IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電力変換装置 図1
  • 特開-電力変換装置 図2
  • 特開-電力変換装置 図3
  • 特開-電力変換装置 図4
  • 特開-電力変換装置 図5
  • 特開-電力変換装置 図6
  • 特開-電力変換装置 図7
  • 特開-電力変換装置 図8
  • 特開-電力変換装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183298
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231220BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096835
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】徳山 健
(72)【発明者】
【氏名】青柳 滋久
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 英樹
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA02
5H770AA21
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770JA19X
5H770PA21
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA08
5H770QA22
5H770QA28
(57)【要約】
【課題】基板の大電流化と低インダクタンス化を両立しつつ、放熱性を向上させた電力変換装置を提供する。
【解決手段】
電力変換装置は、複数の回路体と、配線基板と、平滑キャパシタと、を備え、前記配線基板は、複数の前記回路体および複数の前記平滑キャパシタがそれぞれ接続される複数の積層配線部と、複数の前記積層配線部の間にそれぞれ形成される相間配線部とを有し、前記積層配線部において、前記正極配線と前記負極配線は互いに重なって積層し、前記相間配線部において、複数の前記正極配線と複数の前記負極配線は前記配線基板の平面においてそれぞれ分かれて積層し、前記相間配線部は、前記配線基板の厚さ方向に貫通するビアを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパワー半導体素子をそれぞれ有する複数の回路体と、
前記回路体に電気的に接続され、厚さ方向に複数の正極配線および負極配線がそれぞれ積層されて設けられる配線基板と、
複数の前記回路体にそれぞれ対応して設けられる複数の平滑キャパシタと、を備え、
前記配線基板は、複数の前記回路体および複数の前記平滑キャパシタがそれぞれ接続される複数の積層配線部と、複数の前記積層配線部の間にそれぞれ形成される相間配線部とを有し、
前記積層配線部において、前記正極配線と前記負極配線は互いに重なって積層し、
前記相間配線部において、複数の前記正極配線と複数の前記負極配線は前記配線基板の平面においてそれぞれ分かれて積層し、
前記相間配線部は、前記配線基板の厚さ方向に貫通するビアを有する
電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記相間配線部の前記正極配線と前記負極配線は、前記配線基板の平面において互いに並行するように配置される
電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
複数の前記回路体は、前記配線基板上に主回路端子を有し、
前記主回路端子は、前記平滑キャパシタの正極端子と負極端子との間の距離で定義される1辺に対して垂直の領域内に配置される
電力変換装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記相間配線部は、前記正極配線および前記負極配線にそれぞれ2つ以上の前記ビアを有し、
前記ビアは、前記積層配線部と前記相間配線部の配列方向に対して垂直な前記相間配線部の中心線よりも、前記相間配線部に隣接する前記積層配線部に近い位置にそれぞれ設けられる
電力変換装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記配線基板の一方の面には、複数の前記回路体を冷却する冷却器が配置され、
前記冷却器と前記配線基板の間には、絶縁性の放熱部材が設けられる
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に用いられるインバータは、通電電流を流すためのプリント基板を用いて主回路が構築されることで、ハイブリッド自動車や電気自動車の性能に対応しつつ、生産性向上と低インダクタンス化を両立する要求に応える必要がある。
【0003】
下記の特許文献1では、各パワーモジュールと各キャパシタを接続する正極配線と負極導体が積層され、インダクタンスの低減を実現した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5830480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、正極配線と負極配線が全ての領域で積層され、それぞれの配線が混在するような構成であったが、このような構成では、放熱用ビアを設けた際に各配線の分断箇所が多くなり断面積が減少することで、電気抵抗が増大する課題が発生する。これにより、配線温度を低減しにくくなり、冷却性能の向上が必要になる。これを鑑みて、本発明では、基板の大電流化と低インダクタンス化を両立しつつ、放熱性を向上させた電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電力変換装置は、複数のパワー半導体素子をそれぞれ有する複数の回路体と、前記回路体に電気的に接続され、厚さ方向に複数の正極配線および負極配線がそれぞれ積層されて設けられる配線基板と、複数の前記回路体にそれぞれ対応して設けられる複数の平滑キャパシタと、を備え、前記配線基板は、複数の前記回路体および複数の前記平滑キャパシタがそれぞれ接続される複数の積層配線部と、複数の前記積層配線部の間にそれぞれ形成される相間配線部とを有し、前記積層配線部において、前記正極配線と前記負極配線は互いに重なって積層し、前記相間配線部において、複数の前記正極配線と複数の前記負極配線は前記配線基板の平面においてそれぞれ分かれて積層し、前記相間配線部は、前記配線基板の厚さ方向に貫通するビアを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板の大電流化と低インダクタンス化を両立しつつ、放熱性を向上させた電力変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電力変化装置における複数の回路体を示す電気回路図
図2】本発明の第一実施形態に係る、電力変換装置の基板全体図
図3】本発明の第一実施形態に係る、積層配線部、相間配線部、主回路端子の配置領域を示す図
図4図2のA-A’断面であり、積層配線部を示す図
図5図2のB-B’断面であり、相間配線部を示す図
図6図4の変形例(第1変形例)
図7図5の積層配線部に冷却器を配置した断面図
図8】基板における積層配線部と相間配線部の関係を示す断面斜視図
図9図2の変形例(第2変形例)
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0010】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0011】
(本発明の一実施形態と全体構成)
図1
電力変換回路を構成する複数の回路体1は、それぞれIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの半導体素子によって構成される。直列接続された2つの回路体1と1つのキャパシタ2が対になることでそれぞれ1相分の回路になり、3相の電力変換回路を構成している。それぞれの回路は、正極配線3および負極配線4と接続されている。
【0012】
回路体1は、主回路用高圧側端子(IGBTであればコレクタ端子、MOSFETであればドレイン端子)と、主回路用低圧側端子(IGBTであればエミッタ端子、MOSFETであればソース端子)と、制御用端子(ゲート端子)の3つの端子を有している。
【0013】
図2
電力変換装置100は、複数のパワー半導体素子をそれぞれ有する複数の回路体1と、回路体1に電気的に接続され、厚さ方向に複数の正極配線3および負極配線4がそれぞれ積層されて設けられる配線基板6(以下基板6)と、複数の回路体1にそれぞれ対応して設けられる複数の平滑キャパシタ2と、を備えている。正極配線3および負極配線4は、基板6の厚さ方向(図2の紙面手前-奥方向)に互いに積層され、かつ各相のキャパシタ2と回路体1を接続する(詳細は図4図8で後述)。なお、図2は、回路体1を4つずつ並列配置し、8つの回路体1を1相の回路として、3相分を基板6上に備えた構成例を示している。このように、所望の出力電流値に応じて、回路体1は多並列接続する配置にしてもよい。
【0014】
基板6は、前述したように厚さ方向に複数の導体層を有し、それぞれの導体層は樹脂層を介して積層されている。基板6の導体層には、正極配線3と、負極配線4と、出力配線7と、信号配線9が形成されている。正極配線3および負極配線4には、回路体1やキャパシタ2が、はんだなどの接合材によって接続される。回路体1は、信号配線9と接続するための信号端子8を有している。正極配線3と負極配線4と出力配線7は、回路体1に接続される信号配線9よりもそれぞれが太く形成されており、接続先の負荷へ供給するための電流が他の配線よりも大きい電流であることに対応している。
【0015】
正極配線3および負極配線4は、貫通ビア5(以下ビア5)を有している。ビア5は、各相の正極配線3および負極配線4が互いに積層されていない領域に設けられる。複数の正極配線3または負極配線4は、それぞれが基板6の厚さ方向に貫通してビア5が形成されることによって、同電位の配線同士が互いに電気的に導通されている。
【0016】
正極配線3は図示されていないバッテリなどの直流電圧源の正極端子に接続され、負極配線4は図示されていないバッテリなど直流電圧源の負極端子に接続される。これにより、各相の回路には直流電圧が供給される。
【0017】
キャパシタ2は、所望の入力電圧変動量に応じて定まるキャパシタ容量を満足させるため、基板6に沿って並んで接続されており、また、基板6の正極配線3および負極配線4に接続するための端子として、正極端子10および負極端子11を有している。
【0018】
キャパシタ2の正極端子10は、正極配線3に接続されることで、ハイサイド(上アーム)側の回路体1の主回路用高圧側端子に電気的に接続される。また、正極配線3は、他相のキャパシタ2の正極端子10および他相のハイサイド側の回路体1の主回路用高圧側端子に接続される。キャパシタ2の負極端子11は、負極配線4に接続されることで、ローサイド(下アーム)側の回路体1の主回路低圧側端子に接続される。負極配線4は、他相のキャパシタ2の負極端子11および他相のローサイド側回路体1の主回路用低圧側端子12に接続される。ハイサイド側の回路体1の主回路低圧側端子は、各相の出力配線7によってローサイド側の回路体1の主回路高圧側端子に接続される。各相の出力配線7は、図示されていないモータなどの負荷に接続される。
【0019】
回路体1の制御用端子は図示されていない制御回路に接続され、マイコンなど上位の制御装置より入力される信号に基づいてオンまたはオフされることにより、モータなどの負荷へ交流の電圧を出力する。
【0020】
図3
基板6は、複数の回路体1および複数の平滑キャパシタ2がそれぞれ接続される複数の積層配線部15と、複数の積層配線部15の間にそれぞれ形成される相間配線部16とを有している。積層配線部15において、正極配線3と負極配線4は互いに重なって積層しているが、相間配線部16においては、複数の正極配線3と複数の負極配線4は基板6の平面においてそれぞれ分かれ、かつ並行に配線されてそれぞれ積層している。つまり、相間配線部16は、正極配線3と負極配線4は基板6の厚さ方向に互いに積層されていない領域である。
【0021】
また、相間配線部16は、基板6の厚さ方向に貫通するビア5を有しているが、積層配線部15はビア5を有していない。相間配線部16は、ビア5を有していることで放熱性を向上させている。一方で、積層配線部15はビア5を有していないことで、正極配線3および負極配線4が貫通ビア5で分断されないような構造になっているため、正極配線3および負極配線4の配線断面積の低下を抑制でき、インダクタンスを低減している。
【0022】
複数の回路体1は、基板6上に主回路端子12を有している。この主回路端子12は、平滑キャパシタ2の正極端子10と負極端子11との間の距離で定義される1辺に対して垂直の領域12a内に配置される。このように主回路端子12を配置することで、キャパシタ2と回路体1を接続する積層配線の配線長を短縮することができるため、積層配線部15の配線インダクタンスが低減され、回路体1をより高速にスイッチング制御させることが可能となる。また、回路体1で発生するスイッチング損失が低減され、かつ回路体1およびインバータ100全体を小型化できる。
【0023】
以上説明した構成により、基板6の低インダクタンス化と大電流化(出力向上)の両立を維持しつつ放熱性を向上させることを実現している。
【0024】
図4図5
図4に示すように、積層配線部15では、例えば基板6の導体層が4層の場合、基板6の上面から1層目と3層目が正極配線3、2層目と4層目が負極配線4となる。このように、積層配線部15は、正極配線3と負極配線4が互いに重なって積層している領域である。一方で、図5に示すように、相間配線部16は、積層配線部15同士の間に設けられる領域であり、正極配線3と負極配線4は重ならずにそれぞれの配線同士で積層している。また、相間配線部16は、基板6の厚さ方向に設けられているビア5により、正極配線3と負極配線4それぞれ同電位の配線同士を、基板6の上から下まで互いに電気的に接続している。
【0025】
相間配線部16のビア5は、正極配線3および負極配線4にそれぞれ2つ以上設けられている。また、ビア5は、相間配線部16において、積層配線部15と相間配線部16の配列方向に対して垂直な中心線6aよりも、相間配線部16に隣接する積層配線部15に近い位置にそれぞれ設けられる。これにより、少ないビア5が設けられるだけであっても、効率的に基板6の配線温度を低減できる。また、ビア5が設けられておらず、配線の冷却が難しい積層配線部15に対しては、相間配線部16において積層配線部15の近傍にビア5を配置することで、積層配線部15の配線温度を低減している。
【0026】
(第1変形例)
図6
積層配線部15は、ブラインドビア5aを用いて各配線を積層させることができる。つまり、基板6の上面から1層目と2層目を正極配線3、3層目と4層目を負極配線4として、それぞれ同電位の配線をブラインドビア5aで接続する構成にすることで、正極配線3および負極配線4の断面積を低下させずに、正極配線3と負極配線4をそれぞれ積層することができる。
【0027】
図7
基板6の一方の面には、複数の回路体1を冷却する冷却器14が配置される。冷却器14と基板6の間には、絶縁性の放熱部材13が設けられる。放熱部材13は、基板6の段差や反りに追従して密着性を向上させる部材であるため、低硬度の樹脂などが用いられる。また、冷却器14は、アルミなど熱伝導率の高い材料により構築される。これにより、正極配線3および負極配線4へ電流を流した際に生じる熱は、相間配線部16のビア5を介して基板6から放熱部材13を介して冷却器14へと放熱されるため、基板6の配線温度を低減できる。
【0028】
図8
積層配線部15では、基板6の厚さ方向に対して、複数の正極配線3と負極配線4が互いに重なり合うことでそれぞれの配線が積層している。一方で、相間配線部16では、基板6の厚さ方向に対して、複数の正極配線3と負極配線4は重ならず、それぞれの配線同士で積層されており、正極配線3と負極配線4は、基板6の平面において互いに並行するように配置される。また、相間配線部16では、正極配線3と負極配線4それぞれに同電位の配線を接続するビア5が設けられている。
【0029】
このような構成により、従来で正極配線3と負極配線4が混在している基板6に対してビア5を設けなければならないことにより、ビア5の分だけ正極配線3と負極配線4の分断が増えていた課題を解消している。また、このように、相間配線部16において、正極配線3と負極配線4が並行するように配置されることにより、正極配線3を流れる電流と負極配線4を流れる電流が左右で逆方向に対向するため、磁界が打ち消されてインダクタンスが低減される。さらに、基板6に沿って並んで配置されている各キャパシタ2(図2図3参照)間で生じる共振電流が抑制され、電流の減少に伴い相間配線部16で発生する損失が低減される。またさらに、相間配線部16を流れる電流が積層配線部15の近傍で全層に分散されるため、配線発熱を低減することができ、放熱性が向上する。
【0030】
(第2変形例)
図9
図9は、ハイサイド側の回路体1とローサイド側の回路体1をそれぞれ一体化した構成例である。これにより、回路体1を基板6へ容易に実装でき、かつ各相の配線インダクタンスの低減と基板6の温度低減を両立できる。
【0031】
以上図1図9で説明した本発明のインバータは三相に限らなくてもよい。
【0032】
以上説明した本発明の一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0033】
(1)複数のパワー半導体素子をそれぞれ有する複数の回路体1と、回路体1に電気的に接続され、厚さ方向に複数の正極配線3および負極配線4がそれぞれ積層されて設けられる配線基板6と、複数の回路体1にそれぞれ対応して設けられる複数の平滑キャパシタ2と、を備える。配線基板6は、複数の回路体1および複数の平滑キャパシタ2がそれぞれ接続される複数の積層配線部15と、複数の積層配線部15の間にそれぞれ形成される相間配線部16とを有している。積層配線部15において、正極配線3と負極配線4は互いに重なって積層し、相間配線部16において、複数の正極配線3と複数の負極配線4は配線基板6の平面においてそれぞれ分かれて積層し、相間配線部16は、配線基板6の厚さ方向に貫通するビア5を有する。このようにしたことで、基板の大電流化と低インダクタンス化を両立しつつ、放熱性を向上させた電力変換装置100を提供できる。
【0034】
(2)相間配線部16の正極配線3と負極配線4は、配線基板6の平面において互いに並行するように配置される。このようにしたことで、正極配線3を流れる電流と負極配線4を流れる電流が左右で逆方向に対向するため、磁界が打ち消されてインダクタンスが低減される。
【0035】
(3)複数の回路体1は、配線基板6上に主回路端子12を有し、主回路端子12は、平滑キャパシタ2の正極端子10と負極端子11との間の距離で定義される1辺に対して垂直の領域12a内に配置される。このようにしたことで、キャパシタ2と回路体1を接続する積層配線の配線長を短縮することができるため、積層配線部15の配線インダクタンスが低減され、回路体1をより高速にスイッチング制御させることが可能となる。また、回路体1で発生するスイッチング損失が低減され、かつ回路体1およびインバータ100全体を小型化できる。
【0036】
(4)相間配線部16は、正極配線3および負極配線4にそれぞれ2つ以上のビア5を有している。ビア5は、積層配線部15と相間配線部16の配列方向に対して垂直な相間配線部16の中心線6aよりも、相間配線部16に隣接する積層配線部15に近い位置にそれぞれ設けられる。このようにしたことで、配線の冷却が難しい積層配線部15に対しては、相間配線部16において積層配線部15の近傍にビア5を配置することで、積層配線部15の配線温度を低減できる。
【0037】
(5)配線基板6の一方の面には、複数の回路体1を冷却する冷却器14が配置され、冷却器14と配線基板6の間には、絶縁性の放熱部材13が設けられる。このようにしたことで、正極配線3および負極配線4へ電流を流した際に生じる熱は、相間配線部16のビア5を介して基板6から放熱部材13を介して冷却器14へと放熱されるため、基板6の配線温度を低減できる。
【0038】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や他の構成を組み合わせることができる。また本発明は、上記の実施形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 回路体(パワーモジュール)
2 キャパシタ
3 正極配線
4 負極配線
5 ビア
5a ブラインドビア
6 配線基板
6a 中心線
7 出力配線
8 信号端子
9 信号配線
10 キャパシタ正極端子
11 キャパシタ負極端子
12 回路体主回路端子
12a 配置領域
13 放熱部材
14 冷却器
15 積層配線部
16 相間配線部
100 電力変換装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9