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特開2023-183333半導体装置、モノリシックマイクロ波集積回路、半導体パッケージ及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183333
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】半導体装置、モノリシックマイクロ波集積回路、半導体パッケージ及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20231220BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L21/90 S
H01L21/90 M
H01L21/90 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096881
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松田 慶太
【テーマコード(参考)】
5F033
5F102
【Fターム(参考)】
5F033GG02
5F033HH07
5F033HH13
5F033HH18
5F033HH19
5F033JJ07
5F033JJ13
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033KK07
5F033KK13
5F033KK18
5F033KK19
5F033QQ08
5F033QQ09
5F033QQ26
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR22
5F033SS11
5F033SS21
5F033TT04
5F033VV07
5F033VV10
5F033XX14
5F102GA15
5F102GA16
5F102GA17
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ05
5F102GK04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR12
5F102GS02
5F102GS04
5F102GT01
5F102GV05
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC24
(57)【要約】
【課題】耐湿性を向上することができる、半導体装置、モノリシックマイクロ波集積回路、半導体パッケージ及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成された半導体素子と、前記半導体素子を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜の上に形成された第3絶縁膜と、を有し、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも水分を透過させにくく、前記第2絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜の誘電率よりも低く、前記第1絶縁膜が、前記半導体基板の上面の第1領域に接する第1部分を有し、前記第3絶縁膜が、前記第1部分の上面及び側面と、前記半導体基板の前記上面の前記第1領域よりも前記半導体素子から離れた第2領域とに接する第2部分を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成された半導体素子と、
前記半導体素子を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の上に形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜の上に形成された第3絶縁膜と、
を有し、
前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも水分を透過させにくく、
前記第2絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜の誘電率よりも低く、
前記第1絶縁膜が、前記半導体基板の上面の第1領域に接する第1部分を有し、
前記第3絶縁膜が、前記第1部分の上面及び側面と、前記半導体基板の前記上面の前記第1領域よりも前記半導体素子から離れた第2領域とに接する第2部分を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜は窒化シリコン又は酸化シリコンを含み、
前記第2絶縁膜はポリイミドを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜からなる群から選択された少なくとも一種の無機膜を複数含み、
前記第3絶縁膜は、複数の前記無機膜のうちで前記半導体素子から最も離れている、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板は、
前記第1領域に形成された第1平面と、
前記第2領域に形成された第2平面と、
を有し、
前記第2平面は、前記第1平面よりも前記半導体基板の下面に近い、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板は、
基板と、
前記基板の上に形成された半導体層と、を有し、
前記第2平面は前記半導体層に形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2絶縁膜の上に形成され、前記第3絶縁膜に覆われた配線層を有する、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁膜と前記半導体素子との間に形成された第4絶縁膜と、
前記第4絶縁膜と前記半導体素子との間に形成された第5絶縁膜と、
を有し、
前記第5絶縁膜は、前記第2絶縁膜及び前記第4絶縁膜よりも水分を透過させにくく、
前記第4絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜、前記第3絶縁膜及び前記第5絶縁膜の誘電率よりも低く、
前記第5絶縁膜が、前記半導体基板の上面の第1領域よりも前記半導体素子に近い第3領域に接する第3部分を有し、
前記第1絶縁膜が、前記第3部分の上面及び側面に接する、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第4絶縁膜はポリイミドを含み、
前記第5絶縁膜は窒化シリコン又は酸化シリコンを含む、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体素子は、高電子移動度トランジスタを含む、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置を含むモノリシックマイクロ波集積回路。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置と、
前記半導体装置の少なくとも上面及び側面を封止する樹脂と、を含む半導体パッケージ。
【請求項12】
半導体基板の上に半導体素子を形成する工程と、
前記半導体素子を覆い、前記半導体基板の上面の第1領域に接する第1部分を有する第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜の上に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2絶縁膜の上に第3絶縁膜を形成する工程と、
を有し、
前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも水分を透過させにくく、
前記第2絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜の誘電率よりも低く、
前記第3絶縁膜は、前記第1部分の上面及び側面と、前記半導体基板の前記上面の前記第1領域よりも前記半導体素子から離れた第2領域とに接する第2部分を有するように形成される、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、モノリシックマイクロ波集積回路、半導体パッケージ及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に層間絶縁膜を設けた半導体装置がある。この半導体装置では、耐湿性を高めるため、有機系層間絶縁膜と無機膜とを積層している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-47575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体基板の薄膜化に伴い、反りが生じやすくなっている。反りが発生すると、無機膜は、半導体基板からはがれやすくなる。この無機膜のはがれは、半導体装置の耐湿性を低下させる。
【0005】
本開示は、耐湿性を向上することができる半導体装置、モノリシックマイクロ波集積回路、半導体パッケージ及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成された半導体素子と、前記半導体素子を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜の上に形成された第3絶縁膜と、を有し、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも水分を透過させにくく、前記第2絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜の誘電率よりも低く、前記第1絶縁膜が、前記半導体基板の上面の第1領域に接する第1部分を有し、前記第3絶縁膜が、前記第1部分の上面及び側面と、前記半導体基板の前記上面の前記第1領域よりも前記半導体素子から離れた第2領域とに接する第2部分を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、耐湿性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体基板の拡大図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その5)である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その6)である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その7)である。
図10図10は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図11図11は、第2実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
図12図12は、第2実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
図13図13は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
図15図15は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
図16図16は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
図17図17は、第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図18図18は、第4実施形態に係る半導体基板の拡大図である。
図19図19は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
図20図20は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
図21図21は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
図22図22は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
図23図23は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その5)である。
図24図24は、第5実施形態に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成された半導体素子と、前記半導体素子を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜の上に形成された第3絶縁膜と、を有し、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも水分を透過させにくく、前記第2絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜の誘電率よりも低く、前記第1絶縁膜が、前記半導体基板の上面の第1領域に接する第1部分を有し、前記第3絶縁膜が、前記第1部分の上面及び側面と、前記半導体基板の前記上面の前記第1領域よりも前記半導体素子から離れた第2領域とに接する第2部分を有する。
【0011】
第1絶縁膜が第3絶縁膜の第2部分の上面及び側面と、半導体基板の第2領域とに接している。そのため、第1絶縁膜及び第3絶縁膜と半導体基板との密着性が向上する。その結果、半導体基板に反りが発生しても、半導体基板から第1絶縁膜及び第3絶縁膜がはがれにくくなる。このため、半導体装置の耐湿性を高めることができ、信頼性を向上することができる。また、第1絶縁膜及び第3絶縁膜よりも誘電率が低い第2絶縁膜が含まれるため、第2絶縁膜を間に挟むように配線層を設けることで、配線層の間の寄生容量の増加を抑制できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜は窒化シリコン又は酸化シリコンを含み、前記第2絶縁膜はポリイミドを含んでもよい。この場合、窒化シリコン及び酸化シリコンにより優れた耐湿性を得ながら、ポリイミドにより低い誘電率を得やすい。
【0013】
〔3〕 〔1〕または〔2〕において、窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜からなる群から選択された少なくとも一種の無機膜を複数含み、前記第3絶縁膜は、複数の前記無機膜のうちで前記半導体素子から最も離れていてもよい。この場合、半導体素子から最も離れた無機膜が第1絶縁膜の第1部分の上面及び側面と、半導体基板の第2領域とに接している。半導体素子から離れた無機膜を半導体基板からはがれにくくすることによって、半導体装置への外側からの水分の侵入を抑制することができる。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記半導体基板は、前記第1領域に形成された第1平面と、前記第2領域に形成された第2平面と、を有し、前記第2平面は、前記第1平面よりも前記半導体基板の下面に近くてもよい。この場合、第1平面と第2平面との間に段差が形成されるため、第3絶縁膜が半導体基板に接する面積が増加する。面積の増加により、半導体基板と第3絶縁膜との密着性が向上する。その結果、第3絶縁膜が半導体基板からはがれにくくなり、半導体装置の耐湿性が向上する。
【0015】
〔5〕 〔4〕において、前記半導体基板は、基板と、前記基板の上に形成された半導体層と、を有し、前記第2平面は前記半導体層に形成されていてもよい。この場合、第3絶縁膜と半導体層との密着性が向上し、半導体装置の耐湿性が向上する。
【0016】
〔6〕 〔1〕から〔5〕のいずれかにおいて、前記第2絶縁膜の上に形成され、前記第3絶縁膜に覆われた配線層を有してもよい。この場合、第2絶縁膜の上に形成された配線層と、当該配線層よりも半導体基板に近く形成された配線層との間の寄生容量を低く抑えることができる。
【0017】
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記第1絶縁膜と前記半導体素子との間に形成された第4絶縁膜と、前記第4絶縁膜と前記半導体素子との間に形成された第5絶縁膜と、を有し、前記第5絶縁膜は、前記第2絶縁膜及び前記第4絶縁膜よりも水分を透過させにくく、前記第4絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜、前記第3絶縁膜及び前記第5絶縁膜の誘電率よりも低く、前記第5絶縁膜が、前記半導体基板の上面の第1領域よりも前記半導体素子に近い第3領域に接する第3部分を有し、前記第1絶縁膜が、前記第3部分の上面及び側面に接してもよい。第1絶縁膜が第5絶縁膜の第3部分の上面及び側面に接していることで、第1絶縁膜および第5絶縁膜と半導体基板との密着性が向上する。密着性が向上したことによって、第1絶縁膜及び第5絶縁膜は、さらに半導体基板からはがれにくくなり、耐湿性が向上する。
【0018】
〔8〕 〔7〕において、前記第4絶縁膜はポリイミドを含み、前記第5絶縁膜は窒化シリコン又は酸化シリコンを含んでもよい。この場合、窒化シリコン及び酸化シリコンにより優れた耐湿性を得ながら、ポリイミドにより低い誘電率を得やすい。
【0019】
〔9〕 〔1〕から〔8〕のいずれかにおいて、前記半導体素子は、高電子移動度トランジスタを含んでもよい。この場合、高電子移動度トランジスタを含む半導体装置の耐湿性を向上させることができる。
【0020】
〔10〕 本開示の他の一態様に係るモノリシックマイクロ波集積回路は、〔1〕から〔9〕のいずれかの半導体装置を含む。この場合、モノリシックマイクロ波集積回路の耐湿性を向上させることができる。
【0021】
〔11〕 本開示の他の一態様に係る半導体パッケージは、〔1〕から〔9〕のいずれかの半導体装置と、前記半導体装置の少なくとも上面及び側面を封止する樹脂と、を含む。この場合、樹脂封止された半導体パッケージの耐湿性を向上させることができる。
【0022】
〔12〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の上に半導体素子を形成する工程と、前記半導体素子を覆い、前記半導体基板の上面の第1領域に接する第1部分を有する第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜の上に第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜の上に第3絶縁膜を形成する工程と、を有し、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも水分を透過させにくく、前記第2絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜の誘電率よりも低く、前記第3絶縁膜は、前記第1部分の上面及び側面と、前記半導体基板の前記上面の前記第1領域よりも前記半導体素子から離れた第2領域とに接する第2部分を有するように形成される。
【0023】
第1絶縁膜が第3絶縁膜の第2部分の上面及び側面と、半導体基板の第2領域とに接するため、第1絶縁膜及び第3絶縁膜と半導体基板との密着性が向上する。その結果、半導体基板に反りが発生しても、半導体基板から第1絶縁膜及び第3絶縁膜がはがれにくくなる。このため、半導体装置の耐湿性を高めることができ、信頼性を向上することができる。また、第1絶縁膜及び第3絶縁膜よりも誘電率が低い第2絶縁膜を形成するため、第2絶縁膜を間に挟むように配線層を設けることで、配線層の間の寄生容量の増加を抑制できる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0025】
(第1実施形態)
本開示の実施形態は、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置に関する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0026】
第1実施形態に係る半導体装置100は、例えば、モノリシックマイクロ波集積回路(Monolithic Microwave Integrated Circuit:MMIC)である。半導体装置100は、半導体基板10と、その上に形成された半導体素子、例えばHEMT110と、キャパシタ120と、を有する。半導体素子は、抵抗及びインダクタであってもよい。
【0027】
半導体基板10は、基板102と、その上に形成された半導体層101とからなる。基板102は、窒化ガリウム(GaN)系半導体の成長用基板である。基板102は、例えば、シリコンカーバイト(SiC)基板である。基板102の厚さは、例えば75μm~150μmの範囲内であり、一例では100μmである。半導体層101は、GaN系の窒化物半導体層を含む。窒化物半導体層の厚さは、例えば0.5μm~3.0μmの範囲内であり、一例では1.0μmである。なお、半導体層101として、ひ化ガリウム(GaAs)系の半導体層を用いてもよい。
【0028】
ここで、第1実施形態に係る半導体装置における半導体基板10の拡大図を、図2を用いて説明する。
【0029】
図2に示されるように、半導体基板10は、基板102と、GaN系の半導体層101を有する。GaN系の半導体層101は、例えば有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)を用いて、基板102上にエピタキシャル成長される。半導体層101は、バッファ層161と、チャネル層162と、電子供給層163とを有する。
【0030】
バッファ層161は、基板102上にエピタキシャル成長したGaN層である。バッファ層161の厚さは、例えば300nm~1000nmの範囲内であり、一例では500nmの厚さである。
【0031】
チャネル層162は、バッファ層161上にエピタキシャル成長したGaN層である。チャネル層162の厚さは、5nm~15nmの範囲内であり、一例では10nmの厚さである。
【0032】
電子供給層163は、チャネル層162上にエピタキシャル成長した窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層である。電子供給層163の厚さは、20nm~40nmの範囲内であり、一例では30nmの厚さである。
【0033】
HEMT110は、半導体層101上に形成されたソース電極111と、ドレイン電極112と、ゲート電極113と、を有する。HEMT110では、絶縁膜114に複数の開口が形成され、それぞれの開口の内側に、ソース電極111、ゲート電極113及びドレイン電極112が形成されている。絶縁膜114としては、例えば、窒化シリコン(SiN)膜が用いられる。絶縁膜114の厚さは、例えば、100nmである。HEMT110は、さらに、ソース電極111、ゲート電極113及びドレイン電極112並びに絶縁膜114を覆う絶縁膜121を有する。絶縁膜121としては、一例として、SiN膜が用いられる。絶縁膜121の厚さは、例えば100nmである。
【0034】
ソース電極111及びドレイン電極112は、それぞれオーミック金属層からなる。オーミック金属層は、例えば、チタン(Ti)層もしくはタンタル(Ta)層とアルミニウム(Al)層との積層構造が熱処理により合金化されてなる。Ti層もしくはTa層の厚さは、例えば50nm~20nmの範囲内であり、一例では10nmである。Al層の厚さは、例えば50nm~1000nmの範囲内であり、一例では500nmである。
【0035】
ゲート電極113は、半導体層101の上に設けられる。ゲート電極113は、ソース電極111及びドレイン電極112との間に配置される。ゲート電極113は、例えばニッケル(Ni)層、パラジウム(Pd)層、及び金(Au)層の積層構造からなる。Ni層の厚さは、例えば100nmであり、Pd層の厚さは、例えば50nmであり、Au層の厚さは、例えば500nmである。Ni層は、半導体層101とショットキー接続をなす。
【0036】
キャパシタ120は、絶縁膜121上にこの順番に形成された下部電極122と、誘電体膜123と、上部電極124と、を有する。下部電極122及び上部電極124は、例えば、それぞれ、Ti層とAu層とを積層した金属層からなる。下部電極122の幅は、例えば160μmで、上部電極124の幅は、例えば、150μmである。Ti層の厚さは10nm~300nmの範囲内であり、一例では100nmである。Au層の厚さは、100nm~2000nmの範囲内であり、一例では1000nmである。誘電体膜123は、例えばSiN膜または酸化シリコン(SiO)膜からなる。誘電体膜123の厚さは、100nm~400nmの範囲内であり、一例では、200nmである。
【0037】
半導体装置100は、第1配線層131と、第2配線層132と、を有する。第2配線層132は、第1配線層131を介してソース電極111及び上部電極124と電気的に接続される。なお、ソース電極111及びゲート電極113も、図示されていないが、それぞれ第1配線層131及び第2配線層132に接続されている。また、半導体装置100は、第3配線層133と、第4配線層134と、開口109とを有する。第1配線層131、第2配線層132、第3配線層133及び第4配線層134は、チタンタングステン(TiW)層と、Au層とからなる。TiW層の厚さは、例えば100nmであり、Au層の厚さは、2.0μmである。
【0038】
半導体装置100は、第6絶縁膜151と、第7絶縁膜141と、第8絶縁膜152と、第5絶縁膜142と、第4絶縁膜153と、第1絶縁膜143と、第2絶縁膜154と、第3絶縁膜144と、第9絶縁膜155と、を有する。
【0039】
第7絶縁膜141は、第1配線層131と、第6絶縁膜151の上面及び側面とを覆う。第8絶縁膜152は、第7絶縁膜141の上面及び側面を覆う。第5絶縁膜142は、第2配線層132と、第8絶縁膜152の上面及び側面とを覆う。第4絶縁膜153は、第5絶縁膜142の上面及び側面を覆う。
【0040】
第1絶縁膜143は、第3配線層133と、第4絶縁膜153の上面及び側面とを覆う。第2絶縁膜154は、第1絶縁膜143の上面及び側面を覆う。第3絶縁膜144は、第4配線層134と、第2絶縁膜154の上面及び側面とを覆う。第9絶縁膜155は、第3絶縁膜144の上面及び側面を覆う。
【0041】
第7絶縁膜141、第5絶縁膜142、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144は、それぞれ第1配線層131、第2配線層132、第3配線層133及び第4配線層134を水分の侵入から保護する。
【0042】
このように、第6絶縁膜151、第8絶縁膜152、第4絶縁膜153、第2絶縁膜154及び第9絶縁膜155と、第7絶縁膜141、第5絶縁膜142、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144とは、積層される。さらに第6絶縁膜151、第8絶縁膜152、第4絶縁膜153、第2絶縁膜154及び第9絶縁膜155と、第7絶縁膜141、第5絶縁膜142、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144とは、HEMT110及びキャパシタ120の上部及び側面を覆う。また、半導体装置100は、端部150を有する。端部150は、半導体基板10の上面に垂直な平面視で、HEMT110及びキャパシタ120等のすべての半導体素子を包囲する部分である。端部150は、例えば半導体基板10の外縁から半導体基板10の中心に向かって一定の距離の範囲内にある。
【0043】
第6絶縁膜151、第8絶縁膜152、第4絶縁膜153、第2絶縁膜154及び第9絶縁膜155は、例えば、それぞれポリイミド膜である。ポリイミド膜は、第1配線層131から第4配線層134の各配線層間に層間絶縁膜として用いられる。ポリイミド膜の誘電率は比較的低いため、配線層間の寄生容量の上昇を抑えることができる。例えば、ポリイミドから形成された第8絶縁膜152が用いられることで、第1配線層131と第2配線層132との間の寄生容量を低く抑えることができる。ポリイミドから形成された第4絶縁膜153が用いられることで、第2配線層132と第3配線層133との間の寄生容量を低く抑えることができる。また、ポリイミドから形成された第2絶縁膜154が用いられることで、第3配線層133と第4配線層134との間の寄生容量を低く抑えることができる。第6絶縁膜151、第8絶縁膜152、第4絶縁膜153、第2絶縁膜154及び第9絶縁膜155の厚さは、それぞれ1.0μm~5.0μmの範囲内であり、一例では2.0μmである。
【0044】
第7絶縁膜141、第5絶縁膜142、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜である。第7絶縁膜141、第5絶縁膜142、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144の厚さは、それぞれ50nm~400nmの範囲であり、一例では、200nmである。なお、第7絶縁膜141、第5絶縁膜142、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144として、酸化シリコン(SiO)膜を用いてもよい。
【0045】
第1絶縁膜143、第3絶縁膜144、第5絶縁膜142及び第7絶縁膜141は、第6絶縁膜151、第8絶縁膜152、第4絶縁膜153、第2絶縁膜154及び第9絶縁膜155よりも水分を透過させにくい。また、第6絶縁膜151、第8絶縁膜152、第4絶縁膜153、第2絶縁膜154及び第9絶縁膜155の誘電率は、第1絶縁膜143、第3絶縁膜144、第5絶縁膜142及び第7絶縁膜141の誘電率よりも低い。
【0046】
第7絶縁膜141は、端部150において、第6絶縁膜151の側面に接する部分及び第4領域171の半導体層101に接する第4部分181を有する。第8絶縁膜152は、端部150において、第7絶縁膜141の第4部分181上面及び第7絶縁膜141の側面に接する。第8絶縁膜152は、端部150において、半導体層101には接しない。
【0047】
第5絶縁膜142は、端部150において、第8絶縁膜152の側面に接する部分及び第3領域172の半導体層101に接する第3部分182を有する。第4絶縁膜153は、端部150において、第5絶縁膜142の第3部分182上面及び第5絶縁膜142の側面に接している。第4絶縁膜153は、端部150において、半導体層101には接しない。
【0048】
第1絶縁膜143は、端部150において、第4絶縁膜153の側面に接する部分及び第1領域173の半導体層101に接する第1部分183を有する。第2絶縁膜154は、端部150において、第1絶縁膜143の第1部分183上面及び第1絶縁膜143の側面に接している。さらに、第1部分183は、第2絶縁膜154の側面から外側に張り出している。ここで、外側とは、HEMT110及びキャパシタ120から見て、半導体基板10の外縁に近い側を意味する。第2絶縁膜154は、端部150において、半導体層101には接しない。
【0049】
第3絶縁膜144は、端部150において、第2絶縁膜154の側面に接する部分及び第1絶縁膜143の第1部分183に接する部分並びに半導体層101の第2領域174に接する第2部分184を有する。第9絶縁膜155は、端部150において、第3絶縁膜144の第2部分184上面及び第3絶縁膜144の側面に接する。第9絶縁膜155は、端部150において、半導体層101には接しない。
【0050】
ここで、実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。図3図8は、実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す断面図である。
【0051】
まず、図3に示すように、半導体基板10を用意する。半導体基板10は、基板102及び半導体層101を有する。半導体層101は、バッファ層161と、電子走行層として機能するチャネル層162と、電子供給層163とを有する。チャネル層162と電子供給層163との間には、格子定数の違いから歪みが生じる。この歪みによって、チャネル層162と電子供給層163とのチャネル層162側の界面に2次元電子ガス(2DEG)が生じチャネル領域が形成される。半導体基板10には、スクライブ領域103が設定されている。
【0052】
次に、HEMT110が形成される半導体層101の上に、絶縁膜114が形成される。絶縁膜114は、例えば、化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法により形成される。
【0053】
続いて、ソース電極111とドレイン電極112とに対応する箇所の絶縁膜114を、マスクを用いてエッチングし、それぞれに開口を形成する。このエッチングにより、それぞれの開口において半導体層101が露出する。露出された半導体層101上には、オーミック金属層が形成される。オーミック金属層を形成する工程は、一例として、露出した半導体層101上にTi層と、Al層とを形成し、熱処理して合金化する工程を含む。Ti層及びAl層は、例えば、真空蒸着法によって形成される。形成されたオーミック金属層は、それぞれソース電極111とドレイン電極112となる。
【0054】
続いて、ソース電極111とドレイン電極112との間の絶縁膜114を一部エッチングし、開口を形成する。このエッチングにより、開口の底部において半導体層101が露出する。この露出した半導体層101の上にゲート電極113が形成される。ゲート電極113は、例えば、半導体層101上に形成されたNi層と、このNi層上に形成されたAu層とからなる。
【0055】
次に、キャパシタ120を形成するために、CVD法によって全面に絶縁膜121が形成される。絶縁膜121は、ソース電極111と、ドレイン電極112と、ゲート電極113と、絶縁膜114との上、及び半導体層101の全面を覆う。絶縁膜121は、例えば、SiN膜である。
【0056】
続いて、下部電極122を形成するためにTi層とAu層とからなる金属層が絶縁膜121の全面に形成される。この金属層をキャパシタ120の下部電極122となる部分を残してエッチングし、下部電極122が形成される。続いて、下部電極122の全面に誘電体膜123がCVD法により形成される。その後、不要な部分の誘電体膜123をエッチングしてキャパシタ120の誘電体膜123が形成される。
【0057】
続いて、誘電体膜123の全面に金属層が形成される。この金属層には、下部電極122で用いたTi層とAu層とからなる金属層を用いてもよい。この金属層は下部電極122に対向し、設計された容量値を確保するのに必要な面積部分を残してエッチングされ、上部電極124が形成される。
【0058】
続いて、図4に示すように、第6絶縁膜151と、第1配線層131と、第7絶縁膜141とが形成される。第6絶縁膜151は、例えば、スピンコート法によって、全面に形成される。第6絶縁膜151は、上部電極124と、誘電体膜123と、絶縁膜121とを覆う。
【0059】
続いて、絶縁膜121と共に第6絶縁膜151をエッチングし、端部150において、半導体層101の表面を露出させる。このエッチングでは、併せて、ドレイン電極112及び上部電極124の表面が露出する。
【0060】
その後、全面に第1配線層131が形成される。この第1配線層131は、ドレイン電極112及び上部電極124並びにその他配線等に使用する部分を除いて、エッチングされる。このエッチングにより、ドレイン電極112と接続する第1配線層131と、上部電極124と接続する第1配線層131とが形成される。続いて、第7絶縁膜141がCVD法により全面に形成される。第7絶縁膜141は、第1配線層131と、第6絶縁膜151と、端部150の半導体層101と、を覆う。
【0061】
続いて、図5に示すように、第8絶縁膜152と、第2配線層132と、第5絶縁膜142とが形成される。第8絶縁膜152は、例えば、スピンコート法によって、第7絶縁膜141の表面に形成される。
【0062】
続いて、第8絶縁膜152と共に第7絶縁膜141をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第4領域171の上方に、第7絶縁膜141の第4部分181が形成され、第4部分181の上方に第8絶縁膜152が残る。その一方で、端部150における、第4領域171の外側においては、半導体層101の表面が露出する。また、このエッチングでは、併せて、第1配線層131の表面が露出される。
【0063】
その後、全面に第2配線層132が形成される。第2配線層132は、第1配線層131と接続される部分及びその他配線等に使用する部分を除いてエッチングされる。続いて、全面に第5絶縁膜142がCVD法により形成される。第5絶縁膜142は、第2配線層132と、第8絶縁膜152と、半導体層101の第4領域171よりもスクライブ領域103に近い部分と、を覆う。
【0064】
続いて、図6に示すように、第4絶縁膜153と、第3配線層133と、第1絶縁膜143とが形成される。第4絶縁膜153は、例えば、スピンコート法によって、第5絶縁膜142の表面に形成される。
【0065】
続いて、第4絶縁膜153と共に第5絶縁膜142をエッチングする。このエッチングにより、端部150において、第3領域172の上方に第5絶縁膜142の第3部分182が形成され、第3部分182の上方に第4絶縁膜153が残る。このとき、端部150における、第3領域172の外側にて、半導体層101の表面が露出する。また、このエッチングでは、必要に応じて第2配線層132の表面が露出される。
【0066】
なお、第3領域172は、第4領域171のスクライブ領域103のある方の外側であって、第4領域171に接する領域である。また、第5絶縁膜142は、第4領域171のスクライブ領域103のある方の端部に露出している第7絶縁膜141と接する。
【0067】
その後、全面に第3配線層133が形成される。第3配線層133は、露出した第2配線層132の表面と接続する部分及びその他配線等に使用する部分を除いて、エッチングされる。続いて、全面に第1絶縁膜143が形成される。第1絶縁膜143は、第3配線層133と、第4絶縁膜153と、第3領域172のスクライブ領域103のある方の外側の半導体層101の表面と、を覆う。
【0068】
続いて、図7に示すように、第2絶縁膜154と、第4配線層134と、第3絶縁膜144とが形成される。第2絶縁膜154は、例えばスピンコート法によって、第1絶縁膜143の表面に形成される。
【0069】
続いて、第2絶縁膜154と共に第1絶縁膜143をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第1領域173の上方に第1絶縁膜143の第1部分183が形成され、第1部分183の上方に第2絶縁膜154が残る。このとき、端部150における、第1領域173の外側においては、半導体層101の表面が露出する。また、このエッチングでは、必要に応じて第3配線層133の表面が露出される。
【0070】
その後、第1部分183を残して第2絶縁膜154のみを選択的にエッチングする。このエッチングにより第2絶縁膜154の側壁は、第1領域173の端部からスクライブ領域103から見て内側(スクライブ領域103から離れて行く方)に後退する。この結果、第1部分183の一部は、第2絶縁膜154の側壁からスクライブ領域103のある側に張り出す。
【0071】
この工程では、第1段階として、第2絶縁膜154と第1絶縁膜143とが第1マスクを用いてエッチングされる。その後、第2段階として、第2絶縁膜154のみが第1マスクとは別の第2マスクを用いてエッチングされる。すなわち、この工程では2段階のエッチングを行っている。第2マスクは、第1マスクに比べて、マスクする領域が内側(スクライブ領域103から離れて行く側)に後退している。この後退しているマスク領域により、第1部分183の一部であって、第2絶縁膜154の側壁からスクライブ領域103のある側に張り出す部分が形成される。
【0072】
なお、第1領域173は、第3領域172のスクライブ領域103のある方の外側であって、第3領域172に接する領域である。また、第1絶縁膜143は、第3領域172の端部に露出している第5絶縁膜142と接する。
【0073】
その後、全面に第4配線層134が形成される。第4配線層134は、第3配線層133と接続する部分及びその他配線等に使用する部分を除いてエッチングされる。
【0074】
続いて、全面に第3絶縁膜144がCVD法により形成される。第3絶縁膜144は、第4配線層134と、第2絶縁膜154と、半導体層101の第1領域173の外側と、を覆う。このとき、第3絶縁膜144は、第1部分183の第2絶縁膜154の側面から張り出した部分の上面及び側面と接する。さらに、第3絶縁膜144は、第1領域173のスクライブ領域103の方の外側の半導体層101と接する。
【0075】
続いて、図8に示すように、第9絶縁膜155が形成される。第9絶縁膜155は、例えばスピンコート法によって、第3絶縁膜144の表面に形成される。続いて、第9絶縁膜155と共に第3絶縁膜144をエッチングする。このエッチングにより、端部150において、第2領域174の上方に第3絶縁膜144の第2部分184及び第9絶縁膜155が残る。このとき第2領域174のスクライブ領域103の方の外側においては、半導体層101の表面が露出する。
【0076】
このエッチングでは、併せて、第4配線層134に対応する開口109が形成される。開口109は、第4配線層134を半導体装置100の外部と電気的に接続するためのパッドとなる。パッドは、一例としてボンディングワイヤと接続されるボンディングパッドである。なお、第3絶縁膜144の第3部分182の端部の表面は、第9絶縁膜155から露出する。
【0077】
ここまで説明してきた図3図8の製造工程は、半導体ウエハの状態で実施される。そのため、図8の工程が終了した後、以下に示すように切断されて個々の半導体装置100、いわゆるチップ、に分割される。
【0078】
図9に示すように、半導体層101及び基板102からなる半導体ウエハ20上には、スクライブ領域103が設定されている。スクライブ領域103は、ダイシングブレード104により切断される領域である。
【0079】
スクライブ領域103と第2絶縁膜154との間には、隙間が形成されている。スクライブ領域103と隙間とを合わせた幅は、ダイシングブレード104の幅よりも十分に広い幅に形成されている。一例として、ダイシングブレード104の幅は50μm、スクライブ領域と隙間とを合わせた幅は、100μmである。隙間が設けられている理由は、ダイシングブレード104の目詰まりを防止するためである。この目詰まりは、ダイシングブレード104が、第2絶縁膜154を切断することによって起こる。
【0080】
また、第3絶縁膜144及び第9絶縁膜155にダイシングブレード104が接触したときに、これらの膜に入るヒビ、いわゆるクラック(crack)、または欠け、いわゆるチッピング(chipping)、を防止するためでもある。さらに、切断時の衝撃によって、第3絶縁膜144が半導体層101からはがれてしまうことも防止できる。
【0081】
スクライブ領域103をダイシングブレード104にて切断することにより、半導体ウエハ20から、個片化された複数の半導体装置100が得られる。
【0082】
このようにして、第1実施形態に係る半導体装置100を製造することができる。
【0083】
本実施形態では、第1部分183の第2絶縁膜154から張り出した部分の上面及び側面に第3絶縁膜144が接している。さらに、第3絶縁膜144の第2部分184は、半導体層101の第2領域174に接している。そのため、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144と、半導体層101と、の密着性が向上し、はがれに強くなる。したがって、半導体装置100の耐湿性を向上させることができる。
【0084】
さらに、窒化シリコン又は酸化シリコンを含む複数の絶縁膜(無機膜)のうちで、HEMT110及びキャパシタ120から最も離れた第3絶縁膜144により強固な密着性が得られる。このため、水分が半導体装置100に特に侵入しにくい。従って、優れた耐湿性が得られる。
【0085】
上述の第1実施形態において、最も外側の第3絶縁膜144が第1部分183の第2絶縁膜154から張り出した部分の上面及び側面と接すると共に半導体層101に接する構成の半導体装置について説明した。しかしながら、この構成に限らず、以下のような構成とすることもできる。例えば、第5絶縁膜142が第4部分181の第8絶縁膜152から張り出した部分の上面と側面に接すると共に半導体層101に接する構成であってもよい。また、第1絶縁膜143が第3部分182の第4絶縁膜153から張り出した部分の上面と側面に接すると共に半導体層101に接する構成であってもよい。
【0086】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態はHEMTを含む半導体装置に関する。図10は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0087】
第2実施形態に係る半導体装置200は、例えば、MMICである。半導体装置200は、第10絶縁膜145が第3絶縁膜144を覆っている点で第1実施形態と異なる。
【0088】
第10絶縁膜145は、開口109の側壁及び第9絶縁膜155の表面を覆って形成される。第10絶縁膜145は、一例としてSiN膜又はSiO膜からなる。第10絶縁膜145は、第2領域174の上方において第3絶縁膜144の第2部分184に接する共に、半導体層101の第5領域175に接する。
【0089】
本実施形態の製造方法において、図3図6までの製造工程は第1実施形態と同じである。以下、図6に続く製造工程を、図11を用いて説明し、図11に続く工程を、図12を用いて説明する。
【0090】
図11に示すように、第2絶縁膜154と、第4配線層134と、第3絶縁膜144とが形成される。第2絶縁膜154は、例えばスピンコート法によって、第1絶縁膜143の表面に形成される。
【0091】
続いて、第2絶縁膜154と共に第1絶縁膜143をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第1領域173の上方に第1絶縁膜143の第1部分183が形成され、第1部分183の上方に第2絶縁膜154が残る。このとき、端部150における、第1領域173の外側においては、半導体層101の表面が露出する。
【0092】
その後、全面に第4配線層134が形成される。第4配線層134は、第3配線層133と接続する部分及びその他配線等に使用する部分を除いてエッチングされる。続いて、全面に第3絶縁膜144がCVD法により形成される。第3絶縁膜144は、第4配線層134と、第2絶縁膜154と、半導体層101の第1領域173よりもスクライブ領域103に近い部分と、を覆う。
【0093】
続いて、図12に示すように、第9絶縁膜155及び第10絶縁膜145が形成される。第9絶縁膜155は、例えばスピンコート法によって、第3絶縁膜144の表面に形成される。
【0094】
続いて、第9絶縁膜155と共に第3絶縁膜144をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第2領域174の上方に第3絶縁膜144の第2部分184が形成され、第2部分184の上方に第9絶縁膜155が残る。このとき、端部150における、第2領域174の外側においては、半導体層101の表面が露出する。また、このエッチングでは、第4配線層134の表面が露出する開口109を形成する。
【0095】
その後、第2部分184を残して第9絶縁膜155のみを選択的にエッチングする。このエッチングにより第9絶縁膜155の側壁は、第2領域174の端部からスクライブ領域103から見て内側(スクライブ領域103から離れて行く方)に後退する。この結果、第2部分184の一部は、第9絶縁膜155の側壁からスクライブ領域103のある側に張り出す。
【0096】
この工程では、第1段階として、第9絶縁膜155と第3絶縁膜144とが第3マスクを用いてエッチングされる。その後、第2段階として、第9絶縁膜155のみが第3マスクとは別の第4マスクを用いてエッチングされる。
【0097】
なお、第2領域174は、第1領域173のスクライブ領域103のある方の外側であって、第1領域173に接する領域である。また、第3絶縁膜144は、第1領域173の端部に露出している第1絶縁膜143と接する。
【0098】
続いて、全面に第10絶縁膜145がCVD法により形成される。第10絶縁膜145は、第4配線層134と、第9絶縁膜155と、半導体層101の第2領域174の外側とを覆う。このとき、第10絶縁膜145は、第2部分184の第9絶縁膜155の側面から張り出した部分の上面及び側面と接する。さらに、第10絶縁膜145は、第2領域174のスクライブ領域103の方の外側の半導体層101と接する。
【0099】
続いて、第10絶縁膜145をエッチングして、第5領域175の上方に第10絶縁膜145の第5部分185を残す。このとき、第5領域175よりもスクライブ領域103に近い位置においては、半導体層101の表面が露出する。このエッチングでは、併せて、開口109において第4配線層134の表面が露出し、開口109の側壁に第10絶縁膜145が残る。
【0100】
最後に、第1実施形態と同様に、スクライブ領域103をダイシングブレード104にて切断することにより、個片化された複数の半導体装置200が得られる。
【0101】
このようにして、第2実施形態に係る半導体装置200を製造することができる。
【0102】
本実施形態では、第10絶縁膜145が、第3絶縁膜144の第2部分184の第9絶縁膜155から張り出した部分の上面及び側面に接すると共に半導体層101に接する。そのため、第1実施形態と同様に、第3絶縁膜144及び第10絶縁膜145のはがれを抑制できる。さらに、水分を透過させにくい膜が増えることによって、半導体装置200への水分の侵入を更に抑制できる。
【0103】
したがって、第2実施形態では、第1実施形態よりも、半導体装置200の耐湿性を向上させることができる。
【0104】
また、開口109の側壁を覆う膜を第10絶縁膜145として使用しているため、工程が増えない。
【0105】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態はHEMTを含む半導体装置に関する。図13は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0106】
第3実施形態に係る半導体装置300は、例えば、MMICである。半導体装置300は、第1絶縁膜143が第3領域172上で第5絶縁膜142の第3部分182の上面及び側面に接している点で第1実施形態と異なる。
【0107】
具体的には、第1絶縁膜143は、第3部分182の第4絶縁膜153から半導体基板10の外縁に向かって張り出した部分の上面及び側面に接する部分と、半導体層101の第1領域173に接する第1部分183とを有する。
【0108】
本実施形態の製造方法は、図3図5に示される工程において第1実施形態と同じである。以下、図5に続く製造工程を、図14を用いて説明し、図14に続く工程を、図15を用いて説明し、図15に続く工程を、図16を用いて説明する。
【0109】
図14に示すように、第4絶縁膜153と、第3配線層133と、第1絶縁膜143とが形成される。第4絶縁膜153は、例えばスピンコート法によって、第5絶縁膜142の表面に形成される。
【0110】
続いて、第4絶縁膜153と共に第5絶縁膜142をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第3領域172の上方に第5絶縁膜142の第3部分182が形成され、第3部分182の上方に第4絶縁膜153が残る。このとき、端部150における、第3領域172の外側においては、半導体層101の表面が露出する。このエッチングでは、必要に応じて第2配線層132の表面が露出される。
【0111】
その後、第3部分182を残して第4絶縁膜153のみを選択的にエッチングする。このエッチングにより第4絶縁膜153の側壁は、第3領域172の端部からスクライブ領域103から見て内側(スクライブ領域103から離れて行く方)に後退する。この結果、第3部分182の一部は、第4絶縁膜153の側壁からスクライブ領域103のある側に張り出す。
【0112】
この工程では、第1段階として、第4絶縁膜153と第5絶縁膜142とが第5マスクを用いてエッチングされる。その後、第2段階として、第4絶縁膜153のみが第5マスクとは別の第6マスクを用いてエッチングされる。
【0113】
その後、全面に第3配線層133が形成される。第3配線層133は、第2配線層132と接続する部分及びその他配線等に使用する部分を除いてエッチングされる。
【0114】
続いて、全面に第1絶縁膜143がCVD法により形成される。第1絶縁膜143は、第3配線層133と、第4絶縁膜153と、半導体層101の第3領域172の外側と、を覆う。このとき、第1絶縁膜143は、第3部分182の第4絶縁膜153の側面から張り出した部分の上面及び側面と接すると共に、第3領域172よりもスクライブ領域103に近い位置で半導体層101の表面と接する。
【0115】
続いて、図15に示すように第2絶縁膜154と、第4配線層134と、第3絶縁膜144とが形成される。第2絶縁膜154は、例えばスピンコート法によって、第1絶縁膜143の表面に形成される。
【0116】
続いて、第2絶縁膜154と共に第1絶縁膜143をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第1領域173の上方に第1絶縁膜143の第1部分183が形成され、第1部分183の上方に第2絶縁膜154が残る。このとき、端部150における、第1領域173の外側においては、半導体層101の表面が露出する。このエッチングでは、必要に応じて第3配線層133の表面を露出させる。
【0117】
その後、第1部分183を残して第2絶縁膜154のみを選択的にエッチングする。このエッチングにより第2絶縁膜154の側壁は、第1領域173の端部からスクライブ領域103から見て内側(スクライブ領域103から離れて行く方)に後退する。この結果、第1部分183の一部は、第2絶縁膜154の側壁からスクライブ領域103のある側に張り出す。
【0118】
この工程では、第1段階として、第2絶縁膜154と第1絶縁膜143とが第7マスクを用いてエッチングされる。その後、第2段階として、第2絶縁膜154のみが第7マスクとは別の第8マスクを用いてエッチングされる。
【0119】
その後、全面に第4配線層134が形成される。第4配線層134は、第3配線層133と接続する部分及びその他配線等に使用する部分を除いてエッチングされる。続いて、全面に第3絶縁膜144がCVD法により形成される。第3絶縁膜144は、第4配線層134と、第2絶縁膜154と、半導体層101の第1領域173よりもスクライブ領域103に近い部分と、を覆う。このとき、第3絶縁膜144は、第1部分183の第2絶縁膜154の側面から張り出した部分の上面及び側面と接すると共に、第1領域173の外側の半導体層101の表面と接する。
【0120】
続いて、図16に示すように、第9絶縁膜155が形成される。具体的には、第9絶縁膜155が、例えばスピンコート法によって第3絶縁膜144の表面に形成される。
【0121】
続いて、第9絶縁膜155と共に第3絶縁膜144をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第2領域174の上方に第3絶縁膜144の第2部分184が形成され、第2部分184の上方に第9絶縁膜155が残る。このとき、端部150における、第2領域174の外側においては、半導体層101が露出する。また、このエッチングでは、併せて、第4配線層134の表面が露出する開口109を形成する。
【0122】
最後に、他の実施形態と同様に、スクライブ領域103をダイシングブレード104にて切断することにより、個片化された複数の半導体装置300が得られる。
【0123】
このようにして、第3実施形態に係る半導体装置300を製造することができる。
【0124】
本実施形態では、端部150において、第1絶縁膜143が、第3部分182の第4絶縁膜153から張り出した部分の上面及び側面に接すると共に半導体層101に接する。従って、第1絶縁膜143を半導体基板10からより一層剥離しにくくできる。このため、水分の侵入にさらに強くなり、さらに半導体装置300の耐湿性を向上させることができる。
【0125】
本実施形態において、さらに第5絶縁膜142が第4部分181の上面と側面に接すると共に半導体層101に接してもよい。この場合、第5絶縁膜142も半導体基板10からより一層剥離しにくくできる。従って、さらに半導体装置300の耐湿性を向上させることができる。
【0126】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態はHEMTを含む半導体装置に関する。図17は、第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0127】
第4実施形態に係る半導体装置400は、例えば、MMICである。半導体装置400は、端部150において、半導体層101がエッチングされ、高さの異なる平面が複数形成されている点で、第1実施形態と異なる。第4領域171と、第3領域172と、第1領域173と、第2領域174とは、この順番で半導体層101が薄くなるように形成されている。そのため、第4領域171、第3領域172、第1領域173及び第2領域174は、外側の領域がその内側の領域よりも低い平面を有する。
【0128】
ここで、第4実施形態に係る半導体装置における半導体基板10の拡大図を、図18を用いて説明する。
【0129】
図18に示されるように、第4領域171、第3領域172、第1領域173及び第2領域174は、それぞれチャネル層162及び電子供給層163を超えてバッファ層161までエッチングされた平面を有する。第4領域171は、バッファ層161のエッチング前の表面よりも低い第4平面14を有する。第3領域172は、第4平面14よりも低い第3平面13を有する。第1領域173は、第3平面13よりも低い第1平面11を有する。第2領域174は、第1平面11よりも低い第2平面12を有する。第2平面12は、第1平面11よりも半導体基板10の下面19に近い。なお、半導体層101をバッファ層161までエッチングしている理由は、HEMT110の特性に影響を及ぼさないためである。
【0130】
本実施形態の製造方法は、図3に示される工程において、第1実施形態と同じである。以下、図3に続く製造工程を、図19を用いて説明し、図19に続く工程を、図20を用いて、説明する。同様に、図20に続く工程を、図21を用いて説明し、図21に続く工程を、図22を用いて説明し、図22に続く工程を、図23を用いて説明する。
【0131】
図19に示すように、第6絶縁膜151と、第1配線層131と、第7絶縁膜141とが形成される。第6絶縁膜151は、例えばスピンコート法によって、全面に形成される。第6絶縁膜151は、上部電極124と、誘電体膜123と、絶縁膜121とを覆う。
【0132】
続いて、絶縁膜121と共に第6絶縁膜151をエッチングし、端部150において、半導体層101を露出させる。このとき、半導体層101はバッファ層161までエッチングされる。このエッチングにより、端部150のバッファ層161には、エッチング前の半導体層101の表面よりも低い第4平面14が形成される。このエッチングでは、併せて、ドレイン電極112及び上部電極124の表面が露出される。
【0133】
その後、全面に第1配線層131が形成される。この第1配線層131は、ドレイン電極112及び上部電極124並びにその他配線等に使用する部分を除いて、エッチングされる。このエッチングにより、ドレイン電極112と接続する第1配線層131と、上部電極124と接続する第1配線層131とが形成される。続いて、第7絶縁膜141がCVD法により全面に形成される。第7絶縁膜141は、第1配線層131と、第6絶縁膜151と、端部150の半導体層101と、を覆う。
【0134】
続いて、図20に示すように、第8絶縁膜152と、第2配線層132と、第5絶縁膜142とが形成される。第8絶縁膜152は、例えばスピンコート法によって、第7絶縁膜141の表面に形成される。
【0135】
続いて、第8絶縁膜152と共に第7絶縁膜141をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第4領域171の上方に第7絶縁膜141の第4部分181が形成され、第4部分181の上方に第8絶縁膜152が残る。このとき、第4領域171の外側においては、バッファ層161がさらにエッチングされる。このエッチングによって、第4領域171の外側のバッファ層161には、第4領域171の第4平面14よりも低い第3平面13が形成される。このエッチングでは、併せて、第1配線層131の表面が露出される。
【0136】
その後、全面に第2配線層132が形成される。第2配線層132は、第1配線層131と接続される部分及びその他配線等に使用する部分を除いてエッチングされる。続いて、全面に第5絶縁膜142がCVD法により形成される。第5絶縁膜142は、第2配線層132と、第8絶縁膜152と、半導体層101の第4領域171よりもスクライブ領域103に近い部分と、を覆う。
【0137】
続いて、図21に示すように、第4絶縁膜153と、第3配線層133と、第1絶縁膜143とが形成される。第4絶縁膜153は、例えばスピンコート法によって、第5絶縁膜142の表面に形成される。
【0138】
続いて、第4絶縁膜153と共に第5絶縁膜142をエッチングする。このエッチングにより、端部150において、第3領域172の上方に第5絶縁膜142の第3部分182が形成され、第3部分182の上方に第4絶縁膜153が残る。このとき、第3領域172の外側においては、バッファ層161がさらにエッチングされる。このエッチングによって、第3領域172の外側のバッファ層161には、第3領域172の第3平面13よりも低い第1平面11が形成される。このエッチングでは、必要に応じて第2配線層132の表面が露出される。
【0139】
その後、第3部分182を残して第4絶縁膜153のみを選択的にエッチングする。このエッチングにより、第4絶縁膜153の側壁は、第3領域172の端部からスクライブ領域103から見て内側(スクライブ領域103から離れて行く方)に後退する。この結果、第3部分182の一部は、第4絶縁膜153の側壁からスクライブ領域103のある側に張り出す。
【0140】
この工程では、第1段階として、第4絶縁膜153と第5絶縁膜142とが第9マスクを用いてエッチングされる。その後、第2段階として、第4絶縁膜153のみが第9マスクとは別の第10マスクを用いてエッチングされる。
【0141】
その後、全面に第3配線層133が形成される。第3配線層133は、第2配線層132と接する部分及びその他配線等に使用する部分を除いてエッチングされる。続いて、全面に第1絶縁膜143がCVD法により形成される。第1絶縁膜143は、第3配線層と、第4絶縁膜153と、半導体層101の第3領域172よりもスクライブ領域103に近い部分と、を覆う。このとき、第1絶縁膜143は、第3部分182の第4絶縁膜153の側面から張り出した部分の上面及び側面と接すると共に、第3領域172の外側のバッファ層161の表面と接する。
【0142】
続いて、図22に示すように、第2絶縁膜154と、第4配線層134と、第3絶縁膜144とが形成される。第2絶縁膜154は、例えばスピンコート法によって、第1絶縁膜143の表面に形成される。
【0143】
続いて、第2絶縁膜154と共に第1絶縁膜143をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第1領域173の上方に第1絶縁膜143の第1部分183が形成され、第1部分183の上方に第2絶縁膜154が残る。このとき、端部150における、第1領域173の外側においては、バッファ層161がさらにエッチングされる。このエッチングによって、第1領域173の外側のバッファ層161には、第1領域173の第1平面11よりも低い第2平面12が形成される。このエッチングでは、必要に応じて第3配線層133の表面が露出される。
【0144】
その後、第2絶縁膜154のみを選択的にエッチングする。このエッチングにより第2絶縁膜154の側壁は、第1領域173の端部からスクライブ領域103から見て内側(スクライブ領域103から離れて行く方)に後退する。この結果、第1部分183の一部は、第2絶縁膜154の側壁からスクライブ領域103のある側に張り出す。
【0145】
この工程では、第1段階として、第2絶縁膜154と第1絶縁膜143とが第11マスクを用いてエッチングされる。その後、第2段階として、第2絶縁膜154のみが第11マスクとは別の第12マスクを用いてエッチングされる。
【0146】
その後、全面に第4配線層134が形成される。第4配線層134は、第3配線層133と接続する部分及びその他配線等に使用する部分を除いてエッチングされる。続いて、全面に第3絶縁膜144がCVD法により形成される。第3絶縁膜144は、第4配線層134と、第2絶縁膜154と、半導体層101の第1領域173よりもスクライブ領域103に近い部分と、を覆う。このとき、第3絶縁膜144は、第1部分183の第2絶縁膜154の側面から張り出した部分の上面及び側面と接すると共に、第1領域173の外側のバッファ層161の表面と接する。
【0147】
続いて、図23に示すように、第9絶縁膜155が形成される。具体的には、第9絶縁膜155が、例えばスピンコート法によって、第3絶縁膜144の表面に形成される。
【0148】
続いて、第9絶縁膜155と共に第3絶縁膜144をエッチングする。このエッチングにより、端部150における、第2領域174の上方に第3絶縁膜144の第2部分184が形成され、第2部分184の上方に第9絶縁膜155が残る。このとき、端部150における、第2領域174の外側においては、第2領域174の平面と同じ平面を有するバッファ層161が露出する。
【0149】
このエッチングでは、併せて、第4配線層134に対応する開口109が形成される。なお、第3絶縁膜144の第2部分184の端部の側面は、第9絶縁膜155から露出する。
【0150】
最後に、他の実施形態と同様に、スクライブ領域103をダイシングブレード104にて切断することにより、個片化された複数の半導体装置400が得られる。
【0151】
このようにして、第4実施形態に係る半導体装置400を製造することができる。
【0152】
本実施形態では、半導体基板10に、高さが異なる第4平面14、第3平面13、第1平面11及び第2平面12が形成されている。従って、半導体基板10の上面には段差が存在する。このため、第7絶縁膜141、第5絶縁膜142、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144は、半導体基板10の上面だけでなく、段差に伴う壁面にも接触する。従って、第7絶縁膜141、第5絶縁膜142、第1絶縁膜143及び第3絶縁膜144の半導体基板10との接触面積が大きく、より強固な密着性が得られる。このため、第4実施形態によれば、更に優れた耐湿性が得られる。
【0153】
さらに、第4平面14、第3平面13、第1平面11及び第2平面12の間には、段差があるため、半導体装置400の外部から内部へ水分が侵入する距離が長くなる。水分の侵入する距離を長くすることによって、半導体装置400の耐湿性を向上させることができる。
【0154】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は半導体パッケージに関する。図17は、第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0155】
第5実施形態に係る半導体パッケージ500は、第1実施形態に係る半導体装置100と、ダイパッド105と、リード106と、ボンディングワイヤ107と、モールド樹脂108と、を有する。
【0156】
半導体装置100は、接着剤、例えばダイアタッチフィルム又はダイアタッチペーストを用いて、ダイパッド105上に固定される。
【0157】
ボンディングワイヤ107は、第4配線層134により形成されたボンディングパッドとリード106とを電気的に接続する。リード106及びダイパッド105は、例えば金属である。
【0158】
モールド樹脂108は、半導体装置100と、ボンディングワイヤ107と、ダイパッド105の裏面を除く部分と、リード106の一部を覆っている。モールド樹脂108は、例えば、プラスチック系のモールド樹脂である。
【0159】
ダイパッド105の裏面は半導体装置100からの熱を放散するためモールド樹脂108から露出しているが、この裏面をモールド樹脂108で覆ってもよい。
【0160】
なお、本実施形態では、半導体装置100として複数の半導体素子が1つのチップに形成されたものを用いて説明したが、これら半導体素子が複数の半導体装置に分けられたものであってもよい。この場合、複数の半導体装置がダイパッド105上に接着剤を介してそれぞれ固定される。
【0161】
また、本実施形態では、半導体装置100を用いて説明したが、半導体装置200、300及び400のいずれを用いてもよい。
【0162】
このように第5実施形態では、耐湿性を向上させた半導体装置100、200、300及び400を使用しているため、たとえ水分を通しやすいモールド樹脂を使用したとしても耐湿性の高い半導体パッケージを提供することができる。
【0163】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0164】
10:半導体基板
11:第1平面
12:第2平面
13:第3平面
14:第4平面
19:下面
20:半導体ウエハ
100、200、300、400:半導体装置
101:半導体層
102:基板
103:スクライブ領域
104:ダイシングブレード
105:ダイパッド
106:リード
107:ボンディングワイヤ
108:モールド樹脂
109:開口
110:高電子移動度トランジスタ
111:ソース電極
112:ドレイン電極
113:ゲート電極
114、121:絶縁膜
120:キャパシタ
122:下部電極
123:誘電体膜
124:上部電極
131:第1配線層
132:第2配線層
133:第3配線層
134:第4配線層
141:第7絶縁膜
142:第5絶縁膜
143:第1絶縁膜
144:第3絶縁膜
145:第10絶縁膜
150:端部
151:第6絶縁膜
152:第8絶縁膜
153:第4絶縁膜
154:第2絶縁膜
155:第9絶縁膜
161:バッファ層
162:チャネル層
163:電子供給層
171:第4領域
172:第3領域
173:第1領域
174:第2領域
175:第5領域
181:第4部分
182:第3部分
183:第1部分
184:第2部分
185:第5部分
500:半導体パッケージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24