(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183224
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】可搬式投光器
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231220BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231220BHJP
【FI】
F21S2/00 365
F21S2/00 350
F21S2/00 390
F21S2/00 320
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096735
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000104216
【氏名又は名称】株式会社カネコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】手塚 昌利
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】小山 愛
(57)【要約】
【課題】光路を調整しやすい可搬式投光器を提供する
【解決手段】本発明の可搬式投光器は、本体、前方支持部材、後方支持部材、ハンドルを備える。本体は、光源部を前面に有し、ケーブルとの接続部を後面に有する。前方支持部材は、本体の前方上部に取り付けられる。後方支持部材は、本体の後方上部に取り付けられる。ハンドルは、前方支持部材と後方支持部材との間に取り付けられる。ハンドルは、本体側から形成された第1スリットを有する。第1スリットの奥の位置は、可搬式投光器の重心が真下に配置されたときに、光源部が水平方向を投光する位置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬式投光器であって、
光源部を前面に有し、ケーブルとの接続部を後面に有する本体と、
前記本体の前方上部に取り付けられた前方支持部材と、
前記本体の後方上部に取り付けられた後方支持部材と、
前記前方支持部材と前記後方支持部材との間に取り付けられたハンドル
を備え、
前記ハンドルは、前記本体側から形成された第1スリットを有し、
前記第1スリットの奥の位置は、当該可搬式投光器の重心が真下に配置されたときに、前記光源部があらかじめ定めた水平方向の範囲を投光する位置である
ことを特徴とする可搬式投光器。
【請求項2】
請求項1記載の可搬式投光器であって、
前記第1スリットは湾曲している
ことを特徴とする可搬式投光器。
【請求項3】
請求項2記載の可搬式投光器であって、
前記第1スリットは、前記第1スリットの入口から奥に進むほど前記本体の前面に近づくように湾曲している
ことを特徴とする可搬式投光器。
【請求項4】
請求項2記載の可搬式投光器であって、
前記第1スリットは、前記第1スリットの入口から奥に進むほど前記本体の後面に近づくように湾曲している
ことを特徴とする可搬式投光器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の可搬式投光器であって、
前記ハンドルは、さらに第2スリットを前記第1スリットよりも前記ハンドルの後面側に有しており、
前記第2スリットは、前記第2スリットの入口から奥に進むほど前記本体の後面に近づくように湾曲している
ことを特徴とする可搬式投光器。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の可搬式投光器であって、
前記スリットの表面には弾性材が配置されている
ことを特徴とする可搬式投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に消防用に使用される可搬式投光器に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1の可搬式投光器、特許文献1の可搬式投光器が従来技術として知られている。非特許文献1の可搬式投光器は、光源部筐体の後方に設けたケーブル保護も兼ねたブラケット(後方支持部材)へカラビナを取り付けるか、もしくは前方に設けたブラケット(前方支持部材)にカラビナを取り付けることで、ハンドルを手で把持することなく、カラビナ取り付け位置を固定して携行できる。光路を下向きにしたい場合は後方部のブラケットへ、正面または上向きにしたい場合は前方部のブラケットへカラビナを取り付けることで、光路を変えることができる。特許文献1の可搬式投光器の場合は、ハンドルに1つ以上の貫通孔が形成されており、その貫通孔にカラビナを取り付けることができる。貫通孔が複数ある場合は、どの貫通孔にカラビナを通すかで光路の向きを変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】KANEKO、“信号器付投光器(LED式)”,[令和4年6月9日検索]、インターネット<http://www.kaneko-ks.co.jp/products/syoubou/ks9302.html>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1の技術の場合は、ブラケットのカラビナ取付部を利用すると持ち運ぶ際は便利だが、投光する際には腕などで可搬式投光器を持たなければならない。また、仮に投光する際にハンドルにカラビナを取り付けるとカラビナが滑るため光路を固定しにくいという問題がある。特許文献1の技術の場合は、投光中に光路を変更するためには、カラビナを貫通孔から外して別の貫通孔に付け替えなければならないという問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、光路を調整しやすい可搬式投光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の可搬式投光器は、本体、前方支持部材、後方支持部材、ハンドルを備える。本体は、光源部を前面に有し、ケーブルとの接続部を後面に有する。前方支持部材は、本体の前方上部に取り付けられる。後方支持部材は、本体の後方上部に取り付けられる。ハンドルは、前方支持部材と後方支持部材との間に取り付けられる。ハンドルは、本体側から形成された第1スリットを有する。第1スリットの奥の位置は、可搬式投光器の重心が真下に配置されたときに、光源部があらかじめ定めた水平方向の範囲を投光する位置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の可搬式投光器によれば、第1スリットの奥の位置は、可搬式投光器の重心が真下に配置されたときに、光源部が水平方向を投光する位置である。したがって、カラビナを第1スリットに配置すると、力を加えなければ水平方向を投光できる。また、この状態でユーザが腕などで多少の力を可搬式投光器に加えれば、投光する方向(光路)を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の可搬式投光器を前方斜め上から見た斜視図。
【
図2】実施例1の可搬式投光器を後方斜め上から見た斜視図。
【
図8】第1スリット41にカラビナ80を配置して可搬式投光器100を吊り下げた場合の様子を示す図。
【
図9】第2スリットにカラビナ80を取り付けて可搬式投光器100を吊り下げた場合の様子を示す図。
【
図10】変形例1の可搬式投光器のハンドルを側面から見た図。
【
図11】第1スリット46にカラビナ80を配置して可搬式投光器101を自然に吊り下げた場合の様子を示す図。
【
図12】第1スリット46にカラビナ80を配置して可搬式投光器101の前面側が少し下を向くように力を付加した場合の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0010】
図1に実施例1の可搬式投光器を前方斜め上から見た斜視図、
図2に実施例1の可搬式投光器を後方斜め上から見た斜視図、
図3に実施例1の可搬式投光器を側面から見た図を示す。実施例1の可搬式投光器100は、本体10、前方支持部材20、後方支持部材30、ハンドル40を備える。なお、前方支持部材20と後方支持部材30は、ブラケットと呼ぶこともある。
【0011】
本体10は、光源部11を前面に有し、ケーブル90との接続部12を後面に有する。また、本体10には、警報スイッチ13、警報表示ランプ14、切替スイッチ15なども配置されている。光源部11は複数のLED(Light Emitting Diode)などの光源を備えている。接続部12は、外部からの電力供給および通信のためのケーブル90と接続される。警報スイッチ13は、緊急時に即座にユーザが押せるように、ユーザがハンドル40を持ったときに親指が届く範囲に配置するのが望ましい。警報表示ランプ14は、ユーザの腕、手などでさえぎる可能性が低い位置に配置される。具体的には、
図1~3に示したように、本体10の前方上部に配置すればよい。切替スイッチ15は、光源部11から投光する光の集光・拡散の程度を調整するスイッチである。切替スイッチ15は、頻繁に切り替える必要はないので、焦ったときに警報スイッチ13と間違えない位置に配置する方が望ましい。
【0012】
前方支持部材20は、本体10の前方上部に取り付けられる。
図4は前方支持部材の例を示す図である。前方支持部材20は、ステンレスなどの金属で形成すればよい。前方支持部材20は、前方支持部材20を本体10に取り付けるための本体取付孔22、ハンドル40を前方支持部材20に取り付けるためのハンドル取付孔23を有する。また、前方支持部材20は、警報スイッチ13と警報表示ランプ14を上述の位置に配置するための操作用孔25も有する。
【0013】
なお、警報スイッチ13と警報表示ランプ14は、ハンドル40の上面よりは高い位置とし、前方支持部材20に隠れるような位置にすればよい。そのような位置に配置することで、可搬式投光器100のいずれかの場所に取り付けたカラビナによって、警報スイッチ13と警報表示ランプ14が傷つくことを防ぎやすくできる。
【0014】
後方支持部材30は、本体10の後方上部に取り付けられる。
図5は後方支持部材の例を示す図である。後方支持部材30は、ステンレスなどの金属で形成すればよい。後方支持部材30は、後方支持部材30を本体10に取り付けるための本体取付孔32、ハンドル40を後方支持部材30に取り付けるためのハンドル取付孔33、接続部12のための接続用孔35を有する。
【0015】
ハンドル40は、前方支持部材20と後方支持部材30との間に取り付けられる。
図6は実施例1のハンドルの例を示す斜視図である。
図7は実施例1のハンドルを側面から見た図である。ハンドル40は、本体10側から形成された第1スリット41と第2スリット42を有する。第2スリット42は、第1スリット41よりもハンドル40の後面側に形成される。消防のために用いるカラビナは一般的には直径10mmもしくは直径12mmなので、第1スリット41と第2スリット42の幅は12.5~15mmなど、カラビナが挿入しやすく、抜けにくい幅にすることが望ましい。ただし、カラビナが挿入しやすく、抜けにくい幅であれば、12.5~15mmに限定する必要はない。
【0016】
実施例1では、第1スリット41は、第1スリット41の入口から奥に進むほど本体10の前面に近づくように湾曲している。第2スリット42は、第2スリットの入口から奥に進むほど本体の後面に近づくように湾曲している。第1スリット41と第2スリット42とを湾曲させることで、カラビナを抜けにくくしやすい。ただし、第1スリット41と第2スリット42は、必ずしも湾曲させなくてもよいし、
図6,7に示すような「く」の字型に湾曲させなくてもよい。第1スリット41と第2スリット42は、本体10側からカラビナを出し入れできるので、カラビナを開いて取り外すことなく、カラビナの位置を変更できる。よって、光路を調整しやすい。
【0017】
また、
図6,7のように第1スリット41と第2スリット42とを湾曲させれば、入り口同士が近くなるので、カラビナを移動させるときに移動させやすい。さらに、滑り防止のため、第1スリット41と第2スリット42の表面には弾性材を配置すればよい。ハンドル40は、前方支持部材20と取り付けるためのブラケット取付孔47も有する。
図6では見えないが、ハンドル40は、ブラケット取付孔47の反対側の面に、後方支持部材30と取り付けるためのブラケット取付孔も有する。
【0018】
第1スリット41の奥の位置は、可搬式投光器100の重心が真下に配置されたときに、光源部11があらかじめ定めた水平方向の範囲を投光する位置である。「あらかじめ定めた水平方向の範囲」は、適宜定めればよい。例えば、投光する光の中心線が水平方向から所定の角度以内となる範囲を、「あらかじめ定めた水平方向の範囲」としてもよい。あるいは、投光する光を拡散した状態で水平方向への光が含まれる範囲を、「あらかじめ定めた水平方向の範囲」としてもよい。
図3のA-A線は、光源部11が水平方向を投光する状態のときに重心を通る鉛直線を示している。なお、第2スリット42の奥の位置は、可搬式投光器100の重心が真下に配置されたときに、光源部11が斜め下方向を投光する位置である。
【0019】
図8は第1スリット41にカラビナ80を配置して可搬式投光器100を吊り下げた場合の様子を示す図、
図9は第2スリットにカラビナ80を取り付けて可搬式投光器100を吊り下げた場合の様子を示す図である。
図8の場合は、光源部11はほぼ水平方向を向いている。
図9の場合は、光源部11は斜め下を向いている。消防の場合、ユーザはカラビナ80を腰の安全ベルトに取り付けることが多い。安全ベルトに取り付けるカラビナ80の位置を選択することで、ユーザが望む方向を投光できる。
【0020】
可搬式投光器100によれば、第1スリット41の奥の位置は、可搬式投光器100の重心が真下に配置されたときに、光源部11が水平方向を投光する位置である。したがって、カラビナ80を第1スリット41に配置すると、力を加えなければ水平方向を投光できる。また、この状態でユーザが腕などで多少の力を可搬式投光器100に加えれば、投光する方向(光路)を容易に調整できる。また、第1スリット41と第2スリット42は、本体10側からカラビナ80を出し入れできるので、カラビナ80を開いて取り外すことなく、カラビナ80の位置を変更できる。よって、光路を調整しやすい。ただし、第2スリット42を省略した場合でも、上述の第1スリット41の効果は得られる。したがって、第2スリット42を省略することもあり得る。
[変形例1]
【0021】
図10に変形例1の可搬式投光器のハンドルを側面から見た図を示す。可搬式投光器101の本体10、前方支持部材20、後方支持部材30は、可搬式投光器100と同じである。異なるのは、第1スリット46だけである。ハンドル45は、本体10側から形成された第1スリット46と第2スリット42を有する。第2スリット42は、第1スリット46よりもハンドル40の後面側に形成される。第1スリット46と第2スリット42の幅についても、実施例1と同様である。
【0022】
変形例1では、第1スリット46は、第1スリット46の入口から奥に進むほど本体10の後面に近づくように湾曲している。第1スリット46の奥の位置は、可搬式投光器100の重心が真下に配置されたときに、光源部11が水平方向を投光する位置である。
図10のA-A線は、光源部11が水平方向を投光する状態のときに可搬式投光器101の重心を通る鉛直線を示している。つまり、第1スリット46の入り口は、A-A線(重心を通る線)よりも前面側にある。
【0023】
図11は第1スリット46にカラビナ80を配置して可搬式投光器101を自然に吊り下げた場合の様子を示す図、
図12は第1スリット46にカラビナ80を配置して可搬式投光器101の前面側が少し下を向くように力を付加した場合の様子を示す図である。
図11の場合は、光源部11はほぼ水平方向を向いている。
図12の場合は、光源部11は斜め下を向いている。
図12の第1スリット46の奥の部分のスリットの方向は、
図11のときよりも鉛直方向になることが分かる。スリットの方向がより鉛直方向に近い方が、ユーザの意思に反したカラビナ80の移動を防ぎやすい。したがって、変形例1のように第1スリット46を湾曲させると、光源部11が水平方向を投光した状態から、ユーザが少し下に投光方向(光路)を調整した場合でも、ユーザの意思に反したカラビナ80の移動を防ぎやすい。
【0024】
可搬式投光器101によれば、第1スリット46の奥の位置は、可搬式投光器100の重心が真下に配置されたときに、光源部11が水平方向を投光する位置である。したがって、カラビナ80を第1スリット46に配置すると、力を加えなければ水平方向を投光できる。また、この状態でユーザが腕などで多少の力を可搬式投光器101に加えれば、投光する方向(光路)を容易に調整できる。また、第1スリット46と第2スリット42は、本体10側からカラビナ80を出し入れできるので、カラビナ80を開いて取り外すことなく、カラビナ80の位置を変更できる。よって、光路を調整しやすい。ただし、第2スリット42を省略した場合でも、上述の第1スリット46の効果は得られる。したがって、第2スリット42を省略することもあり得る。