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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183434
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】携帯端末装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20231221BHJP
   H01Q 1/20 20060101ALI20231221BHJP
   H01R 12/57 20110101ALI20231221BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q1/20
H01R12/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096941
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】青野 英明
【テーマコード(参考)】
5E223
5J047
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA11
5E223AB42
5E223AB43
5E223BA27
5E223BA30
5E223BB12
5E223CB03
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CB46
5E223CB47
5E223CD01
5E223DA13
5E223DB08
5E223DB11
5J047AA02
5J047AA05
5J047AB06
(57)【要約】
【課題】本開示は、アンテナ性能の劣化を防止し、回路部材とアンテナとの導通を安定して確保可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】本開示は、回路部材と、前記回路部材側に延在した接続部を有する導電性部材と、前記接続部と前記回路部材とを接続する可撓性部材と、を備え、前記可撓性部材は、前記接続部との接点を2点以上有し、前記導電性部材は、側面視において前記回路部材と上下方向で重ならない位置に配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路部材と、
前記回路部材側に延在した接続部を有する導電性部材と、
前記接続部と前記回路部材とを接続する可撓性部材と、
を備え、
前記可撓性部材は、前記接続部との接点を2点以上有し、
前記導電性部材は、側面視において前記回路部材と上下方向で重ならない位置に配置されていることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記接続部は、L形状であり、凸部及び凹部を有し、
前記可撓性部材は、前記凸部と接続し篏合する篏合部を有していることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記篏合部は、R部及び第1湾曲部を有することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記可撓性部材は、前記回路部材の表面に垂直な基面と、前記基面上部から前記R部へと伸びる上面と、前記基面下部から前記第1湾曲部へと伸びる下面とを有し、
前記第1湾曲部は、前記上面と接する当接部を有することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記R部及び前記第1湾曲部の間には、隙間部を有することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記可撓性部材は、前記上面と前記下面とを接続する側面部をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記可撓性部材は、前記可撓性部材の前記基面側を覆う補強部を有することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記凸部は、テーパー部を有することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記接続部は、前記導電性部材の上部及び下部から前記回路部材方向に延び、前記可撓性部材と接触する第1接触部及び第2接触部を有し、
前記可撓性部材は、第1湾曲部と、前記第1湾曲部からさらに湾曲したU形状の第2湾曲部を有し、
前記第1接触部の下面及び前記第2接触部の上面は、前記第2湾曲部と接続することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記接続部は、前記第2接触部の上面に、前記第2湾曲部を固定する第1引っかけ部をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の携帯端末装置。
【請求項11】
前記接続部は、前記導電性部材の上部及び下部から前記回路部材方向に延び、前記可撓性部材と接触する第1接触部及び第2接触部を有し、
前記可撓性部材は、第1湾曲部と、前記第1湾曲部からさらに湾曲したS形状の第3湾曲部を有し、
前記第1接触部の下面及び前記第2接触部の上面は、前記第3湾曲部と接続することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項12】
前記接続部は、前記第1接触部の上面に、前記第3湾曲部を固定する第2引っかけ部を有することを特徴とする請求項11に記載の携帯端末装置。
【請求項13】
前記回路部材に実装された固定部を備え、
前記可撓性部材は、T形状又はH形状であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項14】
前記接続部は、L形状であり、凸部及び凹部を有し、
前記可撓性部材は、前記凹部内にて湾曲する第4湾曲部を有し、
前記第4湾曲部は、前記凹部内にて前記接続部と接続することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項15】
前記可撓性部材は、前記回路部材の厚み方向を挟み込むように固定され、
前記可撓性部材が前記接続部と接続し篏合する篏合部は、R部及び第1湾曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な携帯端末装置が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、プリント基板の部品実装面積を減らすことなく金属筐体とプリント基板の接触を安定させ、無線性能の劣化を防ぐために、ボスの座面と座面に接触するプリント基板の接触面との間に、それら座面と接触面とにバネ圧をもって接触するよう加工された金属板が挟まれ、その金属板がボスに固定された状態でボスにプリント基板およびケース部材が締結されるよう構成された携帯型無線装置のボス取り付け構造が開示されている。
【0004】
また特許文献2では、金属筐体の携帯電話機における接地の安定化及び接地位置の自由化を図るために、金属製の電池蓋1に対して一端部が接触する複数の導電ゴム部材をプラスチックフレーム部に設けると共に、導電ゴム部材の各他端部を金属プレート4に接触させることが開示されている。また、上記文献では、金属プレートに設けられた金属バネ部を、回路基板3上に設けられた各接地ポイントに接触させると共に、導電ゴム部材を回路基板上の接地ポイントに接触させること等が開示されている。
【0005】
さらに特許文献3では、電気的接触抵抗が安定し、また当接部にプランジャーの軸方向のみならずこれに直交する方向から当接されても、破損しないスプリングコネクタを提供するために、保持部材の孔aに、導電材からなるプランジャーを軸方向に移動自在でしかも軸回りに回転しないように配設し、孔内にプランジャーを突出方向に弾性付勢するスプリングを縮設すること等が開示されている。またプランジャーの端面を軸方向に対して斜めに交叉する斜面に形成し、当接部の先端面を斜面と同方向の斜面に形成し、保持部材に、プランジャーが抜け出ないようにしかも当接部を突出させて、導電材からなる導電端子を組み付け、スプリングが斜面に弾性付勢することで偏寄したプランジャーが摺接するように、導電端子の摺接部を保持部材に配設すること等が開示されている。
【0006】
さらに特許文献4では、側方突き出し型の表面実装において、接点部と筐体との接触が十分であるか否かの確認を容易にし、また組み付け時の変形を防止するために、表面実装コンタクトが底板をプリント基板のアースパターンに半田付けして表面実装され、プリント基板を筐体に組み付け後に、表面実装コンタクトの上に筐体の蓋や他のプリント基板等を組み付けると後退時係止部が押圧されて係止孔から外れる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-251972号公報
【特許文献2】特開2009-194223号公報
【特許文献3】特開2003-100374号公報
【特許文献4】特開2009-117769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記に開示された装置では、ビスとディスプレイとの距離が近づくことによりアンテナ性能の劣化が生じる場合がある。また、ディスプレイとアンテナの引き込みとの距離が近くなり、アンテナ特性が劣化する場合がある。また、平面方向の組み込みバラツキにより接点との距離が離れた際に接圧が弱くなり導通が不安定になる場合がある。
【0009】
そこで、本開示は上記問題に鑑み、アンテナ性能の劣化を防止し、回路部材とアンテナとの導通を安定して確保可能な携帯端末装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様では、回路部材と、前記回路部材側に延在した接続部を有する導電性部材と、前記接続部と前記回路部材とを接続する可撓性部材と、を備え、前記可撓性部材は、前記接続部との接点を2点以上有し、前記導電性部材は、側面視において前記回路部材と上下方向で重ならない位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本開示によれば、アンテナ性能の劣化を防止し、回路部材とアンテナとの導通を安定して確保可能な携帯端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施形態に係る携帯端末装置の概略を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続する前の図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る携帯端末装置の概略を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続した後の図である。
図3図3は、図2の側面図である。
図4図4は、図1に示す可撓性部材の変形例を示す側面図である。
図5図5は、図1に示す可撓性部材の他の変形例を示す斜視図である。
図6図6は、図1に示す可撓性部材の他の変形例を示す斜視図である。
図7図7は、図1に示す導電性部材の変形例を示す斜視図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る携帯端末装置の概略を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続する前の図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る携帯端末装置の概略を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続した後の図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る携帯端末装置の変形例を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続する前の図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る携帯端末装置の変形例を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続した後の図である。
図12図12は、第3の実施形態に係る携帯端末装置の概略を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続する前の図である。
図13図13は、第3の実施形態に係る携帯端末装置の変形例を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続する前の図である。
図14図14は、第3の実施形態に係る携帯端末装置の他の変形例を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続する前の図である。
図15図15は、可撓性部材の他の変形例を示す側面図である。
図16図16は、図15に示す可撓性部材を用いた第4の実施形態に係る携帯端末装置の概略を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続した後の図である。
図17図17は、可撓性部材の他の変形例を示す側面図である。
図18図18は、図17に示す可撓性部材を用いた第5の実施形態に係る携帯端末装置の概略を示す斜視図であり、可撓性部材が導電性部材に接続した後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。なお、図面は、携帯端末装置等をX軸、Y軸(奥行)及びZ軸(高さ)により示している。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る携帯端末装置100の概略を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続する前の図である。図2は、第1の実施形態に係る携帯端末装置100の概略を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続した後の図である。図3は、図2の側面図である。図1図2及び図3に示すように、第1の実施形態に係る携帯端末装置100は、回路部材10と導電性部材20と可撓性部材30とを備える。図1に示す携帯端末装置100に備える可撓性部材30が、導電性部材20に接続すると図2及び図3のようになり、可撓性部材30と導電性部材20とが導通される。なお、図1図2及び図3に示す-Z方向に不図示のディスプレイが設けられる。
【0015】
携帯端末装置100は、スマートフォン、パッド、ノートパソコン等の無線による通信が行われる装置に適用可能である。また、携帯端末装置100は、上記携帯端末などの電子機器全般の給電用電極及びグランド用電極を用いた装置に適用可能である。以下に携帯端末装置100の構成について説明する。
【0016】
回路部材10は、電子部品が実装されたプリント基板である。プリント基板は、複数の回路や絶縁樹脂等から構成される。
【0017】
導電性部材20は、アンテナ等の電波を受信する導電性の部材が挙げられる。導電性部材20は、回路部材10側に延在した接続部22を有する。接続部22は導電性部材20の基部21から回路部材10側に延在している。また、導電性部材20は、図3における側面視において、回路部材10と上下方向で重ならない位置に配置されている。つまり、導電性部材20及びそれの一部を構成する接続部22は、回路部材10と上下方向で平面視及び側面視において重ならない位置に配置されている。
【0018】
可撓性部材30は、回路部材10に実装され、接続部22と回路部材10とを接続し、接続部22と回路部材10とを導通させる。可撓性部材30は、接続部22との接点を2点以上有する。なお、可撓性部材30は、銅や鉄、ステンレス、チタンなどの金属からなり、板バネ等が挙げられる。
【0019】
導電性部材20が側面視において回路部材10と上下方向で重ならない位置に配置されているので、導電性部材20とディスプレイとの距離を大きくすることができ、アンテナ性能の劣化を防止することができる。また、可撓性部材30は、接続部22との接点を2点以上有するので、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。
【0020】
以下に具体的な態様について説明する。
【0021】
図1図2及び図3に示すように、導電性部材20が有する接続部22は、L形状であり、凸部23及び凹部24を有する。凸部23にて後述するR部35及び第1湾曲部36aと篏合する。
【0022】
可撓性部材30は、凸部23と接続し篏合する篏合部31を有している。当該篏合部31は、R部35及び第1湾曲部36aを有する。言い換えれば、可撓性部材30が有するR部35及び第1湾曲部36aによって、導電性部材20と篏合し、回路部材10と導電性部材20とを導通させる。
【0023】
図3に示すように、R部35は側面視においてR形状を有する。R部35は、凸部23方向に突出する面にて凸部23と接している。また、第1湾曲部36aは、R部35と逆方向から凸部23方向に湾曲する形状であり、凸部23方向に突出する面にて凸部23と接している。第1湾曲部36aは、J形状、L形状又はU形状である。このように、R部35及び第1湾曲部36aの2点以上にて接続部22と接している。また、図1図2及び図3に示すように可撓性部材30は、回路部材10の表面に垂直な基面32と、基面32上部からR部35へと伸びる上面33と、基面32下部から第1湾曲部36aへと伸びる下面34とを有する。
【0024】
上記のような接続部22及び可撓性部材30の構造とすることで、以下の効果を有する。組み込み時に回路部材10の位置や回路部材10に実装された可撓性部材30、導電性部材20の位置がずれ、それらの位置にばらつきが生じても、可撓性部材30の基面32の上部が+X方向又は-X方向に傾きR部35が+X方向又は-X方向に移動可能となり、かつ第1湾曲部36aが湾曲しているので、上記の位置ずれに追従でき、接続部22との接圧を適切にして安定した導通を確保することができる。また、装置の部品点数を増加させずに、回路部材10と可撓性部材30との安定した導通を確保することができる。また、ビス締めも不要の為、作業性も悪化せず、効率よく製造することができる。よって、アンテナ性能の劣化を防止し、回路部材10とアンテナとの導通をより安定して確保することができる。また、さらに、導電性部材20の接続部22の奥行の長さが可撓性部材30の接続部22の奥行(Y方向)の長さよりも長い場合、導電性部材20と回路部材10との接続位置を自由に変更できる。よって、実質的にアンテナの長さを調整できる。
【0025】
もし、導電性部材が側面視において回路部材と上下方向で重なる位置に配置されている場合であって、回路部材の-Z方向の面(裏面)と導電性部材から伸びた給電部から給電を行う場合、その給電位置の変更は、金型等の変更となるため、コストの増加、製造時間増加となり容易にすることができない。また、給電部の面積を大きくして給電位置を変更した場合、アンテナ特性の劣化が生じる場合がある。さらに導電性部材が側面視において回路部材と上下方向で重なる位置に配置されている場合であって、回路部材の+Z方向の面(表面)と導電性部材から伸びた給電部から給電を行う場合、その給電位置の変更は、回路部材の外形変更となるので、コストの増加、製造時間増加となり容易にすることができない。そこで、第1の実施形態に係る携帯端末装置100によれば、上記構成を有するので、上述した効果を得ることができる。
【0026】
以下に、可撓性部材30の好ましい形態について説明する。
【0027】
図4は、図1に示す可撓性部材30の変形例を示す側面図である。図4に示すように、可撓性部材30が有する第1湾曲部36aは、下面34からさらに延在及び湾曲させ、可撓性部材30の上面33と接する当接部40を有することが好ましい。
【0028】
もし、回路部材10、回路部材10に実装された可撓性部材30、導電性部材20の位置が大きくずれた場合でも、アンテナ性能の劣化を防止し、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。例えば、回路部材10が+X方向(右方向)にずれた場合、可撓性部材30のR部35と接続部22との接圧は、第1湾曲部36aと接続部22との接圧よりも大きくなり、導電性部材20からの導通は、R部35、可撓性部材30の上面33、可撓性部材30の基面32、可撓性部材30の下面34、回路部材10となる。一方で、回路部材10が-X方向(左方向)にずれた場合、可撓性部材30の第1湾曲部36aと接続部22との接圧は、R部35と接続部22との接圧よりも大きくなり、導電性部材20からの導通は、第1湾曲部36a、可撓性部材30の下面34、回路部材10となる。つまり、回路部材10や導電性部材20の位置が大きくずれた場合、経路長のばらつきが生じ、アンテナ特性を悪化させる場合がある。
【0029】
そこで、図4に示すような可撓性部材30は当接部40を有することで、回路部材10や導電性部材20の位置が大きくずれた場合でも、経路が複数生じないようにして経路長のばらつきを抑制し、アンテナ性能の劣化を防止し、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。なお、第1湾曲部36aは、下面34からさらに延在及び湾曲させ、可撓性部材30の基面32と接する当接部41をさらに有してもよい。
【0030】
また、図1及び図4に示すように、R部35及び第1湾曲部36aの間には、接続部22の厚み(X方向)よりも小さい隙間部60を有していてもよい。隙間部60は、R部35の-Z方向の先端と下面34側の第1湾曲部36aとの隙間である。このようにすれば、接続部22の凸部23に可撓性部材30を挿入しやすくなり、携帯端末装置100の製造を容易にすることができる。
【0031】
図5は、図1に示す可撓性部材30の他の変形例を示す斜視図である。図5に示すように、可撓性部材30は、上面33と下面34とを接続する側面部37をさらに有することが好ましい。側面部37を有することで、上面33と下面34との開きを防止して、接続部22とR部35及び接続部22と第1湾曲部36aとの接圧のばらつきを抑制し、回路部材10とアンテナとの導通をより安定して確保することができる。なお、側面部37も可撓性部材30と同様の材質や部材が用いられる。
【0032】
図6は、図1に示す可撓性部材30の他の変形例を示す斜視図である。図6に示すように、可撓性部材30は、可撓性部材30の基面32側を覆う補強部38を有することが好ましい。補強部38は、可撓性部材30の上面33及び基面32を覆っている。補強部38を有することで、可撓性部材30の形状の補強を行い、かつ可撓性部材30を回路部材10に実装する際、可撓性部材30の自重のバランスを取り、実装時における可撓性部材30の位置ずれを抑制することができる。なお、補強部38は、樹脂等からなる。
【0033】
以下に導電性部材20の好ましい形態について説明する。図7は、図1に示す導電性部材20の変形例を示す斜視図である。図7に示すように、凸部23は、テーパー部23aを有することが好ましい。テーパー部23aを有することで、接続部22に可撓性部材30を挿入しやすくなり、携帯端末装置100の製造を容易にすることができる。
【0034】
[第2の実施形態]
次に第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る携帯端末装置200は、接続部22と可撓性部材30の形態を変形させたものである。
【0035】
図8は、第2の実施形態に係る携帯端末装置200の概略を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続する前の図である。図9は、第2の実施形態に係る携帯端末装置200の概略を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続した後の図である。
【0036】
図8及び図9に示すように、接続部22は、導電性部材20の上部及び下部から回路部材10方向(+X方向)に延び、可撓性部材30と接触する第1接触部25及び第2接触部26を有する。また、可撓性部材30は、第1湾曲部36aと、第1湾曲部36aからさらに湾曲したU形状の第2湾曲部36bを有する。そして、第1接触部25の下方面25b及び第2接触部26の上方面26aは、第2湾曲部36bと接続することを特徴とする。このように、第1接触部25及び第2接触部26と、可撓性部材30が有する第2湾曲部36bとが接続し、回路部材10及び導電性部材20とを導通させる。
【0037】
第2湾曲部36bは、U形状であり、+Z方向に凸である。第2湾曲部36bは、+Z方向に凸の面と先端とによって接続部22と接続し、回路部材10と導電性部材20とを導通させる。第2湾曲部36bは、さらに湾曲しC形状とすることもできる。
【0038】
このようにすれば、回路部材10、回路部材10に実装された可撓性部材30、導電性部材20の位置がさらに大きくずれた場合でも、可撓性部材30の第1湾曲部36a及び第2湾曲部36bが+X方向又は-X方向に移動及び変形できるので、上記の位置ずれに追従でき、接続部22との接圧を適切にして、より安定した導通を確保することができる。また、第2湾曲部36bと第1接触部25及び第2接触部26との接触が+/-Z方向の2箇所のため、+X/-X方向のばらつきの影響を直接受けず、ばらつき発生時の経路長の変化は生じにくい。よって、よりアンテナ性能の劣化を防止し、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。
【0039】
なお、図8及び図9に示すように、可撓性部材30の基面32は無くてもよい。
【0040】
接続部22は、第2接触部26の上方面26aに、第2湾曲部36bを固定する第1引っかけ部27をさらに有することが好ましい。このようにすれば、第2湾曲部36bの先端と第2接触部26との接続を安定させることができる。第1引っかけ部27は、第2湾曲部36bを固定できればよく、例えば+Z方向に単数又は複数の凸な部材である。また、第1引っかけ部27は、第2接触部26の上方面26aに設けられたX方向に+Zとなる傾斜としてもよい。なお、第1引っかけ部27は、導電性部材20と同様の材質や部材が用いられる。
【0041】
次に第2の実施形態に係る携帯端末装置200の変形例について説明する。第2の実施形態に係る携帯端末装置200の変形例は、可撓性部材30の形態を変形させたものである。
【0042】
図10は、第2の実施形態に係る携帯端末装置200の変形例を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続する前の図である。図11は、第2の実施形態に係る携帯端末装置200の変形例を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続した後の図である。
【0043】
図10及び図11に示すように、可撓性部材30は、第1湾曲部36aと、第1湾曲部36aからさらに湾曲したS形状の第3湾曲部36cを有する。そして、第1接触部25の下方面25b及び第2接触部26の上方面26aは、第3湾曲部36cと接続することを特徴とする。このように、第1接触部25及び第2接触部26と、可撓性部材30が有する第3湾曲部36cとが接続し、回路部材10及び導電性部材20とを導通させる。
【0044】
第3湾曲部36cは、S形状であり、-X方向及び+Z方向に凸である。第3湾曲部36cは、-X方向及び+Z方向に凸の面と先端とによって接続部22と接続し、回路部材10と導電性部材20とを導通させる。
【0045】
このようにすれば、回路部材10、回路部材10に実装された可撓性部材30、導電性部材20の位置がさらに大きくずれた場合でも、可撓性部材30の第1湾曲部36a及び第3湾曲部36cが+X方向又は-X方向に変形できるので、上記の位置ずれに追従でき、接続部22との接圧を適切にして、さらに安定した導通を確保することができる。また、第3湾曲部36cと第1接触部25及び第2接触部26との接触が+/-Z方向の2箇所のため、+X/-X方向のばらつきの影響を直接受けず、ばらつき発生時の経路長の変化は生じにくい。よって、アンテナ性能の劣化をより防止し、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。
【0046】
接続部22は、第1接触部25の下方面25bに、第3湾曲部36cを固定する第2引っかけ部28を有することが好ましい。このようにすれば、第3湾曲部36cの先端と第1接触部25との接続を安定させることができる。第2引っかけ部28は、第3湾曲部36cを固定できればよく、例えば-Z方向に単数又は複数凸な部材である。また、第2引っかけ部28は、第1接触部25の下方面25bに設けられたX方向に-Zとなる傾斜としてもよい。なお、第2引っかけ部28は、導電性部材20と同様の材質や部材が用いられる。
【0047】
[第3の実施形態]
次に第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る携帯端末装置300は、接続部22と可撓性部材30の形態を変形させたものである。
【0048】
図12は、第3の実施形態に係る携帯端末装置300の概略を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続する前の図である。図12に示すように、第3の実施形態に係る携帯端末装置300は、回路部材10に実装された固定部50を備える。固定部50は、可撓性部材30を挟み込み固定する。可撓性部材30は、回路部材10に実装されていないので、単独でX方向に移動可能である。可撓性部材30は、T形状とすることができる。なお、図12に示すT形状の可撓性部材30の断面は、矩形である。また、固定部50は、導電性部材20と同様の材質や部材が用いられる。
【0049】
また、接続部22は、導電性部材20の上部及び下部から回路部材10方向に延び、可撓性部材30と接触する第1接触部25及び第2接触部26を有する。このように、固定部50に固定されたT形状の可撓性部材30の先端部30aと第1接触部25及び第2接触部26とを接続し、回路部材10と導電性部材20とを導通させる。
【0050】
このようにすれば、回路部材10、可撓性部材30及び導電性部材20の位置がさらに大きくずれた場合でも、可撓性部材30が+X方向又は-X方向に大きく移動することができるので、上記位置ずれに対し追従可能となり、接続部22との接圧を適切にして、安定した導通を確保することができる。よって、アンテナ性能の劣化をより防止し、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。
【0051】
また、図12に示すように、T形状の可撓性部材30を引っかける第3引っかけ部29を有することが好ましい。このようにすれば、T形状の可撓性部材30と第1接触部25及び第2接触部26との接続を安定させることができる。第3引っかけ部29は、T形状の可撓性部材30を固定できればよく、例えば+Z方向に複数の凸な部材である。また、第3引っかけ部29は、第1接触部25の下方面25bに設けられたX方向に-Zとなる傾斜又は第2接触部26の上方面26aに設けられたX方向に+Zとなる傾斜としてもよい。なお、第3引っかけ部29は、導電性部材20と同様の材質や部材が用いられる。
【0052】
図13に示すように、可撓性部材30は、H形状とすることもできる。また図14に示すように、T形状の可撓性部材30の断面を円形にすることもできる。第3の実施形態に係る携帯端末装置300の可撓性部材30は、軽量化の目的で中を空洞、筒状としてもよい。
【0053】
[第4の実施形態]
次に第4の実施形態について説明する。第4の実施形態に係る携帯端末装置400は、可撓性部材30の形態を変形させたものである。
【0054】
図15は、可撓性部材30の他の変形例を示す側面図である。図16は、図15に示す可撓性部材30を用いた第4の実施形態に係る携帯端末装置の概略を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続した後の図である。
【0055】
図15に示すように、可撓性部材30は、可撓性部材30の上面33から下方向及び上方向に湾曲する第4湾曲部36dを有する。また、図16に示すように、接続部22は、図1に示す接続部22と同様にL形状であり、凸部23及び凹部24を有する。また、回路部材10に実装された固定部50を備える。固定部50は、可撓性部材30を挟み込み固定する。可撓性部材30は、回路部材10に実装されていないので、単独でX方向に移動可能である。
【0056】
そして図16に示すように、当該凹部24にて第4湾曲部36dは、可撓性部材30の上面33から湾曲し、基部21と凸部23と接することで、接続部22(導電性部材20)と接続される。なお、可撓性部材30は側面部37を設け、X方向における湾曲の開きを防止してもよい。また、第4湾曲部36dの先端は、経路長ばらつき抑制のため、可撓性部材30の上面33と接していることが好ましい。
【0057】
このようにすれば、回路部材10、可撓性部材30及び導電性部材20の位置がさらに大きくずれた場合でも、可撓性部材30が+X方向又は-X方向に大きく移動することができるので、上記位置ずれに対し追従可能となり、接続部22との接圧を適切にして、安定した導通を確保することができる。よって、アンテナ性能の劣化をより防止し、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。
【0058】
[第5の実施形態]
次に第5の実施形態について説明する。第5の実施形態に係る携帯端末装置500は、可撓性部材30の形態を変形させたものである。
【0059】
図17は、可撓性部材30の他の変形例を示す側面図である。図18は、図17に示す可撓性部材30を用いた第5の実施形態に係る携帯端末装置500の概略を示す斜視図であり、可撓性部材30が導電性部材20に接続した後の図である。
【0060】
図17及び図18に示すように、可撓性部材30は、回路部材10の厚み方向を挟み込むように回路部材10を固定する。可撓性部材30は、一対の把持部39を設けて回路部材10の厚み方向を挟み込むように固定すればよい。把持部39は、少なくとも+Z方向及び-Z方向のいずれか一方に設けてもよく、+Z方向及び-Z方向の両方に設けてもよい。導通は、導電性部材20から把持部39を通じて回路部材10へ行われる。
【0061】
なお、第5の実施形態においても、可撓性部材30が接続部22と接続し篏合する篏合部31は、R部35及び第1湾曲部36aを有する。
【0062】
このようにすれば、回路部材10、導電性部材20の位置がさらに大きくずれた場合でも、可撓性部材30のR部35及び第1湾曲部36aが湾曲しており、かつ把持部39と回路部材10の接続位置が+X方向又は-X方向に大きく変更することができるので、上記位置ずれに追従でき、接続部22との接圧を適切にして、把持部39を通じて安定した導通を確保することができる。よって、アンテナ性能の劣化をより防止し、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。
【0063】
以上より、本開示に係る携帯端末装置100、200、300、400、500によれば、アンテナ性能の劣化を防止し、回路部材10とアンテナとの導通を安定して確保することができる。
【0064】
なお、上記のように本開示の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本開示の範囲に含まれるものとする。
【0065】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、携帯端末装置の構成、動作も本開示の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 回路部材、
20 導電性部材、21 基部、22 接続部、23 凸部、23a テーパー部、24 凹部、25 第1接触部、25b (第1接触部の)下方面、26 第2接触部、26a (第2接触部の)上方面、27 第1引っかけ部、28 第2引っかけ部、29 第3引っかけ部、
30 可撓性部材、31 篏合部、32 基面、33 上面、34 下面、35 R部、36a 第1湾曲部、36b 第2湾曲部、36c 第3湾曲部、36d 第4湾曲部、37 側面部、38 補強部、39 把持部、
40、41 当接部、
50 固定部、
60 隙間部、
100、200、300、400、500 携帯端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17
図18