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特開2023-183405モノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183405
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】モノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20231220BHJP
   H01F 27/42 20060101ALI20231220BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20231220BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20231220BHJP
   H01F 17/02 20060101ALI20231220BHJP
   H01F 19/00 20060101ALI20231220BHJP
   H01F 27/36 20060101ALI20231220BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20231220BHJP
   H03H 7/09 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H01L27/04 L
H01L27/04 A
H01L27/04 H
H01L27/04 U
H01F27/42 101
H01F27/00 S
H01F17/00 B
H01F17/02
H01F19/00 Z
H01F27/36 101
H01F27/32 140
H03H7/09 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098013
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】17/841,146
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520490417
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルイダ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ドンワン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】バオシン・チェン
【テーマコード(参考)】
5E044
5E070
5F038
5J024
【Fターム(参考)】
5E044CA08
5E070AA11
5E070AB08
5E070CB13
5E070DB08
5F038AZ04
5F038BB01
5F038BG03
5F038BH10
5F038BH19
5F038CA05
5F038CA06
5F038CA10
5F038CA18
5F038EZ07
5J024AA01
5J024CA06
5J024DA29
5J024DA33
5J024EA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】完全に対称でバランスのとれたモノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスを提供する。
【解決手段】デバイスは、第1の変圧器100及び第2の変圧器110を含む。変圧器はそれぞれ、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な下部コイル102、116を備える。下部コイルのそれぞれは、第1の差動端子、第2の差動端子及び下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続されたセンタータップ第3端子を備える。各変圧器は、取り巻かれた内側パッド108、114及び横方向にずらされた外側パッド106、118に電気的に接続されたらせん状の上部コイル104、112を更に備え、上部コイル、内側パッド及び外側パッドは、共有された導電性集積回路層を含む。各変圧器のそれぞれの上部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁誘性の電体層によってそれぞれの下部コイルから分離する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全に対称かつバランスのとれたモノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスであって、
第1の変圧器であって、
一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第1の下部コイルであって、前記第1の下部コイルは、第1の差動端子及び第2の差動端子を含み、前記第1の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第1のセンタータップ第3端子を更に含む、前記第1の下部コイルと、
取り巻かれた第1の内側パッド及び横方向にずらされた第1の外側パッドに電気的に接続された第1の上部コイルであって、前記第1の上部コイル、前記第1の内側パッド、及び前記第1の外側パッドは、共有された第1の導電性集積回路層を含み、
前記第1の上部コイルと前記第1の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第1の変圧器と、
前記第1の変圧器と電気的に直列である第2の変圧器であって、前記第2の変圧器は、
一対の隣接する巻線の個々の巻線の間の導電性交差部を含む対称な第2の下部コイルであって、前記第2の下部コイルは、第3の差動端子及び第4の差動端子を含み、前記第2の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第2のセンタータップ第3端子を更に含む、第2の下部コイルと、
取り巻かれた第2の内側パッド及び横方向にずらされた第2の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第2の上部コイルであって、前記第2の上部コイル、前記第2の内側パッド及び前記第2の外側パッドは、共有された第2の導電性集積回路層を含む、第2の上部コイルと、を含み、
前記第2の上部コイルと前記第2の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の前記第1の誘電体層によって互いに分離されている、第2の変圧器と、を備える、変圧器デバイス。
【請求項2】
前記第1の外側パッドは、前記第2の内側パッドに電気的に接続され、前記第1の内側パッドは、前記第2の外側パッドに電気的に接続されている、請求項1に記載の変圧器デバイス。
【請求項3】
前記第1の外側パッドは、前記第2の外側パッドに電気的に接続され、前記第1の内側パッドは、前記第2の内側パッドに電気的に接続されている、請求項1に記載の変圧器デバイス。
【請求項4】
前記第1の変圧器の前記第1の外側パッドの下に配置された第1の接地シールドと、
前記第2の変圧器の前記第2の外側パッドの下に配置された第2の接地シールドと、を更に備える、請求項1に記載の変圧器デバイス。
【請求項5】
前記第1の変圧器の前記下部コイル又は前記第2の変圧器の前記下部コイルのうちの少なくとも1つの下方に配置された回路部品であって、前記回路部品は、キャパシタ、送信機回路に含まれる能動部品、又は受信機回路に含まれる能動部品のうちの少なくとも1つを含む回路部品を更に備える、請求項1に記載の変圧器デバイス。
【請求項6】
前記第1の変圧器の前記上部コイルは、時計回り方向に巻かれており、前記第2の変圧器の前記上部コイルは、反時計回り方向に巻かれている、請求項1に記載の変圧器デバイス。
【請求項7】
第3の変圧器であって、
一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第3の下部コイルであって、前記第3の下部コイルは、第5及び第6の差動端子を含み、前記第3の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第3のセンタータップ第3端子を更に含む、第3の下部コイルと、
取り巻かれた第3の内側パッド及び横方向にずらされた第3の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第3の上部コイルであって、前記第3の上部コイル、前記第3の内側パッド、及び前記第3の外側パッドは、共有された第3の導電性集積回路層を含む第3の上部コイルと、を含み、
前記第3の上部コイルと前記第3の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第3の誘電体層によって互いに分離されている、第3の変圧器と、
前記第3の変圧器と直列な第4の変圧器であって、前記第4の変圧器は、
一対の隣接する巻線の個々の巻線の間の導電性交差部を含む対称な第4の下部コイルであって、前記第4の下部コイルは、第7の差動端子及び第8の差動端子を含み、前記第4の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第4のセンタータップ第3端子を更に含む、第4の下部コイルと、
取り巻かれた第4の内側パッド及び横方向にずらされた第4の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第4の上部コイルであって、前記第4の上部コイル、前記第4の内側パッド、及び前記第4の外側パッドは、共有された第4の導電性集積回路層を含む、第4の上部コイルと、を含み、
前記第4の上部コイル及び前記第4の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第4の誘電体層によって互いに分離されている、第4の変圧器と、を更に備える、請求項1に記載の変圧器デバイス。
【請求項8】
前記第1の変圧器及び前記第3の変圧器は、第1の集積回路ダイ上に配置され、前記第2の変圧器及び前記第4の変圧器は、前記第1の集積回路ダイに隣接して配置された第2の集積回路ダイ上に配置されている、請求項7に記載の変圧器デバイス。
【請求項9】
前記第3の変圧器の前記上部コイルは、反時計回り方向に巻かれており、前記第4の変圧器の前記上部コイルは、時計回り方向に巻かれている、請求項7に記載の変圧器デバイス。
【請求項10】
完全に対称かつバランスのとれたモノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスであって、
第1の変圧器であって、
一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第1の下部コイルであって、前記第1の下部コイルは、第1の差動端子及び第2の差動端子を含み、前記第1の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第1のセンタータップ第3端子を更に含む、前記第1の下部コイルと、
取り巻かれた第1の内側パッド及び横方向にずらされた第1の外側パッドに電気的に接続された第1の上部コイルであって、前記第1の上部コイル、前記第1の内側パッド、及び前記第1の外側パッドは、共有された第1の導電性集積回路層を含み、
前記第1の上部コイルと前記第1の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第1の変圧器と、
前記第1の変圧器と電気的に直列である第2の変圧器であって、前記第2の変圧器は、
一対の隣接する巻線の個々の巻線の間の導電性交差部を含む対称な第2の下部コイルであって、前記第2の下部コイルは、第3の差動端子及び第4の差動端子を含み、前記第2の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第2のセンタータップ第3端子を更に含む、第2の下部コイルと、
取り巻かれた第2の内側パッド及び横方向にずらされた第2の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第2の上部コイルであって、前記第2の上部コイル、前記第2の内側パッド及び前記第2の外側パッドは、共有された第2の導電性集積回路層を含む、第2の上部コイルと、を含み、
前記第2の上部コイルと前記第2の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の前記第1の誘電体層によって互いに分離されている、第2の変圧器と、
前記第1の変圧器の前記下部コイル又は前記第2の変圧器の前記下部コイルのうちの少なくとも1つの下方に配置された回路部品と、を備える、変圧器デバイス。
【請求項11】
前記回路部品は、キャパシタを含む、請求項10に記載の変圧器デバイス。
【請求項12】
前記回路部品は、送信機回路を含む、請求項10に記載の変圧器デバイス。
【請求項13】
前記回路部品は、受信機回路を含む、請求項10に記載の変圧器デバイス。
【請求項14】
前記第1の変圧器は、第1の集積回路ダイ上に配置され、前記第2の変圧器は、前記第1の集積回路ダイに隣接して配置された第2の集積回路ダイ上に配置されている、請求項10に記載の変圧器デバイス。
【請求項15】
前記第1の変圧器の前記上部コイルは、時計回り方向に巻かれており、前記第2の変圧器の前記上部コイルは、反時計回り方向に巻かれている、請求項10に記載の変圧器デバイス。
【請求項16】
完全に対称かつバランスのとれたモノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスであって、
第1の変圧器であって、
一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第1の下部コイルであって、前記第1の下部コイルは、第1の差動端子及び第2の差動端子を含み、前記第1の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第1のセンタータップ第3端子を更に含む、前記第1の下部コイルと、
取り巻かれた第1の内側パッド及び横方向にずらされた第1の外側パッドに電気的に接続された第1の上部コイルであって、前記第1の上部コイル、前記第1の内側パッド、及び前記第1の外側パッドは、共有された第1の導電性集積回路層を含み、
前記第1の上部コイルと前記第1の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第1の変圧器と、
前記第1の変圧器と電気的に直列である第2の変圧器であって、前記第2の変圧器は、
一対の隣接する巻線の個々の巻線の間の導電性交差部を含む対称な第2の下部コイルであって、前記第2の下部コイルは、第3の差動端子及び第4の差動端子を含み、前記第2の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第2のセンタータップ第3端子を更に含む、第2の下部コイルと、
取り巻かれた第2の内側パッド及び横方向にずらされた第2の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第2の上部コイルであって、前記第2の上部コイル、前記第2の内側パッド及び前記第2の外側パッドは、共有された第2の導電性集積回路層を含む、第2の上部コイルと、を含み、
前記第2の上部コイルと前記第2の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の前記第1の誘電体層によって互いに分離されている、第2の変圧器と、
第3の変圧器であって、
一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第3の下部コイルであって、前記第3の下部コイルは、第5及び第6の差動端子を含み、前記第3の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第3のセンタータップ第3端子を更に含む、第3の下部コイルと、
取り巻かれた第3の内側パッド及び横方向にずらされた第3の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第3の上部コイルであって、前記第3の上部コイル、前記第3の内側パッド、及び前記第3の外側パッドは、共有された第3の導電性集積回路層を含む第3の上部コイルと、を含み、
前記第3の上部コイルと前記第3の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第3の誘電体層によって互いに分離されている、第3の変圧器と、
前記第3の変圧器と電気的に直列の第4の変圧器であって、前記第4の変圧器は、
一対の隣接する巻線の個々の巻線の間の導電性交差部を含む対称な第4の下部コイルであって、前記第4の下部コイルは、第7の差動端子及び第8の差動端子を含み、前記第4の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第4のセンタータップ第3端子を更に含む、第4の下部コイルと、
取り巻かれた第4の内側パッド及び横方向にずらされた第4の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第4の上部コイルであって、前記第4の上部コイル、前記第4の内側パッド、及び前記第4の外側パッドは、共有された第4の導電性集積回路層を含む、第4の上部コイルと、を含み、
前記第4の上部コイル及び前記第4の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第4の誘電体層によって互いに分離されている、第4の変圧器と、を備える、変圧器デバイス。
【請求項17】
前記第1の外側パッドは、前記第2の内側パッドに電気的に接続され、前記第1の内側パッドは、前記第2の外側パッドに電気的に接続されている、請求項16に記載の変圧器デバイス。
【請求項18】
前記第1の外側パッドは、前記第2の外側パッドに電気的に接続され、前記第1の内側パッドは、前記第2の内側パッドに電気的に接続されている、請求項16に記載の変圧器デバイス。
【請求項19】
前記第3の外側パッドは、前記第4の内側パッドに電気的に接続され、前記第3の内側パッドは、前記第4の外側パッドに電気的に接続されている、請求項16に記載の変圧器デバイス。
【請求項20】
前記第3の外側パッドは、前記第4の外側パッドに電気的に接続され、前記第3の内側パッドは、前記第4の内側パッドに電気的に接続されている、請求項16に記載の変圧器デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、変圧器構造に関し、より具体的には、モノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器を使用して、絶縁バリアを挟んで電力又は通信信号を通信し、例えば、電動装置への線間(主)電圧を昇圧又は降圧することができる。絶縁変圧器を使用して、交流(alternating current、AC)源から電動装置に電力を伝達すると同時に、電動装置を電源から電気的に絶縁することができる。絶縁を使用して、一般に、安全対策として電動装置の回路を保護したり、又は電気信号の過渡現象及び高調波を低減したりする。例えば、絶縁を使用して、電気的ショックから保護し、高感度デバイス内の電気ノイズを抑制し、又は絶縁バリアを挟んで直接電気的に接続されていない他の回路素子による磁気結合、コイル間の連結、又は他の結合機構を介して電力又は通信信号を伝達する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
オンチップ変圧器は、高周波(RF)無線通信用途を含むものを含む多くの回路において重要な部品となり得る。オンチップ変圧器も含まれる集積回路のいくつかの例は、低ノイズ増幅器、電圧制御発振器、インピーダンス整合回路、直流(direct current、DC)絶縁回路、及び電力伝送回路などである。絶縁変圧器を使用して、電源から電動装置を絶縁しながら、交流(AC)源から電動装置に電力又は通信信号を伝達することができる。直列に2つの変圧器を接続することにより(背中合わせ)、絶縁量、又は別の言い方をすると、絶縁性能を増加させる(例えば、倍増させる)ことができる。
【0004】
変圧器を直列に接続する1つの可能な方法は、2つの単一らせん状コイルを直列に接続することである。しかしながら、そのような構成は、望ましくない放射線放出及び/又は低いノイズ耐性(ノイズの存在下で性能を低下させることなく外部ノイズを抑制し機能させるデバイス又はシステムの能力)を生じさせる可能性がある。
【0005】
直列に接続された単一の巻線によって引き起こされる放射放出及びノイズ耐性の問題は、直列に2つのS字型コイルを接続することによって対処することができるが、これは、S字型コイルがそれを製造するためにより多くのシリコン領域を必要とするため、より多くのシリコンを使用する必要があり、材料コストの増加につながる。本明細書で説明される変圧器デバイスは、完全に対称でバランスのとれた直列接続された(背中合わせ)変圧器を提供することができ、これは、放射線放出を低減又は最小限に抑えることに役立ち、小さなダイサイズを利用しながら増強されたノイズ耐性を提供するのに役立ち得る。
【0006】
完全に対称でバランスのとれたモノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスは、第1の変圧器と、第1の変圧器と電気的に直列の第2の変圧器と、を備えることができる。第1の変圧器は、第1の集積回路ダイ上に配置することができ、第2の変圧器は、第1の集積回路ダイに隣接して配置された第2の集積回路ダイ上に配置することができる。
【0007】
第1の変圧器は、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第1の下部コイルを含むことができる。第1の下部コイルは、第1及び第2の差動端子、及び第1の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第1のセンタータップ第3端子を更に含むことができる。第1の変圧器は、取り巻かれた第1の内側パッド及び横方向にずらされた第1の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第1の上部コイルを更に含むことができる。第1の内側パッド、第1の外側パッド、及び第1の上部コイルは、共有された第1の導電性集積回路層を含むことができる。第1の上部コイル及び第1の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離することができる。
【0008】
第2の変圧器は、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第2の下部コイルを含むことができる。第2の下部コイルは、第3及び第4の差動端子と、第2の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第2のセンタータップ第3端子とを更に含むことができる。第2の変圧器は、取り巻かれた第2の内側パッド及び横方向にずらされた第2の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第2の上部コイルを更に含むことができる。第2の内側パッド、第2の外側パッド、及び第2の上部コイルは、共有された第2の導電性集積回路層を含むことができる。第2の上部コイル及び第2の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離することができる。下部コイルは、相互接続セグメント(差動端子及びセンタータップ端子)が、差動端子から見て、完全に対称でバランスのとれた構造を提供する対称インダクタレイアウトで下部コイルの中軸上に形成されるため、対称である。
【0009】
変圧器デバイスは、第1の変圧器の第1の外側パッドの下に配置された第1の接地シールドと、第2の変圧器の第2の外側パッドの下に配置された第2の接地シールドとを更に備えることができる。第1の外側パッドは、第2の内側パッドに電気的に接続することができ、第1の内側パッドは、第2の外側パッドに電気的に接続することができる。別の例では、第1の外側パッドは、第2の外側パッドに電気的に接続することができ、第1の内側パッドは、第2の内側パッドに電気的に接続することができる。
【0010】
変圧器デバイスは、第1の下部コイル又は第2の下部コイルのうちの少なくとも1つの下方に配置された、又は別の言い方では、第1の変圧器の下部コイル及び/又は第2の変圧器の下部コイルの下方の回路部品を更に備えることができる。回路部品は、キャパシタ、送信機回路に含まれる能動部品、受信機回路に含まれる能動部品、トランジスタ、又は任意の他の所望の回路部品を含むことができる。
【0011】
一例において、第1の変圧器の上部コイルは、時計回りの方向に巻かれ得、第2の変圧器の上部コイルは、反時計回りの方向に巻かれ得る。上部コイルの巻線方向は、外部磁界の影響に基づいており、(例えば、上部コイルによって誘発される電流を使用して反対磁界を生成することによって)外部磁界の影響をキャンセルすることができ、ノイズキャンセル効率を向上させることができる。
【0012】
本明細書に記載のレイアウト、すなわち、センタータップへの容易なアクセスを有する対称な下部コイルレイアウトを有する変圧器は、放射線放出を低減又は低下させ、ノイズ耐性を増加させ、回路ダイ上のシリコン領域の使用をより少なくすることができる。コイルの下に回路部品(例えば、能動回路)を配置することにより、シリコン領域を更に減少させることができ、変圧器を直列又は背中合わせ構成で配置することによって、変圧器の絶縁特性は、上部コイルが内側パッドと外側パッドとの間に不整合を有する場合でも、バランスをとることができる。
【0013】
図面では、必ずしも縮尺通りに描かれていないが、同様の数字は、異なる図面において同様の部品を記述する場合がある。異なる文字の添字を有する同様の数字は、同様の部品の異なる例を表す場合がある。図面は、一般に、本文書に論じられる様々な実施形態を限定としてではなく、例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】集積回路ダイの上面図及び断面図におけるバランスのとれた対称な一対の変圧器の例を示す。
図1B】集積回路ダイの上面図及び断面図におけるバランスのとれた対称な一対の変圧器の例を示す。
図2A図1A及び1Bの変圧器の下部コイル及び上部コイルの詳細図の例を示す。
図2B図1A及び1Bの変圧器の下部コイル及び上部コイルの詳細図の例を示す。
図3図1A及び1Bの変圧器デバイスの個別の層の例を示す。
図4】直列接続された変圧器に接続された送信機回路及び受信機回路を示す回路図の例を示す。
図5】2つの集積回路ダイに含まれる4つの変圧器の上部コイルの巻線を示す。
図6】異なる構成の合計8個の変圧器を有する一対の集積回路の例を示す。
図7】モノリシック又はマルチダイ変圧器デバイスを製造するための方法の例を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1A及び1Bは、集積回路ダイの上面図及び断面図におけるバランスのとれた対称な一対の変圧器の例を示す。図1Aの例では、対称な第1の下部コイル102及び整列された重ね合わせるらせん状の第1の上部コイル104を含むことができる第1の変圧器100は、対称な第2の下部コイル116及び整列された重ね合わせるらせん状の第2の上部コイル112を含むことができる第2の変圧器110と直列に配置することができる。らせん状の第1の上部コイル104は、取り巻かれた第1の内側パッド108及び横方向にオフセットされた第1の外側パッド106を含むことができる。同様に、らせん状の第2の上部コイル112は、取り巻かれた第2の内側パッド114及び横方向にオフセットされた第2の外側パッド118を含むことができる。上部コイルの外側パッド及び内側パッドは、結合ワイヤ120を使用するなどで電気的に接続され、横方向にずらされた第1の外側パッド106を横方向にずらされた第2の外側パッド118に接続することができる。上部コイルのそれぞれの外側パッド及び内側パッドは、任意の所望の構成で接続することができる。例えば、横方向にずらされた第1の外側パッド106は、取り巻かれた第2の内側パッド114に接続することができ、この場合、取り巻かれた第1の内側パッド108は、横方向にずらされた第2の外側パッド118に接続される。図1Aに例示される例では、横方向にずらされた第1の外側パッド106が横方向にずらされた第2の外側パッド118に接続される場合、取り巻かれた第1の内側パッド108は、取り巻かれた第2の内側パッド114に接続される。一例において、回路部品は、対称な第1の下部コイル102又は対称な第2の下部コイル116の一方又は両方の下に配置することができる。図1Aに示されるように、回路部品は、対称な第1の下部コイル102又は対称な第2の下部コイル116の端子に接続することができる、送信機回路122又は受信機回路124を含むことができる。回路部品は、能動部品であろうと受動部品であろうと、任意の種類の回路部品であり得る。例えば、回路部品は、キャパシタ、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、インダクタ、又は所望の任意の部品を含むことができる。
【0016】
図1Bは、第1の変圧器100及び第2の変圧器110の断面図を示す。一例では、第1の変圧器100は、第1の集積回路ダイ128上に配置することができ、第2の変圧器110は、第1の集積回路ダイ128に隣接して配置することができるなど、異なる又は別個の第2の集積回路ダイ130上に配置することができる。図1Bに更に示されるように、らせん状の第1の上部コイル104及び対称な第1の下部コイル102は、整列された位置合わせで重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層132によって互いに分離される。同様に、らせん状の第2の上部コイル112及び対称な第2の下部コイル116は、整列された位置決めで重ね合わされ、電気絶縁性の第2の誘電体層134によって互いに分離される。一例では、図1Bに示すように、電気絶縁性の第1の誘電体層132及び電気絶縁性の第2の誘電体層134をポリイミド膜又は樹脂から形成して、変圧器の上部コイルと下部コイルとの間の絶縁及び/又はパッシベーション層として作用又は実施させることができる。ポリイミドを例として使用するが、コイル間の誘電体層は、CMOSプロセスで利用可能な二酸化ケイ素又は窒化ケイ素誘電体などの任意の好適な誘電体材料、又は誘電体絶縁特性を有する任意の他の好適な材料から形成することができる。一例では、電気絶縁性の第1の誘電体層132及び電気絶縁性の第2の誘電体層134は、同じ材料から形成することができるか、又は電気絶縁性の第1の誘電体層132は、第1の材料から形成することができ、電気絶縁性の第2の誘電体層134は、第1の材料とは異なる第2の材料から形成することができる。更に、電気絶縁性の第1の誘電体層132及び/又は電気絶縁性の第2の誘電体層134は、誘電体材料のいくつか又は複数の層を含み得る、又はそれらから製作することができる、又はそれらに形成することができる。そのような例では、誘電体材料の複数の層は、異なる材料から形成することができる。例えば、電気絶縁性の第1の誘電体層132又は電気絶縁性の第2の誘電体層134の第1の層は、ポリイミドから形成することができ、第2の層は、窒化ケイ素などの異なる材料から形成することができる。
【0017】
図2A及び2Bは、図1A及び1Bの変圧器の下部コイル及び上部コイルの詳細図の例を示す。図2Aは、図1Aに示された対称な第1の下部コイル102又は対称な第2の下部コイル116などの下部コイル200の詳細な上面図を示す。一例において、下部コイル200は、一対の隣接する巻線の個々の巻線の導電性交差部212及び214を含むことができる。導電性交差部212及び214は、外側巻線220の一部及びその隣接する巻線222が互いに交差し、互いに交差されているなどの場合に形成することができ、これを下部コイル200の他の巻線上で繰り返して追加の交差部を形成することができる。下部コイル200は、第1の差動端子204、及び第2の差動端子206を含む複数の端子を含むことができる。下部コイル200は、下部コイル200の最も内側の巻線210に電気的に接続されるセンタータップ第3端子208を含むことができる。センタータップ第3端子208は、最も内側の巻線に接続することができ、交差部は、隣接する巻線を接続するが、交差してセンタータップ接続から分離されている。一例では、下部コイル200は、相補的金属酸化物半導体の(complementary metal-oxide semiconductor、CMOS)バックエンドプロセス(バックエンドオブライン(back end of line、BEOL)プロセス)の金属被覆法を使用して形成することができ、そのプロセスの間、金属(例えば、銀、銅、金、アルミニウム、又は任意の所望の及び/又は好適な金属又は金属合金)の層を使用して、金属化層間の適切なビア、下層のデバイス又は構造へのコンタクト、又はその両方などを用いて、配線を相互接続する。一例では、第1の金属層を導電性交差部212、214に使用することができ、第2の金属層をセンタータップへのアンダーパスに使用して、センタータップ第3端子208を最も内側の巻線210に接続することができる。
【0018】
下部コイル200のレイアウトは、第1の差動端子204及び第2の差動端子206でバランスのとれた(例えば、等価な)インピーダンスを提供して、堅牢な絶縁リンクを提供し、インダクタンスの増加を提供し、他の絶縁変圧器と比較した場合生成される磁場を増加させることが可能であり、センタータップ接続は、ノイズ耐性の増加を提供する。これは、バランスと対称性を達成するために二重S字型コイルが必要とされるであろうが、これは現在開示されているシステムよりもはるかに多くのスペースを集積回路ダイ上で占有するため、S字型コイルを備えた変圧器などのアプローチを上回る利点を提供する。更に、S字型コイルをセンタータップに接続することは、追加の下部パッドを必要とし、それ自体が、回路ダイの領域の更に多くの使用を必要とする。また、本開示における上部コイルと下部コイルとの間の容量は、S字型変圧器内のコイル間の容量よりも小さいため、電圧変化の場合の突入電流が少なくなる。
【0019】
図2Bは、図1A及び1Bについて説明されたらせん状の第1の上部コイル104又はらせん状の第2の上部コイル112などの上部コイル202の詳細な図を示す。一例では、上部コイル202は、金などの金属から形成された単一のらせん状のコイル(例えば、単一層コイル)とすることができ、内側パッド216及び外側パッド218を含むことができる。一例では、内側パッド216及び外側パッド218は、電流スパイクを引き起こすか、又はそうでなければ変圧器をその理想的な性能から逸脱させる可能性がある異なる寄生特性(浮遊インダクタンス、巻線抵抗、結合容量、巻線容量など)に対応するのに役立つように、非対称(例えば、異なるサイズ、又は異なる形状)とすることができる。非対称の形状は、組立要件を満たすのを助けることができ、結合ワイヤと結合パッド(例えば、内側パッド216及び/又は外側パッド218)との間の接続の信頼性の助けになることができる。
【0020】
図3は、図1A及び1Bの変圧器デバイスの個々の層の例を示す。図3は、図1A図1B、及び図2Bに上述した上部コイルなどの上部コイルを含む第1の集積回路層300を示す。第1の集積回路層300の少なくとも一部の下方又は下には、図1A図1B、及び図2Aで説明される下部コイルなどの下部コイルが含まれ得る第2の集積回路層306(又は層のグループ)がある。上記のように、下部コイルは、(CMOS)バックエンドプロセス(バックエンドオブライン(BEOL)プロセス)を使用して製造することができ、そのプロセスの間、金属(例えば、銀、銅、金、アルミニウム、又は任意の所望の及び/又は好適な金属又は金属合金)の層を使用して、コイル、交差部、及びセンタータップのアンダーパスの上面を形成する。例えば、上面は第3の金属層とすることができ、交差部は第2の金属層とすることができ、センタータップ(例えば、センタータップ第3端子208を接続する)を図2Aに示される最も内側の巻線210などの下部コイルの最も内側の巻線に接続するアンダーパスは、第1の金属層とすることができる。一例では、それらの層は、同じ金属(例えば、全て銅、全て銀など)から形成することができ、又は各層は、異なる金属から形成することができる。
【0021】
変圧器デバイスは、上部コイルの外側パッドの下に配置された接地シールド302を更に含むことができる。接地シールド302は、過剰な電流、電圧スパイク、ノイズなどから変圧器又は変圧器に接続された回路の他の部品を保護するように、重ね合わせパッドを保護するためにグラウンドに電気的に接続する別の金属層(例えば、第4の層)であり得る。変圧器デバイスは、ウェル又は他の拡散、又は任意に回路部品を含む又は含有するなどの集積回路領域などの、第3の集積回路層308を更に含むことができる。回路部品は、能動部品又は受動部品であり得る。一例では、回路部品は、Nウェルキャパシタ、トランジスタ、ダイオード、インダクタ、送信機回路に含まれる能動部品、受信機回路に含まれる能動部品、又は、例えば、変圧器デバイスが含まれる又は接続される回路に基づいて所望される任意の回路部品などのキャパシタであり得る。
【0022】
図4は、直列接続された変圧器に接続された送信機回路及び受信機回路を示す回路図の例を示す。回路は、オンオフキーイング(on-off keying、OOK)送信機若しくは受信機回路、又は無線周波数(radiofrequency、RF)送信機若しくは受信機回路、又は任意の所望の回路であり得る。図4の回路図に示されるように、送信機回路122は、対称な第1の下部コイル102に接続することができ、受信機回路124は、対称な第2の下部コイル116に接続することができる。送信機回路122及び受信機回路124は、任意の回路部品と置き換えられるか、又は任意の回路部品によって増強することができ、送信機又は受信機(又は送信機又は受信機回路の部品)に限定される必要はない。図4はまた、らせん状の第1の上部コイル104及び対称な第2の下部コイル116が、結合ワイヤを介してなど互いに電気的に接続することができることを示す。対称な第1の下部コイル102及び対称な第2の下部コイル116は、(上記の図2Aのセンタータップ第3端子208に対応する)各変圧器のセンタータップ404及び406への容易な接続を可能にすることができる。図4に戻ると、変圧器デバイスの構造は、単一の変圧器を使用することと比較して、増強された絶縁性能(例えば、2倍に)を可能にする、第1の絶縁領域400及び第2の絶縁領域402をもたらす。
【0023】
図5は、2つの集積回路ダイス又はチップに含まれる4つの変圧器の上部コイルの巻線を示す。図5に示すように、第1の集積回路ダイ500は、第1の変圧器504及び第3の変圧器506を含むことができる。同様に、第2の集積回路ダイ502は、第1の変圧器504と直列に接続された第2の変圧器508と、第3の変圧器506と直列に接続された第4の変圧器510とを含むことができる。第1の集積回路ダイ500及び第2の集積回路ダイ502は、互いに隣接して(例えば、互いに隣接して、左右に並んでなど)配置され、750マイクロメートル(μm)などの距離で、又は任意の所望の又は適切な距離で分離することができる。図5は、第1の変圧器504、第3の変圧器506、第2の変圧器508、及び第4の変圧器510の上部コイルのみを示す。しかしながら、変圧器504~510は、上述したように、第1の集積回路ダイ500及び第2の集積回路ダイ502上に製造されて、下部コイルの下に配置された下部コイル及び回路部品などの部品を含むことができる。
【0024】
一例では、第1の変圧器504の上部コイル及び第4の変圧器510の上部コイルは、時計回り方向に巻かれ得、第3の変圧器506の上部コイル及び第2の変圧器508の上部コイルは、反時計回り方向に巻かれ得る。外部磁界512(一般に、図5が見えるページ又は画面から出る方向に磁束線を伴う)に配置された場合、直列接続された上部コイル(例えば、第1の変圧器504及び第2の変圧器508の上部コイル、又は第3の変圧器506の上部渦巻線及び第4の変圧器510の上部渦巻線)によって誘発される電流は、外部磁界に対向する磁界を生成することができる。第1の変圧器504の上部コイルの両端の電位は、コイルの異なる巻線方向のために、上部コイル第2の変圧器508の両端の電位とは異なる可能性がある。これはまた、第3の変圧器506の上部コイル及び第4の変圧器510の上部コイルの両端の電位にも当てはまる。この時計回りと反時計回りの巻線の組み合わせは、並列な2つのバッテリに似ており、(外部磁界のために)電流ループを生成せず、一方の巻線からのノイズは、他方の巻線によって低減又はキャンセルすることができる。したがって、この構成は、遠距離電界放射を低減又はキャンセルすることができ、増強された又はより大きいノイズキャンセル効果を提供することができる。
【0025】
図6は、異なる構成の合計8個の変圧器を有する集積回路の一対の例を示す。図6に示されるように、第1の集積回路ダイ600は、4つの変圧器を含むことができ、第2の集積回路ダイ602は、4つの変圧器を含むことができる。変圧器の上部コイルが示されているが、変圧器は、上述したように、第1の集積回路ダイ600及び第2の集積回路ダイ602上に製造されて、下部コイル及び下部コイルの下に配置された回路部品などの部品を含むことができる。第1の集積回路ダイ600上に配置された第1の変圧器612は、第2の集積回路ダイ602上に配置された第2の変圧器622に接続することができる。第1の集積回路ダイ600は、第3の変圧器614、第5の変圧器618、及び第7の変圧器620を更に含むことができる。第2の集積回路ダイ602は、第4の変圧器628、第6の変圧器634、及び第8の変圧器638を更に含むことができる。各変圧器の上部コイルは、図5について上述したように、時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に巻き付けることができる。
【0026】
変圧器はまた、集積回路ダイを上から見て、各変圧器の外側パッドを上部コイルの渦巻線の上方又は下方に配置することができるように、集積回路ダイ上に配向することができる。例えば、第1の変圧器612の第1の外側パッド604は、第1の変圧器612の上部コイルの渦巻線の下方に配向又は配置することができる。同様に、第3の変圧器614の第3の外側パッド606は、第3の変圧器614の上部コイルの渦巻線の下方に配置することができる。外側パッドが変圧器の上部コイルの渦巻線の下方に配置されている場合、それは「下向き」の位置にあると定義することができる。逆に、第5の変圧器618の第5の外側パッド608及び第7の変圧器620の第7の外側パッド610は、第5の変圧器618及び第7の変圧器620の上部コイルの渦巻線の上方に配向又は配置することができる。この構成は、「上向き」の位置にあると定義することができる。
【0027】
したがって、第1の集積回路ダイ600上の変圧器は、それらの外側パッドの位置又は向きに関して「下向き-下向き、上向き-上向き」構成で配置される。特定の変圧器の外側パッドが上向き構成にあるか、又は下向き構成にあるかは、特定の変圧器の上部コイルが時計回り方向に巻かれているか、又は反時計回り方向に巻かれているかに部分的に依存し得る。外側パッドのこの構成は、第2の集積回路ダイ602上の変圧器上の外側パッドの構成によって示されるように繰り返すことができ、第2の変圧器622の第2の外側パッド624及び第4の変圧器628の第4の外側パッド630は、「下向き」位置に配置され、第6の変圧器634の第6の外側パッド632及び第8の変圧器638の第8の外側パッド636は、「上向き」位置に配置することができる。第1の集積回路ダイ600と第2の集積回路ダイ602の両方が、下向き-下向き、上向き-上向き構成で変圧器を配向しているが、4つの変圧器を含む任意の集積回路ダイは、下向き-下向き、上向き-上向き構成、上向き-上向き、下向き-下向き構成、上向き-下向き、上向き-下向き構成、又は任意の所望の構成を有することができる。同様に、各集積回路ダイは、変圧器が使用されるか、又は接続される回路、デバイスなどに対して所望される又は適切な任意の構成で配向される任意の数の変圧器を含むことができる。
【0028】
図7は、モノリシック又はマルチダイ変圧器デバイスを製造するための方法700の例を示す。動作702は、対称な第1の下部コイルを第1の集積回路ダイの一部の上に配置することを含むことができる。第1の下部コイルは、CMOSバックエンドプロセスの上部厚膜金属(Top Thick Metal、Mtop)を使用して製造することができる。これは、金属の層を使用して下部コイルを製造することを含むことができる。第1の下部コイルは、一対の隣接する巻線の個々の巻線の間の導電性交差部を含むことができる。第1の下部コイルは、第1及び第2の差動端子、及び第1の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第1のセンタータップ第3端子を更に含むことができる。一例では、第1の金属層を導電性交差部に使用することができる。第1の金属層は、銀、銅、金、アルミニウム、又は任意の所望の及び/又は好適な金属又は金属合金のうちの少なくとも1つを含んでもよく、第2の金属層は、第1のセンタータップ第3端子を第1の下部コイルの最も内側の巻線に接続するために、センタータップへのアンダーパス接続に使用することができる。第2の金属層は、所望により、第1の金属層と同じ種類の金属又は異なる種類の金属を含むことができる。
【0029】
動作704は、電気絶縁性の第1の誘電体層を第1の下部コイルの上に配置することを含むことができる。誘電体は、ポリイミド又はCMOSプロセスで利用可能な二酸化ケイ素又は窒化ケイ素誘電体などの別の誘電体、又は、例えば、コイルの巻線を絶縁及び保護するのに好適であり得るか、若しくは絶縁及び/又はパッシベーション層として作用又は実施させるのに好適であり得る、誘電体絶縁特性を有する任意の他の好適な材料であり得る。動作706は、らせん状の第1の上部コイルを第1の誘電体層の上(例えば、上方、その上など)に配置して第1の下部コイルの上に重ね合わせることを含むことができる。第1の上部コイルは、取り巻かれた第1の内側パッド及び横方向にずらされた第1の外側パッドに電気的に接続することができる。第1の内側パッド、第1の外側パッド、及び第1の上部コイルは、第1の集積回路ダイの共有された第1の導電性集積回路層を含むことができる。例では、電気絶縁性の第1の誘電体層は、第1の上部コイル及び第1の下部コイルの少なくとも一部を分離することができる。絶縁層は、第1の外側パッドの下方、下などに配置された埋め込まれた導電性パッドシールドを更に含むか、又はすぐ上に隣接することができ、第1の外側パッドは、任意にグラウンドに接続することができる。シールドは、上部コイルの巻線からの電磁干渉を防止することができる追加の金属層(例えば、第3の金属層)であり得、シールドを接地することによって、ノイズ信号をグラウンドに送信し、変圧器が接続されている又は動力供給している回路又はデバイスに干渉することを防止することができる。
【0030】
動作708は、対称な第2の下部コイルを第2の集積回路ダイの一部に配置することを含み得、動作710は、第2の下部コイルの上に電気絶縁性の第2の誘電体層を配置することを含み得、動作712は、第2の誘電体層内にらせん状の第2の上部コイルを配置して第2の下部コイルに重ね合わせることを含むことができる。一例において、動作708~712は、動作702~706について説明されるのと同じ又は類似のプロセスを使用して、第2の集積回路ダイ上で実行することができる。一例において、第1の集積回路ダイ、及び第2の集積回路ダイは、互いに隣接して又は互いの隣に配置することができ、750μmなどの距離だけ分離することができる。
【0031】
動作714は、第1の上部コイル及び第2の上部コイルを電気的に接続することを含むことができる。第1の変圧器及び第2の変圧器の上部コイルは、結合ワイヤを使用して、第1の変圧器の上部コイルのパッドを第2の変圧器の上部コイルのパッドに接続するなどして、直列に接続することができる。例えば、第1の外側パッドは、第2の内側パッドに接続することができ、第1の内側パッドは、第2の外側パッドに接続することができる。別の例では、第1の外側パッドは、第2の外側パッドに接続することができ、第1の内側パッドは、第2の内側パッドに接続することができる。したがって、第1の変圧器のパッドは、所望の任意の構成で第2の変圧器のパッドに電気的に接続することができる。
【0032】
第1の変圧器と第2の変圧器との間のパッド接続は、第1及び第2の変圧器の上部コイルの巻線方向に少なくとも部分的に基づくことができる。一例において、第1の変圧器の上部コイルは、時計回り方向に巻かれ得、第2の変圧器の上部コイルは、反時計回り方向に巻かれ得る。あるいは、第1の変圧器の上部コイルは、反時計回り方向に巻かれ得、第2の変圧器の上部コイルは、時計回り方向に巻かれ得る。コイルの巻線方向は、変圧器が配置される外部磁界に基づくことができ、各変圧器のコイルは、外部磁界とは反対の磁界を生成することができる電流を誘導するように巻くことができる。この効果は、より大きな又は改善されたノイズキャンセル効果となり得る。
【0033】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する、添付図面の参照を含む。図面は、実例として、実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも称される。そのような例は、図示又は記載されたものに加えて要素を含んでもよい。しかし、本発明者らは、図示又は記載された要素のみが提供される例も意図している。更に、本発明者らはまた、本明細書に示されるか、又は説明される、特定の例(若しくはその1つ以上の態様)、又は他の例(若しくはその1つ以上の態様)のいずれかに対する、示されるか又は説明される要素(若しくはその1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は並べ替えを使用する例も意図している。
追加の文書及び例
【0034】
例1は、完全に対称でバランスのとれたモノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスであって、第1の変圧器であって、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第1の下部コイルであって、第1の下部コイルは、第1及び第2の差動端子を含み、第1の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第1のセンタータップ第3端子を更に含む、第1の下部コイルと、取り巻かれた第1の内側パッド及び横方向にずらされた第1の外部パッドに電気的に接続されたらせん状の第1の上部コイルであって、第1の上部コイル、第1の内側パッド、及び第1の外側パッドは、共有された第1の導電性集積回路層を含む、第1の上部コイルと、を含み、第1の上部コイル及び第1の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第1の変圧器と、第1の変圧器と電気的に直列の第2の変圧器であって、第2の変圧器は、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第2の下部コイルであって、第2の下部コイルは、第3及び第4の差動端子を含み、第2の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第2のセンタータップ第3端子を更に含む、第2の下部コイルと、取り巻かれた第2の内側パッド及び横方向にずらされた第2の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第2の上部コイルであって、第2の上部コイル、第2の内側パッド、及び第2の外側パッドは、共有された第2の導電性集積回路層を含む、第2の下部コイルと、を含み、第2の上部コイルと第2の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第2の変圧器と、を備える変圧器デバイスである。
【0035】
例2において、例1に記載の主題は、第1の外側パッドは、第2の内側パッドに電気的に接続され、第1の内側パッドは、第2の外側パッドに電気的に接続されていることを任意に含む。
【0036】
例3において、例1~2のいずれか1つ以上に記載の主題は、第1の外側パッドは、第2の外側パッドに電気的に接続され、第1の内側パッドは、第2の内側パッドに電気的に接続されていることを任意に含む。
【0037】
例4において、例1~3のいずれか1つ以上に記載の主題は、第1の変圧器の第1の外側パッドの下に配置された第1の接地シールドと、第2の変圧器の第2の外側パッドの下に配置された第2の接地シールドと、を任意に含む。
【0038】
例5において、例1~4のいずれか1つ以上に記載の主題は、第1の変圧器の下部コイル又は第2の変圧器の下部コイルのうちの少なくとも1つの下方に配置された回路部品であって、回路部品は、キャパシタ、送信機回路に含まれる能動部品、又は受信機回路に含まれる能動部品のうちの少なくとも1つを含む回路部品を任意に含む。
【0039】
例6において、例1~5のいずれか1つ以上に記載の主題は、第1の変圧器の上部コイルは、時計回り方向に巻かれ、第2の変圧器の上部コイルは、反時計回り方向に巻かれていることを任意に含む。
【0040】
例7において、例1~6のいずれか1つ以上に記載の主題は、第3の変圧器であって、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第3の下部コイルであって、第3の下部コイルは、第5及び第6の差動端子を含み、第3の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第3のセンタータップ第3端子を更に含む、第3の下部コイルと、取り巻かれた第3の内側パッド及び横方向にずらされた第3の外部パッド電気的に接続されたらせん状の第3の上部コイルであって、第3の上部コイル、第3の内側パッド、及び第3の外側パッドは、共有された第3の導電性集積回路層を含む、第3の上部コイルと、を含み、第3の上部コイル及び第3の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第3の誘電体層によって互いに分離されている、第3の変圧器と、第3の変圧器と直列の第4の変圧器であって、第4の変圧器は、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第4の下部コイルであって、第4の下部コイルは、第7及び第8の差動端子を含み、第4の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第4のセンタータップ第3端子を更に含む、第4の下部コイルと、取り巻かれた第4の内側パッド及び横方向にずらされた第4の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第4の上部コイルであって、第4の上部コイル、第4の内側パッド、及び第4の外側パッドは、共有された第4の導電性集積回路層を含む、第4の下部コイルと、を含み、第4の上部コイルと第4の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第4の誘電体層によって互いに分離されている、第4の変圧器と、を任意に含む。
【0041】
例8において、例7に記載の主題は、第1の変圧器及び第3の変圧器は、第1の集積回路ダイ上に配置され、第2の変圧器及び第4の変圧器は、第1の集積回路ダイに隣接して配置される第2の集積回路ダイ上に配置されていることを任意に含む。
【0042】
例9において、例7~8のいずれか1つ以上に記載の主題は、第3の変圧器の上部コイルは、反時計回り方向に巻かれ、第4の変圧器の上部コイルは、時計回り方向に巻かれていることを任意に含む。
【0043】
例10は、完全に対称でバランスのとれたモノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスであって、第1の変圧器であって、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第1の下部コイルであって、第1の下部コイルは、第1及び第2の差動端子を含み、第1の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第1のセンタータップ第3端子を更に含む、第1の下部コイルと、取り巻かれた第1の内側パッド及び横方向にずらされた第1の外部パッドに電気的に接続されたらせん状の第1の上部コイルであって、第1の上部コイル、第1の内側パッド、及び第1の外側パッドは、共有された第1の導電性集積回路層を含む、第1の上部コイルと、を含み、第1の上部コイル及び第1の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第1の変圧器と、第1の変圧器と電気的に直列の第2の変圧器であって、第2の変圧器は、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第2の下部コイルであって、第2の下部コイルは、第3及び第4の差動端子を含み、第2の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第2のセンタータップ第3端子を更に含む、第2の下部コイルと、取り巻かれた第2の内側パッド及び横方向にずらされた第2の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第2の上部コイルであって、第2の上部コイル、第2の内側パッド、及び第2の外側パッドは、共有された第2の導電性集積回路層を含む、第2の下部コイルと、を含み、第2の上部コイルと第2の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第2の変圧器と、第1の変圧器の下部コイル又は第2の変圧器の下部コイルのうちの少なくとも1つの下方に配置された回路部品と、を備える変圧器デバイスである。
【0044】
例11において、例10に記載の主題は、回路部品は、キャパシタを含むことを任意に含む。
【0045】
例12において、例10~11のいずれか1つ以上に記載の主題は、回路部品は、送信機回路を含むことを任意に含む。
【0046】
例13において、例10~12のいずれか1つ以上に記載の主題は、回路部品は、受信機回路を含むことを任意に含む。
【0047】
例14において、例10~13のいずれか1つ以上に記載の主題は、第1の変圧器は、第1の集積回路ダイ上に配置され、第2の変圧器は、第1の集積回路ダイに隣接して配置された第2の集積回路ダイ上に配置されていることを任意に含む。
【0048】
例15において、例10~14のいずれか1つ以上に記載の主題は、第1の変圧器の上部コイルは、時計回り方向に巻かれており、第2の変圧器の上部コイルは、反時計回り方向に巻かれていることを任意に含む。
【0049】
例16は、完全に対称でバランスのとれたモノリシック又はマルチダイ集積回路変圧器デバイスであって、第1の変圧器であって、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第1の下部コイルであって、第1の下部コイルは、第1及び第2の差動端子を含み、第1の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第1のセンタータップ第3端子を更に含む、第1の下部コイルと、取り巻かれた第1の内側パッド及び横方向にずらされた第1の外部パッドに電気的に接続されたらせん状の第1の上部コイルであって、第1の上部コイル、第1の内側パッド、及び第1の外側パッドは、共有された第1の導電性集積回路層を含む、第1の上部コイルと、を含み、第1の上部コイル及び第1の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第1の変圧器と、第1の変圧器と電気的に直列の第2の変圧器であって、第2の変圧器は、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第2の下部コイルであって、第2の下部コイルは、第3及び第4の差動端子を含み、第2の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第2のセンタータップ第3端子を更に含む、第2の下部コイルと、取り巻かれた第2の内側パッド及び横方向にずらされた第2の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第2の上部コイルであって、第2の上部コイル、第2の内側パッド、及び第2の外側パッドは、共有された第2の導電性集積回路層を含む、第2の下部コイルと、を含み、第2の上部コイルと第2の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第1の誘電体層によって互いに分離されている、第2の変圧器と、第3の変圧器であって、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第3の下部コイルであって、第3の下部コイルは、第5及び第6の差動端子を含み、第3の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第3のセンタータップ第3端子を更に含む、第3の下部コイルと、取り巻かれた第3の内側パッド及び横方向にずらされた第3の外部パッドに電気的に接続されたらせん状の第3の上部コイルであって、第3の上部コイル、第3の内側パッド、及び第3の外側パッドは、共有された第3の導電性集積回路層を含む、第3の上部コイルと、を含み、第3の上部コイル及び第3の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第3の誘電体層によって互いに分離されている、第3の変圧器と、第3の変圧器と電気的に直列の第4の変圧器であって、第4の変圧器は、一対の隣接する巻線の個々の巻線間の導電性交差部を含む対称な第4の下部コイルであって、第4の下部コイルは、第7及び第8の差動端子を含み、第4の下部コイルの最も内側の巻線に電気的に接続された第4のセンタータップ第3端子を更に含む、第4の下部コイルと、取り巻かれた第4の内側パッド及び横方向にずらされた第4の外側パッドに電気的に接続されたらせん状の第4の上部コイルであって、第4の上部コイル、第4の内側パッド、及び第4の外側パッドは、共有された第4の導電性集積回路層を含む、第4の下部コイルと、を含み、第4の上部コイルと第4の下部コイルは、重ね合わされ、電気絶縁性の第4の誘電体層によって互いに分離されている、第4の変圧器と、を備える変圧器デバイスである。
【0050】
例17において、例16に記載の主題は、第1の外側パッドは、第2の内側パッドに電気的に接続され、第1の内側パッドは、第2の外側パッドに電気的に接続されていることを任意に含む。
【0051】
例18において、例16~17のいずれか1つ以上に記載の主題は、第1の外側パッドは、第2の外側パッドに電気的に接続され、第1の内側パッドは、第2の内側パッドに電気的に接続されていることを任意に含む。
【0052】
例19において、例16~18のいずれか1つ以上に記載の主題は、第3の外側パッドは、第4の内側パッドに電気的に接続され、第3の内側パッドは、第4の外側パッドに電気的に接続されていることを任意に含む。
【0053】
例20において、例16~19のいずれか1つ以上に記載の主題は、第3の外側パッドは、第4の外側パッドに電気的に接続され、第3の内側パッドは、第4の内側パッドに電気的に接続されていることを任意に含む。
【0054】
この文書で参照される全ての刊行物、特許、及び特許文献は、参照により個別に組み込まれるかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本文書と参照により組み込まれるそれらの文書との間に不整合な使用がある場合には、組み込まれる参考文献における使用は、本文書の使用に対する補足的なものとみなされるべきであり、相容れない不整合については、本文書における使用が支配する。
【0055】
この文書では、「a」又は「an」という用語は、特許文書で一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の他の例又は使用とは関係なく、1つ又は2つ以上を含むように使用される。この文書では、「又は(or)」という用語は、特に指定のない限り、「A又はB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、及び「A及びB」を含むように、非排他的な「又は」を指すために使用される。添付の請求項では、「含む(including)」及び「そこで(in which)」という用語は、それぞれ「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」という用語の平易な英語の同等語として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む」及び「備える」という用語はオープンエンドであり、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙されたものに加えて、要素を含むシステム、装置、物品、又はプロセスも、依然としてその請求項の範囲内にあるとみなされる。更に、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」及び「第3」等は、単に符号として使用され、それらの対象に対する数値的要件を強いることを意図しない。
【0056】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上記に説明された例(又は、それらの1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。当業者などであれば、上記の説明を検討することにより、他の実施形態を使用することができる。要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするものであり、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないことを理解して提出される。また、上記の詳細な説明では、開示を簡素化するために、様々な特徴をグループ化してまとめることができる。これは、特許請求されていない開示された特徴がいずれかの請求項に不可欠であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない場合がある。したがって、以下の請求項は、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立している。実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
【符号の説明】
【0057】
100 第1の変圧器
102 第1の下部コイル
104 第1の上部コイル
106 第1の外側パッド
108 第1の内側パッド
110 第2の変圧器
112 第2の上部コイル
114 第2の内側パッド
116 第2の下部コイル
118 第2の外側パッド
120 結合ワイヤ
122 送信機回路
124 受信機回路
128 第1の集積回路ダイ
130 第2の集積回路ダイ
132 第1の誘電体層
134 第2の誘電体層
200 下部コイル
202 上部コイル
204 第1の差動端子
206 第2の差動端子
208 センタータップ第3端子
210 巻線
212 導電性交差部
214 導電性交差部
216 内側パッド
218 外側パッド
220 外側巻線
222 巻線
300 第1の集積回路層
302 接地シールド
306 第2の集積回路層
308 第3の集積回路層
400 第1の絶縁領域
402 第2の絶縁領域
404 センタータップ
406 センタータップ
500 第1の集積回路ダイ
502 第2の集積回路ダイ
504 第1の変圧器
506 第3の変圧器
508 第2の変圧器
510 第4の変圧器
512 外部磁界
600 第1の集積回路ダイ
602 第2の集積回路ダイ
604 第1の外側パッド
606 第3の外側パッド
608 第5の外側パッド
610 第7の外側パッド
612 第1の変圧器
614 第3の変圧器
618 第5の変圧器
620 第7の変圧器
622 第2の変圧器
624 第2の外側パッド
628 第4の変圧器
630 第4の外側パッド
632 第6の外側パッド
634 第6の変圧器
636 第8の外側パッド
638 第8の変圧器
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】