被写体位置が検出されても前記追尾制御が規制される規制領域が設定されており、
前記追尾敏感度の調整は、前記規制領域の拡大縮小であることを特徴とする請求項1に記載の被写体追尾装置。
【請求項7】
前記追尾敏感度の調整は、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動速度の増減であることを特徴とする請求項1に記載の被写体追尾装置。
【請求項8】
前記撮像手段および前記駆動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の被写体追尾装置。
【請求項9】
被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置であって、
前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出手段と、
前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御手段と、を備え、
前記追尾制御手段は、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記目標位置が前記被写体位置に到達し、その後再度到達するまでの経過時間の長短に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする被写体追尾装置。
【請求項10】
前記追尾制御手段は、前記経過時間が所定時間よりも短い場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減することを特徴とする請求項9に記載の被写体追尾装置。
【請求項11】
前記追尾制御手段は、前記経過時間が所定時間よりも短く、前記被写体位置の変化した際の変化速度が所定速度よりも速い場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減することを特徴とする請求項9に記載の被写体追尾装置。
【請求項12】
前記追尾制御手段は、前記経過時間が所定時間よりも短く、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動速度が所定速度よりも速い場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減することを特徴とする請求項9に記載の被写体追尾装置。
【請求項13】
前記撮影画面内には、前記目標位置と異なる位置に、前記被写体位置が検出されても前記追尾制御が規制される規制領域が設定されており、
前記追尾制御手段は、前記経過時間が所定時間よりも短く、前記規制領域内から前記被写体位置が外れている場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減する請求項9に記載の被写体追尾装置。
【請求項14】
被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置を制御する方法であって、
前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出工程と、
前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御工程と、を有し、
前記追尾制御工程では、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記被写体位置の変化方向と、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動方向とが異なるか否かを判断し、その判断結果に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする被写体追尾装置の制御方法。
【請求項15】
被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置を制御する方法であって、
前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出工程と、
前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御工程と、を有し、
前記追尾制御工程では、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記被写体位置が目標位置に到達し、その後再度到達するまでの経過時間の長短に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする被写体追尾装置の制御方法。
【請求項16】
請求項1または請求項9に記載の被写体追尾装置の各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体追尾装置、被写体追尾装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パン駆動およびチルト駆動が可能なカメラを使用して、移動する被写体を追尾して撮影する自動追尾撮影システムが知られている。一般的に自動追尾撮影システムでは、カメラで撮影した画像に基づいて、追尾対象である被写体の位置を逐次検出する。そして、パン駆動およびチルト駆動により、被写体位置に、予め設定された目標位置(例えば撮影画像の中央座標)を近づける制御が行われる。特許文献1に記載の自動追尾撮影システムでは、目標位置近傍に不感領域(許容枠)を設定し、その不感領域内に被写体位置がある場合には、被写体位置が目標位置にあるとみなして、パン駆動およびチルト駆動を停止する。これにより、目標位置を中心するパン駆動およびチルト駆動が繰り返し実行されるハンチングが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の自動追尾撮影システムでは、ハンチングによる被写体位置の変化が不感領域内に収まる場合のみ制御可能であり、不感領域を外れる大きなハンチングに対しては、制御(追尾制御)が不十分となる。例えば、被写体を撮像し、被写体位置を取得してから、被写体位置に基づいたパン駆動およびチルト駆動の制御に遅延がある場合を考えてみる。この場合、被写体位置が不感領域内に収まったことを判断してから、パン駆動およびチルト駆動の制御に反映されるまでに、被写体位置が不感領域から外れるおそれがある。また、被写体位置が不感領域を通過することにより、ハンチングを抑制することができないおそれがある。従って、特許文献1に記載の自動追尾撮影システムでは、ハンチングを発生させない不感領域を手探り(手動操作)で設定しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、追尾撮影中に生じる、例えばハンチングやロスト傾向を迅速に軽減することができる被写体追尾装置、被写体追尾装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の被写体追尾装置は、被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置であって、前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出手段と、前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御手段と、を備え、前記追尾制御手段は、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記被写体位置の変化方向と、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動方向とが異なるか否かを判断し、その判断結果に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、追尾撮影中に生じる、例えばハンチングやロスト傾向を迅速に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の被写体追尾装置を有する被写体追尾システムの構成を示す構成図である。
【
図2】撮像装置および制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】追尾装置の被写体追尾における制御動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図3に示すフローチャート中の制御命令算出(ステップS325)での詳細処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図4に示すフローチャート中の制御量の算出(ステップS407)における追尾敏感度の概念図である。
【
図6】第2実施形態において、
図3に示すフローチャート中の制御命令算出(ステップS325)での詳細処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。例えば、本発明を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせることもできる。
【0010】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図5を参照して、第1実施形態について説明する。
【0011】
<<システム構成>>
図1は、第1実施形態の被写体追尾装置を有する被写体追尾システムの構成を示す構成図である。
図1に示すように、被写体追尾システム1000は、撮像装置(撮像手段)101、制御装置102、操作装置103、通信網104を有する。撮像装置101は、被写体を撮像する装置である。制御装置102は、撮像装置101の動作を制御する装置である。操作装置103は、制御装置102の撮影制御設定を操作する装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ等で構成される。撮像装置101、制御装置102、操作装置103は、通信網104を介して互いに通信可能に接続されている。なお、本実施形態では、撮像装置101および制御装置102は、移動する被写体を追尾する被写体追尾装置(以下「追尾装置」と言う)100を構成する。また、被写体追尾装置100は、撮像装置101と制御装置102とが互いに別体で構成されているが、これに限定されず、例えば、撮像装置101と制御装置102とが一体的に構成されていてもよい。
【0012】
<撮像装置のハードウェア構成>
図2は、撮像装置および制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。まず、撮像装置のハードウェア構成について説明する。
図2に示すように、撮像装置101は、システムバス201、CPU202、ROM203、RAM204、撮像素子205、通信部206、パン駆動部207、チルト駆動部208を有する。CPU202は、システムバス201を介して、ROM203、RAM204、撮像素子205、通信部206、パン駆動部207、チルト駆動部208と通信可能に接続され、これらを制御する。ROM203は、例えば撮像用の各種プログラム等が格納されている。RAM204は、各種情報を記憶することができる。撮像素子205は、被写体を撮像する素子である。撮像素子205としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を用いることができる。通信部206は、通信網104を介した制御装置102との間での有線信号または無線信号の送受信を行う。
【0013】
パン駆動部207は、制御装置102の制御命令に基づいて、撮像装置101(撮像素子205)をパン方向、すなわち、水平方向に沿って回動させる機構であり、例えば、モータと、モータの回転量から角度を取得する角度センサとで構成される。チルト駆動部208は、撮像装置101(撮像素子205)をチルト方向、すなわち、垂直方向に沿って回動させる機構であり、例えば、モータと、モータの回転量から角度を取得する角度センサとで構成される。本実施形態では、パン駆動部207およびチルト駆動部208は、撮像装置101を回動させる駆動部(駆動手段)200を構成する。なお、駆動部200は、パン駆動部207およびチルト駆動部208の双方を有する構成に限定されず、例えば、パン駆動部207およびチルト駆動部208のうちの一方が省略された構成となっていてもよい。
【0014】
<制御装置のハードウェア構成>
次に、制御装置のハードウェア構成について説明する。
図2に示すように、制御装置102は、システムバス209、CPU210、ROM211、RAM212、画像処理エンジン213、表示部214、入力部215、通信部216を有する。CPU210は、システムバス209を介して、ROM211、RAM212、画像処理エンジン213、表示部214、入力部215、通信部216と通信可能に接続され、これらを制御する。ROM211は、各種プログラム等が格納されている。この各種プログラムとしては、例えば、追尾装置100の各部や各手段(被写体追尾装置の制御方法)をCPU210(コンピュータ)に実行させるためのプログラム等がある。RAM212は、各種情報を記憶することができる。
【0015】
画像処理エンジン213は、撮像素子205で取得した画像信号に対して、例えば、現像処理、フィルタ処理、補正、ノイズ除去等の各種画像処理を施して画像データを生成する。画像処理エンジン213は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やFPGA(field programmable gate array)等で構成される。表示部214は、各種情報を表示するものであり、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)で構成される。なお、操作装置103から制御装置102を操作する場合には、表示部214を省略してもよい。入力部215には、各種情報を入力するものであり、例えば、キーボードで構成される。なお、操作装置103から制御装置102を操作する場合には、入力部215を省略してもよい。通信部216は、通信網104を介した撮像装置101との間での有線信号または無線信号の送受信を行う。
【0016】
<<被写体追尾における処理の流れ>>
追尾装置100(被写体追尾システム1000)では、移動する被写体の追尾(以下単に「追尾」と言うことがある)に際して、位置検出工程と追尾制御工程とが順に行われる。位置検出工程では、制御装置102のCPU210は、撮像装置101の撮像素子205によって撮像された撮影画像から被写体が存在する被写体位置を検出する。撮影画像は、画像処理エンジン213で画像処理が行われた画像データである。被写体位置検出方法としては、特に限定されず、例えば、機械学習を用いた公知の物体検出手段によって撮影画像から被写体の座標範囲を取得して、同座標範囲における重心座標を検出する方法が挙げられる。重心座標は、被写体の大きさに関わらず安定して検出される。その他の被写体位置検出方法としては、例えば、被写体が人物の場合には、公知の頭部検出手法を用いて、被写体の頭部領域を抽出して、その中心座標を検出する方法等も挙げられる。
【0017】
追尾制御工程では、CPU210は、撮像装置101の駆動部200を作動させる、すなわち、パン駆動部207およびチルト駆動部208のうちの少なくとも一方を作動させる。この作動により、撮影画面内に設定された目標位置を被写体位置に近づける追尾制御が行われる。目標位置としては、特に限定されず、例えば、撮影画面の中央座標とすることができる。「中央座標」とは、例えば撮影画像の水平解像度が1920pixel、垂直解像度が1080pixelの場合、以下のようになる。水平方向左端を0pixel、右端を1920pixel、垂直方向上端を0pixel、下端を1080pixelとすると、中央座標は、x座標が960pixel、y座標が540pixelとなる。追尾制御としては、特に限定されず、例えば、公知の技術である追尾枠(自動追尾移行枠)を用いる方法等が挙げられる。このように本実施形態では、CPU210は、撮影画像から被写体位置を検出する位置検出手段としての機能と、追尾制御を行う追尾制御手段としての機能とを有する。なお、CPU210は、位置検出手段および追尾制御手段の双方の機能を有するのに限定されず、例えば、一方の機能を有していてもよい。この場合、追尾装置100には、CPU210とは別に、他方の機能を有する部分が設けられることとなる。また、追尾装置100には、CPU210とは別に、位置検出手段および追尾制御手段の双方の機能を有する部分、または、各機能をそれぞれ有する部分が設けられていてもよい。前述したように、追尾制御では、パン駆動部207およびチルト駆動部208のうちの少なくとも一方を作動させる。本実施形態では、理解を容易にするため、パン駆動部207のみを作動させた例とする。
【0018】
<撮像装置の制御動作>
図3は、追尾装置の被写体追尾における制御動作を示すフローチャートである。
図3(a)は、撮像装置の制御動作を示すフローチャートである。
図3(b)は、制御装置の制御動作を示すフローチャートである。
図3(a)に示すように、ステップS311では、撮像装置101のCPU202は、撮影が終了したか否かを判断する。この判断は、被写体追尾システム1000を使用するユーザからの所定の操作指示の有無によって実行される。ステップS311での判断の結果、CPU202が、撮像素子205での撮影が終了したと判断した場合には、処理は終了する。一方、ステップS311での判断の結果、CPU202が、撮影が終了していないと判断した場合には、処理はステップS312に進む。
【0019】
ステップS312では、CPU202は、撮像素子205を制御して、撮像素子205での被写体の画像撮影を行う。
【0020】
ステップS313では、CPU202は、通信部206を制御して、ステップS312で撮影した画像を、通信網104を介して制御装置102の通信部216に送信する。
【0021】
ステップS314では、CPU202は、被写体追尾における制御命令を制御装置102のCPU210から受信したか否かを判断する。ステップS314での判断の結果、CPU202が、制御命令を受信したと判断した場合には、処理はステップS315に進む。一方、ステップS314での判断の結果、CPU202が、制御命令を受信していないと判断した場合には、処理はステップS311に戻り、それ以降のステップを順次実行する。
【0022】
ステップS315では、CPU202は、制御命令に基づいてパン駆動部207を制御して、撮像装置101をパン方向に回動させる。ステップS315実行後、処理はステップS311に戻り、それ以降のステップを順次実行する。
【0023】
<制御装置の制御動作>
図3(b)に示すように、ステップS321では、制御装置102のCPU210は、撮像装置101の駆動部200の応答性としての所定の追尾敏感度を設定する。追尾敏感度については後述する。
【0024】
ステップS322では、CPU210は、追尾が終了したか否かを判断する。この判断は、被写体追尾システム1000を使用するユーザからの所定の操作指示の有無によって実行される。ステップS322での判断の結果、CPU210が、追尾が終了したと判断した場合には、処理はステップS323に進む。一方、ステップS322での判断の結果、CPU210が、追尾が終了していないと判断した場合には、処理は終了する。
【0025】
ステップS323では、CPU210は、ステップS313で撮像装置101から送信された画像を受信したか否かを判断する。ステップS323での判断の結果、CPU210が、画像を受信したと判断した場合には、処理はステップS324に進む。一方、ステップS323での判断の結果、CPU210が、画像を受信していないと判断した場合には、処理はステップS322に戻り、それ以降のステップを順次実行する。
【0026】
ステップS324では、CPU210は、ステップS323で受信した画像中の被写体位置を検出する。
【0027】
ステップS325では、CPU210は、ステップS321で設定された追尾敏感度と、ステップS324で検出された被写体位置と基づいて、ステップS315でパン駆動部207を制御するための制御命令を算出する。
【0028】
ステップS326では、CPU210は、通信部216を制御して、ステップS325で算出された制御命令を、通信網104を介して撮像装置101の通信部206に送信する。ステップS326実行後、処理はステップS322に戻り、それ以降のステップを順次実行する。
【0029】
<方向情報によるハンチング判断>
図4は、
図3に示すフローチャート中の制御命令算出(ステップS325)での詳細処理を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップS401では、制御装置102のCPU210は、パン駆動部207によって撮像装置101が回動した際の回動方向を算出する(演算する)。この回動方向は、撮像装置101のパン駆動部207から取得した回動角度の時間差分に基づいて算出される。被写体位置を検出した時点(以下「第1の時間」と言う)で取得した回動角度をθ1、第1の時間後に再度被写体位置を検出した時点(以下「第2の時間」と言う)で取得した回動角度をθ2、回動方向をαとしたとき、回動方向αは下記式(1)で表される。
α=(θ2-θ1)・・・(1)
式(1)において、αが正数である場合には、回動方向は右であるとし、αが負数である場合には、回動方向は左であるとする。なお、αが0である場合には、回動方向は算出されず、撮像装置101が回動していないとする。第1の時間で検出した被写体位置をx1、第2の時間で検出した被写体位置をx2、被写体方向をβとしたとき、被写体方向βは下記式(2)で表される。
β=(x2-x1)・・・(2)
式(2)において、βが正数である場合には、被写体方向は右であるとし、βが負数である場合には、被写体方向は左であるとする。なお、βが0である場合には、被写体方向は算出されず、被写体位置が変化していないとする。
【0030】
ステップS403では、CPU210は、ステップS402で算出した被写体方向が、第1の時間での被写体位置を起点とした場合に、目標位置から遠ざかる方向か否かを判断する。ここで「遠ざかる方向」とは、被写体位置の座標が目標位置の座標よりも大きい場合に、被写体方向βが正数となる方向のことであり、被写体位置の座標が目標位置の座標よりも小さい場合に、被写体方向βが負数となる方向のことである。ステップS403での判断の結果、CPU210が、被写体方向が目標位置から遠ざかる方向であると判断した場合には、処理はステップS404に進む。一方、ステップS403での判断の結果、CPU210が、被写体方向が目標位置から遠ざかる方向ではないと判断した場合には、処理はステップS407に進む。
【0031】
ステップS404では、CPU210は、ステップS401で算出した回動方向とステップS402で算出した被写体方向とが互いに反対方向であるか否かを判断する。「反対方向」とは、回動方向αが正数である場合に、被写体方向βが負数となる方向のことであり、回動方向αが負数である場合に、被写体方向βが正数となる方向のことである。ステップS404での判断の結果、CPU210が、回動方向と被写体方向とが互いに反対方向であると判断した場合には、処理はステップS405に進む。ステップS404での判断の結果、CPU210が、回動方向と被写体方向とが互いに反対方向ではないと判断した場合には、処理はステップS406に進む。
【0032】
ステップS405では、CPU210は、目標位置を中心するパン駆動が繰り返し実行されるハンチングと判断して、
図3に示すフローチャートの追尾敏感度の設定(ステップS321)で設定した追尾敏感度を低減して小さくする。ステップS405実行後、処理はステップS407に進む。
【0033】
ステップS406では、CPU210は、
図3に示すフローチャートの追尾敏感度の設定(ステップS321)で設定した追尾敏感度を増加して大きくする。ステップS406は、追尾敏感度が過小になり、パン駆動の制御量が不足した場合に、被写体がロストする(画面内から外れる)ことを抑制するために実行される。ステップS406実行後、処理はステップS407に進む。
【0034】
ステップS407では、CPU210は、目標位置を被写体位置に近づけるために必要なパン駆動部207に対する制御量を算出する。「パン駆動部207の制御量」とは、パン駆動部207を作動させて、撮像装置101をパン方向(水平方向)に回動させる際の回動速度を指定する量である。なお、制御量の算出については、後述する。
【0035】
以上のように制御装置102(追尾装置100)では、追尾制御を行う際に、被写体位置が目標位置から遠ざかり、かつ、被写体位置の回動方向(変化方向)と撮像装置101の回動方向とが異なるか否かを判断する。そして、この判断結果に応じて、追尾敏感度が調整される。具体的には、被写体位置が目標位置から遠ざかり、かつ、変化方向と回動方向とが互いに反対方向である場合には、ハンチングと判断して、追尾敏感度が低減される。ハンチングが発生する場合、撮像装置101に対するパン方向の制御速度が実空間における被写体の移動速度に対して過大であるため、目標位置は、被写体位置に近づいた後に追い越す。その結果、被写体の移動方向は、目標位置から遠ざかる方向になり、回動方向と反対方向になる。また、被写体位置が目標位置から遠ざかり、かつ、変化方向と回動方向とが同方向である場合には、画像中の被写体がロスト傾向にあると判断して、追尾敏感度が増加される。このような追尾制御により、追尾撮影中に生じる、例えばハンチングやロスト傾向を迅速に軽減することができる。
【0036】
<制御量の算出と追尾敏感度の概念>
図5は、
図4に示すフローチャート中の制御量の算出(ステップS407)における追尾敏感度の概念図である。この概念図は、目標位置から被写体位置までの距離と制御量との関係を示すグラフである。前述したように、追尾制御(追尾撮影)では、撮像装置101のパン駆動部207を制御して、目標位置を常に被写体位置に近づける。そして、ステップS407で、CPU210は、目標位置を被写体位置に近づけるために必要なパン駆動部207に対する制御量を算出する。例えば、目標位置を画面中央に設定した場合、画面中央の位置を被写体位置に近づけるために必要なパン駆動部207の制御量を算出する。
図5に示すように、制御量は、目標位置から被写体位置までの距離に、追尾敏感度としてのゲインKを乗算して算出される。目標位置をXt、被写体位置をXh、ゲインをK、制御量をYpとしたとき、制御量Ypは下記式(3)で表される。
Yp=(Xh-Xt)×K・・・(3)
【0037】
図5には、実線で示すグラフ501a、破線で示すグラフ501b、一点鎖線で示すグラフ501cが描かれている。グラフ501aは、所定のゲインKのときの、目標位置から被写体位置までの距離(Xh-Xt)と、制御量Ypとの関係を示すグラフである。グラフ501bは、ゲインKよりも小さいゲインK_smallのときの、目標位置から被写体位置までの距離(Xh-Xt)と、制御量Ypとの関係を示すグラフである。グラフ501cは、ゲインKよりも大きいゲインK_largeのときの、目標位置から被写体位置までの距離(Xh-Xt)と、制御量Ypとの関係を示すグラフである。このように追尾敏感度の調整は、制御量Ypの増減、すなわち、制御量を算出する際に被写体位置と目標位置との距離に乗じられるゲインKの増減である。これにより、ハンチング等を過不足なく軽減可能な制御量Ypを算出することができる。
【0038】
なお、追尾敏感度の調整として、本実施形態ではゲインKの増減としていたが、これに限定されない。例えば、追尾装置100では、撮影画面内の目標位置と異なる位置に、被写体位置が検出されても追尾制御が規制される、すなわち、パン駆動が規制されるが不感領域(規制領域)を設定することができる。そして、追尾敏感度の調整として、不感領域の拡大縮小を行う。例えば、追尾敏感度が所定よりも大きければ不感領域を縮小し、追尾敏感度が所定よりも小さければ不感領域を拡大する。また、追尾敏感度の調整として、目標位置と被写体位置との位置関係に関わらず、追尾敏感度に比例した制御量Ypを調整してもよい。また追尾装置100では、被写体位置と目標位置との差の絶対値と、所定の閾値とを比較して、絶対値が閾値を下回った場合にパン駆動の制御速度を減速させ、上回った場合にパン駆動の制御速度を加速させることができる。この場合、追尾敏感度によって、閾値を変えてもよい。すなわち、追尾敏感度が大きい場合には、閾値を減少させ、追尾敏感度が小さい場合には、閾値を増加させてもよい。このように追尾敏感度の調整として、撮像装置101の回動速度の増減を行ってもよい。これにより、追尾敏感度が大きければ、追尾が被写体に対して急峻に動作し、追尾敏感度が小さければ、追尾が被写体に対して緩やかに動作する。このような他の追尾敏感度の調整によっても、ハンチング等を過不足なく軽減可能な制御量Ypを算出することができる。なお、追尾装置100では、各追尾敏感度の調整を任意に組み合わせることもできる。
【0039】
[第2実施形態]
以下、
図6を参照して、第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。本実施形態は、ハンチング判断処理が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0040】
<<処理の流れ>>
<時間情報によるハンチング判断>
図6は、第2実施形態において、
図3に示すフローチャート中の制御命令算出(ステップS325)での詳細処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、ステップS601では、制御装置102のCPU210は、画像上で被写体位置の変化した際の変化速度(以下「被写体速度」と言う)を算出する。この被写体速度は、被写体位置の時間差分に基づいて算出される。検出時間t1で検出した被写体位置をx1、検出時間t1の後、検出時間t2で検出した被写体位置をx2、被写体速度をvとしたとき、被写体速度vは下記式(4)で表される。
v=(x2-x1)÷(t2-t1)・・・(4)
【0041】
ステップS602では、CPU210は、目標位置が被写体位置に到達したか否かを判断する。ここで「目標位置が被写体位置に到達した」とは、目標位置をx0したとき、x1≦x0≦x2またはx1≧x0≧x2の関係が成り立つ状態のことである。ステップS602での判断の結果、CPU210が、目標位置が被写体位置に到達したと判断した場合には、処理はステップS603に進む。一方、ステップS602での判断の結果、CPU210が、目標位置が被写体位置に到達していないと判断した場合には、処理はステップS607に進む。
【0042】
ステップS603では、CPU210は、ステップS601で算出した被写体速度が所定の第1閾値以上である否かを判断する。第1閾値としては、例えばフレームレートが60FPS(frame/sec)の動画像から被写体位置を検出する場合には、1pixel/frameとすることができる。また、この第1閾値は、適宜変更可能である。ステップS603での判断の結果、CPU210が、被写体速度が所定の閾値以上であると判断した場合には、処理はステップS604に進む。一方、ステップS603での判断の結果、CPU210が、被写体速度が所定の閾値以上ではないと判断した場合には、処理はステップS607に進む。
【0043】
ステップS604では、CPU210は、目標位置が被写体位置に到達する度に経過した時間(以下「経過時間」と言う)を算出する。経過時間は、目標位置が被写体位置に到達した時間の時間差分に基づいて算出される。目標位置が被写体位置に到達した時間をt3、時間t3の後に、目標位置が被写体位置に到達した時間をt4、経過時間をXtとしたとき、経過時間Xtは下記式(5)で表される。
Xt=(t4-t3)・・・(5)
【0044】
ステップS605では、CPU210は、ステップS604で算出した経過時間が所定の第2閾値未満であるか否かを判断する。第2閾値としては、例えば、1000msとすることができる。また、この第2閾値は、適宜変更可能である。ステップS605での判断の結果、CPU210が、経過時間が所定の閾値未満であると判断した場合には、処理はステップS606に進む。一方、ステップS605での判断の結果、CPU210が、経過時間が所定の閾値未満ではないと判断した場合には、処理はステップS607に進む。
【0045】
ステップS606では、CPU210は、ハンチングと判断して、
図3に示すフローチャートの追尾敏感度の設定(ステップS321)で設定した追尾敏感度を低減して小さくする。ステップS606実施後、処理はステップS607に進む。
【0046】
ステップS607では、CPU210は、目標位置を被写体位置に近づけるために必要なパン駆動部207に対する制御量を算出する。このステップS607の処理は、第1実施形態でのステップS407の処理と同様である。
【0047】
以上のように制御装置102(追尾装置100)では、追尾制御を行う際に、目標位置が被写体位置に到達し、その後再度到達するまでの経過時間の長短に応じて、追尾敏感度を調整する。具体的には、経過時間が所定時間よりも短く、被写体速度が第1閾値以上の場合(所定速度よりも速い場合)には、ハンチングと判断して、追尾敏感度が低減される。ハンチングが発生する場合、撮像装置101に対するパン方向の制御速度が実空間における被写体の移動速度に対して過大であるため、目標位置は、被写体位置を中心としてパン駆動を素早く繰り返す。その結果、目標位置が被写体位置に再度到達するまでの経過時間が短くなり、被写体速度が速くなる。本実施形態では、制御装置102での追尾制御により、追尾撮影中に生じるハンチングを迅速に軽減することができる。なお、制御装置102では、経過時間が所定時間よりも短く、撮像装置101の回動速度が所定速度よりも速い場合にハンチングと判断して、追尾敏感度を低減してもよい。また、制御装置102では、経過時間が所定時間よりも短く、不感領域内から被写体位置が外れている場合にハンチングと判断して、追尾敏感度を低減してもよい。このような制御により、チャタリングを防止することができる。
【0048】
各実施形態の開示は、以下の構成、方法およびプログラムを含む。
【0049】
(構成1) 被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置であって、
前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出手段と、
前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御手段と、を備え、
前記追尾制御手段は、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記被写体位置の変化方向と、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動方向とが異なるか否かを判断し、その判断結果に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする被写体追尾装置。
(構成2) 前記追尾制御手段は、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記変化方向と前記回動方向とが互いに反対方向である場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減することを特徴とする構成1に記載の被写体追尾装置。
(構成3) 前記追尾制御手段は、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記変化方向と前記回動方向とが同方向である場合にロスト傾向と判断して、前記追尾敏感度を増加することを特徴とする構成1または2に記載の被写体追尾装置。
(構成4) 前記追尾敏感度の調整は、前記駆動手段を作動させるための制御量の増減であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載の被写体追尾装置。
(構成5) 前記追尾敏感度の調整は、前記駆動手段を作動させるための制御量を演算する際に前記被写体位置と前記目標位置との距離に乗じられるゲインの増減であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載の被写体追尾装置。
(構成6) 前記撮像画像内には、前記目標位置と異なる位置に、前記被写体位置が検出されても前記追尾制御が規制される規制領域が設定されており、
前記追尾敏感度の調整は、前記規制領域の拡大縮小であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載の被写体追尾装置。
(構成7) 前記追尾敏感度の調整は、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動速度の増減であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載の被写体追尾装置。
(構成8) 前記撮像手段および前記駆動手段を備えることを特徴とする構成1乃至7のいずれか一項に記載の被写体追尾装置。
(構成9) 被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置であって、
前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出手段と、
前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御手段と、を備え、
前記追尾制御手段は、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記目標位置が前記被写体位置に到達し、その後再度到達するまでの経過時間の長短に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする被写体追尾装置。
(構成10) 前記追尾制御手段は、前記経過時間が所定時間よりも短い場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減することを特徴とする構成9に記載の被写体追尾装置。
(構成11) 前記追尾制御手段は、前記経過時間が所定時間よりも短く、前記被写体位置の変化した際の変化速度が所定速度よりも速い場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減することを特徴とする構成9または10に記載の被写体追尾装置。
(構成12) 前記追尾制御手段は、前記経過時間が所定時間よりも短く、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動速度が所定速度よりも速い場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減することを特徴とする構成9乃至11のいずれか一項に記載の被写体追尾装置。
(構成13) 前記撮像画像内には、前記目標位置と異なる位置に、前記被写体位置が検出されても前記追尾制御が規制される規制領域が設定されており、
前記追尾制御手段は、前記経過時間が所定時間よりも短く、前記規制領域内から前記被写体位置が外れている場合にハンチングと判断して、前記追尾敏感度を低減する構成9乃至12のいずれか一項に記載の被写体追尾装置。
(方法1) 被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置を制御する方法であって、
前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出工程と、
前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御工程と、を有し、
前記追尾制御工程では、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記被写体位置が前記目標位置から遠ざかり、かつ、前記被写体位置の変化方向と、前記駆動手段の作動による前記撮像素子の回動方向とが異なるか否かを判断し、その判断結果に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする被写体追尾装置の制御方法。
(方法2) 被写体を撮像する撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像素子をパン方向およびチルト方向のうちの少なくとも一方の方向に回動させる駆動手段とを制御して、前記被写体を追尾する被写体追尾装置を制御する方法であって、
前記撮像手段によって撮像された撮影画像から前記被写体が存在する被写体位置を検出する位置検出工程と、
前記駆動手段を作動させることにより、前記撮影画面内に設定された目標位置を前記被写体位置に近づける追尾制御を行う追尾制御工程と、を有し、
前記追尾制御工程では、前記追尾制御を行う際に、前記駆動手段の応答性としての追尾敏感度を調整可能であり、前記被写体位置が目標位置に到達し、その後再度到達するまでの経過時間の長短に応じて、前記追尾敏感度を調整することを特徴とする被写体追尾装置の制御方法。
(プログラム1) 構成1乃至13のいずれか一項に記載の被写体追尾装置の各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。本発明は、上述の各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータの1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0051】
100 被写体追尾装置(追尾装置)
101 撮像装置(撮像手段)
102 制御装置
200 駆動部(駆動手段)
207 パン駆動部
208 チルト駆動部
210 CPU