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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183413
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】玩具の射出機構
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/18 20060101AFI20231220BHJP
   A63H 3/36 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A63H33/18 A
A63H3/36 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140212
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2022096684の分割
【原出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 聖
(72)【発明者】
【氏名】山中 晋介
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150CA01
2C150DC12
2C150DH01
2C150EB37
2C150EH07
2C150EH08
2C150EH09
(57)【要約】
【課題】興趣性の高い玩具の射出機構を提供する。
【解決手段】玩具本体2に取り付けられる発射台部10と、発射台部10に取り付けられて発射台部10から射出可能に設けられる射出部材28と、を備え、発射台部10は、射出部材28を射出方向に押圧する押圧部材13を含み、射出部材28は、押圧部材13の力を受ける被押圧部24と、発射台部10に取り付けられているときに、発射台部10との取付角度を変更可能な角度可変部25と、を含む、玩具の射出機構。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具本体に取り付けられる発射台部と、
前記発射台部に取り付けられて前記発射台部から射出可能に設けられる射出部材と、を備え、
前記発射台部は、前記射出部材を射出方向に押圧する押圧部材を含み、
前記射出部材は、前記押圧部材の力を受ける被押圧部と、前記発射台部に取り付けられているときに、前記発射台部との取付角度を変更可能な角度可変部と、を含む、
玩具の射出機構。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具の射出機構であって、
前記発射台部は、前記玩具本体との取付部が回動可能に構成されている、
玩具の射出機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の玩具の射出機構であって、
前記発射台部は、筒状の外殻部を備え、
前記押圧部材は、前記外殻部の内面に沿って伸縮する弾性部材と、前記弾性部材の一端側に係合し前記被押圧部を押圧可能に前記内面に沿って移動可能な押圧片と、を備える、
玩具の射出機構。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の玩具の射出機構であって、
前記射出部材は、筒状の射出外殻部を含み、前記被押圧部が前記射出外殻部の一端側から突出している、
玩具の射出機構。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の玩具の射出機構であって、
前記被押圧部は、前記発射台部とは反対側の端部に前記角度可変部が設けられている、
玩具の射出機構。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の玩具の射出機構であって、
前記被押圧部は、前記射出外殻部から突出した突出先端側が凹凸を有している、
玩具の射出機構。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の玩具の射出機構であって、
前記発射台部には、前記射出部材を係止すると共に係止解除を可能とするスイッチ部材が設けられ、
前記スイッチ部材は、前記発射台部の取付基部側から前記射出部材の射出方向に延びる形状で、長手方向の一端側に前記射出部材を係止する係止片部を備え、他端側に回動軸及び操作片部を備える、
玩具の射出機構。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の玩具の射出機構であって、
前記スイッチ部材は、前記発射台部の外殻を構成している、
玩具の射出機構。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の玩具の射出機構であって、
前記発射台部は、筒状の外殻部を備え、
前記押圧部材は、前記外殻部の内面に沿って伸縮する弾性部材を含み、
前記スイッチ部材は、前記弾性部材によって前記係止片部が前記射出部材の係止をする方向に付勢されている、
玩具の射出機構。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の玩具の射出機構であって、
前記玩具本体は、ロボットの胴体部を模し、
前記発射台部は、前記ロボットの上腕部を模し、
前記射出部材は、前記ロボットの前腕部及び手部を模し且つ前記角度可変部が肘部を模している、
玩具の射出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具の射出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種玩具においては、玩具の構成する一部をばね部材などにより飛翔・発射する射出機構が設けられているものがある。例えば、特許文献1においては、ロボットを模した玩具本体に上腕部を取り付け、この上腕部の先端側に前腕部分を着脱可能した構造であり、この前腕部分をコイルバネによって発射するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭51-43290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、ロボットの前腕部分が発射されるという玩具として面白い構成である。しかし、近年においては、発射されるだけではなく、関節部分を有して曲げることができるなど他の機能の要望があり、玩具の発射機能と共にロボット等における関節機能をも有する興趣性の高い玩具が求められている。
【0005】
本発明は、興趣性の高い玩具の射出機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の玩具の射出機構は、
玩具本体に取り付けられる発射台部と、
前記発射台部に取り付けられて前記発射台部から射出可能に設けられる射出部材と、を備え、
前記発射台部は、前記射出部材を射出方向に押圧する押圧部材を含み、
前記射出部材は、前記押圧部材の力を受ける被押圧部と、前記発射台部に取り付けられているときに、前記発射台部との取付角度を変更可能な角度可変部と、を含む、ものである。
【0007】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記発射台部は、前記玩具本体との取付部が回動可能に構成されている、ものである。
【0008】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記発射台部は、筒状の外殻部を備え、
前記押圧部材は、前記外殻部の内面に沿って伸縮する弾性部材と、前記弾性部材の一端側に係合し前記被押圧部を押圧可能に前記内面に沿って移動可能な押圧片と、を備える、ものである。
【0009】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記射出部材は、筒状の射出外殻部を含み、前記被押圧部が前記射出外殻部の一端側から突出している、ものである。
【0010】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記被押圧部は、前記発射台部とは反対側の端部に前記角度可変部が設けられている、ものである。
【0011】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記被押圧部は、前記射出外殻部から突出した突出先端側が凹凸を有している、ものである。
【0012】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記発射台部には、前記射出部材を係止すると共に係止解除を可能とするスイッチ部材が設けられ、
前記スイッチ部材は、前記発射台部の取付基部側から前記射出部材の射出方向に延びる形状で、長手方向の一端側に前記射出部材を係止する係止片部を備え、他端側に回動軸及び操作片部を備える、ものである。
【0013】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記スイッチ部材は、前記発射台部の外殻を構成している、ものである。
【0014】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記発射台部は、筒状の外殻部を備え、
前記押圧部材は、前記外殻部の内面に沿って伸縮する弾性部材を含み、
前記スイッチ部材は、前記弾性部材によって前記係止片部が前記射出部材の係止をする方向に付勢されている、ものである。
【0015】
本発明の一態様の玩具の射出機構であって、
前記玩具本体は、ロボットの胴体部を模し、
前記発射台部は、前記ロボットの上腕部を模し、
前記射出部材は、前記ロボットの前腕部及び手部を模し且つ前記角度可変部が肘部を模している、ものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、興趣性の高い玩具の射出機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一態様の玩具の斜視図である。
図2図1に示す玩具の腕部を拡大した斜視図である。
図3図2に示す腕部が曲がった状態を示す斜視図である。
図4図2に示す腕部の分解斜視図である。
図5図1に示す玩具の腕部を正面方向から見たX-X線に沿った部分における分離状態の断面図である。
図6】上腕部と射出部材との連結状態を示す断面図である。
図7】射出部材の射出操作を説明するための腕部の断面図であって、図1に示す玩具の腕部を側面方向から見たY-Y線に沿った部分における断面図である。
図8】射出部材の射出操作を説明するための腕部の斜視図である。
図9】被押圧部の変形例を示す要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一態様について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上下、前後、左右の記載については、図1に示す玩具の向きを基準にして記載する。
【0019】
図1は、本発明の一態様の玩具の斜視図である。
図1において、玩具1は、左右の腕部5、左右の脚部8、玩具本体の胴体部2、及び頭部3を有する、人型のロボットを模した構成である。例えば、頭部3は首部分を含めて前後左右に動く。また、腕部5についても、肩部分が自在に回動し、また、上腕部10と前腕部20とが肘部分によって回動並びに屈曲可能に連結され、更に、手部30も回転可能に連結されている。また、脚部8は、大腿部40、下腿部50が膝部分の関節構造にて屈曲並びに回転可能に構成されている。また、足部60についても足首分において屈曲と回転が可能に構成されている。
【0020】
以下、腕部5の構造について説明する。なお、左右の腕部5は、胴体部2に左右に取り付けられており、左右対称で同じ構成である。したがって、ここでは図1において向って右側(ロボットの左の腕部)の腕部5について説明する。
【0021】
図2は、図1に示す玩具1の腕部5を拡大した斜視図である。
図2に示すように、腕部5は、上腕部10、前腕部20、及び手部30にて構成されている。上腕部10は、肩部分において胴体部2側に連結されている。この肩部分の取付部4の構成は、回転方向が異なる複数の部材にて構成されている。例えば、取付部4は、上腕部10の上端部に胴体部2の前後方向に設けられる第1支軸16aと、この第1支軸16aに一端側が回転可能に取付けられ且つ他端側が胴体部2に設けられた軸状の第1取付部2aと、第1取付部2aの他端側を回転可能に支持する円盤状の第2取付部2bと、胴体部2に固定されて右方向に突出して第2取付部2bの一端側(前方側)の部分と上下方向に重なるように係合する第3取付部2cと、この第3取付部2c、及び第2取付部の一端側の重なり合った部分を上下方向に貫通支持する第2支軸16bと、を有している。
【0022】
また、第1支軸16aは、上腕部10を胴体部2の前後方向に略沿うように貫通すると共に第1取付部2aの一端部を貫通している。したがって、上腕部10は、前後方向に延びる第1回転軸CL1を中心にして胴体部2の真横方向に回転可能である。また、第1取付部2aは、第2取付部2bに左右方向に延びる第2回転軸CL2を中心にして回転可能に設けられている。したがって、上腕部10は、前後方向の回転面において回転することができる。また、第2取付部2bは、第3取付部2cに第2支軸16bを介して上下方向の第3回転軸CL3を中心に水平方向の回転面において回転可能である。したがって、上腕部10の付け部分が胴体部2の前方側に向けて回転することができる。
【0023】
また、上腕部10の肩部側には、長孔10hが形成されている。この長孔10hは、肩部の一部を成す球形部17(球形部17は、図4に示すように球形カバー17aで覆われる)に設けられているが、これは、上腕部10が第1取付部2aに対して回動するときの移動を許容する構造である。
【0024】
このように、肩部分の取付部4は、上腕部10の左右方向、前後方向、の回転、並びに上腕部10の付け根部分の前方回転が可能な構成であることで、腕部5を極めて広範囲の方向に向けることができる。
【0025】
図3は、図2に示す腕部5が曲がった状態を示す斜視図である。
図3に示すように、上腕部10と前腕部20とが肘部分によって回動並びに屈曲可能に連結され、更に、手部30も回転可能に連結されている。
腕部5は、上腕部10と前腕部20とが図3に示す如く角度可変部である肘部25の回動支軸25aの回転軸CL25を中心にして屈曲可能に連結されている。肘部25の外側にあたる部分は外側に膨らむ湾曲外面25usとして構成されている。したがって、上腕部10に対して前腕部20を曲げたときに、前腕部20の前腕外殻部21,22から肘部25が露出し、上腕部10と前腕部20との曲げ形状を自然な形にする。
【0026】
図4は、図2に示す腕部5の分解斜視図である。図5は、図1に示す玩具の腕部5を正面方向から見た時の上腕部10と前腕部20を分離した状態の断面図である。
【0027】
玩具1における腕部5は、図4及び図5に示すように、上腕部10と前腕部20、及び手部30とは分離可能に構成されている。しかも、上腕部10と前腕部20、及び手部30とは、単に分離可能であるだけでなく、後述する付勢手段の力によって、上腕部10から前腕部20、及び手部30を射出することが可能な構成である。例えば、胴体部2に取り付けられる上腕部10が発射台部として構成を備えており、この発射台部から前腕部20、及び手部30の射出部材28(以下、「前腕部20、及び手部30」を纏めて射出部材28とも言う)が発射される構造となっている。
【0028】
上腕部10は、図4に示すように、例えば、前後に按分された半筒状の上腕外殻部11,12を有し、この上腕外殻部11,12の内側に、射出部材28を射出可能とする押圧部材13が設けられている。押圧部材13は、上腕部10の長手方向に伸縮する例えばコイルバネ等の弾性部材14と、弾性部材14の一端側(下側)に配置されて当該弾性部材14の一端側に押されて移動可能な押圧片15を備えている。押圧片15は、図5に示すように、上腕外殻部11,12の内面11isに摺動接触する外周面部15a、弾性部材14の一端側が係合する内側突起15b、及び前腕部20側に面した平坦な押圧面15cを備えて断面形状が略E字状に構成されている。弾性部材14は、一端側が押圧片15に係合し、他端側が後述するバネ係止部18cに当接して保持され、上腕外殻部11,12の内面11isに沿って伸縮可能に配置されている。
【0029】
上腕外殻部11,12は、肩部側の球形部17においては、前掲の如く球形部17を覆うように球形カバー17aが設けられ、前腕部20側においては、その強度を保持するべく、例えば環状部材11cが按分部材である上腕外殻部11,12を強固に固定する構成となっている。
【0030】
射出部材28は、骨格部23を射出外殻部である前腕外殻部21,22が覆うように設けられている。骨格部23には、先端側(図中下側)に手部30が取付け軸31を介して回動可能に設けられ、基端側(図中上側)に、前掲の肘部25が回動支軸25aを介して回動可能に設けられている。また、肘部25は、その断面形状が回動支軸25aを扇のかなめとするような略90度の扇形の形状を成している。そして、肘部25の扇形の形状の一方端辺(図5において上側の辺)には、押圧片15と接触可能な被押圧部24が取り付けられている。これは、発射台部側の押圧片15と肘部25とが直接接触する構造ではなく、射出の付勢力は、被押圧部24を介して射出部材28に伝達されるようになっている。また、肘部25の扇形の形状の他方端辺(図5において左側の辺)には、前腕外殻部22の内側切欠き部22kの部分を埋めるように肘部内側の外殻を構成する肘内側外殻26が設けられている。
【0031】
被押圧部24は、外観形状が略円柱形に構成されており、肘部25に対して連結部24bが回転可能に取付けられている。例えば、連結部24bは、その先端が先太の円盤状の鍔構造をなしており、肘部25の奥広がりの保持溝内に嵌合される。したがって、被押圧部24は、肘部25に対して回転可能に取付けられている。また、被押圧部24は、連結部24bとは反対側が、側面視(図5の状態)において、前腕外殻部21,22から後方側(図中において上側)に突出して見えるように突出端部として構成されている。この突出端部は、後方端面には凹凸24aが設けられており、側面視で波状の形成が見えるようになっている。
【0032】
上腕部10と射出部材28との連結は、被押圧部24を、上腕部10の先端側の装着孔10aに挿入する。この被押圧部24を挿入するときは、被押圧部24の先端部分の凹凸24aが押圧片15の押圧面15cを押すように押し込む。この操作によって、押圧片15は、弾性部材14の付勢力に抗して装着孔10aの奥に押される。また、被押圧部24は、装着孔10aに深く挿入された状態で係止(図7参照)される。
【0033】
図6は、上腕部10と射出部材28との連結状態を示す断面図である。
被押圧部24が装着孔10aに挿入され係止された状態では、図6に示すように、肘部25の回動支軸25aを回動中心にして肘を曲げるように動作することができる。また、この腕部5の連結状態において、射出部材28は、連結部24bの回転軸CL24を中心にして回転が可能である。このように、被押圧部24が挿入された状態では、上腕部10に対して前腕部20は、曲げた状態或いは伸ばした状態に関わらず回転自在である。
【0034】
図7は、射出部材28の射出操作を説明するための腕部5の断面図である。図8は、射出部材28の射出操作を説明するための腕部5の斜視図である。
【0035】
射出部材28は、被押圧部24が装着孔10aに押し込まれた状態では、スイッチ部材18によって係止されている。すなわち、図7に示すように、肩部分の球形部17(球形カバー17a)から上腕部10の先端付近まで延出された板状のスイッチ部材18は、その先端側に設けられた係止片部18tが、被押圧部24の外面に設けられた凹部24cに引っ掛かるようにして当該被押圧部24を係止している。
【0036】
スイッチ部材18は、上腕部10の外殻部11,12に沿うように延びるスイッチ胴部18aと、スイッチ胴部18aの球形部17付近から上腕部内方に向って略直角に延びるバネ係止部18cと、バネ係止部18cの突出基部近傍に設けられたスイッチ回動軸19と、を備えている。
なお、スイッチ胴部18aには、スイッチ回動軸19を挟んで係止片部18tとは反対側に延びた操作片部18bが設けられている。
【0037】
このように構成されたスイッチ部材18は、バネ係止部18cが弾性部材14によって常に押圧されている。これにより、スイッチ部材18は、スイッチ回動軸19を中心にして図中において時計回りの方向に付勢されている。したがって、装着孔10aに被押圧部24が装着された状態(図7に示す状態)において、係止片部18tは、被押圧部24の凹部内に食い込む方向の力が作用して当該被押圧部24の係止を確実にしている。また、被押圧部24が押し込まれた状態においては、弾性部材14は、押圧片15とバネ係止部18cとの距離が接近した状態となっている。これにより、弾性部材14の付勢力はより強くなっており、被押圧部24の係止を更に強くしている。
【0038】
なお、被押圧部24の装着時において、係止片部18tは、装着孔10aの内面11isから突出するように付勢されている。しかし、係止片部18tは、その突出先端が押圧片15の外周面部15aに当接し、内面11isの位置に退避している。これにより、被押圧部24の装着が容易になっている。また、係止片部18tは、突出先端が装着孔10aの開口側の面が被押圧部24を挿入するときの誘い込み方向の傾斜面に構成されている。係止片部18tの誘い込み形状によって、被押圧部24の装着が円滑に行われる。
【0039】
また、スイッチ部材18は、上腕部10の長手方向に縦長の構成であり、スイッチ回動軸19を支点にして、操作片部18b側の長さに比べて係止片部18tの長さが大きく構成されている。これにより、操作片部18bの移動ストロークに比べて係止片部18tの移動ストロークを大きくすることができる。
【0040】
スイッチ部材18は、図7に示すように、スイッチ胴部18aの外面18usが上腕外殻部11,12の筒状部分の外表面11us、及び球形部17の外表面17usとほぼ同一面を形成するように構成されている。したがって、スイッチ部材18は、射出部材28が取り付けられている状態においては、目立つことなく上腕部10の外殻を構成している。
【0041】
射出部材28を射出するときは、図8に示すように操作片部18bを上腕部10の下方(内側)に向かって押す。この操作によって、係止片部18tが被押圧部24から離れるように回動し、被押圧部24の係止が解除される。この結果、射出部材28は、圧縮されていた弾性部材14の伸び動作によって上腕部10から射出される。
【0042】
図9は、被押圧部24の変形例を示す要部の断面図である。
図7に示した非押圧部24においては、スイッチ部材18の係止片部18tと係合する凹部24cが1つ設けられていたが、図9に示す変形例においては、凹部24cが2つ設けられている。また、この一対の凹部24cは、被押圧部24の回転軸CL24に対して対称な位置(180度反対側)に設けられている。
なお、図9においては、凹部24cが2つ設けられた構成であるが、例えば、4個設けるように構成しても良い。更に、凹部24は、複数個に分ける構成ではなく凹部24の外周面に環状の溝として設けた構成でもよい。
【0043】
以上述べたように、本発明の一態様においては、射出部材28を射出可能とする上腕部10の射出構造と、射出部材28が上腕部10に対して屈曲できる肘部25を備える構造となっているので、従来のように、射出するときの構成部材と屈曲させるときの構成部材とを別々に用意する必要がなく、両機能を同時に備える構造を提供できる。
【0044】
本態様においては、上腕部10は胴体部2に対して、複数の回転軸を備える取付部4によって、その向きを変えることができるので、射出部材28の射出方向をあらゆる方向に変更することができる。
【0045】
本態様においては、押圧部材13が上腕外殻部11,12の内面11isに沿って摺動する押圧片15を備えることで、被押圧部24を射出方向へ正確に押圧することができる。
【0046】
本態様においては、射出部材28において、被押圧部24が当該射出部材28の射出方向の後方側において前腕外殻部21,22の一端側から突出していることで、射出部材28を装着孔10aに装着するときに、被押圧部24によって弾性部材14を圧縮する方向に押すことができる。
【0047】
本態様においては、被押圧部24は、その一端側に肘部25が設けられていることで、上腕部10に被押圧部24を取り付けた状態では、上腕部10と前腕部20との間に屈曲できる関節を構成することができる。
【0048】
本態様においては、被押圧部24の凹凸24aは、射出部材28の一端側(飛翔時の後方部)から見えるように突出した構成となり、炎を模した形状になっており、射出部材28が飛翔しているときに、例えばロケットやミサイルのような推進炎を演出するエフェクト(噴射エフェクト)として使用することができる。
【0049】
本態様においては、スイッチ部材18が縦長でその他端側にスイッチ回動軸19及び操作片部18bを有する一方、反対の一端側に係止片部18tを備えるテコ構造であることから、操作片部18bの僅かな操作ストロークで係止片部18tの大きな動きを達成できる。この結果、射出部材28の係止と射出を確実にできる。
【0050】
本態様においては、スイッチ部材18は、その外面18usが上腕部10の外殻とほぼ同一面を形成するように構成されることで、外観上目立たない構成することができる。
【0051】
本態様においては、射出部材28を射出する付勢力と射出部材28を係止する付勢力を同じ弾性部材14を利用しているので、部品点数を少なくできる。
【0052】
本態様においては、凹部24cが被押圧部24の回転軸CL24に対して対称な位置(180度反対側)に設けられていることで、例えば、被押圧部24が肘部25に対して回転しない構造であると共に、凹部24cと係止片部18tが左右方向において係合する構造の場合には、左右で別々な部材として製作する必要が無く、部品点数が少なくて済み且つ組付け性を良くすることができる。また、例えば、凹部24cが4個設けられた場合には、組付け性の更なる向上に加え、前腕部20の向きを変えた取り付けを楽しむことができる。更に、凹部24cが環状に構成されている場合には、向きを選ばずに装着することができ、また、肘部25に対して連結部24bが回転しない構成であっても、回転可能な構成とすることができる。
【0053】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、本態様においては、発射台部が上腕部10で、射出部材28が前腕部20、及び手部30として構成されているが、本発明に係る玩具の射出機構はこれに限るものではなく、脚部において同様な射出機構を設ける構成であっても良い。また、頭部3、及び首部分においても同様な射出機構を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 玩具
2 胴体部(玩具本体)
10 上腕部(発射台部)
11,12 上腕外殻部(外殻部)
11is 内面
13 押圧部材
14 弾性部材
15 押圧片
18 スイッチ部材
18b 操作片部
18t 係止片部
19 スイッチ回動軸(回動軸)
20 前腕部(射出部材)
28 射出部材
21,22 前腕外殻部(射出外殻部)
24 被押圧部
24a 凹凸
25 肘部(角度可変部)
30 手部(射出部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9