(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183412
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】玩具の可動構造
(51)【国際特許分類】
A63H 3/36 20060101AFI20231220BHJP
A63H 3/04 20060101ALI20231220BHJP
A63H 3/46 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A63H3/36 G
A63H3/04 A
A63H3/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140207
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2022096686の分割
【原出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 聖
(72)【発明者】
【氏名】山中 晋介
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA01
2C150DC03
2C150EH07
2C150EH08
2C150EH14
2C150EH16
(57)【要約】
【課題】玩具の興趣性を高めることができる玩具の可動構造を提供する。
【解決手段】玩具の本体部分を構成する玩具本体2対して向きを変更可能に取り付けられる第1部材40を含む玩具の可動構造であって、第1部材40は、玩具本体2に連結された骨格部40aと、骨格部40aを囲み第1部材40の外殻を構成する外殻部43と、を備え、外殻部43は、骨格部40aに対し当該骨格部40aの軸線CL1の回りに回転可能に設けられている、玩具の可動構造。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具の本体部分を構成する玩具本体に対して向きを変更可能に取り付けられる第1部材を含む玩具の可動構造であって、
前記第1部材は、
前記玩具本体に連結された骨格部と、
前記骨格部を囲み前記第1部材の外殻を構成する外殻部と、
を備え、
前記外殻部は、前記骨格部に対し当該骨格部の軸線の回りに回転可能に設けられている、
玩具の可動構造。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具の可動構造であって、
前記外殻部の少なくとも一端側の周縁部は、前記軸線の方向の位置が変化するように構成されている、
玩具の可動構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の玩具の可動構造であって、
前記骨格部は、前記軸線の方向において、長さが伸縮可能に構成されている、
玩具の可動構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の玩具の可動構造であって、
前記骨格部は、前記軸線の方向に沿って長孔に構成されたスライド保持孔を有する第1軸と、前記スライド保持孔内を前記軸線の方向に移動可能な第2軸とを有する、
玩具の可動構造。
【請求項5】
請求項4に記載の玩具の可動構造であって、
前記第2軸には、当該第2軸の径方向に外面に向って付勢された押圧部材が内装されており、
前記押圧部材が前記スライド保持孔に当接するよう構成されている、
玩具の可動構造。
【請求項6】
請求項4または5に記載の玩具の可動構造であって、
前記押圧部材と前記スライド保持孔との接触面には、凹凸嵌合による係止構造が設けられている、
玩具の可動構造。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の玩具の可動構造であって、
前記外殻部は筒形に構成され、その内周面には、前記軸線の方向に並んだ環状の一対のガイド壁が設けられ、
前記骨格部は、その径方向に突出して前記一対のガイド壁の間に嵌入し、前記外殻部の回動をガイドするガイド部を有する、
玩具の可動構造。
【請求項8】
請求項7に記載の玩具の可動構造であって、
前記外殻部の前記内周面には、前記一対のガイド壁と前記軸線の方向にならんだ位置に前記一対のガイド壁と平行な面を備える縁部ガイド壁が設けられ、
前記第2軸には、前記縁部ガイド壁に対して前記スライド保持孔側に位置する鍔部が設けられ、
前記鍔部が前記縁部ガイド壁にて位置規制されて、前記第1軸と前記第2軸との連結状態が維持される、
玩具の可動構造。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の玩具の可動構造であって、
前記骨格部は、前記玩具本体との連結部の付根部の外面が偏平部を有している、
玩具の可動構造。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載の玩具の可動構造であって、
前記玩具本体は、ロボットの胴体部を模し、
前記第1部材は、前記ロボットの大腿部を模している、
玩具の可動構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具の可動構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種玩具においては、玩具の構成する関節部分の連結構造を備えている。例えば、特許文献1においては、ロボットを模した玩具本体に対して、上腕部や脚部が動くように取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のロボットの脚部などの可動構造においては、連結部分を大きく曲げた際に、隣り合う部材間の干渉が生じてしまい、連結部分の曲げ角度が制限される問題が生じる。この結果、例えばロボット玩具のとれる姿勢(ポージング)が制限されてしまうために玩具の興趣性を高めることができない。
【0005】
本発明は、玩具の興趣性を高めることができる玩具の可動構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の玩具の可動構造は、
玩具の本体部分を構成する玩具本体に対して向きを変更可能に取り付けられる第1部材を含む玩具の可動構造であって、
前記第1部材は、
前記玩具本体に連結された骨格部と、
前記骨格部を囲み前記第1部材の外殻を構成する外殻部と、
を備え、
前記外殻部は、前記骨格部に対し当該骨格部の軸線の回りに回転可能に設けられている、ものである。
【0007】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記外殻部の少なくとも一端側の周縁部は、前記軸線の方向の位置が変化するように構成されている、ものである。
【0008】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記骨格部は、前記軸線の方向において、長さが伸縮可能に構成されている、ものである。
【0009】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記骨格部は、前記軸線の方向に沿って長孔に構成されたスライド保持孔を有する第1軸(3Dデータにおける黒の部材)と、前記スライド保持孔内を前記軸線の方向に移動可能な第2軸とを有する、ものである。
【0010】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記第2軸には、当該第2軸の径方向に外面に向って付勢された押圧部材が内装されており、
前記押圧部材が前記スライド保持孔に当接するよう構成されている、ものである。
【0011】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記押圧部材と前記スライド保持孔との接触面には、凹凸嵌合による係止構造が設けられている、ものである。
【0012】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記外殻部は筒形に構成され、その内周面には、前記軸線の方向に並んだ環状の一対のガイド壁が設けられ、
前記骨格部は、その径方向に突出して前記一対のガイド壁の間に嵌入し、前記外殻部の回動をガイドするガイド部を有する、ものである。
【0013】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記外殻部の前記内周面には、前記一対のガイド壁と前記軸線の方向にならんだ位置に前記一対のガイド壁と平行な面を備える縁部ガイド壁が設けられ、
前記第2軸には、前記縁部ガイド壁に対して前記スライド保持孔側に位置する鍔部が設けられ、
前記鍔部が前記縁部ガイド壁にて位置規制されて、前記第1軸と前記第2軸との連結状態が維持される、ものである。
【0014】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記骨格部は、前記玩具本体との連結部の付根部の外面が偏平部を有している、ものである。
【0015】
本発明の一態様の玩具の可動構造であって、
前記玩具本体は、ロボットの胴体部を模し、
前記第1部材は、前記ロボットの大腿部を模している、ものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、玩具の興趣性を高めることができる玩具の可動構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1に示す玩具の脚部を前面から見た正面図である。
【
図3】
図2に示す大腿部に相当する部分の外殻部を外した分解斜視図である。
【
図4】
図1に示すX-X線に沿った部分の断面図である。
【
図5】
図2に示す大腿部に相当する部分の骨格部を2分した状態を示す分解斜視図である。
【
図6】
図2に示す大腿部に相当する部分の骨格部を構成要素別に分解した分解斜視図である。
【
図7】
図2に示す大腿部のY-Y線に沿った部分の断面図であって、骨格部が短い状態を示す断面図である。
【
図8】
図2に示す大腿部のY-Y線に沿った部分の断面図であって、骨格部が長い状態を示す断面図である。
【
図9】外殻部を回転せず且つ骨格部が短い状態において大腿部を前方に上げた状態を示す側面図である。
【
図10】外殻部を回転させた状態を示す大腿部の拡大正面図である。
【
図11】外殻部を回転させた後に大腿部を前方に上げた状態を示す側面図である。
【
図12】片側の大腿部の骨格部を伸ばした状態を示す正面図である。
【
図13】大腿部の骨格部を伸ばした状態において大腿部を前方に上げた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一態様について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上下、前後、左右の記載については、
図1に示す玩具の向きを基準にして記載する。
【0019】
図1は、本発明の一態様の玩具の斜視図である。
図1において、玩具1は、左右の腕部5、左右の脚部8、玩具本体の胴体部2、及び頭部6を有する、人型のロボットを模した構成である。例えば、頭部6は首部分を含めて前後左右に動く。また、腕部5についても、肩部分が自在に回動し、また、上腕部10と前腕部20とが肘部分によって回動並びに屈曲可能に連結され、更に、手部30も回転可能に連結されている。また、脚部8は、大腿部40、下腿部50が膝部分の関節構造にて屈曲並びに回転可能に構成されている。また、足部60についても足首分において屈曲と回転が可能に構成されている。
【0020】
以下、胴体部2に対して向きを変更可能に取り付けられた第1部材として構成された大腿部40の構造について説明する。なお、左右の脚部8は、胴体部2に左右に取り付けられて、左右対称で同じ構成であるので、ここでは
図1において紙面に向って右側(ロボットの左の脚部8)の大腿部40について説明する。
【0021】
図2は、
図1に示す玩具1の脚部8を前面から見た正面図である。
図2に示すように、脚部8は、大腿部40の上端部の股関節に相当する部分には、軸線CL1に沿って延出された骨格部40a(
図3参照)の上端部の略球形状の上部連結部42jが胴体部2に連結されている。上部連結部42jは、例えば、胴体部2の中央側から左右側方側に延出された左右軸部材3の先端を前後方向で貫通する軸ピン81(
図6参照)を介して回転可能支持されている。したがって、大腿部40は、
図2において、紙面に垂直な方向に延びる前後方向のか軸線CL2を中心に回動可能に支持されている。また、上部連結部42jを支えている左右軸部材3は、胴体部2に対して、左右の軸線CL3を中心に回動可能に取付けられている。したがって、大腿部40は、左右の軸線CL3を中心に前後方向に回転可能に支えられている。
【0022】
図3は、
図2に示す大腿部40の外殻部43を外した分解斜視図である。
図4は、
図1に示すX-X線に沿った部分の断面図である。
【0023】
大腿部40は、
図3及び
図4に示すように、左右軸部材3を介して胴体部2に連結された骨格部40aと、骨格部40aを囲むように例えば2部材に按分されて外殻を構成する外殻部43(43a,43b)と、を備えている。骨格部40aは、軸線CL1に沿って延出されており、上部側が前掲の如く左右軸部材3に連結され、下部側が下腿部50の上端部51bに連結されている。下腿部50と大腿部40の連結部分は、下腿部50の上端部51bと、大腿部40の骨格部40aの膝側連結部41bと、が膝部支軸48によって貫通され屈曲可能な膝関節を構成している。
【0024】
骨格部40aは、膝関節部側の第1軸41(図中下側の部分)、及び股関節側の第2軸42(図中上側の部分)が軸線CL1の方向に沿って接続されている。また、外殻部43は、骨格部40aに対し当該骨格部40aの軸線CL1の回りに回転可能に設けられている。この外殻部43の回転可能な構造は、筒形に構成された外殻部43の内周面43isと骨格部40aの外面との摺動構造による。例えば、外殻部43の内周面43isに、軸線CL1の方向に並んだ環状の一対のガイド壁43cが設けられており、この一対のガイド壁43cの間に、骨格部40aの外面に径方向に突出したガイド部41dが嵌り込む構成となっている。したがって、外殻部43は、骨格部40aに対して軸線CL1周りの方向に何ら制限されることなく回転することができる。
【0025】
また、外殻部43は、その上端側(胴体部2側)における周縁部43eが軸線CL1の方向において位置が変化する構成となっている。すなわち、周縁部43eは、胴体部2に対して接近した部分と離れた部分を有するように構成されている。
【0026】
図5は、
図2に示す大腿部に相当する部分の骨格部を2分した状態を示す分解斜視図である。
図5に示すように、骨格部40aの第1軸41と、第2軸42とは、軸線CL1の方向において分離することができ、連結した状態においては、軸線CL1の方向に沿って長さが伸縮可能に構成されている。この伸縮構造は、例えば、第1軸41には、軸線CL1の方向に沿って長く構成され横断面形状が略矩形のスライド保持孔41hが設けられており、第2軸42には、スライド保持孔41hに嵌合・挿入可能な横断面形状が略矩形状の嵌合挿入部42aが設けられている。したがって、第1軸41と第2軸42とが組み立てられた状態においては、スライド保持孔41h内を嵌合挿入部42aがスライド移動することで骨格部40aの長さが変わる。
【0027】
また、第2軸42の嵌合挿入部42aの基端側(図中上側)には、円盤状の鍔部42fが設けられている。一方、外殻部43の内周面43isには、一対のガイド壁43cと軸線CL1の方向に並んだ位置(図中において上側の位置)に当該ガイド壁43cと平行な面を備える縁部ガイド壁43fが設けられている。そして、大腿部40が組み立てられた状態(
図4に示す状態)においては、鍔部42fは、縁部ガイド壁43fとガイド壁43c(一対のガイド壁43cのうち上側のもの)との間に位置している。これにより、鍔部42fの軸線CL1方向の移動が規制され、且つ第1軸41と第2軸42とが抜けないように連結状態が維持される。
【0028】
第2軸42においては、上部連結部42jと鍔部42fと間の付根部42bは、軸線CL1方向に延びる半円柱形状(
図5参照)に構成されている。すなわち、付根部42bの外周面は、その一方側が円周面ではなく平坦な面の偏平部42kに構成されている。
【0029】
図6は、骨格部40aを構成要素別に細かく分解した分解斜視図である。
第2軸42の嵌合挿入部42aの径方向の外面(
図5参照)には、スライド保持孔41hの内面に対して所定の付勢力を有して接触する押圧部材42mが設けられている。
図6に示すように、第2軸42のスライド方向に直交する方向に向って開口した横孔42hに、第2軸42の径方向に外面に向って弾性部材42nにて付勢された押圧部材42mが内装されている。したがって、嵌合挿入部42aがスライド保持孔41hに挿入された状態においては、押圧部材42mは、スライド保持孔41hの内面に当接することができる。
【0030】
なお、第1軸41は、スライド保持孔41hを構成する保持孔構成部41aと、下腿部50側の上端部51bと連結されて膝関節部分を構成する膝側連結部41bと、が連結された構成となっている。また、保持孔構成部41aは、2つに按分された構造となっており、膝側連結部41bの上端側に突設された連結突起41cを咥え込むようにして、当該連結突起41cに対して回転可能に連結される。また、保持孔構成部41aにおいては、2つに按分部分の締結は、ビス82などによるが、ビス82を設ける部分が前掲の突状のガイド部41dとして構成されている。
【0031】
図7は、
図2のY-Y線に沿った部分の断面図であって、骨格部40aが短い状態を示す断面図であり、
図8は、同じくY-Y線に沿った部分の断面図で骨格部40aが長い状態を示す断面図である。
【0032】
骨格部40aが最も短くなっている状態においては、
図7に示すように、嵌合挿入部42aがスライド保持孔41h内に最も深く挿入されている。この場合、押圧部材42mの先端面に突設された係止突起42pが第1係止凹部41p内に嵌り込んでいる。これにより、骨格部40aの短い状態が維持される。また、この骨格部40aの短い状態においては、外殻部43の周縁部43eは、上部連結部42jに接近した位置となっている。
【0033】
一方、骨格部40aが最も長くなっている状態においては、
図8に示すように、嵌合挿入部42aがスライド保持孔41h内に最も浅く挿入されている。この場合、押圧部材42mの係止突起42pは、スライド保持孔41hの開口側に設けられた第2係止凹部41q内に嵌り込んでいる。これにより、骨格部40aの長い状態が維持される。
【0034】
図9は、外殻部43を初期状態(基準状態)で且つ骨格部40aが短い状態において大腿部40を前方に上げた状態を示す側面図である。
大腿部40を前方に上げるように曲げ操作するとき、
図9に示すように、外殻部43の周縁部43eが上部連結部42jに接近した状態のままで曲げ操作(軸線CL3を中心にした回転)をした場合には、曲げ初めて比較的早い段階で、周縁部43eと胴体部2の下端縁部2eとが接触状態となり、曲げ角度はさほど大きくならない。
【0035】
図10は、外殻部43を初期状態(基準状態)から回転させた状態を示す大腿部40の拡大正面図である。
図11は、外殻部43を回転させた後に大腿部40を前方に上げた状態を示す側面図である。
脚部8の曲げ操作を行う前に、
図10に示すように、例えば、外殻部43を略90度程度回転する操作を行う。このように外殻部43を回転させると、大腿部40を曲げる側(内側)の周縁部43eが下端縁部2eに対して距離が離れるようになる。すなわち、軸線CL1方向の位置が変化するように構成された周縁部43eは、下端縁部2eに対して膝側に後退した部位を、曲げる内側とした状態とされている。この状態で、
図11に示すように、周縁部43eが胴体部2の下端縁部2eに接触するまで曲げる(軸線CL3を中心にした回転)。この場合においては、外殻部43を回転させる前の曲げ動作のときの曲がり角度(
図9に示す状態)に比べて曲げ角度が大きくなる。
なお、外殻部43の回転角度について、略90度程度と記載したが、これに何ら制限されるものではなく、最も大きく曲がる位置(大腿部40を最も大きく曲げることができる位置)は、隣接する下端縁部2eの形状によって左右される。
【0036】
図12は、骨格部40aを伸ばした状態を示す正面図である。
図10に示すように、骨格部40aを長くした場合には、周縁部43eと下端縁部2eとの距離は大きくなる。また、外殻部43を図示の如く右方向へ90度回転させて、曲げ方向内側(前方側)における周縁部43eと下端縁部2eの距離を更に大きくする。
【0037】
図13は、骨格部40aを伸ばした状態において大腿部40を前方に上げた状態を示す側面図である。
前掲のように骨格部40aを引き延ばす操作と共に外殻部43を回転する操作を行った状態で曲げ操作をした場合には、
図11に示すように、大腿部40の曲げ角度は非常に大きく曲がる。また、この場合、骨格部40aの付根部42bの偏平部42kが大きく露出する。これにより、付根部42bが下端縁部2eに接するところまで曲げ(回転)を行うことができる。また、
図11に示したように、大腿部40を前方に大きく曲げた状態において、更に、上部連結部42jの軸線CL2を中心にして、大腿部40を胴体部2の横方向(右方向)に広げるように回転することができる。これにより、曲がり角度はさらに大きくなる。
【0038】
以上述べたように、本発明の一態様においては、外殻部43が骨格部40aに対してその外周方向に回転できるように構成されたことで、外殻部43に隣接する部材との干渉位置を変えることが可能となり、例えば、胴体部2と脚部8の連結向き(曲げ角度等)の許容範囲を広げることが可能になる。
【0039】
本態様においては、外殻部43の周縁部43eが軸線CL1方向に変化するように構成されていることで、外殻部43に隣接する部材との干渉する位置を変えることができる。
【0040】
本態様においては、骨格部40aが外殻部43の軸線CL1方向の長さに対して、その長さが伸縮できることで、外殻部43と胴体部2との距離を変えることができ、外殻部の周縁部43eと胴体部2との干渉を回避することが可能となる。
【0041】
本態様の骨格部40aにおいて、第2軸42が第1軸41のスライド保持孔41hによりガイドされた状態でスライド移動できることから、骨格部40aの長さを変更することができる。
【0042】
本態様においては、第2軸42は、押圧部材42mによってスライド保持孔41hの内面に当接した状態でスライド移動することができるので、第2軸42とスライド保持孔41hとのがた付きを無くすことができる。これにより、第1軸41と第2軸42とがガタ付くことなくスムースに伸縮することができる。
【0043】
本態様においては、外殻部43の内周面43isに設けられた円周状の一対のガイド壁43cが骨格部40aの突状のガイド部41dにて回転可能にガイドされるので、外殻部43の回転を円滑に行うことができる。また、一対のガイド壁43c間にガイド部41dが嵌入した構成であるので、外殻部43と骨格部40aとの軸方向の位置を規制(位置決め)することができる。
【0044】
本態様においては、第1軸41と第2軸42との連結状態は、外殻部43に設けられた縁部ガイド壁43fと第2軸42の鍔部42fとの係合により両軸41,42間が外れない位置に位置規制できるので、両軸41,42同士の連結を維持するための特別な構造を当該両軸41,42間において必要とせず、連結構造を簡素化できる。
【0045】
本態様においては、骨格部40aは、胴体部2との連結部分の付根部42bの外面が偏平部42kを有していることで、この偏平部42kによって隣接する部材との干渉を抑えつことができ、連結部分の可動範囲を広くできる。
【0046】
本態様においては、スライド保持孔41hと嵌合挿入部42aとの嵌合において、押圧部材42mの先端面に設けられた係止突起42pがスライド保持孔41hの内面に設けられた第1係止凹部41p、及びに第2係止凹部41qに嵌合係止されるので、例えば、骨格部40aの最短連結状態、最長連結状を維持することができる。
【0047】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、本態様においては、大腿部40の可動構造について説明したが、本発明に係る玩具の可動構造はこれに限るものではなく、例えば上腕部においても同様な可動構造を採用しても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 玩具
2 胴体部(玩具本体)
40 大腿部(第1部材)
40a 骨格部
41 第1軸
41d ガイド部
41h スライド保持孔
42 第2軸
42b 付根部
42f 鍔部
42j 上部連結部(連結部)
42k 偏平部
42m 押圧部材
43 外殻部
43c 一対のガイド壁
43e 周縁部
43f 縁部ガイド壁
43is 内周面
CL1 骨格部の軸線