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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183346
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 27/02 20060101AFI20231220BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20231220BHJP
   F02M 27/04 20060101ALI20231220BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F02M27/02 Z
F02M21/02 G
F02M27/02 V
F02M27/04 B
F02M21/02 K
F02M21/02 S
F02D19/02 B
F02D19/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096920
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】澤下 真人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一哉
(72)【発明者】
【氏名】島村 遼一
(72)【発明者】
【氏名】松山 翔
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AA05
3G092AA06
3G092AB09
3G092AB19
3G092BA09
3G092CA01
3G092DE17S
3G092FA31
3G092GA01
3G092GA10
3G092GB10
3G092HB02X
3G092HC09X
(57)【要約】
【課題】アンモニアと水素を燃料とするエンジンを、短い時間で始動させることができる燃料供給システムを提供する。
【解決手段】
アンモニアおよび水素を含有する燃料ガスをエンジン11に供給するための燃料供給システム1は、アンモニアを貯蔵するアンモニアタンク2と、アンモニアタンク2と接続され、アンモニアを改質して水素を生成する改質器4と、アンモニアタンク2および改質器4と接続され、燃料ガスを溜めることができる貯留部材5と、貯留部材5と接続され、貯留部材5内の燃料ガスをエンジン11の吸気ポートP1またはエンジン11のシリンダ111内に噴射するインジェクタとを備える。貯留部材5は、燃料供給システム1において最も上方に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアおよび水素を含有する燃料ガスをエンジンに供給するための燃料供給システムであって、
アンモニアを貯蔵するアンモニアタンクと、
前記アンモニアタンクと接続され、アンモニアを改質して水素を生成する改質器と、
前記アンモニアタンクおよび前記改質器と接続され、前記燃料ガスを溜めることができる貯留部材と、
前記貯留部材と接続され、前記貯留部材内の前記燃料ガスを前記エンジンの吸気ポートまたは前記エンジンのシリンダ内に噴射するインジェクタと
を備え、
前記貯留部材は、前記燃料供給システムにおいて最も上方に配置される、燃料供給システム。
【請求項2】
前記貯留部材は、前記アンモニアタンクからのアンモニアが通る第1ラインと、前記改質器からの水素が通る第2ラインとが合流する合流部であり、
前記インジェクタは、
前記貯留部材内の前記燃料ガスを吸入するための吸入口と、吸入した前記燃料ガスを噴射するための噴射口とを有し、
前記吸入口は、前記貯留部材の上端部内に配置される、請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項3】
前記改質器を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記エンジンが停止した後、所定時間の間、前記改質器を作動させる、請求項1または請求項2に記載の燃料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンシステムとして、アンモニアを燃料として使用するアンモニア燃焼システムが提案されている。アンモニア燃焼システムは、アンモニアを改質して水素を含有する改質ガスを生成する改質装置を備え、改質装置によって生成された水素とアンモニアとをともに、エンジンの燃焼室内で燃焼させている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-197169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載されるようなアンモニア燃焼システムでは、エンジンの始動時に、まず、改質装置でアンモニアを改質し、得られた改質ガスに点火する必要がある。
【0005】
そのため、エンジンの始動に必要な量の改質ガスを得るために時間を要し、エンジンを短い時間で始動させることが困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、アンモニアと水素を燃料とするエンジンを、短い時間で始動させることができる燃料供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、アンモニアおよび水素を含有する燃料ガスをエンジンに供給するための燃料供給システムであって、アンモニアを貯蔵するアンモニアタンクと、前記アンモニアタンクと接続され、アンモニアを改質して水素を生成する改質器と、前記アンモニアタンクおよび前記改質器と接続され、前記燃料ガスを溜めることができる貯留部材と、前記貯留部材と接続され、前記貯留部材内の前記燃料ガスを前記エンジンの吸気ポートまたは前記エンジンのシリンダ内に噴射するインジェクタとを備え、前記貯留部材は、前記燃料供給システムにおいて最も上方に配置される、燃料供給システムを含む。
【0008】
このような構成によれば、貯留部材が燃料供給システムにおいて最も上方に配置されるので、改質器によって生成された水素を、貯留部材に集めることができる。
【0009】
そのため、次回、エンジンが始動されるときに、貯留部材に溜まっている水素を、エンジンに供給できる。
【0010】
これにより、改質器で新たに水素を生成することなく、貯留部材に溜まっていた水素を利用してエンジンを始動させることができる。
【0011】
その結果、短い時間でエンジンを始動させることができる。
【0012】
本発明[2]は、前記貯留部材が、前記アンモニアタンクからのアンモニアが通る第1ラインと、前記改質器からの水素が通る第2ラインとが合流する合流部であり、前記インジェクタが、前記貯留部材内の前記燃料ガスを吸入するための吸入口と、吸入した前記燃料ガスを噴射するための噴射口とを有し、前記吸入口が、前記貯留部材の上端部内に配置される、請求項1に記載の燃料供給システムを含む。
【0013】
このような構成によれば、改質器によって生成された水素だけでなく、アンモニアタンクからのアンモニアも、第1ラインを通って貯留部材に集まる。
【0014】
この点、水素の比重がアンモニアの比重よりも小さいため、水素は、アンモニアよりも上方に溜まる。そのため、貯留部材には、水素が、アンモニアよりも優先的に溜まる。
【0015】
そして、インジェクタの吸入口は、貯留部材の上端部内に配置される。
【0016】
そのため、比重が小さく、貯留部材の上端部内に溜まる水素を、確実に、インジェクタ内に吸入できる。
【0017】
本発明[3]は、前記改質器を制御する制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記エンジンが停止した後、所定時間の間、前記改質器を作動させる、上記[1]または[2]の燃料供給システムを含む。
【0018】
このような構成によれば、エンジンが停止した後に、改質器で水素を生成できる。
【0019】
そのため、エンジンが停止した後に生成された水素を、エンジンの次回の始動まで、貯留部材内に溜めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の燃料供給システムによれば、アンモニアと水素を燃料とするエンジンを、短い時間で始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の燃料供給システムの一実施形態を備える車両の概略構成図である。
図2図2は、図1に示すエンジンの概略構成図である。
図3図3は、図1に示す貯留装置の説明図である。
図4図4は、変形例(1)について説明するための説明図である。
図5図5は、変形例(2)について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.燃料供給システム
図1に示すように、燃料供給システム1は、例えば、車両10に搭載される。
【0023】
車両10は、エンジン11と、バッテリー12を含む電気システムと、エンジン11に吸気するための吸気システム13と、燃料ガスをエンジン11に供給するための燃料供給システム1と、エンジン11から排気するための排気システム14とを備える。
【0024】
なお、燃料ガスは、アンモニアおよび水素を含有する。燃料ガスは、炭素原子を含有する燃料成分を含有しない。そのため、燃料ガスが燃焼しても、二酸化炭素が発生しない。その結果、二酸化炭素の排出を抑制できる。
【0025】
(1)エンジン
エンジン11は、例えば、直列4気筒の4ストロークエンジンである。エンジン11は、4つのシリンダ111を備える。この説明では、1つのシリンダ111について説明し、他のシリンダ111についての説明を省略する。
【0026】
図2に示すように、エンジン11は、シリンダ111と、ピストン112と、吸気バルブ113と、排気バルブ114と、点火プラグ115とを備える。
【0027】
シリンダ111は、吸気ポートP1と、排気ポートP2とを有する。吸気ポートP1は、吸気システム13と接続される。排気ポートP2は、排気システム14と接続される。
【0028】
ピストン112は、シリンダ111内を往復する。ピストン112の頭部とシリンダ111の内面とで区画される空間が、燃焼室Cである。燃焼室Cは、吸気ポートP1および排気ポートP2と通じる。
【0029】
吸気バルブ113は、吸気ポートP1を開閉する。吸気バルブ113が開き、排気バルブ114が閉じた状態で、吸気システム13からの空気は、吸気ポートP1を通って、シリンダ111内の燃焼室Cに吸気される。
【0030】
排気バルブ114は、排気ポートP2を開閉する。吸気バルブ113が閉じ、排気バルブ114が開いた状態で、燃焼室C内の排気ガスは、排気ポートP2を通って、排気システム14に排気される。吸気バルブ113および排気バルブ114が閉じた状態で、燃焼室Cは、密閉される。
【0031】
点火プラグ115は、燃焼室C内の混合気(燃料ガスと空気との混合物)に点火する。点火プラグ115は、具体的には、スパークプラグである。
【0032】
(2)燃料供給システム
図1に示すように、燃料供給システム1は、アンモニアタンク2と、気化器3と、改質器4と、貯留部材5と、インジェクタ6と、制御装置7とを備える。
【0033】
(2-1)アンモニアタンク
アンモニアタンク2は、アンモニアを貯蔵する。本実施形態では、アンモニアタンク2は、液体アンモニアを貯蔵する。
【0034】
(2-2)気化器
気化器3は、アンモニアタンク2と接続される。気化器3は、アンモニアタンク2からの液体アンモニアを気化させる。
【0035】
(2-3)改質器
改質器4は、気化器3と接続される。改質器4は、気化器3を介して、アンモニアタンク2と接続される。改質器4は、気化器3によって気化されたアンモニアを改質して、水素を生成する。「改質」とは、アンモニアを水素と窒素とに分解することをいう。詳しくは、改質器4は、プラズマによって、アンモニアを水素と窒素とに分解する。なお、改質器4は、アンモニアを分解可能な触媒により、アンモニアを水素と窒素とに分解してもよい。
【0036】
(2-4)貯留部材
貯留部材5は、気化器3と接続される。貯留部材5は、気化器3を介して、アンモニアタンク2と接続される。また、貯留部材5は、改質器4と接続される。貯留部材5は、気化器3によって気化されたアンモニアと、改質器4によって生成された水素とを溜めることができる。言い換えると、貯留部材5は、燃料ガスを溜めることができる。
【0037】
貯留部材5は、改質器4よりも上方に配置される。貯留部材5は、アンモニアタンク2および気化器3よりも上に配置される。貯留部材5は、燃料供給システム1において、最も上方に配置される。これにより、改質器4によって生成された水素を、貯留部材5に集めることができる。
【0038】
図3に示すように、貯留部材5は、例えば、フューエルデリバリーパイプである。貯留部材5は、エンジン11の複数のシリンダ111が並ぶ方向に延びる。なお、貯留部材5は、フューエルデリバリーパイプに限定されない。貯留部材5は、パイプ50Aを介して、気化器3(図1参照)と接続される。パイプ50Aの一端は、貯留部材5に接続される。パイプ50Aの他端は、気化器3に接続される。また、貯留部材5は、パイプ50Bを介して、改質器4(図1参照)と接続される。パイプ50Bの一端は、貯留部材5に接続される。パイプ50Bの他端は、改質器4に接続される。つまり、貯留部材5は、アンモニアが通る第1ライン(パイプ50A)と、水素が通る第2ライン(パイプ50B)とが合流する合流部である。貯留部材5は、複数の取付部51を有する。
【0039】
複数の取付部51は、エンジン11の複数のシリンダ111が並ぶ方向に並ぶ。複数の取付部51のそれぞれには、インジェクタ6が取り付けられる。
【0040】
(2-5)インジェクタ
インジェクタ6は、貯留部材5の取付部51に取り付けられる。これにより、インジェクタ6は、貯留部材5と接続される。インジェクタ6は、貯留部材5に直接接続される。つまり、燃料ガスは、インジェクタ6と直接接続される部材に溜まる。
【0041】
図2に示すように、インジェクタ6は、貯留部材5内の燃料ガスを、エンジン11の吸気ポートP1内に噴射する。
【0042】
詳しくは、インジェクタ6は、吸入口61と、噴射口62とを有する。
【0043】
吸入口61は、インジェクタ6の一端部に配置される。吸入口61は、貯留部材5内に配置される。吸入口61は、貯留部材5の上端部内に配置される。これにより、インジェクタ6は、貯留部材5の上端部内の燃料ガスを、吸入口61を通じて吸入する。
【0044】
噴射口62は、インジェクタ6の他端部に配置される。噴射口62は、エンジン11の吸気ポートP1内に配置される。インジェクタ6は、吸入口61を通じて吸入した燃料ガスを、噴射口62から噴射する。これにより、インジェクタ6は、貯留部材5の上端部内の燃料ガスを、エンジン11の吸気ポートP1内に噴射する。
【0045】
なお、インジェクタ6は、貯留部材5内の燃料ガスを、エンジン11のシリンダ111内に噴射してもよい。
【0046】
(2-6)制御装置
図1に示すように、制御装置7は、車両10における電気的な制御を実行するECU(Electronic Control Unit)であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを備える。制御装置7は、バッテリー12と電気的に接続される。制御装置7は、車両10のイグニッションスイッチがオンされたときに、バッテリー12から電力が供給されることにより、起動する。
【0047】
制御装置7は、インジェクタ6および点火プラグ115(図2参照)と電気的に接続される。制御装置7は、インジェクタ6による燃料ガスの噴射のタイミング、および、点火プラグ115による点火のタイミングを制御する。
【0048】
また、制御装置7は、気化器3および改質器4と電気的に接続される。制御装置7は、気化器3および改質器4を制御する。
【0049】
制御装置7は、車両10のイグニッションスイッチがオフされ、エンジン11が停止した後も、所定時間の間、改質器4を作動させる。詳しくは、制御装置7は、車両10のイグニッションスイッチがオフされ、エンジン11が停止した後も、所定時間の間、気化器3および改質器4を作動させる。
【0050】
なお、「所定時間」とは、次回のエンジン11の始動に必要な量の水素を生成できる時間である。また、「エンジン11が停止した後」とは、次回のエンジン11の始動が完了するまでの時間であり、本実施形態では、車両10のイグニッションスイッチがオフされた直後である。「エンジン11が停止した後」とは、エンジン11が始動する直前であってもよい。この場合、例えば、運転者が予めエンジン11を始動する時刻を予約すると、制御装置7は、予約された時刻までにエンジン11の始動に必要な量の水素を生成するように、気化器3および改質器4を制御する。
【0051】
すると、エンジン11が停止した後に生成された水素は、インジェクタ6が停止しているので、エンジン11の次回の始動まで、貯留部材5内に溜まる。
【0052】
このとき、エンジン11が停止した後に気化されたアンモニアも、パイプ50Aを通って貯留部材5に集まるが、水素の比重がアンモニアの比重よりも小さいため、水素が、アンモニアよりも上方に溜まる。これにより、燃料供給システム1において最も上方に配置される貯留部材5には、水素が、アンモニアよりも優先的に溜まる。
【0053】
そして、インジェクタ6は、次回、エンジン11が始動されるときに、貯留部材5内に溜まっている水素を、エンジン11に供給する。つまり、エンジン11が始動されるときに、改質器4で新たに水素を生成することなく、貯留部材5内に溜まっていた水素を利用してエンジン11を始動させることができる。
【0054】
これにより、車両10のイグニッションスイッチがオンされた後、短い時間でエンジン11を始動させることができる。
【0055】
2.作用効果
(1)図1に示す燃料供給システム1によれば、貯留部材5が、燃料供給システム1において最も上方に配置される。
【0056】
そのため、改質器4によって生成された水素を、貯留部材5に集めることができる。
【0057】
そして、エンジン11が始動されるときに、インジェクタ6は、貯留部材5内に溜まっている水素をエンジン11に供給する。
【0058】
これにより、改質器4で新たに水素を生成することなく、貯留部材5に溜まっていた水素を利用してエンジン11を始動させることができる。
【0059】
その結果、短い時間でエンジン11を始動させることができる。
【0060】
(2)図1および図3に示すように、貯留部材5は、アンモニアが通る第1ライン(パイプ50A)と、水素が通る第2ライン(パイプ50B)とが合流する合流部である。
【0061】
そのため、エンジン11が停止した後に生成された水素だけでなく、エンジン11が停止した後に気化されたアンモニアも、パイプ50Aを通って貯留部材5に集まる。
【0062】
この点、水素の比重がアンモニアの比重よりも小さいため、水素は、アンモニアよりも上方に溜まる。そのため、燃料供給システム1において最も上方に配置される貯留部材5には、水素が、アンモニアよりも優先的に溜まる。
【0063】
そして、図2に示すように、インジェクタ6の吸入口61は、貯留部材5の上端部内に配置される。
【0064】
そのため、比重が小さく、貯留部材5の上端部内に溜まる水素を、確実に、インジェクタ6内に吸入できる。
【0065】
(3)図1に示す燃料供給システム1によれば、制御装置7は、エンジン11が停止した後、所定時間の間、気化器3および改質器4を作動させる。
【0066】
これにより、エンジン11が停止した後に、気化器3でアンモニアを気化し、改質器4で水素を生成できる。
【0067】
そのため、エンジン11が停止した後に生成された水素を、エンジン11の次回の始動まで、貯留部材5内に溜めることができる。
【0068】
3.変形例
次に、図4および図5を参照して、変形例について説明する。変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0069】
(1)図4に示すように、燃料供給システム1は、水素タンク100をさらに備えてもよい。
【0070】
水素タンク100は、改質器4と接続される。水素タンク100は、水素を貯蔵する。好ましくは、水素タンク100は、貯留部材5よりも多量の水素を貯蔵する。水素タンク100は、貯留部材5よりも下方に配置される。すなわち、この変形例でも。貯留部材5は、燃料供給システム1において、最も上方に配置される。
【0071】
この変形例では、貯留部材5は、気化器3を介してアンモニアタンク2と接続され、かつ、水素タンク100と接続される。これにより、貯留部材5は、気化器3によって気化されたアンモニアと、改質器4によって生成された水素とを貯蔵する。
【0072】
エンジン11が停止した後に生成された水素は、エンジン11の次回の始動まで、水素タンク100および貯留部材5内に溜まる。
【0073】
そして、インジェクタ6は、次回、エンジン11が始動されるときに、貯留部材5内に溜まっている水素、および、水素タンク100内に貯蔵されている水素を、エンジン11に供給する。
【0074】
そのため、次回、エンジン11が始動されるときに、貯留部材5内に溜まっている水素だけでなく、水素タンク100内の水素も、エンジン11に供給できる。
【0075】
その結果、エンジン11の始動に必要な量の水素を確保できる。
【0076】
(2)図5に示すように、気化器3と貯留部材5とを繋ぐパイプ50Aにバルブ200を設けてもよい。制御装置7は、車両10のイグニッションスイッチがオフされ、エンジン11が停止した後に、バルブ200を閉じた状態で、所定時間の間、気化器3および改質器4を作動させてもよい。バルブ200を閉じた状態で、所定時間の間、気化器3および改質器4を作動させることにより、パイプ50Aにアンモニアが溜まることを抑制できる。その結果、パイプ50Aがアンモニアによって腐食されることを抑制できる。
【0077】
(3)燃料供給システム1は、気化器3を備えなくてもよい。この場合、アンモニアタンクは、気体のアンモニアを貯蔵してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 燃料供給システム
2 アンモニアタンク
4 改質器
5 貯留部材
6 インジェクタ
7 制御装置
11 エンジン
50A パイプ(第1ラインの一例)
50B パイプ(第2ラインの一例)
61 吸入口
62 噴射口
111 シリンダ
P1 吸気ポート
図1
図2
図3
図4
図5