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特開2023-183246太陽光発電パラメータ推定装置、太陽光発電パラメータ推定方法、供給電力予測装置、供給電力予測方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183246
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】太陽光発電パラメータ推定装置、太陽光発電パラメータ推定方法、供給電力予測装置、供給電力予測方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20231220BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231220BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20231220BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H02S50/00
H02J3/38 130
H02J3/00 170
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096767
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】花岡 伸
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5F151KA02
5F151KA10
5F251KA02
5F251KA10
5G064AC09
5G064CB03
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA01
5G066AA02
5G066AA03
5G066HB06
5G066KA06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電設備の発電効率とパネル角度係数を得ることができる太陽光発電パラメータ推定装置を提供すること。
【解決手段】配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部と、複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部と、配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部と、複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、複数日における供給電力の実績値と、複数日における斜面日射量の実績値と、設備量とを用いて、太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部とを備える太陽光発電パラメータ推定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部と、
前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部と、
前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部と、
前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部と
を備える太陽光発電パラメータ推定装置。
【請求項2】
前記複数日は、日曜、祝日、土曜を含まず、かつ、全て同じ季節の日である、請求項1に記載の太陽光発電パラメータ推定装置。
【請求項3】
前記太陽光発電パラメータ推定部は、前記複数日の各々における需要電力の分散を最小化するように、前記変換効率と前記パネル角度係数とを、最適化法を用いて推定する、請求項1または請求項2に記載の太陽光発電パラメータ推定装置。
【請求項4】
太陽光発電パラメータ推定装置による太陽光発電パラメータ推定方法であって、
配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得するステップと、
前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得するステップと、
前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得するステップと、
前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定するステップと
を有する太陽光発電パラメータ推定方法。
【請求項5】
配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部と、
前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部と、
前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部と、
前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部と、
前記変換効率と前記パネル角度係数とを用いて、前記配電系統への供給電力を予測する供給電力予測部と
を備える供給電力予測装置。
【請求項6】
供給電力予測装置による供給電力予測方法であって、
配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得するステップと、
前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得するステップと、
前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得するステップと、
前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定するステップと、
前記変換効率と前記パネル角度係数とを用いて、前記配電系統への供給電力を予測するステップと
を有する供給電力予測方法。
【請求項7】
コンピュータを、
配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部、
前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部、
前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部、
前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部、
前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部、
前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部、
前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部、
前記変換効率と前記パネル角度係数とを用いて、前記配電系統への供給電力を予測する供給電力予測部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽光発電パラメータ推定装置、太陽光発電パラメータ推定方法、供給電力予測装置、供給電力予測方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電設備が設置された住宅が増加している。電力事業者は、これらの太陽光発電設備により発電される電力の大きさを考慮して、発電計画を立てる必要がある。太陽光発電設備により発電される電力の大きさを予測する技術が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-044740号公報
【特許文献2】特開2016-197948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら特許文献1、特許文献2においては、太陽光発電設備により発電される電力の大きさを精度良く予測するために必要な太陽光発電設備の発電効率とパネル角度係数が得られないという問題がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたもので、太陽光発電設備の発電効率とパネル角度係数を得ることができる太陽光発電パラメータ推定装置、太陽光発電パラメータ推定方法、供給電力予測装置、供給電力予測方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示は上述した課題を解決するためになされたもので、本開示の一態様は、配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部と、前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部と、前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部と、前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部とを備える太陽光発電パラメータ推定装置である。
【0007】
また、本開示の他の一態様は、上述の太陽光発電パラメータ推定装置であって、前記複数日は、日曜、祝日、土曜を含まず、かつ、全て同じ季節の日である。
【0008】
また、本開示の他の一態様は、上述の太陽光発電パラメータ推定装置であって、前記太陽光発電パラメータ推定部は、前記複数日の各々における需要電力の分散を最小化するように、前記変換効率と前記パネル角度係数とを、最適化法を用いて推定する。
【0009】
また、本開示の他の一態様は、太陽光発電パラメータ推定装置による太陽光発電パラメータ推定方法であって、配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得するステップと、前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得するステップと、前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得するステップと、前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定するステップとを有する太陽光発電パラメータ推定方法である。
【0010】
また、本開示の他の一態様は、配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部と、前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部と、前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部と、前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部と、前記変換効率と前記パネル角度係数とを用いて、前記配電系統への供給電力を予測する供給電力予測部とを備える供給電力予測装置である。
【0011】
また、本開示の他の一態様は、供給電力予測装置による供給電力予測方法であって、配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得するステップと、前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得するステップと、前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得するステップと、前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定するステップと、前記変換効率と前記パネル角度係数とを用いて、前記配電系統への供給電力を予測するステップとを有する供給電力予測方法である。
【0012】
また、本開示の他の一態様は、コンピュータを、配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部、前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部、前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部、前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部として機能させるためのプログラムである。
【0013】
また、本開示の他の一態様は、コンピュータを、配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する供給電力取得部、前記複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する実績日射量取得部、前記配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する太陽光発電設備量取得部、前記複数日の各々における需要電力が同じであると仮定して、前記複数日における供給電力の実績値と、前記複数日における斜面日射量の実績値と、前記設備量とを用いて、前記太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する太陽光発電パラメータ推定部、前記変換効率と前記パネル角度係数とを用いて、前記配電系統への供給電力を予測する供給電力予測部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
この開示によれば、太陽光発電パラメータ推定装置は、太陽光発電設備の発電効率とパネル角度係数を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この開示の一実施形態による供給電力予測装置100の機能構成を示す概略ブロック図である。
図2】同実施形態における電力系統200を示す模式図である。
図3】同実施形態における電力需要の第1の例を示すグラフである。
図4】同実施形態における電力需要の第2の例を示すグラフである。
図5】同実施形態における太陽光発電パラメータ推定部104の動作を説明するフローチャートである。
図6】同実施形態における供給電力予測部108の動作を説明するフローチャートである。
図7】同実施形態における対象日と時刻の指定を行うためのダイアログの例を示す図である。
図8】同実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。図1は、この開示の一実施形態による供給電力予測装置100の機能構成を示す概略ブロック図である。配電系統に接続されている需要家の少なくとも一部は、太陽光発電の設備を備えている。そのような需要家では、電力需要の一部が太陽光発電により賄われており、不足分の電力が配電系統から供給されている。供給電力予測装置100は、ある地域の配電系統に、送電系統から供給すべき電力を予測する。
【0017】
供給電力予測装置100は、供給電力予測装置100は、太陽光発電パラメータ推定装置110、太陽光発電パラメータ記憶部105、予測日射量取得部106、総需要予測部107、供給電力予測部108を備える。なお、供給電力予測装置100および太陽光発電パラメータ推定装置110の各々は、1つまたは複数のコンピュータがソフトウェアを実行することで実現される。該コンピュータは、タブレット端末、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバマシンなどのいずれであってもよい。
【0018】
太陽光発電パラメータ推定装置110は、太陽光発電による発電量を、日射量と設備量から予測するためのパラメータを推定する。ここで、日射量は、供給電力予測装置100が対象としている地域を代表する一か所(例えば、気象台のある場所、気象予報会社の観測点がある場所)における斜面日射量である。この斜面日射量は、ある角度の仮想的な斜面に対する日射量であり、その角度は、例えば、水平面であってもよいし、一般的な住宅の屋根の取り付け角度であってもよい。また、設備量は、供給電力予測装置100が対象としている地域の配電系統の需要家に設置されている太陽光発電設備が発電可能な電力の総計である。
【0019】
また、太陽光発電パラメータ推定装置110が推定するパラメータは、供給電力予測装置100が対象としている地域の配電系統の需要家に設置されている全ての太陽光発電設備を代表する発電効率と、パネル角度係数である。パネル角度係数は、斜面日射量の斜面に対して、太陽光発電設備の太陽電池パネルが角度を有していることによる日射量の変化を表す係数である。発電効率はおおむね0.8付近、パネル角度はおおよそ20~30度であることが知られているため、このように発電効率と、パネル角度係数とを別々に推定することで、推定結果の妥当性を確認することができる。なお、パネル角度係数として、パネル角度そのものを推定するようにしてもよい。
【0020】
太陽光発電パラメータ記憶部105は、太陽光発電パラメータ推定装置110が推定したパラメータ(発電効率と、パネル角度係数)と、設備量とを記憶する。予測日射量取得部106は、供給電力予測装置100が対象としている地域を代表する一か所(例えば、気象台のある場所、気象予報会社の予報点がある場所)における斜面日射量の予測値を取得する。この斜面日射量の斜面は、太陽光発電パラメータ推定装置110において説明したものと同じ角度である。
【0021】
総需要予測部107は、供給電力予測装置100が対象としている地域の配電系統の全ての需要家の需要電力の合計値を予測した値(総需要)を取得する。この需要電力には、需要家に設置された太陽光発電設備により供給される電力も含まれる。ここでは、供給される電力と、需要される電力とは一致していると仮定する。供給電力予測部108は、総需要から、太陽光発電設備により供給される電力を引いて、配電系統から供給すべき電力(供給電力)の予測値を算出する。ここで、太陽光発電設備により供給される電力は、例えば、予測日射量取得部106が取得した斜面日射量の予測値に、太陽光発電パラメータ記憶部105が記憶する発電効率、パネル角度係数、および設備量を乗じることで算出される。
【0022】
太陽光発電パラメータ推定装置110は、供給電力取得部101、実績日射量取得部102、太陽光発電設備量取得部103、太陽光発電パラメータ推定部104を備える。供給電力取得部101は、供給電力予測装置100が対象としている地域の配電系統への複数日の同時刻における供給電力の実績値を取得する。実績日射量取得部102は、複数日の同時刻における斜面日射量の実績値を取得する。太陽光発電設備量取得部103は、配電系統に接続されている太陽光発電の設備量を取得する。太陽光発電パラメータ推定部104は、複数日の各々における電力需要が同じであると仮定して、複数日における供給電力の実績値と、複数日における斜面日射量の実績値と、設備量とを用いて、太陽光発電の設備の変換効率とパネル角度係数とを推定する。
【0023】
図2は、本実施形態における電力系統200を示す模式図である。電力系統200は、発電所201、送電系統202、配電系統203、太陽光発電設備204、206、需要家205、207を備える。なお、発電所201、送電系統202、配電系統203は、太陽光発電設備204、206、需要家205、207の数は、図1と異なっていてもよい。
【0024】
発電所201は、火力、水力、原子力などを用いて発電し、電力を供給する。送電系統202は、発電所201は発電した電力を、配電系統203に供給する。配電系統203は、ある地域内の需要家205、207に、電力を供給する。太陽光発電設備204、206は、それぞれ需要家205、207に設置されており、太陽光による発電を行う。需要家205、207は、配電系統203に接続されている需要家である。需要家205、207は、配電系統203からと、それぞれ太陽光発電設備204、206から電力の供給を受ける。電力事業者は、送電系統202から配電系統203へ供給される電力を把握することができる。図2では、太陽光発電設備204、206の2つのみを示したが、実際は、太陽光発電設備204、206の数は、はるかに多数となっている。このため、電力事業者は、全ての太陽光発電設備204、206から需要家205、207に供給される電力を正確に把握することは出来ない、あるいは、困難である。
【0025】
図3は、本実施形態における電力需要の第1の例を示すグラフである。図4は、本実施形態における電力需要の第2の例を示すグラフである。図3図4のグラフにおいて横軸は、時間(0:00から24:00)であり、縦軸は電力である。図3に示す第1の例は、晴天であり、かつ平日である場合の例である。図4に示す第2の例は、図3の場合と同じ季節であり、曇天であり、かつ平日である場合の例である。なお、季節は、予め各季節の範囲がきまっていればよく、例えば、四半期(1月から3月、4月から6月、7月から9月、10月から12月)の各々を季節としてもよいし、その他の分け方、例えば、12月から2月が冬、3月から5月が春、6月から8月が夏、9月から11月が秋であってもよい。また、平日とは、土曜曜、祝日を除いた日である。
【0026】
図3図4のグラフT1、T2は、配電系統に接続されている需要家の需要電力の合計を示す。この需要電力には、配電系統から需要家に供給される電力と、太陽光発電設備から需要家に供給される電力とが含まれる。グラフT1、T2に示すように、同じ季節であれば、平日の需要電力の合計は、ほぼ同じとなる。図3、4のグラフP1、P2は、送電系統から配電系統に供給される電力(供給電力)を示す。グラフT1とグラフP1の差S1と、グラフT2とグラフP2の差S2は、需要電力と、送電系統から配電系統に供給される電力との差であるので、太陽光発電設備により供給された電力と考えることができる。斜面日射量は、晴天時に比べ、曇天時の方が小さくなるため、太陽光発電設備により発電される電力も、晴天時に比べ、曇天時の方が小さくなる。したがって、差S1に比べ差S2も小さくなっている。このため、平日の需要電力の合計(グラフT1、T2)は、ほぼ同じであるにも関わらず、天候によって供給電力(グラフP1、P2)は、異なるものとなる。
【0027】
図5は、本実施形態における太陽光発電パラメータ推定部104の動作を説明するフローチャートである。まず、太陽光発電パラメータ推定部104は、パラメータを推定する際に用いる斜面日射量と供給電力の実績値を取得する対象日と時刻の指定を取得する(ステップSa1)。対象日には、複数の日が含まれる。この複数の日は、全て同じ季節の平日であってもよい。また、対象日と時刻各々の指定は、例えば、太陽光発電パラメータ推定装置110のオペレータによる入力であってもよいし、予め太陽光発電パラメータ推定装置110に設定されていてもよい。
【0028】
次に、太陽光発電パラメータ推定部104は、ステップSa1で指定された対象日、時刻の供給電力の実績値を取得する(ステップSa2)。例えば、太陽光発電パラメータ推定部104は、供給電力取得部101に対してオペレータにより指定されたファイルの中から、ステップSa1で指定された対象日、時刻の供給電力の実績値を抽出することで取得する。あるいは、供給電力取得部101が他装置に対して、対象日、時刻を指定して供給電力の実績値を要求し、その応答を受け取ることで、太陽光発電パラメータ推定部104は、実績値を取得してもよい。
【0029】
次に、太陽光発電パラメータ推定部104は、ステップSa1で指定された対象日、時刻の斜面日射量の実績値を取得する(ステップSa3)。例えば、太陽光発電パラメータ推定部104は、実績日射量取得部102に対してオペレータにより指定されたファイルの中から、ステップSa1で指定された対象日、時刻の斜面日射量の実績値を抽出することで取得する。あるいは、実績日射量取得部102が他装置に対して、対象日、時刻を指定して斜面日射量の実績値を要求し、その応答を受け取ることで、太陽光発電パラメータ推定部104は、実績値を取得してもよい。
【0030】
次に、太陽光発電パラメータ推定部104は、太陽光発電の設備量を取得する(ステップSa4)。例えば、太陽光発電パラメータ推定部104は、太陽光発電設備量取得部103に対してオペレータにより指定された値を受け取ることで取得する。あるいは、太陽光発電設備量取得部103が他装置に対して、配電系統を指定して太陽光発電の設備量を要求し、その応答を受け取ることで、太陽光発電パラメータ推定部104は、設備量を取得してもよい。
【0031】
次に、太陽光発電パラメータ推定部104は、太陽光発電パラメータを推定する(ステップSa5)。太陽光発電パラメータである発電効率cと、パネル角度係数αの推定は、対象日における需要電力の分散Vを目的関数(損失関数)とし、分散Vを最小化する最適化問題を解くことで行う。最適化問題の解法(最適化法)は、公知のいずれの方法を用いてもよい。ここで、需要電力の分散Vと、発電効率cおよびパネル角度係数αとの関係は、以下の式で表すことができる。
V=(1/n)×Σ(D(i)-Dav)
D(i)=P(i)+R(α,S(i))×F×c
Dav=(1/n)×ΣD(i)
【0032】
ただし、nは、対象日の数である。iは、対象日を表し、0からn-1である。Σは、iの範囲を0からn-1とする総和である。P(i)は、対象日iにおける指定時刻の供給電力の実績値である。S(i)は、対象日iにおける指定時刻の斜面日射量の実績値である。Fは、太陽光発電の設備量である。αは、パネル角度係数であり、未知数である。cは、発電効率であり、未知数である。R(α,S(i))は、仮想的な斜面に対する斜面日射量の実績値S(i)と、パネル角度係数αから、太陽光発電の設備に対する斜面日射量を算出する関数である。R(α,S(i))は、αとS(i)の積であってもよいし、全天日射量から斜面日射量を推定する各種モデルを用いてもよいし、その他の関数であってもよい。なお、全天日射量から斜面日射量を推定するモデルを用いる場合、S(i)として、水平面における斜面日射量である全天日射量を用いてもよい。
さらに、発電効率cと、パネル角度係数αの各々の範囲を指定する制約条件を付してもよい。
【0033】
図6は、本実施形態における供給電力予測部108の動作を説明するフローチャートである。まず、供給電力予測部108は、予測日の指定を取得する(ステップSb1)。予測日の指定は、例えば、太陽光発電パラメータ推定装置110のオペレータによる入力であってもよいし、他装置からの要求であってもよい。次に、供給電力予測部108は、予測日における総需要の予測を、総需要予測部107から取得する(ステップSb2)。この総需要の予測は、予測日の特定時刻における予測であってもよいし、複数時刻における予測であってもよい。
【0034】
次に、供給電力予測部108は、予測日における予測日射量を、予測日射量取得部106から取得する(ステップSb3)。この予測日射量は、ステップSb2において取得した総需要の予測の時刻と同じ時刻のものである。次に、供給電力予測部108は、太陽電池パラメータと設備量を、太陽光発電パラメータ記憶部105から取得する(ステップSb4)。次に、供給電力予測部108は、ステップSb2において取得した総需要の予測の時刻における供給電力を予測する(ステップSb5)。この供給電力の予測値は、総需要の予測値から、太陽光発電による発電の予測値を引いた値である。太陽光発電による発電の予測値は、太陽光発電パラメータと、設備量と、予測日射量とを用いて算出される。
【0035】
図7は、本実施形態における対象日と時刻の指定を行うためのダイアログの例を示す図である。図7に示すように、対象日については、開始日と終了日を指定する。この場合、太陽光発電パラメータ推定部104は、対象日に平日のみが含まれるように、開始日と終了日との間に含まれる土曜曜、祝日を、対象日から除いてもよい。また、時刻については、時、分を指定する。また、対象日の開始日と終了日を指定するのではなく、季節を指定するようにしてもよい。
【0036】
図8は、本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。
各装置とは、供給電力予測装置100、太陽光発電パラメータ推定装置110である。各装置は、入出力モジュールI、記憶モジュールM、及び制御モジュールPを含んで構成される。入出力モジュールIは、通信モジュールH11、接続モジュールH12、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、ディスプレイH23、ボタンH3、マイクH41、スピーカH42、カメラH51、又はセンサH52の一部或いは全部を含んで実現される。記憶モジュールMは、ドライブH7を含んで実現される。記憶モジュールMは、さらに、メモリH8の一部或いは全部を含んで構成されてもよい。制御モジュールPは、メモリH8及びプロセッサH9を含んで実現される。これらのハードウェア構成要素は、バス(Bus)を介して、相互に通信可能に接続されるとともに、電源H6から電力を供給されている。
【0037】
接続モジュールH12は、USB(Universal Seriul Bus)等のデジタル入出力ポートである。携帯機器の場合、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、及びディスプレイH23は、タッチパネルである。センサH52は、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS受信モジュール、近接センサ等である。電源H6は、各装置を動かすために必要な電気を供給する電源ユニットである。携帯機器の場合、電源H6は、バッテリーである。ドライブH7は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の補助記憶媒体である。ドライブH7は、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又は、光磁気ディスクドライブやフレキシブルディスクドライブであってもよい。また、ドライブH7は、例えば、各装置に内蔵されるものに限らず、接続モジュールH12のコネクタに接続された外付け型の記憶装置でもよい。メモリH8は、ランダムアクセスメモリ等の主記憶媒体である。なお、メモリH8は、キャッシュメモリであってもよい。メモリH8は、一又は複数のプロセッサH9によって命令が実行されるときに、これらの命令を格納する。プロセッサH9は、プロセッサH9は、CPU(中央演算装置)である。プロセッサH9は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)又はGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)であってもよい。プロセッサH9は、メモリH8を介してドライブH7から、プログラム及び各種データを読み出して演算を行うことで、一又は複数のメモリH8に格納した命令を実行する。
【0038】
入出力モジュールIは、供給電力取得部101、実績日射量取得部102、太陽光発電設備量取得部103、太陽光発電パラメータ推定部104、予測日射量取得部106、図7のダイアログの表示などに用いられる。記憶モジュールMは、太陽光発電パラメータ記憶部105を実現する。制御モジュールPは、供給電力予測装置100、太陽光発電パラメータ推定装置110の各部の実装に用いられる。なお、本明細書等において、供給電力予測装置100、太陽光発電パラメータ推定装置110、太陽光発電パラメータ推定部104、供給電力予測部108との記載は、制御モジュールPとの記載に置き換えられてもよい。
【0039】
なお、上記の実施形態において、対象日には、最も多いサンプル数を得ることができる平日のみが含まれるようにしたが、土曜のみ、日曜のみ、祝日のみ、あるいは、日曜と祝日のみが含まれるようにしてもよい。
【0040】
また、図1における供給電力予測装置100、太陽光発電パラメータ推定装置110の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより供給電力予測装置100、太陽光発電パラメータ推定装置110を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSおよび周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0041】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバあるいはクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0042】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0043】
100 供給電力予測装置
101 供給電力取得部
102 実績日射量取得部
103 太陽光発電設備量取得部
104 太陽光発電パラメータ推定部
105 太陽光発電パラメータ記憶部
106 予測日射量取得部
107 総需要予測部
108 供給電力予測部
110 太陽光発電パラメータ推定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8