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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183212
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】トナー収容容器
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20231220BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G03G15/08 346
G03G21/16 147
G03G15/08 390B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096721
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】橋本 侑典
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AA14
2H077AA25
2H077AA33
2H077AC02
2H077CA12
2H171FA02
2H171FA14
2H171GA29
2H171JA07
2H171KA06
2H171KA07
2H171KA10
2H171KA16
2H171KA22
2H171KA23
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA11
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】 画像形成装置への脱着時にトナーがこぼれるのを防止する。
【解決手段】 トナー収容容器は、トナーを収容する第1収容部140と、第1収容部140と連通する第1受入口116と外部に連通する第1排出口117とを有する第2収容部110と、第1位置と第2位置との間を連続する接触面で第2収容部110と接触しつつ移動可能に設けられ、第1位置で第1受入口116および第1排出口117とそれぞれ一致する第2受入口126および第2排出口127が形成された開閉部材120と、第2収容部110の開閉部材120と接触しない非接触部分113に形成された開口115と、非接触部分の外面に非接触部分の外面と高さの異なる凸部151と、を備える。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する第1収容部と、
前記第1収容部と連通する第1受入口と外部に連通する第1排出口とを有する第2収容部と、
連続する接触面で前記第2収容部と接触しつつ第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられ、前記第1位置で前記第1受入口および前記第1排出口とそれぞれ一致する第2受入口および第2排出口が形成された開閉部材と、
前記第2収容部の前記開閉部材と接触しない非接触部分に形成された開口と、
前記非接触部分の外面に形成され、前記非接触部分の外面と高さの異なる封止防止部と、を備えたトナー収納容器。
【請求項2】
前記封止防止部は、前記開口を囲む領域に離間するように配置された複数の凸部を有する、請求項1に記載のトナー収容容器。
【請求項3】
前記封止防止部は、前記開口から延びる凹部を有する、請求項1に記載のトナー収容容器。
【請求項4】
前記封止防止部は、前記開口を横切るように懸架された橋梁部を有する、請求項1に記載のトナー収容容器。
【請求項5】
前記開閉部材を付勢する付勢部材を、さらに備え、
前記開口は、前記開閉部材を基準に前記付勢部材が付勢する方向と反対の方向に位置する、請求項1~4のいずれかに記載のトナー収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に着脱可能なトナー収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)で代表される画像形成装置は、感光体ドラムに形成された静電潜像をトナーにて現像する現像器と、その現像器に供給するトナーを収容するトナー収容容器とを備えている。トナー収容容器は、画像形成装置に着脱自在である。このトナー収容容器は、現像器に繋がる開口を有しており、トナー収容容器を着脱する際に、トナー収容容器に収容されたトナーが開口から排出されないように、開口が閉じられる。
【0003】
特開2019-74719号公報には、画像形成装置の本体に対して着脱可能なトナー容器であって、トナーを収容する第一収容室と、前記第一収容室と仕切壁を介して隣接する第二収容室と、第二収容室内で、移動可能に内挿された開閉部材とを備え、仕切壁に第一開口が開設され、トナー容器の底壁に第二収容室と連通した第二開口が開設され、開閉部材は、開閉部材の移動時には、第二収容室の内壁面と開閉部材の外壁面とが密接した状態を保つ構造としてあり、開閉部材の壁面には、第三開口及び第四開口が開設されており、第三開口が第一開口と対向する第一位置に来た時、第四開口が第二開口に一致するような関係位置に存在させてあることを特徴とするトナー容器が記載されている。
【0004】
このトナー容器において、開閉部材は、第二収容室内で移動可能に内挿されており、開閉部材の移動時には、第二収容室の内壁面と開閉部材の外壁面とが密接した状態を保つ構造となっている。このため、開閉部材が空気による抵抗を受けることなく、自由にスライド移動することができるように第二収容室が外部と連通する開口部が設けられている。
【0005】
しかしながら、特開2019-74719号公報に記載のトナー容器において、ユーザーが開口部を指などで塞いだ状態でトナー容器を画像形成装置に装着または着脱する場合がある。この場合、第二収容室内の一部の空間で開閉部材が移動することによりトナー容器内の気圧と外気圧とに差が生じる。この場合、開閉部材のスライド移動が制限されたり、開閉部材の気圧が高くなったりすると、トナー容器の外部にトナーが吹きこぼれる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-74719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、画像形成装置への着脱時にトナーが吹きこぼれるのを防止したトナー収容容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面によれば、トナー収容容器は、トナーを収容する第1収容部と、第1収容部と連通する第1受入口と外部に連通する第1排出口とを有する第2収容部と、連続する接触面で第2収容部と接触しつつ第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられ、第1位置で第1受入口および第1排出口とそれぞれ一致する第2受入口および第2排出口が形成された開閉部材と、第2収容部の開閉部材と接触しない非接触部分に形成された開口と、非接触部分の外面に形成され、非接触部分の外面と高さの異なる封止防止部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す第1の斜視図である。
図2】MFPの内部構成の一例を模式的に示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す第2の斜視図である。
図4】トナー収容容器が現像器に結合した状態の一例を示す斜視図である。
図5】トナー収容容器の内部構成の一例を示す断面図である。
図6】開閉部材とその周辺の断面図の一例を示す第1の図である。
図7】開閉部材とその周辺の断面図の一例を示す第2の図である。
図8】第2収容部の上壁の外観の一例を示す斜視図である。
図9】第1の変形例における第2収容部の上壁の外観の一例を示す斜視図である。
図10】第2の変形例における第2収容部の上壁の外観の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す第1の斜視図である。図1を参照して、MFP(Multi Function Peripheral)100は、画像形成装置の一例であり、その前面に本体ケースの一部を構成するカバー部材50を備える。カバー部材50は、開閉可能であり、図1においては、カバー部材50が閉じた閉状態におけるMFP1を示している。ここで、互いに垂直に交わるX方向、Y以下方向およびZ方向を定義する。X方向およびY方向は水平面に平行である。Y方向のうちMFP1の背面から前面に向かう方向(Y方向正側から負側に向かう方向)を正面方向といい、正面から背面に向かう水平な方向(Y方向負側から正側に向かう方向)を背面方向という。
【0012】
図2は、MFPの内部構成の一例を模式的に示す断面図である。図1および図2を参照して、MFP1は、原稿を読み取る原稿読取部2と、画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部3と、画像形成部3に用紙を供給する給紙部4と、を含む。
【0013】
原稿読取部2は、原稿ガラス11上にセットされた原稿の画像を、その下方を移動するスライダー12に取付けられた露光ランプ13で露光する。原稿からの反射光は、ミラー14と2枚の反射ミラー15,15Aによりレンズ16に導かれ、CCD(Charge Coupled Devices)センサー18に結像する。
【0014】
CCDセンサー18に結像した反射光は、CCDセンサー18内で電気信号としての画像データに変換される。画像データは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の印字用データに変換されて、画像形成部3に出力される。
【0015】
画像形成部3は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックそれぞれの画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備える。ここで、“Y”、“M”、“C”および“K”は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを表す。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの少なくとも1つが駆動されることにより、画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてが駆動されると、フルカラーの画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kには、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの印字用データがそれぞれ入力される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなので、ここでは、イエローの画像を形成するための画像形成ユニット20Yについて説明する。
【0016】
画像形成ユニット20Yは、イエローの印字用データが入力される露光装置21Yと、像担持体である感光体ドラム23Yと、感光体ドラム23Yの表面を一様に帯電するための帯電ローラー22Yと、現像器24Yと、感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像を電界力の作用で像担持体である中間転写ベルト30上に転写するための1次転写ローラー25Yと、感光体ドラム23Y上の転写残トナーを除去するためドラム清掃ブレード27Yと、を備える。
【0017】
感光体ドラム23Yの周辺に、帯電ローラー22Y、露光装置21Y、現像器24Y、1次転写ローラー25Y、ドラム清掃ブレード27Yが、感光体ドラム23Yの回転方向に沿って順に配置される。
【0018】
感光体ドラム23Yは、帯電ローラー22Yによって帯電された後、露光装置21Yが発光するレーザー光が照射される。露光装置21Yは、感光体ドラム23Yの表面の画像対応部を露光する。これにより、感光体ドラム23Yに静電潜像が形成される。続いて、現像器24Yが、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像を帯電したトナーで現像する。具体的には、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像上に電界力の作用でトナーが載せられることにより、トナー像が感光体ドラム23Yに形成される。感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像は、像担持体である中間転写ベルト30上に1次転写ローラー25Yにより電界力の作用で転写される。感光体ドラム23Y上で転写されずに残ったトナーは、ドラム清掃ブレード27Yにより感光体ドラム23Yから除去される。
【0019】
一方、中間転写ベルト30は、駆動ローラー33と従動ローラー34とにより弛まないように懸架されている。駆動ローラー33が図2中で反時計回りに回転すると、中間転写ベルト30が所定の速度で図中反時計回りに回転する。中間転写ベルト30の回転に伴って、従動ローラー34が、反時計回りに回転する。
【0020】
これにより、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kが、順に中間転写ベルト30上にトナー像を転写する。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kそれぞれが、中間転写ベルト30上にトナー像を転写するタイミングは、中間転写ベルト30に付された基準マークの検出に基づいて、調整される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト30上に重畳される。
【0021】
中間転写ベルト30に形成されたトナー像は、転写部材である2次転写ローラー26によって電界力の作用で用紙に転写される。タイミングローラー31により搬送される用紙は、中間転写ベルト30と2次転写ローラー26とが接するニップ部に搬送される。トナー像が転写された用紙は、定着ローラー32に搬送され、定着ローラー32により加熱および加圧される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は排紙トレイ39に排出される。
【0022】
中間転写ベルト30の画像形成ユニット20Yの上流に、ベルト清掃ブレード28が設けられている。ベルト清掃ブレード28は、中間転写ベルト30上で用紙に転写されずに残ったトナーを除去する。
【0023】
給紙カセット35,35Aには、それぞれサイズの異なる用紙がセットされている。給紙カセット35,35Aそれぞれに収容された用紙は、給紙カセット35,35Aにそれぞれ取付けられている取出ローラー36,36Aにより、搬送経路へ供給され、給紙ローラー37によりタイミングローラー31へ送られる。
【0024】
MFP1は、フルカラーの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてを駆動するが、モノクロの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのいずれか1つを駆動する。また、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの2以上を組み合わせて画像を形成することもできる。なお、ここでは、MFP1は、用紙に4色のトナーそれぞれを形成する画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備えたタンデム方式を採用する例について説明するが、1つの感光体ドラムで4色のトナーを順に用紙に転写する4サイクル方式を採用してもよい。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す第2の斜視図である。図3においては、カバー部材50を開いた開状態におけるMFP1を示している。図3を参照して、カバー部材50が開状態において、画像形成部3のトナー収容容器100Y,100M,100C,100Kが収納される収納領域が外部に露出する。
【0026】
トナー収容容器100Y,100M,100C,100KがMFP1に装着された状態で、トナー収容容器100Y,100M,100C,100Kは、現像器24Y,24M,24C,24Kのそれぞれ上方に配置される。
【0027】
トナー収容容器100Y,100M,100C,100Kそれぞれは、ユーザーにより正面方向(Y方向負側)に引き出されることにより、MFP1から脱着され、ユーザーにより背面方向(Y方向正側)に押し込まれることにより、MFP1に装着される。図3においては、トナー収容容器100YがMFP1から脱着された様子を示している。
【0028】
図4は、トナー収容容器が現像器に結合した状態の一例を示す斜視図である。図4を参照して、トナー収容容器100Yは、MFP1に装着された状態では、現像器24Yと結合する。具体的には、現像器24Yの上面に、トナー収容容器100Yをガイドするガイド部材が形成されている。トナー収容容器100Yの底面が現像器24Yのガイド部材に誘導されることにより、トナー収容容器100Yが現像器24Yに着脱される。トナー収容容器100Yは、現像器24Yと結合していない状態で、現像器24Yの上方で現像器24Yに対して背面方向にスライドすることにより現像器24Yと結合する。また、トナー収容容器100Yは、現像器24Yと結合した状態で、現像器24Yに対して正面方向にスライドすることにより現像器24Yから離脱する。
【0029】
図5は、トナー収容容器の内部構成の一例を示す断面斜視図である。図5を参照して、トナー収容容器100Yは、第1収容部140と、第2収容部110と、を含む。第1収容部140は、トナーを収容する第1収容空間140aを有する。また、第1収容部140は、背面方向の側壁で、第1ギア141および第2ギアそれぞれの回転軸を軸支する。第1ギアは、トナー収容容器100YがMFP1に装着された状態で、MFP1の本体に設けられたモーターと接続され、モーターにより回転する。第1ギア141の回転軸は、第1収容部140の第1収容空間140aに配置された撹拌部材と連結される。撹拌部材は、第1ギア141とともに回転することにより、第1収容空間140aに収容されたトナーを撹拌する。第2ギア142は、第1ギア141および後述する第3ギアと133と噛合し、第1ギア141の回転に伴って回転する。
【0030】
第2収容部110は、第1収容部140の下方に配置される。第2収容部110は、第2収容空間110aを有する中空の円筒形状であり、側壁111と、両端部に上壁113(図6参照)および底壁112を有する。第1収容空間140aと第2収容空間110aとは、第2収容部110の側壁111により仕切られる。第2収容部110の側壁111の上方に第2収容空間110aと第1収容空間140aとを連通する第1受入口116が形成される。また、第2収容部110の側壁111の下方に、第2収容空間110aと第2収容部110の外部とを連通する第1排出口117が形成される。第2収容部110の上壁113には、第2収容空間110aを外部に開放する開口115が形成されている。また、第2収容部110の底壁112には、第2収容空間110aと外部とが連通する挿入口114が形成されている。
【0031】
第2収容部110の第2収容空間110aに開閉部材120が挿入される。開閉部材120は、中空の円筒形状であり、側壁121と、両端部に上壁123および底壁122とを有する。底壁122は、軸受け124を有し、第3ギア133の回転軸を軸支する。開閉部材120の側壁121の外周面は、第2収容部110の側壁111の内周面と接触する。具体的には、開閉部材120は、第2収容部110の側壁111の内周面のうち周方向に連続する接触面で第2収容部110と接触する。第2収容部110の側壁111のうち開閉部材120と接触する部分が接触部分である。開閉部材120の側壁121と、第2収容部110の側壁111との間をトナーが通過できないように、開閉部材120の側壁121の外周面または第2収容部110の側壁111の内周面に弾性部材が設けられてもよい。
【0032】
開閉部材120は、第2収容部110に対して第2収容空間110a内でY方向に平行に移動可能である。開閉部材120の上壁123と第2収容部110との間に弾性部材135が配置される。弾性部材135は、開閉部材120を第2収容部110の上壁113から遠ざかる方向(Y方向正側)に付勢する。上壁113は、開閉部材120と接触しない非接触部分である。
【0033】
開閉部材120が弾性部材135の弾性力に逆らって移動する場合、開閉部材120は、Y方向の負側に移動する。開閉部材120が弾性部材135の弾性力に逆らって移動するに伴って、第2収容部110の第2収容空間110aのうち開閉部材120と第2収容部110の上壁113との間の空間の体積が徐々に小さくなる。上壁113に開口115が形成されているので、開閉部材120と第2収容部110の上壁113との間の空間の圧力が上昇しない。このため、開閉部材120がスムーズに移動する。
【0034】
また、開閉部材120が弾性部材135の弾性力に従って移動する場合、開閉部材120は、Y方向の正側に移動する。開閉部材120が弾性部材135の弾性力に従って移動するに伴って、第2収容部110の第2収容空間110aのうち開閉部材120と第2収容部110の上壁113との間の空間の体積が徐々に大きくなる。上壁113に開口115が形成されているので、開閉部材120と第2収容部110の上壁113との間の空間の圧力が下降しない。このため、開閉部材120がスムーズに移動する。
【0035】
図6は、開閉部材とその周辺の断面図の一例を示す第1の図である。図6は、開閉部材をX方向正側から負側に向かってみた図であり、トナー収容容器100Yが現像器24Yと結合していない状態における開閉部材120とその周辺を示している。図6を参照して、開閉部材120は、弾性部材135により付勢され第2収容部110内でY方向正側に移動した第2位置に位置する。第2位置は、第3ギア133が第2収容部110の底壁112に当接する位置である。
【0036】
開閉部材120は、第3収容空間120aを有する円筒形状であり、側壁121と、両端部に上壁123および底壁122とを有する。底壁122は、軸受け124を有し、第3ギア133の回転軸を軸支する。開閉部材120は、側壁121の上方に第3収容空間120aを外部に開放する開口として第2受入口126が形成され、側壁の下方に、第3収容空間120aを外部に開放する開口として第2排出口127が形成される。第2受入口126は第1受入口116と形状およびサイズが同じであり、第2排出口127は第1排出口117と形状およびサイズが同じである。
【0037】
開閉部材120が第1位置に位置する状態において、第2受入口126は第2収容部110に形成された第1受入口と重ならないように開閉部材120に形成され、第2排出口127は第2収容部110に形成された第1排出口117と重ならないように開閉部材120に形成される。
【0038】
開閉部材120は、第3収容空間120aにスクリュー131が配置される。スクリュー131は、円柱形状の回転軸と、その回転軸から回転軸周りにらせん状に延びる羽を有する。スクリュー131の回転軸は、第3ギア133の回転軸に接続される。このため、スクリュー131は、第3ギア133の回転に伴って回転する。挿入口114は、第3ギア133の回転軸の延長線上に位置するように、第2収容部110の底壁112に形成される。
【0039】
図7は、開閉部材とその周辺の断面図の一例を示す第2の図である。図7は、トナー収容容器100Yが現像器24Yと結合した状態における開閉部材120とその周辺を示している。図7を参照して、現像器24の上面に固定された棒状の押出部材161が、第2収容部110の底壁112に形成された挿入口114を貫通し、第3ギア133の回転軸に当接している。このため、開閉部材120は、第2収容部110内で第1位置から弾性部材135の弾性力に逆らってY方向負側に移動し、第2位置に位置する。
【0040】
トナー収容容器100Yが現像器24Yと結合した状態において、開閉部材120が第2位置に位置するとともに、第2収容部110に形成された第1排出口117は、現像器24Yの上面に形成されたトナー受入口163と重なる。
【0041】
開閉部材120が第2位置に位置する状態において、第2受入口126は第2収容部110に形成された第1受入口と一致する。このため、開閉部材120が第2位置に位置する状態において、第1収容部140に収納されたトナーが、第1受入口116および第2受入口126を介して、第2収容部110の第3収容空間120aに進入する。第2収容部110の第3収容空間120aに収容されたトナーは、スクリュー131が回転することにより第2排出口127に向かってY方向正側に搬送される。
【0042】
開閉部材120が第2位置に位置する状態において、第2排出口127は第2収容部110に形成された第1排出口117と一致する。このため、開閉部材120が第2位置に位置する状態において、スクリュー131によって搬送されるトナーは、第2排出口127に到達すると、第2排出口127、第1排出口117およびトナー受入口163を介して、現像器24Yの内部空間に進入する。
【0043】
トナー収容容器100Yが現像器24Yと結合した状態においては、太線の矢印で示されるように、第1収容部140に収容されたトナーは、開閉部材120の第3収容空間120aに第2受入口126から進入し、回転するスクリュー131によりY方向正側に搬送され、第2排出口127から現像器24Yの内部に落下する。
【0044】
上述したように、ユーザーがトナー収容容器100YをMFP1に装着する場合、トナー収容容器100Yの底面を現像器24Yのガイド部材に接触させた状態で、トナー収容容器100Yを背面方向(Y方向)に押し込む装着動作をする。この装着動作の際に、トナー収容容器100Yの正面方向に露出する上壁113を押し込む場合がある。その際に上壁113に形成された開口115が指等で塞がれる場合がある。ユーザーが、上壁113に形成された開口115を塞いだ状態で装着動作をする場合、第2収容部110の第2収容空間110aのうち、開閉部材120と上壁113との間の空間の圧力が上昇する。これにより、この空間の空気が第2収容部110と開閉部材120との間を通過して、第1収容部140の第1収容空間140aに流れ、第1収容空間140aおよび開閉部材120の第3収容空間120aの圧力を上昇させる。第3収容空間120aの圧力の上昇により、第2排出口127からトナーが吹きこぼれる場合がある。したがって、トナー収容容器100Yの上壁113に形成された開口115は、第2収容空間110aを外部に開放した状態が維持されることが望ましい。
【0045】
また、ユーザーがトナー収容容器100YをMFP1から脱着する場合、トナー収容容器100Yの底面を現像器24Yのガイド部材に接触させた状態で、トナー収容容器100Yを正面方向(Y方向負側)に引き出す脱着動作をする。ユーザーが、上壁113に形成された開口115を塞いだ状態で脱着動作をする場合、第2収容部110の第2収容空間110aのうち、開閉部材120と上壁113との間の空間の圧力が下降する。これにより、開閉部材120が開閉部材120と上壁113との間の空間の圧力により受ける力が弾性部材135の弾性力より大きい場合、開閉部材120が第2位置に完全に移動する前に、トナー収容容器100YがMFP1から脱着される。この場合は、第2排出口127からトナーが吹きこぼれる場合がある。したがって、トナー収容容器100Yの上壁113に形成された開口115は、第2収容空間110aを外部に開放した状態が維持されることが望ましい。
【0046】
図8は、第2収容部の上壁の外観の一例を示す斜視図である。図8を参照して、第2収容部110の上壁113の第2収容空間110aに接する面と反対側の外面に、開口115を囲む領域に離間するように配置された複数の凸部151が形成される。複数の凸部151それぞれは、上壁113の外面から所定の高さだけ隆起している。複数の凸部151それぞれは、直方体の形状である。また、複数の凸部151それぞれは、本体に、曲面を有する上部および端部を結合した形状であってもよい。複数の凸部151は、開口115を囲む離間した複数の位置から開口115の径方向に放射状に延びる。複数の凸部151を内包する外接円の内径は、所定の距離より大きい。複数の凸部151が配置される間隔の最大値は、所定の距離よりも小さい。所定の距離は、人の指の幅に相当し、例えば2cmである。複数の凸部151が配置される間隔は、等間隔であってもよい。なお、複数の凸部151は、開口115と接するように上壁113の外面に形成されてもよい。
【0047】
また、複数の凸部151それぞれが外面から延びる方向の高さを、所定の高さ以上としてもよい。凸部151のユーザーが触れる部分と、上壁113との間の距離が大きい場合、ユーザーが開口115を塞ぐことが困難になる。さらに、複数の凸部151の隣接する2つの高さを異ならせてもよい。
【0048】
ユーザーがトナー収容容器100YをMFP1に装着する装着操作をする際に、開口115の相当する部分を押下する場合、複数の凸部151に触れることになる。このため、複数の凸部151の隣り合う2つの間に空気が流れる流路が形成されるので、開口115がユーザーの指などによって塞がれないようにできる。
【0049】
このため、トナー収容容器100YをMFP1に装着する装着操作をする際に、第1収容空間140aおよび開閉部材120の第3収容空間120aの圧力が上昇するのを防止して、トナー収容容器100Yからトナーが吹きこぼれないようにできる。
【0050】
また、ユーザーがトナー収容容器100YをMFP1から脱着する脱着操作をする際に、開口115の相当する部分を押下する場合、複数の凸部151に触れることになる。このため、複数の凸部151の隣り合う2つの間に空気が流れる流路が形成されるので、開口115がユーザーの指などによって塞がれないようにできる。
【0051】
このため、トナー収容容器100YをMFP1から脱着する脱着操作をする際に、第2収容部110の第2収容空間110aのうち、開閉部材120と上壁113との間の空間の圧力が低下しないようにして、開閉部材120が第2収容部110内で第2位置にスムーズに移動するようにでき、トナー収容容器100Yからトナーがこぼれないようにできる。
【0052】
<第1の変形例>
図9は、第1の変形例における第2収容部の上壁の外観の一例を示す斜視図である。図9を参照して、第2収容部110の上壁113の第2収容空間110aに接する面と反対側の外面に、開口115から延びる凹部153が形成される。凹部153は、上壁113の外面から所定の距離の深さを有する。凹部153は、開口115に繋がり、開口115の径方向に開口115から上壁113の端部まで延びる。開口115から上壁113の端部までの長さが人の指の幅に相当する所定の距離より長い場合、凹部153の開口115から径方向に延びる長さは、所定の距離より長い。凹部153が延びる方向に直交する幅方向の長さは、開口115の内径より小さい。
【0053】
ユーザーがトナー収容容器100YをMFP1に装着する装着操作をする際に、開口115に相当する部分を押下する場合、凹部153に触れることがない。このため、凹部153が空気の流れる流路となるので、開口115がユーザーの指などによって塞がれないようにできる。
【0054】
<第2の変形例>
図10は、第2の変形例における第2収容部の上壁の外観の一例を示す斜視図である。図10を参照して、第2収容部110の上壁113の第2収容空間110aに接する面と反対側の外面に、開口115に懸架された橋梁部155を有する。橋梁部155を横切るように配置される。橋梁部155は、直方体の形状である。橋梁部155が延びる方向の長さは、人の指の幅に相当する所定の距離よりも長い。橋梁部155は、それが延びる方向に直交する幅方向の長さは、開口115の内径より小さい。
【0055】
また、橋梁部155が外面から延びる方向の高さを、所定の高さ以上としてもよい。橋梁部155のユーザーが触れる部分と、上壁113との間の距離が大きい場合、ユーザーが開口115を塞ぐことが困難になる。さらに、複数の橋梁部155が設けられてもよい。
【0056】
ユーザーがトナー収容容器100YをMFP1に装着する装着操作をする際に、開口115の相当する部分を押下する場合、橋梁部155に触れることになる。このため、開口115がユーザーの指などによって完全に塞がれないようにできる。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態におけるトナー収容容器100Yは、トナーを収容する第1収容部140と、第1収容部140と連通する第1受入口116と外部に連通する第1排出口117とを有する第2収容部110と、MFP1に装着された状態における第1位置とMFP1から脱着された状態における第2位置との間を連続する接触面で第2収容部110と接触しつつ移動可能に設けられ、第1位置で第1受入口116および第1排出口117とそれぞれ一致する第2受入口126および第2排出口127が形成された開閉部材120と、第2収容部110の開閉部材120と接触しない非接触部分である上壁113に形成された開口115と、上壁113の外面に形成され、上壁113の外面と高さの異なる複数の凸部151と、を備える。
【0058】
このため、第2収容部110の開閉部材120と接触しない上壁113に開口115が形成されており、上壁113の外面と高さの異なる封止防止部が形成れる。開閉部材120が第2収容部110と接触しつつ移動する場合に、開口115が外部から塞がれない。このため、第2収容部110の内部の気圧と外部の気圧との差が大きくなることにより第2排出口127からトナーが吹きこぼれないようにできる。
【0059】
また、封止防止部は、開口115を囲む領域に離間するように配置された複数の凸部151を有する。複数の凸部151が、開口115を囲む領域に離間して配置されるように、上壁113の外面に形成される。このため、複数の凸部151の間に空気の流路が確保される。
【0060】
また、開閉部材120を上壁113から離れる方向に付勢する弾性部材135を、さらに備え、開口115は、開閉部材120を基準に弾性部材135が付勢する方向と反対の方向に位置する。開閉部材120を基準に弾性部材135が付勢する方向と反対の方向に開口115が位置するので、開閉部材120を弾性部材135の付勢力に逆らう方向にトナー収容容器100Yを移動させることによりMFP1に装着する装着動作において、開口115が塞がれないようにできる。
【0061】
第1の変形例における封止防止部は、上壁113の外面に形成され、開口115から延びる凹部153を有する。開口115から延びるように、上壁113の外面に凹部153が形成される。このため、空気の流路として凹部を確保される。
【0062】
第2の変形例における封止防止部は、上壁113の外面に形成され、開口115を横切るように懸架された橋梁部155を有する。このため、開口115が完全に塞がれるのが防止される。
【0063】
なお、本実施の形態においては、現像器24の上面に押出部材161が固定され、ユーザーによる装着動作の際に、開閉部材120が第2位置から第1位置に移動するようにした。これとは別に、現像器24の上面で押出部材161が移動可能に接続され、ユーザーによる固定操作により押出部材161が移動するようにしてもよい。固定操作は、例えば、押出部材161の移動に連動して回転するレバーを回転させる操作である。この場合、ユーザーが装着動作をした後に、固定操作をすると押出部材161が移動し、開閉部材120が第2位置から第1位置に移動する。この場合にも同様に、ユーザーにより開口115が塞がれないようにするので、トナー収容容器100からトナーが吹きこぼれないようにできる。
【0064】
<実施形態の総括>
(項1) トナーを収容する第1収容部と、
前記第1収容部と連通する第1受入口と外部に連通する第1排出口とを有する第2収容部と、
連続する接触面で前記第2収容部と接触しつつ第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられ、前記第1位置で前記第1受入口および前記第1排出口とそれぞれ一致する第2受入口および第2排出口が形成された開閉部材と、
前記第2収容部の前記開閉部材と接触しない非接触部分に形成された開口と、
前記非接触部分の外面に形成され、前記非接触部分の外面と高さの異なる封止防止部と、を備えたトナー収納容器。
【0065】
この局面に従えば、第2収容部の開閉部材と接触しない非接触部分に開口が形成されており、非接触部分の外面に、非接触部分の外面と高さの異なる封止防止部が形成れる。開閉部材が第2収容部と接触しつつ移動する場合に、開口が外部から塞がれない。このため、第2収容部の内部の気圧と外部の気圧と差が大きくなることにより第2排出口からトナーが吹きこぼれないようにできる。その結果、画像形成装置への装着の際にトナーの吹きこぼれを防止したトナー収容容器を提供することができる。
【0066】
(項2) 前記封止防止部は、前記開口を囲む領域に離間するように配置された複数の凸部を有する、項1に記載のトナー収容容器。
【0067】
この局面に従えば、複数の凸部が、開口を囲む領域に離間して配置されるように、非接触部分の外面に形成される。このため、複数の凸部の間に空気の流路が確保される。
【0068】
(項3) 前記封止防止部は、前記開口から延びる凹部を有する、項1に記載のトナー収容容器。
【0069】
この局面に従えば、開口から延びるように、非接触部分の外面に凹部が形成される。このため、空気の流路として凹部を確保される。
【0070】
(項4) 前記封止防止部は、前記開口を横切るように懸架された橋梁部を有する、項1に記載のトナー収容容器。
【0071】
この局面に従えば、開口を横切るように、非接触部分の外面に橋梁部が形成される。このため、開口が完全にふさがれるのが防止される。
【0072】
(項5) 前記開閉部材を付勢する付勢部材を、さらに備え、
前記開口は、前記開閉部材を基準に前記付勢部材が付勢する方向と反対の方向に位置する、項1~4のいずれかに記載のトナー収容容器。
【0073】
この局面に従えば、開閉部材を基準に付勢部材が付勢する方向と反対の方向に開口が位置するので、開閉部材を付勢部材の付勢力に逆らう方向にトナー収容容器を移動させることにより画像形成装置に装着する装着動作において、開口が塞がれないようにできる。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1 MFP、2 原稿読取部、3 画像形成部、4 給紙部、20Y,20M,20C,20K 画像形成ユニット、21Y 露光装置、22Y 帯電ローラー、23Y 感光体ドラム、24Y,24M,24C,24K 現像器、50 カバー部材、100Y,100M,100C,100K トナー収容容器、110 第2収容部、110a 第2収容空間、112 底壁、113 上壁、114 挿入口、115 開口、116 第1受入口、117 第1排出口、120 開閉部材、120a 第3収容空間、122 底壁、123 上壁、126 第2受入口、127 第2排出口、131 スクリュー、133 第3ギア、135 弾性部材、140 第1収容部、140a 第1収容空間、141 第1ギア、142 第2ギア、151 凸部、153 凹部、155 橋梁部、161 押出部材、163 トナー受入口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10