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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183377
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】パーソナルケア製品の製造装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231220BHJP
   B23Q 41/02 20060101ALI20231220BHJP
   B65B 43/56 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 8/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B23Q41/02 A
B65B43/56 Z
A61K8/00
A61Q1/00
A61Q5/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064347
(22)【出願日】2023-04-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2022096368
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏井 翔平
(72)【発明者】
【氏名】平野 喬大
(72)【発明者】
【氏名】茂木 知之
【テーマコード(参考)】
3C042
3C100
3E030
4C083
【Fターム(参考)】
3C042RJ12
3C100AA03
3C100AA22
3C100AA48
3C100BB12
3C100BB21
3C100EE20
3E030BA02
3E030BB01
3E030BB02
3E030EA01
3E030EB01
3E030EB02
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC31
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】パーソナルケア製品の製造を、省スペース化し、サイクルタイムを短縮する。
【解決手段】製造装置は、複数のステーションを有するステージと、パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数のステーション間を移動することでワークを搬送するシャトルと、制御装置と、を具備し、制御装置は、シャトルを供給ステーションに移動させてワークを搭載し、搭載したワークに必要な作業を行う為の作業ステーションを、複数の作業ステーションの中から抽出し、抽出した作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、シャトルを、選択した作業ステーションへ順次移動させることで、ワークへ作業を実行した後、シャトルを排出ステーションに移動させてワークを排出した後、シャトルを再度供給ステーションへ移動させるように、シャトルの移動を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造装置であって、
複数のステーションを有するステージと、
前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルと、
制御装置と、
を具備し、
前記複数のステーションは、
前記ワークが供給される、供給ステーションと、
前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションと、
前記ワークが排出される、排出ステーションと、を含み、
前記制御装置は、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、
前記シャトルの移動を制御する
製造装置。
【請求項2】
複数の前記シャトルを具備し、
前記制御装置は、複数の前記シャトルが独立して前記複数のステーション間を移動するように、複数の前記シャトルの移動を制御する
請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記制御装置は、複数の前記シャトルのそれぞれに搭載されたワークに、
前記複数の作業ステーションで前記作業が並行して実行されるように、
複数の前記シャトルの移動を制御する
請求項2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記複数の作業ステーションは、
前記作業後に待機する作業待機ステーションをそれぞれ有し、
前記制御装置は、
複数の前記作業ステーションから複数の前記作業待機ステーションへの経路と、
複数の前記作業待機ステーションから複数の前記作業ステーションへの経路と、
がそれぞれ一方通行となるように、複数の前記シャトルの移動を制御する
請求項2又は3に記載の製造装置。
【請求項5】
複数の前記作業ステーションで行われる前記作業には、2以上の造形体形成工程を含み、
該2以上の造形体形成工程は、
前記ワークに切削体を形成する工程と、
前記ワークに堆積体を形成する工程との、
少なくともいずれか一方を含む
請求項1乃至4の何れか一項に記載の製造装置。
【請求項6】
複数の前記作業ステーションで行われる前記作業には、2以上の造形体形成工程を含み、
該造形体形成工程は、内部に基材を含む前記ワークに対して切削又は組成物の堆積を行い、前記基材を造形体とするものであり、
前記2以上の造形体形成工程は、
切削機械及び前記ワークの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させながら、前記基材を切削し、前記造形体として切削体を形成する切削体形成工程と、
組成物をノズルから前記ワークに導入しながら、該ノズル及び前記ワークの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記基材に組成物を堆積させ、前記造形体として堆積体を形成する堆積体形成工程との、
少なくともいずれか一方を含む
請求項1乃至4の何れか一項に記載の製造装置。
【請求項7】
前記ステージ及び前記シャトルは、リニア搬送システムを構成する
請求項1乃至6の何れか一項に記載の製造装置。
【請求項8】
人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造方法であって、
複数のステーションを有するステージと、
前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルと、
を有する製造装置において、
前記複数のステーションは、
前記ワークが供給される、供給ステーションと、
前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションと、
前記ワークが排出される、排出ステーションと、を含み、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、
前記シャトルの移動を制御する
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アイシャドウやファンデーション等の固形化粧料などのパーソナルケア製品は、一般的に、化粧料スラリーを含む流動体を所定の形状を有する容器に充填して固化させるか、あるいは、該流動体を基材又は事前に成形された別体の固形化粧料上に吐出した造形物として製造される。
【0003】
このような化粧料の製造方法の一例として、特許文献1には、化粧品の製造のための注型方法が開示されている。同文献に記載の方法は、油を含有する組成物を加熱によって流動化させ、流動化した組成物をノズルから支持体上に射出し、その後、射出された組成物を冷却することで、固形の組成物を得るものである。
【0004】
特許文献2には、模様付き固形化粧料が開示されている。同文献に記載の技術は、第1の積層用化粧料に対して第2の積層用化粧料の少なくとも一部を所定の方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2017-518983号公報
【特許文献2】特開2019-108308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献に記載の様に、パーソナルケア製品の製造は複数の工程を含むため、製造ラインに広いスペースや多数の人員が必要となり、また、一般にサイクルタイムが長くなる。
【0007】
以上のような事情に鑑み、複数の工程を含むパーソナルケア製品の製造を、省スペース化及び省人化し、サイクルタイムを短縮することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る製造装置は、人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造装置である。
前記製造装置は、複数のステーションを有するステージを有することが好ましい。
前記製造装置は、前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルを有することが好ましい。
前記複数のステーションは、前記ワークが供給される、供給ステーションを有することが好ましい。
前記複数のステーションは、前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションを有することが好ましい。
前記複数のステーションは、前記ワークが排出される、排出ステーションを有することが好ましい。
前記制御装置は、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、前記シャトルの移動を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の工程を含むパーソナルケア製品の製造を、省スペース化及び省人化し、サイクルタイムを短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る製造装置を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る複数のステーションを示す。
図3】本発明の一実施形態に係る製造方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの初期配置を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図10】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図11】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図12】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図13】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図14】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図15】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図16】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図17】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図18】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図19】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図20】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図21】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図22】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図23】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図24】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図25】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図26】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図27】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図28】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図29】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図30】本発明の一実施形態に係る複数のシャトルの移動を示す。
図31】本発明の他の実施形態に係る複数のシャトルの初期配置を示す。
図32】第1の機械及び第2の機械の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
1.製造装置
本発明の一実施形態に係る製造装置1は、人体に適用可能なパーソナルケア製品710の製造装置である。
パーソナルケア製品710は、これを皮膚上に直接塗布したり、あるいは水等の液媒に溶解又は分散させた液体を皮膚上に塗布、散布又は滴下等したりすることで、人体に適用可能なものである。またパーソナルケア製品は、香りを人体に適用するものでもよく、例えば、香りを介して、人体にリラックス効果を与えるアロマキャンドル等であってもよい。
このようなパーソナルケア製品710としては、例えば、化粧品、アロマキャンドル、洗浄剤及び入浴剤から選ばれる1又は2以上を含む。
化粧品は、メークアップ化粧品、基礎化粧品、香水及びヘアケア製品等を含む。
洗浄剤はシャンプー、練り石鹸及び固形石鹸等を含む。
メークアップ化粧品は、化粧料粉末等を含むアイシャドウ及びファンデーション、油剤等を含む口紅等の固形化粧品を含む。
パーソナルケア製品710は、立体的な成形を可能とする観点から、1気圧、20℃において固体であることが好ましい。
【0012】
製造装置1は、ワーク700に、パーソナルケア製品710を構成する1又は2以上の組成物を導入することで、パーソナルケア製品710を製造する。該組成物は典型的には流動性を有する。
流動性を有する組成物は、液体そのものであるか、液体を含むものであることが好ましい。すなわち、本発明において用いられる組成物は、固体のみの形態又は気体のみの形態は除外される。このような組成物としては、例えば、化粧料などの粉体と、液体である分散媒とを含む混合物である分散液(いわゆるスラリー)や、化粧料などの各種の化合物を液体の溶媒に溶解させた溶液、あるいは、化粧料又は油剤の単体又は化粧料を含む組成物を加熱溶融させた溶融液などが挙げられる。
【0013】
製造装置1は、典型的にはステージ100と、複数のシャトル200と、制御装置300とを有する。ステージ100及び複数のシャトル200は、リニア搬送システムを構成することが好ましい。製造装置1は、さらに、マニピュレータロボット400と、第1の機械500と、第2の機械600とを有してもよい。これらを備えた例を図1に示す。
尚、本願の製造装置1におけるステージ100とシャトル200は、所謂、「リニア搬送システム」が好ましい。
以下、リニア搬送システムについて説明する。リニア搬送システムとは、永久磁石で構成される搬送板(シャトル)が電磁コイルを内蔵した机(セグメント)上を浮遊して自在に動き回ることができる、磁気浮遊型リニア搬送システムである。コンベア搬送に代表される、一方向にしか搬送できない従来の搬送システムに対して、リニア搬送システムは個々のシャトルが独立して自在にワークを搬送可能であることから、各シャトルが搬送するワークは、それぞれ異なる搬送経路で異なる加工工程を経ることも可能であり、多品種同時生産を可能とする次世代搬送システムとして注目されている。
【0014】
ステージ100は、典型的には複数(例えば、8個)のセグメント101が組み合わされて構成される。各セグメント101は、典型的には物理的に独立した机状のユニットであり、それぞれ電磁コイルを内蔵する。複数のセグメント101は、シリアルなライン的ではなく、互いに接続されるように2次元的に配置され、ステージ100を構成することが好ましい。
【0015】
ステージ100は、複数のステーション110~119を有することが好ましい。複数のステーション110~119は、ステージ100を役割に応じて仮想的に分割した複数のエリアである。それぞれのステーション110~119は、それぞれのセグメント101内に配置されてもよいし、隣接するセグメント101に跨って配置されてもよい。それぞれのセグメント101に複数(例えば、2~4個)のステーションが配置されてもよいし、1個のステーションが配置されてもよい。それぞれのステーション110~119のサイズは、シャトル200のサイズ以上でよい。この配置の一例を図2に示す。
【0016】
各シャトル200は、典型的には永久磁石を含む。ステージ100の電磁コイルのオンオフ及び電流値が制御装置300により制御された状態で、シャトル200はステージ100から浮上してステージ100を浮遊し、ステージ100を2次元的に移動する。シャトル200は、ワーク700を搭載して複数のステーション110~119間を移動することで、ステージ100上でワーク700を搬送する。シャトル200は、搭載されたワーク700を位置決めするための治具を有してもよい。なお、シャトル200について「ステージ100上」等と記載するとき、シャトル200はステージ100に接触せず、ステージ100から僅かな空間を空けて浮上した状態であることを意味する。
【0017】
ワーク700は、典型的には、金皿や樹脂製の皿に、パーソナルケア製品710を構成する組成物により構成される基材が充填されてなる。基材は、例えば、プレストパウダー、即ち、粉体を圧縮した打型品、例えばファンデーションである。皿は、金皿や樹脂製の皿に代えて、パーソナルケア製品710を構成する1又は2以上の組成物を導入可能であれば、紙、フィルム又は不織布等により製造されてもよい。
【0018】
ワーク700をステージ100上のシャトル200に供給し、ステージ100上のシャトル200から排出するために、典型的にはマニピュレータロボット400を用いる。1個のマニピュレータロボット400がワーク700を供給及び排出してもよい。あるいは、1個のマニピュレータロボット400がワーク700を供給し、別のマニピュレータロボット400がワーク700を排出してもよい。
【0019】
第1の機械500は、ワーク700がシャトル200に搭載された状態で、ワーク700に第1の作業を実行する。第2の機械600は、ワーク700がシャトル200に搭載された状態で、ワーク700に第2の作業を実行する。典型的には、第1の作業及び第2の作業は、ワーク700の基材に加飾を施す作業である。ワーク700がシャトル200に搭載された状態で作業するとは、ワーク700をシャトル200からXYステージ等に載せ替える必要が無いことを意味する。載せ替えやアラインメントを行う装置やこれに掛かる時間が不要となるので、設備が拡大するのを防ぎ、サイクルタイムを短縮することができる。
【0020】
第1の作業及び第2の作業の実行順は置換可能であることが好ましい。例えば、ワークに組成物を導入する作業と、導入された組成物をプレス加工する作業とは、実行順が置換不可能である。これに対して、ワーク700に一の組成物(例えば、赤色の組成物)を導入してワーク700を加飾する作業と、ワーク700に別の組成物(例えば、青色の組成物)を導入してワーク700を加飾する作業とは、実行順が置換可能である。別の例として、2か所に絵を描画する場合には置換可能であるが、堆積体や切削により凹部を設けて、そこに次工程で堆積物を充填する場合には置換不可能である。第1の作業に掛かる時間と、第2の作業に掛かる時間は、異なってもよいし、同じでもよい。
【0021】
第1の機械500が実行する第1の作業は、典型的には、第1の形状を有する第1の造形体を作成し、ワーク700の基材上に加飾を施す工程を有する。第2の機械600が実行する第2の作業は、典型的には、第2の形状を有する第2の造形体を作成し、ワーク700の基材上に加飾を施す工程を有する。第1の造形体を形成する組成物と第2の造形体を形成する組成物とは、典型的には異なるが、同じでもよい。第1の形状と第2の形状とは、典型的には異なるが、同じでもよい。
【0022】
第1の造形体を形成する組成物と第2の造形体を形成する組成物とが異なるとは、典型的には組成物の色が異なることを意味する。例えば、第1の造形体を形成する組成物が赤色の組成物であり、第2の造形体を形成する組成物が青色の組成物であることを意味する。
第1の形状と第2の形状とが異なるとは、典型的には第1の造形体と第2の造形体のデザインが異なることを意味する。例えば、第1の形状が星形のデザインであり、第2の形状が花形のデザインであることを意味する。デザインとは、例えばひらがな及びカタカナ等の日本語文字、アルファベット、アラビア数字、ローマ数字、諸外国の文字等の各種文字、直線及び曲線並びにこれらの組み合わせからなる図形や幾何学形状、記号、色、模様又はこれらの組み合わせの形状を意味する。
【0023】
第1の機械500は、組成物を導入するための第1のノズルを有するディスペンサであることが好ましい。
第1の機械500は、第1の造形体形成工程を行うことが好ましい。具体的には、第1のノズル及びシャトル200に搭載されたワーク700の少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させて、ワーク700の基材上に組成物を堆積させることが好ましい。このときワーク700がシャトル200に搭載された状態で、組成物を第1のノズルからワーク700に導入しながら行うことが好ましい。この工程は所謂3Dプリンタと同様である。
第1の造形体の第1の形状は、第1のノズルから導入された組成物により形成される第1の堆積体により形成されることが好ましい。即ち、第1の機械500は、組成物を単に導入するのではなく、第1の形状を有する第1の造形体を作成することで、組成物でワーク700の基材を加飾する。
【0024】
これに代えて、第1の機械500は、第1の切削機械を有してもよい。切削機械としては、エンドミル、ドリル、フライス等が挙げられる。
第1の機械500は、第1の造形体形成工程として、ワーク700がシャトル200に搭載された状態で、第1の切削機械及びワーク700の少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させながら、ワーク700の基材等を切削して第1の切削体を形成することにより加飾を施してもよい。第1の造形体の第1の形状は、第1の切削体により形成される。
【0025】
第2の機械600は、組成物を導入するための第2のノズルを有するディスペンサであることが好ましい。
第2の機械600は、第2の造形体形成工程を行うことが好ましい。具体的には、第2のノズル及びシャトル200に搭載されたワーク700の少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させて、ワーク700の基材上に組成物を堆積させることが好ましい。このときワーク700がシャトル200に搭載された状態で、組成物を第2のノズルからワーク700に導入しながら行うことが好ましい。この工程は所謂3Dプリンタと同様である。
第2の造形体の第2の形状は、第2のノズルから導入された組成物により形成される第2の堆積体により形成されることが好ましい。即ち、第2の機械600は、組成物を単に導入するのではなく、第2の形状を有する第2の造形体を作成することで、組成物でワーク700の基材を加飾する。
【0026】
これに代えて、第2の機械600は、第2の切削機械を有してもよい。切削機械としては、エンドミル、ドリル、フライス等が挙げられる。
第2の機械600は、第2の造形体形成工程として、組成物が導入されたワーク700がシャトル200に搭載された状態で、第2の切削機械及びワーク700の少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させながら、ワーク700の基材等を切削して第2の切削体を形成することにより加飾を施してもよい。第2の造形体の第2の形状は、第2の切削体により形成される。
【0027】
製造装置1において、第1の機械500が第1の堆積体を形成し、第2の機械600が第2の堆積体を形成してもよい。
第1の機械500が第1の切削体を形成し、第2の機械600が第2の切削体を形成してもよい。
第1の機械500が第1の堆積体を形成し、第2の機械600が第2の切削体を形成してもよい。
第1の機械500が第1の切削体を形成し、第2の機械600が第2の堆積体を形成してもよい。
第1の機械500が第1の堆積体を形成する工程は、金皿ないし堆積体や切削体で形成された凹部に組成物を充填する工程を含んでもよい。
第2の機械600が第2の堆積体を形成する工程は、金皿ないし堆積体や切削体で形成された凹部に組成物を充填する工程を含んでもよい。
【0028】
製造されるパーソナルケア製品710において、第1の造形体が第1の堆積体を含み、第2の造形体が第2の堆積体を含んでもよい。
第1の造形体が第1の切削体を含み、第2の造形体が第2の切削体を含んでもよい。
第1の造形体が第1の堆積体を含み、第2の造形体が第2の切削体を含んでもよい。
第1の造形体が第1の切削体を含み、第2の造形体が第2の堆積体を含んでもよい。
【0029】
制御装置300は、典型的にはCPUがROMに記録されたコンピュータプログラムをRAMにロードして実行することにより、製造装置1を制御する。ここでいう製造装置とは典型的にはステージ100、マニピュレータロボット400、第1の機械500及び第2の機械600を含む。制御装置300は、コンピュータプログラムを実行してステージ100の電磁コイルのオンオフ及び電流値を制御してシャトル200を移動させる。
【0030】
制御装置300は、上記の基本コンピュータプログラムのサブルーチンとしてGコードを用いたNCプログラムに基づき、第1の機械500及び第2の機械600を制御することが好ましい。第1の機械500及び第2の機械600のオンオフは、Gコードにより制御される。制御装置300は、複数の異なる第1の作業の何れかを実行するように第1の機械500を制御し、複数の異なる第2の作業の何れかを実行するように第2の機械600を制御することができる。例えば、制御装置300は、異なるNCプログラムに基づき、第1の機械500に、異なる形状の第1の造形体を作成させる(異なる第1の作業の何れかを実行させる)ことが可能である。制御装置300は、異なるNCプログラムに基づき、第2の機械600に、異なる形状の第2の造形体を作成させる(異なる第2の作業の何れかを実行させる)ことが可能である。なお、第1の機械500及び第2の機械600が固定でシャトル200が第1の機械500及び第2の機械600に対して移動する場合、制御装置300は、シャトル200が移動するようにステージ100を制御する。
【0031】
制御装置300は、人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造方法を実行する。パーソナルケア製品の製造方法は、2以上の造形体形成工程を含んでよい。造形体形成工程に供されるワークは、パーソナルケア製品の前駆体である。造形体形成工程は、内部に基材を含むワークに対して切削又は組成物の堆積を行い、基材を造形体とするものである。2以上の造形体形成工程は、ワーク700に切削体を形成する工程と、ワーク700に堆積体を形成する工程との、少なくともいずれか一方を含んでよい。より具体的には、2以上の造形体形成工程は、切削機械及びワーク700の少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させながら、ワーク700内の基材を切削し、造形体として切削体を形成する工程と、堆積用組成物をノズルからワーク700に導入しながら、該ノズル及びワーク700の少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて基材に堆積用組成物を堆積させ、造形体として立体的模様を形成する堆積体を形成する工程との、少なくともいずれか一方を含んでよい。切削体形成工程及び堆積体形成工程は、それぞれ、ステージと平行な平面をXY平面とし、基材表面上の任意の点を原点とする、基材座標系を設定する。それぞれの造形体形成工程において、XY平面と平行な平面上で切削機械又はノズル(作業機械)の先端を原点とする局所座標系を設定する。切削体形成工程では、局所座標系の原点と基材座標系の原点が一致するよう、切削機械及びワーク700の少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させた後、NCプログラムを局所座標系において動作させ、造形体として切削体を形成する。堆積体形成工程では、局所座標系の原点と基材座標系の原点が一致するよう、ノズル(作業機械)及びワーク700の少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させた後、NCプログラムを局所座標系において動作させ、造形体として切削体を形成する。
【0032】
2.複数のステーション
ステージ100は、複数のステーションを有することが好ましい。複数のステーション110~119は、供給ステーション110と、待機ステーション111と、第3の作業待機ステーション112と、第1の作業ステーション113と、第2の作業ステーション114と、第1の作業待機ステーション115と、第2の作業待機ステーション116と、複数の排出待機ステーション117と、排出ステーション118と、供給待機ステーション119とを含むことが好ましい。これらを有する一例を図2に示す。
ステージ100のうち、複数のステーション110~119以外のエリアは、複数のステーション間の経路120として使用される。
【0033】
複数のステーション110~119は、シリアルなライン的ではなく、自在に行き来が可能である様に2次元的に配置されることが好ましい。具体的には、第1の作業ステーション113と第2の作業ステーション114とを結ぶ直線に対して、第1の作業ステーション113及び第2の作業ステーション114と供給ステーション110及び排出ステーション118とをそれぞれ結ぶ複数の直線が交差するように、第1の作業ステーション113、第2の作業ステーション114、供給ステーション110及び排出ステーション118が2次元的に配置されることが好ましい。
【0034】
供給ステーション110では、典型的にはマニピュレータロボット400により、空のシャトル200にワーク700が搭載される。
待機ステーション111では、供給ステーション110でワーク700が搭載されたシャトル200が、供給ステーション110から第3の作業待機ステーション112に移動するために待機する。
第3の作業待機ステーション112では、供給ステーション110から出発したワーク700が搭載されたシャトル200が、第1の作業ステーション113又は第2の作業ステーション114に移動するシャトル200が待機する。
【0035】
第1の作業ステーション113には、典型的には第1の機械500が設置される。第1の作業ステーション113では、ワーク700がシャトル200に搭載された状態で、第1の機械500がワーク700に第1の作業を実行する。
第2の作業ステーション114には、典型的には第2の機械600が設置される。第2の作業ステーション114では、ワーク700がシャトル200に搭載された状態で、第2の機械600がワーク700に第2の作業を実行する。
第1の作業待機ステーション115では、第1の作業ステーション113から第2の作業ステーション114に移動するシャトル200が待機する。
第2の作業待機ステーション116では、第2の作業ステーション114から第1の作業ステーション113に移動するシャトル200が待機する。
【0036】
複数の排出待機ステーション117は、連続的に配置された第1の排出待機ステーション117Aと、第2の排出待機ステーション117Bと、第3の排出待機ステーション117Cとを含むことが好ましい。排出ステーション118の直前に第1の排出待機ステーション117Aが配置される。第1の排出待機ステーション117Aの直前に第2の排出待機ステーション117Bが配置される。第2の排出待機ステーション117Bの直前に第3の排出待機ステーション117Cが配置される。複数の排出待機ステーション117は、作業が終了しパーソナルケア製品710となったワーク700を搭載したシャトル200が、排出ステーション118に移動するために待機する。
【0037】
排出ステーション118では、典型的にはマニピュレータロボット400により、パーソナルケア製品710となったワーク700をシャトル200から排出し、シャトル200を空にする。
供給待機ステーション119では、排出ステーション118でワーク700が排出された空のシャトル200が、供給ステーション110に移動するために待機する。
【0038】
3.製造方法
製造装置1を用いたパーソナルケア製品の製造方法を説明する。
本実施形態では、第1乃至第5のシャトル201~205に搭載されるワーク700に2種類の組成物を導入し、同品種のパーソナルケア製品を複数個製造するケースを説明する。
制御装置300は、シャトル200を供給ステーション110に移動させてワーク700を搭載し、搭載したワーク700に必要な作業を行う為の作業ステーション113、114を、複数の作業ステーション113、114の中から抽出し、抽出した作業ステーション113、114の受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の作業ステーション113、114から最適な作業ステーション113、114を選択し、シャトル200を、選択した作業ステーション113、114へ順次移動させることで、ワーク700へ作業を実行した後、シャトル200を排出ステーション118に移動させてワーク700を排出した後、シャトル200を再度供給ステーション110へ移動させるように、シャトル200の移動を制御するのが好ましい。
複数のシャトルとして、5個のシャトル200である第1乃至第5のシャトル201~205がステージ100上に設けられる場合の一例を図4~31に示す。
【0039】
制御装置300は、第1乃至第5のシャトル201~205が独立して複数のステーション110~119間を移動するための制御を行う。具体的には、制御装置300は、第1乃至第5のシャトル201~205のそれぞれに搭載されたワーク700に、第1の作業ステーション113及び第2の作業ステーション114で第1の作業及び第2の作業が並行して実行されるための制御を行う。
【0040】
より具体的には、第1乃至第5のシャトル201~205のうち一のシャトルに搭載された一のワーク700に、第1の作業ステーション113で第1の作業が実行される。これと並行して、第1乃至第5のシャトル201~205のうち別のシャトルに搭載された別のワーク700に、第2の作業ステーション114で第2の作業が実行される。そして、一のシャトルに搭載された一のワーク700に、第2の作業ステーション114で第2の作業が実行される。これと並行して、別のシャトルに搭載された別のワーク700に、第1の作業ステーション113で第1の作業が実行される。これらが実現されるように、制御装置300は、複数の第1乃至第5のシャトル201~205の移動を制御する。
【0041】
図3は、製造方法の一例を示すフローチャートである。
制御装置300は、起動すると、ステージ100上の第1乃至第5のシャトル201~205を初期位置に移動させる。ユーザ(作業者等)は、HMIを用いて、製造装置1が製造するパーソナルケア製品の品種や個数の情報を制御装置300に入力する。制御装置300は、入力された情報を実現するための変数をコンピュータプログラムに入力し、コンピュータプログラムを実行することで、パーソナルケア製品を製造するための動作を開始する。
以下は動作の一具体例である。
【0042】
図4は、複数のシャトルの初期配置を示す。
制御装置300は、第1のシャトル201を先頭として供給待機ステーション119に初期配置する(ステップS1)。制御装置300は、第2乃至第5のシャトル202~205を、第1のシャトル201を先頭として第1のシャトル201の移動方向に干渉しない様に連続的に初期配置する。
即ち、制御装置300は、第1のシャトル201を供給待機ステーション119に初期配置する。第2のシャトル202を排出ステーション118に初期配置する。第3のシャトル203を第1の排出待機ステーション117Aに初期配置する。第4のシャトル204を第2の排出待機ステーション117Bに初期配置する。第5のシャトル205を第3の排出待機ステーション117Cに初期配置する。
第1乃至第5のシャトル201~205は空であり、ワーク700は搭載されていない。
【0043】
電磁コイルを内蔵するステージ100は、シャトル200を電磁的に検出する。制御装置300は、ステージ100がシャトル200を電磁的に検出した結果に基づき、シャトル200が位置するステーション110~119を判断することができる。
【0044】
制御装置300は、一のシャトル200が、出発地のステーション110~119から目的地のステーション110~119へ移動を開始すると、目的地のステーション110~119を使用中と判断する。そして、別のシャトル200が、使用中と判断された目的地のステーション110~119に移動を開始しないように制御を行う。
制御装置300は、一のシャトル200が、出発地のステーション110~119から目的地のステーション110~119へ移動を完了すると、出発地のステーション110~119を空きと判断する。そして、別のシャトル200が、空きと判断された出発地のステーション110~119に移動を開始するための制御を行う。
複数のシャトル200が衝突するのを防止するためである。
【0045】
以下、第1乃至第5のシャトル201~205の移動を細分化して図5乃至図30に示し、順を追って説明する。
第1乃至第5のシャトル201~205が衝突しない限り、図5乃至図30に示す動作は同時並行的に実行されることが好ましい。矛盾が生じない限り、図5乃至図30に示す動作は図順及び説明順ではなく、一部が前後逆転した順で実行されてもよい。例えば、図5で説明する動作が完全に終了してから次に図6で説明する動作が開始されるのではない。
また、それぞれの図を参照しながら説明する第1乃至第5のシャトル201~205は、順を追って移動するのではなく、同時並行的に独立して移動することが好ましい。例えば、図5を参照して第1乃至第5のシャトル201~205の移動を説明するとき、第1のシャトル201が移動している最中は第2乃至第5のシャトル202~205は静止しているのではない。第1乃至第5のシャトル201~205が衝突しない限り、第1乃至第5のシャトル201~205は同時並行的にそれぞれが独立して移動する。
【0046】
図5に示す様に、制御装置300は、第1のシャトル201を供給ステーション110に移動し(ステップS2)、マニピュレータロボット400を制御して、ワーク701を第1のシャトル201に搭載する(ステップS3)。制御装置300は、第1のシャトル201を待機ステーション111(ステップS4)、第3の作業待機ステーション112(ステップS5)、第1の作業ステーション113の順に移動する(ステップS6)。
【0047】
制御装置300は、供給ステーション110に位置するシャトル200の重量が増加したことを検出するとシャトル200にワーク701が供給されたと判断する。そして、シャトル200が第1の作業ステーション113又は第2の作業ステーション114に移動するための制御を開始する。
【0048】
第1のシャトル201の移動と並行して、制御装置300は、第2のシャトル202を供給ステーション110に移動する(ステップS2)。そして、マニピュレータロボット400を制御して、ワーク702を第2のシャトル202に搭載する(ステップS3)。
制御装置300は、第2のシャトル202の重量の増加を検出すると、第2のシャトル202を待機ステーション111(ステップS4)、第3の作業待機ステーション112(ステップS5)、第2の作業ステーション114の順に移動する(ステップS9)。
これにより、ワーク701を搭載した第1のシャトル201が第1の作業ステーション113に配置される。それと並行して、ワーク702を搭載した第2のシャトル202が第2の作業ステーション114に配置される。
【0049】
第1のシャトル201及び第2のシャトル202の移動と並行して、制御装置300は、第3のシャトル203にワーク703を搭載し、第3の作業待機ステーション112に移動する(ステップS1~S5)。
制御装置300は、第4のシャトル204にワーク704を搭載し、待機ステーション111に移動する(ステップS1~S4)。
制御装置300は、第5のシャトル205を供給ステーション110に移動し、ワーク705を搭載する(ステップS1~S3)。
【0050】
図6に示すように、制御装置300は、第1の機械500を制御して、第1の作業ステーション113に位置する第1のシャトル201に搭載されたワーク701に対して第1の作業を実行させる(ステップS7)。第1の作業により、ワーク701に第1の加飾501が施される。
制御装置300は、第1のシャトル201を第1の作業待機ステーション115に移動する(ステップS8)。その結果、第1の作業ステーション113が空きとなる。
【0051】
図7に示すように、制御装置300は、第3のシャトル203を、第3の作業待機ステーション112から、第1の作業ステーション113に移動する(ステップS6)。その結果、第3の作業待機ステーション112が空きとなる。
【0052】
図8及び図9に示すように、制御装置300は、第4のシャトル204を、待機ステーション111から第3の作業待機ステーション112に移動する(ステップS5)。制御装置300は、第5のシャトル205を、供給ステーション110から待機ステーション111に移動する(ステップS4)。
【0053】
図10に示すように、制御装置300は、第2の機械600を制御して、第2の作業ステーション114に位置する第2のシャトル202に搭載されたワーク702に対して第2の作業を実行させる(ステップS10)。第2の作業により、ワーク702に第2の加飾601が施される。
【0054】
制御装置300は、第2のシャトル202を第2の作業待機ステーション116に移動する(ステップS11)。その結果、第2の作業ステーション114が空きとなる。
【0055】
制御装置300は、以下の経路が一方通行となるように制御を行う:第1の作業ステーション113から第1の作業待機ステーション115への経路121;第1の作業待機ステーション115から第2の作業ステーション114への経路122;第2の作業ステーション114から第2の作業待機ステーション116への経路123;第2の作業待機ステーション116から第1の作業ステーション113への経路124。複数のシャトル200が衝突するのを防止するためである。加えて、双方向に同時に移動できたほうがサイクルタイムが短くなるためである。
【0056】
第2の作業ステーション114から第2の作業待機ステーション116への経路123を例として説明する。
図31(A)に示すように、第2の作業ステーション114から第2の作業待機ステーション116への経路123'が、最短距離の1直線であり得る。この場合、第2の作業ステーション114内の位置(第2の作業が終了したときのシャトル200の位置)によって、第2の作業待機ステーション116に移動するシャトル200の経路が異なる。
このとき、第1の作業待機ステーション115に位置する別のシャトル200との衝突を確実に回避する観点から、第2の作業ステーション114から第2の作業待機ステーション116への経路123は、最短距離の1直線ではなく、この1直線を斜辺とする直角三角形の直交する2直線によるL字型の経路123とすることが好ましい。
具体的には、図31(B)に示すように、第2の作業が終了後、まず、シャトル200は、第2の作業ステーション114の中央に移動する。次に、シャトル200は、第2の作業ステーション114の中央から、第2の作業待機ステーション116と1方向(図中横方向)において同じ位置に移動する。次に、シャトル200は、第2の作業待機ステーション116に向かってこの1方向に移動する。
【0057】
フローチャートの説明に戻る。図11に示すように、制御装置300は、第1のシャトル201を、第1の作業待機ステーション115から第2の作業ステーション114に移動する(ステップS9)。その結果、第1の作業待機ステーション115が空きとなる。
【0058】
図12に示すように、制御装置300は、第1の機械500を制御して、第1の作業ステーション113に位置する第3のシャトル203に搭載されたワーク703に対して第1の作業を実行させる(ステップS7)。第1の作業により、ワーク703に第1の加飾501が施される。
制御装置300は、第3のシャトル203を第1の作業待機ステーション115に移動する(ステップS8)。その結果、第1の作業ステーション113が空きとなる。
【0059】
制御装置300は、供給ステーション110から排出ステーション118までの移動時間が短くなるように、複数のシャトル200の移動を制御することが好ましい。具体的には、制御装置300は、供給ステーション110に先に供給されたシャトル200が排出ステーション118に先に移動するための制御を行う。これにより、個々のパーソナルケア製品の製造に掛かる時間を短縮することができる。
【0060】
より具体的には、制御装置300は、第1の作業待機ステーション115又は第2の作業待機ステーション116と、第3の作業待機ステーション112とにシャトル200がそれぞれ位置し、目的地のステーション(第1の作業ステーション113又は第2の作業ステーション114)が同じであるときを想定する。このとき、第1の作業待機ステーション115又は第2の作業待機ステーション116に位置するシャトルが、先に目的地のステーション(第1の作業ステーション113又は第2の作業ステーション114)に移動するように、複数のシャトル200の移動を制御する。
【0061】
言い換えると、制御装置300は、第1の作業待機ステーション115から第2の作業ステーション114への移動と、第3の作業待機ステーション112から第2の作業ステーション114への移動とでは、前者を優先して実行する。制御装置300は、第2の作業待機ステーション116から第1の作業ステーション113への移動と、第3の作業待機ステーション112から第1の作業ステーション113への移動とでは、前者を優先して実行する。
【0062】
要するに、第1の作業待機ステーション115及び第2の作業待機ステーション116が共に空きであるとき、第3の作業待機ステーション112から第1の作業ステーション113又は第2の作業ステーション114への移動を実行する。第2の作業ステーション114及び第1の作業待機ステーション115が埋まっており、第1の作業ステーション113及び第2の作業待機ステーション116が空いている場合、第3の作業待機ステーション112から第1の作業ステーション113への移動を実行する。作業の済んだワーク700を搭載したシャトル200を先に排出することで、全体的なサイクルタイムを短縮するためである。本明細書で「全体的なサイクルタイム」とは、1個のパーソナルケア製品を製造するときのサイクルタイムを意図するものではなく、多数のパーソナルケア製品(多品種のパーソナルケア製品を含んでもよい)を製造するときのサイクルタイムを意図する。例えば、複数のシャトル200がステージ100上を自在に移動し、具体的には、第1の作業ステーション113から第2の作業待機ステーション116へと、また、第2の作業待機ステーション116から第1の作業ステーション113へと、複数のシャトル200が移動する。このため、同時並行的に目的の作業を実行できるので、シリアルなラインと異なり作業の渋滞が生じにくい。結果的に、多数のパーソナルケア製品710を製造するときの全体的なサイクルタイムを短縮することができる。
【0063】
制御装置300は、第1の作業ステーション113及び第2の作業ステーション114、並びに、第1の作業待機ステーション115及び第2の作業待機ステーション116が全て空きであるときは、第3の作業待機ステーション112から第1の作業待機ステーション115への移動を、第3の作業待機ステーション112から第2の作業ステーション114への移動より優先して実行する。これは、第2の作業ステーション114の方が排出ステーションに近いため、第3の作業待機ステーション112、第2の作業ステーション114、第1の作業ステーション113、排出待機ステーション117の順よりも、第3の作業待機ステーション112、第1の作業ステーション113、第2の作業ステーション114、排出待機ステーション117の順の方が、移動距離を短く出来るからである。また、ルールを決めておくことにより、複数のシャトル200が衝突するのを防止するためである。
【0064】
第2の作業待機ステーション116に位置する第2のシャトル202と、第3の作業待機ステーション112に位置する第4のシャトル204とが、共に、第1の作業ステーション113を目的地とする場合を想定する。この場合、制御装置300は、供給ステーション110に先に供給された第2のシャトル202を、排出ステーション118に先に移動するための制御を行う。
【0065】
図13に示すように、制御装置300は、第2のシャトル202を、第2の作業待機ステーション116から第1の作業ステーション113に移動する(ステップS6)。その結果、第2の作業待機ステーション116が空きとなる。
【0066】
図14に示すように、制御装置300は、第2の機械600を制御して、第2の作業ステーション114に位置する第1のシャトル201に搭載されたワーク701(既に第1の作業を実行済み)に対して第2の作業を実行させる(ステップS10)。第2の作業により、ワーク701に第2の加飾601が施される。
制御装置300は、第1のシャトル201を、第2の作業ステーション114から、第3の排出待機ステーション117C、第2の排出待機ステーション117B及び第1の排出待機ステーション117Aをこの順に移動し(ステップS12)、排出ステーション118へと移動する(ステップS13)。
制御装置300は、第1のシャトル201が排出ステーション118に到着すると、第1のシャトル201に搭載されていたワーク701に対する全ての作業が終了し、ワーク701がパーソナルケア製品710の完成品となったと判断する。
【0067】
第1の作業待機ステーション115に位置する第3のシャトル203と、第3の作業待機ステーション112に位置する第4のシャトル204とが、共に、第2の作業ステーション114を目的地とする場合を想定する。この場合、制御装置300は、供給ステーション110に先に供給された第3のシャトル203を、排出ステーション118に先に移動するための制御を行う。
【0068】
図15に示すように、制御装置300は、第3のシャトル203を、第1の作業待機ステーション115から第2の作業ステーション114に移動する(ステップS9)。その結果、第1の作業待機ステーション115が空きとなる。
【0069】
制御装置300は、マニピュレータロボット400を制御して、排出ステーション118に位置する第1のシャトル201から、ワーク701を排出する(ステップS14)。
【0070】
制御装置300は、排出ステーション118に位置するシャトル200の重量が減少したことを検出すると、第1のシャトル201からワーク701が排出されたと判断する。そして、第1のシャトル201を制御するための実行中のプログラムを削除し、新たに、第1のシャトル201が供給ステーション110に移動するための制御を開始する。
これにより、図16に示すように、制御装置300は、第1のシャトル201を供給待機ステーション119に移動する(ステップS1)。
【0071】
図17に示すように、制御装置300は、第1の機械500を制御して、第1の作業ステーション113に位置する第2のシャトル202に搭載されたワーク702(既に第2の作業を実行済み)に対して第1の作業を実行させる(ステップS7)。第1の作業により、ワーク702に第1の加飾501が施される。
制御装置300は、第2のシャトル202を、第1の作業ステーション113から、第3の排出待機ステーション117C、第2の排出待機ステーション117B及び第1の排出待機ステーション117Aをこの順に移動し(ステップS12)、排出ステーション118へと移動する(ステップS13)。制御装置300は、第2のシャトル202が第3の排出待機ステーション117Cに到達した時点で、第1の作業ステーション113が空きと判断する。
制御装置300は、第2のシャトル202が排出ステーション118に到着すると、第2のシャトル202に搭載されていたワーク702に対する全ての作業が終了し、ワーク702がパーソナルケア製品710の完成品となったと判断する。
【0072】
図18に示すように、制御装置300は、マニピュレータロボット400を制御して、排出ステーション118に位置する第2のシャトル202から、ワーク702を排出する(ステップS14)。
並行して、制御装置300は、第1の作業待機ステーション115及び第2の作業待機ステーション116がともに空きであるので、第4のシャトル204を、第3の作業待機ステーション112から第1の作業ステーション113に移動する(ステップS6)。その結果、第3の作業待機ステーション112が空きとなる。
【0073】
図19に示すように、制御装置300は、第5のシャトル205を、待機ステーション111から第3の作業待機ステーション112に移動する(ステップS5)。その結果、待機ステーション111が空きとなる。
【0074】
図20に示すように、制御装置300は、空の第1のシャトル201を、供給待機ステーション119から供給ステーション110に移動する(ステップS2)。その結果、供給待機ステーション119が空きとなる。
制御装置300は、空の第2のシャトル202を、排出ステーション118から供給待機ステーション119に移動する(ステップS1)。その結果、排出ステーション118が空きとなる。
【0075】
図21に示すように、制御装置300は、第2の機械600を制御して、第2の作業ステーション114に位置する第3のシャトル203に搭載されたワーク703(既に第1の作業を実行済み)に対して第2の作業を実行させる(ステップS10)。第2の作業により、ワーク703に第2の加飾601が施される。
制御装置300は、第3のシャトル203を、第2の作業ステーション114から、第3の排出待機ステーション117C、第2の排出待機ステーション117B及び第1の排出待機ステーション117Aをこの順に移動し(ステップS12)、排出ステーション118へと移動する(ステップS13)。制御装置300は、第3のシャトル203が第3の排出待機ステーション117Cに到達した時点で、第2の作業ステーション114が空きと判断する。
制御装置300は、第3のシャトル203が排出ステーション118に到着すると、第3のシャトル203に搭載されていたワーク703に対する全ての作業が終了し、ワーク703がパーソナルケア製品710の完成品となったと判断する。
並行して、制御装置300は、マニピュレータロボット400を制御して、供給ステーション110に位置する第1のシャトル201に、ワーク707を搭載する(ステップS3)。
【0076】
図22に示すように、制御装置300は、マニピュレータロボット400を制御して、排出ステーション118に位置する第3のシャトル203から、ワーク703を排出する(ステップS14)。
並行して、制御装置300は、第1の作業待機ステーション115及び第2の作業待機ステーション116が共に空きであるので、第3の作業待機ステーション112に位置する第5のシャトル205を、第2の作業ステーション114に移動する(ステップS9)。その結果、第3の作業待機ステーション112が空きとなる。
【0077】
図23に示すように、制御装置300は、第1のシャトル201を、供給ステーション110から待機ステーション111に移動する(ステップS4)。その結果、供給ステーション110が空きとなる。
制御装置300は、空の第2のシャトル202を、供給待機ステーション119から供給ステーション110に移動する(ステップS2)。その結果、供給待機ステーション119が空きとなる。
制御装置300は、空の第3のシャトル203を、排出ステーション118から供給待機ステーション119に移動する(ステップS1)。その結果、排出ステーション118が空きとなる。
【0078】
図24に示すように、制御装置300は、マニピュレータロボット400を制御して、供給ステーション110に位置する第2のシャトル202に、ワーク708を搭載する(ステップS3)。
【0079】
図25に示すように、制御装置300は、第1の機械500を制御して、第1の作業ステーション113に位置する第4のシャトル204に搭載されたワーク704に対して第1の作業を実行させる(ステップS7)。第1の作業により、ワーク704に第1の加飾501が施される。
制御装置300は、第4のシャトル204を第1の作業待機ステーション115に移動する(ステップS8)。その結果、第1の作業ステーション113が空きとなる。
制御装置300は、第2の機械600を制御して、第2の作業ステーション114に位置する第5のシャトル205に搭載されたワーク705に対して第2の作業を実行させる(ステップS10)。第2の作業により、ワーク705に第2の加飾601が施される。
制御装置300は、第5のシャトル205を第2の作業待機ステーション116に移動する(ステップS11)。その結果、第2の作業ステーション114が空きとなる。
【0080】
図26に示すように、制御装置300は、第4のシャトル204を、第1の作業待機ステーション115から第2の作業ステーション114に移動する(ステップS9)。その結果、第1の作業待機ステーション115が空きとなる。
並行して、制御装置300は第5のシャトル205を、第2の作業待機ステーション116から第1の作業ステーション113に移動する(ステップS6)。その結果、第2の作業待機ステーション116が空きとなる。
【0081】
図27に示すように、制御装置300は、第2の機械600を制御して、第2の作業ステーション114に位置する第4のシャトル204に搭載されたワーク704(既に第1の作業を実行済み)に対して第2の作業を実行させる(ステップS10)。第2の作業により、ワーク704に第2の加飾601が施される。
制御装置300は、第4のシャトル204を、第2の作業ステーション114から、第3の排出待機ステーション117C、第2の排出待機ステーション117B及び第1の排出待機ステーション117Aをこの順に移動し(ステップS12)、排出ステーション118へと移動する(ステップS13)。
制御装置300は、第4のシャトル204が排出ステーション118に到着すると、第4のシャトル204に搭載されていたワーク704に対する全ての作業が終了し、ワーク704がパーソナルケア製品710の完成品となったと判断する。
【0082】
並行して、制御装置300は、第1の機械500を制御して、第1の作業ステーション113に位置する第5のシャトル205に搭載されたワーク705(既に第2の作業を実行済み)に対して第1の作業を実行させる(ステップS7)。第1の作業により、ワーク705に第1の加飾501が施される。
制御装置300は、第5のシャトル205を、第1の作業ステーション113から、第3の排出待機ステーション117C及び第2の排出待機ステーション117Bをこの順に移動し、第1の排出待機ステーション117Aへと移動する(ステップS12)。制御装置300は、第5のシャトル205が第3の排出待機ステーション117Cに到達した時点で、第1の作業ステーション113が空きと判断する。
【0083】
この様に、制御装置300は、第4のシャトル204に搭載されたワーク704に第1の作業ステーション113で第1の作業が実行されるのと並行して、第5のシャトル205に搭載されたワーク705に第2の作業ステーション114で第2の作業が実行され(図24乃至図25)る。
また、第4のシャトル204に搭載されたワーク704に第2の作業ステーション114で第2の作業が実行されるのと並行して、第5のシャトル205に搭載されたワーク705に第1の作業ステーション113で第1の作業が実行されるように(図26乃至図27)、複数の第1乃至第5のシャトル201~205の移動を制御する。
【0084】
図28に示すように、制御装置300は、マニピュレータロボット400を制御して、排出ステーション118に位置する第4のシャトル204から、ワーク704を排出する(ステップS14)。
【0085】
図29に示すように、制御装置300は、第1のシャトル201を、待機ステーション111から第3の作業待機ステーション112に移動する(ステップS5)。その結果、待機ステーション111が空きとなる。
制御装置300は、第2のシャトル202を、供給ステーション110から待機ステーション111に移動する(ステップS4)。その結果、供給ステーション110が空きとなる。
制御装置300は、空の第3のシャトル203を、供給待機ステーション119から供給ステーション110に移動する(ステップS2)。その結果、供給待機ステーション119が空きとなる。
制御装置300は、空の第4のシャトル204を、排出ステーション118から供給待機ステーション119に移動する(ステップS1)。その結果、排出ステーション118が空きとなる。
制御装置300は、第5のシャトル205を、第1の排出待機ステーション117Aから排出ステーション118に移動する(ステップS13)。その結果、第1の排出待機ステーション117Aが空きとなる。
【0086】
図30に示すように、制御装置300は、マニピュレータロボット400を制御して、排出ステーション118に位置する第5のシャトル205から、ワーク705を排出する(ステップS14)。
並行して、制御装置300は、第1の作業待機ステーション115及び第2の作業待機ステーション116がともに空きであるので、第1のシャトル201を、第3の作業待機ステーション112から第2の作業ステーション114に移動する(ステップS9)。その結果、第3の作業待機ステーション112が空きとなる。
並行して、制御装置300は、マニピュレータロボット400を制御して、ワーク709を供給ステーション110に位置する空の第3のシャトル203に搭載する(ステップS3)。
【0087】
4.第1の機械及び第2の機械の例
第1の機械500又は第2の機械600は、典型的には、流動性を有する組成物Lを、組成物が供給されるワーク700上に供給する供給部20と、供給部20と連通するように一体的に配置されたノズル21とを備える。典型的には、平板状のシャトル200がノズル21の下方且つノズル21と対向する位置に配されており、シャトル200の上面にワーク700が搭載できる。これらを備えた一例を図32に示す。
【0088】
第1の機械500又は第2の機械600は、供給部20とシャトル200とを所定の位置に支持又は保持する。制御装置300は、第1の機械500又は第2の機械600を制御して、ノズル21の位置及びシャトル200の位置を、任意の方向に相対的に移動させる。これによって、ノズル21及びシャトル200の少なくとも一方を、平面方向、鉛直方向又はその組み合わせの方向に移動させて、ノズル21及びシャトル200上のワーク700の少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることができる。
【0089】
供給部20は、流動性を有する組成物Lをワーク700側に送液する部材である。供給部20は、送液部25と、組成物収容部26とを備えることが好ましい。
送液部25は、流路28を介して組成物収容部26が連通して接続されていることが好ましい。これにより、組成物収容部26から送液部25の内部に供給された組成物Lをノズル21側に連続的に又は非連続的に供給したり、あるいは供給を停止したりできる。このような送液部25としては、組成物Lを液滴状に吐出可能なジェットディスペンサー、あるいは組成物Lを連続的に吐出可能なモーノディスペンサーやスクリューディスペンサーを用いることができる。
組成物収容部26は、その一方がエア等の加圧手段やポンプと接続されており、組成物収容部26に収容されている組成物Lを、流路28を介して、送液部25側に圧送できるように構成されていることが好ましい。
【0090】
ノズル21は、典型的には、組成物Lを供給部20からワーク700に向けて供給する管状の部材である。ノズル21は、その内部に形成された空間である組成物Lの流路が組成物Lの流動方向に沿って形成されている。ノズル21は、その一方の端部であるノズル先端が組成物Lの供給口を構成し、他方の端部は上述した供給部20と連通して接続されている。ノズルの構成材料は特に限定されず、例えば金属やプラスチックなどを採用できる。
【0091】
5.組成物の例
特に断りのない限り、以下に説明する物質の状態(三態)は、1気圧、20℃を基準とする。
組成物は、組成物に含まれる材料の均一分散性を向上し品質を安定化させることや、ノズルから吐出した第1の造形体又は第2の造形体の崩れを抑制し形状を安定化させるといった観点から、その粘度が、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.5Pa・s以上、更に好ましくは1Pa・s以上である。
また、上記粘度は、吐出性を向上させ、成形性を向上する観点から、好ましくは1000Pa・s以下、より好ましくは500Pa・s以下、更に好ましくは200Pa・s以下である。
上述した組成物の粘度は、組成物の温度をノズル21からの供給時の組成物と同じ温度、すなわち吐出時の温度にした上で測定する。例えば組成物がスラリーである等といった加熱溶融液以外のものであり、室温(25℃)でノズルから供給する場合には、25℃において、B型粘度計(東機産業株式会社製、デジタル粘度計TVB-10R)を用いて測定された値とする。この場合の測定条件は、ローターをサンプルの粘度範囲に合わせてローターNo.M1、M2、M3、M4、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、T-A、T-B、T-C、T-D及びT-Eのいずれかとし、回転数を3~100rpmとし、測定時間を60秒間とする。組成物が加熱溶融液である場合、組成物の温度をノズル21からの供給時の組成物と同じ温度にした上で、前述の測定条件にて粘度を測定する。
【0092】
組成物は、粉体等の固体及び油剤から選ばれる一種又は二種以上を含むことが好ましい。
このような固体としては、例えば、着色顔料及び体質顔料などの通常の化粧料成分に用いられる粉体を含むことが好ましい。
着色顔料及び体質顔料としては、例えば、無機粉体、有機粉体、無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。
無機粉体としては、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、雲母、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン、カーボンブラック、チッ化ホウ素これらの複合体等が挙げられる。有機粉体としては、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂 、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、長鎖アルキルリン酸金属塩、N-モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等が挙げられる。
これらの体質顔料や着色顔料は、着色しているか又は非着色(例えば、白色又は本質的に透明)であり、組成物又は皮膚に対して、着色、光の回折、油分吸収、半透明性、不透明性、光沢、光沢のない外観、滑らか感などのうちの一つ以上の効果を提供し得る。
【0093】
組成物中における粉体の含有量は、その目的に応じて異なるが、乾燥といった生産性の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。
組成物中における粉体の含有量は、供給時の流動性といった生産性の観点から、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
このような範囲であることで、高精細な立体形状を有するパーソナルケア製品を製造しやすくすることができ、また製品を使用したときの良好な使用感を高めることができる。
組成物中における粉体の平均粒径は、着色力や明度、彩度等の光学的性質の調整といった観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上である。
組成物中における粉体の平均粒径はノズル詰まりを抑制し連続的に安定した吐出を可能とするといった観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置で測定される累積体積50容量%における体積累積粒径D50とする。なお、最終的な製品から粉体の平均粒径を測る場合には、まず製品を水や油に溶解させ、バインダー成分を溶かして溶媒に粒子を分散させる。その後、粒度分布計を用いて固形物としての粒度分布を測定し、得られた結果の体積累積粒径D50を平均粒径とする。
組成物中における粉体の平均粒径は、ノズルからの安定供給性といった観点から、ノズル21の断面の長さD1より小さいことが好ましい。ノズル21の断面が真円でない場合は、ノズルの断面の最小長さをD1とする。
組成物中における粉体の平均粒径は、上述の方法で製造された第1の造形体又は第2の造形体の平面視における線幅W1を細くし、立体的且つ高精細なデザインを安定的に形成するといった観点から、ノズル21の断面の長さD1との比(平均粒径/ノズル断面長さ)が、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.35以下、より一層好ましくは0.3以下である。
平均粒径/ノズル断面長さは小さければ小さいほど好ましいが、現実的には0.001以上である。
【0094】
流動体中に含まれ得る油剤は、1気圧、20℃で液体の油(以下、これを液体油ともいう。)、及び1気圧、20℃で固体の油(以下、これを固体油ともいう。)から選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。
液体油としては、例えば、直鎖又は分岐の炭化水素油、植物油、動物油、エステル油、シリコーン油、高分子アルコールが挙げられる。
直鎖又は分岐の炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン等が挙げられる。植物油としては、ホホバ油、オリーブ油等が挙げられる。
動物油としては、液状ラノリン等が挙げられる。
エステル油としては、モノアルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高分子アルコールとしては、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
固体油としては、例えば、ワセリン、セタノール、ステアリルアルコール、セラミド等が挙げられる。
【0095】
組成物中における油剤の含有量は、その目的に応じて異なるが、総量として、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは1.5質量%以上である。
組成物中における油剤の含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
このような範囲であることで、パーソナルケア製品としての良好な発色性や感触を高めることができる。
【0096】
組成物は、目的とするパーソナルケア製品の種類に応じて、増粘剤、皮膜剤、界面活性剤、糖、多価アルコール、水溶性高分子、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、アミノ酸、有機アミン、pH調整剤、皮膚コンディショニング剤、ビタミン、酸化防止剤、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等から選ばれる一種又は二種以上の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体としては、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸塩、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸塩等が挙げられる。
メトキシ桂皮酸誘導体としては、メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
紫外線散乱剤としては、例えば平均粒径が0.1μm以下の微粒子を用いることができる。
紫外線散乱剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン及びシリカ等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0097】
組成物は、液媒を更に含むことも好ましい。液媒は、化粧料を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒として使用することができる液体である。
組成物をスラリーの形態とする場合、組成物は、粉体及び液媒を少なくとも含む混合物であることが好ましい。組成物を化粧料スラリーの形態とする場合には、組成物は、上述した顔料を含む粉体、油剤及び液媒を少なくとも含む混合物であることが好ましい。
【0098】
上述した液体(液媒)としては、例えば、液体の状態において揮発性を有する物質(揮発性溶媒)が挙げられる。具体的には液体(液媒)としては、水、アルコール、ケトン及び炭化水素等から選ばれる一種又は二種以上が好ましく挙げられる。
アルコールとしては、例えば一価の炭素数1~6の鎖式脂肪族アルコールや、一価の炭素数3~6の環式脂肪族アルコールや、一価の芳香族アルコールが好適に用いられる。それらの具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、フェニルエチルアルコール、プロパノール、ペンタノールなどが挙げられる。
ケトンとしては例えば炭素数3~6の鎖式脂肪族ケトンや、炭素数3~6の環式脂肪族ケトンや、炭素数8~10の芳香族ケトンが好適に用いられる。それらの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどが挙げられる。
炭化水素としては、例えばイソパラフィン系炭化水素が好適に用いられ、その具体例としては、IPソルベントが挙げられる。
【0099】
組成物に液媒を含む場合、組成物中における液媒の含有量は、その目的に応じて異なるが、総量として、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは40質量%以上である。
組成物中における液媒の含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
このような範囲であることで、組成物の構成材料の均一分散性を高めつつ、取り扱い性を高めることができる。
【0100】
6.変形例
(1)変形例1
製造装置1を用いて製造されるパーソナルケア製品は、典型例は化粧料粉末等を含むアイシャドウ又はファンデーション等のパウダー化粧品等の粉体を主成分とする固形のパーソナルケア製品であるが、これに限定されない。製造装置1は、粉体を主成分としない固形のパーソナルケア製品(口紅、固形石鹸、クリームアイシャドウ、アロマキャンドル等)を製造してもよい。製造装置1は、液体(化粧水やシャンプー等)や粒子体(入浴剤等)のパーソナルケア製品を製造してもよい。
【0101】
例えば、第1の機械500は、第1の作業として、一の組成物をワーク(容器)に導入する工程を実行する。第2の機械600は、第2の作業として、別の組成物をワーク(同じ容器)に導入する工程を有する。ここで、第1の機械500が保湿タイプの化粧水を構成する組成物を、第2の機械600が美白タイプの化粧水を構成する組成物をワーク(容器)に任意の割合で導入すれば、様々なユーザの嗜好や様々な肌タイプに応じた化粧水を製造可能である。
【0102】
(2)変形例2
ステージ100は、他の用途のステーションをさらに有してもよい。例えば、ステージ100は、第1の作業及び/又は第2の作業が実行された後のワーク700を検査する1以上の検査ステーションを含んでもよい。
【0103】
(3)変形例3
制御装置300は、シャトル200が、供給ステーション110から、第1の作業ステーション113又は第2の作業ステーション114の何れか一方のみに移動し、第1の作業又は第2の作業の一方のみが実行された後、排出ステーション118に移動するよう、シャトル200の移動を制御してもよい。
要するに、製造装置1は、第1の造形体又は第2の造形体の何れか一方を有するパーソナルケア製品を形成してもよい。
【0104】
製造装置1は、上記実施形態では第1の作業及び第2の作業の両方を実行して第1の造形体又は第2の造形体を含むパーソナルケア製品を製造したが、これと並行して、第1の作業又は第2の作業の何れか一方を実行して第1の造形体又は第2の造形体の何れか一方を有する別品種のパーソナルケア製品を製造してもよい。
【0105】
7.結語
典型的に、パーソナルケア製品の製造は複数の工程を含むため、製造ラインに広いスペースや多数の人員が必要となり、また、サイクルタイムが長くなるおそれがある。
これに対して、本実施形態によれば、複数のステーション110~119は、シリアルなライン的ではなく、自在に行き来が可能である様に2次元的に配置される。これにより、複数のシャトル200が複数のステーション110~119間を、同時並行的に、独立して自在に移動することができる。そして、複数の工程を含むパーソナルケア製品の製造を、省スペース化及び省人化し、サイクルタイムを短縮することができる。
【0106】
本実施形態によれば、第1の作業及び第2の作業のうち先に実行可能な作業を先に行い他方の作業を後で行うことで、決められた順序の作業のために複数のシャトルが待機し、作業が滞り全体的なサイクルタイムが長引くことを防止することができる。複数のシャトル200がステージ100上を自在に移動し、同時並行的に目的の作業を実行できるので、シリアルなラインと異なり作業の渋滞が生じにくい。結果的に、多数のパーソナルケア製品を製造するときの全体的なサイクルタイムを短縮することができる。
【0107】
本実施形態によれば、制御装置300は、異なるNCプログラムに基づき、第1の機械500及び第2の機械600に、異なる形状の第1の造形体及び異なる形状の第2の造形体を作成させる(異なる第1の作業及び異なる第2の作業の何れかを実行させる)ことが可能である。これにより、様々なデザインの造形体を作成するにあたり個別の金型等を必要とせず、異なるNCプログラムを準備すれば、多種多様なデザインの多品種のパーソナルケア製品を製造することができる。
多品種のNCプログラムを準備すれば多品種のパーソナルケア製品を製造できることから、ロット数の少ない品種のパーソナルケア製品を、低価格で容易に製造することができる。例えば、発注者(個人又は事業者等)の望むデザインのオンデマンドのパーソナルケア製品を、低価格で容易に製造するサービスも容易に実現可能である。
【0108】
本実施形態によれば、ステージ100、第1の機械500及び第2の機械600が物理的に独立している。また、ステージ100の電磁コイルのオンオフ及び電流値を制御してシャトル200を移動させるための基本的なコンピュータプログラムと、この基本コンピュータプログラムのサブルーチンとして第1の機械500及び第2の機械600を制御するGコードを用いたNCプログラムとがある。このため、ステージ100及び基本プログラムを準備しておき、第1の機械500及び第2の機械600として堆積体を形成するノズルを含む装置(3Dプリンタ)と切削体を形成する切削機械(エンドミル等)を含む装置を適宜設置し、設置された第1の機械500及び第2の機械600に応じたコンピュータプログラムを実行すれば、様々な製造方法で、様々なデザインの多品種のパーソナルケア製品を容易に製造することができる。
【0109】
本実施形態によれば、シリアルなライン設備でなく金型も不要であるため、異なる様々なデザインの多品種のパーソナルケア製品を同時に作成することも可能である。例えば、一品種のパーソナルケア製品を作成するのに第1の作業は比較的時間が掛かり第2の作業は短時間で済むと仮定する。この場合、第2の作業が早く終了すると第2の作業を実行する第2の機械600の空き時間が発生してしまう。この場合に、第2の作業は時間が掛かり第1の作業は短時間で済む別品種のパーソナルケア製品(あるいは、第2の作業のみ実行するさらに別品種のパーソナルケア製品)を、上記一品種のパーソナルケア製品と同時並行的に製造すれば、第2の機械600の空き時間を有効活用することができ、全体的なサイクルタイムを短縮可能である。
【0110】
7.その他
本発明は、以下の各構成を有してもよい。
<1>
人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造装置であって、
複数のステーションを有するステージと、
前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルと、
制御装置と、
を具備し、
前記複数のステーションは、
前記ワークが供給される、供給ステーションと、
前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションと、
前記ワークが排出される、排出ステーションと、を含み、
前記制御装置は、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、
前記シャトルの移動を制御する
製造装置。
<2>
複数の前記シャトルを具備し、
前記制御装置は、複数の前記シャトルが独立して前記複数のステーション間を移動するように、複数の前記シャトルの移動を制御する
上記<1>に記載の製造装置。
<3>
前記制御装置は、複数の前記シャトルのそれぞれに搭載されたワークに、
前記複数の作業ステーションで前記作業が並行して実行されるように、
複数の前記シャトルの移動を制御する
上記<2>に記載の製造装置。
<4>
前記複数の作業ステーションは、
前記作業後に待機する作業待機ステーションをそれぞれ有し、
複数の作業待機ステーションに待機するシャトルの次の目的地のステーションが同じである時、
先にワークが供給されたシャトルを優先するように、
複数の前記シャトルの移動を制御する
上記<2>又は<3>に記載の製造装置。
<5>
前記制御装置は、
複数の前記作業ステーションから複数の前記作業待機ステーションへの経路と、
複数の前記作業待機ステーションから複数の前記作業ステーションへの経路と、
がそれぞれ一方通行となるように、複数の前記シャトルの移動を制御する
上記<4>に記載の製造装置。
<6>
前記制御装置は、
一のシャトルが、出発地のステーションから目的地のステーションへ移動を開始すると、前記目的地のステーションを使用中と判断し、
別のシャトルが、使用中と判断された前記目的地のステーションに移動を開始しないように、複数の前記シャトルの移動を制御する
上記<2>乃至<5>の何れか一項に記載の製造装置。
<7>
前記制御装置は、
一のシャトルが、出発地のステーションから目的地のステーションへ移動を完了すると、前記出発地のステーションを空きと判断し、
別のシャトルが、空きと判断された前記出発地のステーションに移動を開始するように、複数の前記シャトルの移動を制御する
上記<2>乃至<6>の何れか一項に記載の製造装置。
<8>
前記複数の作業ステーション、前記供給ステーション及び前記排出ステーションが2次元的に配置される
上記<1>乃至<7>の何れか一項に記載の製造装置。
<9>
複数の前記作業ステーションのうち、少なくとも一つの作業ステーションにおいて、前記ワークが前記シャトルに搭載された状態で前記作業が実行される
上記<1>乃至<8>の何れか一項に記載の製造装置。
<10>
前記作業を実行する作業機械をさらに具備し、
前記制御装置は、
複数の異なる前記作業の何れかを実行するように、
前記作業機械および/又は前記シャトルを制御する
上記<1>乃至<9>の何れか一項に記載の製造装置。
<11>
前記制御装置は、通る必要のない作業ステーションは経由しないよう前記シャトルの移動を制御する
<1>乃至<10>の何れか一項に記載の製造装置。
<12>
前記制御装置は、前記ステージがシャトルを電磁的に検出した結果に基づき、前記シャトルが位置する前記ステージ上におけるXYZ座標およびXYZ軸周りの回転角度を判断する
上記<1>乃至<11>の何れか一項に記載の製造装置。
<13>
前記制御装置は、前記供給ステーションに位置するシャトルの重量が増加したことを検出すると、
前記シャトルにワークが供給されたと判断し、
前記シャトルが前記作業ステーションに移動するための制御を開始する
上記<1>乃至<12>の何れか一項に記載の製造装置。
<14>
前記制御装置は、前記排出ステーションに位置するシャトルの重量が減少したことを検出すると前記シャトルからワークが排出されたと判断し、前記シャトルが前記供給ステーションに移動するための制御を開始する
上記<1>乃至<13>の何れか一項に記載の製造装置。
<15>
前記複数のステーションは、前記作業が実行された後のワークを検査する1以上の検査ステーションを含む
上記<1>乃至<14>の何れか一項に記載の製造装置。
<16>
複数の前記作業ステーションで行われる前記作業には、2以上の造形体形成工程を含み、
該2以上の造形体形成工程は、
前記ワークに切削体を形成する工程と、
前記ワークに堆積体を形成する工程との、
少なくともいずれか一方を含む
上記<1>乃至<15>の何れか一項に記載の製造装置。
<17>
複数の前記作業ステーションで行われる前記作業には、2以上の造形体形成工程を含み、
該造形体形成工程は、内部に基材を含む前記ワークに対して切削又は組成物の堆積を行い、前記基材を造形体とするものであり、
前記2以上の造形体形成工程は、
切削機械及び前記ワークの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させながら、前記基材を切削し、前記造形体として切削体を形成する切削体形成工程と、
組成物をノズルから前記ワークに導入しながら、該ノズル及び前記ワークの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記基材に組成物を堆積させ、前記造形体として堆積体を形成する堆積体形成工程との、
少なくともいずれか一方を含む
上記<1>乃至<15>に記載の製造装置。
<18>
前記パーソナルケア製品は、化粧品、アロマキャンドル、洗浄剤及び入浴剤から選ばれる1又は2以上を含む
上記<1>乃至<17>の何れか一項に記載の製造装置。
<19>
前記ステージ及び前記シャトルは、リニア搬送システムを構成する
上記<1>乃至<18>の何れか一項に記載の製造装置。
<20>
前記複数の作業に掛かる時間は、異なる
上記<1>乃至<19>の何れか一項に記載の製造装置。
<21>
前記造形体形成工程は、
ステージと平行な平面をXY平面とし、基材表面上の任意の点を原点とする、基材座標系を設定し、
前記XY平面と平行な平面上で作業機械の先端を原点とする局所座標系を設定し、
前記局所座標系の原点と前記基材座標系の原点とが一致するよう、前記作業機械及び前記ワークの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させた後、NCプログラムを前記局所座標系において動作させ、前記造形体を形成する
上記<16>又は<17>に記載の製造装置。
<22>
人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造方法であって、
複数のステーションを有するステージと、
前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルと、
を有する製造装置において、
前記複数のステーションは、
前記ワークが供給される、供給ステーションと、
前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションと、
前記ワークが排出される、排出ステーションと、を含み、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、
前記シャトルの移動を制御する
製造方法。
<23>
人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造装置を制御する制御装置であって、
前記製造装置は、
複数のステーションを有するステージと、
前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルと、
を有し、
前記複数のステーションは、
前記ワークが供給される、供給ステーションと、
前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションと、
前記ワークが排出される、排出ステーションと、を含み、
前記制御装置は、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、
前記シャトルの移動を制御する
制御装置。
<24>
人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造装置を制御する制御装置が実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記製造装置は、
複数のステーションを有するステージと、
前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルと、
を有し、
前記複数のステーションは、
前記ワークが供給される、供給ステーションと、
前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションと、
前記ワークが排出される、排出ステーションと、を含み、
前記制御装置を、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、
前記シャトルの移動を制御する
よう動作させるコンピュータプログラム。
<25>
人体に適用可能なパーソナルケア製品であって、
堆積体及び/又は切削体により形成される2以上の造形体を具備し、
前記造形体は、2以上の異なる形状及び/又は組成物からなる、
パーソナルケア製品。
<26>
上記<1>乃至<21>の何れか一項に記載の製造装置を用いたパーソナルケア製品の製造方法。
【0111】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0112】
1 製造装置
100 ステージ
110 供給ステーション
113 第1の作業ステーション
114 第2の作業ステーション
118 排出ステーション
200~205 シャトル
300 制御装置
700~707 ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
【手続補正書】
【提出日】2023-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造装置であって、
複数のステーションを有するステージと、
前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルと、
制御装置と、
を具備し、
前記複数のステーションは、
前記ワークが供給される、供給ステーションと、
前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションと、
前記ワークが排出される、排出ステーションと、を含み、
前記制御装置は、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、
前記シャトルの移動を制御する
製造装置。
【請求項2】
複数の前記シャトルを具備し、
前記制御装置は、複数の前記シャトルが独立して前記複数のステーション間を移動するように、複数の前記シャトルの移動を制御する
請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記制御装置は、複数の前記シャトルのそれぞれに搭載されたワークに、
前記複数の作業ステーションで前記作業が並行して実行されるように、
複数の前記シャトルの移動を制御する
請求項2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記複数の作業ステーションは、
前記作業後に待機する作業待機ステーションをそれぞれ有し、
前記制御装置は、
複数の前記作業ステーションから複数の前記作業待機ステーションへの経路と、
複数の前記作業待機ステーションから複数の前記作業ステーションへの経路と、
がそれぞれ一方通行となるように、複数の前記シャトルの移動を制御する
請求項2又は3に記載の製造装置。
【請求項5】
複数の前記作業ステーションで行われる前記作業には、2以上の造形体形成工程を含み、
該2以上の造形体形成工程は、
前記ワークに切削体を形成する工程と、
前記ワークに堆積体を形成する工程との、
少なくともいずれか一方を含む
請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項6】
複数の前記作業ステーションで行われる前記作業には、2以上の造形体形成工程を含み、
該造形体形成工程は、内部に基材を含む前記ワークに対して切削又は組成物の堆積を行い、前記基材を造形体とするものであり、
前記2以上の造形体形成工程は、
切削機械及び前記ワークの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させながら、前記基材を切削し、前記造形体として切削体を形成する切削体形成工程と、
組成物をノズルから前記ワークに導入しながら、該ノズル及び前記ワークの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記基材に組成物を堆積させ、前記造形体として堆積体を形成する堆積体形成工程との、
少なくともいずれか一方を含む
請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項7】
前記ステージ及び前記シャトルは、リニア搬送システムを構成する
請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項8】
人体に適用可能なパーソナルケア製品の製造方法であって、
複数のステーションを有するステージと、
前記パーソナルケア製品の前駆体であるワークを搭載して複数の前記ステーション間を移動することで前記ワークを搬送するシャトルと、
を有する製造装置において、
前記複数のステーションは、
前記ワークが供給される、供給ステーションと、
前記ワークに作業が実行される、複数の作業ステーションと、
前記ワークが排出される、排出ステーションと、を含み、
前記シャトルを前記供給ステーションに移動させて前記ワークを搭載し、
搭載した前記ワークに必要な作業を行う為の前記作業ステーションを、複数の前記作業ステーションの中から抽出し、
抽出した前記作業ステーションの受け入れ状況と各作業間の実行順の置換可否に応じて、複数の前記作業ステーションから最適な作業ステーションを選択し、
前記シャトルを、前記選択した前記作業ステーションへ順次移動させることで、
前記ワークへ作業を実行した後、
前記シャトルを前記排出ステーションに移動させて前記ワークを排出した後、
前記シャトルを前記再度供給ステーションへ移動させるように、
前記シャトルの移動を制御する
製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
供給部20は、流動性を有する組成物Lをワーク700側に送液する部材である。供給部20は、送液部25と、組成物収容部26とを備えることが好ましい。
送液部25は、流路28を介して組成物収容部26が連通して接続されていることが好ましい。これにより、組成物収容部26から送液部25の内部に供給された組成物Lをノズル21側に連続的に又は非連続的に供給したり、あるいは供給を停止したりできる。このような送液部25としては、組成物Lを液滴状に吐出可能なジェットディスペンサー、あるいは組成物Lを連続的に吐出可能なモーノディスペンサー(登録商標)やスクリューディスペンサーを用いることができる。
組成物収容部26は、その一方がエア等の加圧手段やポンプと接続されており、組成物収容部26に収容されている組成物Lを、流路28を介して、送液部25側に圧送できるように構成されていることが好ましい。