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特開2023-183315発光装置、光測距装置、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183315
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】発光装置、光測距装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20231220BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096859
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 滋年
(72)【発明者】
【氏名】逆井 一宏
(72)【発明者】
【氏名】堀田 宏之
(72)【発明者】
【氏名】竹山 慶
(72)【発明者】
【氏名】山本 喜博
(72)【発明者】
【氏名】早川 純一朗
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA03
2F112DA06
2F112DA25
2F112GA03
5J084AA05
5J084AB07
5J084AC07
5J084BA07
5J084BA16
5J084BA36
5J084BB07
5J084BB10
5J084DA01
5J084EA07
(57)【要約】
【課題】第1の方向と第2の方向における光の出射角が同じ光学系を用いる場合と比較して、第2の方向に拡散する光の量を抑えることが可能な発光装置、及び、この発光装置を備えた光測距装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、発光手段の光出射方向に配置され、複数の発光領域の各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系であって、第1の方向における光の出射角よりも、第1の方向と交差する第2の方向における光の出射角が狭くなるように構成された光学系と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、
前記発光手段の光出射方向に配置され、前記複数の発光領域の各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系であって、前記第1の方向における光の出射角よりも、前記第1の方向と交差する第2の方向における光の出射角が狭くなるように構成された光学系と、
を備えた発光装置。
【請求項2】
前記発光手段は、1つの発光領域内に複数の発光素子を有し、かつ、1つの発光領域内において前記第1の方向の発光素子の数よりも前記第2の方向における発光素子の数が多い
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光領域は、前記第1の方向の長さよりも前記第2の方向の長さが長い
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光手段が有する前記複数の発光領域全体では、前記第2の方向の長さよりも前記第1の方向の長さが長い
請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光学系は、前記第1の方向及び前記第2の方向において互いに異なる曲率を有し、かつ、前記第1の方向の曲率半径よりも前記第2の方向の曲率半径が小さいトロイダル形状の面を有するレンズを備える
請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記光学系は、前記第1の方向において曲率を有し前記第2の方向において曲率を有しないシリンドリカル形状の面を有するレンズを備える
請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記光学系は、
光の出射側から光の入射側へ順に、第1のレンズ群と、第2のレンズ群とからなり、
前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間は最も大きい空気間隔を有し、
前記第1のレンズ群は、全体として、前記第1の方向において負の屈折力を有し、前記第2の方向において正の屈折力を有する又は屈折力を有しない
請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、
前記第1のレンズ群のレンズの前記出射側の面はトロイダル形状であり、前記入射側の面はシリンドリカル形状である
請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、
前記第1のレンズ群のレンズの前記出射側の面及び前記入射側の面はトロイダル形状である
請求項7に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第2のレンズ群は、全体として、前記第1の方向において負の屈折力を有し、前記第2の方向において正の屈折力を有する又は屈折力を有しない
請求項7に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第2のレンズ群は、全体として、前記第1の方向の屈折力と前記第2の方向の屈折力が同じである
請求項7に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、
前記第2のレンズ群は、2枚のレンズからなる
請求項7に記載の発光装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射した光の反射光を検出する検出手段と、
を備えた光測距装置。
【請求項14】
請求項13に記載の光測距装置を備え、
前記発光装置は、前記第1の方向が水平方向になり、前記第2の方向が垂直方向になるように配置されている
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、光測距装置、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のレーザダイオードが二次元状に配置されたVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイに対向して投光レンズが配置され、被監視対象に対して二次元走査を行う監視装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、レーザアレイ光源と、レーザ光を集光する集光レンズと、集光されたレーザ光を反射して被走査面に照射する可動ミラーとを備え、レーザ光により被走査面の走査を行う光走査装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、光源と、マイクロミラーを備えた光走査部とを備え、光ビームによる走査を行う距離測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4427954号公報
【特許文献2】特許第5257053号公報
【特許文献3】特許第6965784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、複数の発光領域の各々から発光された光を各々異なる方向に偏向する光学系とを備えた発光装置から出射した光により第1の方向を走査し、光の反射光を検出することにより、走査範囲内に存在する物体までの距離を測定する光測距装置が実用化されている。
【0007】
しかしながら、発光装置から第1の方向だけでなく第2の方向にも光が広がると、この発光装置を備えた光測距装置では、ある走査位置において、第2の方向にも拡散した光が出射してしまい、物体までの距離の測定に影響を及ぼすことがある。
【0008】
本開示の目的は、第2の方向に拡散する光の量を抑えることが可能な発光装置、及び、この発光装置を備えた光測距装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様の発光装置は、第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、前記発光手段の光出射方向に配置され、前記複数の発光領域の各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系であって、前記第1の方向における光の出射角よりも、前記第1の方向と交差する第2の方向における光の出射角が狭くなるように構成された光学系と、を備える。
【0010】
第2態様の発光装置は、第1態様の発光装置において、前記発光手段は、1つの発光領域内に複数の発光素子を有し、かつ、1つの発光領域内において前記第1の方向の発光素子の数よりも前記第2の方向における発光素子の数が多い。
【0011】
第3態様の発光装置は、第2態様の発光装置において、前記発光領域は、前記第1の方向の長さよりも前記第2の方向の長さが長い。
【0012】
第4態様の発光装置は、第3態様の発光装置において、前記発光手段が有する前記複数の発光領域全体では、前記第2の方向の長さよりも前記第1の方向の長さが長い。
【0013】
第5態様の発光装置は、第1態様の発光装置において、前記光学系は、前記第1の方向及び前記第2の方向において互いに異なる曲率を有し、かつ、前記第1の方向の曲率半径よりも前記第2の方向の曲率半径が小さいトロイダル形状の面を有するレンズを備える。
【0014】
第6態様の発光装置は、第1態様の発光装置において、前記光学系は、前記第1の方向において曲率を有し前記第2の方向において曲率を有しないシリンドリカル形状の面を有するレンズを備える。
【0015】
第7態様の発光装置は、第1態様の発光装置において、前記光学系は、光の出射側から光の入射側へ順に、第1のレンズ群と、第2のレンズ群とからなり、前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間は最も大きい空気間隔を有し、前記第1のレンズ群は、全体として、前記第1の方向において負の屈折力を有し、前記第2の方向において正の屈折力を有する又は屈折力を有しない。
【0016】
第8態様の発光装置は、第7態様の発光装置において、前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、
前記第1のレンズ群のレンズの前記出射側の面はトロイダル形状であり、前記入射側の面はシリンドリカル形状である。
【0017】
第9態様の発光装置は、第7態様の発光装置において、前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、前記第1のレンズ群のレンズの前記出射側の面及び前記入射側の面はトロイダル形状である。
【0018】
第10態様の発光装置は、第7態様の発光装置において、前記第2のレンズ群は、全体として、前記第1の方向において負の屈折力を有し、前記第2の方向において正の屈折力を有する又は屈折力を有しない。
【0019】
第11態様の発光装置は、第7態様の発光装置において、前記第2のレンズ群は、全体として、前記第1の方向の屈折力と前記第2の方向の屈折力が同じである。
【0020】
第12態様の発光装置は、第7態様の発光装置において、前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、前記第2のレンズ群は、2枚のレンズからなる。
【0021】
第13態様の光測距装置は、第1態様から第12態様のいずれか1項に記載の発光装置と、前記発光装置から出射した光の反射光を検出する検出手段と、を備える。
【0022】
第14態様の画像形成装置は、第13態様に記載の光測距装置を備え、前記発光装置は、前記第1の方向が水平方向になり、前記第2の方向が垂直方向になるように配置されている。
【発明の効果】
【0023】
第1態様の発光装置によれば、第1の方向と第2の方向における光の出射角が同じ光学系を用いる場合と比較して、第2の方向に拡散する光の量を抑えることができる。
【0024】
第2態様の発光装置によれば、第1の方向の発光素子の数と第2の方向における発光素子の数が同じ場合と比較して、1つの発光領域から出射する光の光強度を高めることができる。
【0025】
第3態様の発光装置によれば、第1の方向の発光領域の長さと第2の方向の発光領域の長さが同じ場合と比較して、発光領域の第1の方向の長さを抑制することができる。
【0026】
第4態様の発光装置によれば、第1の方向の複数の発光領域全体の長さと第2の方向における発光素子の長さが同じ場合と比較して、複数の発光領域全体の第2の方向の長さを抑制することができる。
【0027】
第5態様の発光装置によれば、光学系におけるレンズの形状の変更のみで、第2の方向に拡散する光の量を抑えることができる。
【0028】
第6態様の発光装置によれば、2次元状に曲率半径を有するレンズ面を有するレンズを形成する場合と比較して、容易にレンズを形成できる。
【0029】
第7態様の発光装置によれば、第2のレンズ群により集光された光を、第1のレンズ群により第1の方向と第2の方向で拡散範囲に異方性を持たせて拡散させることができる。
【0030】
第8態様の発光装置によれば、最小のレンズ枚数により第1のレンズ群を構成することができ、かつ、第1のレンズ群のレンズの両側の面をトロイダル形状とする場合と比較して、レンズの成形を容易にすることができる。
【0031】
第9態様の発光装置によれば、最小のレンズ枚数により第1のレンズ群を構成することができ、かつ、第1のレンズ群のレンズの出射側の面をトロイダル形状、入射側の面をシリンドリカル形状とする場合と比較して、光学設計の自由度を高めることができる。
【0032】
第10態様の発光装置によれば、第1のレンズ群のみに異方性の特性を持たせた場合と比較して、光学設計の自由度を高めることができる。
【0033】
第11態様の発光装置によれば、第2のレンズ群が異方性の特性を有する場合と比較して、光学系の製造難度を抑えることができる。
【0034】
第12態様の発光装置によれば、最小のレンズ枚数により第1のレンズ群を構成することができる。また、第2のレンズ群を1枚のレンズから構成する場合と比較して、光学性能を高め易く、第2のレンズ群を3枚以上のレンズから構成する場合と比較して、コストを抑えることができる。
【0035】
第13態様の光測距装置によれば、第1の方向における測定精度を向上させることができる。
【0036】
第14態様の画像形成装置によれば、発光装置を第1の方向が垂直方向になるように配置した場合と比較して、水平方向において画像形成装置の周囲の測定対象物を広範囲に亘って測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第1実施形態の画像形成装置の概略構成を説明するための外観図である。
図2】光測距装置により画像形成装置を利用しようとして接近してくる利用者を検知する様子を示す図である。
図3】光測距装置の概略構成図である。
図4】VCSELアレイの概略構成図である。
図5】光学系の構成を示すX-Z面投影図である。
図6】光学系の構成を示すY-Z面投影図である。
図7】X軸方向とY軸方向の屈折力が同じ光学系の構成を示すX-Z面投影図である。
図8】X軸方向とY軸方向の屈折力が同じ光学系の構成を示すY-Z面投影図である。
図9】光測距装置の効果を説明するための図である。
図10】第2実施形態の人感ゲートの概略構成を説明するための外観図である。
図11】実施例1の光学系の構成を示すX-Z面投影図である。
図12】実施例1の光学系の構成を示すY-Z面投影図である。
図13】実施例2の光学系の構成を示すX-Z面投影図である。
図14】実施例2の光学系の構成を示すY-Z面投影図である。
図15】実施例3の光学系の構成を示すX-Z面投影図である。
図16】実施例3の光学系の構成を示すY-Z面投影図である。
図17】実施例1から実施例3及び比較例における、発光領域毎の測定結果の平均値及び標準偏差を示す表である。
図18図17の表の内容を示すグラフである。
図19】実施例1における6つの発光領域の合計の光路長毎の光線数を示すグラフである。
図20】実施例2における6つの発光領域の合計の光路長毎の光線数を示すグラフである。
図21】実施例3における6つの発光領域の合計の光路長毎の光線数を示すグラフである。
図22】比較例における6つの発光領域の合計の光路長毎の光線数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1実施形態]
(画像形成装置の全体構成)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態の画像形成装置10の概略構成を説明するための外観図である。図1におけるW軸、H軸、及び、D軸は、画像形成装置10における座標軸を示している。W軸方向は水平方向であって装置幅方向を示し、H軸方向は垂直方向であって装置上下方向を示し、D軸方向は水平方向であって装置奥行方向を示している。
【0039】
図1に示されるように、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。画像形成装置10の正面には、自装置を利用する利用者を検知する人感センサとして、光測距装置20が設けられている。
【0040】
この光測距装置20により画像形成装置10を利用しようとして接近してくる利用者を検知する様子を図2に示す。図2に示されるように、利用者は一般的に画像形成装置10が設置されている位置に向かって近づいてくるため、光測距装置20は、このような利用者を検知するように設定される。
【0041】
本実施形態の画像形成装置10では、例えば、この光測距装置20を用いて自装置を利用する利用者を検知することにより、自装置を省電力状態から通常動作状態に復帰させるような制御が行われる。
【0042】
(光測距装置の構成)
次に、本実施形態の光測距装置20の概略構成図を図3に示す。図3におけるX軸、Y軸、及び、Z軸は、互いに直交しており、光測距装置20における座標を示している。X軸方向は、本開示の技術における第1の方向に相当する。また、Y軸方向は、第1の方向と交差する第2の方向の一例であり、本開示の技術における第2の方向に相当する。
【0043】
図3に示されるように、光測距装置20は、測定用の光を出射する発光装置21と、発光装置から出射した光の反射光を検出するフォトディテクター(PD)22と、制御部23と、を備える。PD22は、本開示の技術における検出手段の一例である。
【0044】
発光装置21は、VCSELアレイ30と、光学系40と、を備える。VCSELアレイ30は、本開示の技術における発光手段の一例である。
【0045】
VCSELアレイ30の概略構成図を図4に示す。図4に示されるように、VCSELアレイ30は、基板31上に、複数の垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)方式の発光素子32が千鳥状に等間隔に配列された構成である。行列状に配置する場合と比較して、発光素子の配置密度が高くなっている。
【0046】
VCSELアレイ30は、X軸方向に沿って配列された複数の発光領域Bを有する。VCSELアレイ30は、1つの発光領域B内に複数の発光素子32を有し、かつ、1つの発光領域B内においてX軸方向の発光素子32の数よりもY軸方向における発光素子32の数が多くなるように構成されている。なお、発光領域Bは、X軸方向の長さよりY軸方向の長さが長い長方形で構成されている。複数の発光領域はX軸方向に並んでいるので、VCSELアレイ30が有する複数の発光領域B全体としては、Y軸方向の長さよりX軸方向の長さが長い長方形で構成されている。VCSELアレイ30は、発光領域B毎に、発光素子32のオン又はオフが制御される。
【0047】
光学系40の構成を示すX-Z面投影図を図5に示す。また、光学系40の構成を示すY-Z面投影図を図6に示す。なお、図5及び図6においては、左側が光の出射側であり、右側が光の入射側である。また、図5及び図6において、VCSELアレイ30は光学系40に対する位置を示したものである。また、図5及び図6では、VCSELアレイ30から出射した光線の光路も併せて表示している。
【0048】
図5及び図6に示されるように、光学系40は、VCSELアレイ30の光出射方向に配置され、複数の発光領域Bの各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系である。光学系40は、X軸方向における光の出射角よりもY軸方向における光の出射角が狭くなるように構成されている。
【0049】
ここで、1点から出射され、拡散特性が等方性を有する拡散光が、光学系40を通過して出射する際に、X軸方向における光の出射角よりもY軸方向における光の出射角が狭くなっている。また、ここでの拡散特性とは、ある点から出た光が広がって進むような、発散に相当する特性である。
【0050】
本実施形態では、光学系40は、一例として、レンズL11、レンズL21、及び、レンズL22の3枚のレンズで構成されている。
【0051】
本実施形態において、光学系40は、X軸方向及びY軸方向において曲率を有し、かつ、X軸方向の曲率半径よりもY軸方向の曲率半径が小さいトロイダル形状の面を有するレンズを備える構成としてもよい。図5及び図6の例では、レンズL11の光の出射側の面が、X軸方向の曲率半径よりもY軸方向の曲率半径が小さいトロイダル形状となっている。なお、レンズの曲率の定義について、X軸方向の曲率はY軸を回転軸とした曲率であり、Y軸方向の曲率はX軸を回転軸とした曲率である。なお、曲率が大きい程、小さな円弧、すなわち曲率半径が小さくなり、曲率が小さい程、大きな円弧、すなわち曲率半径が大きくなる。
【0052】
また、光学系40は、X軸方向において曲率を有しY軸方向において曲率を有しないシリンドリカル形状の面を有するレンズを備える構成としてもよい。図5及び図6の例では、レンズL11の光の入射側の面が、X軸方向において曲率半径を有しY軸方向において曲率を有しないシリンドリカル形状となっている。
【0053】
また、光学系40は、光の出射側から光の入射側へ順に、第1のレンズ群と、第2のレンズ群とからなり、第1のレンズ群と第2のレンズ群との間は最も大きい空気間隔を有し、第1のレンズ群は、全体として、第1の方向において負の屈折力を有し、第2の方向において正の屈折力を有する又は屈折力を有しない構成とすることができる。図5及び図6の例では、光学系40は、光の出射側から光の入射側へ順に、第1のレンズ群G1と、第2のレンズ群G2とから構成されている。この例は、レンズの屈折力を調整する事で、X軸方向における光の出射角よりも、X軸方向と交差するY軸方向における光の出射角が狭くなるようにしている。
【0054】
この場合、第1のレンズ群G1は、1枚のレンズL11からなることが好ましい。第1のレンズ群G1を1枚のレンズL11から構成した場合、レンズL11の光の出射側の面はトロイダル形状であり、光の入射側の面はシリンドリカル形状としてもよい。また、レンズL11の光の出射側の面及び光の入射側の面はトロイダル形状としてもよい。
【0055】
また、第2のレンズ群G2は、全体として、X軸方向において負の屈折力を有し、Y軸方向において正の屈折力を有する又は屈折力を有しない構成としてもよい。また、第2のレンズ群G2は、全体として、X軸方向の屈折力とY軸方向の屈折力が同じ構成としてもよい。また、第2のレンズ群G2は、2枚のレンズからなることが好ましい。図5及び図6の例では、光学系40は、第2のレンズ群G2は、レンズL21及びレンズL22の2枚のレンズからなり、X軸方向の屈折力とY軸方向の屈折力が同じ構成となっている。
【0056】
制御部23は、CPU、メモリ、ストレージ等から構成されている。制御部23は、発光装置21及びPD22の動作制御を行うとともに、PD22において検出された信号に基づいて、発光装置21から測定対象物までの距離を算出する処理を行う。
【0057】
詳細には、制御部23は、X軸方向に沿って配列された複数の発光領域Bについて片側から順次光を出射させてX軸方向を走査するようにVCSELアレイ30を制御する。次に、制御部23は、各発光領域Bにおいて出射させた光の反射光をPD22に検出させる。次に、制御部23は、PD22において検出された信号に基づいて、各発光領域Bにおいて光を照射したタイミングとPD22において反射光を検出したタイミングの時間差を算出する。次に、制御部23は、算出した時間差に基づいて、各発光領域Bに対応する検出範囲における、発光装置21から測定対象物までの距離を算出する。
【0058】
光測距装置20の発光装置21は、画像形成装置10内において、X軸方向が画像形成装置10の水平方向になり、Y軸方向が画像形成装置10の垂直方向になるように配置されている。
【0059】
(発光装置、光測距装置、及び、画像形成装置の作用)
図5及び図6に示されるように、光学系40は、X軸方向における光の出射角よりもY軸方向における光の出射角が狭くなるように構成されている。
【0060】
図5に示されるように、X軸方向では、VCSELアレイ30から出射し、光学系40を通過して出射した光の出射角が広くなっている。これに対して、図6に示されるように、Y軸方向では、VCSELアレイ30から出射し、光学系40を通過して出射した光の出射角が狭くなっている。
【0061】
なお、VCSELアレイ30の光の出射範囲も、X軸方向よりもY軸方向の方が狭くなっている。そのため、光学系40の特性をより分かりやすく説明するために、図5及び図6に示す光学系40のうち、第1のレンズ群G1のレンズL11のみをX軸方向とY軸方向の屈折力が同じレンズL111に変更した例を、図7及び図8に示す。図7は、X軸方向とY軸方向の屈折力が同じ光学系140の構成を示すX-Z面投影図である。また、図8は、X軸方向とY軸方向の屈折力が同じ光学系140の構成を示すY-Z面投影図である。
【0062】
VCSELアレイ30の光の出射範囲は、元々X軸方向よりもY軸方向の方が狭くなっているが、1つ1つの発光領域BではY軸方向よりもX軸方向の方が狭くなっている。しかしながら、VCSELアレイ30の構成に関わらず、図5及び図6と、図7及び図8とを対比することにより、発光装置21においては、X軸方向とY軸方向の屈折力が同じ光学系を用いる場合よりも、よりY軸方向に拡散する光の量が抑えられていることが分かる。
【0063】
次に、本実施形態の光測距装置20の効果を説明するための図を図9に示す。光測距装置20により光を用いて画像形成装置10を利用する利用者を検知する場合、検知したい利用者の形状は垂直方向に長く水平方向に短いため、Y軸方向において光が広範囲に広がってしまうと、同一の測定対象物に対して光路長が異なる複数の光路が発生する場合が生じる。光測距装置20と測定対象物との間の光路長は、光の出射角が大きくなる程、換言すると、水平方向から傾く程、長くなる。また、利用者は画像形成装置10が設置されている床面とほぼ同じ床面に立っているので、水平方向での存在が分かれば十分ということもある。
【0064】
例えば、図9の例では、水平方向に出射した光M1の光路長に対して、水平方向から斜めに出射した光M2及びM3の光路長は長くなる。このような現象が生じると、光測距装置において測定対象物までの距離を正確に測定することができなくなる。
【0065】
これに対して、本実施形態の光測距装置20では、上記の発光装置21を備え、Y軸方向に拡散する光の量が抑えられているため、水平方向に近い出射角の光のみが出射される。そのため、本実施形態の光測距装置20では、X軸方向とY軸方向における光の出射角が同じ光学系を備えた発光装置を備えた場合と比較して、測定精度を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態の画像形成装置10においては、光測距装置20の発光装置21が、画像形成装置10内において、X軸方向が画像形成装置10の水平方向になり、Y軸方向が画像形成装置10の垂直方向になるように配置されている。
【0067】
そのため、光測距装置20の発光装置21を、X軸方向が画像形成装置10の垂直方向になるように配置した場合と比較して、水平方向において画像形成装置10の周囲の測定対象物を広範囲に亘って測定することが可能となる。
【0068】
(第1実施形態の変形例)
なお、本実施形態に係る光測距装置20の構成は、上述の説明に限られない。
【0069】
例えば、検出手段は、PD22に限らず、例えばフォトマルチプライヤ等、光を検出可能なものであればどのようなものを用いてもよい。
【0070】
また、VCSELアレイ30の基板31における発光素子32の配置態様は、上記の様に千鳥状に配列された態様に限らず、例えば行列状に配列された態様等、どのような態様としてもよい。
【0071】
また、1つの発光領域B内における複数の発光素子32の配置態様についても、上記の様にX軸方向の発光素子32の数よりもY軸方向における発光素子32の数が多くなるように配置された態様に限らず、例えばX軸方向の発光素子32の数とY軸方向における発光素子32の数が同じ数となるように配列された態様等、どのような態様としてもよい。
【0072】
また、発光手段は、VCSELアレイ30に限らず、例えばLEDアレイ等、光を発光するものであればどのようなものを用いてもよい。
【0073】
[第2実施形態]
次に、図10は本発明の第2実施形態の人感ゲート100の概略構成を説明するための外観図である。図10におけるW軸、H軸、及び、D軸は、人感ゲート100における座標軸を示している。W軸方向は水平方向であって装置幅方向を示し、H軸方向は垂直方向であって装置上下方向を示し、D軸方向は水平方向であって装置奥行方向を示している。
【0074】
図10に示されるように、人感ゲート100は、枠101内を人が通過したことを検知する装置である。枠101の内側面には、枠101内を通過した人を検知する人感センサとして、光測距装置20が設けられている。
【0075】
本実施形態の人感ゲート100では、例えば、この光測距装置20を用いて枠101内を通過した人を検知することにより、人感ゲート100が設けられた施設又は敷地に対する人の出入りを検知する。
【0076】
光測距装置20の構成は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0077】
光測距装置20は、人感ゲート100の枠101内において、X軸方向が人感ゲート100の垂直方向になり、Y軸方向が人感ゲート100の水平方向になるように、配置されている。
【0078】
これにより、光測距装置20は、人感ゲート100において、X軸方向が人感ゲート100の水平方向になり、Y軸方向が人感ゲート100の垂直方向になるように配置した場合と比較して、枠101内の広範囲に測定光を照射することができるため、人感ゲート100を通過した人の検知漏れを抑えることができる。
【0079】
[実施例]
次に、本開示の発光装置における光学系の実施例について説明する。まず、実施例1の光学系40について説明する。図11は実施例1の光学系40の構成を示すX-Z面投影図であり、図12は実施例1の光学系40の構成を示すY-Z面投影図である。なお、図11及び図12においては、左側が光の出射側であり、右側が光の入射側である。また、図11及び図12において、VCSELアレイ30は光学系40に対する位置を示したものであり、大きさや形状を正確に示したものではない。
【0080】
実施例1の光学系40は、Z軸方向と平行な光軸に沿って、光の出射側から光の入射側へ順に、第1のレンズ群G1と、第2のレンズ群G2とから構成される。第1のレンズ群G1と第2のレンズ群G2との間は、光学系において最も大きい空気間隔を有する。
【0081】
第1のレンズ群G1は、1枚のレンズL11から構成される。レンズL11の光の出射側の面はトロイダル形状であり、光の入射側の面はシリンドリカル形状である。レンズL11は、X軸方向において負の屈折力を有し、Y軸方向において正の屈折力を有する。すなわち、第1のレンズ群G1の光の通過特性は、異方性を有する。
【0082】
第2のレンズ群G2は、光の出射側から光の入射側へ順に、レンズL21及びレンズL22の2枚のレンズから構成される。第2のレンズ群G2は、全体として、X軸方向の屈折力とY軸方向の屈折力が同じとなるように構成されている。すなわち、第2のレンズ群G2の光の通過特性は、等方性を有する。
【0083】
次に、実施例2の光学系40について説明する。図13は実施例2の光学系40の構成を示すX-Z面投影図であり、図14は実施例2の光学系40の構成を示すY-Z面投影図である。なお、図13及び図14においては、左側が光の出射側であり、右側が光の入射側である。また、図13及び図14において、VCSELアレイ30は光学系40に対する位置を示したものであり、大きさや形状を正確に示したものではない。
【0084】
実施例2の光学系40は、Z軸方向と平行な光軸に沿って、光の出射側から光の入射側へ順に、第1のレンズ群G1と、第2のレンズ群G2とから構成される。第1のレンズ群G1と第2のレンズ群G2との間は、光学系において最も大きい空気間隔を有する。
【0085】
第1のレンズ群G1は、1枚のレンズL11から構成される。レンズL11の光の出射側の面及び光の入射側の面は、ともにトロイダル形状である。レンズL11は、X軸方向において負の屈折力を有し、Y軸方向において正の屈折力を有する。すなわち、第1のレンズ群G1の光の通過特性は、異方性を有する。
【0086】
第2のレンズ群G2は、光の出射側から光の入射側へ順に、レンズL21及びレンズL22の2枚のレンズから構成される。第2のレンズ群G2は、全体として、X軸方向の屈折力とY軸方向の屈折力が同じとなるように構成されている。すなわち、第2のレンズ群G2の光の通過特性は、等方性を有する。
【0087】
次に、実施例3の光学系40について説明する。図15は実施例3の光学系40の構成を示すX-Z面投影図であり、図16は実施例3の光学系40の構成を示すY-Z面投影図である。なお、図15及び図16においては、左側が光の出射側であり、右側が光の入射側である。また、図15及び図16において、VCSELアレイ30は光学系40に対する位置を示したものであり、大きさや形状を正確に示したものではない。
【0088】
実施例3の光学系40は、Z軸方向と平行な光軸に沿って、光の出射側から光の入射側へ順に、第1のレンズ群G1と、第2のレンズ群G2とから構成される。第1のレンズ群G1と第2のレンズ群G2との間は、光学系において最も大きい空気間隔を有する。
【0089】
第1のレンズ群G1は、1枚のレンズL11から構成される。レンズL11の光の出射側の面はトロイダル形状であり、光の入射側の面はシリンドリカル形状である。レンズL11は、X軸方向において負の屈折力を有し、Y軸方向において正の屈折力を有する。すなわち、第1のレンズ群G1の光の通過特性は、異方性を有する。
【0090】
第2のレンズ群G2は、光の出射側から光の入射側へ順に、レンズL21及びレンズL22の2枚のレンズから構成される。第2のレンズ群G2は、全体として、X軸方向において負の屈折力を有し、Y軸方向において正の屈折力を有する。すなわち、第2のレンズ群G2の光の通過特性は、異方性を有する。
【0091】
次に、上記の実施例1から実施例3の光学系40の光路長評価シミュレーションの結果について説明する。ここでは、実施例1から実施例3の比較対象として、従来の技術により構成された比較例の結果も併せて記載する。
【0092】
比較例の光学系は、実施例1の光学系40のうち、第1のレンズ群G1のレンズL11のみをX軸方向の屈折力とY軸方向の屈折力が同じレンズに変更したものである。
【0093】
ここで、光路長評価シミュレーションの内容について説明する。光路長評価シミュレーションでは、VCSELアレイの特定の分割ブロックから出射した光線が、特定の位置に配置されたターゲット面で反射して受光用PDに戻って来る時の往復の距離を、光路長として測定する。光路長評価シミュレーションにおける光線追跡シミュレーションは、数百万本から数億本の光線を、制約条件の範囲でランダムに光源から出射する、モンテカルロ法により行う。
【0094】
詳細には、VCSELアレイにおいてX軸方向に沿って6つの発光領域B1からB6を設定し、各発光領域から出射し、VCSELアレイの中心位置からの直線距離で150mmの位置に配置されたターゲット面で反射して受光用PDに戻って来た光線の計測を行っている。
【0095】
実施例1から実施例3及び比較例における、発光領域毎の測定結果の平均値及び標準偏差を示す表を図17に示す。図17の表の内容を示すグラフを図18に示す。図18のグラフの横軸は発光領域の位置を示しており、縦軸は光路長を示している。
【0096】
図17及び図18に示されるように、比較例の結果と比較して、実施例1から実施例3の結果は、いずれの発光領域においても設定された距離に近く、また標準偏差も抑えられていることが分かる。
【0097】
また、実施例1から実施例3及び比較例における、6つの発光領域B1からB6の合計の光路長毎の光線数を示すグラフを図19から図22に示す。図19から図22のグラフの横軸は光路長を示しており、縦軸は光線数を示している。図19は実施例1のシミュレーション結果を示すグラフであり、図20は実施例2のシミュレーション結果を示すグラフであり、図21は実施例3のシミュレーション結果を示すグラフであり、図22は比較例のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0098】
図19から図22に示されるように、比較例の結果と比較して、実施例1から実施例3のいずれの結果においても、設定された距離に近い光路長に、光線が集中していることが分かる。
【0099】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置10及び人感ゲート100に対して本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、ATM(Automatic Teller Machine)装置又は券売機等のユーザが近づいてきて操作を行うような情報処理装置、あるいは、自走式の無人搬送車又はロボット掃除機等の障害物の検知を行う装置に対しても同様に本発明を適用することができるものである。
【0100】
[付記]
以下に、本開示の好ましい形態について付記する。
【0101】
(((1)))
第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、
前記発光手段の光出射方向に配置され、前記複数の発光領域の各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系であって、前記第1の方向における光の出射角よりも、前記第1の方向と交差する第2の方向における光の出射角が狭くなるように構成された光学系と、
を備えた発光装置。
【0102】
(((2)))
前記発光手段は、1つの発光領域内に複数の発光素子を有し、かつ、1つの発光領域内において前記第1の方向の発光素子の数よりも前記第2の方向における発光素子の数が多い
(((1)))に記載の発光装置。
【0103】
(((3)))
前記発光領域は、前記第1の方向の長さよりも前記第2の方向の長さが長い
(((2)))に記載の発光装置。
【0104】
(((4)))
前記発光手段が有する前記複数の発光領域全体では、前記第2の方向の長さよりも前記第1の方向の長さが長い
(((3)))に記載の発光装置。
【0105】
(((5)))
前記光学系は、前記第1の方向及び前記第2の方向において互いに異なる曲率を有し、かつ、前記第1の方向の曲率半径よりも前記第2の方向の曲率半径が小さいトロイダル形状の面を有するレンズを備える
(((1)))から(((4)))のいずれか1項に記載の発光装置。
【0106】
(((6)))
前記光学系は、前記第1の方向において曲率を有し前記第2の方向において曲率を有しないシリンドリカル形状の面を有するレンズを備える
(((1)))から(((5)))のいずれか1項に記載の発光装置。
【0107】
(((7)))
前記光学系は、
光の出射側から光の入射側へ順に、第1のレンズ群と、第2のレンズ群とからなり、
前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間は最も大きい空気間隔を有し、
前記第1のレンズ群は、全体として、前記第1の方向において負の屈折力を有し、前記第2の方向において正の屈折力を有する又は屈折力を有しない
(((1)))から(((6)))のいずれか1項に記載の発光装置。
【0108】
(((8)))
前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、
前記第1のレンズ群のレンズの前記出射側の面はトロイダル形状であり、前記入射側の面はシリンドリカル形状である
(((7)))に記載の発光装置。
【0109】
(((9)))
前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、
前記第1のレンズ群のレンズの前記出射側の面及び前記入射側の面はトロイダル形状である
(((7)))に記載の発光装置。
【0110】
(((10)))
前記第2のレンズ群は、全体として、前記第1の方向において負の屈折力を有し、前記第2の方向において正の屈折力を有する又は屈折力を有しない
(((7)))から(((9)))のいずれか1項に記載の発光装置。
【0111】
(((11)))
前記第2のレンズ群は、全体として、前記第1の方向の屈折力と前記第2の方向の屈折力が同じである
(((7)))から(((9)))のいずれか1項に記載の発光装置。
【0112】
(((12)))
前記第1のレンズ群は、1枚のレンズからなり、
前記第2のレンズ群は、2枚のレンズからなる
(((7)))から(((11)))のいずれか1項に記載の発光装置。
【0113】
(((13)))
(((1)))から(((12)))のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射した光の反射光を検出する検出手段と、
を備えた光測距装置。
【0114】
(((14)))
(((13)))に記載の光測距装置を備え、
前記発光装置は、前記第1の方向が水平方向になり、前記第2の方向が垂直方向になるように配置されている
画像形成装置。
【0115】
以下に、付記の構成による効果について記載する。
【0116】
(((1)))の発光装置によれば、第1の方向と第2の方向における光の出射角が同じ光学系を用いる場合と比較して、第2の方向に拡散する光の量を抑えることができる。
【0117】
(((2)))の発光装置によれば、第1の方向の発光素子の数と第2の方向における発光素子の数が同じ場合と比較して、1つの発光領域から出射する光の光強度を高めることができる。
【0118】
(((3)))の発光装置によれば、第1の方向の発光領域の長さと第2の方向の発光領域の長さが同じ場合と比較して、発光領域の第1の方向の長さを抑制することができる。
【0119】
(((4)))の発光装置によれば、第1の方向の複数の発光領域全体の長さと第2の方向における発光素子の長さが同じ場合と比較して、複数の発光領域全体の第2の方向の長さを抑制することができる。
【0120】
(((5)))の発光装置によれば、光学系におけるレンズの形状の変更のみで、第2の方向に拡散する光の量を抑えることができる。
【0121】
(((6)))の発光装置によれば、2次元状に曲率半径を有するレンズ面を有するレンズを形成する場合と比較して、容易にレンズを形成できる。
【0122】
(((7)))の発光装置によれば、第2のレンズ群により集光された光を、第1のレンズ群により第1の方向と第2の方向で拡散範囲に異方性を持たせて拡散させることができる。
【0123】
(((8)))の発光装置によれば、最小のレンズ枚数により第1のレンズ群を構成することができ、かつ、第1のレンズ群のレンズの両側の面をトロイダル形状とする場合と比較して、レンズの成形を容易にすることができる。
【0124】
(((9)))の発光装置によれば、最小のレンズ枚数により第1のレンズ群を構成することができ、かつ、第1のレンズ群のレンズの出射側の面をトロイダル形状、入射側の面をシリンドリカル形状とする場合と比較して、光学設計の自由度を高めることができる。
【0125】
(((10)))の発光装置によれば、第1のレンズ群のみに異方性の特性を持たせた場合と比較して、光学設計の自由度を高めることができる。
【0126】
(((11)))の発光装置によれば、第2のレンズ群が異方性の特性を有する場合と比較して、光学系の製造難度を抑えることができる。
【0127】
(((12)))の発光装置によれば、最小のレンズ枚数により第1のレンズ群を構成することができる。また、第2のレンズ群を1枚のレンズから構成する場合と比較して、光学性能を高め易く、第2のレンズ群を3枚以上のレンズから構成する場合と比較して、コストを抑えることができる。
【0128】
(((13)))の光測距装置によれば、第1の方向と第2の方向における光の出射角が同じ光学系を備えた発光装置を備えた場合と比較して、測定精度を向上させることができる。
【0129】
(((14)))の画像形成装置によれば、発光装置を第1の方向が垂直方向になるように配置した場合と比較して、水平方向において画像形成装置の周囲の測定対象物を広範囲に亘って測定することができる。
【符号の説明】
【0130】
10 画像形成装置
20 光測距装置
21 発光装置
22 フォトディテクター
23 制御部
30 VCSELアレイ
31 基板
32 発光素子
40 光学系
100 人感ゲート
101 枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22