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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183282
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ランドリ装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/12 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
D06F39/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096814
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】山本 正和
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA01
3B165AC21
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA08
3B165BA23
3B165BA72
3B165CA01
3B165CA04
3B165CA11
3B165CB02
3B165CB17
3B165CB32
3B165DW01
3B165DW03
3B165DW05
3B165GA02
3B165GA25
3B165GH02
(57)【要約】
【課題】筐体の前面パネルと外槽との間に形成される隙間を介して衣類が筐体内に落下するのを防止する。
【解決手段】本発明に係るランドリ装置は、筐体と、筐体の内部に配置される外槽と、外槽内において回転自在に配置され、開口部を有するドラムとを備え、筐体は、その前面に着脱可能に取り付けられる前面パネルを有し、外槽の前端には、ドラムの開口部の前方に配置される投入口が形成され、前面パネルには、外槽の投入口と対向する衣類投入口が形成され、筐体内の衣類投入口よりも下方において外槽の前端と前面パネルとの間には、衣類の落下を防止する落下防止部材が設けられる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置される外槽と、
前記外槽内において回転自在に配置され、開口部を有するドラムとを備え、
前記筐体は、その前面に着脱可能に取り付けられる前面パネルを有し、
前記外槽の前端には、前記開口部の前方に配置される投入口が形成され、
前記前面パネルには、前記投入口と対向する衣類投入口が形成され、
前記筐体内の前記衣類投入口よりも下方において前記外槽の前端と前記前面パネルとの間には、衣類の落下を防止する落下防止部材が設けられることを特徴とするランドリ装置。
【請求項2】
前記衣類投入口の下部には、前記外槽の前端に向かって突出する隙間埋め部材が設けられ、
前記落下防止部材は、前記前面パネルに向かって突出するように前記外槽の前端に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のランドリ装置。
【請求項3】
前記落下防止部材は、板状部材であり、
前記投入口は、環状に形成され、
前記投入口下部の湾曲形状に沿って前記外槽の前端下部に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載のランドリ装置。
【請求項4】
前記外槽の下部には、前記外槽の軸方向に沿って延び且つ径方向外側に向かって突出する1または複数の補強リブが形成され、
前記落下防止部材の後端には、前記補強リブが嵌合される切り欠き部が形成されることを特徴とする請求項3に記載のランドリ装置。
【請求項5】
前記落下防止部材の前端部には、上方に向かって折れ曲がる係止部が形成されることを特徴とする請求項2~4の何れかに記載のランドリ装置。
【請求項6】
前記落下防止部材は、その前端部と前記前面パネルとの距離を調整可能に設けられることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のランドリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコインランドリ店舗に設置されるランドリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ランドリ装置として、図15に示すように、筐体502を有しており、筐体502の前面にドア512が開閉可能に配置されるドラム式洗濯機501がある。ドラム式洗濯機501において、筐体502内には、外槽503が配置されており、外槽503内にドラム505が回転自在に配置される。外槽503の前面には、投入口503aが形成される。そのため、ドラム式洗濯機501の使用者は、ドア512を開けた後、外槽503の投入口503aから衣類をドラム505内に投入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-90633
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドラム式洗濯機501において、筐体502の前面パネル510と外槽503の前端とが接触していると、例えば脱水時にドラム505が回転駆動された場合に、外槽503の振動により筐体502の前面パネル510が動いてしまう問題がある。また、コインランドリ店舗などに設置されるドラム式洗濯機501では、トラブル時のメンテナンス性を考慮して、筐体502の前面パネル510は、簡単に着脱可能に構成される必要がある。よって、筐体502の前面パネル510と外槽503とは切り離され、筐体502の前面パネル510と外槽503の前端との間には、隙間が形成される。
【0005】
そのため、ドラム式洗濯機501の使用者が、衣類(洗濯物)をドラム505内に投入する際またはドラム505内の衣類を取り出す際に、衣類が上記の隙間を介して筐体502内に落下する場合がある。そのような場合、使用者は、筐体502内に落下した衣類を容易に取り出すことができず、ドラム式洗濯機501の所有者に連絡することになる。使用者から連絡を受けた所有者は、筐体502の前面パネル510を取り外して筐体502内に落下した衣類を取り出すために現地まで行く必要があり、非常に手間がかかる。
【0006】
そこで、ドラム式洗濯機501においては、衣類が上記の隙間を介して筐体502内に落下するのを防止するために、筐体502の衣類投入口511の下部に、上記の隙間を小さくするための隙間埋め部材530を取り付けることが考えられる。隙間埋め部材530は、例えばゴム製の部材であり、筐体502の衣類投入口511から外槽503の前端に向かって突出するように設けられる。
【0007】
しかしながら、隙間埋め部材530の後端部を外槽503の前端に近づけすぎると、例えば脱水時にドラム505が回転駆動された場合に、外槽503の前端と隙間埋め部材530とが接触して異常音が発生する問題がある。そのため、外槽503の前端と隙間埋め部材530の後端部との間の隙間Tを無くすことは困難である。
【0008】
そこで、本発明は、筐体の前面パネルと外槽の前端との間に形成される隙間を介して衣類が筐体内に落下するのを防止することができるランドリ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るランドリ装置は、筐体と、前記筐体の内部に配置される外槽と、前記外槽内において回転自在に配置され、開口部を有するドラムとを備え、前記筐体は、その前面に着脱可能に取り付けられる前面パネルを有し、前記外槽の前端には、前記開口部の前方に配置される投入口が形成され、前記前面パネルには、前記投入口と対向する衣類投入口が形成され、前記筐体内の前記衣類投入口よりも下方において前記外槽の前端と前記前面パネルとの間には、衣類の落下を防止する落下防止部材が設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るランドリ装置において、前記筐体の前記衣類投入口の下部には、前記外槽の前端に向かって突出する隙間埋め部材が設けられ、前記落下防止部材は、前記前面パネルに向かって突出するように前記外槽の前端に取り付けられることが好適である。
【0011】
本発明に係るランドリ装置において、前記落下防止部材は、板状部材であり、前記投入口は、環状に形成され、前記投入口下部の湾曲形状に沿って前記外槽の前端下部に取り付けられることが好適である。
【0012】
本発明に係るランドリ装置において、前記外槽の下部には、前記外槽の軸方向に沿って延び且つ径方向外側に向かって突出する1または複数の補強リブが形成され、前記落下防止部材の後端には、前記補強リブが嵌合される切り欠き部が形成されることが好適である。
【0013】
本発明に係るランドリ装置において、前記落下防止部材の前端部には、上方に向かって折れ曲がる係止部が形成されることが好適である。
【0014】
本発明に係るランドリ装置において、前記落下防止部材は、その前端部と前記前面パネルとの距離を調整可能に設けられることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るランドリ装置では、衣類が筐体の前面パネルと外槽の前端との間に形成される隙間に入ったとしても、衣類が落下防止部材に引っ掛かって筐体内に落下するのを防止することができる。
【0016】
本発明に係るランドリ装置では、筐体の衣類投入口の下部に設けられた隙間埋め部材の後端部と外槽の前端との間に形成される隙間の鉛直方向下方に、外槽に取り付けられた落下防止部材が設けられるため、筐体の前面パネルと外槽の前端との間に形成される隙間を介して衣類が筐体内に落下するのを確実に防止することができる。
【0017】
本発明に係るランドリ装置では、落下防止部材の長手方向両端部から衣類が筐体内に落下するのを確実に防止することができる。
【0018】
本発明に係るランドリ装置では、外槽の下部に形成される補強リブが切り欠き部に嵌合されるように落下防止部材が外槽の下部に取り付けられるため、落下防止部材を適正に位置決めすることができる。
【0019】
本発明に係るランドリ装置では、衣類が落下防止部材の前端部に形成される係止部に引っ掛かるため、衣類が落下防止部材の前端部と筐体の前面パネルとの間の隙間を介して落下するのを確実に防止することができる。
【0020】
本発明に係るランドリ装置では、例えば製品個体差、製品の設置状態により筐体の前面パネルと外槽との間に形成される隙間の大きさが異なる場合でも、落下防止部材の前端部と前面パネルの裏面との距離を適宜調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態のドラム式洗濯機1の斜視図である。
図2図1のドラム式洗濯機1の構成を示す模式図である。
図3図1のドラム式洗濯機1の筐体2の前面パネル10を取り外した分解斜視図である。
図4図1のドラム式洗濯機1の衣類投入口11周辺の部分拡大図である。
図5】落下防止部材35の斜視図である。
図6図1ドラム式洗濯機1の部分拡大図である。
図7図1ドラム式洗濯機1の部分拡大図である。
図8図1ドラム式洗濯機1の部分拡大図である。
図9図1ドラム式洗濯機1の部分拡大図である。
図10図1ドラム式洗濯機1の分解斜視図である。
図11図1のドラム式洗濯機1の衣類投入口11周辺の模式断面図である。
図12図1のドラム式洗濯機1の衣類投入口11周辺の隙間に衣類が入った場合の動作を説明する図である。
図13】落下防止部材135の斜視図である。
図14】落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との距離の調整について説明する図である。
図15】従来のドラム式洗濯機1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るランドリ装置としてのドラム式洗濯機1について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態のドラム式洗濯機1の斜視図である。図2は、図1のドラム式洗濯機1の部分拡大図である。図1のドラム式洗濯機1の衣類投入口11の部分拡大図である。
【0023】
本実施形態のドラム式洗濯機1は、例えばコインランドリ店舗で使用されるものであり、洗い工程、濯ぎ工程及び脱水工程の順に運転が実施されるものである。ドラム式洗濯機1は、図1及び図2に示すように、箱形状の筐体2を有しており、筐体2の内部には、略円筒形状の内周面を有する外槽3が配置され、外槽3の内部には、衣類を収容するための略円筒形状の内周面を有するドラム5が配置される。ドラム5の前端には、開口部5aが形成され、外槽3の前端には、ドラム5の開口部5aの前方に配置される環状の投入口3aが形成される。ドラム5は、前後方向に延伸する主軸6により軸支されており、水平軸を回転軸として回転可能である。
【0024】
筐体2の前面上部には、操作パネル2aが設けられ、筐体2の前面下部には、操作パネル2aの下方に着脱可能に前面パネル10が取り付けられる。操作パネル2aには、使用者が操作するための操作部2aなどが配置される。前面パネル10には、外槽3の前端に形成された投入口3aと対向する衣類投入口11が形成される。
【0025】
外槽3の前端には、投入口3aを開閉するドア12が設けられる。前面パネル10が筐体2に取り付けられた状態では、ドア12が前面パネル10の衣類投入口11の内側に配置される。ドラム式洗濯機1では、ドア12が開放されることにより、ドラム5内に対して衣類(洗濯物)の出し入れが可能となっている。
【0026】
主軸6は、外槽3の背面壁に装着された軸受6aによって回転自在に支承され、さらに後方に突出した主軸6の先端には、主プーリ13が取り付けられる。筐体2の底部には、モータ14が設置され、モータ14の回転軸には、モータプーリ15が取り付けられ、モータプーリ15の回転動力は、タイミングベルト16を介して主プーリ13に伝達される。これにより、モータ14が駆動されると、ドラム5が主軸6を中心に回転する。
【0027】
外槽3の背面壁の上部には、途中に給水バルブ20aが設けられた給水管20が接続され、給水バルブ20aが開放されると、外部から供給される水が給水管20を介して外槽3へと供給される。外槽3の底部に設けられた排水口には、途中に排水バルブ21aが設けられた排水管21が接続され、排水バルブ21aが開放されると、外槽2内の水が排水管21を通して機外へと排出される。
【0028】
コインランドリ店舗などに設置されるドラム式洗濯機1では、トラブル時のメンテナンス性を考慮して、図3に示すように、筐体2の前面パネル10は、簡単に着脱可能に構成される。そのため、筐体2の前面パネル10と外槽3とは切り離され、前面パネル10が筐体2に取り付けられた状態では、筐体2の前面パネル10の裏面と外槽3の前端との間には、隙間が形成される。
【0029】
また、ドラム式洗濯機1において、筐体2の衣類投入口11の下部には、図4に示すように、隙間埋め部材30が取り付けられる。隙間埋め部材30は、その大部分が前面パネル10よりも内側に配置される第1パッキン30aと、第1パッキン30aを覆うように配置される第2パッキン30bとを含んでいる。隙間埋め部材30は、例えばゴム製の環状の部材であり、前面パネル10と外槽2の前端との間の隙間を小さくするための部材である。隙間埋め部材30は、筐体2の衣類投入口11の全周にわたって配置される。隙間埋め部材30は、筐体2の衣類投入口11から外槽2の前端に向かって突出するように設けられる。
【0030】
そのため、ドラム式洗濯機1において、ドア12を開けた状態では、図4に示すように、筐体2内の衣類投入口11に取り付けられた隙間埋め部材30の後端部と外槽3の前端との間には、隙間Tが形成される。そのため、使用者が、ドラム5内に対して衣類の出し入れを行う際に、上記の隙間Tを介して衣類が筐体2内に入る可能性がある。
【0031】
そこで、本実施形態のドラム式洗濯機1では、筐体2内の衣類投入口11よりも下方において外槽3の前端と前面パネル10との間に、衣類の落下を防止する落下防止部材35が設けられる。
【0032】
落下防止部材35は、図5に示すように、全長にわたって同一の幅を有する長方形状の板状部材である。落下防止部材35としては、柔軟性があり、例えば比較的滑り難いゴム製の部材であることが好適である。落下防止部材35は、円弧上に湾曲しており、その曲率半径は、外槽3の前端下部の外周面の曲率半径と略同一である。このように、落下防止部材35は、外槽3の投入口3a下部の湾曲形状に沿って外槽3の前端下部に取り付けられる。そのため、落下防止部材35は、図6図9に示すように、外槽3の前端下部に対して、外槽3の前端下部の湾曲形状に沿って取り付けられる。落下防止部材35は、外槽3の前端から前面パネル10の裏面に向かって突出するように外槽3の前端下部に取り付けられる。なお、落下防止部材35を外槽3の前端下部に取り付ける取付構造は、任意である。例えば、落下防止部材35を外槽3の前端下部にボルト締めにより取り付けてもよいし、落下防止部材35を外槽3の前端下部に粘着材により取り付けてもよい。
【0033】
外槽3の下部には、図6及び図7に示すように、外槽3の軸方向に沿って延びる4つの補強リブ25が設けられる。補強リブ25は、板状部材であり、外槽3の外周面から径方向外側に向かって延びるように配置される。4つの補強リブ25は、周方向に離れて配置される。
【0034】
落下防止部材35は、図5に示すように、長手方向に離れた位置に形成された2つの切り欠き部35aを有している。2つの切り欠き部35aは、落下防止部材35の後端に配置される。そのため、落下防止部材35が外槽3の前端下部に対して取り付けられる際に、落下防止部材35の切り欠き部35aに、外槽3の下部に設けられる4つの補強リブ25のなかで内側の2つの補強リブ25の前端部が嵌合されるように取り付けられる。
【0035】
このように、本実施形態のドラム式洗濯機1では、図10の分解図に示すように、隙間埋め部材30(第1パッキン30aおよび第2パッキン30b)が、筐体2内の衣類投入口11に取り付けられ、落下防止部材35が、外槽3の前端下部に取り付けられる。
【0036】
外槽3の前端下部は、筐体2の衣類投入口11の下部よりも低い高さに配置されるため、図11に示すように、落下防止部材35は、筐体2の衣類投入口11の下部に取り付けられた隙間埋め部材30よりも低い高さに配置される。このとき、隙間埋め部材30は、筐体2の衣類投入口11から外槽2の前端に向かって突出するように設けられるのに対して、落下防止部材35は、外槽3の前端から前面パネル10の裏面に向かって突出するように設けられる。
【0037】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、落下防止部材35の前端部は、図11に示すように、隙間埋め部材30の後端部よりも前方に配置される。そのため、筐体2の衣類投入口11の下部に設けられた隙間埋め部材30の後端部と外槽3の前端との間に形成される隙間T1の鉛直方向下方には、外槽3の前端下部に取り付けられた落下防止部材35が配置される。また、外槽3の前端下部に取り付けられた落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との間に形成される隙間T2の鉛直方向上方には、筐体2の衣類投入口11の下部に設けられた隙間埋め部材30が配置される。
【0038】
このように、ドラム式洗濯機1では、隙間埋め部材30が筐体2の衣類投入口11の下部から突出する方向と、落下防止部材35が外槽3の前端から突出する方向とを反対方向にすることにより、上記の隙間T1と上記の隙間T2とが、前後方向について異なる位置に配置される。そのため、仮に衣類が上記の隙間T1に入ったとしても、その衣類が鉛直下方向に向かって直線的に移動して、上記の隙間T2に到達することはない。
【0039】
具体的には、図12(a)に示すように、衣類の下端部が、筐体2の衣類投入口11の下部に設けられた隙間埋め部材30の後端部と外槽3の前端との間に形成される隙間T1に入った場合、図12(b)に示すように、衣類は、その下端部が落下防止部材35に接触するまで下方に移動することはあり得る。しかしながら、落下防止部材35により、衣類がさらに下方に移動することが防止されるため、図12(c)に示すように、衣類は撓んで、筐体2の衣類投入口11の下部に載置される。
【0040】
なお、ドラム式洗濯機1において、落下防止部材35は、筐体2内の衣類投入口11の最下部と外槽3の前端の最下部との間(外槽3の前端の最下部の高さを含む)に設けられるのが好適である。その場合、衣類の下端部が上記の隙間T1から入った後、衣類全体が隙間埋め部材30よりも下方に入ってしまった場合でも、落下防止部材35よりも下方に落下しないため、その衣類を上記の隙間T1から容易に取り出すことができる。
【0041】
以上説明したように本実施形態のドラム式洗濯機1は、筐体2と、筐体2の内部に配置される外槽3と、外槽3内において回転自在に配置され、開口部5aを有するドラム5とを備え、筐体2は、その前面に着脱可能に取り付けられる前面パネル10を有し、外槽3の前端には、ドラム5の開口部5aの前方に配置される投入口3aが形成され、前面パネル10には、外槽3の投入口3aと対向する衣類投入口11が形成され、筐体2内の衣類投入口11よりも下方において外槽3の前端と前面パネル10との間には、衣類の落下を防止する落下防止部材35が設けられる。
【0042】
これにより、衣類の落下を防止する落下防止部材35が、筐体2内の衣類投入口11よりも下方において外槽3の前端と前面パネル10との間に設けられるため、衣類が筐体2の前面パネル10と外槽3の前端との間に形成される隙間に入ったとしても、衣類が落下防止部材35に引っ掛かって筐体2内に落下するのを防止することができる。
【0043】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、筐体2の衣類投入口11の下部には、外槽3の前端に向かって突出する隙間埋め部材30が設けられ、落下防止部材35は、前面パネル10の裏面に向かって突出するように外槽3の前端に取り付けられる。
【0044】
これにより、筐体2の衣類投入口11の下部に設けられた隙間埋め部材30の後端部と外槽3の前端との間に形成される隙間Tの鉛直方向下方に、外槽3に取り付けられた落下防止部材35が設けられるため、筐体2の前面パネル10と外槽3の前端との間に形成される隙間を介して衣類が筐体2内に落下するのを確実に防止することができる。
【0045】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、落下防止部材35は、板状部材であり、外槽3の投入口3aは、環状に形成され、投入口3aの下部の湾曲形状に沿って外槽3の前端下部に取り付けられる。
【0046】
これにより、落下防止部材35の長手方向両端部から衣類が筐体2内に落下するのを確実に防止することができる。
【0047】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、外槽3の下部には、外槽3の軸方向に沿って延び且つ径方向外側に向かって突出する複数の補強リブ28が形成され、落下防止部材35の後端には、補強リブ28が嵌合される切り欠き部30aが形成される。
【0048】
これにより、外槽3の下部に形成される補強リブ28が切り欠き部30aに嵌合されるように落下防止部材35が外槽の下部に取り付けられるため、落下防止部材35を適正に位置決めすることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0050】
例えば上記実施形態では、筐体2内の衣類投入口11よりも下方において外槽3の前端と前面パネル10との間に1つの略長方形状の落下防止部材35が設けられるが、それに限られない。落下防止部材35の形状、大きさ、数、配置、構造、材質は、任意である。
【0051】
図13に示すように、落下防止部材135は、全長にわたって同一の幅を有する板状部材であり、落下防止部材135の前端部には、上方に向かって折れ曲がる係止部135cが形成されてもよい。なお、落下防止部材135は、落下防止部材35と同様に、2つの切り欠き部135aを有している。その場合、衣類が落下防止部材135の前端部に形成される係止部135cに引っ掛かるため、衣類が落下防止部材135の前端部と筐体2の前面パネル10との間の隙間T2を介して落下するのを確実に防止することができる。
【0052】
また、筐体2内の衣類投入口11よりも下方において外槽3の前端と前面パネル10の裏面との間に、複数の落下防止部材が設けられてもよい。落下防止部材35は、ゴム以外の材質で形成されてもよい。筐体2内の衣類投入口11よりも下方において外槽3の前端と前面パネル10の裏面との間に、落下防止部材35を設ける方法は、任意である。また、落下防止部材35は、外槽3の前端と前面パネル10の裏面との間において、必ずしも湾曲しないでもよい。例えば落下防止部材35は、略水平方向に沿った板状部材でもよい。落下防止部材35は、必ずしも外槽3の前端下部に取り付けられなくてもよい。例えば落下防止部材35は、外槽3の前端の前面に取り付けられてもよいし、前面パネル10の裏面に取り付けられてもよい。
【0053】
上記実施形態では、落下防止部材35が、外槽3の前端から前面パネル10の裏面に向かって突出しており、図14(a)に示すように、落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との間に所定幅の隙間T2が形成されるが、それに限られない。落下防止部材35は、その前端部と前面パネル10の裏面との距離を調整可能に設けられてもよい。例えば、図14(b)に示すように、落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との間に隙間T2よりも小さい隙間T2aが形成されるように、落下防止部材35が外槽3の前端に取り付けられてもよい。その場合、例えば製品個体差、製品の設置状態により筐体2の前面パネル10と外槽3の前端との間に形成される隙間の大きさが異なる場合でも、落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との距離を適宜調整することができる。
【0054】
なお、落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との距離を調整可能に外槽3の前端に取り付ける取付構造は、任意である。
【0055】
例えば、落下防止部材35を外槽3の前端下部にボルト締めする場合について説明する。落下防止部材35に開口を形成し、外槽3の前端下部に前後方向に沿って配置された複数の取り付け穴を形成し、落下防止部材35の開口に挿入したボルトにより、複数の取り付け穴の何れかにボルト締めすることにより、落下防止部材35をスライドさせて、落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との距離を調整してもよい。
【0056】
また、落下防止部材35を外槽3の前端下部に粘着材により取り付ける場合について説明する。落下防止部材35の上面に粘着材が設けられた領域を形成して、貼り代(落下防止部材35の上面において外槽3の前端下部に粘着材により接合する領域)の大きさを調整することにより、落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との距離を調整してもよい。例えば、落下防止部材35の上面に粘着テープの台紙に異なる幅のハーフカットを設けて、貼付け幅を変えて、落下防止部材35をスライドさせて、落下防止部材35の前端部と前面パネル10の裏面との距離を調整してもよい。
【0057】
上記実施形態では、落下防止部材35の前端部が、隙間埋め部材30の後端部よりも前方に配置されるが、それに限られない。例えば、落下防止部材35の前端部が、隙間埋め部材30の後端部の鉛直下方に配置されてもよいし、隙間埋め部材30の後端部よりも後方に配置されてもよい。
【0058】
上記実施形態では、ランドリ装置1としてのドラム式洗濯機を説明したが、それに限られない。ランドリ装置1は、ドラム式洗濯機の他、例えばドラム式洗濯乾燥機などでもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 ドラム式洗濯機
2 筐体
3 外槽
3a 投入口
5 ドラム
5a 開口部
10 前面パネル
11 衣類投入口
25 補強リブ
30 隙間埋め部材
35 落下防止部材
35a 切り欠き部
図1
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