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特開2023-183407空気軸受スピンドルおよび空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183407
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】空気軸受スピンドルおよび空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/06 20060101AFI20231220BHJP
   F16C 41/00 20060101ALI20231220BHJP
   F16C 35/10 20060101ALI20231220BHJP
   B23B 19/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F16C32/06 C
F16C41/00
F16C35/10
B23B19/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098503
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2022096482
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】501141769
【氏名又は名称】株式会社industria
(74)【代理人】
【識別番号】100199864
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 良成
(72)【発明者】
【氏名】香川 利春
(72)【発明者】
【氏名】武石 桐生
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一彰
【テーマコード(参考)】
3C045
3J102
3J217
【Fターム(参考)】
3C045FD14
3J102AA02
3J102BA03
3J102BA17
3J102BA18
3J102CA04
3J102CA11
3J102CA16
3J102CA32
3J102EA02
3J102EA06
3J102EA09
3J102EA13
3J102EB02
3J102EB03
3J102EB08
3J102EB16
3J102GA07
3J217JA03
3J217JA12
3J217JA22
3J217JB23
3J217JB26
3J217JB68
3J217JB88
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高速回転中にスピンドル主軸が傾いた場合、スピンドル主軸に働くジャイロ効果を補償し、高精度の加工を実現する。
【解決手段】スピンドル主軸と、スピンドル主軸を空気層を介して回転可能に支持する空気軸受手段を備えた空気軸受スピンドルおよびその軸受圧力制御方法において、空気軸受手段はハウジングに取り付けられ、複数のラジアル空気軸受とスラスト空気軸受を備え、ラジアル空気軸受はスピンドル主軸との距離を計測する複数の距離センサと、スピンドル主軸との空気層の隙間に空気を供給して隙間の間隔を保持する複数に区分されるエアパッドを備え、距離センサはスピンドル主軸との距離に応じて圧力制御手段によりエアパッドに供給する圧力を増減させ、距離センサと対応するエアパッドではなく、円周方向に90度ずらした位置のエアパッドの圧力を変更させることを特徴とする。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドル主軸と、該スピンドル主軸を収納するハウジングと、前記スピンドル主軸を空気層を介して回転可能に支持する空気軸受手段と、空気を加圧装置、圧力レギュレータおよび圧力制御手段を介して前記空気軸受手段に供給する空気供給手段と、前記スピンドル主軸を回転させる回転駆動手段と、を備えた空気軸受スピンドルにおいて、
前記空気軸受手段は前記ハウジングに取り付けられ、前記スピンドル主軸の直角方向の荷重を支える複数のラジアル空気軸受および前記スピンドル主軸方向の荷重を支えるスラスト空気軸受を備え、
前記ラジアル空気軸受はスピンドル主軸との距離を計測する複数の距離センサと、前記スピンドル主軸との前記空気層の隙間に前記空気を供給して隙間の間隔を保持する複数に区分されるエアパッドを備え、前記距離センサは前記スピンドル主軸との距離に応じて前記圧力制御手段により前記エアパッドに供給する圧力を増減させ、前記距離センサと対応する前記エアパッドではなく、円周方向にずらした位置の前記エアパッドの圧力を変更させることを特徴とする空気軸受スピンドル。
【請求項2】
前記ラジアル空気軸受のエアパッドは、前記ラジアル空気軸受が円周方向に沿って複数に区分された環状扇形となる立体形状であって、該区分された各エアパッドは前記スピンドル主軸と対向する面に複数の空気ノズルおよび前記空気ノズルに前記空気を供給する空気供給孔を備え、前記距離センサと接続された前記圧力制御手段により圧力制御された空気が供給される前記エアパッドは前記距離センサから円周方向に90度ずらした前記エアパッドであることを特徴とする請求項1に記載の空気軸受スピンドル。
【請求項3】
前記圧力制御手段はダイヤフラム方式のパイロット弁であることを特徴とする請求項2に記載の空気軸受スピンドル。
【請求項4】
前記距離センサは圧力検出口を備えたノズルと前記スピンドル主軸の円周側面をフラッパとして構成されるノズルフラッパであり、前記ノズルと接続された前記パイロット弁により前記エアパッドに供給する空気圧を制御するセンサであって、前記ノズル先端と前記スピンドル主軸との距離が狭くなると、前記圧力制御手段により対応する前記ラジアル空気軸受のエアパッドに供給する圧力が低下または上昇し、前記ノズル先端と前記スピンドル主軸との距離が広くなると、前記圧力制御手段により対応する前記ラジアル空気軸受のエアパッドに供給する圧力が上昇または低下することを特徴とする請求項3に記載の空気軸受スピンドル。
【請求項5】
前記スラスト空気軸受のエアパッドは、前記スピンドル主軸と一体加工された厚板円盤形状のフランジの両面を空気層の隙間を介して対向する形状であって、前記フランジと対向する面には複数の空気ノズルおよび該空気ノズルに空気を供給する空気供給孔で構成される請求項4に記載の空気軸受スピンドル。
【請求項6】
前記空気軸受スピンドルに超音波発振装置を付加し空気軸受超音波スピンドルとしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の空気軸受スピンドル。
【請求項7】
前記距離センサの空気圧を計測することによって、スピンドル主軸の先端に取り付けた工具の負荷の状態を監視する請求項6に記載の空気軸受スピンドル。
【請求項8】
スピンドル主軸と、該スピンドル主軸を収納するハウジングと、前記スピンドル主軸を空気層を介して回転可能に支持する空気軸受手段と、空気を加圧装置、圧力レギュレータおよび圧力制御手段を介して前記空気軸受手段に供給する空気供給手段と、前記スピンドル主軸を回転させる回転駆動手段と、を備えた空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法において、
前記空気軸受手段は前記ハウジングに取り付けられ、前記スピンドル主軸の直角方向の荷重を支える複数のラジアル空気軸受と前記スピンドル主軸方向の荷重を支えるスラスト空気軸受を備え、
前記ラジアル空気軸受はスピンドル主軸との距離を計測する複数の距離センサと、前記スピンドル主軸との空気層の隙間に前記空気を供給して隙間の間隔を保持する複数に区分されるエアパッドを備え、前記距離センサは前記スピンドル主軸との距離に応じて前記圧力制御手段により前記エアパッドに供給する圧力を増減させ、前記距離センサと対応するエアパッドではなく、円周方向にずらした位置の前記エアパッドの圧力を変更させることを特徴とする空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法。
【請求項9】
前記ラジアル空気軸受のエアパッドは、前記ラジアル空気軸受が円周方向に沿って複数に区分された環状扇形となる立体形状であって、該区分された各エアパッドは前記スピンドル主軸と対向する面に複数の空気ノズルおよび前記空気ノズルに前記空気を供給する空気供給孔を備え、前記距離センサと接続された前記圧力制御手段により圧力制御された空気が供給される前記エアパッドは前記距離センサから円周方向に90度ずらした前記エアパッドであることを特徴とする請求項8に記載の空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法。
【請求項10】
前記圧力制御手段はダイヤフラム方式のパイロット弁であることを特徴とする請求項9に記載の空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法。
【請求項11】
前記距離センサは圧力検出口を備えたノズルと前記スピンドル主軸の円周側面をフラッパで構成されるノズルフラッパであり、前記ノズルと接続されたパイロット弁により前記エアパッドの圧力を制御するセンサであって、前記ノズル先端と前記スピンドル主軸との距離が狭くなると、前記圧力制御手段により対応する前記ラジアル空気軸受のエアパッドの圧力が低下または上昇し、前記ノズル先端と前記スピンドル主軸との隙間が広くなると、対応する前記ラジアル空気軸受のエアパッドの圧力が前記圧力制御手段により上昇または低下することを特徴とする請求項10に記載の空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法。
【請求項12】
前記スラスト空気軸受のエアパッドは、前記スピンドル主軸と一体加工された厚板円盤形状のフランジの両面を空気層を介して対向する形状であって、前記フランジと対向する面には複数の空気ノズルおよび該空気ノズルに空気を供給する空気供給孔で構成される請求項8ないし11のいずれかに記載の空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気軸受を使用する空気軸受スピンドルに関し、詳しくは空気軸受スピンドルに使用するラジアル空気軸受の圧力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体のウエハー、治具等の素材にはシリコン(Si)やセラミック等の硬脆性の難削材料が多く使用されている。半導体の需要が高まる中、工作機械製造メーカにはSi、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)等の硬脆性材料の加工に関する生産性と精度向上の要求も高くなってきている。難削材料の加工(微細溝加工や面取り等)は、スピンドルに超音波振動器を備えた超音波スピンドルによる超音波振動切削加工が有効であり、図24にその超音波スピンドルの構造を示す。
【0003】
図24は転がり軸受を使用する超音波スピンドルの概略図である。図24に示す超音波スピンドル100は、スピンドル主軸103に圧電セラミックス(チタン酸ジルコン酸鉛)102を内蔵し、スピンドル主軸103全体が所定の周波数(例えば40kHz)で共振する構造になっている。そして、スピンドル主軸103は、2カ所の転がり軸受(玉軸受)101で支持されて回転する。
工具105(軸付砥石)は、焼きばめチャック104によりスピンドル主軸103に取り付けられ、スピンドル主軸103の回転はその後部端に取り付けられたモータ107により付与される。超音波発振器106およびモータ107の駆動は、それぞれ外部の専用電源より電力が供給されて駆動する。なお、図24ではスピンドル主軸103を収納するハウジングは省略されている。
【0004】
上記硬脆性材料に対して超音波振動切削加工が有効であるが、以下の課題もある。
加工精度向上のためには超音波振動加工をさらに高速回転で実施する必要があるが、現状で使用している玉軸受101の軸受に使用される玉またはころの回転では限界があり、耐久性にも問題がある。
【0005】
すなわち、現状の超音波スピンドル100は玉軸受101を使用しているため毎分数万回転が限界であり、高精度化が期待される毎分10万回転を超えるのは難しい。さらに振動の影響等により、玉軸受101の消耗が激しく、金型加工や難削材加工で要求される長時間連続加工には不向きで、軸受メンテナンス等によるコスト高となり普及が阻害されている。
【0006】
その課題を解決するために、超音波スピンドルの玉軸受101を空気軸受に置換して、高速回転を実現し、さらに耐久性も向上させることができる。
すでに、特許文献1に示すように、玉軸受を空気軸受に置換する発明が提案されている。特許文献1の発明は、静圧空気軸受スピンドル装置およびこれを用いた工作機械である。スピンドル装置に供給する空気の圧力を上昇させ、温度調整装置により空気の温度を制御して圧力レギュレータに空気を供給するスピンドル装置である。供給する空気の圧力と温度を制御して、高精度な加工を安定して実現できる静圧空気軸受スピンドル装置としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-104449号文献
【特許文献2】特開昭58-81217号文献
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、スピンドル主軸を高速回転させた状態で、負荷等によりスピンドル主軸が傾いた場合には、回転軸には、ジャイロ効果により傾く方向と90°ずれた方向に新たな力が働き、スピンドル回転軸が傾いた方向と異なる箇所の軸受の空気圧を制御する必要がある。このため、スピンドル主軸の傾く速度が速い場合には、回転軸がずれて正確な加工が難しくなる。
【0009】
ジャイロ効果を抑制してスピンドルの安定化を図る文献として、特許文献2に示す発明がある。特許文献2の発明は磁気軸受の制御に関するものであり、空気軸受の発明ではない。
また、磁気軸受の制御は、電気的に磁力を発生させるため、磁気軸受では空気軸受とは異なり構造が複雑で高価となる課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するもので、スピンドルの玉軸受を空気軸受に置換することにより、高速回転を実現させ、耐久性を向上させることができる。また、従来の玉軸受と同等の剛性とサイズを実現する。さらに、ジャイロモーメントの影響を抑制し、加工トルクに影響されない高精度な空気軸受を提供する。
【0011】
すなわち、本発明は、スピンドル主軸と、該スピンドル主軸を収納するハウジングと、スピンドル主軸を空気層を介して回転可能に支持する空気軸受手段と、空気を加圧装置、圧力レギュレータおよび圧力制御手段を介して空気軸受手段に供給する空気供給手段と、スピンドル主軸を回転させる回転駆動手段と、を備えた空気軸受スピンドルにおいて、空気軸受手段はハウジングに取り付けられ、スピンドル主軸の直角方向の荷重を支える複数のラジアル空気軸受とスピンドル主軸方向の荷重を支えるスラスト空気軸受を備え、ラジアル空気軸受はスピンドル主軸との距離を計測する複数の距離センサと、スピンドル主軸との空気層の隙間に空気を供給して隙間の間隔を保持する複数に区分されるエアパッドを備え、距離センサはスピンドル主軸との距離に応じて圧力制御手段によりエアパッドに供給する圧力を増減させ、距離センサと対応するエアパッドではなく、円周方向にずらした位置のエアパッドの圧力を変更させることを特徴とする空気軸受スピンドルである。
【0012】
このように構成することにより、ラジアル空気軸受によりスピンドル主軸はハウジングと接触することなく、高速回転させることができる。
【0013】
また、本発明のラジアル空気軸受のエアパッドは、ラジアル空気軸受が円周方向に沿って複数に区分された環状扇形となる立体形状であって、該区分された各エアパッドはスピンドル主軸と対向する面に複数の空気ノズルおよび空気ノズルに空気を供給する空気供給孔を備え、距離センサと接続された圧力制御手段により圧力制御された空気が供給されるエアパッドは前記距離センサから円周方向に90度ずらしたエアパッドであることを特徴とする。
このように構成することにより、スピンドル主軸が傾いてジャイロ効果によりスピンドル主軸が異なる方向に傾いてもその傾きを抑制することができる。
【0014】
また、圧力制御手段はダイヤフラム方式のパイロット弁であることを特徴とする。
このように構成することにより、距離センサの隙間の距離をエアパッドに供給する圧力に変換することができる。
【0015】
さらに、距離センサは圧力検出口を備えたノズルとスピンドル主軸の円周側面をフラッパとして構成されるノズルフラッパであり、ノズルと接続されたパイロット弁によりエアパッドに供給する空気圧を制御するセンサであって、ノズル先端とスピンドル主軸との距離が狭くなると、圧力制御手段により対応する空気軸受のエアパッドに供給する圧力が低下または上昇し、ノズル先端とスピンドル主軸との距離が広くなると、圧力制御手段により対応する空気軸受のエアパッドに供給する圧力が上昇または低下することを特徴とする。
このように構成することで、距離センサによって圧力を制御することによりスピンドル主軸の傾きを抑制することができる。
【0016】
また、本発明のスラスト空気軸受のエアパッドは、スピンドル主軸と一体加工された厚板円盤形状のフランジの両面を空気層の隙間を介して対向する形状であって、フランジと対向する面には複数の空気ノズル、該空気ノズルに空気を供給する空気供給孔で構成されることを特徴とする。
このように構成することにより、スピンドル主軸の垂直方向に負荷が加わってもスピンドル主軸を安定させることができる。
【0017】
また、空気軸受スピンドルに超音波発振装置を付加し空気軸受超音波スピンドルとしたことを特徴とする。
このように構成することにより、空気軸受スピンドルに超音波による振動機能を追加し、高精度のスピンドル加工を実施することができる。
【0018】
さらに、距離センサの空気圧を計測することによって、スピンドル主軸の先端に取り付けた工具の負荷の状態を監視することを特徴とする。
このように構成することにより、工具の摩耗状態を把握することができる。
【0019】
また、本発明は、スピンドル主軸と、該スピンドル主軸を収納するハウジングと、スピンドル主軸を空気層を介して回転可能に支持する空気軸受手段と、空気を圧力制御手段を介して空気軸受手段に供給する空気供給手段と、スピンドル主軸を回転させる回転駆動手段と、を備えた空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法において、空気軸受手段はハウジングに取り付けられ、スピンドル主軸の直角方向の荷重を支える複数のラジアル空気軸受とスピンドル主軸方向の荷重を支えるスラスト空気軸受を備え、ラジアル空気軸受はスピンドル主軸との距離を計測する複数の距離センサと、スピンドル主軸との空気層の隙間に空気を供給して隙間の間隔を保持する複数に区分されるエアパッドを備え、距離センサはスピンドル主軸との距離に応じて圧力制御手段によりエアパッドに供給する圧力を増減させ、距離センサと対応するエアパッドではなく、円周方向にずらした位置のエアパッドの圧力を変更させること特徴とする空気軸受スピンドルの空気軸受圧力制御方法である。
【0020】
このようにスピンドルの空気軸受の圧力を制御することにより、ジャイロ効果によるスピンドル主軸の傾きを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上、本発明によれば、スピンドルの玉軸受を空気軸受に置換して、玉軸受と同等以上の剛性とサイズを実現し、耐久性も向上させることができる。また、ジャイロモーメントを抑制し、加工による負荷に影響されない高精度なスピンドルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る空気軸受スピンドルの外形図である。
図2図1に示す空気軸受スピンドルの右側面図である。
図3図1に示す空気軸受スピンドルの左側面図である。
図4図3に示すA-A切断面の空気軸受スピンドルの断面図である。
図5図3に示すB-B切断面の空気軸受スピンドルの断面図である。
図6図5に示すY-Y切断面のラジアル空気軸受の断面図である。
図7図4に示す断面図左上部の円形囲み部のノズルフラッパの拡大図である。
図8図5に示す円形囲み部のラジアル空気軸受およびスラスト空気軸受の拡大図である。
図9図4に示すスピンドル断面図にパイロット弁を含む空気圧回路との接続を示す図である。
図10図6に示すラジアル空気軸受断面図にパイロット弁を含む空気圧回路との接続を示す図である。
図11】空気軸受スピンドルを構成する空気軸受およびノズルフラッパの配置並びにパイロット弁を含めた空気圧回路を示す概略図である。
図12】ノズルとフラッパ間の距離が広くなったときの圧力変化を説明する図である。
図13】ノズルとプラッパ間の距離が狭くなったときの圧力変化を説明する図である。
図14】ノズルフラッパおよびパイロット弁の構造概略図ならびに空気圧回路図である。
図15】ノズルとフラッパ間が狭くなったときの空気軸受圧力が低下することを説明する図である。
図16】ノズルとフラッパ間が広くなったときの空気軸受圧力が上昇することを説明する図である。
図17】垂直方向の負荷に対するスラスト空気軸受の動作を説明する図である。
図18】スラスト空気軸受のエアパッド径に対する垂直方向の荷重を保持する圧力値を示す図である。
図19】ラジアル空気軸受の動作を説明する図である。
図20】スピンドル径に対するラジアル方向の荷重を保持する圧力差を示す図である。
図21】ジャイロ効果を補償する動作を説明する図である。
図22】別のパイロット弁を使用したジャイロ効果を補償する動作を説明する図である。
図23】ジャイロ効果を補償する空気軸受の動作フローである。
図24】転がり軸受を使用する超音波スピンドルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る空気軸受スピンドルについて図1図8を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気軸受スピンドル1の外形図であり、図2は、図1に示す空気軸受スピンドル1の右側面図である。図3図1に示す空気軸受スピンドル1の左側面図である。図4は、図3に示すA―A切断面の空気軸受スピンドル1の断面図であり、図5は、図3に示すB―B切断面の空気軸受スピンドル1の断面図である。
【0024】
図6図5の断面図に示すY-Y切断面のラジアル空気軸受27の断面図である。図7は、図4の断面図左上部の円形囲み部に示すノズルフラッパ57の拡大図であり、図8は、図5の断面図右側の円形囲み部に示すラジアル空気軸受27およびスラスト空気軸受29の拡大図である。
【0025】
図1に示す空気軸受スピンドル1は、複数に分割された略円筒状のハウジング15(1)~15(9)によって構成される。このスピンドル1のハウジング15の内側に、2つのラジアル空気軸受27および1つのスラスト空気軸受29が取り付けられる。1つのラジアル空気軸受27は4つのノズルフラッパ57と組み合され、2つのラジアル空気軸受27で計8個のノズルフラッパ57を備える。
【0026】
ハウジング15には、ラジアル空気軸受27の空気圧制御に使用されるノズルフラッパ57とパイロット弁50との接続のためのパイロット弁制御圧力供給口10、ノズルフラッパ57に空気を供給するノズルフラッパ空気供給口11、パイロット弁50からラジアル空気軸受27に圧力制御された空気を供給するラジアル空気軸受空気供給口12、スラスト空気軸受29に空気を供給する2か所のスラスト空気軸受空気供給口13、ノズルフラッパ57およびラジアル空気軸受27ならびにスラスト空気軸受29に供給された空気を排気する空気排気口14が開口される。
【0027】
ラジアル空気軸受27は、スピンドル主軸33の直角方向の荷重を支え、スラスト空気軸受は、スピンドル主軸33の軸方向の荷重を支える。これらの空気軸受によりスピンドル主軸33が空気軸受の空気層を介して保持される。ラジアル空気軸受27およびスラスト空気軸受28は本発明では空気軸受手段に相当する。なお、本実施形態では1つのラジアル空気軸受27には計8つのラジアル空気軸受空気供給口12を備える。
ここで、空気層は、スピンドル主軸33とラジアル空気軸受27またはスラスト空気軸受29との隙間のことで、空気が供給できる空間である。また、本発明で空気というとき、大気ではなく相対圧力(ゲージ圧力)を有する圧縮空気をいう。
さらに、超音波発振装置を適宜取り付けて空気軸受超音波スピンドルとすることもできる。
【0028】
図2に示す右側面図には、後述するスピンドル主軸33を回転させるビルトインルモータ30に電力を供給する配線取出し口20、各ハウジング15をボルト等で連結する連結口23が設けられる。
図3の左側面図には、各ハウジング15を連結する連結口23、4カ所のノズルフラッパ57の空気供給孔37の空気漏れを防ぐための埋め栓24が形成されている。
なお、中央の開口部は工具取付口31である。
【0029】
図4は、図3に示すA-A切断面による空気軸受スピンドル1の断面図である。
ハウジング15(1)~(9)は、ボルト等で連結して固定され、その内側にスピンドル主軸33が挿入される。
ハウジング15(1)は、円盤状の厚板であり、中央に配線取出し口20が穴あけされる。ハウジング15(2)は、円筒状であり、スピンドル主軸33とは広い隙間を設けて取り付けられる。
ハウジング15(3)には、ラジアル空気軸受27の空気圧を制御するためのノズルフラッパ57が設けられ、ノズルフラッパ57により空気軸受との隙間の距離を検知してパイロット弁50に空気圧信号を伝える空気供給孔26が設けられる。
【0030】
ハウジング15(4)の内部にラジアル空気軸受27が固定される。ハウジング15(4)は、断面逆L字形に形成され、この凹部にハウジング15(5)とその内側にハウジング15(6)の薄く加工された円筒形状が配置される。また、ハウジング15(4)には、後述するように、ラジアル空気軸受27のエアパッド27aに空気を供給するための空気供給孔35(図5に示す)が形成される。
ハウジング15(5)の内側には、ハウジング15(6)を介してビルトインモータ30のステータ30aが固定され、その内側にはスピンドル主軸33にビルトインモータのロータ30bが固定される。ビルトインモータ30は、本発明の回転駆動手段に相当する。
なお、ハウジング15(5)とハウジング15(6)とを重ねるのは、ハウジング15(6)の外周に複数の溝を形成することができ、それにビルトインモータ30の熱を冷却するための冷却水を流すこともできる。
【0031】
ハウジング15(6)には、スピンドル主軸33のフランジ28の一方の側にスラスト空気軸受29が取り付けされ、ハウジング15(8)には、フランジ28の他方の側にもスラスト空気軸受29が固定される。フランジ28の外周にはフランジ28が回転可能な状態でハウジング15(7)が対向するように配置される。
また、ハウジング15(8)の内側には、スラスト空気軸受29と連続してラジアル空気軸受27が配置される。さらに、ハウジング15(8)には、スラスト空気軸受29に空気を供給する空気供給孔36が形成され、図5について後述するラジアル空気軸受27に制御された空気圧を供給するための空気供給孔35(図5に示す)が形成される。
【0032】
ハウジング15(9)には、ハウジング15(3)と同じように、ラジアル空気軸受27の空気圧を制御するためのノズルフラッパ57が設けられ、ノズルフラッパ57により軸受との隙間を検知してパイロット弁50に空気圧信号を伝える空気供給孔26が設けられる。
スピンドル主軸33の左端部(使用時は下方となる)には、工具が取り付けられる工具取付口31が形成される。なお、工具の摩耗状態は距離センサの空気圧により、工具の負荷の状態として把握することができる。
【0033】
図5は、図4と同じスピンドルの断面図であるが、図4の切断面とは22.5度の角度差がある。ここで、切断面B-Bは、切断面A-Aとは67.5度の角度差があるが、図4の断面図は90度回転しても同じ断面図となることから、22.5度の角度差と同じとなる。
図5は、ハウジング15(3)およびハウジング15(9)にノズルフラッパが記載されていないこと、ハウジング15(4)および15(8)に、ラジアル空気軸受27に圧力制御された空気を供給する空気供給孔35が形成されていることで、図4の断面図と相違する。
また、ハウジング15(8)のスラスト空気軸受29への空気供給孔36の記載がない。
それ以外については、図4と同じ断面図となっているので説明は省略する。
【0034】
図6は、図5のY-Y切断面によるラジアル空気軸受27の断面図である。8つのラジアル空気軸受空気供給口12と空気供給孔35が円周回りに配置され、その空気供給孔35はラジアル空気軸受27のエアパッド27aに形成された8つの空気ノズル32が接続される。
【0035】
図6の断面図は外側から中心に向かって、ハウジング15(5)、ハウジング15(6)およびハウジング15(4)、ラジアル空気軸受27のエアパッド27aおよびスピンドル主軸33となっており、ラジアル空気軸受27とスピンドル主軸33とは隙間を介して回転可能な状態で軸受に保持される。空気供給孔35は、3つのハウジング15(5)、15(6)および15(4)を貫通するように穿孔され、空気ノズル32に接続される。また、複数のハウジング15を組み立てるボルト等を通す連結孔25が形成される。
なお、エアパッド27aとパイロット弁50の制御圧力空気との接続は図10で後述する。
【0036】
図7は、ノズルフラッパ57およびパイロット弁50への空気圧信号を伝達する空気供給孔37および26の拡大図である。その機能は後述する。ノズルフラッパ空気供給口11から空気が供給され、ノズルフラッパ57のノズル57aの先端とスピンドル主軸33との隙間の変化を空気圧信号に変換して、その信号を空気供給孔37および26を介して、パイロット弁制御圧力供給口10よりパイロット弁50に接続される。パイロット弁50により圧力制御された空気がラジアル空気軸受27(図7には記載なし)の図6に示すエアパッド27aの空気ノズル32に供給される。
なお、ノズルフラッパ57はハウジング15(9)に埋め込まれ、空気供給孔37および26はハウジング15(9)に穿孔され、接続されない開口部には埋め栓24が挿入される。
【0037】
図8は、図5の断面図の円形囲み部の拡大図であり、ラジアル空気軸受27およびスラスト空気軸受29の拡大図である。スピンドル主軸33のフランジ28を図に示す左右を取り囲むようにスラスト空気軸受29が、スピンドル主軸33が回転可能なようにハウジング15(6)およびハウジング15(8)に取付られる。フランジ28の円周外側には、ハウジング15(7)がフランジ28には接触しないが、スラスト空気軸受29の左右のエアパッド29aには接触するように固定されている。
スラスト空気軸受29に空気を供給する空気供給孔36は、切断面の角度により表れていないが、図1に示す2つのスラスト空気軸受空気供給口13から空気が供給される。
図8に示すスラスト空気軸受29と連続してラジアル空気軸受27が配置されるが、ラジアル空気軸受27の構成は、図6に示すラジアル空気軸受27の断面図と同じである。
【0038】
ここで、ラジアル空気軸受27のエアパッド27aは、スピンドル主軸33の回りを囲む環状のバームクーヘン形の立体形状を複数に区分した形状である。なお、以下では、エアパッドは、例えば4つまたは2つの区分された環状扇形の立体形状と説明している。
図6に示すラジアル空気軸受27の区分された各エアパッドのスピンドル主軸33と対向する面には空気ノズル32が複数配置され、ラジアル空気軸受空気供給口12、空気供給孔35を介して空気が供給される。
【0039】
また、図8に示すラジアル空気軸受27の各エアパッドのスピンドル主軸33と対向する面にも空気ノズル32が複数構成され、空気供給孔35を介してパイロット弁50から圧力が制御された空気が供給される。
このように、ラジアル空気軸受27の各エアパッド27aとスピンドル主軸33の隙間に空気が供給され、圧力が制御された空気によりスピンドル主軸33が保持される。
【0040】
図8に示すスラスト空気軸受29は、スピンドル主軸33と一体成形された円盤状のフランジ28の両面と対向するように2つのエアパッド29aから構成され、フランジ28と対向する面には複数の空気ノズル32が形成され、空気供給孔36からの一定圧力の空気が供給される。
なお、スラスト空気軸受29のエアパッドは、環状の立体形状であるが、ラジアル空気軸受27のように区分されていないためエアパッド29aとフランジ28の圧力分布はほぼ同一ある。
また、ラジアル空気軸受27およびスラスト空気軸受29の複数の空気ノズル32は、本実施形態ではいずれも周知の自成り絞り弁で構成される。
【0041】
図9は、図5に示す断面図に空気圧供給源64およびパイロット弁50との空気圧回路を説明する図である。パイロット弁50は、2つのラジアル空気軸受27に計8つのパイロット弁50で構成されるが、4つのパイロット弁50は省略している。
空気圧供給源64から断面図に示すノズルフラッパ57、スラスト空気軸受29および4つのパイロット弁に空気が供給される。パイロット弁50は、断面図に示すノズルフラッパ57の圧力信号を受け、圧力制御された空気をラジアル空気軸受27に供給する。
【0042】
図10は、図6に示す断面図にノズルフラッパ57(断面図には表れないが取付位置を四角枠により示す)、パイロット弁50およびラジアル空気軸受27の8つの空気供給孔35との空気圧回路を示す。
空気圧供給源64から各パイロット弁50に空気が供給され、パイロット弁50がノズルフラッパ57の圧力信号を受け、圧力制御された空気をノズルフラッパ57の位置からずらした2つの空気供給孔35に供給する。ノズルフラッパ57の位置から2つの空気供給孔35の中心までの角度は時計回りに90度ずれている。
【0043】
なお、パイロット弁50から圧力制御された空気が供給される空気供給孔35は、1つでもよいが本実施形態では2つとしている。その2つの空気供給孔35の角度差は45度である。すなわち、8つの空気供給孔35は45度の等間隔で配置される、
このように、本発明はスピンドル主軸33に負荷がかかり変位したとき、変位をうけた方向から90度ずらしたラジアル空気軸受27のエアパッド27aの圧力を変化させることにより、ジャイロ効果を抑制する。変位方向から90度ずらした方向のエアパッド27aの空気圧を制御するものである
【0044】
次に、本発明のラジアル空気軸受27とノズルフラッパ57との関係について説明する。
図11は、空気軸受スピンドル1を構成するラジアル空気軸受27およびノズルフラッパ57の配置ならびにパイロット弁50を含めた空気圧回路を示す概略図である。
図10とは異なり、図11では、パイロット弁50の圧力制御された空気の空気供給孔35は記載しておらず、その個数も本実施形態の数と異なる。
【0045】
ラジアル空気軸受27のエアパッド27aは、以下では4つまたは2つに区分された状態として説明するが、本実施形態では、ラジアル空気軸受27は複数に分割されていない。
ここで、「複数に区分される」という場合、ラジアル空気軸受27がノズルフラッパ57またはパイロット弁50の個数に合わせ、複数のエアパッド27aに仮想的に分割される状態をいう。すなわち、区分されたエアパッド27aに供給される圧力制御された空気圧は、エアパッド27a毎に異なり、そのエアパッド27aに対応するパイロット弁50に制御される空気圧となる。
また、パイロット弁50から供給される圧力制御された空気は、単独の空気供給孔35の場合もあるが、本実施形態では2つの空気供給孔35に、また複数の空気供給孔35に供給することもできる。
【0046】
図11の下部に示す図は、空気軸受スピンドル1の2つのラジアル空気軸受27およびスラスト空気軸受29の配置を横から見た概略図であり、図11の上部に示す図はラジアル空気軸受27の配置を上から見た概略図である。また、図11は、ラジアル空気軸受27のエアパッド27aおよびノズルフラッパ57のノズル57aにパイロット弁50が接続されていること、およびその位置関係を示す。
【0047】
図11では、1つのラジアル空気軸受27は4つのエアパッド27aに区分され、各エアパッド27aに対応したノズル57aにより、スピンドル主軸33との隙間を計測し、その隙間に対応した圧力によりエアパッド27aの空気圧は制御される。
【0048】
このエアパッド27aには空気を溜める空気供給孔(空気溜室)35を図6に示すように備え、空気供給孔35にパイロット弁50により圧力制御された空気が供給される。エアパッド27aにはスピンドル主軸33に対向する側に、スピンドル主軸33を保持するのに適した複数の空気ノズル(自成り絞り弁)32を備え、これにより軸受と主軸との隙間近傍部分を細くした給気経路と軸受隙間とで形成され、複数のエアパッドで構成した仮想的な円筒面で絞り効果を得る軸受である。
【0049】
ノズル57aからパイロット弁50に空気圧回路が接続され、パイロット弁50からパイロット弁50と同じ位置にあるエアパッド27aではなく、円周方向に90度ずらしたエアパッド27aに接続される。90度ずらしたエアパッド27aに圧力制御された空気を供給することによりジャイロ効果を抑制し、スピンドル主軸33の動作を安定化させる。
また、スラスト空気軸受29は、スピンドル主軸33に厚板円盤状のフランジ28が形成され、スピンドル主軸33に形成されたフランジ28の円周部全体を上下両側から空気層により支持する軸受であり、フランジと対向するエアパッド29aの面には、ラジアル空気軸受27と同様に空気ノズル(自成り絞り弁)32が複数設けられる。
この空気ノズル32とフランジ28との間に空気層を形成してスピンドル主軸33を保持する。
【0050】
次に、ノズルフラッパ57による圧力制御について説明する。
図12は、ノズルプラッパ57のノズル57aとフラッパ57b間の距離(隙間)が広くなったときの圧力変化を説明する図である。
ノズル57aの先端には、フラッパ57bが隙間を介して対向する。ノズル57aには一定圧(供給圧Ps)の空気が供給され、フラッパ57bとの距離によりノズル57a先端より放出される空気の流出量(Ge)が変化する。ノズル57aとフラッパ57b間の距離によりノズル57a内の圧力(出力圧Pc)は変化する。この出力圧を圧力検出口を介してパイロット弁50に接続する。
【0051】
図12の上に示す図からのノズル57aとフラッパ57b間の距離が広くなると、ノズル57a先端からの流出量が増加するため、図12の下の図に示すように出力圧Pcが低下する。この出力圧が後述するパイロット弁50に伝えられ、パイロット弁50により空気圧が制御される。
【0052】
図13は、ノズルとフラッパ間の距離が狭くなるときの圧力変化を説明する図である。
図13は、図12と同様の図であるため、重複する箇所の説明は省略する。ノズル57aとフラッパ57b間の距離が狭くなると、ノズル57a先端からの流出する空気流量が減少するので、ノズル57a内の出力圧が上昇する。
なお、本発明では、フラッパ57bはスピンドル主軸33の円周側面に相当し、ノズルフラッパ57はスピンドル主軸33の円周側面との距離(隙間)を圧力変化に変換する機能を備える。
【0053】
次に、ノズルフラッパ57のノズルとフラッパ間の距離に応じてパイロット弁による空気軸受の空気圧制御について説明する。
図14は、ノズルフラッパ57とパイロット弁50の構造概略図および空気圧回路図である。図15は、ノズルとフラッパ間の距離が狭くなったときの空気溜室(空気軸受)63の圧力が低下することを説明する図であり、図16は、ノズルとフラッパ間の距離が広くなったときの空気溜室63の圧力が上昇することを説明する図である。
なお、空気軸受(空気溜室)63は、空気供給孔(ラジアル空気軸受)35に相当する。
【0054】
図14に示すパイロット弁50は、第1~第4の圧力室59~62で構成される。図14に示すように、パイロット弁50の第2の圧力室60とノズルフラッパ57が接続され、パイロット弁50の第3の圧力室61が空気軸受の空気溜室63と接続される。パイロット弁50に他の3つの圧力室59、60および62は空気圧供給源64と接続され、大気圧より高い圧力の空気が供給される。空気圧供給源64は、空気を圧縮するコンプレッサ(加圧装置)、圧力レギュレータにより構成され一定圧に制御される空気供給手段である。また、パイロット弁50は、本発明の圧力制御手段である。
なお、空気軸受からは空気が流出し、パイロット弁50からも大気に空気が排出されるため、圧力レギュレータにより、空気圧供給源の供給圧を一定圧に保つ。
【0055】
パイロット弁50の第1の圧力室59と第2の圧力室60の間はダイヤフラム51で仕切られている。ダイヤフラム51にはその中央に円筒形状の排気弁52が固定され、ダイヤフラム51の圧力による変化に伴い排気弁52が一体となって移動(図14では上下となる)する。排気弁52は、第1圧力室59および第2の圧力室60の仕切りを摺動可能となるように、またそれらの圧力室の空気が漏れないように組立てられる。
【0056】
排気弁52は、その円筒形状の一方は大気に開放(排出)され、他方は主弁53の排気弁部54と接触している。排気弁部54は、主弁53の一方に形成されたほぼ球形の弁体であって、排気弁52と接触しているときは、排気弁52と排気弁部54の間は空気が遮断される。
【0057】
主弁53の他方には半球状の給気弁部55が形成され、給気弁部55の半球状の平面側にはスプリングコイル56が固定される。スプリングコイル56の他方は第4の圧力室62の仕切りに固定される。
スプリングコイル56により給気弁部55は図面の上方に付勢され、第3の圧力室61と第4の圧力室62の仕切りの中央の貫通孔に接触している。給気弁部55が第3の圧力室61と第4の圧力室62の仕切りに接触しているときは、空気の流通が遮断される。
【0058】
図15および図16を参照して、ノズルフラッパ57のノズルとフラッパ間の距離が変化したときの空気溜室63の圧力変化について説明する。
図15は、ノズルフラッパ(本発明では空気式距離センサという)57のノズル57aとフラッパ(スピンドル主軸33の円周側面)57bとの距離が狭くなった時の空気溜室63の圧力低下を説明する図である。
【0059】
すなわち、ノズル57aとフラッパ57b間の距離が狭くなると、スピンドル主軸33がノズル57a方向に傾いたことになり、すなわち、負荷が加わったことになりスピンドル主軸33を元に戻すようエアパッドの圧力を低下させる必要がある(詳細は後述する)。
圧力を低下させるために、次のような工程となる。
(A)ノズルフラッパ57のノズル57aとフラッパ57b間の距離が狭くなると、ノズル57aとフラッパ57b、すなわちスピンドル主軸33との距離が短くなることでノズル57aから空気の放出が遮られ、ノズル57a内の圧力が上昇する。
(B)ノズル57a内の圧力が上昇すると、パイロット弁50の第2の圧力室60の圧力が上昇する。パイロット弁50の第2の圧力室60と第1の圧力室59の中央にあるダイヤフラム51は2つの圧力室59および60の圧力差からダイヤフラム51が図15に示す上方に撓む。
【0060】
(C)ダイヤフラム51が上方に撓むと、ダイヤフラム51に固定して取付られた排気弁52が上方に移動する。排気弁52の下部先端の主弁53の上部に形成されているほぼ球状の排気弁部54は、主弁53の下部の給気弁部55がプリングコイル56により上方に付勢されているが、主弁53の下部の給気弁部55が圧力室61と圧力室62の空気流通孔と接触しているため、主弁53は上方には移動できない。
【0061】
(D)主弁53の給気弁部55が上方には移動できないため、主弁53の上部に形成されているほぼ球状の排気弁部54も上方には移動ができない。
ダイヤフラム51が上方へ撓むため、排気弁52は、そのまま上方に移動する。排気弁52と排気弁部54が離合し、排気弁52の下部と排気弁部54との間から空気が大気に流出する。
(E)第3の圧力室61は、空気軸受の空気溜室63と接続されており、第3の圧力室61の空気が大気に流出し、空気溜室63の空気は圧力室61を通して大気に排気され、空気溜室63の圧力が低下する。
これにより、ノズル57aとスピンドル主軸33との距離が狭くなると、空気溜室63の圧力室の圧力が低下する。
【0062】
ここで、ノズル57aとフラッパ57b間の隙間が狭くなれば、フラッパすなわちスピンドル主軸33を押し返そうとして、空気溜室63(ここではスピンドル主軸33と対応しているエアパッド27a)の圧力が上昇した方がよいと考えられるが、本発明はジャイロモーメントを考慮しているので、ノズルフラッパ57とは90度回転した方向になるエアパッドの圧力を低下させるよう制御される。
【0063】
図16は、ノズルフラッパ57のノズル57aとスピンドル主軸33との距離が広くなった時の軸受圧力上昇の動作を説明する図である。
図15の説明とほぼ同じ内容となるが、排気弁52および主弁53の移動する方向が逆になる。
【0064】
(A)ノズルフラッパ57のノズル57aとスピンドル主軸33間の距離(隙間)が広くなると、ノズル57aとスピンドル主軸33との距離が広くなるためノズル57aから空気が放出され、ノズル57a内の圧力が低下する。
(B)ノズル57a内の圧力が低下すると、パイロット弁50の第2の圧力室60の圧力が低下する。パイロット弁50の第2の圧力室60と第1の圧力室59の中央にあるダイヤフラム51は、第1の圧力室59および第2の圧力室60の圧力差から下方に撓む。
(C)ダイヤフラム51が下方に撓むと、ダイヤフラム51と一体となった排気弁52も下方に移動する。排気弁52の下部先端に主弁53の上部に形成されている球状の排気弁部54が接触しているため、主弁53も下方に移動する。
【0065】
ここで、主弁53の下部の給気弁部55は、給気弁部55の平面側下にスプリングコイル56が結合され、スプリングコイル56により主弁53は上方に付勢されているため、通常、給気弁部55の上部先端部と圧力室61と圧力室62の空気流通孔とが密閉し、空気の流通を遮断している。
(D)ダイヤフラム51の移動により主弁53が下方に移動すると、主弁53の下部に形成されている半球状の給気弁部55もスプリングコイル56のバネ力に逆らって下方に移動する。
【0066】
第3の圧力室61と第4の圧力室62との空気流通孔が、給気弁部55により密栓された状態となって空気が遮断されていたものが、給気弁部55が下方に移動するため空気流通孔が開放される。
(E)第4の圧力室62は、空気圧供給源64から空気を供給されているから、第4の圧力室62の供給弁部55が開放されるため、その圧力空気は第3の圧力室61を通して、空気溜室63に供給される。
これにより、ノズル57aとフラッパ57bとの距離が広くなると、空気溜室63の圧力が上昇する。
【0067】
以上説明した動作により、ノズルフラッパ57のノズル57aとフラッパ57b間の距離に応じてパイロット弁50により空気圧が制御され、その空気圧が空気溜室63(空気軸受すなわちエアパッド27a)に供給され、空気軸受の圧力が変化する。
【0068】
図17は、スピンドル主軸33の軸方向(通常、スピンドル主軸33は上下方向に取り付けられる。すなわち垂直方向)のスラスト空気軸受29を説明する図である。
図17の下方に示す図は、スピンドル主軸33とスラスト空気軸受29を横から見た図であり、上方に示す図は、スラスト空気軸受29を上方から見た図である。スピンドル主軸33に上方に負荷が加わった状態を説明する図である。
【0069】
垂直上向きに負荷がかかると、スピンドル主軸33に一体形成されたフランジ28も上方に移動する。スラスト空気軸受29のエアパッド29aはフランジの上方および下方に設置されているため、フランジ28が上方に移動すると、フランジ28と上方のエアパッド29aの隙間が狭くなり、エアパッド29aとフランジ28の隙間の圧力が上昇する。隙間の圧力が上昇するため、フランジ28を押し返すような力が発生する。すなわち、負荷が上方の方向に加わったとき、負荷を押し返す力が発生し、元に復帰する力となる。
【0070】
このように、スピンドル主軸33に上方への負荷が加わっても、スラスト空気軸受29の働きによりスピンドル主軸33の上方への移動が抑えられる。
また、垂直下向きに負荷がかかる場合も、フランジ28の下方にもスラスト空気軸受29のエアパッド29aが備わっており、上方に押し返す力が発生し元に戻るようになる。
【0071】
ここで、スピンドル主軸33のスラスト空気軸受29の径Daに対して、どの程度の圧力を加えればよいか検討する。
算出の条件は、スピンドル主軸33の径Dsを20mmとし、スラスト荷重735kPa(7.5kgf)を満足する圧力とする。
【0072】
図17の上方に示すハッチングを付した部分はスラスト空気軸受径Daからスピンドル主軸径Dsを除いた面積Sである。圧力ΔP×面積S≧735kPaであればよいから、
スラスト空気軸受径Da=30mmとし、スピンドル主軸径Ds=20mmであるから、面積S=3.93cmとなり、圧力ΔP≧187kPaとなる。
また、スラスト空気軸受Da=25mmとすると、面積S=1.77cmとなり、圧力ΔP≧415kPaである。同様にスラスト空気軸受Da=35mmでは、圧力ΔP≧113kPaである。
図18は、以上の計算値により作成した図であり、エアパッド径に対する垂直方向の荷重を保持する圧力を示す図である。スラスト空気軸受径(エアパッド径)を横軸に、縦軸を必要な圧力値とする図である。
【0073】
図18からスラスト空気軸受径30mmで圧力200kPa程度であればスラスト荷重の条件を満足する。
通常、産業機械において使用される空気圧は数百kPaであり、図18から通常の使用範囲かそれよりも低い圧力で空気軸受として機能する。ここで、スラスト空気軸受29の供給圧は、図18より0.5MPaを維持するのが好ましいが、空気軸受スピンドル1の製造条件を考慮し、それよりも高い1.0MPaであってもよい。
【0074】
次に、図19は、スピンドル主軸33の直角方向の荷重を支えるラジアル空気軸受27の動作を説明する図である。スピンドル主軸33は通常上下方向(垂直方向)に取り付けられるため、スピンドル主軸33と直角方向は水平方向となる。
図19の下方に示す図はスピンドルを水平方向(横方向)から見た図であり、スピンドル主軸33の下方に取り付けられたラジアル空気軸受27のエアパッド27aを示し、負荷が水平方向から加わることを示す。
【0075】
図19の上方に示す図は、ラジアル空気軸受27を上方から見た図であり、図では2つのエアパッド27aを示す。なお、図19に示すラジアル空気軸受27は、パイロット弁50等を使用せずジャイロ効果を考慮しない場合の一般的なラジアル空気軸受の動作を説明するものである。
水平方向に負荷がかかり、負荷と相対するエアパッド27aでは空気層の圧力が上昇し、スピンドル主軸33の対向するエアパッド27aでは空気層の圧力が低下する。エアパッド間の圧力差でスピンドル主軸33を押し返し、負荷が加わっても元に戻る力が働き、負荷を相殺する。
【0076】
ここで、スピンドル径Dsから必要な圧力値を算出する。図19より、スピンドル主軸33の工具先端までの長さL、工具の長さL2、エアパッド高さh、エアパッド幅W、スピンドル主軸径Dsとすると、エアパッド27aの中心迄の長さはL-(L2+h/2)となる。エアパッド左軸受圧P1、エアパッド右軸受圧P2、工具先端に図右から負荷Fが加わるとすると、
(P1-P2)×h×W×(L-(L2+h/2))≧F×L
が成立すれば、スピンドル主軸33を保持することができる。すなわち、スピンドル主軸33先端の工具(距離L)に右方向から負荷Fが加わったとき、ラジアル空気軸受27のエアパッド中心(距離(L-(L2+h/2)))の圧力差がつりあえばよいことになる。
【0077】
エアパッド高さh=40mmとして算出する。ラジアル荷重F=441kPa(4.5kgf)、L=150mm、L2=25mmとし、スピンドル主軸径Ds=20mm、エアパッド幅WはDs/√2と近似すると、(P1-P2)≧111kPaとなる。
また、スピンドル主軸径Ds=30mmでは、(P1-P2)≧74kPaである。同様に、Ds=40mmでは、(P1-P2)≧56kPaである。
図20は、以上の結果を図示した図である。
また、エアパッド高さhが、例えば20mmとすれば、エアパッドの面積が半分になるので図20に示す圧力差は倍の値となる。
【0078】
図20は、スピンドル主軸径に対するラジアル方向の荷重を保持する圧力差を示す図である。エアパッドの高さを、例えば、ラジアルパッドの高さを40mmとし、スピンドル径を横軸にとって、エアパッド1個あたりの必要な圧力値(P1-P2)を縦軸に示す。スピンドル径が大きくなれば、エアパッドとスピンドル主軸33の対向する面積は大きくなるため、エアパッド1個あたりの必要な圧力は低い圧力値となる。
通常、産業機械において使用される空気圧は数百kPaであり、図20から通常の使用範囲がそれよりも低い圧力で空気軸受として機能する。
ここで、ラジアル空気軸受27の供給圧は、スラスト空気軸受29と同じでよいが、空気圧供給源64の供給圧は、複数の異なる供給圧があってもよい。例えば、ラジアル空気軸受27とスラスト空気軸受29とは異なっていてもよい
【0079】
回転している物体に力を加えると、スピンドル主軸33の回転方向によって力の向きに対して右または左に90度ずれた方向に移動する。これはジャイロ効果といわれるものである。本実施形態の空気軸受スピンドルでは回転数は最高毎分15万回転を設定するため、このジャイロ効果を考慮する必要がある。
【0080】
ジャイロ効果を補償する方法の概要を図21に示す。
図21は、本発明に使用される空気軸受スピンドル27のジャイロ効果(ジャイロモーメント)を補償する動作を説明する図である。
【0081】
図21では、負荷Fが図下部の右側より加わり、スピンドル主軸33が左側に傾く場合である。図21の下部に示すように、右側から負荷Fが加わる場合、スピンドル主軸33の回転軸をZ軸とし、負荷Fの方向をY軸とすると、ジャイロモーメントは右手系座標軸によりX軸方向に発生する。図21では、手前側にジャイロモーメントが発生する。
【0082】
図21には、ノズル57a、パイロット弁50およびエアパッド27aの位置関係を示すために2つのエアパッド27aを示しているが、上部の図にさらに2つのノズル57a、パイロット弁50およびエアパッド27aを加えた状態で説明する。
図21の手前側にジャイロモーメントが発生すると、負荷Fの方向からノズル57aの図上部の右側(図示はしていない)のノズル57aとスピンドル主軸33との隙間が広くなり、それに対応するパイロット弁50の圧力は上昇する(図16について上述した)。上昇する制御された空気は、図上部の円形の下側にあるエアパッド27a(図示はしていない)に供給される。
【0083】
負荷Fが加わり手前側にジャイロモーメントが発生すると、その力をエアパッド27aの隙間の圧力が上昇しスピンドル主軸33を押し返すことになり、負荷Fによるスピンドル主軸33の傾きが抑制され、スピンドル主軸33は正常な状態を維持することになる。
一方、図上部の左側のノズル57a(図示はしていない)の隙間が狭くなり、ノズル57aに対応したパイロット弁50の圧力は低下する。その制御された空気は、図上部の円形の上側になるエアパッド27a(図示はしていない)に供給され、スピンドル主軸33を引き戻すように働く。
なお、スピンドル主軸33の回転方法が逆であって、ジャイロモーメントが図下部の向こう側に作用する場合でも、パイロット弁50とエアパッド27aの位置関係が変わるだけで、同じ説明となるため省略する。
【0084】
このように、負荷Fにより発生したスピンドル主軸33の偏り量Xはノズルフラッパ(空気式距離センサ)57により検知する。ノズル57aはフラッパ(本発明ではスピンドル主軸の円周側面)57bとの距離に応じてノズル内部の圧力が変化し、生じた圧力変化をパイロット弁50で制御することによりエアパッド27aの圧力を変化させる。ノズルフラッパ57とエアパッド27aを90度ずらして配置することによりジャイロ効果を補償する。
【0085】
図22は、他のパイロット弁によるジャイロ効果を補償する動作を説明する図である。
図22は、図21とほぼ同様な図であるが、パイロット弁80は、パイロット弁50と異なりノズルフラッパ57の出力圧が上昇する(間隔が狭くなる)と、パイロット弁80の出力圧が上昇するような構造になっている。すなわち、上記で説明したパイロット弁50とは逆の特性になっている。そのため、パイロット弁80によりの圧力が制御されるエアパッド27aの位置が図21とは異なる。図22についての動作の説明は、図21とほぼ同じなので詳細は省略する。
【0086】
このようなパイロット弁80は、図14に示すノズルプラッパ57と圧力室60との接続を、例えばノズルフラッパ57と圧力室59との接続とすればよい。
ノズル57aとスピンドル主軸33との隙間とパイロット弁50の出力の空気圧の上昇または低下の関係、ノズル57aとエアパッド27aの位置関係などの組合せは種々選択することが可能である。
【0087】
図23は、ジャイロ効果を補償する空気軸受の動作フローである。負荷Fがスピンドル主軸33に加わり、スピンドル主軸33とノズル57aとの偏り量Xをノズルフラッパが検出して圧力制御手段であるパイロット弁50またはパイロット弁80により空気圧が制御され、その圧力が該当するエアパッド27aに出力され、圧力が変化するため軸受の支持力となって負荷を押し返し、負荷を相殺する。すなわち、支持力がフィードバックされ偏り量が元に戻る。
【0088】
ノズルフラッパ57とパイロット弁50を使用することで電気的な制御を一切用いることなく負荷が発生してスピンドル主軸33が傾くような場合もスピンドル主軸33を支えることができる。
これにより、磁気軸受の制御には電流による磁気の制御が必要のため大掛かりな装置が必要となるが、ラジアルおよびスラスト空気軸受では電気を使用せず、空気圧のみで制御が可能となる。
【符号の説明】
【0089】
1・・・スピンドル、10・・・パイロット弁制御圧力空気供給口、11・・・ノズルフラッパ空気供給口、12・・・ラジアル空気軸受空気供給口、13・・・スラスト空気軸受空気供給口、14・・・空気排出口、15、15(1)~15(9)・・・ハウジング、20・・・配線取出し口、23・・・連結孔、24・・・止め栓、25・・・連結孔、26・・・空気供給孔(パイロット弁)、27・・・ラジアル空気軸受、27a・・・エアパッド、28・・・フランジ、29・・・スラスト空気軸受、29a・・・エアパッド、30・・・ビルトインモータ、30a・・・ステータ、30b・・・ロータ、31・・・工具取付口、32・・・空気ノズル、33・・・スピンドル主軸、35・・・空気供給孔(ラジアル空気軸受)、36・・・空気供給孔(スラスト空気軸受)、37・・・空気供給孔(ノズルフラッパ)、50、80・・・パイロット弁、51・・・ダイヤフラム、52・・・排気弁、53・・・主弁、54・・・排気弁部、55・・・給気弁部、56・・・スプリングコイル、57・・・ノズルフラッパ、57a・・・ノズル、57b・・・フラッパ、59~62・・・第1~第4の圧力室、63・・・空気溜室(空気軸受)、64・・・空気圧供給源、100・・・スピンドル、101・・・転がり軸受(玉軸受)、102・・・圧電セラミックス、103・・・スピンドル主軸、104・・・焼き嵌めチャック、105・・・切削工具、106・・・超音波発振器、107・・・モータ。


図1
図2
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