(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183438
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】記録媒体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/52 20060101AFI20231221BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20231221BHJP
B41J 15/06 20060101ALI20231221BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20231221BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20231221BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20231221BHJP
G09F 3/18 20060101ALI20231221BHJP
B41M 5/50 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B41M5/52 300
B41J3/36 Z
B41J15/06
G09F3/00 G
G09F3/02 A
G09F3/10 Z
G09F3/18 Z
B41M5/50 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096950
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大川 紫
【テーマコード(参考)】
2C055
2C060
2H111
【Fターム(参考)】
2C055AA12
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C055GG05
2C055GG12
2C060BA09
2C060BC84
2H111CA03
2H111CA05
2H111CA11
(57)【要約】
【課題】
サーマルプリンタを用いて印字する際に、しわの発生が抑制でき、印刷不良を防止することが可能な折り畳みテープを提供すること。
【解決手段】
表面の少なくとも一部に印字領域が設けられ、裏面に粘着層が設けられたシート本体と、前記粘着層を覆う剥離シートと、で構成された長尺シートを、前記印字領域がすべて露出するように前記長尺シートの長手方向と平行する稜線で折り畳んだ記録媒体であって、前記長尺シートの前記印字領域を有する部分の前記長手方向と直交する方向における端部から前記稜線までの長さが、前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記稜線から端部までの長さより0.3mm以上長い。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の少なくとも一部に印字領域が設けられ、裏面に粘着層が設けられたシート本体と、前記粘着層を覆う剥離シートと、で構成された長尺シートを、
前記印字領域がすべて外表面に露出するように前記長尺シートの長手方向と平行する稜線で折り畳んだ記録媒体であって、
前記長尺シートの前記印字領域を有する部分の前記長手方向と直交する方向における端部から前記稜線までの長さが、前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記稜線から端部までの長さより0.3mm以上長いことを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
表面の少なくとも一部に印字領域が設けられ、裏面に粘着層が設けられたシート本体と、前記粘着層を覆う剥離シートと、で構成された長尺シートを、
前記印字領域がすべて外表面に露出するように前記長尺シートの長手方向と平行する第1の稜線で折り畳み、
前記第1の稜線で折り畳まれた前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分を、前記長尺シートの長手方向と平行する第2の稜線で折り畳んだ記録媒体であって、
前記長尺シートの前記印字領域を有する部分の前記長手方向と直交する方向における端部から前記第1の稜線までの長さが、前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記第1の稜線から前記第2の稜線までの長さより0.3mm以上長く、
前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記第1の稜線から前記第2の稜線までの長さが、前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記第2の稜線から端部までの長さと同じまたはそれ以上の長さである
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録媒体が収納されていることを特徴とするカセット。
【請求項4】
請求項3に記載のカセットが装着され、前記記録媒体に印刷を行うことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電線やその他の線材や棒材に巻き付けるものであって、識別記号等が印字されたマーカーシールを作るための記録媒体、該記録媒体が収納されたカセット、及び該カセットが装着された印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電工事現場等では乱雑になっているケーブルを区別するために、ケーブルに貼りつけるためのラベルや、ケーブルに通すためのチューブが用いられている。また、ラベルやチューブに色や文字、記号等が印字されていると見分けがつきやすく作業性があがる。そのため、配電工事現場等では長尺状のラベルや長尺状のチューブに印字を行い、カットして使用できる熱転写プリンタが多く用いられている。中でも長尺状のラベルは、印字面と透明な非印字面を併せ持ち、ケーブルに対して印字面を覆い被せるように非印字面を巻き付けながら貼ることで、印字領域の保護と剥がれ防止を兼ね備えることができる。しかし、径が太いケーブルに対応するためにはラベルの幅を大きくする必要があり、印刷装置も大型化しなければならないという問題があった。
【0003】
このような問題を解決する手段として、幅方向に折り畳まれたテープが利用できる。例えば、特許文献1には、テープの長手方向に直交する幅方向を、長手方向に沿って3等分する折れ線を設定し、隣り合う折れ線での折り曲げ方向が相互に逆で、かつテープ本体の印刷領域が表面に露出するようにテープを折り曲げた折り畳みテープが記載されている。このような折り畳みテープを使用することで、印刷装置を大きくせずに径が太いケーブルに対応することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の折り畳みテープに熱転写プリンタを用いて印字を行うと、テープにしわが発生し、印刷不良を引き起こす場合があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、熱転写プリンタを用いて印字する場合にしわの発生を防ぎ、印刷不良を防止することが可能な折り畳みテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録媒体は、表面の少なくとも一部に印字領域が設けられ、裏面に粘着層が設けられたシート本体と、前記粘着層を覆う剥離シートと、で構成された長尺シートを、前記印字領域がすべて外表面に露出するように前記長尺シートの長手方向と平行する稜線で折り畳んだ記録媒体であって、前記長尺シートの前記印字領域を有する部分の前記長手方向と直交する方向における端部から前記稜線までの長さが、前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記稜線から端部までの長さより0.3mm以上長いことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の記録媒体は、表面の少なくとも一部に印字領域が設けられ、裏面に粘着層が設けられたシート本体と、前記粘着層を覆う剥離シートと、で構成された長尺シートを、前記印字領域がすべて外表面に露出するように前記長尺シートの長手方向と平行する第1の稜線で折り畳み、前記第1の稜線で折り畳まれた前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分を、前記長尺シートの長手方向と平行する第2の稜線で折り畳んだ記録媒体であって、前記長尺シートの前記印字領域を有する部分の前記長手方向と直交する方向における端部から前記第1の稜線までの長さが、前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記第1の稜線から前記第2の稜線までの長さより0.3mm以上長く、前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記第1の稜線から前記第2の稜線までの長さが、前記長尺シートの前記印字領域を有さない部分の前記長手方向と直交する方向における前記第2の稜線から端部までの長さと同じまたはそれ以上の長さであることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の他の実施態様は、このような折り畳まれたテープ形状の記録媒体を収納したカセット、及び前記カセットを装着し、前記記録媒体に印刷を施す印刷装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、折り畳みテープに熱転写プリンタを用いて印字する際に、しわの発生を抑制し、印刷不良を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係わる印刷装置の全体構成図である。
【
図2】
図1の印刷装置における印字部周辺の拡大図であり、サーマルヘッドが搬送路Pから離間した離間位置を示す。
【
図3】
図1の印刷装置における印字部周辺の拡大図であり、サーマルヘッドがプラテンローラに当接した当接位置を示す。
【
図4】
図1の印刷装置における印字部周辺の拡大図であり、記録媒体として折り畳みテープがセットされた図を示す。
【
図5】
図1の印刷装置における供給部において、装着可能なアタッチメントの一例を示す図である。
【
図6】
図1の印刷装置における刃受の拡大図である。
【
図7】
図1の印刷装置における切断部周辺の拡大図であり、記録媒体としてチューブがセットされた図を示す。(a)は、刃受がハーフカット位置であり、カッターが退避位置にいる図を示し、(b)は、刃受がハーフカット位置であり、カッターが切断位置にいる図を示し、(c)は、刃受がフルカット位置であり、カッターが退避位置にいる図を示し、(d)は、刃受がフルカット位置であり、カッターが切断位置にいる図を示す。
【
図9】折り畳みテープの断面図である。(a)は1つの稜線で回折り畳まれたテープであり、(b)は2つの稜線で異なる方向に畳まれたテープであり、(c)は2つの稜線で同じ方向に畳まれたテープである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。
【0013】
本明細書において、「記録媒体」は、その上に印刷により文字、図形、記号等の有意の情報を形成するもののみならず、特段の意味を有しない画像、模様、パターン等を形成するものも含む。
【0014】
本明細書において、「印刷」および「印字」は、記録媒体上に文字、図形、記号等の有意の情報を形成するもののみならず、特段の意味を有しない画像、模様、パターン等を形成するものも含む。
【0015】
図1は本発明に係わる印刷装置(熱転写プリンタ)の全体構成図である。印刷装置Aは、選択的にセットされるチューブ、ラベルまたは折り畳みテープ等の長尺状の記録媒体に印刷を行うことができる。印刷装置Aは、持ち運び可能に構成されており、キーボードや入力制御部を有する入力部F、LCDや表示制御部を有する表示部H、サーマルヘッド21(
図2参照)とプラテンローラ20(
図2参照)を備え、リボンカセットGに収容されたインクリボン22(
図2参照)によって記録媒体に印字処理を行う印字部C、記録媒体の搬送方向において印字部Cよりも上流側に配置され、記録媒体を印字部Cへと搬送させる供給部B、記録媒体の搬送方向において印字部Cよりも下流側に配置され、記録媒体に対してハーフカット(半切り)やフルカット(全切り)等の切断処理を行う切断部D、印字処理や切断処理が行われた記録媒体を装置外に排出する排出部E、及びこれら各部を制御する図示しない制御部を備えている。なお、
図1に示した印刷装置Aでは、供給部Bに記録媒体の供給をサポートするアタッチメント10が装着されており、アタッチメント10には記録媒体を搬送するための搬送路Pが形成されている。
【0016】
[入力部]
入力部Fは、コンピュータ等とほぼ同様に、シフトキー、文字・数字・記号キー、スペースキー、変換キー、十字方向キー、エンターキー等を有しており、ユーザはこれらのキーを操作することで、記録媒体の種類やサイズ、印字文字や印字数量、切断の有無等を入力し、印字条件及び切断条件を設定することができる。
【0017】
[表示部]
表示部HのLCDは、印字モードや印字数量、切断条件等を表示する印字情報表示エリア、入力部Fから入力された文字、数字、記号等を表示する文字情報表示エリア、文字サイズやページ数等を表示するパラメータ表示エリア等に分割されており、ユーザは印字する詳細条件を表示部Hで確認することができる。
【0018】
[印字部]
印字部Cは、
図2に示すように、サーマルヘッド21と、サーマルヘッド21に対向するように配置されたプラテンローラ20と、プラテンローラ20の下流側にプラテンローラ20と対向するように配置された搬送ローラ23を有している。サーマルヘッド21とプラテンローラ20との間にはインクリボン22が介在している。インクリボン22はリボンカセットGの供給スプールから供給され、巻取りスプールによって巻き取られる。プラテンローラ20、搬送ローラ23及びリボンカセットGの巻取りスプールは図示しない駆動列で連結され、図示しないモータによって回転駆動させている。また、サーマルヘッド21は、
図2に示すようにプラテンローラ20から離間した離間位置と、
図3に示すようにプラテンローラ20に当接する当接位置に移動可能に構成され、図示しない駆動列とモータによって当接・離間を行う。
【0019】
記録媒体への印字は
図4に示すような状態で行われる。
図4では記録媒体として折り畳みテープ101を使用しているが、印字する際、折り畳みテープ101はプラテンローラ20とインクリボン22の間に挟まれ、サーマルヘッド21によってプラテンローラ20側へ押圧されながら搬送される。また、ユーザーが入力した印字データに従ってサーマルヘッド21の発熱素子が加熱され、その熱でインクリボン22のインクが溶融して折り畳みテープ101に転写されることで、折り畳みテープ101上に文字Xが印字される。
【0020】
[供給部]
印字装置Aは、供給部Bに装着するアタッチメントを変更することによって、チューブ、ラベルまたは折り畳みテープ等の各種記録媒体を供給できるように構成されている。
図5に、装着できるアタッチメントの一例として、ロール状に巻かれた折り畳みテープ101が収納されたテープカセット13を示す。テープカセット13は、
図1に示したチューブ供給用のアタッチメント10と入替えることで使用できる。供給部Bにテープカセット13を装着すると、供給部Bに設置された供給ローラ11と供給コロ12の間に折り畳みテープ101が挿入され、供給コロ12が供給ローラ11に圧接することで、下流にある印字部Cに折り畳みテープ101が搬送される。供給ローラ11は図示しない駆動列で連結されおり、図示しないモータで回転駆動されている。尚、供給ローラ11は、プラテンローラ20、搬送ローラ23及びリボンカセットGの巻取りスプールと同一駆動源に連結されて回転駆動されていても良い。
【0021】
[切断部]
切断部Dは、
図4に示すようにカッター30と刃受31で構成されており、印字された記録媒体を所定の長さにハーフカット(半切り)もしくはフルカット(全切り)できる。ハーフカットとフルカットの切換えは、
図6に示すようなハーフカット板32を備えた刃受31を用いて実施される。刃受31はハーフカット面M2とフルカット面M1を有しており、この2つの面がカッター30の刃と平行する軸の周りに回転できるように構成されている。また、刃受31は、ハーフカット板32で形成された微細な段差によって記録媒体に対するカッター30の刃の進入量を規制できるので、カッター30の刃が当接する面をハーフカット面M2にするか、あるいはフルカット面M1にするかを選択することで、ハーフカットとフルカットの切替えを可能にしている。
【0022】
具体的には、
図7(a)に示すように、刃受31を回転させてハーフカット面M2をカッター30の刃に当接する位置に移動させ、続いて
図7(b)に示すように、カッター30を不図示の駆動手段によって退避位置から切断位置へ移動させることでハーフカットが実施される。また、
図7(c)に示すように、刃受31を回転させてフルカット面M1をカッター30の刃に当接する位置に移動させ、続いて
図7(d)に示すように、カッター30を不図示の駆動手段によって退避位置から切断位置へと移動させることでフルカットが実施される。
【0023】
尚、本実施例では刃受31にハーフカット板32を装着することで段差を形成しているが、ハーフカット板32を装着せず、刃受31に直接へこみ部を設けて段差を形成させても良い。
【0024】
[排出部]
排出部Eには、
図7に示すような排出ガイド33が備えられている。排出ガイド33は、切断部Dで切断される記録媒体の浮き上がりを防止する役割と、切断処理中にユーザーが誤って排出口から指を入れてもカッター30まで指が届かないようにする怪我防止の役割を担っている。
【0025】
[記録媒体(折り畳みテープ)]
本発明の記録媒体101は、
図8に示すように印字領域102がすべて外表面に露出するように折り畳まれた長尺状のシートであり、以下の2つの実施形態を有している。
【0026】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態において記録媒体101は、
図9(a)に示すように表面の少なくとも一部に印字領域102が設けられ、裏面に不図示の粘着層が設けられたシート本体104と、粘着層を覆う剥離シート106と、で構成された長尺シートを、印字領域102がすべて外表面に露出するように長尺シートの長手方向と平行する第1の稜線105で折り畳んだ形状を成している。そして、長尺シートの印字領域102を有する部分の長手方向と直交する方向における端部108から第1の稜線105までの長さ112が、長尺シートの印字領域102を有さない部分の長手方向と直交する方向における第1の稜線105から端部109までの長さ113よりも0.3mm以上長くなるように調整されている。
【0027】
<第2の実施形態>
また、本発明の第2の実施形態において記録媒体101は、
図9(b)または
図9(c)に示すように、表面の少なくとも一部に印字領域102が設けられ、裏面に不図示の粘着層が設けられたシート本体104と、粘着層を覆う剥離シート106と、で構成された長尺シートを、印字領域102がすべて外表面に露出するように長尺シートの長手方向と平行する第1の稜線105で折り畳み、第1の稜線105で折り畳まれた長尺シートの印字領域102を有さない部分を、長尺シートの長手方向と平行する第2の稜線107でさらに折り畳んだ形状を成している。そして、長尺シートの印字領域102を有する部分の長手方向と直交する方向における端部108から第1の稜線105までの長さ112が、長尺シートの印字領域102を有さない部分の長手方向と直交する方向における第1の稜線105から第2の稜線107までの長さ114より0.3mm以上長くなるように調整され、長尺シートの印字領域102を有さない部分の長手方向と直交する方向における第1の稜線105から第2の稜線107までの長さ114が、長尺シートの印字領域102を有さない部分の長手方向と直交する方向における第2の稜線107から端部109までの長さ115と同じ、またはそれ以上の長さとなるように調整されている。
【0028】
このように、幅広の記録媒体101を長手方向に1回または2回折り畳むことで、前述したようなコンパクトな記録装置で印字することが可能となる。また、記録媒体101の印字領域102を有する部分をケーブルに貼り、これを覆うように印字領域102を有さない部分を巻き付けながら貼ることで、印字領域102の保護と剥がれ防止を兼ね備えることができる。
【0029】
さらに、記録媒体101の印字領域102を有する部分の長手方向と直交する方向における長さ112を、記録媒体101の印字領域102を有さない部分の長手方向と直交する方向における長さ113(もしくは114)より長くすることで、熱転写プリンタを用いて印字した場合に発生していたしわが抑制され、印刷不良を防止することができる。
【0030】
シート本体104は透明または半透明のフィルムで製造され、印字領域102は熱転写用のインクが転写できる樹脂で形成されており、印字された文字や記号が容易に認識できるように着色されている。また、剥離シート106は、粘着層と接する面に不図示の離型剤がコーティングされたフィルムで構成されている。シート本体104、印字領域102、粘着層、および剥離シート106の素材は特に限定されず、従来より公知の素材が使用できる。また、印字領域102は、シート本体104を直接着色して形成されていてもよい。
【0031】
(しわの発生機構)
従来の折り畳みテープ(特許文献1に記載された長手方向に3等分する折れ線で折り曲げられた折り畳みテープ)に熱転写プリンタで印字を行う際に、折り畳みテープにしわが発生した理由は次のように推察される。
【0032】
印刷装置A(熱転写プリンタ)では、
図4に示すように供給部Bに記録媒体101が供給されると、供給ローラ11と供給コロ12の間に記録媒体101が挿入され、供給コロ12が供給ローラ11に圧接することで印字部Cへ記録媒体101が搬送される。その後、記録媒体101の先端が印字部Cのプラテンローラ20に到達すると、記録媒体101にはプラテンローラ20からの搬送力が加えられる。一方、印字部Cには、プラテンローラ20に対向する位置にサーマルヘッド21が配置されており、両者の間に記録媒体101とインクリボン22が挟み込まれた状態で印字が行われる。その後、記録媒体101とインクリボン22は並行して搬送されるが、その際の搬送力はプラテンローラ20が支配的であり、インクリボン22の巻き取りは記録媒体101の搬送につられて進むように構成されている。しかしながら、インクリボン22とサーマルヘッド21の間には少なからず抵抗があり、これが原因でプラテンローラ20の外周速度とインクリボン22の巻き取り速度に速度差が生じてしまう。記録媒体として折り畳みテープを使用した場合にこのような速度差が生じると、折り畳みテープのインクリボン22と接する表面側と、折り畳みテープのプラテンローラ20と接する裏面側で搬送速度にズレが生じ、これが原因でしわが発生したと考えられる。
【0033】
(本発明の効果)
本発明の記録媒体101は、
図10に示すように印字領域102を有する部分の裏面が部分的に露出しており、この露出部分116がプラテンローラ20に接触することでプラテンローラ20の搬送力をインクリボン22側へ直接伝えることができるので、折り畳みテープの表面側と裏面側で搬送速度にズレが生じず、しわの発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0034】
A 印字装置
B 供給部
C 印字部
D 切断部
E 排出部
F 入力部
G リボンカセット
H 表示部
M1 フルカット面
M2 ハーフカット面
P 搬送路
X 画像(文字)
10 アタッチメント
11 供給ローラ
12 供給コロ
13 カセット
20 プラテンローラ
21 サーマルヘッド
22 インクリボン
23 搬送ローラ
30 カッター
31 刃受
32 ハーフカット板
33 排出ガイド
100 チューブ
101 折り畳みテープ
102 印字領域
103 長手方向
104 シート本体
105 稜線(第1の稜線)
106 剥離シート
107 第2の稜線
108 印字領域を有する部分の端部
109 印字領域を有さない部分の端部
112 端部108から第1の稜線105までの長さ
113 第1の稜線105から端部109までの長さ
114 第1の稜線105から第2の稜線107までの長さ
115 第2の稜線107から端部109までの長さ
116 露出部分