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特開2023-183392二輪車両及び三輪車両のための動的質量推定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183392
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】二輪車両及び三輪車両のための動的質量推定
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20231220BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20231220BHJP
【FI】
B60W30/02
B60W50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094306
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】17/840901
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ソマー,ニコラス
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241CA12
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CC18
3D241DA20Z
3D241DA49Z
3D241DA52Z
3D241DA61Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DB14Z
3D241DB16Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両の総質量を決定するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】車両のための制御システムであって、制御システムは、車両の加速度を検出する第1センサと、第1センサに接続された電子プロセッサとを含む。電子プロセッサは、車両の積載状態が検知されたか否かを判断し、車両の積載状態が検知された場合には、車両の第1の総質量を、第1の技法を用いて決定する。電子プロセッサは、車両の加速度を示す第1の信号を第1センサから受信し、車両の加速度がゼロよりも大きいか否かを判断し、車両の加速度がゼロよりも大きい場合には、車両の第2の総質量を、第2の手法を用いて決定し、車両の加速度がゼロよりも大きくない場合には、車両の第3の総質量を第3の手法を用いて決定し、また、車両の機能を、総質量の1つに基づいて制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のための制御システムであって、
前記車両の加速度を検出するように構成された第1センサと、
前記車両のトルク出力を検出するように構成された第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサに接続された電子プロセッサと、を備え、前記電子プロセッサが、
前記車両の積載状態が検知されたか否かを判断し、
前記車両の積載状態が検知された場合に、前記車両の第1の総質量を、前記車両の積載状態に基づいて決定し、
前記車両の積載状態が検知された場合に、前記車両の機能を、前記車両の前記第1の総質量に基づいて制御し、
前記車両の加速度を示す第1の信号を前記第1センサから受信し、
前記車両のトルク出力を示す第2の信号を前記第2センサから受信し、
前記車両の第2の総質量を、前記車両の加速度及び前記車両のトルク出力に基づいて決定し、
前記車両の積載状態が検知されない場合に、前記車両の機能を、前記車両の前記第2の総質量に基づいて制御するように構成されている、制御システム。
【請求項2】
前記電子プロセッサが、前記車両の前記加速度がゼロよりも大きい場合に、前記車両の前記第2の総質量を前記車両の前記加速度及び前記車両の前記トルク出力に基づいて決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記車両の複数の積載状態に関連付けられた、前記車両の前記第1の総質量の複数の値を記憶するように構成されたメモリをさらに備え、
前記電子プロセッサが、前記車両の積載状態が第1の積載状態であると検知されたときに、前記車両の前記第1の総質量が前記メモリに記憶された第1の値であると決定するようにさらに構成されており、且つ、
前記電子プロセッサが、前記車両の積載状態が第2の積載状態であると検知されたときに、前記車両の前記第1の総質量が前記メモリに記憶された第2の値であると決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記車両の積載状態に関するユーザ選択を受け取るように構成されたユーザインタフェースをさらに備え、
前記電子プロセッサが、前記車両の積載状態を、前記ユーザインタフェースに提供された前記ユーザ選択に基づいて検知するようにさらに構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記車両の積載状態が、ライダー1人搭乗状態、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態、ライダー2人搭乗状態、及び、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態から成る群から選択される1つである、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記車両に加えられるブレーキ圧を検出するように構成された第3センサをさらに含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
前記電子プロセッサが、さらに、
前記車両の加速度がゼロよりも大きいか否かを判断し、
前記車両の加速度が0よりも大きくない場合に、前記車両が制動しているか否かを判断し、
前記車両に加えられたブレーキ圧を示す第3の信号を前記第3センサから受信し、
前記車両の加速度が0よりも大きくない場合に、前記車両の第3の総質量を、前記車両に加えられたブレーキ圧及び前記車両の加速度に基づいて決定し、
前記車両の機能を、前記車両の前記第3の総質量に基づいて制御するように構成されている、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記車両の機能が、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、及び前輪リフト管理から成る群から選択される安全機能である、請求項1に記載の制御システム。
【請求項9】
前記電子プロセッサが、前記車両に含まれる電気油圧制御ユニットに含まれ、
前記第1センサが、前記車両の慣性測定ユニットに含まれ、且つ、
前記第2センサが、前記車両に含まれるエンジン制御ユニットに含まれる、請求項1に記載の制御システム。
【請求項10】
車両の総質量を決定する方法であって、前記車両が、前記車両の加速度を検出するように構成された第1センサと、前記車両のトルク出力を検出するように構成された第2センサと、前記第1センサ及び前記第2センサに接続された電子プロセッサとを含み、前記方法が、
前記電子プロセッサを介して、前記車両の積載状態が検出されたか否かを判断するステップと、
前記車両の積載状態が検出された場合に、前記電子プロセッサを介して、前記車両の積載状態に基づいて前記車両の第1の総質量を決定するステップと、
前記車両の積載状態が検出された場合に、前記車両の前記第1の総質量に基づいて前記車両の機能を制御するステップと、
前記車両の加速度を示す第1の信号を、前記第1センサから前記電子プロセッサを介して受信するステップと、
前記車両のトルク出力を示す第2の信号を、前記第2センサから前記電子プロセッサを介して受信するステップと、
前記電子プロセッサを介して、前記車両の第2の総質量を、前記車両の加速度及び前記車両のトルク出力に基づいて決定するステップと、
前記車両の積載状態が検知されない場合に、前記車両の機能を、前記車両の前記第2の総質量に基づいて前記電子プロセッサを介して制御するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記車両の加速度がゼロよりも大きい場合に、前記電子プロセッサを介して、前記車両の前記第2の総質量を、前記車両の加速度及び前記車両のトルク出力に基づいて決定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記車両の積載状態が第1の積載状態であると検知されたときに、前記電子プロセッサを介して、前記車両の前記第1の総質量がメモリに記憶された第1の値であると決定するステップと、
前記車両の積載状態が第2の積載状態であると検知されたときに、電子プロセッサを介して、前記車両の前記第1の総質量が前記メモリに記憶された第2の値であると決定するステップと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ユーザインタフェースを介して、前記車両の積載状態に関するユーザ選択を受け取るステップと、
前記ユーザインタフェースに提供された前記ユーザ選択に基づいて、前記電子プロセッサを介して、前記車両の積載状態を判断するステップと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記車両の積載状態が、ライダー1人搭乗状態、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態、ライダー2人搭乗状態、及び、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態から成る群から選択される1つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、
前記電子プロセッサを介して、前記車両の加速度がゼロよりも大きいか否かを判断するステップと、
前記電子プロセッサを介して、前記車両の加速度が0よりも大きくない場合に前記車両が制動しているか否かを判断するステップと、
前記電子プロセッサを介して、前記車両に加えられたブレーキ圧を示す第3の信号を第3センサから受信するステップと、
前記車両の加速度が0よりも大きくない場合に、前記車両の第3の総質量を、前記車両に加えられたブレーキ圧及び前記車両の加速度に基づいて決定するステップと、
前記車両の機能を、前記電子プロセッサを介して前記車両の前記第3の総質量に基づいて制御するステップと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記車両の機能が、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、及び前輪リフト管理から成る群から選択される安全機能である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記電子プロセッサが、前記車両に含まれる電気油圧制御ユニットに含まれ、
前記第1センサが、前記車両の慣性測定ユニットに含まれ、且つ、
前記第2センサが、前記車両に含まれるエンジン制御ユニットに含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
車両のための制御システムであって、
前記車両の加速度を検出するように構成された第1センサと、
前記第1センサに接続された電子プロセッサと、を備え、前記電子プロセッサが、
前記車両の積載状態が検知されたか否かを判断し、
前記車両の積載状態が検知された場合に、前記車両の第1の総質量を、第1の技法を用いて決定し、
前記車両の加速度を示す第1の信号を前記第1センサから受信し、
前記車両の加速度がゼロよりも大きいか否かを判断し、
前記車両の加速度がゼロよりも大きい場合に、第2の技法を用いて前記車両の第2の総質量を決定し、
前記車両の加速度がゼロよりも大きくない場合に、第3の技法を用いて前記車両の第3の総質量を決定し、且つ、
前記車両の機能を、前記車両の前記第1の総質量、前記車両の前記第2の総質量、及び前記車両の前記第3の総質量のうちの1つに基づいて制御するように構成されている、制御システム。
【請求項19】
前記車両の積載状態が、ライダー1人搭乗状態、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態、ライダー2人搭乗状態、及び、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態から成る群から選択される1つである、請求項18に記載の制御システム。
【請求項20】
前記車両の総質量を決定するための前記第1の技法が、前記車両の積載状態に基づいており、
前記車両の総質量を決定するための前記第2の技法が、前記車両のトルク出力に基づいており、
前記車両の総質量を決定するための前記第3の技法が、前記車両に加えられるブレーキ圧に基づいている、請求項18に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二輪車両及び三輪車両のための動的質量推定に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車両及び三輪車両のアクティブ安全機能(例えば、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御など)の性能は、車両の総質量の変化に大きく依存し得る。これらの車両総質量の変化が、アクティブ安全機能の性能に、タイヤ接地面における法線力の変化、制動中又は加速中の重量移動、及びその他の車両の力学的挙動により悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の態様は、車両の総質量を決定するためのシステム及び方法に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの例は、車両のための制御システムを提供し、この制御システムは、前記車両の加速度を検出するように構成された第1センサと、前記車両のトルク出力を検出するように構成された第2センサと、前記第1センサ及び前記第2センサに接続された電子プロセッサと、を備えている。前記電子プロセッサは、前記車両の積載状態が検知されたか否かを判断し、前記車両の積載状態が検知された場合に、前記車両の第1の総質量を、前記車両の積載状態に基づいて決定し、且つ、前記車両の積載状態が検知された場合に、前記車両の機能を、前記車両の前記第1の総質量に基づいて制御するように構成されている。前記電子プロセッサは、さらに、前記車両の加速度を示す第1の信号を前記第1センサから受信し、前記車両のトルク出力を示す第2の信号を前記第2センサから受信し、前記車両の第2の総質量を、前記車両の加速度及び前記車両のトルク出力に基づいて決定し、且つ、前記車両の積載状態が検知されない場合には、前記車両の機能を、前記車両の前記第2の総質量に基づいて制御するように構成されている。
【0005】
別の例は、車両の総質量を決定する方法を提供し、前記車両は、前記車両の加速度を検出するように構成された第1センサと、前記車両のトルク出力を検出するように構成された第2センサと、前記第1センサ及び前記第2センサに接続された電子プロセッサとを含む。前記方法は、前記電子プロセッサを介して、前記車両の積載状態が検出されたか否かを判断するステップと、前記車両の積載状態が検出された場合に、前記電子プロセッサを介して、前記車両の積載状態に基づいて前記車両の第1の総質量を決定するステップと、前記車両の積載状態が検出された場合に、前記車両の前記第1の総質量に基づいて前記車両の機能を制御するステップと、を含む。前記方法は、さらに、前記車両の加速度を示す第1の信号を、前記第1センサから前記電子プロセッサを介して受信するステップと、前記車両のトルク出力を示す第2の信号を、前記第2センサから前記電子プロセッサを介して受信するステップと、前記電子プロセッサを介して、前記車両の第2の総質量を、前記車両の加速度及び前記車両のトルク出力に基づいて決定するステップと、前記車両の積載状態が検知されない場合には、前記車両の機能を、前記車両の前記第2の総質量に基づいて前記電子プロセッサを介して制御するステップと、を含む。
【0006】
別の例は、車両のための制御システムを提供する。このシステムは、前記車両の加速度を検出するように構成された第1センサと、前記第1センサに接続された電子プロセッサと、を備えている。前記電子プロセッサは、前記車両の積載状態が検知されたか否かを判断し、前記車両の積載状態が検知された場合に、前記車両の第1の総質量を、第1の技法を用いて決定し、前記車両の加速度を示す第1の信号を前記第1センサから受信し、前記車両の加速度がゼロよりも大きいか否かを判断し、前記車両の加速度がゼロよりも大きい場合に、第2の技法を用いて前記車両の第2の総質量を決定するように構成されている。前記電子プロセッサは、さらに、前記車両の加速度がゼロよりも大きくない場合に、第3の技法を用いて前記車両の第3の総質量を決定し、且つ、前記車両の機能を、前記車両の前記第1の総質量、前記車両の前記第2の総質量、及び前記車両の前記第3の総質量のうちの1つに基づいて制御するように構成されている。
【0007】
添付図面(類似の参照番号が別々の図全体において同一又は機能的に類似の要素を指す)は、以下の詳細な説明と共に本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、また、請求される主題を含む概念の例、実例、及び/又は態様をさらに図示し、例、実例、及び/又は態様の様々な原理及び利点を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一例による車両の斜視図である。
図2】一例による、図1の車両のための制御システムのブロック図である
図3】一例による、図1の車両のためのユーザインタフェースを示す図である。
図4】一例による、様々な車両積載状態に関する車両の加速度とトルク出力との関係を示すグラフである。
図5】一例による、様々な車両積載状態に関する車両の加速度と車両に加えられるブレーキ圧との関係を示すグラフである。
図6】一例による、車両の総質量を決定するための方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
熟練した技術者であれば、図中の要素が単純化及び明確化のために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、様々な態様及び例の理解を深めるために、その他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0010】
装置及び方法の構成要素は、必要に応じて図面中の慣用的な符号により示されている。これらは、本開示を、本明細書の説明の恩恵を受ける当業者に容易に明らかになるであろう詳細により不明瞭にしないように、例示された例、実例及び態様の理解に関連する特定の詳細のみを示している。
【0011】
1以上の態様を、以下の説明及び添付図面に記載及び図示する。これらの態様は、本明細書で提示される特定の詳細に限定されるものではなく、様々な方法で改変され得る。さらに、本明細書に記載されていない他の態様も存在し得る。例えば、或る方法で「構成」されている装置又は構造は、少なくともその方法で構成されているが、記載されていない方法で構成される場合もある。さらに、本明細書で説明する幾つかの態様は、1以上の電子プロセッサ(記載される機能を、非一過性のコンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行することにより実行するように構成されている)を含み得る。同様に、本明細書に記載する態様は、説明される機能を実行するために1以上の電子プロセッサにより実行可能な命令を記憶する非一過性のコンピュータ可読媒体として実現され得る。本願で使用されるように、「非一過性のコンピュータ可読媒体」は、全てのコンピュータ可読媒体を含むが、一過性の伝播する信号は含まない。従って、非一過性のコンピュータ可読媒体は、例えば、ハードディスク、CD―ROM、光学記憶装置、磁気記憶装置、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、その他のメモリ及び記憶装置、又はそれらの組合せを含み得る。
【0012】
さらに、本明細書で使用される語句及び用語は、説明のためにあり、限定的であるとみなされるべきではない。例えば、本明細書における「含む」(“including”)、「含有する」(“containing”)、「備える」(“comprising”)、「有する」(“having”)、及びこれらのバリエーションの使用は、その後に列挙される項目及びその均等物、並びに追加の項目を包含することが意図されている。用語「接続される」(“connected”)及び「連結される」(“coupled”)は、広義に使用され、直接的及び間接的な接続及び連結の両方を包含する。さらに、「接続される」及び「連結される」は、物理的及び機械的な接続及び連結に限定されず、直接的又は間接的にかかわらず、電気的な接続又は連結を含むことができる。さらに、電子的通信及び通知は、有線接続、無線接続、又はそれらの組み合わせを使用して実行されることができ、様々なタイプのネットワーク、通信チャンネル及び接続を介して直接的に、又は1以上の仲介デバイスを介して送信され得る。さらに、関係を表す用語、例えば、第1と第2、トップとボトム、などは、本明細書において、1つのエンティティ又はアクションを別のエンティティ又はアクションから区別するためにのみ使用され得るのであり、そのようなエンティティ又はアクション間の実際のそのような関係又は順序を必ずしも必要としない。
【0013】
図1は、本開示の幾つかの態様による車両100の斜視図を示している。図示されている例において、車両100は、第1の(すなわち前方)車輪105及び第2の(すなわち後方)車輪110を含むオートバイである。しかし、幾つかの例において、車両100が、異なるタイプの二輪車両、例えば、スクータ、電動自転車、又はその他の何らかのタイプの二輪車両として実現されることが理解されよう。さらに、幾つかの例において、車両100が三輪車両として実現されることが理解されよう。幾つかの例において、車両100は、内燃機関により動力供給される。幾つかの例において、車両100は電動車両である。幾つかの例において、車両100はハイブリッド車両である。
【0014】
以下に、より詳細に説明するように、車両100の1以上の機能の性能は、車両100の総質量に依存し得る。車両100の総質量は、車両100の質量と、車両100により支持される荷重115の質量との合計に等しい。しかし、荷重115の質量が車両100の積載状態により変化し得るため、車両100の総質量は一定値ではない。例えば、車両100の総質量は、車両100の運転中に以下の積載状態うちのどれが存在するかによって変化し得る。すなわち、ライダー(乗り手)1人搭乗状態、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態、ライダー2人搭乗状態、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態である。
【0015】
本開示の目的として、「ライダー1人搭乗状態」が、最小の質量を有する積載状態であり、「ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態」が最大の質量を有する積載状態であると一般的に推測されるであろう。さらに、「ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態」が、「ライダー2人搭乗」の質量よりも小さい質量を有すると一般的に推測されるであろう。しかし、異なる積載状態のそれぞれの質量間の相対的な関係は、単に例として提供され、車両100の実現を何ら制限するものではないことを理解されたい。一例として、幾つかの例において、「ライダー1人搭乗状態」の質量が、その他の積載状態のうちの1以上におけるそれぞれの質量よりも大きい場合がある。さらに、本明細書に記載する4つの異なる車両積載状態は単に例として提示され、車両100が1以上の追加の積載状態下で運転されることを何ら制限するものではないことを理解されたい。例えば、幾つかの例において、車両100は、2人よりも多くのライダーを含む積載状態下で運転され得る。
【0016】
図2は、車両100の制御システム200のブロック図である。以下に、より詳細に説明するように、制御システム200に含まれる1以上のコンポーネントが、車両100の総質量を決定するために使用される。図示された例において、制御システム200は、慣性測定ユニット(IMU)205と、半能動減衰制御ユニット(SDCU)210と、エンジン制御ユニット(ECU)215及び/又は電子速度コントローラ(ESC)220と、車体制御ユニット(BCU)225と、ユーザインタフェース230と、電気油圧制御ユニット(EHCU)235とを含む。幾つかの例において、制御システム200は、ECU215又はESC220のいずれかを含む。例えば、車両100が内燃機関により動力供給される例の場合、制御システム200はECU215を含み、ESC220を含まない。別の例として、車両100が電動車両である例において、制御システム200はESC220を含み、ECU215を含まない。車両100がハイブリッド車両である例では、制御システム200は、ECU215及びESC220の両方を含み得る。
【0017】
別個のコンポーネントとして図示されているが、幾つかの例において、制御システム200に含まれるコンポーネントの1以上を組み合わせて単一のコンポーネントにできることを理解されたい。ほんの一例として、幾つかの例において、ECU215及びESC220が、単一のコンポーネントとして実装される。さらに、幾つかの例において、制御システム200に含まれるコンポーネントの幾つかが1つ超のコンポーネントとして実装されることを理解されたい。例えば、幾つかの例において、IMU205は1つ超のコンポーネントとして実装される。
【0018】
制御システム200に含まれるコンポーネントは、通信バス240により互いに電気的及び/又は通信的に接続される。幾つかの例において、通信バス240はコントローラエリアネットワーク(CAN)バスとして実装される。幾つかの例において、通信バス240は、フレックスレイバスとして実装される。幾つかの例において、通信バス240は、イーサネットなどの異なるタイプの通信経路を、制御システム200に含まれるコンポーネントの間に提供する。
【0019】
IMU205は、車両100の動き及び/又は向きに関連する情報を検出及び決定するように構成される。例えば、IMU205は、1以上の加速度計及び/又は1以上のジャイロスコープを含み、且つ/又はこれらに接続される。これらは、車両100の縦方向加速度、車両100のロールレート、車両100のヨーレート、車両100のピッチ角、車両100のピッチレート、並びに、車両100の動き及び/又は向きに関連するその他の情報を検出する。加速度計(複数可)及び/又はジャイロスコープ(複数可)により生成された信号に基づいて、IMU205は、車両100の加速度及び/又は向きを決定する。例えば、幾つかの例において、IMU205はマイクロコントローラ(図示せず)を含み、マイクロコントローラは、車両100の加速度及び/又は向きを、加速度計(複数可)及び/又はジャイロスコープ(複数可)により生成された信号に基づいて決定するように構成されている。その他の例において、制御システム200内のその他の場所に配置されたマイクロコントローラが、車両100の加速度及び/又は向きを、加速度計(複数可)及び/又はジャイロスコープ(複数可)により生成された信号に基づいて決定するように構成される。
【0020】
SDCU210は、車両100のサスペンションモードを制御し、且つ/又は車両100の積載状態を決定するように構成される。例えば、SDCU210は、1以上のセンサ、例えばストローク及び/又はブレーキセンサを含み、且つ/又はこれらに接続されており、これらが、車両のサスペンション及び積載に関連する状態を検知する。センサにより生成された信号に基づいて、SDCU210は、車両100の積載状態が、ライダー1人搭乗状態、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態、ライダー2人搭乗状態、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態、又は何らかのその他の積載状態のいずれであるかを判断する。例えば、幾つかの例において、SDCU210は、1以上のセンサにより生成された信号に基づいて車両100の積載状態を判断するように構成されたマイクロコントローラ(図示せず)を含む。他の例において、制御システム200内のその他の場所に配置されたマイクロコントローラが、車両100の加速度及び/又は向きを、ストローク及び/又は圧力センサにより生成された信号に基づいて決定するように構成される。
【0021】
幾つかの例において、SDCU210は、車両減衰が多少なりとも要求されるか否かを、1以上のストロークセンサにより生成される信号、車両100に加えられるブレーキ圧を示す信号(例えば、EHCU235に含まれるブレーキ圧センサにより生成される信号)、及び/又は、IMU205により生成される車両ピッチ及び/又は縦方向加速度に関連する信号に基づいて決定するよう構成される。そのような場合、SDCU210は、車両100により経験される重量移動の量を、上述の信号に基づいて決定し、こうして、車両100により支持される荷重115の全体質量を決定する。従って、そのような場合、SDCU210は、車両100の積載状態を、車両100により支持されている決定された荷重115に基づいて判断する。他の例において、SDCU210は、車両100の計器クラスタに含まれるインタフェース(例えば、ユーザインタフェース230)を介してユーザにより構成され得る。このような例において、ユーザは、車両100のサスペンション減衰を、ソフト/コンフォートモード、標準モード、スポーツモード、オフロードモードなどの異なるモードを選択することにより変更するように操作可能である。
【0022】
車両100が内燃機関を含む場合、ECU215は、内燃機関の動作を制御し、内燃機関に関連する1以上の状態を検出するように構成される。例えば、ECU215は、スロットル位置、エンジンのトルク出力、エンジンの回転数/分(RPM)、及び/又は燃料レベルを検出する1以上のセンサを含み、且つ/又はこれらに接続される。ECU215は、これらのセンサにより生成された信号に基づいて、スロットル位置、エンジンのトルク出力、エンジンRPM、及び/又は燃料レベルのうちの1以上を決定するように構成される。例えば、幾つかの例において、ECU215は、スロットル位置、トルク出力、エンジンRPM、及び/又は燃料レベルのうちの1以上を、センサにより生成された信号に基づいて決定するように構成されたマイクロコントローラ(図示せず)を含む。他の例において、制御システム200内のその他の場所に配置されたマイクロコントローラが、スロットル位置、トルク出力、エンジンRPM、及び/又は燃料レベルのうちの1以上を、センサにより生成された信号に基づいて決定するように構成される。
【0023】
車両100が、電力源(例えば、バッテリ)及び1以上のモータにより動力供給される電動車両である場合、ESC220は、モータ(複数可)の動作を制御し、モータ(複数可)に関連する1以上の状態を検出するように構成される。例えば、ESC220は、モータ(複数可)のトルク出力、モータ(複数可)のRPM、及び/又はバッテリ容量レベルを検出する1以上のセンサを含み、且つ/又はそれらに接続される。ESC220は、これらのセンサにより生成された信号に基づいて、モータ(複数可)のトルク出力、モータ(複数可)のRPM、レベル又は発電ブレーキ性能、及び/又はバッテリ容量レベルのうちの1以上を決定するように構成される。例えば、幾つかの例において、ESC220は、モータ(複数可)のトルク出力、モータ(複数可)のRPM、レベル又は発電ブレーキ性能、及び/又はバッテリ容量レベルのうちの1以上を、センサにより生成された信号に基づいて決定するように構成されたマイクロコントローラ(図示せず)を含む。他の例において、制御システム200内のその他の場所に配置されたマイクロコントローラが、モータ(複数可)のトルク出力、モータ(複数可)のRPM、レベル又は発電ブレーキ性能、及び/又はバッテリ容量レベルのうちの1以上を、センサにより生成された信号に基づいて決定するように構成される。上述したように、車両100がハイブリッド車両である場合、制御システム200は、ECU215及びESC220の両方を含み得る。
【0024】
BCU225は、車両100のステアリング及びタイヤ圧に関連する情報を制御及び/又は決定するように構成される。例えば、BCU225は、1以上のステアリング角センサ、1以上のタイヤ圧センサ(複数可)、及び/又は、ステアリング角及び/又はタイヤ圧を検出する1以上の追加のセンサを含み、且つ/又はこれらに接続される。ステアリング角センサ(複数可)、タイヤ圧センサ(複数可)、及び/又は他のセンサ(複数可)により生成された信号に基づいて、BCU225は、車両100のステアリング角、及び/又は、車両100に含まれるタイヤの圧力を決定する。例えば、幾つかの例において、BCU225は、車両100のステアリング角及び/又は車両100のタイヤ圧を、ステアリング角センサ(複数可)、タイヤ圧センサ(複数可)、及び/又は他のセンサ(複数可)により生成された信号に基づいて決定するように構成されたマイクロコントローラ(図示せず)を含む。他の例において、制御システム200内のその他の場所に配置されたマイクロコントローラが、車両100のステアリング角及び/又は車両100のタイヤ圧を、ステアリング角センサ(複数可)、タイヤ圧センサ(複数可)、及び/又は他のセンサ(複数可)により生成された信号に基づいて決定するよう構成される。
【0025】
ユーザインタフェース230は、ユーザから入力を受け取り、且つ/又は、車両100に関連する情報をユーザに出力するように構成される。幾つかの例において、ユーザインタフェース230は、ディスプレイ(例えば、一次ディスプレイ、二次ディスプレイなど)、及び/又は、入力デバイス(例えば、タッチスクリーンディスプレイ、複数のノブ、ダイヤル、スイッチ、ボタンなど)を含む。ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ(「LCD」)、発光ダイオード(「LED」)ディスプレイ、有機LED(「OLED」)ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ(「ELD」)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(「SED」)、電界放出ディスプレイ(「FED」)、薄膜トランジスタ(「TFT」)LCDなどであり得る。幾つかの例において、ユーザインタフェース230は、車両100のコンポーネントとして一体化されている。他の例において、ユーザインタフェース230は、車両100の外部にあるコンポーネント、例えば、スマートフォン、タブレット、又は他の類似のモバイルコンピューティングデバイスである。
【0026】
幾つかの例において、ユーザインタフェース230は、ユーザからの選択を受け取るように構成される。そのような例において、ユーザは、車両100の積載状態を、ユーザインタフェース230に含まれる入力デバイス(複数可)300(図3)を用いて選択する。図3は、例示的なユーザインタフェース230を示しており、ユーザインタフェース230は、ユーザにより選択され得る予め定義された積載状態のリスト305を提示する。図示されているように、予め定義された積載状態のリスト305は、ライダー1人搭乗状態310、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態315、ライダー2人搭乗状態320、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態325を含む。上述したように、予め定義された積載状態のリスト305は例として提供されるのであり、本明細書に記載されていない追加の積載状態で車両100を動作させることを何ら制限するものではないことを理解されたい。
【0027】
幾つかの例において、ユーザインタフェース230は、車両100により支持されている荷重115の正確な質量を示すユーザからの入力を受け取るように構成される。例えば、そのような例において、ユーザは、入力デバイス300を介して、車両100により支持されている荷重115(例えば、ライダー(複数可)及び/又は荷物)の質量を示す1以上の数値入力を提供できる。
【0028】
EHCU235は、1以上の安全機能及び/又は制御機能(例えば、ブレーキ、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、前輪リフト管理など)を車両100に提供するように構成される。EHCU235が提供する安全機能及び/又は制御機能の性能は、車両100の総質量に応じて変化し得る。また、車両100の推定総質量が不正確である場合、EHCU235が提供する安全機能及び/又は制御機能の性能は低下する。従って、以下に、より詳細に説明するように、EHCU235は、車両100の積載状態が変化したときの質量の変化を考慮するために、車両100の総質量を動的に推定又は決定するように構成される。例えば、EHCU235は、車両100の総質量を、データ(IMU205、SDCU210、ECU215、ESC220、BCU225、ユーザインタフェース230、及び、EHCU235に含まれるか又はその他の方法で接続された1以上の追加のセンサのうちの1以上から提供される)に基づいて決定する。幾つかの例において、EHCU235は、また、車両に加えられるブレーキ圧を検出する1以上の圧力センサ245も含み、且つ/又はそれらに接続される。例えば、圧力センサ(複数可)245は、車両100に含まれるマスタシリンダブレーキ及び/又はホイールシリンダブレーキのブレーキ圧を検出し、車両100のブレーキ圧を示す信号をEHCU235に伝達する。
【0029】
図2に示されているように、EHCU235は、複数の電気コンポーネント及び電子コンポーネントを含み、これらは、電力、動作制御、及び保護を、EHCU235及び/又は制御システム200内のコンポーネント及びモジュールに提供する。例えば、EHCU235は、電子プロセッサ250(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラム可能な論理コントローラ、又は他の適切なデバイス)及びメモリ255を含む。
【0030】
メモリ255は、非一過性のコンピュータ可読媒体であり、例えば、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含む。プログラム記憶領域及びデータ記憶領域は、異なるタイプのメモリの組合せ、例えば、1以上のレジスタ、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(例えば、ダイナミックRAM[「DRAM」]、同期DRAM[「SDRAM」]など)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、又は他の適切な磁気、光学、物理、若しくは電子メモリデバイスを含み得る。幾つかの例において、メモリ255のデータ記憶領域は、車両100の質量に関連するデータ、車両100の1以上の予め定義された積載状態に関連するデータ、ユーザインタフェース230に提供される車両積載状態選択に関連するデータ、及び/又は、車両100に関連する他のデータを記憶する。
【0031】
電子プロセッサ250はメモリ255に接続され、ソフトウェア命令を実行する。ソフトウェア命令は、メモリ255のRAM(例えば、実行中に)、メモリ255のROM(例えば、ほぼ永久的に)、又は、別の非一過性のコンピュータ可読媒体に記憶されることができる。幾つかの例において、車両100の総質量を推定又は決定するために使用されるソフトウェアがメモリ255に格納される。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1以上のプログラムモジュール、及び他の実行可能な命令を含む。電子プロセッサ250は、車両100の総質量を決定するために使用されるプロセス及び方法に特に関連する命令をメモリ255から検索して実行するように構成される。別の例において、電子プロセッサ250は、電子プロセッサ250の1以上のレジスタに記憶されたデータに従って論理機能を実行するように構成されたASICである。幾つかの例において、電子プロセッサ250及び/又はメモリ255は、制御システム200内のその他の場所(例えば、EHCU235の外部)に配置される。
【0032】
上述のように、EHCU235は、車両100の総質量を、IMU205、SDCU210、ECU215、ESC220、BCU225、ユーザインタフェース230、及び/又は、EHCU235に含まれるか又はその他の方法で接続された1以上の追加のセンサのうちの1以上により提供されるデータに基づいて決定するように構成される。幾つかの例において、EHCU235は、車両100の総質量を決定する1以上の方法を用いるように構成され、この決定方法は、IMU205、SDCU210、ECU215、ESC220、BCU225、ユーザインタフェース230、及び/又は、EHCU235に含まれるか又はその他の方法で接続された1以上の追加のセンサのうちの1以上により提供されるデータに基づいている。そのような場合、EHCU235は、車両100の総質量を決定するための他の方法が利用できない場合に、車両100の総質量を決定するための特定の方法を使用し得る。
【0033】
EHCU235は、車両100の総質量を、車両100の検出された又は決定された積載状態に基づく第1の方法又は技法を用いることにより決定するように構成される。第1の方法を用いて決定される車両100の総質量の値を「第1の総質量」と称し、これにより、他の方法を用いて決定される車両100の総質量と区別し得る。車両100の総質量を決定するために第1の方法を使用する場合、EHCU235は、車両100の積載状態を示すデータを、SDCU210及び/又はユーザインタフェース230から受け取る。例えば、幾つかの例において、SDCU210は、上述のように、車両100の現在の積載状態(例えば、ライダー1人搭乗、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している、ライダー2人搭乗、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している、など)を、ストロークセンサ、ブレーキ圧センサ、及び/又は加速度計(例えば、IMU205に含まれる加速度計)により生成された信号に基づいて判断するように構成される。車両100の現在の積載状態を判断した後、SDCU210は、車両100の現在の積載状態を示す信号をEHCU235に送信する。
【0034】
別の例として、幾つかの例において、ユーザインタフェース230は、車両100の現在の積載状態の選択を受信し、車両100の選択された積載状態を示す信号をEHCU235に送信する。例えば、図3に関して上述したように、ユーザは、入力デバイス(複数可)300を介して、車両100の現在の積載状態(例えば、ライダー1人搭乗、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している、ライダー2人搭乗、ライダー2人搭乗且つ荷物を積載している、など)を、予め定義された積載状態のリスト305から選択する。
【0035】
EHCU235は、車両100の現在の積載状態を、SDCU210及び/又はユーザインタフェース230から受信した信号に基づいて判断し、その後、車両100の総質量を、車両100の現在の積載状態に基づいて決定する。幾つかの例において、EHCU235は、車両100の総質量を、車両100の現在の積載状態に関連付けられてメモリ255に記憶されているそれぞれの質量値であると決定する。すなわち、それぞれの質量値が、車両100のそれぞれの積載状態に関連付けられてメモリ255に記憶されている。幾つかの例において、車両100の積載状態に関連付けられたそれぞれの質量値は、メモリ255に記憶されている、予め決められ又は工場で設定された値である。幾つかの例において、車両100の積載状態に関連付けられたそれぞれの質量値は、ユーザにより提供及び/又は更新される設定可能な値である。例えば、ユーザは、ユーザインタフェース230を介してそれぞれの質量値をメモリ255に記憶されるように入力できる。
【0036】
幾つかの例において、第1の質量値が、ライダー1人搭乗状態に関連付けられてメモリ255に記憶され、これにより、EHCU235は、車両100の現在の積載状態がライダー1人搭乗状態であるとき、車両100の総質量が第1の質量値に等しいと判断する。同様に、幾つかの例において、第2の質量値が、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態に関連付けられてメモリ255に記憶され、これにより、EHCU235は、車両100の現在の積載状態がライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態であるとき、車両100の総質量が第2の質量値に等しいと判断する。さらに、幾つかの例において、第3の質量値が、ライダー2人搭乗状態に関連付けられてメモリ255に記憶され、これにより、EHCU235は、車両100の現在の積載状態がライダー2人搭乗状態であるとき、車両100の総質量が第3の質量値に等しいと判断する。さらに、幾つかの例において、第4の質量値が、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態に関連付けられてメモリ255に記憶され、これにより、EHCU235は、車両100の現在の積載状態がライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態であるとき、車両100の総質量が第3の質量値に等しいと判断する。
【0037】
上述のように、EHCU235は、車両100の1以上の安全機能を、第1の方法を用いて決定される車両100の第1の総質量に基づいて制御するように構成される。例えば、EHCU235は、ブレーキ、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、前輪リフト管理などの安全機能を、車両100の第1の総質量に基づいて制御する。
【0038】
幾つかの例において、EHCU235は、第1の方法を、車両100が静止しているとき又は加速していないときに車両100の総質量を決定するために使用する。幾つかの例において、EHCU235は、第1の方法を、車両100の積載状態が検知されたときに車両100の総質量を決定するために使用する。しかし、幾つかの例においては、車両100の現在の積載状態を利用できないか又は検知できない。例えば、ユーザがユーザインタフェース230を介して車両100の現在の積載状態を選択することを忘れた場合、及び/又は、SDCU210が車両100の現在の積載状態を判断できない場合、車両100の現在の積載状態はEHCU235により検知されない。さらに、状況によっては、車両の電気的構造によりSDCU210が車両上に存在しない場合もある。従って、そのような場合、EHCU235は、車両100の総質量を決定するための別の方法を使用する。
【0039】
EHCU235は、さらに、車両100の総質量を、車両100のトルク出力及び車両100の縦方向加速度に基づく第2の方法又は技法を用いて決定するように構成される。第2の方法を用いて決定される車両100の総質量の値を、他の方法を用いて決定される車両100の総質量と区別するために「第2の総質量」と称し得る。上述したように、幾つかの例において、EHCU235は、車両100の縦方向加速度を示すデータをIMU205から受信する。例えば、IMU205は、車両100の縦方向加速度を検出する1以上の加速度計を含み、且つ/又はそれらに接続される。他の例において、EHCU235は、車両100の縦方向加速度を、EHCU235に含まれるか又はその他の方法で接続された加速度計により生成された信号に基づいて決定する。
【0040】
さらに、上述のように、EHCU235は、車両100のトルク出力を示すデータ、例えば1以上のトルク微分値を、ECU215及び/又はESC220から受信する。例えば、ECU215は、車両100が内燃機関を含む場合、内燃機関が出力するトルクを示す信号をEHCU235に送信する。同様に、ESC220は、車両100が1以上のモータにより動力供給される電気車両である場合、モータ(複数)が出力するトルクを示す信号をEHCU235に送信する。幾つかの例において、ECU215及び/又はESC220は、トルク出力の微分値を示す1以上の信号を送信する。
【0041】
幾つかの例において、EHCU235は、車両100の総質量を、車両100のトルク出力と、車両100の加速度と、車両100の総質量との間の関係に基づいて決定する。例えば、EHCU235は、式1を用いて車両の総質量を決定する。式中、「Fd」は車両100のトルク出力を示す力であり、「a」は車両100の縦方向加速度であり、「m」は車両100の総質量である。
m=Fd/a (式1)
【0042】
幾つかの例において、EHCU235は、受信した加速度データ及びトルク出力データを、EHCU235のメモリ255に記憶されている経験的較正データと比較することにより、車両100の総質量を決定する。例えば、幾つかの例において、車両100の複数の積載状態に関する車両100の縦方向加速度と、車両100のトルク出力と、車両100の総質量との間のそれぞれの関係を示す経験的較正データがメモリ255に記憶される。従って、そのような例において、EHCU235は、車両100の総質量が、車両100の現在の縦方向加速度及びトルク出力に関連付けられてメモリ255に記憶されている質量値に等しいと判断する。幾つかの例において、経験的較正データは、ルックアップテーブルの形態でメモリ255に記憶される。
【0043】
幾つかの例において、経験的較正データは、メモリ255に、車両100の特定の積載状態に関する車両100の縦方向加速度と車両100のトルク出力との関係を表す曲線、又はグラフの形態で記憶される。図4は、グラフ400であり、様々な車両積載状態に関して車両100の縦方向加速度と車両100に含まれるエンジンのトルク微分値(複数可)との関係を示している。例えば、グラフ400は、ライダー1人搭乗状態に関する加速度とエンジントルク微分値との関係を表す第1曲線405と、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態に関する加速度とエンジントルク微分値との関係を表す第2曲線410と、ライダー2人搭乗状態に関する加速度とエンジントルク微分値との関係を表す第3曲線415と、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態に関する加速度とエンジントルク微分値との関係を表す第4曲線420とを含む。幾つかの例において、EHCU235は、グラフ400を車両100の現在の縦方向加速度及びトルク出力と組み合わせて使用して、車両100の総質量を決定し得る。
【0044】
上述のように、EHCU235は、車両100の1以上の安全機能を、第2の方法を用いて決定される車両100の第2の総質量に基づいて制御するように構成される。例えば、EHCU235は、ブレーキ、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、前輪リフト管理などの安全機能を、車両100の第2の総質量に基づいて制御する。
【0045】
幾つかの例において、EHCU235は、車両100が加速しているときに車両100の総質量を決定するために第2の方法を使用する。幾つかの例において、EHCU235は、車両100の加速度がゼロよりも大きい(例えば、車両100が制動していない)場合に、車両100の総質量を決定するために第2の方法を使用し得る。しかし、幾つかの例において車両100は制動しており、従って、車両100の加速度は負又はゼロである。従って、そのような場合、EHCU235は、車両100の総質量を決定するための別の方法を使用する。
【0046】
EHCU235は、さらに、車両100の総質量を、車両100の縦方向加速度及び車両100に加えられたブレーキ圧に基づく第3の方法又は技法を用いて決定するように構成される。第3の方法を用いて決定される車両100の総質量の値を「第3の総質量」と称し、これにより、他の方法を用いて決定される車両100の総質量と区別し得る。上述したように、EHCU235は、車両100の縦方向加速度を、IMU205から受信した信号、及び/又は、EHCU235に含まれるか又はその他の方法で接続された加速度計により生成された信号に基づいて決定する。車両100が制動している例では、車両100の縦方向加速度を車両の減速度と称し得る。さらに、上述したように、幾つかの例において、EHCU235は、車両100のブレーキ圧を示すデータを1以上の圧力センサ245から受け取る。
【0047】
他の例において、EHCU235は、圧力センサ(複数可)245により提供されるデータが利用不可能な場合に車両100のブレーキ圧を推定する。例えば、幾つかの例において、EHCU235は、IMU205により提供される加速度データが利用できない場合に、車両100のブレーキ圧を、車両100の速度の変化に基づいて推定する。他の例において、EHCU235は、ブレーキ圧を、IMU205により決定される車両100の縦方向加速度に基づいて推定する。このような場合、車両100の縦方向加速度の大きさは、車両100の自然減速度よりも大きい。
【0048】
幾つかの例において、EHCU235は、車両100の総質量を、車両100に加えられたブレーキ圧と、車両100の縦方向加速度と、車両100の総質量との間の関係に基づいて決定する。例えば、EHCU235は、式2を用いて車両の総質量を決定する。式中、「Fb」は車両100のブレーキ圧を示す力であり、「a」は車両100の縦方向加速度、すなわち減速度であり、「m」は車両100の総質量である。
m=Fb/a (式2)
【0049】
幾つかの例において、EHCU235は、受信した加速度データ及びブレーキ圧データを、EHCU235のメモリ255に記憶された経験的較正データと比較することにより、車両100の総質量を決定する。例えば、幾つかの例において、車両100の複数の積載状態に関する車両100の縦方向加速度と、車両100のブレーキ圧と、車両100の総質量との間のそれぞれの関係を示す経験的較正データがメモリ255に記憶される。従って、そのような例において、EHCU235は、車両100の総質量が、車両100の現在の縦方向加速度及びブレーキ圧に関連付けられてメモリ255に記憶されているそれぞれの質量値に等しいと判断する。幾つかの例において、経験的較正データは、ルックアップテーブルの形態でメモリ255に記憶される。
【0050】
幾つかの例において、経験的較正データは、車両100の特定の積載状態に関して、車両100の縦方向加速度と車両100に加えられるブレーキ圧との間の関係を表す曲線又はグラフの形態でメモリ255に記憶される。図5は、様々な車両の積載状態に関して、車両100の縦方向加速度、すなわち減速度と、車両100に加えられるブレーキ圧との関係を示すグラフ500である。例えば、グラフ500は、ライダー1人搭乗状態に関する減速度とブレーキ圧との関係を表す第1曲線505と、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態に関する減速度とブレーキ圧との関係を表す第2曲線510と、ライダー2人搭乗状態に関する減速度とブレーキ圧との関係を表す第3曲線515と、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態に関する減速度とブレーキ圧との関係を表す第4曲線520を含む。幾つかの例において、EHCU235は、グラフ500を車両100の現在の縦方向減速度及びブレーキ圧と組み合わせて使用して、車両100の総質量を決定する。
【0051】
上述のように、EHCU235は、第2の方法を用いて決定される車両100の第3の総質量に基づいて車両100の1以上の安全機能を制御するように構成される。例えば、EHCU235は、ブレーキ、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、前輪リフト管理などの安全機能を車両100の第3の総質量に基づいて制御する。
【0052】
上述のように、幾つかの例において、EHCU235は、車両100の総質量を決定するためにどの方法を使用するかを、EHCU235が利用可能なデータに基づいて決定する。例えば、EHCU235は、車両100が静止しており車両100の積載状態が検出された場合に、第1の方法を使用し得る。同様に、EHCU235は、車両100が加速しているときに第2の方法を使用し、且つ/又は、車両100が制動しているときに第3の方法を使用し得る。幾つかの例において、EHCU235は、車両100の総質量を決定するために、3つの方法のそれぞれを使用する。そのような例において、EHCU235は、車両100の総質量が、車両100の第1の総質量、車両100の第2の総質量、及び車両100の第3の総質量の平均に等しいと判断する。幾つかの例において、EHCU235は、決定された車両100の総質量を、総質量グローバル変数としてメモリ255に記憶する。そのような例において、EHCU235は、総質量グローバル変数を、ブレーキ、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、前輪リフト管理などの1以上の安全機能及び/又は制御機能を実行する際に使用する。
【0053】
図6は、車両100の総質量を決定する例示的な方法600を示す。方法600は、部分的にEHCU235により実行されるものとして説明される。しかし、幾つかの例において、方法600の幾つかの局面は、EHCU235に含まれる電子プロセッサ250及び/又はEHCU235に含まれるメモリ255により実行される。同様に、幾つかの例において、方法600の幾つかの局面は、IMU205、SDCU210、ECU215、ESC220、BCU225、ユーザインタフェース230、及び/又は、制御システム200に含まれるその他の幾つかのコンポーネントにより実行される。
【0054】
ブロック605において、EHCU235は、車両100の積載状態を示すデータが、SDCU210及び/又はユーザインタフェース230から受信されたか否かを判断する。例えば、幾つかの例において、車両100の積載状態を示すデータは、SDCU210に含まれ且つ/又はSDCU210に接続されたセンサにより生成された信号を含む。別の例として、幾つかの例において、車両の積載状態を示すデータは、ユーザインタフェース230に提供された車両積載状態のユーザ選択を含む。EHCU235は、車両100の積載状態を示すデータが受信されたと判断した場合、車両100の積載状態を判断する(ブロック610)。例えば、EHCU235は、車両100の積載状態が、ライダー1人搭乗状態、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態、ライダー2人搭乗状態、ライダー2人搭乗で且つ荷物を積載している状態、又はその他の積載状態のうちの1つであることを、SDCU210及び/又はユーザインタフェース230から受信したデータに基づいて判断する。
【0055】
ブロック615において、EHCU235は、車両100の第1の総質量を、車両100の現在の積載状態に基づいて決定する。幾つかの例において、EHCU235は、車両100の第1の総質量が、車両の現在の積載状態に関連付けられてメモリ255に記憶された質量値に等しいと判断する。一例として、EHCU235は、車両100の現在の積載状態が第1の積載状態、例えばライダー1人搭乗状態である場合に、車両100の第1の総質量が、メモリ255に記憶されている第1の値に等しいと判断する。別の例として、EHCU235は、車両100の現在の積載状態が第2の積載状態、例えば、ライダー1人搭乗で且つ荷物を積載している状態である場合に、車両100の第1の総質量がメモリ255に記憶された第2の値に等しいと判断する。ブロック620において、EHCU235は、車両100の機能を、車両100の第1の総質量に基づいて制御する。例えば、車両100の機能は、ブレーキ、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、前輪リフト管理などの安全機能であり得る。
【0056】
EHCU235が、車両100の積載状態を示すデータがブロック605にて受信されていないと判断した場合、方法600はブロック625に進む。ブロック625において、EHCU235は、車両100が傾いているか及び/又は旋回しているかを判断する。EHCU235が、車両100が傾いている及び/又は旋回していると判断すると、方法600はブロック625に戻る。EHCU235が、車両100が傾いていない及び/又は旋回していないと判断した場合、方法600はブロック630に進む。
【0057】
車両100が二輪車両である例の場合、EHCU235は、車両100が傾いているか及び/又は旋回しているかを、IMU205から受信した、車両100の向きを示すデータに基づいて判断する。例えば、そのような場合、EHCU235は、車両100が傾いているか否かを、IMU205に含まれる加速度計(複数可)及び/又はジャイロスコープ(複数可)により検出された車体角度及び/又は角速度(例えば、ロールレート、ヨーレート、ピッチ角、ピッチレートなど)に基づいて判断する。車両100の検出された車体角度及び/又は角速度が傾き閾値(例えば、5%)を超えている場合、EHCU235は、車両100が傾いていると判断する。
【0058】
車両100が三輪車両である例において、EHCU235は、車両が旋回しているか否かを、BCU225に含まれるステアリング角センサから受信した信号に基づいて判断する。例えば、このような場合、EHCU235は、車両100が旋回しているか否かを、BCU225に含まれるステアリング角センサにより検出された車両100のステアリング角に基づいて判断する。車両100の検出されたステアリング角がステアリング角閾値(例えば、5度)を超えている場合、EHCU235は、車両100が旋回していると判断する。
【0059】
ブロック630において、EHCU235は、車両100が平地に配置されているか否かを判断する。幾つかの例において、EHCU235は、車両100が平地に配置されているか否かを、IMU205及び/又はSDCU210から受信したデータに基づいて判断する。例えば、EHCU235は、車両100が平地であるか否かを、IMU205に含まれる加速度計(複数可)及び/若しくはジャイロスコープ(複数可)、並びに/又はSDCU210に含まれる路面センサにより検出された傾斜角度に基づいて判断する。車両100の検出された傾斜角度が傾き閾値(例えば、5%)を超えている場合、EHCU235は、車両100が平地に配置されていないと判断し、方法600はブロック630に戻る。車両100の検出された傾斜角度が傾き閾値(例えば、5%)未満である場合、EHCU235は、車両100が平地上に配置されていると判断し、方法600はブロック635に進む。
【0060】
幾つかの例において、方法600のブロック625とブロック630は、組み合わされて単一のステップにされる。すなわち、幾つかの例において、EHCU235は、車両100が旋回及び/又は傾いているか否かと、車両100が平地にあるか否かとを、単一のステップで判断する。
【0061】
ブロック635において、EHCU235は、車両100が加速しているか否かを判断する。より詳細には、幾つかの例において、EHCU235は、ブロック635において、車両100の縦方向加速度がゼロよりも大きいか否かを判断する。上述したように、EHCU235は、車両100の加速度を、IMU205に含まれる加速度計(複数可)により生成された信号及び/又はEHCU235に含まれる加速度計により生成された信号に基づいて決定する。EHCU235が、IMU205及び/又はEHCU235により提供される信号に基づいて、車両100の加速度がゼロよりも大きいと判断すると、方法はブロック640に進む。
【0062】
ブロック640において、EHCU235は、トラクション制御が車両100に積極的に用いられているか否かを判断する。例えば、EHCU235は、滑りやすい走行状態及び/又は危険な走行状態の間に車両100のタイヤと路面との間のトラクションを維持することを補助するために、車両100のトラクション制御を作動させる。EHCU235は、通常走行状態及び/又は安全走行状態中にはトラクション制御を作動させない。EHCU235が、トラクション制御が作動していると判断した場合、方法600はブロック640に戻る。EHCU235が、トラクション制御が作動していないと判断した場合、方法はブロック645に進む。
【0063】
ブロック645において、EHCU235は、車両100の後輪(すなわち駆動輪)110のスリップがスリップ閾値(例えば、5%スリップ閾値)よりも小さいか否かを判断する。幾つかの例においては、後輪110の代わりに前輪105が駆動輪である。スリップ閾値の値は、較正可能なパラメータであり、車両タイプ、サスペンション、タイヤ設計、及び定常状態の車輪スリップなどの因子に基づいて変更される。幾つかの例において、EHCU235は、駆動輪110のスリップがスリップ閾値よりも小さいか否かを、駆動輪110の検出された速度(例えば、回転速度)を車両100の決定された速度と比較することにより判断する。このような場合、EHCU235は、駆動輪110のスリップを、駆動輪110の速度と車両100の速度との差に基づいて判断する。EHCU235が、駆動輪110のスリップがスリップ閾値よりも大きいと判断した場合、方法600はブロック640に戻る。EHCU235が、駆動輪110のスリップがスリップ閾値よりも小さいと判断した場合、方法600はブロック650に進む。
【0064】
ブロック650において、EHCU235は、車両100のトルク出力及び/又は車両100のトルク出力の1以上の微分値を決定する。車両100の総質量を決定するための第2の方法に関して上述したように、EHCU235は、車両100のトルク出力及び/又はトルク微分値(複数可)を、ECU215及び/又はESC220から受信した信号に基づいて決定する。ブロック655において、EHCU235は、車両100の縦方向加速度の更新値を決定する。上述したように、EHCU235は、車両100の加速度を、IMU205に含まれる加速度計(複数可)により生成された信号及び/又はEHCU235に含まれる加速度計により生成された信号に基づいて決定する。
【0065】
ブロック660において、EHCU235は、車両100の第2の総質量を、車両100のトルク出力及び車両100の更新された縦方向加速度に基づいて決定する。車両100の総質量を決定するための第2の方法に関して上述したように、幾つかの例において、EHCU235は、車両100の第2の総質量を決定するために式1を使用する。例えば、そのような例において、EHCU235は、車両100の第2の総質量を、車両の100出力トルクと、車両の100加速度と、車両100の総質量との間の関係に基づいて決定する。他の例において、上述のように、EHCU235は、車両の加速度及びトルク出力データを、EHCU235のメモリ255に記憶された経験的較正データと比較することにより、車両100の第2の総質量を決定する。ブロック665において、EHCU235は、車両100の第2の総質量に基づいて車両100の機能を制御する。例えば、車両100の機能は、ブレーキ、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、前輪リフト管理などの安全機能であり得る。
【0066】
EHCU235が、IMU205及び/又はEHCU235により提供される信号に基づいて、車両100の加速度がゼロより大きくない(例えば、車両の加速度の値が負又はゼロである)と判断すると、方法はブロック635からブロック670に進む。ブロック670において、EHCU235は、マスタシリンダの圧力、ブレーキ圧センサ(複数可)245により生成された信号、及び/又は車両100の推定ブレーキ圧のうちの1以上に基づいて、車両100が制動しているか否かを判断する。例えば、EHCU235は、マスタシリンダの圧力、ブレーキ圧センサ(複数可)245により検出された圧力、及び/又は車両100の推定ブレーキ圧のうちの1以上が閾値を超えている場合に、車両100が制動していると判断する。EHCU235が、車両100が制動していないと判断した場合、方法はブロック635に戻る。EHCU235が、車両100が制動していると判断すると、方法はブロック675に進む。
【0067】
ブロック675において、EHCU235は、車両100のアンチロックブレーキシステム(ABS)が作動しているか否かを判断する。EHCU235が、ABSが作動していると判断した場合、方法600はブロック675に戻る。EHCU235が、ABSが作動していないと判断すると、方法はブロック680に進む。
【0068】
ブロック680において、EHCU235は、車両100の減速度の大きさが減速度閾値(例えば、0.5G、Gは重力加速度)よりも小さいか否かを判断する。減速度閾値の値は、較正可能なパラメータであり、車両タイプ、サスペンション、タイヤ設計、及び定常状態のホイールスリップなどの因子に基づいて変更される。上述のように、EHCU235は、車両100の減速度(例えば、負の加速度)を、IMU205に含まれる加速度計(複数可)及び/又はEHCU235に含まれる加速度計により生成される信号に基づいて決定する。EHCU235が、車両100の減速度の大きさが減速度閾値よりも大きいと判断した場合、方法600はブロック680に戻る。EHCU235が、車両100の減速度の大きさが減速度閾値よりも小さいと判断した場合、方法600はブロック685に進む。
【0069】
ブロック685において、EHCU235は、車両100に加えられるブレーキ圧を決定する。車両100の総質量を決定するための第3の方法に関して上述したように、幾つかの例において、EHCU235は、車両100のブレーキ圧を、圧力センサ(複数可)245から受信した信号に基づいて決定する。他の例において、EHCU235は、車両100に加えられるブレーキ圧を推定する。ブロック690において、EHCU235は、車両100の縦方向減速度の更新値を決定する。
【0070】
ブロック695において、EHCU235は、車両100の第3の総質量を、車両100に加えられたブレーキ圧、及び、車両100の更新された縦方向減速度に基づいて決定する。車両100の総質量を決定するための第3の方法に関して上述したように、幾つかの例において、EHCU235は、式2を使用して車両100の第3の総質量を決定する。例えば、そのような例において、EHCU235は、車両100の第3の総質量を、車両100のブレーキ圧と、車両100の加速度と、車両100の総質量との間の関係に基づいて決定する。他の例においては、上述したように、EHCU235は、車両の減速度及びブレーキ圧データをEHCU235のメモリ255に記憶された経験的較正データと比較することにより、車両100の第3の総質量を決定する。ブロック700において、EHCU235は、車両100の第3の総質量に基づいて車両100の機能を制御する。例えば、車両100の機能は、ブレーキ、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、ヨー安定性制御、後輪リフト管理、前輪リフト管理などの安全機能であり得る。
【0071】
上述の明細書において、特定の例を記載してきた。しかし、当業者は、様々な修正及び変更が、以下の特許請求の範囲に記載する本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることを理解するであろう。従って、本明細書及び図は、制限的な意味ではなく例示的な意味としてみなされ、全てのそのような修正は、本教示の範囲内に含まれることが意図される。
【0072】
利益、利点、問題に対する解決策、及び、利益、利点、又は解決策を生じさせ又はより顕著にし得る要素(複数可)は、いずれか又は全ての請求項の重要な、必須の、又は本質的な特徴又は要素と解釈されるべきではない。本発明は、添付の請求項によってのみ定義されるのであり、これらの請求項には、本出願の係属期間中になされた補正、及び、発行されたこれらの請求項の全ての均等物を含む。
【0073】
本開示の要約は、読者が技術的開示の本質を迅速に把握できるようにするために提供される。本開示の要約は、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されるのではないことの理解の上で提供される。また、上述の詳細な説明において、開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な例においてグループ化されていることが分かるであろう。この開示方法は、請求された例が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された例の全ての特徴よりも少ない。従って、以下の特許請求の範囲は、本明細書の詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個に請求される主題としてそれ自体で成り立つ。
【符号の説明】
【0074】
100 車両
105 前方車輪
110 後方車輪
115 荷重
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】