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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183449
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】発電用の内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02D 19/06 20060101AFI20231221BHJP
   F02D 19/08 20060101ALI20231221BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20231221BHJP
   F02M 21/04 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F02D19/06 B
F02D19/08 C
F02D19/08 Z
F02B43/00 Z
F02M21/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096968
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝幸
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AA05
3G092AB02
3G092AB08
3G092AC08
3G092BB04
3G092BB08
3G092DC01
3G092FA15
3G092FA22
3G092HA06Z
3G092HB02Z
3G092HB03Z
3G092HD05Z
(57)【要約】
【課題】動作不具合を抑制し、かつ、効率良く燃料を使用して運転が可能な、発電用の内燃機関を提供する。
【解決手段】燃料を燃焼させる燃焼室26が内部に形成された機関本体2と、燃焼室26へとバイオマスガスを供給する給気管Pと、燃焼室26と給気管Pとの連通部を開閉する給気弁35と、給気管Pの内部で、給気弁35へ向けて液体揮発燃料FLを噴射し、給気弁35を洗浄するように設けられた第1噴射部46と、燃焼室26へ供給される燃料として、バイオマスガスBG、液体揮発燃料FL、及びバイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGの、いずれかを適宜選択する制御装置6と、を備えている、発電用の内燃機関1を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電用の内燃機関であって、
燃料を燃焼させる燃焼室が内部に形成された機関本体と、
前記燃焼室へとバイオマスガスを供給する給気管と、
前記燃焼室と前記給気管との連通部を開閉する給気弁と、
前記給気管の内部で、前記給気弁へ向けて液体揮発燃料を噴射し、前記給気弁を洗浄するように設けられた第1噴射部と、
前記燃焼室へ供給される燃料として、前記バイオマスガス、前記液体揮発燃料、及び前記バイオマスガスと前記液体揮発燃料の混合物の、いずれかを適宜選択する制御装置と、
を備えている発電用の内燃機関。
【請求項2】
前記制御装置は、通常運転時には、前記バイオマスガスを前記燃料として選択し、その間に、一定時間、前記混合物を前記燃料として選択することで、前記給気弁を洗浄する、請求項1に記載の発電用の内燃機関。
【請求項3】
前記制御装置は、前記機関本体を始動する際には、前記液体揮発燃料を前記燃料として選択して暖機運転し、その後、前記燃料として前記混合物を選択して、前記バイオマスガスの供給状況に応じて、前記第1噴射部における前記液体揮発燃料の噴射量を調整する始動時調整運転を経たうえで、前記通常運転へと移行する、請求項2に記載の発電用の内燃機関。
【請求項4】
前記給気管に空気を導入する空気導入管と、
前記給気管に外部から供給される原ガスを導入する原ガス導入管と、
前記原ガス導入管に設けられて前記原ガスの圧力を測定する原ガス圧力センサと、
を備え、
前記バイオマスガスは、前記空気と前記原ガスの混合体であり、
前記制御装置は、前記始動時調整運転時に、前記原ガス圧力センサの測定値が低減すると、前記噴射量を増やし、前記測定値が増加すると、前記噴射量を減らす、請求項3に記載の発電用の内燃機関。
【請求項5】
前記給気管に空気を導入する空気導入管と、
前記給気管に外部から供給される原ガスを導入する原ガス導入管と、
前記原ガス導入管から前記給気管への前記原ガスの導入量を調整する原ガス絞り弁と、
を備え、
前記バイオマスガスは、前記空気と前記原ガスの混合体であり、
前記制御装置は、前記バイオマスガスを前記燃料として選択した状態から、前記混合物を前記燃料として選択した状態に移行する際には、前記原ガス絞り弁を調整して前記導入量を低減する、請求項2に記載の発電用の内燃機関。
【請求項6】
前記制御装置は、前記通常運転から前記機関本体を停止する際には、前記燃料として前記混合物を選択して、前記第1噴射部における前記液体揮発燃料の噴射量を漸次増加させる停止時調整運転を経たうえで、前記燃料として前記液体揮発燃料を選択して、前記給気弁を洗浄する、停止運転へと移行する、請求項2に記載の発電用の内燃機関。
【請求項7】
前記給気管に空気を導入する空気導入管と、
前記給気管に外部から供給される原ガスを導入する原ガス導入管と、
前記原ガス導入管から前記給気管への前記原ガスの導入量を調整する原ガス絞り弁と、
を備え、
前記バイオマスガスは、前記空気と前記原ガスの混合体であり、
前記制御装置は、前記停止時調整運転時に、前記噴射量を漸次増加させつつ、前記原ガス絞り弁を調整して前記導入量を漸次低減する、請求項6に記載の発電用の内燃機関。
【請求項8】
前記給気管の内部の、前記給気弁よりも上流の部分へ向けて前記液体揮発燃料を噴射し、当該部分を洗浄する、第2噴射部を更に備える、請求項1に記載の発電用の内燃機関。
【請求項9】
前記液体揮発燃料はガソリンである、請求項1から8のいずれか一項に記載の発電用の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電用の内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスガスを燃料とした内燃機関を、発電用に用いることがある。バイオマスガスは、例えば木材を燃焼させることにより生成される。木材には、タール成分が含まれる。タール成分等の汚染物質は、内燃機関が冷却されて液化すると粘性を発現する。このような、粘性を有するタール成分等の汚染物質が、内燃機関の給気管や給気弁に付着すると、給気弁が給気管に固着する等の動作不具合が生じることがある。
【0003】
また、上記のような内燃機関に供給されるバイオマスガスは、バイオマスガスを生成する設備により生成されることがある。このような設備では、バイオマスガスの生成を開始してからバイオマスガスが安定して供給されるまで、一定の時間を要する。この間においては、バイオマスガスの生成量にばらつきが生じるため、内燃機関の動作が安定せず、安定した発電を行うことが難しい場合がある。
【0004】
これに対し、特許文献1には、バイオマスガスと化石燃料を切り替えて個別噴射するデュアルフューエルインジェクターノズルが開示されている。このような特許文献1に開示されたノズルを用いることで、バイオマスガスが安定して供給されるまでの間は、バイオマスガスに替えて化石燃料をノズルから噴射することも考えられる。しかしながら、その場合、化石燃料をノズルから噴射している間に生成されるバイオマスガスは使用されなくなるため、燃料の使用効率が悪い。
動作不具合を抑制し、かつ、効率良く燃料を使用して運転が可能な、発電用の内燃機関が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-211764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、動作不具合を抑制し、かつ、効率良く燃料を使用して運転が可能な、発電用の内燃機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発電用の内燃機関を提供する。この発電用の内燃機関は、機関本体と、給気管と、給気弁と、第1噴射部と、制御装置と、を備えている。機関本体は、燃料を燃焼させる燃焼室が内部に形成されている。給気管は、燃焼室へとバイオマスガスを供給する。給気弁は、燃焼室と給気管との連通部を開閉する。第1噴射部は、給気管の内部で、給気弁へ向けて液体揮発燃料を噴射し、給気弁を洗浄するように設けられている。制御装置は、燃焼室へ供給される燃料として、バイオマスガス、液体揮発燃料、及びバイオマスガスと液体揮発燃料の混合物の、いずれかを適宜選択する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動作不具合を抑制し、かつ、効率良く燃料を使用して運転が可能な、発電用の内燃機関を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態における発電用の内燃機関の構成を模式的に示す図である。
図2】制御装置による、発電用の内燃機関の運転制御方法の一例を示す図である。
図3】上記実施形態の変形例における発電用の内燃機関の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明による発電用の内燃機関を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態における発電用の内燃機関の構成を模式的に示す図である。
本実施形態における発電用の内燃機関1は、通常運転時には、バイオマスガスを燃料として作動する。発電用の内燃機関1は、発電機(図示無し)を駆動する。発電用の内燃機関1は、機関本体2と、給気部4と、制御装置6と、を主に備えている。
【0011】
機関本体2は、シリンダブロック20と、クランクケース(図示無し)と、シリンダヘッド30と、を備えている。シリンダブロック20は、シリンダ22を備えている。シリンダ22は、中心軸方向に延びる円筒状に形成されている。図1においては、シリンダ22は、中心軸が上下方向に延在するように設けられている。シリンダ22内には、ピストン23が収容されている。ピストン23は、シリンダ22内で、シリンダ22の中心軸方向に移動可能に設けられている。
【0012】
クランクケース(図示無し)は、シリンダブロック20に対し、シリンダ22の中心軸方向の一端側(図1において下側)に接続されている。クランクケースには、クランクシャフト25が、クランク軸25s周りに回転自在に収容されている。ピストン23は、コンロッド24を介して、クランクシャフト25のクランクピン25pに連結されている。クランクピン25pは、クランク軸25sに対して偏心して設けられている。後に説明する燃焼室26における燃料の燃焼により、ピストン23がシリンダ22内で、シリンダ22の中心軸方向に沿って所定のストロークで往復動作する。この往復動作に伴って、クランクシャフト25がクランク軸25s周りに回転する。この回転運動を基に、発電機は電気エネルギーを生成する。
【0013】
機関本体2の数、すなわちシリンダ22、及びピストン23の数は、1つのみ(いわゆる単気筒エンジン)でもよいし、複数(いわゆる多気筒エンジン)であってもよい。複数のシリンダ22を備える場合、その数は、典型的には、例えば、4、5、6、8、10、12等とすることができる。シリンダ22、及びピストン23を複数組備える場合、複数のピストン23は、クランクシャフト25のクランク軸25sが延びる方向(図1の紙面奥行方向)に間隔をあけて配置されている。この場合、複数のピストン23の各々が接続されるクランクピン25pが、クランクシャフト25の周方向において、互いに異なる位置に設けられている。これにより、複数のピストン23は、所定の位相差をもって各シリンダ22内で動作して、クランクシャフト25をクランク軸25s周りに回転させる。
【0014】
シリンダヘッド30は、シリンダブロック20に対し、シリンダ22の中心軸方向の、クランクシャフト25とは反対側の端部22t側に接続されている。シリンダヘッド30は、シリンダ22の当該端部22t側の開口を塞ぐように形成されている。
機関本体2の内部には、燃焼室26が形成されている。燃焼室26は、シリンダ22の内周面と、ピストン23の頂面と、シリンダヘッド30において、シリンダ22内を閉塞する閉塞面30gと、に囲まれて形成されている。
【0015】
シリンダヘッド30には、給気ポート32と、排気ポート33とが形成されている。
給気ポート32は、燃焼室26へとバイオマスガスを供給する給気管Pの一部を構成する。給気ポート32からは、後に説明する給気部4から供給される燃料が、燃焼室26内へと送り込まれる。給気ポート32は、シリンダヘッド30の閉塞面30gに開口するポート開口32aを有している。給気ポート32は、ポート開口32aを介して燃焼室26内に連通している。
【0016】
排気ポート33は、いわゆる排気ポートである。排気ポート33からは、燃焼室26内で燃料が燃焼されることで生成される排気ガスが、機関本体2の外部に排出される。排気ポート33は、外部のマフラ-や排気設備(図示無し)に接続されている。排気ポート33は、シリンダヘッド30の閉塞面30gに開口する、ポート開口33aを有している。排気ポート33は、ポート開口33aを介して燃焼室26内に連通している。
排気ポート33には、燃焼室26から排出される排気ガスの酸素濃度を測定する、酸素センサ37が設けられている。
【0017】
シリンダヘッド30には、給気弁35と、排気弁36と、点火プラグ38と、が備えられている。
給気弁35は、燃焼室26と給気ポート32の内部との間を開閉する。より詳細には、給気弁35は、燃焼室26と給気管P(給気ポート32)とが接続されて、燃焼室26と給気管Pとが互いに連通する、連通部を開閉するように設けられている。給気弁35は、弁本体35vと、弁軸部35sと、を備えている。弁本体35vは、給気ポート32において、燃焼室26に臨むポート開口32aを閉塞可能に形成されている。弁軸部35sは、シリンダヘッド30に、その中心軸方向に沿って移動可能に支持されている。給気弁35は、シリンダヘッド30に備えられたカム28により、弁軸部35sの中心軸方向に駆動されることで、弁本体35vが、給気ポート32のポート開口32aを所定のタイミングで開閉する。この給気弁35が開くことで、給気ポート32を通して、燃料が燃焼室26内に供給される。
【0018】
排気弁36は、弁本体36vと、弁軸部36sと、を備えている。弁本体36vは、排気ポート33において、燃焼室26に臨むポート開口33aを閉塞可能に形成されている。弁軸部36sは、シリンダヘッド30に、その中心軸方向に沿って移動可能に支持されている。排気弁36は、シリンダヘッド30に備えられたカム(図示無し)により、弁軸部36sの中心軸方向に駆動されることで、弁本体36vが、排気ポート33のポート開口33aを所定のタイミングで開閉する。この排気弁36が開くことで、排気ポート33を通して、燃焼室26内で生成された排気ガスが、燃焼室26から排出される。
【0019】
点火プラグ38は、その先端部が、シリンダヘッド30の閉塞面30gから、燃焼室26内に突出するよう設けられている。点火プラグ38は、燃焼室26内に燃料が充填された状態で、所定のタイミングで火花を発生し、燃料に着火する。これにより、燃料が燃焼室26内で燃焼される。点火プラグ38が点火するタイミングは、後に説明する制御装置6によって制御されている。
なお、上記したような機関本体2の構成は、一例に過ぎず、適宜の変更が可能である。
【0020】
給気部4は、給気ポート32を介して燃焼室26に燃料を供給する。給気部4は、給気管Pと、空気導入管42と、原ガス導入管43と、第1噴射部46と、を主に備えている。給気管Pは、既に説明した給気ポート32と、サージタンク45を含んで構成されている。
空気導入管42は、給気管Pに接続されており、給気管Pに空気を導入する。空気導入管42は、エアクリーナー(図示無し)を介して外部から空気を取り入れ、取り入れた空気を、給気管Pに供給する。
【0021】
原ガス導入管43は、給気管Pに接続されており、外部から供給される原ガスを、給気管Pに導入する。原ガス導入管43の一端は、給気管Pに接続されている。原ガス導入管43の他端は、バイオマスガスBGの原ガスを生成する設備(図示無し)に接続されている。
【0022】
給気管Pは、空気導入管42、原ガス導入管43と、燃焼室26を接続する。給気管Pにおいては、空気導入管42から導入された空気と、原ガス導入管43から導入されたバイオマスガスBGが混合される。このようにして生成される、原ガスと空気との混合体が、燃焼室26で燃焼される燃料としてのバイオマスガスBGとなる。
【0023】
原ガス導入管43には、原ガス絞り弁44が設けられている。原ガス絞り弁44は、原ガス導入管43内の流路を開閉することで、原ガスの流量を調整する。原ガス絞り弁44は、原ガス導入管43から給気管Pへの原ガスの導入量を調整する。原ガス絞り弁44の開閉動作は、制御装置6によって制御される。原ガス絞り弁44の開度が、制御装置6によって制御されることで、原ガスと空気とが所定の比率で混合された、燃料としてのバイオマスガスBGが生成される。また、原ガス絞り弁44を全閉状態とすることで、原ガス導入管43から給気ポート32への原ガスの導入量を0(ゼロ)とすることもできる。
【0024】
給気管Pには、スロットル弁47が備えられている。スロットル弁47の開度は、制御装置6によって制御される。スロットル弁47は、給気管P内の流路を開閉することで、原ガスと空気との混合体であるバイオマスガスBGの流量を調整する。また、スロットル弁47は、原ガス絞り弁44が全閉状態である場合には、空気導入管42を通して導入される空気の流量を調整する。
【0025】
サージタンク45は、スロットル弁47と、給気ポート32との間に配置されている。機関本体2が、複数組のシリンダ22及びピストン23を備える場合においては、各燃焼室26内に連通する給気ポート32が、サージタンク45に接続されている。この場合には、給気管Pへと導入されたバイオマスガスBGまたは(原ガスが含まれない場合における)空気は、サージタンク45において、複数に分岐して、複数の機関本体2の各々へと供給される。
【0026】
第1噴射部46は、給気管Pに配置されている。第1噴射部46は、給気管Pの内部で、給気弁35へ向けて液体揮発燃料FLを噴射する。第1噴射部46は、より詳細には、給気弁35の弁本体35vの裏側、すなわち弁本体35vの燃焼室26を向く表面とは反対側の、給気管Pを向く表面へ向けて、液体揮発燃料FLを噴射する。第1噴射部46は、液体揮発燃料FLを噴射することで、給気弁35を洗浄する。第1噴射部46から噴射される液体揮発燃料FLは、バイオマスガスBGを機関本体2の燃料として用いることによって給気弁35等に付着する、タール成分等の、油洗可能な汚染物質を洗浄する。このような液体揮発燃料FLとしては、ガソリン、軽油等がある。本実施形態において、液体揮発燃料FLとして、ガソリンが用いられている。また、液体揮発燃料FLは、ガソリンに加えて、タール成分等の汚染物質の洗浄効果を高める成分が添加されていてもよい。第1噴射部46の動作は、制御装置6によって制御される。
【0027】
制御装置6は、機関本体2、及び給気部4の各部の動作を制御する。制御装置6は、燃焼室26への燃料の供給を主に制御する。制御装置6は、第1噴射部46における、液体揮発燃料FLの噴射動作を制御する。制御装置6において、これらの制御を行うため、制御装置6は、機関本体2、及び給気部4の各部の状態を監視している。例えば、制御装置6は、機関本体2のクランクシャフト25の回転角度、カム28の回転角度等を、不図示のセンサにより検出している。制御装置6は、検出されたクランクシャフト25の回転角度、カム28の回転角度等に基づき、例えば、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射タイミングを制御する。
【0028】
また、制御装置6は、燃焼室26へ供給される燃料として、バイオマスガスBG、液体揮発燃料FL、及びバイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGの、いずれかを適宜選択する。
制御装置6は、バイオマスガスBGを燃料として選択する場合には、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射を行わない。この場合には、制御装置6は、原ガス絞り弁44を開き、空気導入管42から導入される空気と、原ガス導入管43から導入される原ガスとを混合させ、燃料としてのバイオマスガスBGを生成する。生成したバイオマスガスBGは、燃料として、給気管Pを通して燃焼室26内に供給される。
本実施形態では、制御装置6は、機関本体2の通常運転時に、バイオマスガスBGを燃料として選択する。
【0029】
制御装置6は、液体揮発燃料FLを燃料として選択する場合には、原ガス絞り弁44を閉じ、バイオマスガスBGの供給を行わない。この場合には、給気管Pへは、空気導入管42から空気のみが導入される。制御装置6は、第1噴射部46による液体揮発燃料FLの噴射を行い、空気導入管42から導入される空気と混合させる。液体揮発燃料FLと、空気との混合気が、燃料として、給気ポート32を通して燃焼室26内に供給される。
【0030】
本実施形態では、制御装置6は、機関本体2を始動させる際、及び機関本体2を停止させる際に、液体揮発燃料FLを燃料として選択する。制御装置6は、機関本体2を始動する際に、液体揮発燃料FLを燃料として選択することで、機関本体2の暖機運転を行う。制御装置6は、機関本体2を停止させる際に、液体揮発燃料FLを燃料として選択することで、後に説明するように、給気弁35を洗浄する。
【0031】
液体揮発燃料FLを燃料として選択した場合、または次に説明するようにバイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGを燃料として選択した場合には、第1噴射部46から液体揮発燃料FLが噴射される。噴射された液体揮発燃料FLが、給気ポート32や給気弁35に衝突し、給気ポート32や給気弁35の表面上を流れて、燃焼室26内に流入することにより、給気弁35の弁本体35v等の、給気弁35周辺に付着したタール成分等の汚染物質が洗浄される。洗い流された汚染物質は、燃焼室26内に流入し、液体揮発燃料FLや、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGとともに、燃焼される。
【0032】
制御装置6は、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGを燃料として選択する場合には、原ガス絞り弁44を開き、空気導入管42から導入される空気と、原ガス導入管43から導入される原ガスとを混合させ、燃料としてのバイオマスガスBGを生成する。さらに、制御装置6は、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射を行う。噴射された液体揮発燃料FLが、バイオマスガスBGと混合されることで、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGが生成される。生成された混合物MGは、燃料として、給気ポート32を通して燃焼室26内に供給される。
【0033】
本実施形態では、制御装置6は、通常運転の間に、予め設定された時間間隔毎に、一定時間、混合物MGを燃料として選択することで、給気弁35を洗浄する。換言すれば、通常運転時に、バイオマスガスBGを燃料として選択している場合に、給気弁35周辺を洗浄するために、制御装置6が第1噴射部46から液体揮発燃料FLを噴射するように制御することで、燃焼室26に、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGが、燃料として供給される。
【0034】
また、制御装置6は、バイオマスガスBGを燃料として選択した状態から、液体揮発燃料FLを燃料として選択した状態に移行する際、及び、液体揮発燃料FLを燃料として選択した状態から、バイオマスガスBGを燃料として選択した状態に移行する際にも、混合物MGを燃料として選択する。
【0035】
制御装置6は、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGを燃料として選択する場合に、原ガスの供給量に応じて、液体揮発燃料FLの供給量を調整する。このため、原ガス導入管43に、原ガス圧力センサ48が備えられている。原ガス圧力センサ48は、原ガス導入管43における、原ガスの圧力を測定する。制御装置6は、内燃機関1の始動時において、暖機運転の後に、後に始動時調整運転として説明するように、内燃機関1を運転する。この始動時調整運転時において、制御装置6は、原ガス圧力センサ48の測定値が低減すると、液体揮発燃料FLの噴射量を増やすよう、制御を行う。また、始動時調整運転時において、制御装置6は、原ガス圧力センサ48の測定値が増加すると、液体揮発燃料FLの噴射量を減らすよう、制御を行う。これにより、燃焼室26内に燃料として供給するバイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGの量を維持するように、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLとの混合比を調整する。
【0036】
制御装置6は、酸素センサ37により測定された排気ガスの酸素濃度を基にして、適切な空燃比が維持されるように、原ガス絞り弁44の開度、第1噴射部46からの液体揮発燃料FLの噴射量、スロットル弁47の開度を調整する。
【0037】
図2は、制御装置による、発電用の内燃機関の運転制御方法の一例を示す図である。
発電用の内燃機関1においては、発電機において安定して発電を行うために、トルクを一定にすることが求められる。特に本実施形態の内燃機関1においては、燃料として、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGが使用された場合に、燃料としてバイオマスガスBGのみを用いた場合や、液体揮発燃料FLのみを用いた場合と同様のトルクが出力されるように、制御装置6は、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの割合を調整する。
図2においては、横軸には、内燃機関1が始動してから停止するまでの時間の流れが示されている。また、縦軸には、トルクを一定にするための、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの割合が示されている。
【0038】
図2に示すように、制御装置6では、機関本体2を始動する際(図2の時間T1)には、液体揮発燃料FLを燃料として選択して機関本体2を始動させる。
その後、予め設定された時間T2が経過するまで、制御装置6では、液体揮発燃料FLを燃料として、機関本体2の暖機運転(図2の時間T1~T2)を行う。
【0039】
暖機運転の終了後、制御装置6では、燃料として混合物MGを選択して、始動時調整運転に移行する(図2の時間T2)。
バイオマスガスBGの原ガスを生成する設備においては、当該設備の稼働開始時には、原ガスを生成するに際し、設備の負荷を低減するために、木材を燃焼させるための炉の温度を、徐々に、上昇させる。この間に生成される原ガスは、量が一定ではなく、ばらついている。この量のばらつきを補うように、本実施形態の内燃機関1は、バイオマスガスBGを補助する補助燃料として、液体揮発燃料FLを使用する。
【0040】
より具体的には、始動時調整運転(図2の時間T2~T3)では、バイオマスガスBGの供給状況に応じて、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射量を調整する。制御装置6は、始動時調整運転時に、原ガス圧力センサ48の原ガスの測定値が低減すると、液体揮発燃料FLの噴射量を増やし、原ガスの測定値が増加すると、液体揮発燃料FLの噴射量を減らす。このようにして、制御装置6は、燃料の供給量が一定に維持されるように調整することで、トルクを一定に維持する。
制御装置6は、原ガス圧力センサ48の原ガスの測定値が、定められた設定値を超えるなど、原ガスを生成する設備が安定して原ガスを生成できるようになったと判断した時点(図2の時間T3)で、バイオマスガスBGを燃料として選択し、通常運転へと移行する。
通常運転(図2の時間T3~T12)は、始動時調整運転が終了してから後に説明する停止時調整運転が開始されるまでの、バイオマスガスBGが内燃機関1の主たる燃料として使用されて、内燃機関1が安定して稼働される運転期間である。
【0041】
制御装置6は、通常運転の間に、予め設定された時間が経過する毎(図2の時間T4、T8)に、一定時間が経過するまで(図2の時間T7、T11)、混合物MGを燃料として選択することで、給気弁35を洗浄する。すなわち、通常運転時に、バイオマスガスBGを燃料として選択している場合に、給気弁35周辺を洗浄するために、制御装置6が第1噴射部46から液体揮発燃料FLを噴射するように制御することで、制御装置6は、燃焼室26に、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGを、燃料として供給する。
【0042】
より具体的には、制御装置6は、通常運転時に、バイオマスガスBGを燃料として選択した状態から、混合物MGを燃料とした、給気弁35を洗浄する状態に移行するに際し、原ガス絞り弁44を調整して原ガスの導入量を低減するとともに、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射量を増加させていく(図2の時間T4~T5、T8~T9)。
制御装置6は、一定時間の間、給気弁35周辺を洗浄する(図2の時間T5~T6、T9~T10)。
そして、制御装置6は、原ガス絞り弁44を調整して原ガスの導入量を増加するとともに、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射量を低減させていく(図2の時間T6~T7、T10~T11)。
【0043】
複数の機関本体2が設けられた場合において、上記のように給気弁35周辺を洗浄するタイミングは、内燃機関1としてトルクが一定に維持されるのであれば、機関本体2ごとに異なっていてもよいし、全ての機関本体2で同期して、同じタイミングとなっていても構わない。
【0044】
最後に、制御装置6は、通常運転から機関本体2を停止する際(図2の時間T12)には、まず、燃料として混合物MGを選択する。この場合、制御装置6は、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射量を漸次増加させる停止時調整運転(図2の時間T12~T13)を行う。制御装置6は、停止時調整運転時に、バイオマスガスBGを燃料として選択した状態から、混合物MGを燃料とした、停止に先立つ運転を実行する状態に移行するに際し、液体揮発燃料FLの噴射量を漸次増加させつつ、原ガス絞り弁44を調整して原ガスの導入量を漸次低減する。
制御装置6は、原ガスの導入量がゼロとなった時点(図2の時間T13)で、燃料として液体揮発燃料FLを選択して、給気弁35を洗浄する、停止運転(図2の時間T13~T14)へと移行する。制御装置6では、予め設定された時間が経過した時点(図2の時間T14)で、停止運転を停止し、機関本体2を停止させる。
【0045】
上記のような一連の処理の間に、制御装置6は、酸素センサ37により測定された排気ガスの酸素濃度を基にして、適切な空燃比が維持されるように、原ガス絞り弁44の開度、第1噴射部46からの液体揮発燃料FLの噴射量、スロットル弁47の開度を調整する。
【0046】
上述したような発電用の内燃機関1は、機関本体2と、給気管Pと、給気弁35と、第1噴射部46と、制御装置6と、を備えている。機関本体2は、燃料を燃焼させる燃焼室26が内部に形成されている。給気管Pは、燃焼室26へとバイオマスガスBGを供給する。給気弁35は、燃焼室26と給気管Pとの連通部を開閉する。第1噴射部46は、給気管Pの内部で、給気弁35へ向けて液体揮発燃料FLを噴射し、給気弁35を洗浄するように設けられている。制御装置6は、燃焼室26へ供給される燃料として、バイオマスガスBG、液体揮発燃料FL、及びバイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGの、いずれかを適宜選択する。
このような発電用の内燃機関1によれば、第1噴射部46が、給気管Pの内部で、給気弁35へ向けて液体揮発燃料FLを噴射し、給気弁35及びその周辺を洗浄することができる。これにより、給気弁35及びその周辺に付着したタール成分等の汚染物質の付着量を低減することができる。したがって、給気弁35が給気ポート32に固着する等の動作不具合の発生を抑えることができる。
また、給気弁35の洗浄に用いられる液体揮発燃料FLは、燃焼室26で燃焼させることができる。このため、液体揮発燃料FLを、内燃機関を作動させるための燃料として用いることができる。したがって、液体揮発燃料FLを洗浄のために用いたとしても、液体揮発燃料FLを無駄にすることがない。
更に、例えばバイオマスガスBGが安定して内燃機関1に供給されないような場合において、内燃機関1のトルクを維持するためには、通常であれば、バイオマスガスBGを使用せずに、液体揮発燃料FLのみを使用して内燃機関1を運転する。したがって、バイオマスガスBGは使用されず、無駄になる。これに対し、本実施形態においては、燃焼室26へ供給される燃料として、バイオマスガスBG、液体揮発燃料FL、及びバイオマスガスと液体揮発燃料FLの混合物MGの何れかを適宜選択する。このため、例えば上記のような場合には、バイオマスガスと液体揮発燃料FLの混合物MGを選択することで、液体揮発燃料FLを、バイオマスガスBGのばらつきを補って内燃機関1のトルクを維持するための補助燃料として使用し、バイオマスガスBGを無駄なく使用することができる。
したがって、動作不具合を抑制し、かつ、効率良く燃料を使用して運転が可能な、発電用の内燃機関1を提供することができる。
【0047】
特に、上記のような内燃機関1においては、液体揮発燃料FLによって給気弁35を洗浄する構成となっているため、間伐材等の、タール成分を多く含む木材をも、バイオマスガスBGを生成する際の燃料として使用することができる。このように、通常であれば燃料として使用することが難しいような木材を使用してバイオマスガスBGを生成することができるようになるため、木材を有効に利用することが可能となる。
【0048】
また、制御装置6は、通常運転(図2の時間T3~T12)時には、バイオマスガスBGを燃料として選択し、その間に、一定時間、混合物MGを燃料として選択することで、給気弁35を洗浄する。
このような構成によれば、通常運転時の間に、一定時間、混合物MGを燃料として選択する。すなわち、バイオマスガスBGを燃料として使用している間に、液体揮発燃料FLを第1噴射部46から噴射して、燃料として混合物MGを燃焼室26へと供給する。これにより、混合物MGに含まれる液体揮発燃料FLによって、給気弁35が洗浄され、通常運転中に付着したタール成分等の汚染物質の付着量が低減される。
【0049】
また、制御装置6は、機関本体2を始動する際には、液体揮発燃料FLを燃料として選択して暖機運転(図2の時間T1~T2)する。その後、制御装置6は、燃料として混合物MGを選択して、バイオマスガスBGの供給状況に応じて、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射量を調整する始動時調整運転(図2の時間T2~T3)を経たうえで、通常運転へと移行する。
上記のような構成によれば、まず、暖機運転を行うことで、機関本体2を容易かつ安定して始動させることができる。
また、暖機運転の後に、燃料として混合物MGを選択して、バイオマスガスBGの供給状況に応じて、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射量を調整する始動時調整運転を行う。これにより、バイオマスガスBGを生成する設備から、バイオマスガスBGを供給する場合において、バイオマスガスBGの生成を開始してからバイオマスガスBGが安定して供給されるまでの、バイオマスガスBGが安定して供給されない状況においても、バイオマスガスBGを無駄なく使用しつつ、機関本体2を安定して通常運転へと移行させることができる。
【0050】
また、内燃機関1は、給気管Pに空気を導入する空気導入管42と、給気管Pに外部から供給される原ガスを導入する原ガス導入管43と、原ガス導入管43に設けられて原ガスの圧力を測定する原ガス圧力センサ48と、を備えている。バイオマスガスBGは、空気と原ガスの混合体である。制御装置6は、始動時調整運転時に、原ガス圧力センサ48の測定値が低減すると、液体揮発燃料FLの噴射量を増やし、原ガス圧力センサ48の測定値が増加すると、液体揮発燃料FLの噴射量を減らす。
このような構成によれば、バイオマスガスBGの原ガスの供給量の増減に応じて、液体揮発燃料FLの供給量を自動的に調整することができる。これにより、燃焼室26に供給される燃料の量を安定させて、内燃機関1のトルクを一定に維持することができる。したがって、仮に原ガスが安定して供給されないような状況においても、原ガスを無駄なく使用しつつ、機関本体2を安定して通常運転へと移行させることができる。
【0051】
また、内燃機関1は、給気管Pに空気を導入する空気導入管42と、給気管Pに外部から供給される原ガスを導入する原ガス導入管43と、原ガス導入管42から給気管Pへの原ガスの導入量を調整する原ガス絞り弁44と、を備えている。バイオマスガスBGは、空気と原ガスの混合体である。制御装置6は、バイオマスガスBGを燃料として選択した状態から、混合物MGを燃料として選択した状態に移行する際(図2の時間T4~T5、T8~T9、T12~T13)には、原ガス絞り弁44を調整して原ガスの導入量を低減する。
上記のような構成によれば、例えば通常運転中に給気弁35を洗浄する場合や、通常運転から停止運転へと移行する間の停止時調整運転等において、液体揮発燃料FLの噴射量を増加させて混合物MGを燃料として選択した状態に移行する際に、原ガス絞り弁44を調整して原ガスの導入量を低減するため、内燃機関1のトルクを一定に維持することができる。
【0052】
また、制御装置6は、通常運転から機関本体2を停止する際には、燃料として混合物MGを選択して、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射量を漸次増加させる停止時調整運転(図2の時間T12~T13)を経たうえで、燃料として液体揮発燃料FLを選択して、給気弁35を洗浄する、停止運転(図2の時間T13~T14)へと移行する。
上記のような構成によれば、内燃機関1を停止するに際し、液体揮発燃料FLの噴射量を漸次増加させる停止時調整運転を経ることで、燃料として液体揮発燃料FLを選択する停止運転へと、滑らかに移行することができる。
また、停止運転では、燃料として液体揮発燃料FLを選択することで、給気弁35を液体揮発燃料FLで洗浄し、タール成分等の汚染物質の付着量を低減させた状態で、内燃機関1を停止させることができる。その結果、次回、機関本体2を始動させる際に、給気弁35が給気ポート32に固着して始動が困難になることを抑制できる。
【0053】
また、内燃機関1は、給気管Pに空気を導入する空気導入管42と、給気管Pに外部から供給される原ガスを導入する原ガス導入管43と、原ガス導入管42から給気管Pへの原ガスの導入量を調整する原ガス絞り弁44と、を備えている。バイオマスガスBGは、空気と原ガスの混合体である。制御装置6は、停止時調整運転時に、液体揮発燃料FLの噴射量を漸次増加させつつ、原ガス絞り弁44を調整して原ガスの導入量を漸次低減する。
上記のような構成によれば、停止時調整運転時に、液体揮発燃料FLの噴射量を漸次増加させるに際し、原ガスの導入量を漸次低減させるため、停止時調整運転時における内燃機関1のトルクを一定に維持することができる。
【0054】
また、液体揮発燃料FLはガソリンである。
上記のような構成によれば、タール成分等の汚染物質に対する洗浄性能と、内燃機関1のバイオマスガスBGを補助する補助燃料としての機能との双方を容易に実現できる。
【0055】
(実施形態の変形例)
なお、本発明の発電用の内燃機関は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、第1噴射部46は、給気ポート32の内部で、給気弁35へ向けて液体揮発燃料FLを噴射するように設けられているが、これに限られない。
図3は、本発明の実施形態の変形例における発電用の内燃機関の構成を模式的に示す図である。
図3に示すように、本変形例における発電用の内燃機関1Bの給気部4Bは、上記実施形態で示した給気部4の構成に加えて、第2噴射部49A、49Bを備えている。
第2噴射部49A、49Bは、第1噴射部46とは異なる位置に設けられている。第2噴射部49A、49Bは、給気ポート32の内部の、給気弁35とは異なる部分へ向けて液体揮発燃料FLを噴射する。より詳細には、第2噴射部49A、49Bは、給気ポート32の内部の、給気弁35よりも、バイオマスガスBGの流入方向において上流に位置する部分へ向けて、液体揮発燃料FLを噴射して、液体揮発燃料FLを噴射した、給気弁35よりも上流の部分を洗浄する。図3の例では、第2噴射部49A、49Bは、サージタンク45内と、スロットル弁47の部分に向けて、液体揮発燃料FLを噴射するよう、2箇所に設けられている。第2噴射部49A、49Bを設ける位置、設置数は、これに限るものではなく適宜変更可能である。
【0056】
すなわち、本変形例の発電用の内燃機関1Bは、給気管Pの内部の、給気弁35よりも上流の部分へ向けて液体揮発燃料FLを噴射し、当該部分を洗浄する、第2噴射部49A、49Bを更に備える。
このような構成によれば、第2噴射部49A、49Bは、給気弁35よりも上流の部分へ向けて液体揮発燃料FLを噴射し、当該部分を洗浄する。これにより、給気弁35よりも上流の部分についても、噴射した液体揮発燃料FLにより、付着したタール成分等の汚染物質の付着量を低減させることができる。
【0057】
(その他の変形例)
上記実施形態では、給気弁35の洗浄の際には、バイオマスガスBGと液体揮発燃料FLの混合物MGを用いるようにしたが、給気弁35を洗浄する際にはバイオマスガスBGの供給を停止して、燃焼室26内へ液体揮発燃料FLのみが燃料として供給される状態としてもよい。
また、上記実施形態では、給気弁35の洗浄に用いる液体揮発燃料FLを、機関本体2の始動時、停止時等に用いるようにしたが、例えば、給気弁35の洗浄に用いる液体揮発燃料と、機関本体2の始動時に、機関本体の始動の安定性向上のために用いる液体揮発燃料とは、異なる種類のものを用いてもよい。
また、上記実施形態の図2で示した、制御装置6における制御方法は一例に過ぎず、その内容、処理の順序等については適宜変更可能である。
【0058】
更に、上記実施形態においては、バイオマスガスBGの原ガスを生成する設備においては、特に当該設備の稼働開始時に、生成量にばらつきが生じやすいことに着目して、バイオマスガスBGの供給状況に応じて、第1噴射部46における液体揮発燃料FLの噴射量を調整する始動時調整運転を経たうえで、通常運転へと移行するように構成した。しかし、内燃機関1が通常運転へと移行した後において、原ガス圧力センサ48の測定値を随時確認し、原ガス圧力センサ48の測定値が低減すると、液体揮発燃料FLの噴射量を増やし、原ガス圧力センサ48の測定値が増加すると、液体揮発燃料FLの噴射量を減らすようにしても構わない。
このような構成とすることで、内燃機関1が通常運転中に、原ガスの供給量にばらつきが生じたとしても、トルクを一定に保つことができる。
【0059】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、1B 内燃機関
2 機関本体
6 制御装置
26 燃焼室
35 給気弁
42 空気導入管
43 原ガス導入管
44 原ガス絞り弁
46 第1噴射部
48 原ガス圧力センサ
49A、49B 第2噴射部
BG バイオマスガス
FL 液体揮発燃料
MG 混合物
P 給気管
図1
図2
図3