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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183261
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ラベルおよび気体発生ユニット
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20231220BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20231220BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G09F3/02 D
G09F3/02 V
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096786
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】辻本 享永
(72)【発明者】
【氏名】鹿倉 善和
(72)【発明者】
【氏名】桑原 快人
(72)【発明者】
【氏名】壽 孝真
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068CC14
3E068CC21
3E068CE03
3E068DD40
3E068DE11
3E068DE13
3E068EE22
3E068EE32
(57)【要約】
【課題】気体発生ユニットの使用時に気体発生剤などが零れる可能性を低減できるラベルなどを実現する。
【解決手段】ラベル(10)は、香り成分を遮断する第1層(11)と、第1層が重畳された、香り成分を透過させる第2層(12)とを備え、第2層から第1層を剥離させることが可能であり、第2層は、第2基材(121)と、第2基材に重畳された第2接着層(122)とを備え、第2層の基材は白色オレフィン系樹脂を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香り成分を遮断する第1層と、
前記第1層が重畳された、前記香り成分を透過させる第2層とを備え、
前記第2層から前記第1層を剥離させることが可能であり、
前記第2層は、
第2基材と、
前記第2基材に重畳された第2接着層とを備え、
前記第2基材は白色オレフィン系樹脂を含むラベル。
【請求項2】
前記第1層は、厚さ方向において、
第1基材と、
前記第1基材に重畳された、前記第1基材を前記第2層に接着する第1接着層とを備え、
前記第1層は、平面視において、第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域とを有し、
前記第1層は、前記第1領域と前記第2領域との境界で切断されており、
前記第2層は、前記第1領域と前記第2領域との境界に対応する領域において連続している請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記第1領域を前記第2層から剥離させる方向と、
前記第2領域を前記第2層から剥離させる方向とが互いに異なる請求項2に記載のラベル。
【請求項4】
前記第1層は、前記第1接着層の一部に重畳された、前記第1接着層の前記第2層との接着性を低下させる糊抑え層をさらに備える請求項2に記載のラベル。
【請求項5】
気体発生剤と、
前記気体発生剤を収容する容器と、
請求項1に記載のラベルと、を備える気体発生ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体発生剤を収容した容器に使用されるラベル、および当該ラベルを使用された気体発生ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
気体発生剤容器の一例として、特許文献1に開示されている芳香剤容器が挙げられる。当該芳香剤容器は、揮散孔を穿設した揮散板を有し、その上にシール材を剥離貼着可能として貼着した構成を有する。シール材には、所定の位置に目盛り線または切れ目線が設けられている。芳香剤容器の使用にあたっては、シール材を所要の目盛り線まで揮散板から引き剥がすと、一定数の揮散孔が開口され、芳香剤が放散する。多くの芳香が必要な場合には、次の目盛り線まで引剥がすと、多量の芳香を放散させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-208798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような芳香剤容器では、使用時に揮散孔が開口されるため、その状態で容器が横転した場合などには芳香剤が揮散孔から容器外へ零れる可能性がある。一方で、芳香剤が揮散孔から零れることを防止するために、芳香のみを拡散させる、いわゆる徐放性を有する材料で揮散孔を被覆した場合、徐放性が十分でなく、芳香が弱まるという問題があった。
【0005】
本発明の一態様は、気体発生ユニットの使用時に気体発生剤などが零れる可能性を低減し、かつ十分な徐放性を得ることができるラベルなどを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベルは、香り成分を遮断する第1層と、前記第1層が重畳された、前記香り成分を透過させる第2層とを備え、前記第2層から前記第1層を剥離させることが可能であり、前記第2層は、第2基材と、前記第2基材に重畳された第2接着層とを備え、前記第2基材は白色オレフィン系樹脂を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係るラベルなどによれば、気体発生ユニットの使用時に気体発生剤などが零れる可能性を低減し、かつ十分な徐放性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係るラベルを備える気体発生ユニットの概略を示す断面図である。
図2】実施形態1に係る気体発生ユニットが使用されている状態を示す断面図である。
図3】第2層の材質による徐放性の差異の例を示すグラフである。
図4】実施形態1に係る気体発生ユニットの平面図である。
図5】容器が有する開口の周囲における、実施形態1に係るラベルの構成の、第1の例を示す断面図である。
図6】容器が有する開口の周囲における、実施形態1に係るラベルの構成の、第2の例を示す断面図である。
図7】容器が有する開口の周囲における、実施形態1に係るラベルの構成の、第3の例を示す断面図である。
図8】実施形態2に係る気体発生ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。以下の説明において、数値範囲を示す「A~B」は、特筆しない限り「A以上かつB以下」を意味する。
【0010】
図1は、実施形態1に係るラベル10を備える気体発生ユニット1の概略を示す断面図である。図1に示すように、気体発生ユニット1は、気体発生剤30、容器20およびラベル10を備える。気体発生剤30は、例えば香り成分を発する芳香剤である。ただし、気体発生ユニット1は、気体発生剤30として、消臭剤、変臭剤、忌避剤、抗ウィルス剤、または除菌剤(塩素及び次亜塩素酸等)を放出する薬剤を備えていてもよい。また、図1においては気体発生剤30は球状であるが、気体発生剤30の形状はこれに限られない。
【0011】
容器20は、気体発生剤30を内部に収容する。容器20は、気体発生剤30が発する香り成分を遮断する構造を有する材料で構成されたピロー袋である。容器20がピロー袋である場合、当該ピロー袋は、例えばポリエチレンテレフタレート、アルミニウム、および無延伸ポリプロピレンがこの順で積層された積層構造を有していてよい。また、当該ピロー袋は、例えばポリエチレンテレフタレート、ナイロン、およびポリエチレンがこの順で積層された積層構造を有していてもよい。また、容器20は、剛性を有する樹脂製の容器、またはパウチであってもよい。
【0012】
容器20は、気体発生剤30が発する香り成分を外部へ放出するための開口21を有する。開口21は、容器20の一部が除去された領域であってもよく、容器20に形成された線状の切れ込みであってもよい。また、開口21は、容器20の一部が薄肉に形成されることで徐放性を有する箇所であってもよい。
【0013】
ラベル10は、開口21を被覆する。ラベル10は、第1層11および第2層12を備える。ラベル10は、容器20の側から第2層12および第1層11がこの順で配されるように、容器20に接着されている。
【0014】
第2層12は、気体発生剤30が発する香り成分を透過させる徐放性フィルムである。第2層12は、厚さ方向において、第2基材121および第2接着層122を備える。第2接着層122は、第2層12を接着対象である容器20に接着する。第2接着層122は、例えばアクリル酸エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂等である。
【0015】
第2基材121は、白色オレフィン系樹脂を含む。第2基材121は、例えば白色ポリエチレンである。白色ポリエチレンは、顔料を含有するポリエチレン、または内部にボイドを有するポリエチレンである。顔料の例としては、酸化チタンまたは炭酸カルシウムが挙げられる。また、ボイドは、ポリエチレン中の空気層である。好ましいボイドの割合は、体積比で1%~30%である。また、白色ポリエチレンは、顔料を含有し、かつ内部にボイドを有するポリエチレンであることがより好ましい。第2基材121の厚さは、10μm~100μmであってよい。本願発明者は、第2基材121の材料について鋭意検討を重ねた結果、白色ポリエチレンが優れた徐放性を示すことを見出した。
【0016】
白色ポリエチレンは、顔料を含有せず、かつ内部にボイドを有しないポリエチレンと比較して、構造に多くの隙間を有する。このため、気体発生剤30が発する香り成分が、白色ポリエチレンの構造に存在する隙間から外部へ徐放されやすいものと考えられる。白色ポリエチレンの徐放性を示す実験結果については後述する。
【0017】
第1層11は、気体発生剤30が発する香り成分を遮断する。第1層11は、第2層12に重畳されている。第1層11は、厚さ方向において、第1基材111および第1接着層112を備える。第1基材111は、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、またはそれらのいずれかにバリア蒸着またはバリアコートされた基材であってよい。第1基材111の厚さは20μm~100μmであってよい。第1接着層112は、第1基材111に重畳され、第1基材111を第2層12に接着する。第1接着層112は、再剥離性の接着剤で構成される。第1接着層112は、例えばアクリル酸エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、またはスチレン系樹脂等である。
【0018】
図1に示されている気体発生ユニット1は、使用されていない状態である。図1に示す状態では、気体発生剤30が発する香り成分は、ラベル10、特に第1層11により遮断され、容器20の外部へ放出されない。
【0019】
図2は、気体発生ユニット1が使用されている状態を示す断面図である。図2に示すように、ラベル10においては、第2層12から第1層11を剥離させることが可能である。上述したとおり、第2層12は香り成分を透過させる。したがって、図2に示す状態では、矢印31で示すように、気体発生剤30が発する香り成分が容器20の外部へ放出される。
【0020】
第2基材121の材質による徐放性の差異について、以下の実験を行った。2グラムのゲル状気体発生剤を封入した容器20に、3mm幅のスリットを開口21として設け、スリットを被覆するようにラベル10を容器20に接着した。ラベル10の第1層11を剥離させた状態で容器20を瓶に封入し、1分毎に瓶内の匂いの強さを測定した。瓶内の匂いの強さの測定には、新コスモス電機(株)製のXP-329IIIを用いた。匂いの強さが徐放性の大きさを示す。
【0021】
図3は、第2基材121の材質による徐放性の差異の例を示すグラフである。図3に示したグラフにおいて、横軸は経過時間(分)であり、縦軸は瓶内の匂いの強さ(任意単位)である。数値が高いほど、徐放性が大きいという事を示している。図3には、グラフG1~G5の5種類のグラフが示されている。グラフG1~G5はそれぞれ、以下の材料で形成された第2基材121の徐放性を示す。
グラフG1:A社製の白色ポリエチレン(厚さ70μm)
グラフG2:B社製の白色ポリオレフィン(厚さ85μm)
グラフG3:A社製の合成紙(厚さ80μm)
グラフG4:A社製の無色OPP(Oriented Polypropylene)(厚さ20μm)
グラフG5:C社製の無色ポリエチレン(厚さ20μm)
A社製の白色ポリエチレンおよびB社製の白色ポリオレフィンはいずれも、それらよりも薄いC社製の無色ポリエチレンと比較して顕著に高い徐放性を示している。また、A社製の白色ポリエチレンは、同じA社製の合成紙および無色OPPと比較しても、顕著に高い徐放性を示している。このことから、白色ポリエチレンおよび白色ポリオレフィンの徐放性は、厚さおよび製造者とは無関係に、実験に使用した他の材料の徐放性と比較して高いと言える。
【0022】
図4は、気体発生ユニット1の平面図である。図4に示すように、気体発生ユニット1の平面視において、第1層11は、2つの第1領域11aと、第1領域11aとは異なる2つの第2領域11bを有する。ただし、第1層11が有する第1領域11aおよび第2領域11bの数はこれに限られない。また、第1領域11aおよび第2領域11bの数が互いに異なっていてもよい。また、第1領域11aおよび第2領域11bの位置関係も図4に示したものに限られない。
【0023】
第1層11は、第1領域11aと第2領域11bとの境界で切断されている。一方、第2層12は、第1領域11aと第2領域11bとの境界に対応する領域において連続している。すなわち、第1層11は、第1領域11aと第2領域11bとの間に、いわゆるハーフカットを施されている。このため、ラベル10においては、第2層12から第1層11を剥離させる場合に、第1領域11aと第2領域11bとを、互いに別個に剥離させることができる。ハーフカットは、第1領域11aと第2領域11bとの間の全体にわたって連続した形状に設けられていてもよく、破線状または一点鎖線状などの連続しない切れ込みの形状に設けられていてもよい。
【0024】
図4においては、容器20は、4つの開口21を有する。2つの開口21は2つの第1領域11aのそれぞれにより被覆され、残りの2つの開口21は2つの第2領域11bのそれぞれにより被覆されている。ただし、容器20は図4に示したものに限らず、複数の開口21を有し、少なくとも1つの開口21が第1領域11aにより被覆され、少なくとも1つの開口21が第2領域11bにより被覆されればよい。
【0025】
気体発生ユニット1の使用開始時には、ユーザは、第1層11のうち、第1領域11aを第2層12から剥離させる。これにより、第1領域11aにより被覆されていた開口21が開放され、香り成分が放出される。
【0026】
第1領域11aを第2層12から剥離させた時点では、第2領域11bについては第2層12上に残っている。より強い香りを放出させる場合には、ユーザは、第2領域11bについても第2層12から剥離させる。その結果、開放される開口21の数が増加し、放出される香り成分の量が増加する。したがって、気体発生ユニット1のユーザは、第1領域11aと第2領域11bとを別個に剥離させることで、放出される香り成分の量を調整することができる。気体発生ユニット1のユーザは、気体発生ユニット1の使用を終了する場合には、第1層11を第2層12に再び接着すればよい。
【0027】
ラベル10においては、第1領域11aを第2層12から剥離させる方向と、第2領域11bを第2層12から剥離させる方向とが互いに異なっていてよい。これにより、第1領域11aと第2領域11bとを、容易に第2層12から別個に剥離させることができる。
【0028】
具体的には、第1層11には、図4に示すように、第1領域11aを剥離させる方向を示すマークMが印刷されていてよい。さらに、第1層11には、第2領域11bを剥離させる方向を示すマークが印刷されていてよい。この場合、第2領域11bを剥離させる方向を示すマークは、マークMが示す方向とは異なる方向を示すものとする。これにより、第1領域11aおよび第2領域11bの、それぞれの剥離方向を、気体発生ユニット1のユーザに意識させることができる。マークM、および第2領域11bを剥離させる方向を示すマークは、図4に示すような矢印に限られず、例えば開封箇所であることを示すマークであってもよい。また、マークM、および第2領域11bを剥離させる方向を示すマークの代わりに、例えばハーフカットにより区切られる第1領域11aまたは第2領域11bの、端部の一部がツマミ形状に形成されていてもよい。この場合、ツマミ形状の箇所から第1領域11aまたは第2領域11bの内側へ向かう方向が、剥離方向となる。また、剥離方法は必ずしも一直線状の方向である必要はなく、途中まで剥離させた後で変更されてもよい。
【0029】
また、マークMの近傍には、第1接着層112の接着性を低下させる糊抑え層が設けられるか、または第1接着層112が形成されていない。したがって、第1領域11aを第2層12から剥離させる場合に剥離の開始位置となるマークMの近傍では、さらに、第1領域11aの接着力が低下している。第2領域11bにおけるマークの近傍においても、第2領域11bの接着力が低下している。第1領域11aにおいてマークMが示される側と、第2領域11bにおいてマークが示される側とは、互いに異なる側である。例えば第1領域11aにおいてマークMが示される側を右側とする場合、第2領域11bにおいてマークMが示される側は、右側以外、例えば左側、上側または下側であってよい。これにより、第1領域11aを剥離させるときに誤って第2領域11bも剥離させる可能性を低減できる。
【0030】
図5は、開口21の周囲におけるラベル10の構成の、第1の例を示す断面図である。図5には、第2領域11bにより被覆されている開口21の周囲の断面図が示されている。図5には、容器20についても併せて示している。図5における縦横比は、実際のラベル10における縦横比とは一致しない。また、図5における各部材の厚さは、実際の各部材の厚さと対応しない。
【0031】
図5に示す例においては、第2層12は、第1層11と対向する面に、シリコーン層123をさらに備える。シリコーン層123は、シリコーン樹脂により形成される層である。シリコーン層123に対する第1接着層112の接着強度は、第2基材121に対する第1接着層112の接着強度よりも低下する。このため、第1層11が第2層12から剥離されやすくなる。
【0032】
シリコーン層123を備える領域では、シリコーン層123を備えない領域と比較して、第2層12の徐放性が低下する。このため、第2層12は、開口21に対応する領域には、シリコーン層123の代わりにシリコーンメッシュ124をさらに備える。シリコーンメッシュ124は、隙間を有するメッシュ状のシリコーン樹脂である。シリコーン樹脂をメッシュ状に塗布することで、シリコーン樹脂の塗工面積の調整が可能となる。第2層12が開口21に対応する領域にシリコーンメッシュ124を備えることで、当該領域にシリコーン層123を備える場合と比較して、当該領域における徐放性の低下が小さくなる。
【0033】
シリコーンメッシュ124においてシリコーンが実際に塗布される面積の割合は、開口21に対応する領域の面積の20%~90%であることが好ましい。上記の割合が20%未満であると、第2基材121に対する第1接着層112の接着強度の低下が小さくなるため、第2層12から第1層11を剥離させにくくなる。上記の割合が90%を超えると、シリコーンメッシュ124により被覆された開口21からの徐放性が不十分になる。
【0034】
また、図5に示す例においては、第2層12は、開口21に対応する領域に、シリコーン層123およびシリコーンメッシュ124のいずれも備えなくてもよい。この場合には、開口21に対応する領域における第2層12の徐放性の低下はなくなる。ただし、この場合には開口21に対応する領域の全体において、第2層12への第1層11の接着強度が低下しなくなる。このため、第1層11を第2層12から剥離させにくくなる。
【0035】
シリコーン層123およびシリコーンメッシュ124は、第1領域11aと第2領域11bとの境界に重畳しない。具体的には、シリコーン層123およびシリコーンメッシュ124の端部は、第1領域11aと第2領域11bとの境界から1.5mm以上離隔している。
【0036】
図5においては、各層の構造を明示するため、第2層12がシリコーン層123およびシリコーンメッシュ124のいずれも備えない領域において、第1接着層112と第2基材121との間に隙間が存在している。しかし、実際には、第2層12がシリコーン層123およびシリコーンメッシュ124のいずれも備えない領域においては、第1接着層112と第2基材121とが接着される。
【0037】
このため、第1領域11aと第2領域11bとの境界の近傍では、第2層12に対する第1層11の接着強度が低下しない。したがって、第1層11が第2層12から剥離されていない状態において、第1層11により被覆されている開口21から香り成分が放出されることを防止できる。
【0038】
図6は、開口21の周囲におけるラベル10の構成の、第2の例を示す断面図である。図6には、第2領域11bにより被覆されている開口21の周囲の断面図が示されている。図6には、容器20についても併せて示している。図6における縦横比は、実際のラベル10における縦横比とは一致しない。また、図6における各部材の厚さは、実際の各部材の厚さと対応しない。
【0039】
図6に示す例においては、第2層12はシリコーン層123およびシリコーンメッシュ124を備えず、第1層11が糊抑え層115を備える。糊抑え層115は、第1接着層112の一部に重畳されている。糊抑え層115は、例えば第1接着層112に塗布されたニスである。
【0040】
糊抑え層115は、第1接着層112の第2層12との接着性を低下させる。すなわち、糊抑え層115は、第2層12に対する第1層11の接着強度を低下させる。したがって、図6に示した構成によっても、第1層11が第2層12から剥離されやすくなる。
【0041】
糊抑え層115は、第1領域11aと第2領域11bとの境界に重畳しない。具体的には、糊抑え層115の端部は、第1領域11aと第2領域11bとの境界から1.5mm以上離隔している。換言すれば、図6に示す、糊抑え層115の端部と、第1領域11aと第2領域11bとの境界と、の間隔Dは、1.5mm以上である。
【0042】
図6においては、各層の構造を明示するため、第1層11が糊抑え層115を備えない領域において、第1接着層112と第2基材121との間に隙間が存在している。しかし、実際には、第1層11が糊抑え層115を備えない領域においては、第1接着層112と第2基材121とが接着される。
【0043】
このため、第1領域11aと第2領域11bとの境界の近傍では、第2層12に対する第1層11の接着強度が低下しない。したがって、第1層11が第2層12から剥離されていない状態において、第1層11により被覆されている開口21から香り成分が放出されることを防止できる。
【0044】
図6に示す例においては、第1層11は、開口21に対応する領域にも糊抑え層115を備えている。図6に示す例においては、第1領域11aまたは第2領域11bが第2層12から剥離される場合には、当該領域に形成された糊抑え層115も第2層12から剥離される。このため、第1層11が糊抑え層115を備えていても、第1層11が第2層12から剥離された状態での第2層12の徐放性には影響がない。
【0045】
図7は、開口21の周囲におけるラベル10の構成の、第3の例を示す断面図である。図7には、第2領域11bにより被覆されている開口21の周囲の断面図が示されている。図7には、容器20についても併せて示している。図7における縦横比は、実際のラベル10における縦横比とは一致しない。また、図7における各部材の厚さは、実際の各部材の厚さと対応しない。
【0046】
図7に示す例においては、第2層12は、図5に示した例と同様にシリコーン層123を備える。一方で、図7に示す例においては、第2層12は、図5に示した例とは異なり、シリコーンメッシュ124を備えない。
【0047】
図7に示す例においては、第1層11は、いわゆる部分糊の構造を有する。具体的には、第1層11は、開口21に対応する領域に第1接着層112を有しない。このため、第2層12が開口21に対応する領域にシリコーン層123およびシリコーンメッシュ124のいずれも備えなくとも、第2領域11bが第2層12から剥離されやすくなる。
【0048】
図7においては、各層の構造を明示するため、開口21に対応する領域およびその近傍において、第1層11と第2層12との間に隙間が存在している。しかし、実際には、第1層11と第2層12とは互いに接した状態である。
【0049】
図5図7に示したいずれの例においても、第1領域11aと第2領域11bとの境界は、開口21の縁から1.5mm以上離隔していることが好ましい。これにより、開口21の周囲において、第1層11と第2層12との間で十分な接着強度が得られる。したがって、第1層11が第2層12から剥離されていない状態において、第1層11により被覆されている開口21から香り成分が放出されることを防止できる。
【0050】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
図8は、実施形態2に係る気体発生ユニット1Aの平面図である。図8に示すように、気体発生ユニット1Aは、ラベル10の代わりにラベル10Aを備える。ラベル10Aは、第1層11の代わりに第1層11Aを備える。第1層11Aは、第1領域11aおよび第2領域11bに加えて、第3領域11cを備える。第3領域11cは、気体発生ユニット1Aの使用時に第2層12(図1等参照)から剥離されない第1層11Aの領域である。
【0052】
図8において、第1領域11aおよび複数の第2領域11bは、それぞれ少なくとも1つの開口21(図4等参照)を被覆している。第3領域11cは、開口21を被覆していない。気体発生ユニット1Aのユーザは、気体発生ユニット1Aの使用開始時には、第1領域11aを第2層12から剥離させる。また、気体発生ユニット1Aのユーザは、気体発生ユニット1Aが発する芳香を強めたい場合には、さらに1以上の第2領域11bを第2層12から剥離させる。
【0053】
図8においては、第1領域11aの面積は第2領域11bの面積よりも大きい。また、第1領域11aは第1層11Aの中央に位置し、第2領域11bは第1領域11aの周囲に位置する。しかし、第1領域11aおよび第2領域11bの、平面視における面積の大小関係および位置関係は、図8に示したものに限られない。
【0054】
また、図8においては、第2領域11bの剥離方向を示すマークMの一部は、第1領域11aの剥離方向を示すマークMと同じ剥離方向を示している。しかしながら、図8においては、第1領域11aと第2領域11bとは、直接接していない。このため、第1領域11aを剥離させるときに、第2領域11bまで剥離させてしまうことはない。このように、第1領域11aの剥離方向と第2領域11bの剥離方向とは、必ずしも異なっていなくてもよい。
【0055】
〔実施形態3〕
上述した実施形態のいずれにおいても、第1層11は、第1領域11aおよび第2領域11bを有していた。しかし、本発明に係るラベル10において、第1層11は、第1領域11aおよび第2領域11bを有していなくてもよい。すなわち、本発明に係るラベル10は、第1層11と第2層12とを備え、第2層12から第1層11を剥離可能であり、かつ、第2基材121が白色ポリエチレンであればよい。
【0056】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1、1A 気体発生ユニット
10、10A ラベル
11、11A 第1層
111 第1基材
11a 第1領域
11b 第2領域
112 第1接着層
115 糊抑え層
12 第2層
121 第2基材
122 第2接着層
20 容器
21 開口
30 気体発生剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8