(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183433
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231221BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H04N1/00 350
B41J29/38
H04N1/00 838
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096940
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】中井 康博
(72)【発明者】
【氏名】村上 光一
(72)【発明者】
【氏名】早野 康友
(72)【発明者】
【氏名】松尾 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】高尾 愛実
(72)【発明者】
【氏名】佐枝 政夫
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ04
2C061AQ06
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】利用者が表示部に表示される画面を容易に見ることができ、利用者以外の者が当該画面を容易に見ることができない画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、表示部と、操作を検知する操作検知部と、前記操作検知部により前記操作が検知されるのに応答して前記表示部の視野角を前記操作に応じた方向に向ける制御部と、を備える。又は、画像形成装置は、表示部と、画像形成装置の周辺を撮像して得られた画像に基づいて利用者の位置を検知し、前記表示部の視野角を前記位置に応じた方向に向ける制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
操作を検知する操作検知部と、
前記操作検知部により前記操作が検知されるのに応答して前記表示部の視野角を前記操作に応じた方向に向ける制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記操作及び前記操作に対応づけられた方向を記憶する記憶部
を備え、
前記操作に応じた方向は、前記操作に対応づけられた方向である
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
機器
を備え、
前記操作は、前記機器を使用する操作を含み、
前記制御部は、前記操作検知部により前記機器を使用する操作が検知されるのに応答して前記視野角を前記機器が配置された方向に向ける
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
表示部と、
画像形成装置の周辺を撮像して得られた画像に基づいて利用者の位置を検知し、前記表示部の視野角を前記位置に応じた方向に向ける制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項5】
前記表示部が水平面となすチルト角度を調整するチルト機構を備え、
前記制御部は、前記チルト角度に基づいて前記視野角を調整する
請求項1又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記チルト角度が第1の角度以下である場合に、前記視野角を調整することを行わない
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記チルト角度が第2の角度以上である場合に、前記視野角を調整することを行う
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記チルト角度が第1の角度以下である場合に、前記視野角の大きさ及び前記視野角を向ける方向を調整することを行わず、
前記チルト角度が第1の角度より大きく第2の角度より小さい場合に、前記視野角の広さを調整することを行い、前記視野角を向ける方向を調整することを行わず、
前記チルト角度が第2の角度以上である場合に、前記視野角の大きさ及び前記視野角を向ける方向を調整することを行う
請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等のパブリックスペースに設置されるマルチコピー機は、多くの場合は、表示パネルを備える。表示パネルに表示される操作画面が覗き見されることを防ぐために、表示パネルにプライバシーフィルターが貼り付けられて表示パネルの視野角が狭くされる場合がある。
【0003】
特許文献1は、画像表示システムを開示する。当該画像表示システムにおいては、画像ファイルのヘッダに視野角情報が格納されていない場合は、視野角が広くなるように液晶表示装置が設定される。一方、画像ファイルのヘッダに視野角情報が格納されている場合は、視野角が狭くなるように液晶表示装置が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パブリックスペースに設置されるマルチコピー機に備えられる表示パネルの視野角が狭くされた場合は、利用者がマルチコピー機により提供されるサービスを利用する際に、様々な問題が発生する。例えば、表示パネルの右側に原稿セット台が位置する場合は、コピーサービスを利用する利用者が原稿セット台に原稿をセットするために表示パネルの正面から原稿セット台の正面へ移動したときに、利用者が視野角外から表示パネルを見ることになって操作画面を見ることができなくなる。また、マルチコピー機の付近を通りかかった人ががら空きになった表示パネルの正面から操作画面を覗き見することができる。この問題は、原稿を読み取ることにより得られた画像を表示するプレビューが操作画面に含まれる場合に特に深刻になる。例えば、原稿がビジネス文書の原稿である場合に、原稿を原稿セット台にセットする際に視野角外から表示パネルを見る利用者がビジネス文書の原稿を読み取ることにより得られた画像が表示されていることに気が付かないまま、マルチコピー機の付近を通りかかった人に当該画像が見られてビジネス文書の内容が漏洩する場合がある。
【0006】
本開示は、この問題に鑑みてなされた。本開示の一態様は、例えば、利用者が表示部に表示される画面を容易に見ることができ、利用者以外の者が当該画面を容易に見ることができない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の画像形成装置は、表示部と、操作を検知する操作検知部と、前記操作検知部により前記操作が検知されるのに応答して前記表示部の視野角を前記操作に応じた方向に向ける制御部と、を備える。
【0008】
本開示の他の一態様の画像形成装置は、表示部と、画像形成装置の周辺を撮像して得られた画像に基づいて利用者の位置を検知し、前記表示部の視野角を前記位置に応じた方向に向ける制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の画像形成装置を模式的に図示する斜視図であるs。
【
図2】第1実施形態の画像形成装置のブロック図である。
【
図3】第1実施形態の画像形成装置に備えられる表示部の視野角の調整の内容を示す図である。
【
図4】第1実施形態の画像形成装置の、表示部の視野角が調整されていない状態を模式的に図示する上面図である。
【
図5】第1実施形態の画像形成装置の、表示部の正面に利用者が位置する場合の状態を模式的に図示する上面図である。
【
図6】第1実施形態の画像形成装置の、表示部の右側に利用者が位置する場合の状態を模式的に図示する上面図である。
【
図7】第1実施形態の画像形成装置の、表示部の左側に利用者が位置する場合の状態を模式的に図示する上面図である。
【
図8】第1実施形態の画像形成装置の、表示部が水平面となすチルト角度が小さい場合の状態を模式的に図示する側面図である。
【
図9】第1実施形態の画像形成装置の、表示部が水平面となすチルト角度が大きい場合の状態を模式的に図示する側面図である。
【
図10】第1実施形態の画像形成装置に備えられる表示部の視野角を調整するのに必要な対応表の内容を示す図である。
【
図11】第1実施形態の画像形成装置により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】第1実施形態の画像形成装置により行われる、表示部の視野角を向ける方向を調整する処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。
【
図13】第1実施形態の画像形成装置により行われる、表示部の視野角を向ける方向を調整する処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
1 第1実施形態
1.1 画像形成装置
図1は、第1実施形態の画像形成装置を模式的に図示する斜視図である。
図2は、第1実施形態の画像形成装置のブロック図である。
【0012】
図1及び
図2に図示される画像形成装置1は、記録紙上に画像を形成する。本実施形態においては、画像形成装置1は、コンビニエンスストアに設置されるマルチコピー機である。画像形成装置1が、コンビニエンスストア以外の場所に設置されてもよい。例えば、画像形成装置1が、コンビニエンスストア以外の事業所、公共機関、住宅等に設置されてもよい。画像形成装置1が、マルチコピー機以外の画像形成装置であってもよい。例えば、画像形成装置1が、複合機(MFP)、プリンタ、ファクシミリ等であってもよい。
【0013】
図1及び
図2に図示されるように、画像形成装置1は、原稿読み取り部11、記録媒体読み取り/書き込み部12、第1の画像形成部13、第2の画像形成部14、表示部15、チルト機構16、操作検知部17、通信部18、撮像部19、課金部20、記憶部21、カード読み取り部81及び制御部22を備える。
【0014】
原稿読み取り部11は、原稿を読み取って画像データを得る。本実施形態においては、原稿読み取り部11は、原稿台上に置かれた原稿を読み取るフラットベッドスキャナである。原稿読み取り部11が、原稿セット台にセットされた原稿を送り出し、送り出した原稿を読み取る自動原稿送り(ADF)スキャナであってもよい。
【0015】
記録媒体読み取り/書き込み部12は、記録媒体から画像データを読み取り、記録媒体に画像データを書き込む。記録媒体は、メモリカード、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ、光ディスク、スマートフォン等である。
【0016】
第1の画像形成部13は、画像データに応じた画像を記録紙上に形成する。本実施形態においては、第1の画像形成部13は、電子写真方式により画像を普通紙上に形成して普通紙印刷物を排出する電子写真プリンタである。第1の画像形成部13が、電子写真方式以外の方式により画像を形成してもよい。第1の画像形成部13が、画像を普通紙以外の記録紙上に形成してもよい。
【0017】
第2の画像形成部14は、画像データに応じた画像を記録紙上に形成する。本実施形態においては、第2の画像形成部14は、昇華型熱転写方式により画像を写真紙上に形成して写真紙印刷物を排出する昇華型熱転写プリンタである。第2の画像形成部14が、昇華型熱転写方式以外の方式により画像を形成してもよい。第2の画像形成部14が、画像を写真紙以外の記録紙上に形成してもよい。
【0018】
表示部15は、画面を表示する。本実施形態においては、表示部15は、液晶表示(LCD)パネルである。表示部15が、LCDパネル以外の表示部であってもよい。例えば、表示部15が、有機発光ダイオード(OLED)表示パネル、量子ドット発光ダイオード(QLED)表示パネル等であってもよい。表示部15は、ペールビュー機能を有する。このため、表示部15の視野角の広さは、デフォルトの広さより狭くすることができる。また、表示部15の視野角を向ける方向は、デフォルトの方向から変更することができる。本実施形態においては、デフォルトの方向は、表示部15の正面方向である。
【0019】
チルト機構16は、表示部15が水平面となすチルト角度を調整する。チルト機構16は、表示部15が回転軸を中心として俯角方向に回転することができるように表示部15を支持する。チルト機構16は、チルト角度を示す信号を出力する。
【0020】
操作検知部17は、操作を検知する。
図2に図示されるように、操作検知部17は、操作部31及びセンサ32を備える。操作部31は、画像形成装置1に行わせる処理の内容を入力する操作を検知する。本実施形態においては、操作部31は、表示部15に重ねられるタッチパネルである。表示部15及びそれに重ねられるタッチパネルは、タッチディスプレイを構成する。操作部31が、当該タッチパネル以外の操作部であってもよい。例えば、操作部31が、ボタン、ダイヤル、スライダ、タッチパッド等であってもよい。センサ32は、画像形成装置1に影響を及ぼす操作を検知する。当該操作は、画像形成装置1に備えられる特定部に接近又は接触する操作、画像形成装置1に備えられる接続部に画像形成装置1以外の装置を接続する操作、画像形成装置1に備えられる可動部を動かす操作等である。
【0021】
通信部18は、ネットワークに接続され、ネットワークを介して画像形成装置1以外の装置と通信する。通信部18は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等によりネットワークに接続される。また、通信部18は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNを介してファクシミリ端末と通信する。通信部18は、電子回路である。
【0022】
撮像部19は、画像形成装置1の周辺を撮像して画像を得る。画像が、画像形成装置1外に設置される撮像装置により得られてもよい。例えば、画像が、コンビニエンスストアに設置された防犯カメラにより得られてもよい。
【0023】
課金部20は、画像形成装置1により提供されるサービスに対する対価を利用者に課金する。本実施形態においては、課金部20は、コインベンダーである。課金部20が、コインベンダー以外の課金部であってもよい。例えば、課金部20が、クレジットカード決済端末、プリペイドカード決済端末、QRコード(登録商標)決済端末等であってもよい。
【0024】
記憶部21は、制御部22が原稿読み取り部11、記録媒体読み取り/書き込み部12、第1の画像形成部13、第2の画像形成部14、表示部15、チルト機構16、操作検知部17、通信部18、撮像部19、課金部20及びカード読み取り部81を制御するのに必要な情報を記憶する。
図2に図示されるように、記憶される情報は、制御部22が表示部15の視野角を制御するのに必要な対応表41を含む。本実施形態においては、記憶部21は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュストレージ、ハードディスクドライブ等である。
【0025】
カード読み取り部81は、認証等のためのカードを読み取る。
【0026】
制御部22は、原稿読み取り部11、記録媒体読み取り/書き込み部12、第1の画像形成部13、第2の画像形成部14、表示部15、チルト機構16、操作検知部17、通信部18、撮像部19、課金部20及びカード読み取り部81を制御する。本実施形態においては、制御部22は、マイクロコントローラ及び周辺回路を備える。マイクロコントローラは、プロセッサ及びメモリを備える。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを実行してマイクロコントローラ及び周辺回路を制御部22として動作させる。制御の全部又は一部が専用の電子回路により行われてもよい。
【0027】
制御部22は、表示部15に、操作画面を表示させる。利用者は、表示された操作画面を見ながら操作を行う。操作部31は、行われた操作を検知する。制御部22は、検知された操作に応じた処理を行う。
【0028】
制御部22は、操作部31によりコピーを指示する操作が検知された場合は、原稿読み取り部11に、原稿を読み取らせ、第1の画像形成部13又は第2の画像形成部14に、原稿読み取り部11により得られた画像データに応じた画像を記録紙上に形成させる。
【0029】
また、制御部22は、操作部31によりプリントを指示する操作が検知された場合は、記録媒体読み取り/書き込み部12に、画像データを記録媒体から読み取らせ、第1の画像形成部13又は第2の画像形成部14に、読み取られた画像データに応じた画像を記録紙上に形成させる。
【0030】
また、制御部22は、操作部31によりスキャンを指示する操作が検知された場合は、原稿読み取り部11に、原稿を読み取らせ、記録媒体読み取り/書き込み部12に、原稿読み取り部11により得られた画像データを記録媒体に書き込ませる。
【0031】
また、制御部22は、操作部31によりファクシミリ送信を指示する操作が検知された場合は、原稿読み取り部11に、原稿を読み取らせ、通信部18に、原稿読み取り部11により得られた画像データに応じた信号をファクシミリ送信させる。
【0032】
1.2 表示部の視野角の調整
図3は、第1実施形態の画像形成装置に備えられる表示部の視野角の調整の内容を示す図である。
【0033】
図3に示されるように、制御部22は、操作検知部17により操作51が検知されるのに応答して、表示部15の視野角52を調整する。視野角52を調整することは、視野角52の広さ53を調整すること及び/又は視野角52を向ける方向54を調整することを含む。制御部22は、視野角52を調整する際に、視野角52を向ける方向54を、操作51に応じた方向にする。利用者の位置は、操作51により概ね決まる。このため、視野角52を操作51に応じた方向に向けることにより、視野角52を利用者の位置に応じた方向に向けることができる。これにより、利用者が表示部15に表示される画面を見やすくなる。
【0034】
また、制御部22は、チルト機構16により出力される信号により示されるチルト角度55に基づいて表示部15の視野角52を調整する。表示部15の視野角52を調整することは、表示部15の視野角52の広さ53を調整すること及び/又は表示部15の視野角52を向ける方向54を調整することを含む。
【0035】
1.3 表示部の視野角が調整されていない状態
図4は、第1実施形態の画像形成装置の、表示部の視野角が調整されていない状態を模式的に図示する上面図である。
【0036】
表示部15の視野角52が調整されていない場合は、視野角52の広さ53が広くされる。このため、
図4に図示されるように、表示部15の正面、左側及び右側のいずれからも、表示部15に表示される画面61を見ることができる。
【0037】
1.4 表示部の視野角が調整されている状態
図5は、第1実施形態の画像形成装置の、表示部の正面に利用者が位置する場合の状態を模式的に図示する上面図である。
【0038】
制御部22は、操作検知部17により検知された操作51から利用者が表示部15の正面に位置すると推定される場合は、表示部15の視野角52の広さ53を狭くし、表示部15の視野角52を向ける方向54を正面方向にする。これにより、
図5に図示されるように、表示部15の正面に位置する利用者71は、表示部15に表示される画面61を容易に見ることができる。しかし、画像形成装置1の付近を通りかかった、表示部15の右側に位置する右側通行人72及び表示部15の左側に位置する左側通行人73は、画面61を容易に見ることができない。操作51から利用者71が表示部15の正面に位置すると推定される場合は、操作51が、利用者71が表示部15に表示される操作画面を見て行った操作である場合等である。
【0039】
図6は、第1実施形態の画像形成装置の、表示部の右側に利用者が位置する場合の状態を模式的に図示する上面図である。
【0040】
制御部22は、操作検知部17により検知された操作51から利用者71が表示部15の右側に位置すると推定される場合は、表示部15の視野角52の広さ53を狭くし、表示部15の視野角52を向ける方向54を右側方向にする。これにより、
図6に図示されるように、表示部15の右側に位置する利用者71は、表示部15に表示される画面61を容易に見ることができる。しかし、画像形成装置1の付近を通りかかった、表示部15の左側に位置する左側通行人73及び表示部15の正面に位置する正面通行人74は、画面61を容易に見ることができない。操作51から利用者71が表示部15の右側に位置すると推定される場合は、操作51が、表示部15の右側に配置された機器を使用する操作である場合等である。例えば、原稿読み取り部11が表示部15の右側に配置された機器である場合は、制御部22は、原稿読み取り部11に原稿を読み取らせる操作が検知されるのに応答して、表示部15の視野角52を表示部15の右側方向に向ける。これにより、原稿読み取り部11の原稿台上に原稿を置くために表示部15の正面から表示部15の右側に移動した利用者71は、表示部15に表示される操作画面を容易に見ることができる。しかし、利用者71以外の左側通行人73及び正面通行人74は、当該操作画面を容易に見ることができない。
【0041】
図7は、第1実施形態の画像形成装置の、表示部の左側に利用者が位置する場合の状態を模式的に図示する上面図である。
【0042】
制御部22は、操作検知部17により検知された操作51から利用者71が表示部15の左側に位置すると推定される場合は、表示部15の視野角52の広さ53を狭くし、表示部15の視野角52を向ける方向54を左側方向にする。これにより、
図7に図示されるように、表示部15の左側に位置する利用者71は、表示部15に表示される画面61を容易に見ることができる。しかし、画像形成装置1の付近を通りかかった、表示部15の右側に位置する右側通行人72及び表示部15の正面に位置する正面通行人74は、画面61を容易に見ることができない。操作51から利用者71が表示部15の左側に位置すると推定される場合は、操作51が、表示部15の左側に配置された機器を使用する操作である場合等である。例えば、カード読み取り部81が表示部15の左側に配置された機器である場合は、制御部22は、カード読み取り部81を使用する操作が検知されるのに応答して、表示部15の視野角52を表示部15の左側方向に向ける。これにより、カード読み取り部81に認証等のためにカードを読み取らせるために表示部15の正面から表示部15の左側に移動した利用者71は、表示部15に表示された操作画面を容易に見ることができる。しかし、利用者71以外の右側通行人72及び正面通行人74は、当該操作画面を容易に見ることができない。
【0043】
1.5 表示部の視野角を調整することの有無
図8は、第1実施形態の画像形成装置の、表示部が水平面となすチルト角度が小さい場合の状態を模式的に図示する側面図である。
【0044】
図8に図示されるように、チルト角度θ(チルト角度55)が小さい場合は、利用者71は、表示部15に表示される画面61を容易に見えることができる。しかし、画像形成装置1の付近を通りかかった通行人91は、画面61を容易に見えることができない。このため、制御部22は、チルト角度θが小さい場合は、表示部15の視野角52を調整することを行わない。
【0045】
図9は、第1実施形態の画像形成装置の、表示部が水平面となすチルト角度が大きい場合の状態を模式的に図示する側面図である。
【0046】
図9に図示されるように、チルト角度θ(チルト角度55)が大きい場合は、利用者71及び画像形成装置1の付近を通りかかった通行人91のいずれも、表示部15に表示される画面61を容易に見えることができる。このため、制御部22は、チルト角度θが大きい場合は、表示部15の視野角52を調整することを行う。
【0047】
1.6 対応表
図10は、第1実施形態の画像形成装置に備えられる表示部の視野角を調整するのに必要な対応表を示す図である。
【0048】
図10に示される対応表41は、記憶部21に記憶される。
【0049】
対応表41は、利用者71により行われる操作101及び操作101に対応づけられた方向103を含む。また、対応表41は、画像形成装置1の管理者により行われる操作102及び操作102に対応づけられた方向103を含む。
【0050】
制御部22は、対応表41を参照して、操作検知部17により検知された操作51に対応づけられた方向を特定し、表示部15の視野角52を特定した方向に向ける。
【0051】
本実施形態においては、「操作画面の操作」、「記録媒体の読み取り」、「写真紙印刷物の取り出し」及び「課金」という利用者71の操作に、「正面」という方向が対応づけられる。したがって、制御部22は、これらの操作が操作検知部17により検知された場合に、表示部15の視野角52を表示部15の正面方向に向ける。
【0052】
「操作画面の操作」という操作は、利用者71が表示部15に表示される操作画面を見ながら行う操作である。「記録媒体の読み取り」という操作は、記録媒体読み取り/書き込み部12に記録媒体から画像データを読み取らせる操作である。「写真紙印刷物の取り出し」という操作は、第2の画像形成部14により排出される写真紙印刷物を第2の画像形成部14に備えられる取り出し口111から取り出す操作である。「課金」という操作は、課金部20に対価を利用者71に課金させる操作である。こららの操作は、操作部31により検知される場合もあるし、センサ32により検知される場合もある。ひとつの例においては、「操作画面の操作」という操作は、操作部31により検知される。また、「記録媒体の読み取り」という操作は、記録媒体読み取り/書き込み部12への記録媒体の接続を検知するセンサ32により検知される。また、「写真紙印刷物の取り出し」という操作は、取り出し口111への利用者71の接近を検知するセンサ32により検知される。また、「課金」という操作は、課金部20への硬貨又は紙幣の投入を検知するセンサ32により検知される。
【0053】
本実施形態においては、「第2の画像形成部の消耗品の交換」という管理者の操作に、「正面」という方向が対応づけられる。したがって、制御部22は、この操作が操作検知部17により検知された場合に、表示部15の視野角52を表示部15の正面方向に向ける。
【0054】
「第2の画像形成部の消耗品の交換」という操作は、第2の画像形成部14に備えられる消耗品を交換する操作である。この操作は、操作部31により検知される場合もあるし、センサ32により検知される場合もある。ひとつの例においては、この操作は、画像形成装置1の外部から消耗品へのアクセス経路上にある部材が移動されたことを検知するセンサ32により検知される。
【0055】
本実施形態においては、「原稿の読み取り」及び「普通紙印刷物の取り出し」という利用者71の操作に、「右側」という方向が対応づけられる。したがって、制御部22は、これらの操作が操作検知部17により検知された場合に、表示部15の視野角52を表示部15の右側方向に向ける。
【0056】
「原稿の読み取り」という操作は、原稿読み取り部11に原稿を読み取らせる操作である。「普通紙印刷物の取り出し」という操作は、第1の画像形成部13により排出される普通紙印刷物を第1の画像形成部13に備えられる排紙トレイ112から取り出す操作である。これらの操作は、操作部31により検知される場合もあるし、センサ32により検知される場合もある。ひとつの例においては、「原稿の読み取り」という操作は、操作部31により検知される。また、「普通紙印刷物の取り出し」という操作は、排紙トレイ112への利用者71の接近を検知するセンサ32により検知される。
【0057】
本実施形態においては、「普通紙のジャムの解除」、「普通紙の補給」及び「トナーの交換」という管理者の操作に、「右側」という方向が対応づけられる。したがって、制御部22は、これらの操作が操作検知部17により検知された場合に、表示部15の視野角52を表示部15の右側方向に向ける。
【0058】
「普通紙のジャムの解消」という操作は、第1の画像形成部13内で発生したジャムを解消する操作である。「普通紙の補給」という操作は、第1の画像形成部13に備えられる給紙トレイ113に普通紙を補給する操作である。「トナーの交換」という操作は、第1の画像形成部13に備えられるトナーを交換する操作である。こららの操作は、操作部31により検知される場合もあるし、センサ32により検知される場合もある。ひとつの例においては、「普通紙のジャムの解消」という操作は、画像形成装置1の外部からジャムが発生した位置へのアクセス経路上にある部材が移動されたことを検知するセンサ32により検知される。また、「普通紙の補給」という操作は、給紙トレイ113が引き出されたことを検知するセンサ32により検知される。また、「トナーの交換」という操作は、画像形成装置1の外部からトナーへのアクセス経路上にある部材が移動されたことを検知するセンサ32により検知される。
【0059】
本実施形態においては、「カードの読み取り」という利用者71の操作に、「左側」という方向が対応づけられる。したがって、制御部22は、この操作が操作検知部17により検知された場合に、表示部15の視野角52を表示部15の左側方向に向ける。
【0060】
「カードの読み取り」という操作は、カード読み取り部81を使用する操作である。この操作は、操作部31により検知される場合もあるし、カード読み取り部81により検知される場合もある。ひとつの例においては、この操作は、操作部31により検知される。
【0061】
1.7 画像形成装置により行われる処理
図11は、第1実施形態の画像形成装置により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
画像形成装置1は、
図11に示されるステップS101からS109までを実行する。
【0063】
ステップS101においては、操作部31が、画像形成装置1により提供されるサービスを選択する操作を受け付ける。
【0064】
続くステップS102においては、操作検知部17が、行われた操作51を検知する。
【0065】
続くステップS103においては、制御部22が、チルト機構16により出力される信号により示されるチルト角度55が第1の角度以下であるか否かを判定する。第1の角度は、例えば、15°である。チルト角度55が第1の角度以下であると判定された場合は、ステップS108が実行される。チルト角度55が第1の角度以下でないと判定された場合は、ステップS104が実行される。
【0066】
ステップS104においては、制御部22が、チルト機構16により出力される信号により示されるチルト角度55が第2の角度以上であるか否かを判定する。第2の角度は、第1の角度より大きい角度であり、例えば、85°である。チルト角度55が第2の角度以上であると判定された場合は、ステップS105、S106及びS108が順次に実行される。チルト角度55が第2の角度以上でないと判定された場合は、ステップS106、S107及びS108が順次に実行される。
【0067】
ステップS105においては、制御部22が、表示部15の視野角52の広さ53を調整する。制御部22は、その際に、表示部15の視野角52の広さ53を、デフォルトの広さより狭くする。
【0068】
続くステップS106においては、制御部22が、表示部15の視野角52を向ける方向54を調整する。制御部22は、その際に、表示部15の視野角52を向ける方向54を、ステップS102において検知された操作51に応じた方向にする。
【0069】
ステップS107においては、制御部22が、表示部15の視野角52の広さ53を調整する。制御部22は、その際に、表示部15の視野角52の広さ53を、デフォルトの広さより狭くする。
【0070】
ステップS103からS107までにより、制御部22は、チルト角度55が第1の角度以下である場合に、表示部15の視野角52の広さ53及び表示部15の視野角52を向ける方向54を調整することを行わない。制御部22は、その際に、視野角52の広さ53をデフォルトの広さとし、視野角52をデフォルトの方向に向ける。このため、制御部22は、チルト角度55が第1の角度以下である場合に、表示部15の視野角52を調整することを行わない。
【0071】
また、制御部22は、チルト角度55が第2の角度以上である場合に、表示部15の視野角の広さ53及び表示部15の視野角52を向ける方向54を調整することを行う。制御部22は、その際に、視野角52の広さ53をデフォルトの広さより狭くし、視野角52をステップS102において検知された操作51に応じた方向に向ける。このため、制御部22は、チルト角度55が第2の角度以上である場合に、表示部15の視野角52を調整することを行う。
【0072】
また、制御部22は、チルト角度55が第1の角度より大きく第2の角度より小さい場合に、表示部15の視野角の広さ53を調整することを行い、表示部15の視野角52を向ける方向54を調整することを行わない。制御部22は、その際に、視野角52の広さ53をデフォルトの広さより狭くし、視野角52をデフォルトの方向に向ける。
【0073】
ステップS108においては、制御部22が、操作51が終了したか否かを判定する。操作51が終了したと判定された場合は、ステップS109が実行される。操作51が終了していないと判定された場合は、再びステップS102が実行される。
【0074】
ステップS109においては、制御部22は、ステップS101において選択されたサービスを提供するためのジョブを画像形成装置1に備えられる要素に実行させる。
【0075】
1.8 表示部の視野角を向ける方向を調整する処理
図12は、第1実施形態の画像形成装置により行われる、表示部の視野角を向ける方向を調整する処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。
【0076】
第1の例においては、画像形成装置1は、
図11に示されるステップS106を実行する際に、
図12に示されるステップS111及びS112を実行する。
【0077】
ステップS111においては、制御部22が、表示部15の視野角52が操作検知部17により検知された操作51に応じた方向に向けられているか否かを判定する。制御部22は、その際に、対応表41を参照し、視野角52が対応表41において操作51に対応づけられた方向に向けられている場合に、視野角52が操作51に応じた方向に向けられていると判定し、視野角52が対応表41において操作51に対応づけられた方向に向けられていない場合に、視野角が操作51に応じた方向に向けられていないと判定する。視野角52が操作51に応じた方向に向けられていると判定された場合は、そのまま処理が終了する。視野角52が操作51に応じた方向に向けられていないと判定された場合は、ステップS112が実行される。
【0078】
ステップS112においては、制御部22が、表示部15の視野角52を操作51に応じた方向に向ける。制御部22は、その際に、対応表41を参照し、視野角52を対応表41において操作51に対応づけられた方向に向ける。
【0079】
ステップS111及びS112により、制御部22は、表示部15の視野角52を向ける方向54を調整する処理を開始した時点の状態にかかわらず、視野角52を操作51に応じた方向に向けることができる。
【0080】
図13は、第1実施形態の画像形成装置により行われる、表示部の視野角を向ける方向を調整する処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。
【0081】
第2の例においては、画像形成装置1は、
図11に示されるステップS106を実行する際に、
図13に示されるステップS121及びS122を実行する。
【0082】
ステップS121においては、制御部22が、表示部15の視野角52が利用者71の位置に応じた方向に向けられているか否かを判定する。制御部22は、その際に、撮像部19が画像形成装置1の周辺を撮像して得られた画像に基づいて利用者71の位置を検知し、視野角52を向けている方向と検知した位置に向かう方向との差が基準以下である場合に、視野角52が当該位置に応じた方向に向けられていると判定し、当該差が基準より大きい場合に、視野角52が当該位置に応じた方向に向けられていないと判定する。視野角52が当該位置に応じた方向に向けられていると判定された場合は、そのまま処理が終了する。視野角52が当該位置に応じた方向に向けられていないと判定された場合は、ステップS122が実行される。
【0083】
ステップS122においては、制御部22が、表示部15の視野角52を、画像形成装置1の周辺を撮像して得られた画像に基づいて検知した利用者71の位置に応じた方向に向ける。
【0084】
ステップS121及びS122により、制御部22は、表示部15の視野角52を向ける方向54を調整する処理を開始した時点の状態にかかわらず、視野角52を画像形成装置1の周辺を撮像して得られた画像に基づいて検知した利用者71の位置に応じた方向に向けることができる。
【0085】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置、11 原稿読み取り部、12 記録媒体読み取り/書き込み部、13 第1の画像形成部、14 第2の画像形成部、15 表示部、16 チルト機構、17 操作検知部、18 通信部、19 撮像部、20 課金部、21 記憶部、22 制御部、31 操作部、32 センサ、41 対応表、51 操作、52 視野角、53 広さ、54 方向、55 チルト角度、61 画面、71 利用者、72 右側通行人、73 左側通行人、74 正面通行人、81 カード読み取り部、91 通行人、101 操作、102 操作、103 方向、111 取り出し口、112 排紙トレイ、113 給紙トレイ。