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特開2023-183327プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183327
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/06 20060101AFI20231220BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20231220BHJP
   B29B 11/08 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B29C49/06
B65D1/00 120
B29B11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096874
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛久
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 量哉
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
【テーマコード(参考)】
3E033
4F201
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA18
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033DB02
3E033DD13
3E033FA03
4F201AG07
4F201AH55
4F201AR12
4F201BA03
4F201BC02
4F201BD06
4F201BM05
4F201BM12
4F208AG07
4F208AH55
4F208AR12
4F208LA02
4F208LA08
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG14
4F208LG28
(57)【要約】
【課題】プラスチックボトルの大型化を図ることが可能な、プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法を提供する。
【解決手段】プリフォーム40は、口部41と、口部41に連結された胴部50と、胴部50に連結された底部60と、を備えている。胴部50は、口部41側に位置する小径部51と、底部60側に位置する大径部53と、小径部51と大径部53との間に位置し、小径部51側から大径部53側に向けて拡径する拡径部52とを有している。大径部53の厚みt4は、小径部51の厚みt2よりも厚くなっている。拡径部52の厚みt3は、小径部51側から大径部53側に向けて徐々に厚くなっている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と、
前記口部に連結された胴部と、
前記胴部に連結された底部と、を備え、
前記胴部は、
前記口部側に位置する小径部と、
前記底部側に位置する大径部と、
前記小径部と前記大径部との間に位置し、前記小径部側から前記大径部側に向けて拡径する拡径部とを有し、
前記大径部の厚みは、前記小径部の厚みよりも厚く、
前記拡径部の厚みは、前記小径部側から前記大径部側に向けて徐々に厚くなっている、プリフォーム。
【請求項2】
前記小径部の厚みは、前記口部の厚みよりも厚い、請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項3】
前記小径部の厚みは、1mm以上5mm以下であり、
前記拡径部の厚みは、2mm以上11mm以下であり、
前記大径部の厚みは、3mm以上11mm以下である、請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項4】
前記底部の厚みは、前記胴部側から前記底部の最下部に向けて徐々に薄くなっている、請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項5】
前記底部の厚みは、1.5mm以上5mm以下である、請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項6】
プラスチックボトルの製造方法であって、
請求項1乃至5のいずれか一項記載のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームを加熱する工程と、
前記プリフォームを二軸延伸ブロー成形する工程と、を備えた、プラスチックボトルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば射出成形法により作製したポリエチレンテレフタレート製プリフォームを二軸延伸ブロー成形し、プラスチックボトルを作製することが行われている。ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルは、機械的特性、化学的安定性、耐熱性、ガスバリア性および透明性などに優れ、かつ安価であることから、飲料品などを充填する容器などの製造に広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-13664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプラスチックボトルでは、プラスチックボトルの大型化を図ることが求められる場合がある。
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、プラスチックボトルの大型化を図ることが可能な、プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、口部と、前記口部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部と、を備え、前記胴部は、前記口部側に位置する小径部と、前記底部側に位置する大径部と、前記小径部と前記大径部との間に位置し、前記小径部側から前記大径部側に向けて拡径する拡径部とを有し、前記大径部の厚みは、前記小径部の厚みよりも厚く、前記拡径部の厚みは、前記小径部側から前記大径部側に向けて徐々に厚くなっている、プリフォームである。
【0007】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様によるプリフォームにおいて、前記小径部の厚みは、前記口部の厚みよりも厚くても良い。
【0008】
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様又は上述した第2の態様によるプリフォームにおいて、前記小径部の厚みは、1mm以上5mm以下であっても良く、前記拡径部の厚みは、2mm以上11mm以下であっても良く、前記大径部の厚みは、3mm以上11mm以下であっても良い。
【0009】
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによるプリフォームにおいて、前記底部の厚みは、前記胴部側から前記底部の最下部に向けて徐々に薄くなっていても良い。
【0010】
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれによるプリフォームにおいて、前記底部の厚みは、1.5mm以上5mm以下であっても良い。
【0011】
本開示の第6の態様は、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによるプリフォームを準備する工程と、前記プリフォームを加熱する工程と、前記プリフォームを二軸延伸ブロー成形する工程と、を備えた、プラスチックボトルの製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、プラスチックボトルの大型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す斜視図である。
図2図2は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す正面図(図1のII方向から見た矢視図)である。
図3図3は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す垂直断面図(図2のIII-III線断面図)であって、プラスチックボトルの肩部が伸長している状態を示す垂直断面図である。
図4図4は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す垂直断面図(図3に対応する断面図)であって、プラスチックボトルの肩部が収縮している状態を示す垂直断面図である。
図5図5は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す断面図(図2のV-V線断面図)である。
図6図6は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す底面図である。
図7図7は、一実施の形態によるプラスチックボトル組合体を示す斜視図である。
図8図8は、一実施の形態による内容物入りプラスチックボトル組合体を示す斜視図である。
図9図9は、一実施の形態によるプリフォームを示す正面図である。
図10図10は、一実施の形態によるプリフォームを示す垂直断面図(図9のX-X線断面図)である。
図11図11(a)-(e)は、一実施の形態によるプラスチックボトルの製造方法を示す図である。
図12図12は、一実施の形態によるプラスチックボトルの作用を説明する垂直断面図である。
図13図13は、一実施の形態によるプラスチックボトルの作用を説明する垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。図1乃至図13は本開示の一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
【0015】
(プラスチックボトルの構成)
まず、図1乃至図6により、本実施の形態によるプラスチックボトル10について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれプラスチックボトル10を正立させた状態(図1乃至図4)における上方および下方のことをいう。本明細書中、プラスチックボトル10の「中心軸CL1」とは、プラスチックボトル10の口部11の内面を構成する円筒の中心軸をいう。また、本明細書中、プリフォーム40の「中心軸CL2」とは、プリフォーム40の口部41の内面を構成する円筒の中心軸をいう。なお、プラスチックボトル10の中心軸CL1は、プラスチックボトル10を正立させた状態で接地させたときに、接地面となる平面に対して直交する直線である。
【0016】
また、本明細書中、「高さ方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CL1又はプリフォーム40の中心軸CL2に沿う方向をいい、「半径方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CL1又はプリフォーム40の中心軸CL2に対して直交する方向をいう。また、「周方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CL1又はプリフォーム40の中心軸CL2を中心とする円の円周方向をいう。
【0017】
図1乃至図6に示すプラスチックボトル10は、射出成形により得られるプリフォーム(後述するプリフォーム40)を準備し、このプリフォームに対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより作製される。
【0018】
図1乃至図4に示すように、プラスチックボトル10は、口部11と、口部11の下方に位置する首部12と、首部12の下方に位置する肩部20と、肩部20の下方に位置する胴部13と、胴部13の下方に位置する底部30とを備えている。
【0019】
このうち口部11は、キャップ80(図8参照)に螺着されるねじ部14と、ねじ部14の下方に位置するフランジ部15とを有している。このようなプラスチックボトル10に内容液等の内容物が充填され、口部11にキャップ80が装着されることにより、内容物入りプラスチックボトル10A(図8参照)が得られる。内容物としては、飲料のほか、醤油等の調味料、塩等の粉末状の食品、コーヒー豆等の固形物、又は、液体洗剤等の非食品であっても良い。なお、口部11にねじ部14が設けられていなくても良い。すなわち、プラスチックボトル10が、いわゆる打栓式のプラスチックボトルであっても良い。
【0020】
首部12は、フランジ部15と肩部20との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。
【0021】
肩部20は、首部12と胴部13との間に位置しており、首部12側から胴部13側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。肩部20は、プラスチックボトル10が接地される水平面Sに対して平行な断面(以下、水平断面ともいう)において、多角形形状を有している。本実施の形態では、肩部20は、水平断面において、四角形形状(正方形形状)を有している。なお、本明細書中、「多角形形状」とは、多角形の角部が丸められた形状をも含むものとする。
【0022】
肩部20は、第1肩部21と、環状部22と、第2肩部23とを有している。このうち、第1肩部21は、口部11側に位置し、口部11側から胴部13側に向けて拡径している。すなわち、第1肩部21は、首部12側から胴部13側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
【0023】
環状部22は、第1肩部21と第2肩部23との間に位置している。環状部22の詳細については、後述する。
【0024】
第2肩部23は、胴部13側に位置し、口部11側から胴部13側に向けて拡径している。すなわち、第2肩部23は、首部12側から胴部13側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
【0025】
ここで、肩部20は、プラスチックボトル10の中心軸CL1方向(上下方向)に沿って伸縮自在に構成されている。この場合、肩部20の環状部22が変形することにより、肩部20が伸縮するように構成されている。具体的には、環状部22は、上面が水平面に対して平行となる第1位置(図3参照)と、上面が径方向内側に向かうにつれて下方へ傾斜する第2位置(図4参照)とをとる。
【0026】
環状部22が第1位置をとった場合、図3に示すように、肩部20は、伸長状態となる。
【0027】
一方、環状部22が第2位置をとった場合、図4に示すように、肩部20は、収縮状態となる。この場合、環状部22は、上方に向かうにつれて、徐々に径が大きくなる筒形状を有する。また、環状部22が第2位置をとった場合、環状部22は、第1肩部21の径方向外側の周縁から、上方へ延びるようになる。ここで、環状部22が変形する場合、第2肩部23は大きく変形しないように構成されている。このため、肩部20が伸縮した場合であっても、胴部13が変形し難くなる。このため、肩部20は、胴部13を変形させることなく、伸長状態から収縮状態になることができる。
【0028】
そして、肩部20が収縮状態となった場合、プラスチックボトル10の口部11が、肩部20が伸長状態となった場合よりも、下方に位置する。すなわち、環状部22が第2位置をとった場合には、環状部22が第1位置をとった場合よりも、プラスチックボトル10の口部11が下方に位置する。このため、プラスチックボトル10をコンパクトにできる。
【0029】
伸長状態での肩部20の高さH1(図3参照)は、例えば、30mm以上50mm以下であることが好ましい。また、収縮状態での肩部20の高さH2(図4参照)は、例えば、15mm以上45mm以下であることが好ましい。
【0030】
収縮状態での肩部20の高さH2は、伸長状態での肩部20の高さH1の40%以上98%以下であっても良く、50%以上90%以下であっても良く、60%以上70%以下であっても良い。高さH2が高さH1の40%以上であることにより、口部11にキャップ80が螺着された状態であっても、プラスチックボトル10の肩部20を伸長状態から収縮状態へ収縮させやすくできる。また、高さH2が高さH1の98%以下であることにより、プラスチックボトル10をよりコンパクトにできる。
【0031】
肩部20の厚みT1は、全体として略一定であっても良い。すなわち、第1肩部21、環状部22及び第2肩部23において、厚みT1が略一定であっても良い。肩部20の厚みT1は、例えば、6.5mm以上9.5mm以下であることが好ましい。肩部20の厚みT1が6.5mm以上であることにより、肩部20の剛性を高くできる。また、肩部20の厚みT1が9.5mm以下であることにより、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。
【0032】
胴部13は、水平断面において、多角形形状を有している。図5に示すように、胴部13は、水平断面において、四角形形状(正方形形状)を有している。すなわち、胴部13は、四角筒形状を有している。この場合、胴部13は、平坦面13aと、湾曲面13bとを有している。平坦面13a及び湾曲面13bは、周方向に沿って交互に設けられている。平坦面13a及び湾曲面13bは、それぞれ4つずつ設けられている。このうち、平坦面13aは、水平断面において、四角形の辺に対応する位置に設けられており、水平断面において、直線形状を有している。湾曲面13bは、水平断面において、四角形の角部に対応する位置に設けられており、水平断面において、円弧形状を有している。なお、胴部13は、八角筒形状等の多角筒形状を有していても良い。
【0033】
胴部13の高さH3(図2参照)は、例えば、200mm以上350mm以下であることが好ましい。胴部13の高さH3が200mm以上であることにより、プラスチックボトル10の容量を十分に確保できる。また、胴部13の高さH3が350mm以下であることにより、いわゆるバッグインボックスの替わりに、プラスチックボトル10を一般的な飲料ディスペンサに装着できる。
【0034】
胴部13の幅W(図2参照)は、150mm以上280mm以下であることが好ましい。胴部13の幅Wが150mm以上であることにより、プラスチックボトル10の容量を十分に確保できる。また、胴部13の幅Wが280mm以下であることにより、いわゆるバッグインボックスの替わりに、プラスチックボトル10を一般的な飲料ディスペンサに装着できる。
【0035】
胴部13の厚みT2は、全体として略一定であっても良い。胴部13の厚みT2は、底部30の厚みT3よりも厚くなっていることが好ましい。後述するように、底部30の厚みT3は、肩部20の厚みT1よりも厚くなり得る。この場合、胴部13の厚みT2は、肩部20の厚みT1よりも厚くなり得る。これにより、肩部20が伸縮する際に、胴部13が変形することを抑制できる。このため、肩部20をしっかりと変形(伸縮)させることができる。胴部13の厚みT2は、例えば、1mm以上10mm以下であることが好ましい。胴部13の厚みT2が1mm以上であることにより、胴部13の剛性を高くできる。また、胴部13の厚みT2が10mm以下であることにより、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。
【0036】
次に、底部30について説明する。図1乃至図4及び図6に示すように、底部30は、凹部31と、凹部31の周囲に設けられた接地部32とを有している。また、底部30は、接地部32の周囲に設けられた周縁部33を更に有している。このうち、凹部31は、底部30の中央に位置している。この凹部31は、垂直断面において、台形形状を有している。
【0037】
凹部31の深さDe(図3参照)は、20mm以上50mm以下であることが好ましい。凹部31の深さDeが20mm以上であることにより、プラスチックボトル10同士を上下方向に重ねた際に、一方のプラスチックボトル10の口部11を、他方のプラスチックボトル10の底部30の凹部31内に収納できる(図12参照)。また、一方のプラスチックボトル10の口部11及び当該口部11に装着されたキャップ80を、他方のプラスチックボトル10の底部30の凹部31内に収納できる(図13参照)。これにより、複数のプラスチックボトル10をコンパクトに収納できる。また、凹部31の深さDeが50mm以下であることにより、プラスチックボトル10の成形性が低下することを抑制できる。
【0038】
接地部32は、凹部31と周縁部33との間に位置する環状の平坦な部分である。この接地部32は、プラスチックボトル10を正立させた際、接地面に接触する部分である。
【0039】
また、図1図2及び図6に示すように、底部30には、半径方向に沿って延びる複数の第1リブ34と、半径方向に沿って延びる複数の第2リブ35とが設けられている。このうち第1リブ34は、凹部31、接地部32及び周縁部33に跨がるように形成されている。第2リブ35は、周縁部33のみに形成されている。このため、第1リブ34の長さは、第2リブ35の長さよりも長くなっている。また、第1リブ34及び第2リブ35は、それぞれ放射状に設けられており、周方向に沿って交互に設けられている。具体的には、第1リブ34及び第2リブ35は、8本ずつ周方向に等間隔に配置されている。なお、第1リブ34の本数及び第2リブ35の本数は、これに限られない。
【0040】
底部30の高さH4(図2参照)は、例えば、20mm以上50mm以下であることが好ましい。
【0041】
底部30の厚みT3(図3参照)は、全体として略一定であっても良い。底部30の厚みT3は、肩部20の厚みT1よりも厚くなっていることが好ましい。上述したように、胴部13の厚みT2は、底部30の厚みT3よりも厚くなり得る。この場合、胴部13の厚みT2は、肩部20の厚みT1よりも厚くなり得る。これにより、肩部20が伸縮する際に、胴部13が変形することを抑制できる。このため、肩部20をしっかりと変形(伸縮)させることができる。底部30の厚みT3は、例えば、1mm以上10mm以下であることが好ましい。底部30の厚みT3が1mm以上であることにより、プラスチックボトル10が落下したときに、底部30が飛び出して永久変形することを抑止できる。また、底部30の厚みT3が10mm以下であることにより、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。
【0042】
また、このようなプラスチックボトル10のサイズは限定されるものではない。例えば、プラスチックボトル10の満注容量は、1000ml以上40000ml以下としても良く、5000ml以上20000ml以下とすることが好ましく、7500ml以上15000ml以下とすることがさらに好ましい。プラスチックボトル10の満注容量は、一例として、11000mlであっても良い。
【0043】
また、肩部20が伸長状態である場合、プラスチックボトル10の高さH5(図3参照)は、例えば、250mm以上500mm以下であることが好ましい。また、肩部20が収縮状態である場合、プラスチックボトル10の高さH6(図4参照)は、例えば、200mm以上450mm以下であることが好ましい。
【0044】
さらに、プラスチックボトル10の重量は、これに限定されるものではないが、満注容量が15000ml以下の場合、100g以上250g以下としても良く、150g以上230g以下とすることが好ましい。
【0045】
また、プラスチックボトル10は、合成樹脂材料を射出成形して作製したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製できる。なお、プラスチックボトル10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)等を使用できる。また、プラスチックボトル10は、2層のポリエチレンテレフタレート層によってバリア材料層を挟んだ多層構造としても良い。例えば、PET/MXD6/PETという多層構造としたプリフォームを作製し、これを二軸延伸ブロー成形することにより、多層容器であるプラスチックボトル10を作製しても良い。プラスチックボトル10の材料としては、使用済みのプラスチック製品を選別、粉砕、洗浄することによって作製された、リサイクルしたプラスチックを用いても良い。なお、プラスチックボトル10は、二軸延伸ブロー成形のほか、ダイレクトブロー成形等の各種成形法によって作製されても良い。
【0046】
また、プラスチックボトル10は、バージンポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステル(以下、単にバージンポリエステル等とも記す)を含んでいても良い。ここで、本明細書中、「バージンポリエステル」とは、リサイクル処理が施されていないポリエステル、すなわち、未使用のポリエステルのことをいう。また、本明細書中、「ケミカルリサイクルポリエステル」とは、ポリエステル容器をモノマーレベルまで分解して、再度重合することにより得られたポリエステルのことをいう。
【0047】
プラスチックボトル10がバージンポリエステル等を含む場合、バージンポリエステル等の含有量は、プラスチックボトル10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
【0048】
プラスチックボトル10がバージンポリエステルを含んでいる場合、バージンポリエステルは、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルから選択されても良い。本明細書において、例えば、アンチモン触媒ポリエステルとは、ポリエステルの製造時に、重合触媒として、アンチモン触媒が用いられたポリエステルを意味する。したがって、上記列挙したポリエステルは、重合触媒として、それぞれの触媒が用いられたポリエステルを意味する。
【0049】
アンチモン触媒としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモングリコールなどが挙げられる。
【0050】
マンガン触媒としては、例えば、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩、水酸化マンガンなどが挙げられる。
【0051】
チタン触媒としては、例えば、テトラ-n-プロピルチタネート、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートテトラマー、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸-水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン-塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム及びチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。
【0052】
アルミニウム触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)及びエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0053】
リチウム触媒としては、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びフェニルリチウムなどが挙げられる。
【0054】
ゲルマニウム触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラプロポキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラペンタキシド及びゲルマニウムテトラヘキソキシドなどが挙げられる。
【0055】
ここで、本実施の形態において、「ポリエステル」とは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物との共重合体を意味する。
【0056】
ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸及びエチルマロン酸、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸及びこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
【0057】
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン、シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3-メチル-1,2-シクロペンタジオール、4-シクロペンテン-1,3-ジオール、アダマンジオール、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0058】
ポリエステルの中でも、テレフタル酸と、エチレングリコールとの共重合体であるポリエチレンテレフタレート、又はこれに共重合モノマーが添加された改質ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0059】
また、ポリエステルは、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートであっても良く、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートであっても良い。バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸化合物が化石燃料由来のテレフタル酸であり、ジオール化合物がバイオマス由来のエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレートであっても良い。このように、プラスチックボトル10がバイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含むことにより、プラスチックボトル10の環境負荷低減性を向上できる。
【0060】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、ポリエステルは、ジカルボン酸化合物及びジオール化合物以外のモノマーを含んでいても良いが、その含有量は、全構成単位に対し、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。
【0061】
また、プラスチックボトル10は、メカニカルリサイクルポリエステルを含んでいても良い。この場合、プラスチックボトル10の環境負荷低減性を向上できる。ここで、本明細書中、「メカニカルリサイクルポリエステル」とは、ポリエステル容器を選別・粉砕・洗浄して汚染物質や異物を除去し、フレークを得て、フレークを更に高温・減圧下等で一定時間処理して樹脂内部の汚染物質を除去することにより得られたポリエステルのことをいう。メカニカルリサイクルポリエステルは、二種以上の触媒を含むものであっても良い。この場合、メカニカルリサイクルポリエステルは、例えば、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルのうちの二種以上を含んでも良い。
【0062】
プラスチックボトル10がメカニカルリサイクルポリエステルを含む場合、メカニカルリサイクルポリエステルの含有量は、プラスチックボトル10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
【0063】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、プラスチックボトル10は、添加剤を含んでいても良く、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、アセトアルデヒド吸収剤(例えば、Color Matrix社製のAA Scavengers)及び着色剤などが挙げられる。
【0064】
ここで、このようなプラスチックボトル10では、プラスチックボトル10同士を上下方向に重ねた状態で搬送及び保管することが求められ得る。この場合、例えば、図7に示すように、4つのプラスチックボトル10が上下方向に重ねられても良い。また、図8に示すように、4つの内容物入りプラスチックボトル10Aが上下方向に重ねられても良い。なお、上下方向に重ねられるプラスチックボトル10の数は、これに限られず、3つ以下であっても良い。本実施の形態では、このようなプラスチックボトル10を複数備えるプラスチックボトル組合体1も提供する。同様に、上下方向に重ねられる内容物入りプラスチックボトル10Aの数は、これに限られず、3つ以下であっても良い。本実施の形態では、このような内容物入りプラスチックボトル10Aを複数備える内容物入りプラスチックボトル組合体1Aも提供する。
【0065】
(プリフォームの構成)
次に、図9及び図10により、本実施の形態によるプリフォーム40について説明する。プリフォーム40は、上述したプラスチックボトル10を製造するために用いる部材である。
【0066】
図9及び図10に示すように、プリフォーム40は、口部41と、口部41に連結された胴部50と、胴部50に連結された底部60と、を備えている。
【0067】
このうち口部41は、上述したプラスチックボトル10の口部11に対応する部分であり、口部11と略同一の形状を有している。すなわち、口部41は、ねじ部42と、ねじ部42の下方に設けられたフランジ部43とを有している。プリフォーム40のねじ部42及びフランジ部43は、それぞれ、プラスチックボトル10のねじ部14及びフランジ部15に対応する部分であり、ねじ部14及びフランジ部15と略同一の形状を有している。
【0068】
図8に示すように、口部41の厚みt1は、例えば、0.5mm以上5mm以下であっても良い。なお、口部41の厚みt1は、口部41のうち、ねじ部42が形成されていない領域の厚みを意味する。なお、口部41の厚みt1は、口部41の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0069】
また、口部41の高さh1は、例えば、7mm以上60mm以下であることが好ましい。また、口部41の外径D1は、20mm以上90mm以下であることが好ましい。さらに、口部41の内径D2は、10mm以上30mm以下であることが好ましい。なお、口部41の内径D2は、口部41の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0070】
胴部50は、上述したプラスチックボトル10の首部12、肩部20及び胴部13に対応する部分である。胴部50は、口部41に連結され、口部41から下方に向けて延びている。また、胴部50の水平断面は、その上端から下端までの任意の箇所において円形となっている。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部50が、楕円筒形状、または四角形筒形状等の多角形筒形状等の筒形状を有していてもよい。
【0071】
この胴部50は、小径部51と、拡径部52と、大径部53とを有している。小径部51は、口部41側に位置している。拡径部52は、小径部51と大径部53との間に位置している。大径部53は、底部60側に位置している。
【0072】
このうち小径部51は、フランジ部43の下部に連結されている。小径部51は、胴部50において最も外径が小さい部分であり、略均一な外径をもつ円筒形状を有している。小径部51の厚みt2は、全体として略一定となっている。
【0073】
小径部51の厚みt2は、口部41の厚みt1よりも厚くなっていることが好ましい(t1<t2)。これにより、小径部51の延伸倍率を大きくできる。このため、プラスチックボトル10の大型化を図ることができる。小径部51の厚みt2は、例えば、1mm以上5mm以下であることが好ましい。小径部51の厚みt2が1mm以上であることにより、小径部51の延伸倍率をより大きくでき、プラスチックボトル10の更なる大型化を図ることができる。また、小径部51の厚みt2が1mm以上であることにより、小径部51の厚みt2と、大径部53の厚みt4との差を小さくできる。これにより、プリフォーム40を射出成形によって作製する際に、射出樹脂の流れが悪くなることを抑制できる。このため、射出樹脂の流動性を高く保つことができ、プリフォーム40の成形性を向上できる。また、小径部51の厚みt2が5mm以下であることにより、プリフォーム40から作製されるプラスチックボトル10において、首部12が厚くなりすぎることを抑制できる。このため、ブロー成形の成形性を向上できる。
【0074】
また、小径部51の高さh2は、例えば、2mm以上30mm以下であることが好ましい。また、小径部51の外径D3は、20mm以上90mm以下であることが好ましい。さらに、小径部51の内径D4は、15mm以上85mm以下であることが好ましい。なお、小径部51の内径D4は、上述した口部41の内径D2と略同一であっても良い。また、小径部51の内径D4は、小径部51の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0075】
拡径部52は、小径部51の下部に連結されており、小径部51側から大径部53側に向けて拡径している。拡径部52の水平断面は、その上端から下端までの任意の箇所において円形となっている。拡径部52の厚みt3は、小径部51側から大径部53側に向けて徐々に厚くなっている。これにより、拡径部52のうち、延伸倍率が大きくなり得る部分の延伸倍率を大きくできる。ここで、拡径部52においては、小径部51側から大径部53側に向けて、延伸倍率が大きくなり得る。このため、小径部51側から大径部53側に向けて、拡径部52の厚みt3を徐々に厚くすることにより、小径部51側から大径部53側に向けて、拡径部52の延伸倍率を大きくできる。この結果、大型のプラスチックボトル10を容易に得ることができる。拡径部52の任意の位置において、拡径部52の厚みt3は、2mm以上11mm以下であることが好ましい。拡径部52の厚みt3が2mm以上であることにより、拡径部52の延伸倍率をより大きくでき、プラスチックボトル10の更なる大型化を図ることができる。また、拡径部52の厚みt3が11mm以下であることにより、プリフォーム40から作製されるプラスチックボトル10において、肩部20及び胴部13が厚くなりすぎることを抑制できる。このため、ブロー成形の成形性を向上できる。
【0076】
また、拡径部52の高さh3は、例えば、30mm以上70mm以下であることが好ましい。また、拡径部52の外径D5は、高さ方向に沿って変化している。拡径部52の任意の位置において、拡径部52の外径D5は、20mm以上100mm以下であることが好ましい。さらに、拡径部52の内径D6は、15mm以上95mm以下であることが好ましい。なお、拡径部52の内径D6は、上述した口部41の内径D2と略同一であっても良い。また、拡径部52の内径D6は、拡径部52の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0077】
拡径部52の外面は、プリフォーム40の中心軸CL2に対して傾斜している。垂直断面において、拡径部52の外面が中心軸CL2に対して傾斜する角度θは、0.1°以上7°以下としても良く、1°以上5°以下とすることが好ましい。角度θが0.1°以上であることにより、プリフォーム40を射出成形によって作製する際に、プリフォーム40が図示しない金型から離形しやすくなる。また、角度θが7°以下であることにより、プリフォーム40を射出成形によって作製する際に、射出樹脂の流れが悪くなることを抑制できる。このため、射出樹脂の流動性を高く保つことができ、プリフォーム40の成形性を向上できる。
【0078】
大径部53は、拡径部52の下部に連結されている。大径部53は、胴部50において最も外径が大きい部分であり、略均一な外径をもつ円筒形状を有している。大径部53の厚みt4は、全体として略一定となっている。
【0079】
大径部53の厚みt4は、小径部51の厚みt2よりも厚くなっていることが好ましい。これにより、大径部53の延伸倍率を大きくできる。ここで、大径部53は、小径部51及び拡径部52と比較して、延伸倍率が大きくなり得る部分である。このため、大径部53の延伸倍率を大きくできることにより、大型のプラスチックボトル10を容易に得ることができる。大径部53の厚みt4は、例えば、3mm以上11mm以下であることが好ましい。大径部53の厚みt4が3mm以上であることにより、大型のプラスチックボトル10をより容易に得ることができる。また、大径部53の厚みt4が11mm以下であることにより、プリフォーム40から作製されるプラスチックボトル10において、胴部13が厚くなりすぎることを抑制できる。このため、ブロー成形の成形性を向上できる。
【0080】
また、大径部53の高さh4は、例えば、20mm以上70mm以下であることが好ましい。また、大径部53の外径D7は、35mm以上100mm以下であることが好ましい。さらに、大径部53の内径D8は、30mm以上95mm以下であることが好ましい。なお、大径部53の内径D8は、上述した口部41の内径D2と略同一であっても良い。また、大径部53の内径D8は、大径部53の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0081】
底部60は、大径部53の下部に連結されている、底部60は、上述したプラスチックボトル10の底部30に対応する部分であり、略半球形状を有している。また、底部60の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形となっている。垂直断面において、底部60の外面は、全体として半円形状を有している。しかしながら、これに限られず、底部60の外面の少なくとも一部が、非円弧の部分を含む曲線形状であっても良い。垂直断面において、底部60の外面を構成する半円の中心O1は中心軸CL2に存在する。
【0082】
垂直断面において、底部60の内面の少なくとも一部は、非円弧の部分を含む曲線形状である。図示された例においては、垂直断面において、底部60の内面は、先端が丸められた略V字形状を有している。
【0083】
底部60の厚みt5は、胴部50側から底部60の最下部61に向けて徐々に薄くなっている。これにより、底部60の中心が厚くなりすぎることを抑制でき、また、プラスチックボトル10の重量を抑えることができる。また、底部60のうち、厚みt5が最も厚くなる部分における厚みt5(以下、t5aとも記す)に対する、最下部61における厚みt5(以下t5bとも記す)の割合(t5b/t5a)は、0.6以上0.95以下であっても良く、0.7以上0.85以下とすることが好ましい。上記割合(t5b/t5a)が0.6以上であることにより、底部60の延伸倍率をより大きくできるとともに、ブロー成形の成形性が低下することを抑制できる。また、上記割合が0.95以下であることにより、底部60の中心が厚くなりすぎることを効果的に抑制でき、また、プラスチックボトル10の重量をより抑えることができる。
【0084】
底部60の任意の位置において、底部60の厚みt5は、1.5mm以上5mm以下であることが好ましい。底部60の厚みt5が1.5mm以上であることにより、底部60の延伸倍率をより大きくでき、プラスチックボトル10の更なる大型化を図ることができる。また、底部60の厚みt5が5mm以下であることにより、プリフォーム40から作製されるプラスチックボトル10において、底部30が厚くなりすぎることを抑制できる。このため、ブロー成形の成形性を向上できる。また、底部60のうち、厚みt5が最も厚くなる部分における厚みt5aは、例えば、1.5mm以上5mm以下であっても良い。さらに、最下部61における厚みt5bは、例えば、1.5mm以上4.75mm以下であっても良い。
【0085】
また、底部60の高さh5は、例えば、7mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0086】
このようなプリフォーム40の口部41、胴部50及び底部60は、互いに一体的に形成されている。なお、胴部50及び底部60の合計高さh6(フランジ部43よりも下の部分の高さ方向の長さ)は、59mm以上190mm以下とすることが好ましい。
【0087】
以上を纏めると、プリフォーム40において、口部41、胴部50及び底部の形状は、例えば、以下の表1及び表2のようにしても良い。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
(プラスチックボトルの製造方法)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用(プラスチックボトルの製造方法)について述べる。
【0091】
まず、図9及び図10に示すプリフォーム40を準備する(図11(a))。この場合、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂製ペレットを図示しない射出成形機に投入し、このペレットが射出成形機によって加熱溶融及び加圧される。その後、ペレットは加圧された溶融プラスチックとなって、プリフォーム40に対応する内部形状を有する射出成形金型内に射出される。所定時間の経過後、射出成形金型内で溶融プラスチックが硬化し、プリフォーム40が形成される。その後、射出成形金型を分離し、射出成形金型内から図9及び図10に示すプリフォーム40を取り出す。なお、プリフォーム40は、射出成形法のほか、圧縮成形法等の各種成形法によって作製されても良い。
【0092】
次に、プリフォーム40は、加熱装置71によって加熱される(図11(b))。このとき、プリフォーム40は、口部41を下方に向けた状態で回転しながら、加熱装置71によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム40の加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
【0093】
続いて、加熱装置71によって加熱されたプリフォーム40は、ブロー成形金型70に送られる(図11(c))。
【0094】
プラスチックボトル10は、このブロー成形金型70を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型70は互いに分割された一対の胴部金型70a、70bと、底部金型70cとからなる(図11(c))。図11(c)において、一対の胴部金型70a、70b間は互いに開いており、底部金型70cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型70a、70b間に、プリフォーム40が挿入される。
【0095】
次に、図11(d)に示すように、底部金型70cが下がったのちに一対の胴部金型70a、70bが閉鎖され、一対の胴部金型70a、70b及び底部金型70cにより密閉されたブロー成形金型70が構成される。次に、プリフォーム40内に空気が圧入され、プリフォーム40に対して二軸延伸ブロー成形が施される。
【0096】
これにより、ブロー成形金型70内でプリフォーム40からプラスチックボトル10が得られる。この間、胴部金型70a、70bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型70cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型70内では、プリフォーム40が膨張され、ブロー成形金型70の内面に対応する形状に賦形される。
【0097】
次に、図11(e)に示すように、一対の胴部金型70a、70b及び底部金型70cが互いに離れ、ブロー成形金型70内からプラスチックボトル10が取出される。このようにして、図1乃至図6に示すプラスチックボトル10が得られる。
【0098】
その後、プラスチックボトル10内に内容物を充填する。また、内容物が充填されたプラスチックボトル10の口部11にキャップ80を装着する。このようにして、内容物入りプラスチックボトルが得られる。
【0099】
ところで、このようなプラスチックボトル10では、上述したように、プラスチックボトル10同士を上下方向に重ねた状態で搬送及び保管することが求められ得る。とりわけ、大型のプラスチックボトル10では、プラスチックボトル10同士を上下方向に重ねた状態で搬送及び保管することが求められ得る。これに対して、本実施の形態では、プラスチックボトル10の肩部20が、プラスチックボトル10の中心軸CL1方向(上下方向)に沿って伸縮自在に構成されている。この場合、肩部20が収縮状態となることにより、プラスチックボトル10をコンパクトにできる。とりわけ、図12に示すように、肩部20が収縮状態となることにより、プラスチックボトル10同士を上下方向に重ねた際に、一方のプラスチックボトル10bの口部11を、他方のプラスチックボトル10aの底部30の凹部31内に収納できる。また、図13に示すように、肩部20が収縮状態となることにより、内容物入りプラスチックボトル10A同士を上下方向に重ねた際に、一方のプラスチックボトル10bの口部11及び当該口部11に装着されたキャップ80を、他方のプラスチックボトル10aの底部30の凹部31内に収納できる。これにより、複数のプラスチックボトル10(内容物入りプラスチックボトル10A)をコンパクトに収納できる。なお、この場合、他方のプラスチックボトル10aの接地部32が、一方のプラスチックボトル10bの第1肩部21と、環状部22と第2肩部23との間の境界近傍とに接触しても良い。そして、これにより、他方のプラスチックボトル10aが、一方のプラスチックボトル10bに支持されても良い。上述したように、本実施の形態では、このようなプラスチックボトル10を複数備えるプラスチックボトル組合体1も提供する。すなわち、本実施の形態では、プラスチックボトル(一のプラスチックボトル)10aが、プラスチックボトル(他のプラスチックボトル)10b上に積み重ねられており、プラスチックボトル10bの肩部20が、収縮状態をとり、プラスチックボトル10bの口部11が、プラスチックボトル10aの凹部31内に収納されている、プラスチックボトル組合体1も提供する。同様に、本実施の形態では、このような内容物入りプラスチックボトル10Aを複数備える内容物入りプラスチックボトル組合体1Aも提供する。すなわち、本実施の形態では、プラスチックボトル(一のプラスチックボトル)10aが、プラスチックボトル(他のプラスチックボトル)10b上に積み重ねられており、プラスチックボトル10bの肩部20が、収縮状態をとり、プラスチックボトル10bの口部11及び当該口部11に装着されたキャップ80が、プラスチックボトル10aの凹部31内に収納されている、内容物入りプラスチックボトル組合体1Aも提供する。
【0100】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プリフォーム40の胴部50が、口部41側に位置する小径部51と、底部60側に位置する大径部53と、小径部51と大径部53との間に位置し、小径部51側から大径部53側に向けて拡径する拡径部52とを有している。また、大径部53の厚みt4が、小径部51の厚みt2よりも厚くなっている(t2<t4)。これにより、大径部53の延伸倍率を大きくできる。すなわち、小径部51及び拡径部52と比較して、延伸倍率が大きくなり得る大径部53の延伸倍率を大きくできる。また、拡径部52の厚みt3が、小径部51側から大径部53側に向けて徐々に厚くなっている。この場合、拡径部52のうち、延伸倍率が大きくなり得る部分の延伸倍率を大きくできる。これにより、プリフォーム40から作製されるプラスチックボトル10の大型化を図ることができる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、小径部51の厚みt2が、口部41の厚みt1よりも厚くなっている。これにより、小径部51の延伸倍率を大きくできる。このため、プラスチックボトル10を容易に大型にできる。
【0102】
また、本実施の形態によれば、小径部51の厚みt2が1mm以上5mm以下である。また、拡径部52の厚みt3が2mm以上11mm以下である。さらに、大径部53の厚みt4が3mm以上11mm以下である。これにより、延伸倍率が大きくなり得る部分の延伸倍率を大きくできる。このため、プリフォーム40から作製されるプラスチックボトル10の更なる大型化を図ることができる。
【0103】
また、本実施の形態によれば、底部60の厚みt5は、胴部50側から底部60の最下部61に向けて徐々に薄くなっている。これにより、底部60の中心が厚くなりすぎることを抑制でき、また、プラスチックボトル10の重量を抑えることができる。
【0104】
なお、上述した実施の形態においては、プリフォーム40から、図1乃至図6に示すプラスチックボトル10を作製する例について説明した。しかしながら、上述したプリフォーム40を用いて作製されるプラスチックボトルは、これに限定されないことは勿論である。例えば、図示はしないがペタロイドボトルであっても良い。また、プラスチックボトル10は、二軸延伸ブロー成形のほか、ダイレクトブロー成形等の各種成形法によって作製されても良い。
【0105】
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0106】
10 プラスチックボトル
41 口部
50 胴部
51 小径部
52 拡径部
53 大径部
60 底部
61 最下部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13