(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018343
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/14 20060101AFI20230201BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20230201BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
G01D5/14 H
H01R13/52 Z
G01B7/00 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122399
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】影山 雅人
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 裕毅
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
5E087
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063CA31
2F063GA52
2F077AA41
2F077JJ03
2F077JJ08
2F077JJ23
2F077VV03
2F077VV31
2F077VV33
2F077WW06
5E087EE14
5E087FF04
5E087GG02
5E087LL04
5E087LL14
5E087MM08
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】内部の空気を適切に抜くこと。
【解決手段】基板30とコネクタ40とを樹脂により一体化したセンサであって、基板30とコネクタ40とを接続するコネクタピン42と、コネクタ40における基板30の表面30aと対向する対向側に設けられた充填部S2と、充填部S2とコネクタ40が相手コネクタと嵌合する嵌合部S1とを接続する貫通孔43と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とコネクタとを樹脂により一体化したセンサであって、
前記基板と前記コネクタとを接続するコネクタピンと、
前記コネクタにおける前記基板の表面と対向する対向側に設けられた充填部と、
前記充填部と前記コネクタが相手コネクタと嵌合する嵌合部とを接続する貫通孔と、
を備えるセンサ。
【請求項2】
前記コネクタピンは、複数設けられ、
前記貫通孔は、前記コネクタピンの間に設けられる、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記充填部は、前記嵌合部に対して、前記相手コネクタの嵌合方向と反対側に設けられる、
請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記充填部と前記基板との間の空間を充填するための樹脂の流入部を少なくとも2つ対向して配置する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記貫通孔は、複数の前記流入部の中間に位置する、
請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記流入部から前記空間へ流入した樹脂の流路末端に位置する、
請求項4または5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記充填部に設けられる、
請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板とコネクタが一体となったセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧機器と外部とを接続する電線をコネクタハウジング内でゴム栓により密封するとともに樹脂材により絶縁固定させる樹脂充填式コネクタにおける樹脂材内の気泡を防止する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、センサ等の電子機器のコネクタ及び基板を樹脂でモールドする際に、樹脂の流路末端が外形に面していない場合、内部の空気が表面から抜けずに滞留するおそれがある。内部の空気が滞留すると、モールドに薄肉部が生じ、亀裂が生じるおそれがある。また、流路末端に空気抜き部を設けると、内部に水が浸入するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みて、内部の空気を適切に抜くことができるセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、基板とコネクタとを樹脂により一体化したセンサであって、前記基板と前記コネクタとを接続するコネクタピンと、前記コネクタにおける前記基板の表面と対向する対向側に設けられた充填部と、前記充填部と前記コネクタが相手コネクタと嵌合する嵌合部とを接続する貫通孔と、を備えるセンサが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、内部の空気を適切に抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るセンサを左前方から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るセンサの断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るセンサを左後方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、コネクタ及び基板を左後方から見た断面の部分拡大図である。
【
図5】
図5は、コネクタを左後方から見た部分拡大図である。
【
図6】
図6は、コネクタを左側方から見た断面の部分拡大図である。
【
図7】
図7は、コネクタを後方から見た部分拡大図である。
【
図8】
図8は、コネクタ及び基板を左上方から見た断面の部分拡大図である。
【
図10】
図10は、コネクタの貫通孔の成形方法を説明する概略図である。
【
図11】
図11は、モールドの成形方法を説明する概略図である。
【
図12】
図12は、モールドの下側の金型を説明する概略図である。
【
図13】
図13は、モールドの下側の金型及び上側の金型を組み合わせた状態を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
(実施形態)
[センサ]
図1は、実施形態に係るセンサを左前方から見た斜視図である。
図2は、実施形態に係るセンサの断面図である。
図3は、実施形態に係るセンサを左後方から見た斜視図である。
図1ないし
図3は、接触型のストロークセンサ1を示す。本開示では、センサ1は、可変容量型油圧ポンプの斜板を動作させるピストンを計測対象とする。センサ1は、ピストンの移動量を検出することにより斜板角センサとして用いられる。
【0011】
センサ1は、ケース10と、シャフト20と、基板30と、コネクタ40と、樹脂のモールド50とを備えている。センサ1は、基板30及びコネクタ40をモールド50によって一体化している。本開示では、センサ1は、組み付けられたケース10、シャフト20、基板30及びコネクタ40をモールド50によって一体化している。
図1に示すように、ストロークセンサ1のケース10の長手方向を上下方向とし、コネクタ40の開口方向を前後方向とする。上下方向と前後方向とに直交する方向を左右方向とする。
【0012】
図2に示すように、ケース10は、内部にシャフト20を収容する。ケース10は、筒状部11とフランジ12とを有する。筒状部11は、円筒状に形成される。本開示では、筒状部11の軸方向は、上下方向に平行である。筒状部11の軸方向の上方の端部は、閉塞している。筒状部11の軸方向の下方の端部は、開口している。筒状部11の中間部には、フランジ12が設けられる。フランジ12は、筒状部11より径方向外側に広がっている。フランジ12は、油圧ポンプのケーシングに固定される。
【0013】
シャフト20は、円柱状に形成される。本開示では、シャフト20の軸方向は、上下方向に平行である。シャフト20は、ケース10の筒状部11の内部に収容される。シャフト20は、筒状部11の軸方向に沿って進退可能に設けられる。
【0014】
シャフト20の軸方向の上方の端部には、永久磁石21が設けられる。永久磁石21は、シャフト20に連動して進退する。ケース10の筒状部11の外側面には、ホール素子22が設けられる。永久磁石21とホール素子22とは、ケース10の筒状部11を挟んで対向する位置に設けられる。ホール素子22は、ケース10を介して永久磁石21の磁界を検出し、検出した磁界に応じた電気信号を出力する。
【0015】
このように構成したセンサ1は、シャフト20の軸方向の端部が、油圧ポンプの図示しない斜板機構部であるピストンに当接される。油圧ポンプの斜板角を変化させるためにピストンが動作すると、シャフト20が上下方向に進退する。シャフト20の進退によって、永久磁石21の磁界変化がホール素子22によって検出される。このようにして、ホール素子22から出力される電気信号に基づいて油圧ポンプの斜板角が検出される。
【0016】
基板30は、センサ1の各種電子部品が設けられた基板である。基板30は、ホール素子22が設けられる。ホール素子22は基板30の表面上に設けられる。基板30は、ケース10の外周面に固定される。基板30は、ケース10の軸方向の上側に設けられる。基板30は、ケース10のフランジ12より上側に設けられる。本開示では、基板30は、前後方向と直交して設けられる。基板30は、コネクタピン42を介してコネクタ40と接続される。基板30とコネクタピン42とは、はんだ付け等で接続される。
【0017】
図4は、コネクタ及び基板を左後方から見た断面の部分拡大図である。
図4に示すように、本開示では、コネクタ40は、雄型コネクタである。コネクタ40は、図示しない相手コネクタと嵌合可能である。本開示では、相手コネクタの嵌合方向は前方である。コネクタ40が相手コネクタと嵌合した状態では、コネクタ40と相手コネクタとは電気的に接続される。コネクタ40は、ハウジング41と、コネクタピン42とを有する。コネクタ40は、コネクタピン42を介して基板30と電気的に接続される。
【0018】
ハウジング41は、ケース10の筒状部11の軸方向の上方の端部に固定される。ハウジング41は、筒状部411と、壁部412とを有する。筒状部411は、筒状に形成される。本開示では、筒状部411の軸方向は、前後方向と平行である。筒状部411の軸方向の後部は、ケース10の筒状部11の軸方向の上方の端部に固定される。筒状部411の後部には、壁部412が設けられる。壁部412は、筒状部411内部を前後方向に区画する。
【0019】
筒状部411における壁部412より前側の空間である嵌合部S1は、相手コネクタと嵌合する。嵌合部S1は、コネクタピン42の前部が位置する。嵌合部S1は、相手コネクタと嵌合しない状態では、外部に開放される。嵌合部S1は、相手コネクタと嵌合した状態では、外部に露出しない。
【0020】
筒状部411における壁部412より後側であって、基板30より前側の空間である充填部S2には、コネクタピン42の後部が位置する。充填部S2は、コネクタ40における基板30の前側の面である表面30aに対向している。基板30は筒状部411の後方側端部に接して設けられる。本開示では、基板30は、筒状部411の上方側端部415及び下方側端部416に接する。充填部S2は、後方が基板30によって閉塞され、右側方及び左側方が開口している。開口を、流入部Pという。充填部S2には、流入部Pから樹脂が充填される。
【0021】
本開示では、壁部412と基板30との間の充填部S2を充填するための樹脂の流入部Pを少なくとも2つ対向して配置する。
【0022】
図5は、コネクタを左後方から見た部分拡大図である。
図6は、コネクタを左側方から見た断面の部分拡大図である。
図7は、コネクタを後方から見た部分拡大図である。
図4ないし
図7を用いて、コネクタ40について説明する。
図5ないし
図7は、基板30を図示していない。本開示では、
図5ないし
図7に示すように、壁部412には、凹部413が設けられる。凹部413は、コネクタ40において基板30の表面30a(
図4参照)と対向する対向側に設けられる。凹部413は、嵌合部S1に対して、相手コネクタの嵌合方向と反対側に設けられる。凹部413は、充填部S2(
図4参照)側に開口し、嵌合部S1側に凹んでいる。本開示では、凹部413は、壁部412の左右方向の中間部に設けられる。凹部413は、上下方向に延びている。
【0023】
壁部412には、コネクタピン42を挿通する挿通孔414が設けられる。本開示では、コネクタ40は、金型内にコネクタピン42を予め設置し、樹脂を注入するインサート成形により形成される。インサート成形により形成された結果、コネクタピン42の数と同じ4つの挿通孔414が設けられる。4つの挿通孔414の区別を要しない場合、挿通孔414として説明する。本開示では、4つの挿通孔414は、左右方向に2つ、上下方向に2つが並んで設けられる。挿通孔414は、壁部412において、凹部413以外の部分に設けられる。挿通孔4141には、コネクタピン421が挿通される。挿通孔4142には、コネクタピン422が挿通される。挿通孔4143には、コネクタピン423が挿通される。挿通孔4144には、コネクタピン424が挿通される。
【0024】
コネクタピン42は、基板30とコネクタ40とを電気的に接続する。コネクタピン42は、ホール素子22に電源を供給し、ホール素子22から出力される電気信号を相手コネクタへ出力する。コネクタピン42は、複数設けられる。本開示では、コネクタピン42は、4本設けられる。4本のコネクタピン421、422、423、424の区別を要しない場合、コネクタピン42として説明する。本開示では、4本のコネクタピン42は、左右方向に2本、上下方向に2本が並んで設けられる。コネクタピン42は、壁部412において、凹部413以外の部分に設けられる。コネクタピン42は、壁部412を貫通している。コネクタピン42の軸方向の前方の端部は、嵌合部S1に露出する。コネクタピン42の軸方向の前方の端部は、相手コネクタに電気的に接続される。コネクタピン42の軸方向の後方の端部は、充填部S2に露出する。コネクタピン42の軸方向の後方の端部は、基板30に電気的に接続される。
【0025】
コネクタピン421は、左上方に設けられる。コネクタピン422は、左下方に設けられる。コネクタピン423は、右上方に設けられる。コネクタピン424は、右下方に設けられる。コネクタピン421とコネクタピン423との間、コネクタピン422とコネクタピン424との間に、凹部413が位置する。
【0026】
図8は、コネクタ及び基板を左上方から見た断面の部分拡大図である。
図9は、
図8の部分拡大図である。貫通孔43は、樹脂の注入時、充填部S2の空気の抜け道となる。貫通孔43は、充填部S2における樹脂の流路末端に設けられる。本開示では、樹脂は、基板30の右側方及び左側方の流入部Pから充填部S2へ流入する。このため、左右方向の中間部に位置する凹部413が、樹脂の流路末端になる。本開示では、貫通孔43は、凹部413の前側の端部に設けられる。
【0027】
貫通孔43は、凹部413と嵌合部S1とを接続する。貫通孔43は、充填部S2と嵌合部S1とを接続する。貫通孔43は、壁部412を貫通して設けられる。貫通孔43は、前後方向に延びている。貫通孔43の径は、前側の端部が後方の端部より小さい。貫通孔43の径は、樹脂が通過できず、空気が通過可能な大きさである。
【0028】
貫通孔43は、コネクタピン42の間に設けられる。貫通孔43は、コネクタピン42の挿通孔414とは異なる位置に設けられる。貫通孔43は、流入部Pの中間に位置する。本開示では、貫通孔43は、2つの流入部Pの中間に位置する。本開示では、貫通孔43は、2つ設けられる。2つの貫通孔43の区別を要しない場合、貫通孔43として説明する。
【0029】
貫通孔431は、上方に設けられる。貫通孔431は、コネクタピン421及びコネクタピン423より上方に設けられる。貫通孔432は、下方に設けられる。貫通孔432は、コネクタピン422及びコネクタピン424より下方に設けられる。
【0030】
モールド50は、センサ1の外形の一部を規定する。モールド50は、例えば、ホットメルト等の熱可塑性を有する樹脂で形成される。モールド50は、フランジ12の上方において、組み付けられたケース10、基板30及びコネクタ40を覆う。モールド50は、充填部S2、凹部413及び貫通孔43に充填される。
【0031】
[コネクタの貫通孔の成形方法]
図10は、コネクタの貫通孔の成形方法を説明する概略図である。
図10を用いて、コネクタ40の貫通孔43の成形方法について説明する。コネクタ40の貫通孔43以外の部分の成形方法については、説明を省略する。コネクタ40は、金型100を用いて成形される。
図10は、金型100における、コネクタ40のハウジング41の貫通孔43に対応する部分を示す。ハウジング41の貫通孔43の形状は、金型100の壁部101、凸部102、凹部103、壁部104及び柱状部105によって規定される。柱状部105は、円柱状の本体部106と、円錐形状の先端部107と、円盤状の凸部108とを有する。
【0032】
より詳しくは、壁部101は、ハウジング41の壁部412の前側の外形に対応する。凸部102は、壁部101の面101aより壁部104側に突出して設けられる。凸部102は、ハウジング41の貫通孔43に対応する位置に設けられる。凹部103は、凸部102に設けられる。凹部103は、凸部108より大きい凹みを有する。凹部103には、凸部108が嵌合する。壁部104は、ハウジング41の凹部413の外形に対応する。壁部101と壁部104との間には、柱状部105が設けられる。柱状部105は、ハウジング41の貫通孔43の外形に対応する。先端部107は、本体部106の先端に設けられる。先端部107は、本体部106から先端に向かって径が小さくなる。凸部108は、先端部107の先端に設けられる。凸部108は、先端部107の先端と同じ径の円柱状の形状である。凸部108は、凹部103に嵌合する。
【0033】
このように構成された金型100を用いて成形することにより、
図11に示す貫通孔43を有するコネクタ40が成形される。より詳しくは、コネクタ40を成形する樹脂を金型100に流入させると、壁部101、凸部102、凹部103、壁部104及び柱状部105によって、貫通孔43を有するハウジング40が成形される。このような金型100を使用することにより、ハウジング41の成形時、貫通孔43の先端において発生するバリは、凹部103側に逃げる。これにより、バリによって、ハウジング41の貫通孔43の先端が閉塞することが抑制される。
【0034】
図11は、モールドの成形方法を説明する概略図である。
図10に示す金型100で成形されたハウジング41の貫通孔43は、
図11に示すように、円筒状の本体部431と、円錐状の先端部432と、円盤状の接続部433とを有する。先端部432は、本体部431の先端に設けられる。先端部432は、本体部431から先端に向かって径が小さくなっている。接続部433は、先端部432の先端に設けられる。接続部433は、先端部432の先端より径方向の外側に広い。接続部432は、嵌合部S1と接続されている。
【0035】
[モールドの成形方法及び作用]
図12は、モールドの下側の金型を説明する概略図である。
図13は、モールドの下側の金型及び上側の金型を組み合わせた状態を説明する概略図である。センサ1は、ケース10、シャフト20、基板30及びコネクタ40が組み付けられた状態である。
図12に示すように、下側の金型200の上に、相手コネクタであるプラグ60をコネクタ40に取り付けたセンサ1を載置する。プラグ60をコネクタ40に取り付けることにより、センサ1が下側の金型200において位置決めされる。下側の金型200には、貫通孔43の先端に当接させる金型201が設けられる。
【0036】
ここで、
図11を用いて、モールド50を成形するための樹脂の充填時、貫通孔43の先端に当接させる金型201の形状について説明する。金型201の端部201aは、嵌合部S1の端部S1aに対して嵌合側にずらして設けられる。言い換えると、金型201の端部201aは、貫通孔43の接続部433から離間している。
【0037】
このような金型201を用いてモールド50を成形することにより、モールド50の成形時、貫通孔43の先端において発生するバリが金型201に干渉することが抑制される。これにより、バリが金型201によって潰されて、コネクタ40の嵌合部S1に残留することが抑制される。
【0038】
図13に示すように、上側の金型210を下側の金型200に組み付ける。上側の金型210と下側の金型200とは、圧力を加えて固定される。
【0039】
注入口220から、上側の金型210と下側の金型200との間にモールド50を成形するための樹脂が注入される。注入された樹脂は、組み付けられたケース10、基板30及びコネクタ40を覆う。樹脂は、ケース10、基板30及びコネクタ40の各部材の隙間に流入する。
図8、
図9に示すように、樹脂は、基板30の右側方及び左側方の流入部Pから充填部S2へ流入する。樹脂が流入することにより、上側の金型210と下側の金型200との隙間等から外部へ空気が抜け出る。充填部S2の空気は、貫通孔43から嵌合部S1側へ抜け出る。これにより、充填部S2に空気が滞留せず、隙間なく樹脂が充填される。そして、注入された樹脂は、数十秒程度で固化する。先端部432の径は、空気は流出するが、樹脂は流出しない直径に成形される。樹脂が先端部432より流出した場合でも、端部201aと端部S1aとの隙間により、樹脂の流出が止まるように隙間が設けられている。
【0040】
樹脂が固化した後、圧力を解除して、上側の金型210を下側の金型200から取り外す。そして、センサ1を下側の金型200から取り出す。このようにして、センサ1が作製される。
【0041】
[効果]
本開示では、コネクタ40に、充填部S2に面する凹部413とコネクタ40が相手コネクタと嵌合する嵌合部S1とを接続する貫通孔43を設ける。本開示では、貫通孔43は、モールド50を成形するための樹脂の流路端部に位置する。本開示によれば、モールド50を成形するための樹脂の注入時に、充填部S2の空気を貫通孔43から嵌合部S1へ抜くことができる。本開示によれば、空気が充填部S2側に滞留することを抑制できる。このように、本開示は、モールド50の内部の空気を適切に抜くことができる。本開示は、モールド50の内部に空気が滞留したことにより、モールド50の一部が薄くなることを抑制できる。本開示は、センサ1の強度を高めることができる。
【0042】
本開示では、貫通孔43は、コネクタ40が相手コネクタと嵌合する嵌合部S1に接続する。本開示では、コネクタ40が相手コネクタと嵌合した状態では、貫通孔43が外部に露出しない。本開示によれば、貫通孔43からコネクタ40の内部へ水が浸入することを規制できる。
【0043】
本開示では、貫通孔43は、基板30とコネクタ40とを電気的に接続するコネクタピン42の間に設けられる。本開示では、貫通孔43は、コネクタピン42と異なる位置に配置できる。本開示は、モールド50を成形するための樹脂の注入時に、貫通孔43によって、充填部S2の空気が滞留することを抑制できる。
【0044】
本開示では、凹部413は、嵌合部S1に対して、相手コネクタの嵌合方向と反対側に設けられる。本開示は、モールド50を成形するための樹脂の注入時に、凹部413及び貫通孔43によって、充填部S2の空気を嵌合部S1へ抜くことができる。
【0045】
本開示では、貫通孔43は、複数の流入部Pの中間に位置する。本開示は、モールド50を成形するための樹脂の注入時に、充填部S2の空気を嵌合部S1へ適切に抜くことができる。
【0046】
本開示では、充填部S2に対する樹脂の流入部Pを少なくとも2つ対向して配置する。本開示によれば、モールド50を成形するための樹脂を充填部S2へ迅速に充填できる。
【0047】
上記では、充填部S2への流入部Pは、基板30の右側方及び左側方であるが、これに限定されない。例えば、基板30に孔をあけて充填部S2への流入部を設けてもよい。
【0048】
上記では、貫通孔43の数は2つであるが、これに限定されない。貫通孔43は、1つ以上設けられていればよい。
【0049】
上記では、ストロークセンサを用いて説明したが、これに限定されるものではない。その他のセンサや、電磁ソレノイド等であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…センサ、10…ケース、11…筒状部、12…フランジ、20…シャフト、21…永久磁石、22…ホール素子、30…基板、40…コネクタ、41…ハウジング、411…筒状部、412…壁部、413…凹部、414…挿通孔、42…コネクタピン、43…貫通孔、50…モールド、P…流入部、S1…嵌合部、S2…充填部、100…金型、200…金型、201…金型、210…金型。