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特開2023-183251サイドミラーおよびそれを備えた鞍乗型車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183251
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】サイドミラーおよびそれを備えた鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 29/00 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
B62J29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096774
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】池谷 亮介
(57)【要約】
【課題】横断面形状が軸線方向に沿って変化するミラーステーを有し、キャップをミラーステーに沿って移動させることができ、ミラーステーとキャップとの間の隙間が目立ちにくいサイドミラーを提供する。
【解決手段】サイドミラー20は、棒状のミラーステー23と、ミラーステー23とハンドル11とを接続するアダプター24と、アダプター24を覆う弾性変形可能な筒状のキャップ25とを備える。ミラーステー23の中途部33の横断面形状と根元部31の横断面形状とは異なっている。キャップ25は、先端部25tに設けられた第1の内径D51を有する第1筒状部51と、第1の内径D51よりも大きな第2の内径D52を有する第2筒状部52とを有する。第1の内径D51は、ミラーステー23の根元部31の外径D31よりも小さい。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーが取り付けられたミラーハウジングと、
前記ミラーハウジングを支持する棒状のミラーステーと、
前記ミラーステーとハンドルとを接続するアダプターと、
前記ミラーステーおよび前記アダプターが挿入され、前記アダプターを覆う弾性変形可能な筒状のキャップと、を備え、
前記ミラーステーは、前記アダプターが接続された根元部と、前記ミラーハウジングに接続された先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置する中途部と、を有し、
前記ミラーステーの前記中途部の横断面形状と前記根元部の横断面形状とは異なっており、
前記キャップは、根元部と、前記根元部よりも前記ミラーステーの方に位置する先端部と、前記先端部に設けられた第1の内径を有する第1筒状部と、前記第1の内径よりも大きな第2の内径を有する第2筒状部と、を有し、
前記第1の内径は、前記ミラーステーの前記根元部の外径よりも小さい、サイドミラー。
【請求項2】
前記第2の内径は、前記ミラーステーの前記根元部の外径よりも大きい、請求項1に記載のサイドミラー。
【請求項3】
前記キャップは、
前記第1筒状部と前記第2筒状部との間に位置し、前記第2の内径よりも小さな第3の内径を有する第3筒状部と、
前記第1筒状部と前記第3筒状部との間に位置し、前記第1の内径よりも大きくかつ前記第3の内径よりも大きな第4の内径を有する第4筒状部と、を有している、請求項1に記載のサイドミラー。
【請求項4】
前記第1筒状部は、径方向の内方に向かって凸状の半円部を有している、請求項1に記載のサイドミラー。
【請求項5】
前記キャップは、前記根元部に設けられた第5筒状部を有し、
前記第5筒状部には、前記キャップの軸線方向と平行な方向に窪んだ凹部が形成されている、請求項1に記載のサイドミラー。
【請求項6】
前記キャップは、前記根元部に設けられた第5筒状部と、前記第2筒状部と前記第5筒状部との間に設けられ、径方向および周方向に延びる底面と、を有し、
前記底面は、前記キャップの軸線方向に対して傾斜している、請求項1に記載のサイドミラー。
【請求項7】
前記第5筒状部の内径は、前記第2の内径よりも小さい、請求項5または6に記載のサイドミラー。
【請求項8】
前記キャップはゴムからなっている、請求項1に記載のサイドミラー。
【請求項9】
前記ミラーステーの前記中途部の横断面形状は長円形である、請求項1に記載のサイドミラー。
【請求項10】
請求項1に記載のサイドミラーを備えた鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドミラーおよびそれを備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動二輪車等の鞍乗型車両において、ハンドルにサイドミラーが設けられている(例えば、特許文献1参照)。ハンドルに設けられるサイドミラーとして、ミラーが取り付けられたミラーハウジングと、ミラーハウジングを支持する棒状のミラーステーと、ミラーステーをハンドルに接続するアダプターと、ミラーステーの根元部およびアダプターを覆うゴム製のキャップとを有するものが知られている。
【0003】
サイドミラーを交換するときなどには、キャップをミラーステーの根元部から中途部の方にスライドさせ、アダプターを露出させる。そして、アダプターを固定するナットを緩め、サイドミラーをハンドルから取り外す。新しいサイドミラーをハンドルに取り付けた後は、ナットを締め、キャップをミラーステーの中途部から根元部にスライドさせる。これにより、ミラーステーの根元部とアダプターとは、キャップによって覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-67283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ミラーステーが一定の外径の円柱状に形成され、キャップが一定の内径の円筒状に形成されている場合、キャップをミラーステーの根元部から中途部にスライドさせることは比較的容易である。また、ミラーステーが一定の外径の円柱状に形成され、キャップが一定の内径の円筒状に形成されている場合、キャップの内径がミラーステーの外径よりも若干大きくても、キャップとミラーステーとの間の隙間は目立ちにくい。そのため、キャップの内径をミラーステーの外径よりも若干大きくすることにより、キャップをミラーステーに沿ってスライドさせることが容易となる。
【0006】
しかし、ミラーステーの横断面形状が軸線方向に沿って変化する場合、キャップをミラーステーに沿って移動させるときにキャップは変形する。キャップが一定の内径の円筒状に形成されている場合、キャップをミラーステーに沿って移動させることは容易ではない。キャップの移動を容易にするために、キャップの内径を大きくすることが考えられる。しかし、キャップの内径が大きい場合、キャップとミラーステーとの間の隙間が目立ってしまう。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、横断面形状が軸線方向に沿って変化するミラーステーを有し、キャップをミラーステーに沿って移動させることができ、ミラーステーとキャップとの間の隙間が目立ちにくいサイドミラーおよびそれを備えた鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示されるサイドミラーは、ミラーが取り付けられたミラーハウジングと、前記ミラーハウジングを支持する棒状のミラーステーと、前記ミラーステーとハンドルとを接続するアダプターと、前記ミラーステーおよび前記アダプターが挿入され、前記アダプターを覆う弾性変形可能な筒状のキャップと、を備える。前記ミラーステーは、前記アダプターが接続された根元部と、前記ミラーハウジングに接続された先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置する中途部と、を有している。前記ミラーステーの前記中途部の横断面形状と前記根元部の横断面形状とは異なっている。前記キャップは、根元部と、前記根元部よりも前記ミラーステーの方に位置する先端部と、前記先端部に設けられた第1の内径を有する第1筒状部と、前記第1の内径よりも大きな第2の内径を有する第2筒状部と、を有している。前記第1の内径は、前記ミラーステーの前記根元部の外径よりも小さい。
【0009】
上記サイドミラーによれば、ミラーステーの横断面形状が軸線方向に沿って変化するが、キャップの先端部には、ミラーステーの根元部の外径よりも小さな内径を有する第1筒状部が設けられている。そのため、キャップを装着したときに、ミラーステーとキャップとの間の隙間は目立ちにくい。また、隙間から水や埃が浸入することを防止することができる。また、キャップは、第1筒状部の内径(第1の内径)よりも大きな内径(第2の内径)を有する第2筒状部を有している。キャップをミラーステーに沿って移動させるときに、キャップはミラーステーの横断面形状に応じて弾性変形しやすい。よって、キャップをミラーステーに沿って移動させることが容易となる。
【0010】
前記第2の内径は、前記ミラーステーの前記根元部の外径よりも大きくてもよい。
【0011】
このことにより、キャップをミラーステーに沿って移動させることが容易となる。
【0012】
前記キャップは、前記第1筒状部と前記第2筒状部との間に位置し、前記第2の内径よりも小さな第3の内径を有する第3筒状部と、前記第1筒状部と前記第3筒状部との間に位置し、前記第1の内径よりも大きくかつ前記第3の内径よりも大きな第4の内径を有する第4筒状部と、を有していてもよい。
【0013】
このように、キャップが第3筒状部を有していることにより、ミラーステーとキャップとの間の隙間をより小さくすることができる。そのため、隙間から水や埃が浸入することをより確実に防止することができる。
【0014】
前記第1筒状部は、径方向の内方に向かって凸状の半円部を有していてもよい。
【0015】
このことにより、キャップをミラーステーに沿って移動させることが容易となる。
【0016】
前記キャップは、前記根元部に設けられた第5筒状部を有していてもよい。前記第5筒状部には、前記キャップの軸線方向と平行な方向に窪んだ凹部が形成されていてもよい。
【0017】
このことにより、第5筒状部の凹部をハンドルの凸部に係合させることによって、キャップが回転してしまうことを防止することができる。
【0018】
前記キャップは、前記根元部に設けられた第5筒状部と、前記第2筒状部と前記第5筒状部との間に設けられ、径方向および周方向に延びる底面と、を有していてもよい。前記底面は、前記キャップの軸線方向に対して傾斜していてもよい。
【0019】
このことにより、キャップの底面をハンドルの傾斜面と合わせることによって、キャップが軸線周りに回転してしまうことを防止することができる。
【0020】
前記第5筒状部の内径は、前記第2の内径よりも小さくてもよい。
【0021】
前記キャップはゴムからなっていてもよい。
【0022】
前記ミラーステーの前記中途部の横断面形状は長円形であってもよい。
【0023】
ここに開示される鞍乗型車両は、前記サイドミラーを備えたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、横断面形状が軸線方向に沿って変化するミラーステーを有し、キャップをミラーステーに沿って移動させることができ、ミラーステーとキャップとの間の隙間が目立ちにくいサイドミラーおよびそれを備えた鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2図2は、ハンドルおよびサイドミラーを車両後方から見た図である。
図3図3は、左のサイドミラーを車両後方から見た図である。
図4図4は、サイドミラーの根元部分の拡大図である。
図5図5は、サイドミラーの根元部分の断面図である。
図6図6は、図3のVI-VI線断面図である。
図7図7は、図3のVII-VII線断面図である。
図8図8は、図3のVIII-VIII線断面図である。
図9図9は、キャップの斜視図である。
図10図10は、キャップの正面図である。
図11図11は、図10のXI-XI線断面図である。
図12図12(a)はキャップをミラーステーおよびアダプターに被せる前のキャップの部分断面図であり、図12(b)はキャップをミラーステーおよびアダプターに被せたときのキャップおよびミラーステーの部分断面図である。
図13図13(a)および図13(b)は、他の実施形態についての図12(a)相当図および図12(b)相当図である。
図14図14(a)および図14(b)は、他の実施形態についての図12(a)相当図および図12(b)相当図である。
図15図15(a)および図15(b)は、他の実施形態についての図12(a)相当図および図12(b)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、サイドミラーおよび鞍乗型車両の実施の形態について説明する。図1は、鞍乗型車両の一例である自動二輪車1の左側面図である。
【0027】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていない自動二輪車1が水平面上に直立した状態で停止している場合に、シート17に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
【0028】
自動二輪車1は、車体10と、乗員が座るシート17と、走行用の駆動源13と、前輪6と、後輪8と、左右のサイドミラー20とを備えている。
【0029】
車体10は、ヘッドパイプ3を有する車体フレーム(図示せず)と、ヘッドパイプ3に左右に回転可能に支持されたステアリング軸5と、ステアリング軸5に固定されたハンドル11とを有している。ハンドル11はヘッドパイプ3の上方に配置されている。ヘッドパイプ3の前方には、フロントカバー15が配置されている。
【0030】
車体10は、ステアリング軸5に固定されたフロントフォーク12を有している。前輪6はフロントフォーク12に支持されている。駆動源13は、内燃機関または電動モータを有している。駆動源13は車体フレームに支持されている。後輪8は駆動源13に連結されている。後輪8は駆動源13によって駆動される。シート17は、前輪6および後輪8よりも上方に配置されている。
【0031】
図2は、ハンドル11およびサイドミラー20を車両後方から見た図である。ハンドル11は、左右に延びるハンドルバー18と、ハンドルバー18の左端部に設けられた左グリップ14Lと、ハンドルバー18の右端部に設けられた右グリップ14Rとを有している。ハンドルバー18には、左および右のサイドミラー20が取り付けられている。左のサイドミラー20は、車両中心よりも左方かつ左グリップ14Lよりも右方に配置されている。右のサイドミラー20は、車両中心よりも右方かつ右グリップ14Rよりも左方に配置されている。左のサイドミラー20と右のサイドミラー20とは、左右対称の形状を有している。以下では、左のサイドミラー20について説明し、右のサイドミラー20の説明は省略することとする。
【0032】
図3に示すように、サイドミラー20は、ミラー21が取り付けられたミラーハウジング22と、ミラーハウジング22を支持する棒状のミラーステー23と、ミラーステー23とハンドル11とを接続する棒状のアダプター24(図3では図示せず。図4参照)と、アダプター24を覆う弾性変形可能な筒状のキャップ25とを備えている。キャップ25の材料は弾性変形可能な材料であれば特に限定されないが、本実施形態では、キャップ25はゴムからなっている。図5に示すように、キャップ25には、ミラーステー23およびアダプター24が挿入される。
【0033】
図3に示すように、ミラーステー23は、アダプター24が接続された根元部31(図4参照)と、ミラーハウジング22に接続された先端部32と、根元部31と先端部32との間に位置する中途部33とを有している。中途部33は根元部31に対して傾斜している。図6は、図3のVI-VI線断面図であり、先端部32の横断面形状を表している。図7は、図3のVII-VII線断面図であり、中途部33の横断面形状を表している。図8は、図3のVIII-VIII線断面図であり、根元部31の横断面形状を表している。図6図8に示すように、先端部32の横断面形状と、中途部33の横断面形状と、根元部31の横断面形状とは、相互に異なっている。特に限定される訳ではないが、ここでは、先端部32の横断面形状は円環形であり、中途部33および根元部31の横断面形状は長円形である。根元部31の横断面形状は楕円形となっている。ミラーステー23の横断面形状は、ミラーステー23の軸線方向に沿って変化している。
【0034】
図5に示すように、アダプター24は、第1雄ねじ部24aと、ミラーステー23の根元部31に固定される第2雄ねじ部24bと、ナット部24cとを有している。図示は省略するが、第1雄ねじ部24aおよび第2雄ねじ部24bの外周面には、螺旋状のねじ溝が形成されている。ハンドル11には、内周面にねじ溝が形成された雌ねじ部19(図2参照)が設けられている。第1雄ねじ部24aは、ハンドル11の雌ねじ部19にねじ込まれている。これにより、アダプター24がハンドル11に固定されている。第2雄ねじ部24bは、ミラーステー23の根元部31に形成された雌ねじ部31bにねじ込まれている。これにより、ミラーステー23がアダプター24に固定されている。サイドミラー20の向きを調整した後、第1雄ねじ部24aに係合するナット26を締めることにより、サイドミラー20の向きが固定される。ナット26を締めることにより、サイドミラー20の回転は規制される。
【0035】
図9はキャップ25の斜視図である。図10はキャップ25の正面図である。図11図10のXI-XI線断面図である。図9に示すように、キャップ25は、内径が一定でない円筒状に形成されている。図11に示すように、キャップ25は、根元部25bと、先端部25tと、先端部25tに設けられた第1筒状部51と、第2筒状部52と、第1筒状部51と第2筒状部52との間に位置する第3筒状部53と、第1筒状部51と第3筒状部53との間に位置する第4筒状部54と、根元部25bに設けられた第5筒状部55とを備えている。
【0036】
第1筒状部51は、径方向の内方に向かって凸条の半円部51aを有している。第5筒状部55には、キャップ25の軸線方向25Cと平行な方向に凹んだ凹部55aが形成されている。図11において、凹部55aは上方に凹んでいる。ハンドル11には、凹部55aに嵌合する凸部11aが設けられている。キャップ25の凹部55aをハンドル11の凸部11aに嵌め込むことにより、キャップ25の回転が規制される。
【0037】
キャップ25は、第2筒状部52と第5筒状部55との間に設けられた底面56を有している。底面56は径方向および周方向に延びている。底面56は下方に向いている。図10に示すように、底面56はキャップ25の軸線方向25Cに対して傾斜している。ハンドル11は、傾斜した上面11sを有している。キャップ25は、底面56がハンドル11の上面11sに接触するように装着される。キャップ25の底面56をハンドル11の上面11sと合わせることによって、キャップ25が軸線25C周りに回転してしまうことを防止することができる。
【0038】
図11に示すように、第1筒状部51は第1の内径D51を有している。なお、キャップ25の各部の内径とは、キャップ25が弾性変形していないときの各部の内径を意味する。言い換えると、キャップ25の各部の内径とは、図11に示すように、キャップ25の内側に何も挿入されていないときの各部の内径を意味する。ここでは、キャップ25の各部の内径とは、キャップ25にミラーステー23およびアダプター24が挿入されていないときの各部の内径を意味する。
【0039】
第1の内径D51は、ミラーステー23の根元部31の外径D31(図5参照)よりも小さい。キャップ25がミラーステー23に装着されたときに、第1筒状部51は径方向の外方に弾性変形する。これにより、第1筒状部51はミラーステー23に密着する。
【0040】
第2筒状部52は第2の内径D52を有している。第2の内径D52は、第1の内径D51よりも大きい。また、第2の内径D52は、ミラーステー23の根元部31の外径D31よりも大きい。第2の内径D52は、アダプター24の外径よりも大きい。図5に示すように、第2筒状部52とアダプター24との間には、空間が形成されている。
【0041】
図11に示すように、第3筒状部53は、第2の内径D52よりも小さな第3の内径D53を有している。第4筒状部54は、第1の内径D51よりも大きく、かつ、第3の内径D53よりも大きな第4の内径D54を有している。第5筒状部55は、第2の内径D52よりも小さな第5の内径D55を有している。
【0042】
キャップ25は、ミラーステー23とアダプター24との接続部分、および、アダプター24とハンドル11との接続部分を覆うことにより、サイドミラー20の根元部分の見栄えを向上させる。また、キャップ25は、それら接続部分を覆うことにより、それら接続部分に水や埃が浸入することを防止する。ハンドル11からサイドミラー20を取り外すときに、キャップ25はアダプター24の周囲から取り外される。
【0043】
ミラーステー23をアダプター24から取り外す際、および、アダプター24に取り付ける際には、図2に示すように、キャップ25をミラーステー23の根元部31から中途部33にスライドさせ、アダプター24を露出させる。ミラーステー23をアダプター24に取り付けた後は、キャップ25をミラーステー23の中途部33から根元部31にスライドさせ、アダプター24に被せる。これにより、ミラーステー23とアダプター24との接続部分、および、アダプター24とハンドル11との接続部分は、キャップ25によって覆われる。
【0044】
前述したように、ミラーステー23の横断面形状は、ミラーステー23の軸線方向に沿って変化している。キャップ25は弾性変形可能であるので、キャップ25をミラーステー23の軸線方向に沿って移動させるときに、キャップ25はミラーステー23の横断面形状に倣うように変形する。しかし、仮に、内径が一定の円筒によってキャップ25が形成されている場合、ミラーステー23の横断面形状が非円形の部分において、キャップ25を移動させることが難しい。内径が一定の円筒によってキャップ25が形成されている場合、キャップ25をミラーステー23の軸線方向に沿って根元部31から中途部33に円滑にスライドさせることは難しい。そこで、キャップ25の移動を容易にするために、キャップ25の内径を大きくすることが考えられる。しかし、キャップ25の内径が大きいと、キャップ25とミラーステー23との間の隙間が大きくなる。隙間が目立ってしまい、外観が損なわれる。また、隙間を通じて、キャップ25の内側に水や埃が浸入してしまうことが懸念される。
【0045】
ところが、本実施形態では、キャップ25の先端部25tに設けられた第1筒状部51の内径(すなわち、第1の内径)D51は、ミラーステー23の根元部31の外径D31よりも小さい。そのため、ミラーステー23とキャップ25との間の隙間を小さくすることができる。キャップ25内への水や埃の浸入を防止することができ、また、隙間が目立ってしまうことを避けることができる。また、本実施形態によれば、キャップ25は、第1筒状部51の内径D51よりも大きな内径(すなわち、第2の内径)D52を有する第2筒状部52を備えている。そのため、キャップ25をミラーステー23の軸線方向に沿って移動させるときに、キャップ25はミラーステー23の横断面形状に倣うように弾性変形しやすい。よって、キャップ25をミラーステー23に沿って移動させることが容易である。したがって、本実施形態によれば、ミラーステー23とキャップ25との間の隙間を目立ちにくくすることができると共に、キャップ25をミラーステー23に沿って移動させることが容易となる。
【0046】
本実施形態によれば、第2筒状部52の内径D52は、ミラーステー23の根元部31の外径D31よりも大きい。第2筒状部52の内径D52は比較的大きい。そのため、キャップ25をミラーステー23に沿って移動させるときに、キャップ25はより変形しやすい。キャップ25がミラーステー23の横断面形状に合うように弾性変形しやすいので、キャップ25をミラーステー23に沿って移動させることが容易となる。
【0047】
本実施形態によれば、キャップ25は、第1筒状部51と第2筒状部52との間に位置する第3筒状部53を有しており、第3筒状部53の内径(第3の内径)D53は第2筒状部52の内径D52よりも小さい。キャップ25が第1筒状部51に加えて第3筒状部53を有していることから、ミラーステー23とキャップ25との間の隙間を更に目立ちにくくすることができる。また、ミラーステー23とキャップ25との間の隙間から水や埃が浸入することをより確実に防止することができる。
【0048】
キャップ25が第3筒状部53を有していることにより、キャップ25がミラーステー23に沿って移動するときにミラーステー23の横断面形状に倣って変形しにくくなることが懸念される。しかし、本実施形態によれば、キャップ25は、第1筒状部51と第3筒状部53との間に位置する第4筒状部54を有しており、第4筒状部54の内径(第4の内径)D54は、第1筒状部51の内径D51よりも大きく、かつ、第3筒状部53の内径D53よりも大きい。そのため、キャップ25の変形容易性を確保することができる。したがって、キャップ25をミラーステー23に沿って移動させることが容易となる。
【0049】
第1筒状部51の縦断面形状は特に限定されないが、本実施形態では、第1筒状部51は径方向の内方に向かって凸状の半円部51aを有している。キャップ25をミラーステー23に沿って移動させるときに、半円部51aはミラーステー23の外周面に対して引っ掛かりにくい。よって、キャップ25をミラーステー23に沿って移動させることが容易となる。
【0050】
本実施形態によれば、キャップ25は、根元部25bに設けられた第5筒状部55を有している。第5筒状部55には凹部55aが形成されている。凹部55aをハンドル11の凸部11a(図11参照)に係合させることにより、キャップ25が回転してしまうことを防止することができる。キャップ25を装着した後、キャップ25が外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0051】
本実施形態によれば、キャップ25は、第2筒状部52と第5筒状部55との間に設けられた底面56を有している。底面56は、径方向および周方向に延びている。底面56は、キャップ25の軸線方向25Cに対して傾斜している(図10参照)。底面56をハンドル11の傾斜した上面11sに接触させることにより、キャップ25が回転してしまうことを防止することができる。このことによっても、装着後のキャップ25が外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0052】
以上、一実施形態について説明したが、前記実施形態は例示に過ぎず、他にも様々な実施形態が可能である。
【0053】
図12(a)および図12(b)は前記実施形態に係る模式図である。図12(a)は、キャップ25をミラーステー23およびアダプター24に被せる前のキャップ25の部分断面図である。図12(b)は、キャップ25をミラーステー23およびアダプター24に被せたときのキャップ25およびミラーステー23の部分断面図である。キャップ25をミラーステー23に被せると、キャップ25は弾性変形する。図12(a)に示すように、前記実施形態では、キャップ52の第1筒状部51は、径方向の内方に突出する半円部51aを有している。
【0054】
図13(a)および図13(b)は、他の実施形態についての図12(a)相当図および図12(b)相当図である。図13(a)に示すように、第1筒状部51は、半円部51aに代わり、径方向の内方に向かって凸条の矩形部51bを有していてもよい。矩形部51bの断面形状は矩形状に形成されている。
【0055】
図14(a)および図14(b)は、他の実施形態についての図12(a)相当図および図12(b)相当図である。図14(b)に示すように、ミラーステー23の外周面に、第1筒状部51の半円部51aの少なくとも一部が挿入される溝23bが形成されていてもよい。溝23bの断面形状は、半円形状に形成されていてもよい。
【0056】
図15(a)および図15(b)は、他の実施形態についての図12(a)相当図および図12(b)相当図である。図15(b)に示すように、ミラーステー23の外周面に、第1筒状部51の矩形部51bの少なくとも一部が挿入される断面矩形状の溝23cが形成されていてもよい。
【0057】
このように、ミラーステー23の外周面に、キャップ25の一部が挿入される溝が形成されていてもよい。なお、第1筒状部51の断面形状は、半円形または矩形に限られない。
【0058】
前記実施形態では、キャップ25の第2筒状部52の内径D52はミラーステー23の根元部31の外径D31よりも大きいが、第2筒状部52の内径D52はミラーステー23の根元部31の外径D31以下であってもよい。第3筒状部53は無くてもよい。第4筒状部54は無くてもよい。
【0059】
第5筒状部55には、キャップ25の軸線方向25Cと平行な方向に窪んだ凹部55aが形成されていなくてもよい。キャップ25の底面56は、キャップ25の軸線方向25Cに対して傾斜していなくてもよい。第5筒状部55の内径D55は、第2筒状部52の内径D52以上であってもよい。
【0060】
鞍乗型車両とは、乗員が跨がって乗車する車両のことである。鞍乗型車両は自動二輪車1に限定されない。鞍乗型車両は、例えば、自動三輪車、ATV(All Terrain vehicle)、スノーモービルであってもよい。
【0061】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0062】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、11…ハンドル、20…サイドミラー、21…ミラー、22…ミラーハウジング、23…ミラーステー、24…アダプター、25…キャップ、25b…根元部、25t…先端部、31…根元部、32…先端部、33…中途部、51…第1筒状部、51a…半円部、52…第2筒状部、53…第3筒状部、54…第4筒状部、55…第5筒状部、55a…凹部、56…底面
図1
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