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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183316
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】光測距装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096860
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】逆井 一宏
(72)【発明者】
【氏名】堀田 宏之
(72)【発明者】
【氏名】竹山 慶
(72)【発明者】
【氏名】中村 滋年
(72)【発明者】
【氏名】山本 喜博
(72)【発明者】
【氏名】早川 純一朗
【テーマコード(参考)】
2F112
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA03
2F112CA12
2F112DA02
2F112DA15
2F112DA26
2F112DA28
2F112DA32
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA45
(57)【要約】
【課題】検出手段が備える検出素子の検出方向が第1の方向に対して一律の場合と比較して、走査範囲における検出感度の差を抑えることが可能な光測距装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、発光手段の光出射方向に配置され、複数の発光領域の各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系と、光学系から出射された光の反射光を検出する複数の検出素子を備え、複数の検出素子のうち一部の検出素子の検出方向が、第1の方向において他の検出素子の検出方向と異なるように配置された検出手段と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、
前記発光手段の光出射方向に配置され、前記複数の発光領域の各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系と、
前記光学系から出射された光の反射光を検出する複数の検出素子を備え、複数の検出素子のうち一部の検出素子の検出方向が、前記第1の方向において他の検出素子の検出方向と異なるように配置された検出手段と、
を備えた光測距装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子を備える
請求項1に記載の光測距装置。
【請求項3】
前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々の検出方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として内側に傾いている
請求項2に記載の光測距装置。
【請求項4】
前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々は、前記第1の方向と交差する第2の方向において異なる位置に配置されている
請求項3に記載の光測距装置。
【請求項5】
前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々の検出方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として外側に傾いている
請求項2に記載の光測距装置。
【請求項6】
前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の配線の取り出し方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として内側に傾いている
請求項2に記載の光測距装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記第1の方向と交差する第2の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子を備える
請求項1に記載の光測距装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記第1の方向において、前記光学系の光軸に対する傾きの角度の絶対値が42.5°以上62.5°以下であり、互いに逆方向に傾いている2つの検出素子を備える
請求項1に記載の光測距装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の光測距装置を備え、
前記発光手段は、前記第1の方向が水平方向になり、前記第1の方向と交差する第2の方向が垂直方向になるように配置されている
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光測距装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のレーザダイオードが二次元状に配置されたVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイに対向して投光レンズが配置され、被監視対象に対して二次元走査を行う監視装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、レーザアレイ光源と、レーザ光を集光する集光レンズと、集光されたレーザ光を反射して被走査面に照射する可動ミラーとを備え、レーザ光により被走査面の走査を行う光走査装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、光源と、マイクロミラーを備えた光走査部とを備え、光ビームによる走査を行う距離測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4427954号公報
【特許文献2】特許第5257053号公報
【特許文献3】特許第6965784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、複数の発光領域の各々から発光された光を各々異なる方向に偏向する光学系と、光学系から出射された光の反射光を検出する複数の検出素子を備えた検出手段とを備え、発光手段から出射された光により第1の方向を走査し、光の反射光を検出することにより、走査範囲内に存在する物体までの距離を測定する光測距装置が実用化されている。
【0007】
しかしながら、検出素子の検出感度には角度依存性があるため、走査範囲における検出感度に差が生じていた。
【0008】
本発明の目的は、検出手段が備える検出素子の検出方向が第1の方向に対して一律の場合と比較して、走査範囲における検出感度の差を抑えることが可能な光測距装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様の光測距装置は、第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、前記発光手段の光出射方向に配置され、前記複数の発光領域の各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系と、前記光学系から出射された光の反射光を検出する複数の検出素子を備え、複数の検出素子のうち一部の検出素子の検出方向が、前記第1の方向において他の検出素子の検出方向と異なるように配置された検出手段と、を備える。
【0010】
第2態様の光測距装置は、第1態様の光測距装置において、前記検出手段は、前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子を備える。
【0011】
第3態様の光測距装置は、第2態様の光測距装置において、前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々の検出方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として内側に傾いている。
【0012】
第4態様の光測距装置は、第3態様の光測距装置において、前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々は、前記第1の方向と交差する第2の方向において異なる位置に配置されている。
【0013】
第5態様の光測距装置は、第2態様の光測距装置において、前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々の検出方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として外側に傾いている。
【0014】
第6態様の光測距装置は、第2態様の光測距装置において、前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の配線の取り出し方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として内側に傾いている。
【0015】
第7態様の光測距装置は、第1態様の光測距装置において、前記検出手段は、前記第1の方向と交差する第2の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子を備える。
【0016】
第8態様の光測距装置は、第1態様の光測距装置において、前記検出手段は、前記第1の方向において、前記光学系の光軸に対する傾きの角度の絶対値が42.5°以上62.5°以下であり、互いに逆方向に傾いている2つの検出素子を備える。
【0017】
第9態様の画像形成装置は、第1態様から第8態様のいずれかの光測距装置を備え、前記発光手段は、前記第1の方向が水平方向になり、前記第1の方向と交差する第2の方向が垂直方向になるように配置されている。
【発明の効果】
【0018】
第1態様の光測距装置によれば、検出手段が備える検出素子の検出方向が第1の方向に対して一律の場合と比較して、第1の方向の検出範囲における検出感度の差を抑えることができる。
【0019】
第2態様の光測距装置によれば、検出手段の全ての検出素子が第1の方向において発光手段の一方の側のみに配置されている場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0020】
第3態様の光測距装置によれば、第1の方向において発光手段の両側に配置された検出素子の各々の検出方向が発光手段を中心として外側に傾いている場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0021】
第4態様の光測距装置によれば、第1の方向において発光手段の両側に配置された検出素子が第2の方向において同じ位置に配置されている場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0022】
第5態様の光測距装置によれば、第1の方向において発光手段の両側に配置された検出素子の各々の検出方向が発光手段を中心として内側に傾いている場合と比較して、広範囲の反射光を検出することができる。
【0023】
第6態様の光測距装置によれば、第1の方向において、発光手段の両側に配置された検出素子の配線の取り出し方向が発光手段を中心として外側に傾いている場合と比較して、検出素子の配線長を短くすることができる。
【0024】
第7態様の光測距装置によれば、検出手段の全ての検出素子が第2の方向において発光手段の一方の側のみに配置されている場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0025】
第8態様の光測距装置によれば、発光手段から発光された光の光学系透過後の第1の方向における照射角度が80°以上である場合に、検出手段の全ての検出素子の傾きを42.5°よりも小さいか62.5°よりも大きくした場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0026】
第9態様の画像形成装置によれば、発光手段を第1の方向が垂直方向になるように配置した場合と比較して、水平方向において画像形成装置の周囲の測定対象物を広範囲に亘って測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態の画像形成装置の概略構成を説明するための外観図である。
図2】光測距装置により画像形成装置を利用しようとして接近してくる利用者を検知する様子を示す図である。
図3】光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図4】光測距装置の概略構成を示す底面図である。
図5】VCSELアレイの概略構成図である。
図6】VCSELアレイから出射した光のX-Z平面における光路図である。
図7】PDとAFEとの接続回路図である。
図8】PDの概略構成図である。
図9】PDの内部の概略構成図である。
図10】検出感度の角度特性を示す図面であり、(A)は検出感度に角度依存性がある場合の状態を示す図、(B)は検出感度に角度依存性がない場合の状態を示す図である。
図11】光測距装置における光の出射角を変化させた場合の、2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値と、検出光量との関係を示すグラフである。
図12】光測距装置における光の出射角を変化させた場合の、2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値と、検出光量との関係を示すグラフである。
図13】2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値と、照射角度が150°の場合の検出感度のばらつきとの関係を示すグラフである。
図14】変形例のVCSELアレイの概略構成図である。
図15】変形例のVCSELアレイから出射した光のX-Z平面における光路図である。
図16】変形例のVCSELアレイから出射した光のY-Z平面における光路図である。
図17】変形例の光測距装置の概略構成を示す底面図である。
図18】実施例1の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図19】実施例2の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図20】実施例3の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図21】実施例4の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図22】実施例5の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図23】実施例6の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図24】実施例7の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図25】実施例8の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図26】実施例9の光測距装置の概略構成を示す正面図である。
図27】第2実施形態の人感ゲートの概略構成を説明するための外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
(画像形成装置の全体構成)
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図17を用いて説明する。図1は本発明の第1実施形態の画像形成装置10の概略構成を説明するための外観図である。図1におけるW軸、H軸、及び、D軸は、画像形成装置10における座標軸を示している。W軸方向は水平方向であって装置幅方向を示し、H軸方向は垂直方向であって装置上下方向を示し、D軸方向は水平方向であって装置奥行方向を示している。
【0029】
図1に示されるように、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。画像形成装置10の正面には、自装置を利用する利用者を検知する人感センサとして、光測距装置20が設けられている。
【0030】
この光測距装置20により画像形成装置10を利用しようとして接近してくる利用者を検知する様子を図2に示す。図2に示されるように、利用者は一般的に画像形成装置10が設置されている位置に向かって近づいてくるため、光測距装置20は、このような利用者を検知するように設定される。
【0031】
本実施形態の画像形成装置10では、例えば、この光測距装置20を用いて自装置を利用する利用者を検知することにより、自装置を省電力状態から通常動作状態に復帰させるような制御が行われる。
【0032】
(光測距装置の構成)
次に、本実施形態の光測距装置20の概略構成を示す正面図を図3に示す。また、本実施形態の光測距装置20の概略構成を示す底面図を図4に示す。図3及び図4におけるX軸、Y軸、及び、Z軸は、光測距装置20における座標を示している。X軸方向は、本開示の技術における第1の方向に相当する。また、Y軸方向は、第1の方向と交差する第2の方向の一例であり、本開示の技術における第2の方向に相当する。
【0033】
図3及び図4に示されるように、光測距装置20は、複数の発光領域Bを有するVCSELアレイ30と、複数の発光領域Bの各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系40と、光学系から出射された光の反射光を検出する検出部50と、制御部70と、を備える。VCSELアレイ30、光学系40、及び、検出部50は、基板21上に配置されている。
【0034】
VCSELアレイ30は、本開示の技術における発光手段の一例である。また、後述の「VCSELアレイ30の中心位置C」とは、VCSELアレイ30が有する複数の発光領域Bの全体の中心位置Cを意味する。
【0035】
VCSELアレイ30の概略構成図を図5に示す。図5に示されるように、VCSELアレイ30は、基板31上の一部の領域に、複数の垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)方式の発光素子32が千鳥状に配列された構成である。
【0036】
VCSELアレイ30は、X軸方向に沿って配列された複数の発光領域Bを有する。VCSELアレイ30は、1つの発光領域B内に複数の発光素子32を有する。VCSELアレイ30は、発光領域B毎に、発光素子32のオン又はオフが制御される。図5では、一例として、X軸方向に沿って8つの発光領域Bが配列された態様を示しており、8つの発光領域Bの各々について1番から8番の番号を付している。
【0037】
光学系40は、VCSELアレイ30の光出射方向に配置され、複数の発光領域Bの各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系である。光学系40は、光学系40の光軸AがVCSELアレイ30の基板31の発光素子32が配列された面に対して、中心位置Cにおいて直交するように配置されている。光学系40は、例えば、レンズにより構成されている。光学系40をレンズにより構成した場合、レンズの形状及び枚数については特に制限はなく、複数の発光領域Bの各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向可能な構成であればどのような構成としてもよい。
【0038】
VCSELアレイ30から出射した光のX-Z平面における光路図を図6に示す。図6に示されるように、本実施形態では、VCSELアレイ30はX軸方向に沿って配置された8つの発光領域Bを有する。
【0039】
光学系40は、1番から8番の発光領域Bの各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する。ここで、光測距装置20の光の照射角度は、最も外側の発光領域Bから発光された2つの光の光学系40からの出射方向がなす角度である。
【0040】
本実施形態における光測距装置20の光の照射角度は、最も外側の1番の発光領域Bから発光された光の光学系40からの出射方向と、反対側において最も外側の8番の発光領域Bから発光された光の光学系40からの出射方向との角度Rとなる。本実施形態における光測距装置20の光の照射角度は、一例として100°である。
【0041】
検出部50は、光学系40から出射された光の反射光を検出する複数のフォトディテクター(PD)51と、PD51から出力されたアナログ信号を後段の回路で扱いやすい状態に調整するAFE(Analog Front End)52と、を備える。PD51は、本開示の技術における検出素子の一例である。
【0042】
図3及び図4に示されるように、複数のPD51は、複数のPD51のうち一部のPD51の検出方向Sが、X軸方向において他のPD51の検出方向Sと異なるように配置されている。
【0043】
なお、検出部50は、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51を備えてもよい。
【0044】
また、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51の各々の検出方向は、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いているようにしてもよい。この場合、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51の各々は、Y軸方向において異なる位置に配置されているようにしてもよい。
【0045】
また、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51の各々の検出方向は、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として外側に傾いているようにしてもよい。
【0046】
また、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51の配線の取り出し方向は、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いているようにしてもよい。
【0047】
また、検出部50は、Y軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51を備えてもよい。
【0048】
また、Y軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51の各々の検出方向は、Y軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いているようにしてもよい。この場合、Y軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51の各々は、X軸方向において異なる位置に配置されているようにしてもよい。
【0049】
また、Y軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51の各々の検出方向は、Y軸方向においてVCSELアレイ30を中心として外側に傾いているようにしてもよい。
【0050】
また、Y軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されたPD51の配線の取り出し方向は、Y軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いているようにしてもよい。
【0051】
また、VCSELアレイ30から発光された光の光学系40の透過後のX軸方向における照射角度が80°以上の場合に、検出部50は、X軸方向において光学系40の光軸Aに対する傾きの角度(図4における傾きT)の絶対値が42.5°以上62.5°以下であり、互いに逆方向に傾いている2つのPD51を備えるようにしてもよい。
【0052】
本実施形態において、検出部50は、一例として、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置された2つのPD51を備えている。また、AFE52は、X軸方向において2つのPD51の間の中心位置に配されている。
【0053】
また、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置された2つのPD51の各々の検出方向Sは、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いている。2つのPD51の傾きの角度の絶対値は、一例として45°である。
【0054】
また、PD51は、一例として、円筒形状であり、側面から検出信号を出力するための2本の配線60及び配線61が取り出されている。
【0055】
PD51とAFE52との接続回路図を図7に示す。図7に示されるように、2つのPD51は、AFE52に対して並列に接続される。PD51から取り出された2本の配線のうちの一方の配線60はAFE52に接続される。PD51から取り出された2本の配線のうちの他方の配線61はグランドに接続される。
【0056】
また、図3及び図4に示されるように、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置された2つのPD51の配線60及び配線61の取り出し方向は、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いている。
【0057】
制御部70は、CPU、メモリ、ストレージ等から構成されている。制御部70は、VCSELアレイ30及び検出部50の動作制御を行うとともに、PD51において検出された信号に基づいて、光測距装置20から測定対象物までの距離を算出する処理を行う。
【0058】
詳細には、制御部70は、先ず、X軸方向に沿って配列された複数の発光領域Bの一方の端に位置する発光領域Bから光を出射させる。次に、制御部70は、この発光領域Bにおいて出射させた光の反射光をPD51に検出させる。次に、制御部70は、PD51において検出された信号に基づいて、この発光領域Bにおいて光を照射したタイミングとPD51において反射光を検出したタイミングの時間差を算出する。次に、制御部70は、算出した時間差に基づいて、この発光領域Bに対応する検出範囲における、光測距装置20から測定対象物までの距離を算出する。次に、制御部70は、この発光領域Bの隣に位置する発光領域Bから光を出射させ、先の発光領域Bの時と同様に測定対象物までの距離を算出する。このようにして、X軸方向に沿って配列された複数の発光領域BによりX軸方向を走査することで、全ての検出範囲における光測距装置20から測定対象物までの距離を算出する。
【0059】
光測距装置20は、画像形成装置10内において、X軸方向が画像形成装置10の水平方向になり、Y軸方向が画像形成装置10の垂直方向になるように配置されている。
【0060】
(光測距装置及び画像形成装置の作用)
PD51の光に対する検出感度には角度依存性があり、入射角が0°の場合、すなわち検出方向Sに対して平行に光が入射した場合に検出感度が最も高く、検出方向Sを基準とする入射角が大きくなる程、検出感度が低下する。また、PD51において発生するフレネル損失及びPD51の機械的要因により、検出方向Sを基準とする入射角が特定の角度よりも大きい領域では、物理的に光を検出することができなくなる。
【0061】
PD51の概略構成図を図8に示す。PD51の内部の概略構成図を図9に示す。なお、図8及び図9では、配線60及び配線61は省略している。
【0062】
一例として図8及び図9に示されるように、PD51は、筐体65の一面に入射窓66を備え、筐体65の内部に光を検出する受光部67を備える。本例では、入射窓66の直径は3mmであり、受光部67の受光領域の直径は1.2mmである。また、入射窓66の光入射側の面から受光部67の受光面までの間隔Lは0.8mmである。
【0063】
このような構成の場合、入射角Iが69.1°以上の光は、筐体65に遮られて、物理的に検出することができない。また、入射窓66及びPD51において発生するフレネル損失等の要因により、実際には入射角Iが69.1°よりも小さい領域においても、入射角Iが0°の場合と比較して、検出感度が低下する。
【0064】
このように、PD51の光に対する検出感度は、入射角が0°において最高となり、入射角が大きくなるにつれて低下し、PD51において検出可能な最大入射角において最低となる。
【0065】
また、光測距装置20の全体の検出感度の角度特性は、光測距装置20が備える複数のPD51の検出感度の角度特性が合わさった角度特性となる。
【0066】
仮に、光測距装置20が備える2つのPD51の検出方向Sが共に光学系の光軸Aと平行になるように、2つのPD51を配置したとする。この場合、2つのPD51の検出感度が最高となる方向が同じ方向となる。そのため、光測距装置20における光の検出感度の角度特性は、光測距装置20の正面に対して垂直に入射した光に対する検出感度が最高となり、検出方向を基準とする入射角が大きくなる程、検出感度が低下する。
【0067】
これに対して、本実施形態の光測距装置20では、光測距装置20が備える2つのPD51の検出方向Sが互いに異なる方向を向くように、2つのPD51が配置されている。この場合、2つのPD51の検出感度が最高となる方向が異なる方向となる。
【0068】
そのため、光測距装置20における光の検出感度は、2つのPD51により平均化され、2つのPD51の検出方向SがX軸方向に対して一律の場合と比較して、X軸方向の検出範囲における検出感度の差を抑えることができる。
【0069】
このような状態について、図10を参照してより詳細に説明する。図10は、検出感度の角度特性を示す図面であり、(A)は検出感度に角度依存性がある場合の状態を示す図、(B)は検出感度に角度依存性がない場合の状態を示す図である。
【0070】
図10(A)に示されるように、検出感度に角度依存性がある場合、角度に応じて検出感度の高さが異なる。そのため、光測距装置20から測定対象物までの距離が同じでも、角度に応じて検出光量が変化してしまい、測定結果が安定しない。
【0071】
これに対して、図10(B)に示されるように、検出感度に角度依存性がない場合、どの角度でも検出感度の高さが同じになる。そのため、光測距装置20から測定対象物までの距離が同じ場合には、どの角度でも検出光量が同じになるため、測定結果が安定する。そのため、なるべく検出感度に角度依存性がない状態とすることが望まれる。
【0072】
また、図7に示されるように、2つのPD51とAFE52とを含む回路では、同一の測定光の検出タイミングを2つのPD51で同じにするため、2つのPD51のAFE52までの配線長及び2つのPD51のグランドまでの配線長はなるべく等しい長さにすることが望まれる。ここで、PD51のAFE52までの配線長とは、PD51から取り出された配線60、及び、回路基板における配線60からAFE52までの配線の合計の配線長を意味する。また、PD51のグランドまでの配線長とは、PD51から取り出された配線61、及び、回路基板における配線61からAFE52のグランドまでの配線の合計の配線長を意味する。
【0073】
また、2つのPD51とAFE52とを含む回路では、測定に影響を及ぼす寄生容量及び寄生インダクタンスを小さくするため、2つのPD51のAFE52までの配線長及び2つのPD51のAFE52のグランドまでの配線長はなるべく短くすることが望まれる。
【0074】
本実施形態の光測距装置20では、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置された2つのPD51の配線60及び配線61の取り出し方向は、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いている。
【0075】
この場合、2つのPD51の中間位置にAFE52を配置することにより、2つのPD51の配線60及び配線61の取り出し方向が外側に傾いている場合と比較して、2つのPD51のAFE52までの配線長及びグランドまでの配線長を、等しくかつ短くすることができる。
【0076】
ここで、X軸方向において光学系の光軸に対する傾きの角度の絶対値が2つのPDで等しく、かつ、互いに逆方向に傾いている2つのPDを備えた光測距装置において、PDの傾きを変化させた場合の各種の特性の変化について説明する。
【0077】
先ず、光測距装置20における光の出射角を変化させた場合の、2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値と、検出光量との関係を示すグラフを図11に示す。図11のグラフの横軸は2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値を示しており、縦軸は検出光量を示している。
【0078】
ここで、「光測距装置20における光の出射角」とは、VCSELアレイ30から発光され光学系40を通過した後の光の、光学系40の光軸Aを基準とする出射角を意味する。
【0079】
図11のグラフでは、光の出射角を6.25°、18.75°、31.25°、43.75°、56.25°、及び、68.75°とした場合の6種類のデータを表示している。また、光の出射角毎に、PD1とPD2の2つのデータを表示している。PD1は、X軸方向に沿って配置された2つのPDのうちの一方のPDである。PD2は、X軸方向に沿って配置された2つのPDのうちの他方のPDであり、PD1とはX軸方向において逆方向に同じ角度(角度は絶対値)で傾いたPDである。
【0080】
図11に示されるように、光測距装置20における光の出射角毎に比較した場合に、全ての照射角度において、PD1よりもPD2の光線数が少ない結果となっており、さらに光線数が全く検出できない場合も生じている。これは、仮に光測距装置20が備える複数のPDの全ての傾きを、PD2と同じ傾き角度で配置した場合に、PD1と同じ傾き角度で配置した場合と比較して、検出感度が低下することを意味する。すなわち、光測距装置20が複数のPDを備える場合に、各々のPDの傾き角度を互いに異なる傾き角度とすることは有効である。
【0081】
次に、2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値と、PD1とPD2の出力を足した検出光量との関係を示すグラフを図12に示す。図12のグラフの横軸は2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値を示しており、縦軸はPD1とPD2の出力が足された検出光量を示している。
【0082】
図12に示されるように、2つのPD51のX軸方向における傾きの角度の絶対値が50°付近で、光の出射角毎の検出感度のばらつきが抑えられていることが分かる。
【0083】
次に、2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値と、照射角度が150°の場合の検出感度のばらつきとの関係を示すグラフを図13に示す。図13のグラフの横軸は2つのPDのX軸方向における傾きの角度の絶対値を示しており、縦軸は照射角度が150°の場合の検出感度のばらつきを示している。
【0084】
図13に示されるように、2つのPD51のX軸方向における傾きの角度の絶対値が42.5°以上62.5°以下の範囲で、検出感度のばらつきが抑えられていることが分かる。
【0085】
本実施形態の光測距装置20では、検出部50は、2つのPD51が互いに逆方向に傾いており、かつ、2つのPD51のX軸方向における傾きの角度の絶対値が共に45°であり、42.5°以上62.5°以下の構成となっている。そのため、検出手段の全ての検出素子の傾きを42.5°よりも小さいか62.5°よりも大きくした場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0086】
また、本実施形態の画像形成装置10において、光測距装置20は、画像形成装置10内において、X軸方向が画像形成装置10の水平方向になり、Y軸方向が画像形成装置10の垂直方向になるように配置されている。
【0087】
そのため、光測距装置20を、X軸方向が画像形成装置10の垂直方向になるように配置した場合と比較して、水平方向において画像形成装置10の周囲の測定対象物を広範囲に亘って測定することが可能となる。
【0088】
(第1実施形態の変形例)
なお、本実施形態に係る光測距装置20の構成は、上述の説明に限られない。
【0089】
例えば、検出手段は、PD51に限らず、例えばフォトマルチプライヤ等、光を検出可能なものであればどのようなものを用いてもよい。
【0090】
また、VCSELアレイ30の基板31における発光素子32の配置態様は、上記の様に千鳥状に配列された態様に限らず、例えば行列状に配列された態様等、どのような態様としてもよい。
【0091】
また、VCSELアレイ30における複数の発光領域Bの配置態様は、上記のようにX軸方向に沿って一次元状に配列された態様に限らず、図14から図16に示されるVCSELアレイ30Aのように、X軸方向及びY軸方向に沿って二次元状に配列された態様としてもよい。本例では、X軸方向において8行、Y軸方向において3列の合計24個の発光領域Bを備える。このような態様とすることにより、X軸方向及びY軸方向に沿って二次元状に光の走査を行うことができる。
【0092】
また、発光手段は、VCSELアレイ30に限らず、例えばLEDアレイ等、光を発するものであればどのようなものを用いてもよい。
【0093】
また、検出部50の2つのPD51の配線60及び配線61の取り出し方向は、側面から取り出す態様に限らず、底面から取り出す態様としてもよい。図17に示されるように、2つのPD51の各々の検出方向SをX軸方向においてVCSELアレイ30を中心として外側に傾けた場合、配線60及び配線61を底面から取り出す態様とすることにより、AFE52までの配線長を短くすることができる。
【0094】
また、検出部50の構成は、上記の構成に限らず、例えば以下の実施例1から実施例9の態様とする等、適宜変更することができる。
【0095】
(検出部の実施例)
次に、本開示の光測距装置20の検出部50の実施例について説明する。以下の実施例は、検出部50が備える複数のPD51の個数及び配置態様を変化させたものである。
【0096】
まず、実施例1の光測距装置20Aについて説明する。実施例1の光測距装置20Aの概略構成を示す正面図を図18に示す。なお、図18では、複数のPD51の配置態様を分かりやすく示すために、VCSELアレイ30、光学系40、検出部50の複数のPD51、及び、基板21のみ示しており、それ以外の要素は省略している。後述の実施例2から実施例9の構成を示す図19から図26についても同様である。
【0097】
図18に示されるように、実施例1の光測距装置20Aは、2つのPD51a及びPD51bを備える。PD51a及びPD51bは、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されている。また、PD51a及びPD51bの各々の検出方向Sは、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いている。また、PD51a及びPD51bは、Y軸方向において異なる位置に配置されている。
【0098】
2つのPD51a及びPD51bをX軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾けることにより、外側に傾ける場合と比較して、光の伝搬距離差を小さくすることができるため、測距精度を向上させることができる。
【0099】
また、PD51a及びPD51bをY軸方向において異なる位置に配置しているため、一方のPDが他方のPDの測定光を遮蔽しないようにすることができる。
【0100】
次に、実施例2の光測距装置20Bについて説明する。実施例2の光測距装置20Bの概略構成を示す正面図を図19に示す。
【0101】
図19に示されるように、実施例2の光測距装置20Bは、実施例1の光測距装置20Aと比較して、X軸方向において、2つのPD51a及びPD51bの間に、検出方向Sが光学系40の光軸と平行となるように配置されたPD51cを追加した構成である。
【0102】
このように、2つのPD51a及びPD51bの間に、2つのPD51a及びPD51bの検出方向Sとは異なる検出方向SのPD51cを追加することにより、実施例1の構成と比較して、検出感度のばらつきを抑えることができる。
【0103】
次に、実施例3の光測距装置20Cについて説明する。実施例3の光測距装置20Cの概略構成を示す正面図を図20に示す。
【0104】
図20に示されるように、実施例3の光測距装置20Cは、2つのPD51a及びPD51bを備える。PD51a及びPD51bは、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されている。また、PD51a及びPD51bの各々の検出方向Sは、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として外側に傾いている。
【0105】
2つのPD51a及びPD51bの配線を底面から取り出す態様とした場合、2つのPD51a及びPD51bを外側に傾けることにより、内側に傾ける場合と比較して、AFE52までの配線長を短くすることができる。
【0106】
次に、実施例4の光測距装置20Dについて説明する。実施例4の光測距装置20Dの概略構成を示す正面図を図21に示す。
【0107】
図21に示されるように、実施例4の光測距装置20Dは、実施例3の光測距装置20Cと比較して、X軸方向において、2つのPD51a及びPD51bの間に、検出方向Sが光学系40の光軸と平行となるように配置されたPD51cを追加した構成である。
【0108】
このように、2つのPD51a及びPD51bの間に、2つのPD51a及びPD51bの検出方向Sとは異なる検出方向SのPD51cを追加することにより、実施例3の構成と比較して、検出感度のばらつきを抑えることができる。
【0109】
次に、実施例5の光測距装置20Eについて説明する。実施例5の光測距装置20Eの概略構成を示す正面図を図22に示す。
【0110】
図22に示されるように、実施例5の光測距装置20Eは、4つのPD51aからPD51dを備える。PD51a及びPD51bは、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されている。PD51a及びPD51bの各々の検出方向Sは、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いている。
【0111】
また、PD51c及びPD51dは、Y軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されている。PD51c及びPD51dの各々の検出方向Sは、Y軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いている。
【0112】
実施例5の光測距装置20Eは、実施例1の光測距装置20Aと比較して、Y軸方向において検出方向Sが互いに異なる方向に傾いたPD51c及びPD51dが追加された構成となる。
【0113】
このような構成とすることにより、光測距装置20Aの効果に加えて、測定対象物が垂直方向に対して傾いていた場合でも、反射特性の影響を受けにくくすることができる。
【0114】
次に、実施例6の光測距装置20Fについて説明する。実施例6の光測距装置20Fの概略構成を示す正面図を図23に示す。
【0115】
図23に示されるように、実施例6の光測距装置20Fは、4つのPD51aからPD51dを備える。PD51a及びPD51bは、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されている。PD51a及びPD51bの各々の検出方向Sは、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として外側に傾いている。
【0116】
また、PD51c及びPD51dは、Y軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されている。PD51c及びPD51dの各々の検出方向Sは、Y軸方向においてVCSELアレイ30を中心として外側に傾いている。
【0117】
実施例6の光測距装置20Fは、実施例3の光測距装置20Cと比較して、Y軸方向において検出方向Sが互いに異なる方向に傾いたPD51c及びPD51dが追加された構成となる。
【0118】
このような構成とすることにより、光測距装置20Cの効果に加えて、測定対象物が垂直方向に対して傾いていた場合でも、反射特性の影響を受けにくくすることができる。
【0119】
次に、実施例7の光測距装置20Gについて説明する。実施例7の光測距装置20Gの概略構成を示す正面図を図24に示す。
【0120】
図24に示されるように、実施例7の光測距装置20Gは、2つのPD51a及びPD51bを備える。PD51a及びPD51bは、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されている。また、PD51a及びPD51bの各々の検出方向Sは、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いており、Y軸方向においてもVCSELアレイ30を中心として内側に傾いている。
【0121】
このような構成とすることにより、実施例5の光測距装置20Eと同等の効果を得ることができ、さらに、光測距装置20Eと比較してPDの数が少なくなるので、測定に影響を及ぼす寄生容量及び寄生インダクタンスを抑えることができる。
【0122】
次に、実施例8の光測距装置20Hについて説明する。実施例8の光測距装置20Hの概略構成を示す正面図を図25に示す。
【0123】
図25に示されるように、実施例8の光測距装置20Hは、2つのPD51a及びPD51bを備える。PD51a及びPD51bは、X軸方向においてVCSELアレイ30の中心位置Cを基準として両側に配置されている。また、PD51a及びPD51bの各々の検出方向Sは、X軸方向においてVCSELアレイ30を中心として外側に傾いており、Y軸方向においてVCSELアレイ30を中心として内側に傾いている。
【0124】
このような構成とすることにより、実施例6の光測距装置20Fと同等の効果を得ることができ、さらに、光測距装置20Fと比較してPDの数が少なくなるので、測定に影響を及ぼす寄生容量及び寄生インダクタンスを抑えることができる。
【0125】
次に、実施例9の光測距装置20Iについて説明する。実施例9の光測距装置20Iの概略構成を示す正面図を図26に示す。
【0126】
図26に示されるように、実施例9の光測距装置20Iは、実施例1の光測距装置20Aと比較して、2つのPD51a及びPD51bのX軸方向における間隔を狭くしたものである。
【0127】
このように、2つのPD51a及びPD51bのX軸方向における間隔をなるべく狭くすることにより、AFE52までの配線長を短くすることができる。
【0128】
[第2実施形態]
次に、図27は本発明の第2実施形態の人感ゲート100の概略構成を説明するための外観図である。図27におけるW軸、H軸、及び、D軸は、人感ゲート100における座標軸を示している。W軸方向は水平方向であって装置幅方向を示し、H軸方向は垂直方向であって装置上下方向を示し、D軸方向は水平方向であって装置奥行方向を示している。
【0129】
図27に示されるように、人感ゲート100は、枠101内を人が通過したことを検知する装置である。枠101の内側面には、枠101内を通過した人を検知する人感センサとして、光測距装置20が設けられている。
【0130】
本実施形態の人感ゲート100では、例えば、この光測距装置20を用いて枠101内を通過した人を検知することにより、人感ゲート100が設けられた施設又は敷地に対する人の出入りを検知する。
【0131】
光測距装置20の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0132】
光測距装置20は、人感ゲート100の枠101内において、X軸方向が人感ゲート100の垂直方向になり、Y軸方向が人感ゲート100の水平方向になるように、配置されている。
【0133】
これにより、光測距装置20は、人感ゲート100において、X軸方向が人感ゲート100の水平方向になり、Y軸方向が人感ゲート100の垂直方向になるように配置した場合と比較して、枠101内の広範囲に測定光を照射することができるため、人感ゲート100を通過した人の検知漏れを抑えることができる。
【0134】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置10及び人感ゲート100に対して本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、ATM(Automatic Teller Machine)装置又は券売機等のユーザが近づいてきて操作を行うような情報処理装置、あるいは、自走式の無人搬送車又はロボット掃除機等の障害物の検知を行う装置に対しても同様に本発明を適用することができるものである。
【0135】
[付記]
以下に、本開示の好ましい形態について付記する。
【0136】
(((1)))
第1の方向に沿って配列された複数の発光領域を有する発光手段と、
前記発光手段の光出射方向に配置され、前記複数の発光領域の各々から発光された光を、各々異なる方向に偏向する光学系と、
前記光学系から出射された光の反射光を検出する複数の検出素子を備え、複数の検出素子のうち一部の検出素子の検出方向が、前記第1の方向において他の検出素子の検出方向と異なるように配置された検出手段と、
を備えた光測距装置。
【0137】
(((2)))
前記検出手段は、前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子を備える
(((1)))に記載の光測距装置。
【0138】
(((3)))
前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々の検出方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として内側に傾いている
(((2)))に記載の光測距装置。
【0139】
(((4)))
前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々は、前記第1の方向と交差する第2の方向において異なる位置に配置されている
(((3)))に記載の光測距装置。
【0140】
(((5)))
前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の各々の検出方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として外側に傾いている
(((2)))に記載の光測距装置。
【0141】
(((6)))
前記第1の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子の配線の取り出し方向は、前記第1の方向において前記発光手段を中心として内側に傾いている
(((2)))から(((5)))のいずれか1項に記載の光測距装置。
【0142】
(((7)))
前記検出手段は、前記第1の方向と交差する第2の方向において前記発光手段の中心位置を基準として両側に配置された検出素子を備える
(((1)))から(((6)))のいずれか1項に記載の光測距装置。
【0143】
(((8)))
前記検出手段は、前記第1の方向において、前記光学系の光軸に対する傾きの角度の絶対値が42.5°以上62.5°以下であり、互いに逆方向に傾いている2つの検出素子を備える
(((1)))から(((7)))のいずれか1項に記載の光測距装置。
【0144】
(((9)))
(((1)))から(((8)))のいずれか1項に記載の光測距装置を備え、
前記発光手段は、前記第1の方向が水平方向になり、前記第1の方向と交差する第2の方向が垂直方向になるように配置されている
画像形成装置。
【0145】
以下に、付記の構成による効果について記載する。
【0146】
(((1)))の光測距装置によれば、検出手段が備える検出素子の検出方向が第1の方向に対して一律の場合と比較して、第1の方向の検出範囲における検出感度の差を抑えることができる。
【0147】
(((2)))の光測距装置によれば、検出手段の全ての検出素子が第1の方向において発光手段の一方の側のみに配置されている場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0148】
(((3)))の光測距装置によれば、第1の方向において発光手段の両側に配置された検出素子の各々の検出方向が発光手段を中心として外側に傾いている場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0149】
(((4)))の光測距装置によれば、第1の方向において発光手段の両側に配置された検出素子が第2の方向において同じ位置に配置されている場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0150】
(((5)))の光測距装置によれば、第1の方向において発光手段の両側に配置された検出素子の各々の検出方向が発光手段を中心として内側に傾いている場合と比較して、広範囲の反射光を検出することができる。
【0151】
(((6)))の光測距装置によれば、第1の方向において、発光手段の両側に配置された検出素子の配線の取り出し方向が発光手段を中心として外側に傾いている場合と比較して、検出素子の配線長を短くすることができる。
【0152】
(((7)))の光測距装置によれば、検出手段の全ての検出素子が第2の方向において発光手段の一方の側のみに配置されている場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0153】
(((8)))の光測距装置によれば、発光手段から発光された光の光学系透過後の第1の方向における照射角度が80°以上である場合に、検出手段の全ての検出素子の傾きを42.5°よりも小さいか62.5°よりも大きくした場合と比較して、測定精度を高くすることができる。
【0154】
(((9)))の画像形成装置によれば、発光手段を第1の方向が垂直方向になるように配置した場合と比較して、水平方向において画像形成装置の周囲の測定対象物を広範囲に亘って測定することができる。
【符号の説明】
【0155】
10 画像形成装置
20 光測距装置
21 基板
30 VCSELアレイ
31 基板
32 発光素子
40 光学系
50 検出部
51 PD
52 AFE
60 配線
61 配線
65 筐体
66 入射窓
67 受光部
70 制御部
100 人感ゲート
101 枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27