(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183263
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】撮像装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/28 20210101AFI20231220BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20231220BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20231220BHJP
G03B 7/091 20210101ALI20231220BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20231220BHJP
【FI】
G02B7/28 N
H04N5/232 127
G03B15/00 Q
G03B7/091
G03B13/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096788
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】岡本 吉彦
【テーマコード(参考)】
2H002
2H011
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H002GA20
2H002GA54
2H011BB03
2H151DA15
2H151DA19
2H151DA20
2H151DA24
2H151EB06
5C122EA37
5C122EA42
5C122EA60
5C122FD01
5C122FD13
5C122FF03
5C122FH11
5C122FH14
5C122HA82
5C122HB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮影者の意図に沿った焦点調節を実現する撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100は、ズームレンズ、フォーカスレンズを含むレンズ群を有する光学レンズを有し、被写体を光電変換し画像信号を取得する撮影部と、被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する制御を有する。そして、制御部は、被写体である人物の視線の先に撮像装置がある場合には、当該人物に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体がある場合には、当該被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体が検出されない場合には、当該人物に焦点を合わせるようにフォーカスレンズの駆動を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、
被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御する制御手段と、
被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、
前記制御手段は、被写体である人物の視線の先に前記撮像装置がある場合には、当該人物に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体がある場合には、当該被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体が検出されない場合には、当該人物に焦点を合わせるようにフォーカスレンズの駆動を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、
被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、
被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、
前記制御手段は、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体がある場合には、当該被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体が検出されない場合には、所定の絞り値に絞りの駆動を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、
被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、
被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、
前記制御手段は、前記視線検出手段によって人物である被写体の視線の先に当該人物とは異なる被写体がある状態で視線に所定時間以上の変化がなかった場合には、当該被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記視線検出手段によって人物である被写体の視線の先に当該人物とは異なる被写体がある状態の視線が前記所定時間未満に変化した場合には、当該被写体に焦点を合わせないことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、
被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、
被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、
前記制御手段は、前記視線検出手段によって検出された視線の先にある被写体の、前記取得手段によって取得された画像信号の画角内に占める割合が所定の面積未満である場合には、当該被写体に焦点を合わせないことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、
被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、
被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、
前記制御手段は、前記視線検出手段によって検出された視線が、下方向の視線である場合には、視線の先にある被写体に焦点を合わせないことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、
被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、
被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、
ユーザによって予め指定された被写体を登録する登録手段と、を有し、
前記制御手段は、前記視線検出手段によって検出された視線の先に、ユーザによって予め指定された被写体がある場合には、当該被写体に焦点を合わせないことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体である人物の視線情報に基づく焦点調節方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影者が自分自身を撮影する撮影スタイルが一般的になっている。動画配信サイト等に投稿される動画は、個人により撮影された動画が一般的になっている。個人による動画撮影の特徴として撮影者と動画内の出演者が同じ場合がある。例えば、商品紹介の動画で画面に映って商品の紹介を行っている出演者と、その動画を撮影している撮影者が同一人物であるといった場合である。
【0003】
この場合、出演者でもある撮影者は動画撮影中に撮像装置であるカメラの操作を行うことが難しく、意図通りに焦点の調節が出来ないことがある。
【0004】
特許文献1では、被写体の視線がカメラに向いたことを検出した際に即時に撮影を行う技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では被写体の視線がカメラ以外に向いた際には撮影者は焦点調節のためカメラを操作する必要があった。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、撮影者の意図に沿った焦点調節を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御する制御手段と、被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、前記制御手段は、被写体である人物の視線の先に撮像装置がある場合には、当該人物に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体がある場合には、当該被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体が検出されない場合には、当該人物に焦点を合わせるようにフォーカスレンズの駆動を制御するよう構成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の側面は、被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、前記制御手段は、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体がある場合には、当該被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御し、被写体である人物の視線の先に当該人物とは異なる被写体が検出されない場合には、所定の絞り値に絞りの駆動を制御するよう構成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の側面は、被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、前記制御手段は、前記視線検出手段によって人物である被写体の視線の先に当該人物とは異なる被写体がある状態で視線に所定時間以上の変化がなかった場合には、当該被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズの駆動を制御するよう構成したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の側面は、被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、前記制御手段は、前記視線検出手段によって検出された視線の先にある被写体の、前記取得手段によって取得された画像信号の画角内に占める割合が所定の面積未満である場合には、当該被写体に焦点を合わせないよう構成したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の側面は、被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、を有し、前記制御手段は、前記視線検出手段によって検出された視線が、下方向の視線である場合には、視線の先にある被写体に焦点を合わせないよう構成したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の別の側面は、被写体を光電変換し画像信号を取得する取得手段と、被写体に焦点が合うようにフォーカスレンズまたは絞りの駆動を制御する制御手段と、被写体が人物である場合に当該人物の視線を検出する視線検出手段と、ユーザによって予め指定された被写体を登録する登録手段と、を有し、前記制御手段は、前記視線検出手段によって検出された視線の先に、ユーザによって予め指定された被写体がある場合には、当該被写体に焦点を合わせないよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮影者の意図に沿った焦点調節を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例における撮像装置100の内部構成例を示した図
【
図2】実施例1における焦点調節の制御フローを示した図
【
図3】実施例2における絞り値設定の制御フローを示した図
【
図4】実施例3における時間情報を用いた焦点調節の制御フローを示した図
【
図5】実施例4における被写体の映像内に占める割合情報を用いた焦点調節対象変更の制御フローを示した図
【
図6】実施例5における視線の方向情報を用いた焦点調節の制御フローを示した図
【
図7】実施例6における登録被写体情報を用いた焦点調節の制御フローを示した図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
●実施例1
図1は、本発明における撮像装置100の内部構成例を示した図である。
【0018】
撮像装置100は
図1に示す通り制御部101、撮影部102、記録部103、通信部104、入力部105、通知部106、タイマー107から構成される。撮像装置100はカメラ、ビデオ、スマートフォン等の、撮影機能を有する装置である。
【0019】
制御部101はCPUやメモリ等で構成され、メモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって撮像装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御部101は、フォーカスレンズを含む光学レンズや絞りの駆動の制御を行う。メモリには、コンピュータプログラムの他に撮像装置100の各部の動作パラメータ等の情報も含まれている。制御部101は、後述の画像処理部が検出した人物の視線情報から、人物がどの方向を見ているかを判別することが可能である。
【0020】
撮影部102は光学レンズ、撮像素子、画像処理部等で構成される。撮影部102によって撮影された映像情報は、制御部101の指示によって記録部103に格納される。また、撮影部102は制御部101からの指示に基づいてズーム、焦点調節、焦点調節対象の切り替えや絞り値設定等の制御も行う。光学レンズはズームレンズ、フォーカスレンズを含むレンズ群である。撮像素子は光学像を電気信号に光電変換し、画像信号を出力するCCDやCMOS素子等で構成される。
【0021】
画像処理部は制御部101の指示に基づき映像情報に対して各種画像処理を実施することが可能である。画像処理部は被写体が人物かそれ以外の種別であるかを判別する被写体検出を行うことができる。また、画像処理部は、被写体が人物であった場合にその人物の視線情報の検出することも可能である。また、画像処理部は、被写体(例えば人物)が視線を向けている方向を検出する視線検出を行うことができる。画像処理部が実行する画像処理にはA/D変換処理、D/A変換処理、動画情報及び静止画情報の符号化処理、圧縮処理、復号化処理、リサイズ処理、ノイズ低減処理、色変換処理等が含まれる。画像処理部は特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成してもよい。また、画像処理の種別によっては画像処理部を用いずに制御部101がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0022】
記録部103は記録媒体を備えており、撮影部102が撮影した映像情報を制御部101の指示に基づいて記録媒体に記録する。また、記録部103内には被写体情報を登録しておくことも可能である。ユーザが予め指定した被写体に関する被写体情報を登録しておいても良い。なお、記録媒体は例えば内蔵フラッシュメモリや内蔵HDD等の内蔵記録媒体であってもよいし、着脱可能なメモリーカード等の外部記録媒体であっても構わない。
【0023】
通信部104は撮像装置100をインターネットなどのネットワークに接続するためのインターフェース回路を備える。また、制御部101は通信部104を制御して撮影映像をネットワーク越しに外部機器へ送信することが可能である。なお、ネットワーク接続は有線LAN/無線LANのどちらで構成されていても構わない。
【0024】
入力部105は撮像装置100の各入力操作をユーザから受け付ける。入力部105は例えばスイッチ、ボタン、タッチパネル、マイク等の入力デバイスである。
【0025】
通知部106はユーザの操作のためのアイコンや、撮影部102が撮影した映像情報を表示するディスプレイ等である。ディスプレイは制御部101の指示に基づいてGUI(Graphical User Interface)を表示する。更に通知部106はユーザの操作のための音声をスピーカーから出力することも可能である。
【0026】
タイマー107は現在の時刻や各部で行われる動作や処理に関する時間を計測する。また、タイマー107によって計測される時間に対する各閾値は制御部101内のメモリに予め格納されている。
【0027】
図2は、被写体である人物の視線情報を用いた焦点調節の制御フローを示した図である。
図2の処理は制御部101のメモリに格納されたプログラムを制御部101のCPUが実行し、各部を制御することによって実現される。
【0028】
S201において、制御部101は、撮影部102が撮影した映像情報を画像処理し被写体を検出する処理を実行する。被写体が検出された場合には(S201、Yes)、S202の処理へ進む。被写体が検出されなかった場合には(S201、No)、被写体の検出を待機し続ける。
【0029】
S202において、制御部101は、S201で検出した被写体が人物であった場合には、その人物の視線情報を検出する。制御部101が視線情報を検出した場合には(S202、Yes)、本フローチャートはS203の処理へ進む。ここでいう人物とは、具体的には撮影者であり出演者でもある人物のことである。制御部101が視線情報を検出しなかった場合には(S202、No)、本フローチャートは終了する。なお、本実施例では視線情報を用いた撮像装置100の焦点調節処理についてのみ言及するが、その他の情報を用いて焦点調節処理を実施してもよい。例えば人か動物か乗り物かといった被写体情報を用いた焦点調節処理が並列で動作していても構わない。
【0030】
S203において、制御部101は、S202で検出した視線情報から人物の視線が撮像装置100に向いているか(カメラ目線であるか)否かを判別する。人物の視線が撮像装置100に向いていると判別した場合には(S203、Yes)、制御部101は撮影部102を制御して焦点を調節する対象を人物に切り替え、人物に焦点が合うよう調節する(S204)。人物の視線が撮像装置100に向いていないと判別した場合には(S203、No)、S205の処理へ進む。
【0031】
S205において、制御部101は、S202で検出した視線情報から人物の視線の先に焦点を合わせる対象物が存在するか否かを判別する。ここで想定される対象物とは例えば出演者が紹介している商品等のことである。人物の視線の先に対象物が存在する場合には(S205、Yes)、制御部101は撮影部102を制御して焦点を調節する対象を人物の視線の先の対象物に切り替え、対象物に焦点が合うよう調節する(S206)。人物の視線の先に対象物が存在しない場合には(S205、No)、制御部101は撮影部102を制御して焦点を調節する対象の優先度を変更する。例えば、人物の視線の先に対象物が存在しない場合には人物に対して焦点調節を行うよう処理する等である。
【0032】
<実施例1の効果>
本実施例によれば、撮影者が撮像装置100を操作できない場合であっても、出演者でもある撮影者の視線情報を用いて焦点調節を実施することができる。
【0033】
●実施例2
本発明を適用した実施例2について説明する。
図1の構成については本実施例においても同様である。本実施例において実行される制御について、
図3を用いて、
図2との差異を中心に説明する。
【0034】
図3は、被写体である人物の視線情報を用いた焦点調節と絞り値設定の制御フローを示した図である。
図3の処理は制御部101のメモリに格納されたプログラムを制御部101のCPUが実行し、各部を制御することによって実現される。
【0035】
S301からS306までの処理はS201からS206までの処理と同一であるので、説明を省略する。
【0036】
S307において、制御部101は、撮影部102を制御して絞りが所定の絞り値になるよう絞りの駆動を制御する。ここで、所定の絞り値は固定値でも良いし、画角内の被写体の奥行方向の位置から複数の被写体が被写界深度内に収まるように絞り値を決定しても良い。
【0037】
<実施例2の効果>
本実施例によれば、被写体の視線情報を用いて焦点調節対象を切り替えられないケースであっても、被写界深度を深くし焦点の合う範囲を拡大させることで、焦点が合っていない映像が撮影されることを防ぐことができる。
【0038】
●実施例3
本発明を適用した実施例3について説明する。
図1の構成については本実施例においても同様である。本実施例において実行される制御について、
図4を用いて、
図2との差異を中心に説明する。
【0039】
図4は、時間情報を用いた焦点調節の制御フローを示した図である。
図4の処理は制御部101のメモリに格納されたプログラムを制御部101のCPUが実行し、各部を制御することによって実現される。
【0040】
S401とS402の処理はS201とS202の処理と同一であるので説明は省略する。
【0041】
S403において、制御部101は、S402で人物の視線が検出されてから、視線の先の対象物が変化せずに維持された経過時間をタイマー107から取得する。取得した経過時間が所定時間以上の場合(S403、Yes)、制御部101は撮影部102を制御して人物の視線の先の対象物に焦点が合うよう調節する(S404)。取得した経過時間が所定時間未満の場合(S403、No)、制御部101は現時点で焦点を合わせているものから焦点調節の対象を変更しない(S405)。ここでいう所定の時間とは例えば1秒程度の時間のことである。
【0042】
<実施例3の効果>
本実施例によれば、出演者の意図しない視線の移り変わりにより、焦点の状態が頻繁に切り替わってしまう映像が生成されることを防ぐことができる。
【0043】
●実施例4
本発明を適用した実施例4について説明する。
図1の構成については本実施例においても同様である。本実施例において実行される制御について、
図5を用いて、
図2との差異を中心に説明する。
【0044】
図5は、被写体の映像内(画角内)に占める割合情報を用いた焦点調節対象変更の制御フローを示した図である。
図5の処理は制御部101のメモリに格納されたプログラムを制御部101のCPUが実行し、各部を制御することによって実現される。
【0045】
S501の処理はS201の処理と同一であるので説明は省略する。
【0046】
S502において、制御部101は、S501で検出した被写体が、撮影部102で撮影した映像に占める面積の割合を算出する。被写体が映像に占める面積が所定の面積未満である場合(S502、Yes)、制御部101は該当の被写体を撮影部102が焦点を調節する対象から除外する(S503)。被写体が映像に占める面積が所定の面積以上である場合(S502、No)、制御部101は該当の被写体を撮影部102が焦点を調節する対象に追加する(S504)。
【0047】
<実施例4の効果>
本実施例によれば、出演者が本来焦点を合わせる必要のない小さな物体へ視線を向けてしまった場合であっても、意図せず焦点が調節されてしまうことを防ぐことができる。
【0048】
●実施例5
本発明を適用した実施例4について説明する。
図1の構成については本実施例においても同様である。本実施例において実行される制御について、
図6を用いて、
図2との差異を中心に説明する。
【0049】
図6は、視線の方向情報を用いた焦点調節の制御フローを示した図である。
図6の処理は制御部101のメモリに格納されたプログラムを制御部101のCPUが実行し、各部を制御することによって実現される。
【0050】
S601とS602の処理はS201とS202の処理と同一であるので説明は省略する。
【0051】
S603において、制御部101は、S602で検出した視線情報が所定の方向を向いているか否かを判別する。人物の視線が所定の方向を向いていると判別した場合には(S603、Yes)、制御部101は現時点で焦点を合わせているものから焦点調節の対象を変更しない(S604)。人物の視線が所定の方向を向いていないと判別した場合には(S603、No)、制御部101は撮影部102を制御して人物の視線の先の対象物に焦点が合うよう調節する(S605)。ここでいう所定の方向とは例えば人物が下を向いている下方向の視線や画面外への視線である。
【0052】
<実施例5の効果>
本実施例によれば、例えば出演者が原稿に目を落としている場合に、原稿に焦点が合ってしまうことを防ぐことができる。また、例えば出演者が画面外に存在するPCやタブレット端末等を見ながら商品説明を行っているような場合に、画面外への視線を追って焦点が移動してしまうことを防ぐことができる。
【0053】
●実施例6
本発明を適用した実施例4について説明する。
図1の構成については本実施例においても同様である。本実施例において実行される制御について、
図7を用いて、
図2との差異を中心に説明する。
【0054】
図7は、登録被写体情報を用いた焦点調節の制御フローを示した図である。
図7の処理は制御部101のメモリに格納されたプログラムを制御部101のCPUが実行し、各部を制御することによって実現される。
【0055】
S701とS702の処理はS201とS202の処理と同一であるので説明は省略する。
【0056】
S703において、制御部101は、S702で検出した視線情報から視線の先の対象物が記録部103に登録されている被写体情報と一致するか否かを判別する。視線の先の対象物が登録されている被写体である場合には(S703、Yes)、制御部101は現時点で焦点を合わせているものから焦点調節の対象を変更しない(S704)。視線の先の対象物が登録されている被写体でない場合には(S703、No)、制御部101は撮影部102を制御して人物の視線の先の対象物に焦点が合うよう調節する(S705)。
【0057】
<実施例6の効果>
本実施例によれば、事前に出演者の視線によって焦点調節が行われない物体を登録しておくことで、撮影中に意図せず出演者の視線が物体に注がれてしまっても焦点調節が行わないように制御することができる。
【0058】
●その他
また、上述の実施例においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型コンピュータ、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
【0059】
また、上述の実施例ではデジタルスチルカメラを例に説明したが、ARグラスやHMDなど所謂xR装置全般に適用可能である。また、車載カメラやPC,タブレット、スマートフォンなど外部カメラを有する装置においても適用が可能である。例えば、装着しているヘッドマウントディスプレイより視線情報を抽出することで上記実施例と同様の処理をメタバース空間でも再現可能である。
【0060】
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0061】
101 制御部