(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183252
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】制御装置、機器制御システム、機器制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231220BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096775
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】小宮 紀之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】電力需要の抑制又は増加の要請を受けた際に、ユーザに不満感を与えることなく機器を制御することが可能となる。
【解決手段】制御装置2は、許容情報取得部201と、機器制御部202とを備える。許容情報取得部201は、DR通知を受信すると、各機器5に対応する、ユーザが各機器5の購入時に指定したDR許容度に応じた内容を示す許容情報を管理サーバ6から取得する。機器制御部202は、取得された各許容情報に基づいて各機器5を制御する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力需要の抑制又は増加の要請を受けると、制御対象の機器に対応する、ユーザが前記機器の購入時に指定した前記要請を許容できる度合である許容度に応じた内容を示す許容情報を管理サーバから取得する許容情報取得手段と、
前記取得された許容情報に基づいて前記機器を制御する機器制御手段と、を備える、制御装置。
【請求項2】
前記許容度が高い程、前記機器の代価が安くなる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
店舗サーバと、管理サーバと、制御装置と、を備え、
前記店舗サーバは、機器が購入されると、前記機器の識別情報と、ユーザが指定した、電力需要の抑制又は増加の要請を許容できる度合である許容度とを含む購入情報を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
前記購入情報を受信する購入情報受信手段と、
前記機器の識別情報と前記許容度と許容内容とを紐付けて管理するデータベースと、
前記制御装置からの要求に応答して、指定された機器に対応する許容内容を示す許容情報を前記制御装置に通知する許容情報通知手段と、を備え、
前記制御装置は、
前記要請を受けると、制御対象の機器に対応する許容情報を前記管理サーバから取得する許容情報取得手段と、
前記取得された許容情報に基づいて前記機器を制御する機器制御手段と、を備える、機器制御システム。
【請求項4】
前記許容度が高い程、前記機器の代価が安くなる、請求項3に記載の機器制御システム。
【請求項5】
許容情報取得手段が、電力需要の抑制又は増加の要請を受けると、制御対象の機器に対応する、ユーザが前記機器の購入時に指定した前記要請を許容できる度合である許容度に応じた内容を示す許容情報を管理サーバから取得し、
機器制御手段が、前記取得された許容情報に基づいて前記機器を制御する、機器制御方法。
【請求項6】
コンピュータを、
電力需要の抑制又は増加の要請を受けると、制御対象の機器に対応する、ユーザが前記機器の購入時に指定した前記要請を許容できる度合である許容度に応じた内容を示す許容情報を管理サーバから取得する許容情報取得手段、
前記取得された許容情報に基づいて前記機器を制御する機器制御手段、として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、機器制御システム、機器制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力の安定供給を図る観点から、デマンドレスポンス(DR:Demand Response)の事業化が進展している。DRとは、需要家側エネルギーリソースの保有者あるいは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させることをいい、需要制御のパターンによって、需要を減らす(抑制する)「下げDR」、需要を増やす(創出する)「上げDR」の二つに区分される。このようなDRに関し、例えば、特許文献1には、需要家の好みに合わせて宅内の機器を制御する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、DRに対する機器の制御内容が、需要家であるユーザにとって把握し辛く、DRに対応する機器の動作に不満感を与える懸念がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、電力需要の抑制又は増加の要請を受けた際に、ユーザに不満感を与えることなく機器を制御することが可能な制御装置、機器制御システム、機器制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る制御装置は、
電力需要の抑制又は増加の要請を受けると、制御対象の機器に対応する、ユーザが前記機器の購入時に指定した前記要請を許容できる度合である許容度に応じた内容を示す許容情報を管理サーバから取得する許容情報取得手段と、
前記取得された許容情報に基づいて前記機器を制御する機器制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電力需要の抑制又は増加の要請を受けた際に、ユーザに不満感を与えることなく機器を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態における機器制御システムの全体構成を示す図
【
図2】実施の形態における制御装置のハードウェア構成を示すブロック図
【
図3】実施の形態におけるユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図
【
図4】実施の形態における管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図
【
図5】実施の形態における管理サーバの機能構成を示すブロック図
【
図6】実施の形態における機器管理DBの一例を示す図
【
図7】実施の形態において給湯機に対応する許容度情報の一例を示す図
【
図8】実施の形態においてエアコンに対応する許容度情報の一例を示す図
【
図9】実施の形態において照明装置に対応する許容度情報の一例を示す図
【
図10】実施の形態における制御装置の機能構成を示すブロック図
【
図11】実施の形態におけるDR許容度管理処理の手順を示すフローチャート
【
図12】実施の形態における機器制御処理の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施の形態における機器制御システム1の全体構成を示す図である。機器制御システム1は、本開示に係る機器制御システムの一例である。機器制御システム1は、住宅Hに設置された1又は複数の機器5について、電力需要の抑制の要請を受けた際、各機器5に紐付けられたDR(Demand Response)許容度に応じて各機器5を制御できるようにしたシステムである。
図1に示すように、機器制御システム1は、各住宅に設置される、制御装置2、ユーザ端末3、ルータ4及び1又は複数の機器5と、管理サーバ6と、店舗サーバ7と、RAサーバ8とを備える。
【0011】
<制御装置2>
制御装置2は、本開示に係る制御装置の一例である。制御装置2は、住宅Hに設置された各機器5を統括的に制御するコンピュータであり、例えば、HEMS(Home Energy Management System)コントローラである。
【0012】
図2に示すように、制御装置2は、ハードウェア構成として、通信インタフェース20と、CPU21と、ROM22と、RAM23と、補助記憶装置24とを備える。これらの構成部は、バス25を介して相互に接続される。通信インタフェース20は、ルータ4を介して他の装置と通信するためのハードウェアである。
【0013】
CPU21は、制御装置2を統括的に制御する。CPU21によって実現される制御装置2の機能の詳細については後述する。ROM22は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。RAM23は、CPU21の作業領域として使用される。
【0014】
補助記憶装置24は、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成される。読み書き可能な不揮発性の半導体メモリは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等である。補助記憶装置24には、住宅Hに設置された各機器5を制御するためのプログラム(以下「機器制御プログラム」という。)と、機器制御プログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。
【0015】
制御装置2は、機器制御プログラム又は機器制御プログラムを更新するための更新プログラムを他のサーバから通信により取得することが可能である。また、これらのプログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、光磁気ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、HDD、SSD(Solid State Drive)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。制御装置2は、そのような記録媒体が自身に直接又は間接的に装着されると、当該記録媒体から機器制御プログラム又は更新プログラムを読み出して取り込むことも可能である。
【0016】
<ユーザ端末3>
ユーザ端末3は、機器制御システム1におけるユーザとのインタフェースを担う電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末等のスマートデバイスである。
図3に示すように、ユーザ端末3は、ディスプレイ30と、操作受付部31と、通信インタフェース32と、CPU33と、ROM34と、RAM35と、補助記憶装置36とを備える。これらの構成部は、バス37を介して相互に接続される。
【0017】
ディスプレイ30は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを含んで構成される。ディスプレイ30は、CPU33の制御の下、ユーザ操作に応じた各種の画面等を表示する。
【0018】
操作受付部31は、押しボタン、タッチパネル、タッチパッド等の1つ以上の入力デバイスを含んで構成され、ユーザからの操作入力を受け付け、受け付けた操作に係る信号をCPU33に送出する。
【0019】
通信インタフェース32は、ルータ4を介して他の装置と通信するためのハードウェアである。CPU33は、ユーザ端末3を統括的に制御する。ROM34は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。RAM35は、CPU33の作業領域として使用される。
【0020】
補助記憶装置36は、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ、HDD等で構成される。読み書き可能な不揮発性の半導体メモリは、例えば、EEPROM、フラッシュメモリである。補助記憶装置36には、機器制御システム1によって提供されるサービスを利用するためのアプリケーションプログラム(以下「サービスアプリ」という。)を含む各種のプログラムと、これらのプログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。
【0021】
ユーザ端末3は、サービスアプリ又はサービスアプリを更新するための更新プログラムを他のサーバから通信により取得することが可能である。また、これらのプログラムは、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、USBメモリ、HDD、SSD、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。ユーザ端末3は、そのような記録媒体が自身に直接又は間接的に装着されると、当該記録媒体からサービスアプリ又は更新プログラムを読み出して取り込むことも可能である。
【0022】
<ルータ4>
ルータ4は、住宅Hに設置される、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)ルータである。なお、ルータ4は、有線LANルータであってもよい。あるいは、ルータ4は、無線LAN及び有線LANの両機能を備え、ある機器5とは無線通信を行い、別の機器5とは有線通信を行う構成であってもよい。
【0023】
<機器5>
機器5は、本開示に係る機器の一例である。機器5は、制御装置2の制御対象となる機器であり、例えば、給湯機、エアコン、照明装置等の家電機器である。機器5は、ルータ4を介して制御装置2と無線通信するためのハードウェアを備え、制御装置2から制御指令を受信した場合、当該制御指令に従った動作を行う。なお、機器5は、ルータ4に有線接続する構成であってもよいし、外付けの図示しない通信アダプタによって無線又は有線通信を行う構成であってもよい。
【0024】
また、機器5は、ユーザによる上記のサービスアプリを使用した操作、又は、ユーザによる当該機器5の専用リモコンを使用した操作に応じた動作を行う。
【0025】
<管理サーバ6>
管理サーバ6は、本開示に係る管理サーバの一例である。管理サーバ6は、機器5のメーカ、販売会社等によって設置され運用される、いわゆるクラウドサーバであり、各機器5のDR許容度を管理する。
【0026】
図4に示すように、管理サーバ6は、ハードウェア構成として、通信インタフェース60と、CPU61と、ROM62と、RAM63と、補助記憶装置64とを備える。これらの構成部は、バス65を介して相互に接続される。通信インタフェース60は、インターネット等の広域ネットワークであるネットワークNを介して他の装置と通信するためのハードウェアであり、例えば、Ethernet(登録商標)に基づくインタフェースである。
【0027】
CPU61は、管理サーバ6を統括的に制御する。CPU61によって実現される管理サーバ6の機能の詳細については後述する。ROM62は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。RAM63は、CPU61の作業領域として使用される。
【0028】
補助記憶装置64は、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ、HDD等で構成される。読み書き可能な不揮発性の半導体メモリは、例えば、EEPROM、フラッシュメモリ等である。補助記憶装置64には、各機器5のDR許容度を管理するためのプログラム(以下「DR許容度管理プログラム」という。)と、DR許容度管理プログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。
【0029】
管理サーバ6は、DR許容度管理プログラム又はDR許容度管理プログラムを更新するための更新プログラムを他のサーバから通信により取得することが可能である。また、これらのプログラムは、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、USBメモリ、HDD、SSD、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。管理サーバ6は、そのような記録媒体が自身に直接又は間接的に装着されると、当該記録媒体からDR許容度管理プログラム又は更新プログラムを読み出して取り込むことも可能である。
【0030】
<店舗サーバ7>
店舗サーバ7は、本開示に係る店舗サーバの一例である。店舗サーバ7は、機器5を販売する店舗に設置されるコンピュータ、あるいは、機器5を販売するオンラインショップサービスを提供するコンピュータであり、ネットワークNに接続される。店舗サーバ7は、機器5が購入されると、当該機器5を一意に識別する識別情報である機器ID(identifier)と、当該機器5の機種名と、当該購入の際に購入者が指定したDR許容度とを含む情報(以下「購入情報」という。)を管理サーバ6に送信する。機器IDは、例えば、当該機器5の製造番号である。
【0031】
本実施の形態では、ユーザは、機器5を購入する際、DR許容度の指定を行う。機器5の販売価格(すなわち、代価)は、指定するDR許容度が高い程、安くなる。DR許容度は、DRを許容できる度合であり、例えば、DR許容度が低い順に、DR-0、DR-1、DR-2、…等のように示される。
【0032】
<RAサーバ8>
RAサーバ8は、需要家(すなわち、各住宅Hのユーザ)とVPP(Virtual Power Plant)サービス契約を締結したリソースアグリゲータによって設置され、運用されるコンピュータであり、ネットワークNに接続される。RAサーバ8は、電力需給の逼迫が予測される場合、すなわち、電力供給量が不足することが予測される場合、電力需要の抑制を要請するDR通知を各住宅Hの制御装置2に送信する。DR通知には、DRの種別を示す情報と、対象となる時間帯(以下「対象時間帯」という。)を示す情報とが含まれる。
【0033】
<管理サーバ6の機能構成>
図5は、管理サーバ6の機能構成を示すブロック図である。
図5に示すように、管理サーバ6は、購入情報受信部600と、許容情報通知部601とを備える。これらの機能部は、CPU61が補助記憶装置64に記憶されている上述したDR許容度管理プログラムを実行することで実現される。
【0034】
購入情報受信部600は、本開示に係る購入情報受信手段の一例である。購入情報受信部600は、店舗サーバ7から上述した購入情報が送られてくると、当該購入情報を受信する。購入情報受信部600は、受信した購入情報を機器管理情報として機器管理DB640に登録する。機器管理DB640は、各機器5の機器管理情報が登録されるデータベースであり、補助記憶装置64に記憶される。
図6に示すように、機器管理DB640には、機器5毎に、機器IDと、機種名と、DR許容度とを紐付けた機器管理情報が登録される。
【0035】
許容情報通知部601は、本開示に係る許容情報通知手段の一例である。許容情報通知部601は、いずれかの住宅Hの制御装置2から、機器IDが通知され、許容情報の要求を受けると、かかる要求に応答して、当該機器IDの機器5に対応するDR許容度の許容内容を示す許容情報を当該制御装置2に通知する。詳細には、許容情報通知部601は、先ず、制御装置2から通知された機器IDに基づいて機器管理DB640を参照して、対応する機種名及びDR許容度を取得する。
【0036】
次に、許容情報通知部601は、取得した機種名及びDR許容度に基づいて許容度情報DB641を参照して、当該DR許容度に対応する許容内容を取得する。許容度情報DB641は、機器5の機種毎に、DR許容度と許容内容とを紐付けた許容度情報が登録されたデータベースであり、補助記憶装置64に記憶される。機器管理DB640及び許容度情報DB641は、本開示に係るデータベースの一例である。
図7~
図9に許容度情報の一例を示す。
【0037】
図7の給湯機の例において、DR許容度が最も低いDR-0では、DRに応じないことが示されている。また、DR-1では、沸上げ運転時の沸上げ湯量が通常時の80%に制限されることに応じることが示され、DR許容度が最も高いDR-9では、沸上げ運転が禁止されることに応じることが示されている。
【0038】
また、
図8のエアコンの例において、DR許容度が最も低いDR-0では、給湯機の場合と同様、DRに応じないことが示されている。また、DR-1では、冷房時の設定温度より0.5℃高くし、暖房時の設定温度より0,5℃低くすることに応じることが示され、DR許容度が最も高いDR-9では、運転が禁止されることに応じることが示されている。
【0039】
また、
図9の照明装置の例において、DR許容度が最も低いDR-0では、給湯機及びエアコンの場合と同様、DRに応じないことが示されている。また、DR-1では、現在の照度より10%低下させることに応じることが示され、DR許容度が最も高いDR-9では、消灯させることに応じることが示されている。
【0040】
許容情報通知部601は、上記のようにして取得した許容内容を示す許容情報を要求元の制御装置2に通知する。
【0041】
<制御装置2の機能構成>
図10は、制御装置2の機能構成を示すブロック図である。
図10に示すように、制御装置2は、DR通知受信部200と、許容情報取得部201と、機器制御部202とを備える。これらの機能部は、CPU21が補助記憶装置24に記憶されている上述した機器制御プログラムを実行することで実現される。
【0042】
DR通知受信部200は、RAサーバ8から送られてきたDR通知を受信する。DR通知受信部200は、DR通知を受信すると、その旨を許容情報取得部201に通知する。また、DR通知受信部200は、受信したDR通知に含まれる対象時間帯を示す情報を機器制御部202に供給する。
【0043】
許容情報取得部201は、本開示に係る許容情報取得手段の一例である。許容情報取得部201は、DR通知受信部200によってDR通知が受信されると、各機器5に対応する許容情報を管理サーバ6から取得する。詳細には、許容情報取得部201は、機器IDテーブル240に格納されている機器IDを全て読み出し、読み出した各機器IDを管理サーバ6に通知することで、管理サーバ6に対して各機器5に対応する許容内容を示す許容情報を要求して取得する。機器IDテーブル240は、補助記憶装置24に記憶されるデータテーブルである。機器IDテーブル240には、制御装置2の制御下にある全ての機器5、すなわち、当該住宅Hに設置されている全ての機器5の機器IDが保存されている。
【0044】
許容情報取得部201は、管理サーバ6から取得した各機器5に対応する許容情報を機器制御部202に供給する。
【0045】
機器制御部202は、本開示に係る機器制御手段の一例である。機器制御部202は、DRの対象時間帯以外の時間帯においては各機器5を通常制御する。通常制御では、例えばユーザが予め登録したスケジュール及び設定内容に基づいて各機器5が制御される。一方、DRの対象時間帯では、機器制御部202は、各機器5に対応する許容情報に基づいて各機器5を制御する。例えば、機器5が給湯機であり、その許容内容が“沸上げ湯量:通常時の75%”である場合、機器制御部202は、沸上げ湯量が通常時の75%となるように当該給湯機を制御する。また、機器5が給湯機であり、その許容内容が“沸上げ運転不可”である場合、機器制御部202は、対象時間帯での当該給湯機の沸上げ運転を禁止する。なお、機器5が給湯機であり、その許容内容が“DRに応じない”である場合、機器制御部202は、通常通りの沸上げ湯量となるように当該給湯機を制御する。
【0046】
また、例えば、機器5がエアコンであり、その許容内容が“設定温度:+1.0(冷房時)、-1.0(暖房時)”であり、冷房時の場合、機器制御部202は、対象時間帯の間、設定温度を1℃高くすることを当該エアコンに指令する。また、機器5がエアコンであり、その許容内容が“運転不可”である場合、機器制御部202は、対象時間帯での当該エアコンの運転を禁止する。なお、機器5がエアコンであり、その許容内容が“DRに応じない”である場合、機器制御部202は、通常通りの空調運転を行うように当該エアコンを制御する。
【0047】
また、例えば、機器5が照明装置であり、その許容内容が“照度:10%低下”である場合、機器制御部202は、対象時間帯の間、当該照明装置の照度を対象時間帯に入る直前の照度より10%低下させる。また、機器5が照明装置であり、その許容内容が“消灯”である場合、機器制御部202は、対象時間帯の間、当該照明装置を消灯させる。なお、機器5が照明装置であり、その許容内容が“DRに応じない”である場合、機器制御部202は、通常通りの照明を行うように当該照明装置を制御する。
【0048】
<DR許容度管理処理>
図11は、管理サーバ6によって実行されるDR許容度管理処理の手順を示すフローチャートである。
【0049】
(ステップS100)
管理サーバ6は、店舗サーバ7から購入情報を受信したか否かを判定する。購入情報を受信した場合(ステップS100;YES)、管理サーバ6の処理は、ステップS101に遷移する。一方、購入情報を受信していない場合(ステップS100;NO)、管理サーバ6の処理は、ステップS102に遷移する。
【0050】
(ステップS101)
管理サーバ6は、受信した購入情報を機器管理情報として機器管理DB640に登録する。その後、管理サーバ6の処理は、ステップS102に遷移する。
【0051】
(ステップS102)
管理サーバ6は、いずれかの住宅Hの制御装置2から許容情報の要求を受けたか否かを判定する。いずれかの制御装置2から許容情報の要求を受けた場合(ステップS102;YES)、管理サーバ6の処理は、ステップS103に遷移する。一方、いずれの制御装置2からも許容情報の要求を受けていない場合(ステップS102;NO)、管理サーバ6の処理は、ステップS100に戻る。
【0052】
(ステップS103)
管理サーバ6は、指定された機器5に対応するDR許容度を機器管理DB640から取得する。その後、管理サーバ6の処理は、ステップS104に遷移する。
【0053】
(ステップS104)
管理サーバ6は、取得したDR許容度に対応する許容内容を許容度情報DB641から取得する。その後、管理サーバ6の処理は、ステップS105に遷移する。
【0054】
(ステップS105)
管理サーバ6は、取得した許容内容を示す許容情報を要求元の制御装置2に通知する。その後、管理サーバ6の処理は、ステップS100に戻る。
【0055】
<機器制御処理>
図12は、制御装置2によって実行される機器制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0056】
(ステップS200)
制御装置2は、RAサーバ8からDR通知を受信したか否かを判定する。DR通知を受信した場合(ステップS200;YES)、制御装置2の処理は、ステップS201に遷移する。一方、DR通知を受信していない場合(ステップS200;NO)、制御装置2の処理は、ステップS202に遷移する。
【0057】
(ステップS201)
制御装置2は、各機器5の機器IDを管理サーバ6に通知して、管理サーバ6から各機器5に対応する許容情報を取得する。その後、制御装置2の処理は、ステップS202に遷移する。
【0058】
(ステップS202)
制御装置2は、現在時刻がDRの対象時間帯に含まれるか否かを判定する。現在時刻が対象時間帯に含まれる場合(ステップS202;YES)、制御装置2の処理は、ステップS203に遷移する。一方、現在時刻が対象時間帯に含まれない場合(ステップS202;NO)、制御装置2の処理は、ステップS204に遷移する。
【0059】
(ステップS203)
制御装置2は、各機器5を対応する許容情報に基づいて制御する。その後、制御装置2の処理は、ステップS200に戻る。
【0060】
(ステップS204)
制御装置2は、各機器5を通常制御する。その後、制御装置2の処理は、ステップS200に戻る。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態における機器制御システム1では、制御装置2は、DR通知を受信すると、機器5に対応する、ユーザが当該機器5の購入時に指定したDR許容度に応じた内容を示す許容情報を管理サーバ6から取得する。そして、DRの対象時間帯において、当該機器5を対応する許容情報に基づいて制御する。このため、ユーザに不満感を与えることなく機器5を制御することが可能となる。
【0062】
また、DR許容度が高い程、機器5の代価が安くなるため、ユーザはDRの要請に応じることに対するメリットを理解しやすくなり、十分な納得感を得ることができる。
【0063】
(変形例1)
RAサーバ8は、電力供給量が過多になることが予測される場合、電力需要の増加を要請するDR通知を各需要家に送信してもよい。この場合、管理サーバ6の許容度情報DB641で管理される許容度情報は、DR許容度とDRの種別毎の許容内容とが紐付けられた情報となる。制御装置2は、DR通知を受信すると、機器ID及びDRの種別を管理サーバ6に通知して、管理サーバ6から当該機器5及び当該DRの種別に対応する許容情報を取得する。
【0064】
(変形例2)
ユーザが、機器5の購入後に購入時に指定したDR許容度を変更できるようにしてもよい。例えば、ユーザは、サービスアプリを使用したユーザ端末3の操作により、店舗サーバ7にアクセスして、DR許容度の変更を依頼する。この場合、変更後のDR許容度が変更前より低い場合、ユーザは差額をオンライン決済等で支払う。一方、変更後のDR許容度が変更前より高い場合、ユーザは差額あるいは差額に相当するポイント等を予め定めた方法で受け取る。
【0065】
(変形例3)
上記実施の形態における制御装置2の機器制御部202は、管理サーバ6から取得した機器5に対応する許容情報で示される許容内容(
図7~
図9参照)の通りに当該機器5を制御したが、RAサーバ8から通知された抑制電力量を抑制可能な範囲で当該機器5を制御する構成であってもよい。この場合、RAサーバ8から制御装置2に送信されるDR通知には、抑制電力量を示す抑制電力量情報が含まれている。抑制電力量は、対象時間帯において、各需要家に対して抑制を要請する電力量である。
【0066】
例えば、機器5がエアコンであり、その許容内容が"設定温度:+3.0(冷房時)、-3.0(暖房時)"である場合、冷房時に設定温度を2℃高くすることで、抑制電力量分の抑制が見込める場合は、機器制御部202は、対象時間帯の間、設定温度を2℃高くすることを当該エアコンに指令する。これにより、DRに応じることによるユーザへの影響を最小限に留めることができる。
【0067】
(変形例4)
制御装置2に替えて、制御装置2と同様の機能(
図10参照)を備えるサーバによって、各住宅Hにおける各機器5の制御が行われるようにしてもよい。当該サーバは、本開示に係る制御装置の一例である。
【0068】
(変形例5)
制御装置2が、管理サーバ6が備える許容度情報DB641と同様のデータベースを備えるように構成されてもよい。この場合、制御装置2は、管理サーバ6から機器5の許容情報を取得する必要はなく、DR許容度を取得できればよい。
【0069】
(変形例6)
機器5が、自身に対応する許容度情報を保持し、制御装置2から通知されたDR許容度に対応する許容内容で動作できるようにしてもよい。この場合、制御装置2は、管理サーバ6から許容情報に替えてDR許容度を取得すればよく、DRの対象時間帯において、取得したDR許容度を対応する機器5に通知すればよい。
【0070】
(変形例7)
管理サーバ6が、別体化された複数のサーバで構成されるようにしてもよい。
【0071】
(変形例8)
管理サーバ6の機能部(
図5参照)の全部又は一部が、専用のハードウェアで実現されるようにしてもよい。また、制御装置2の機能部(
図10参照)の全部又は一部が、専用のハードウェアで実現されるようにしてもよい。専用のハードウェアとは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はこれらの組合せである。
【0072】
上記の各変形例に係る技術思想は、それぞれ単独で実現されてもよいし、適宜組み合わされて実現されてもよい。
【0073】
本開示は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能である。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0074】
1 機器制御システム、2 制御装置、3 ユーザ端末、4 ルータ、5 機器、6 管理サーバ、7 店舗サーバ、8 RAサーバ、20,32,60 通信インタフェース、21,33,61 CPU、22,34,62 ROM、23,35,63 RAM、24,36,64 補助記憶装置、25,37,65 バス、30 ディスプレイ、31 操作受付部、200 DR通知受信部、201 許容情報取得部、202 機器制御部、240 機器IDテーブル、600 購入情報受信部、601 許容情報通知部、640 機器管理DB、641 許容度情報DB