(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183452
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ガスタービンの燃焼器
(51)【国際特許分類】
F23R 3/42 20060101AFI20231221BHJP
F23R 3/60 20060101ALI20231221BHJP
F02C 7/20 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F23R3/42 E
F23R3/42 A
F23R3/60
F02C7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096971
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 喜彦
(72)【発明者】
【氏名】松山 竜佐
(57)【要約】
【課題】ガスタービンの燃焼器におけるライナーの耐久性を高める。
【解決手段】ガスタービンの燃焼器は、燃焼室を囲むシェルと、前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面するライナーと、前記シェルに前記ライナーを取り付ける取付具と、を備える。前記取付具は、前記シェルを貫通する軸部、及び、前記軸部と接続し前記シェルの前記径方向の内側から前記ライナーを支持する頭部を含むサポートと、前記シェルの前記径方向の外側において前記サポートの前記軸部に取り付けられる固定部材と、前記シェルと前記ライナーとの間に介在するスペーサと、前記ライナーが前記シェルから前記径方向に離れるように前記ライナーを前記径方向の内側に向けて付勢し、前記径方向において前記スペーサと前記シェルとの間にギャップを形成する付勢部材と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室を囲むシェルと、
前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面するライナーと、
前記シェルに前記ライナーを取り付ける取付具と、を備え、
前記取付具は、
前記シェルを貫通する軸部、及び、前記軸部と接続し前記シェルの径方向の内側から前記ライナーを支持する頭部を有するサポートと、
前記シェルの前記径方向の外側において前記サポートの前記軸部に取り付ける固定部材と、
前記シェルと前記ライナーとの間に介在するスペーサと、
前記ライナーが前記シェルから前記径方向に離れるように前記ライナーを前記径方向の内側に向けて付勢し、前記径方向において前記スペーサと前記シェルとの間にギャップを形成する付勢部材と、を含む、ガスタービンの燃焼器。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記サポート、前記固定部材、及び前記スペーサを前記径方向の内側に向けて付勢し、前記径方向において前記スペーサと前記シェルとの間にギャップを形成する、請求項1に記載のガスタービンの燃焼器。
【請求項3】
前記スペーサは、前記シェルと前記ライナーとの間に位置する本体部と、前記本体部から前記径方向の外側に突出して前記シェルを貫通する突出部と、を有する、請求項1又は2に記載のガスタービンの燃焼器。
【請求項4】
前記取付具は、前記固定部材を前記径方向の外側から覆って前記シェルに固定する押さえ部材を更に含み、
前記付勢部材は、前記押さえ部材と前記固定部材との間に位置する、請求項1又は2に記載のガスタービンの燃焼器。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記径方向において前記スペーサと前記ライナーとの間に位置する基部と、前記径方向に直交する方向における前記スペーサの外側に配置されて前記シェルを前記径方向の外側に向けて付勢する弾性部と、を有する、請求項1又は2に記載のガスタービンの燃焼器。
【請求項6】
燃焼室を囲むシェルと、
前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面するライナーと、
圧縮空気が流入する前記シェルと前記ライナーとの間の冷却空間と、
前記シェルに前記ライナーを取り付ける取付具と、を備え、
前記取付具は、
前記シェルを貫通する軸部、及び、前記軸部と接続し前記シェルの径方向の内側から前記ライナーを支持する頭部を有するサポートと、
前記シェルと前記ライナーとの間に介在するスペーサと、
前記シェルの前記径方向の外側において前記サポートの前記軸部に取り付ける固定部材と、
前記シェルの前記径方向の外側かつ前記固定部材の前記径方向の内側に配置された付勢部材と、を含み、
前記付勢部材は、前記冷却空間に流入する前記圧縮空気に抗して前記ライナーが前記シェルに前記径方向に近づくように前記固定部材を前記径方向の外側に向けて付勢する、ガスタービンの燃焼器。
【請求項7】
前記付勢部材は、弾性体と、前記弾性体の前記径方向の外側に配置された上座と、前記弾性体の前記径方向の内側に配置された下座と、を含む、請求項6に記載のガスタービンの燃焼器。
【請求項8】
前記上座及び前記下座は、前記弾性体を迂回して互いに前記径方向に対向する対向面を有し、
前記上座の前記対向面と前記下座の前記対向面との間にギャップが形成されている、請求項7に記載のガスタービンの燃焼器。
【請求項9】
燃焼室を囲むシェルと、
前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面する複数のライナーパネルと、
前記シェルに前記複数のライナーパネルをそれぞれ取り付ける複数の取付具と、を備え、
前記複数のライナーパネルは、前記シェルの周方向に位置し、
前記複数の取付具のうち3つの取付具は、前記複数のライナーパネルのうち1つのライナーパネルを三点支持する、ガスタービンの燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンの燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃費向上を目的としてガスタービンにおける燃焼温度の高温化が進んでいる。かかるガスタービンの燃焼器では、燃焼室を囲むシェルの内側にライナーを配置し、ボルトによってライナーをシェルに締結した燃焼器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスタービンの運転中には、シェル及びライナーの温度差、材料の熱膨張率差、及びライナーの表裏面の温度差などにより、シェルとライナーとの間に熱膨張差が生じる。従って、ボルトを介してライナーに拘束力が発生し、ライナーの寿命が短くなり得る。
【0005】
そこで本開示の一態様は、ガスタービンの燃焼器におけるライナーの耐久性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るガスタービンの燃焼器は、燃焼室を囲むシェルと、前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面するライナーと、前記シェルに前記ライナーを取り付ける取付具と、を備える。前記取付具は、前記シェルを貫通する軸部、及び、前記軸部と接続し前記シェルの径方向の内側から前記ライナーを支持する頭部を有するサポートと、前記シェルの前記径方向の外側において前記サポートの前記軸部に取り付ける固定部材と、前記シェルと前記ライナーとの間に介在するスペーサと、前記ライナーが前記シェルから前記径方向に離れるように前記ライナーを前記径方向の内側に向けて付勢し、前記径方向において前記スペーサと前記シェルとの間にギャップを形成する付勢部材と、を含む。
【0007】
本開示の他の態様に係るガスタービンの燃焼器は、燃焼室を囲むシェルと、前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面するライナーと、圧縮空気が流入する前記シェルと前記ライナーとの間の冷却空間と、前記シェルに前記ライナーを取り付ける取付具と、を備える。前記取付具は、前記シェルを貫通する軸部、及び、前記軸部と接続し前記シェルの径方向の内側から前記ライナーを支持する頭部を有するサポートと、前記シェルと前記ライナーとの間に介在するスペーサと、前記シェルの前記径方向の外側において前記サポートの前記軸部に取り付ける固定部材と、前記シェルの前記径方向の外側かつ前記固定部材の前記径方向の内側に配置された付勢部材と、を含む。前記付勢部材は、前記冷却空間に流入する前記圧縮空気に抗して前記ライナーが前記シェルに前記径方向に近づくように前記固定部材を前記径方向の外側に向けて付勢する。
【0008】
本開示の更に他の態様に係るガスタービンの燃焼器は、燃焼室を囲むシェルと、前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面する複数のライナーパネルと、前記シェルに前記複数のライナーパネルをそれぞれ取り付ける複数の取付具と、を備える。前記複数のライナーパネルは、前記シェルの周方向に配置され、前記複数の取付具のうち3つの取付具は、前記複数のライナーパネルのうち1つのライナーパネルを三点支持する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、ガスタービンの燃焼器におけるライナーの耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るガスタービンの概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のガスタービンの燃焼器の圧縮空気の流れ方向の下流側から見た断面図である。
【
図3】
図3は、
図2の燃焼器のIII-III線断面図である。
【
図5】
図5は、
図2の燃焼器のライナーパネル及びサポートの斜視図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の燃焼器の部分断面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態の燃焼器の部分断面図である。
【
図8】
図8は、
図7の燃焼器のガスタービン運転中の拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、ガスタービン1の軸線Xは、燃焼器3の軸線と同じである。燃焼器3の軸線Xに直交する方向を燃焼器3の径方向Rと称し、軸線X周りに延びる方向を燃焼器3の周方向Cと称する。燃焼室16の圧縮空気の流れ方向Fにおいて、燃料インジェクタ17に向かう側を上流側と称し、排出口16aに向かう側を下流側と称する。
【0012】
図1は、第1実施形態に係るガスタービン1の概略断面図である。
図1に示すように、ガスタービン1は、圧縮機2、燃焼器3、タービン4、回転軸5、ケーシング10及びファン7を備える。ガスタービン1では、外部からケーシング10内に導入された空気が圧縮機2で圧縮され、圧縮機2で圧縮された圧縮空気が燃焼器3に導かれ、燃焼器3で燃料を圧縮空気とともに燃焼して得られた高温高圧の燃焼ガスがもつエネルギーがタービン4において回転動力として取り出される。
【0013】
タービン4は、回転軸5を介して圧縮機2に連結されている。回転軸5の軸線Xは、ガスタービン1の軸線である。回転軸5の前端部には、ファン7が接続されている。タービン4で発生する回転動力は、圧縮機2及びファン7を駆動する。ガスタービンには、様々な形式が存在する。ターボファンエンジンは、主にタービンで発生する回転動力でファンを駆動し、航空機用エンジンとして用いられる。
図1では、ガスタービンの一形態であるターボファンエンジンを例示しているが、ガスタービンの形態はこれに限られない。
【0014】
図2は、
図1のガスタービン1の燃焼器3の圧縮空気の流れ方向の下流側から見た概略図である。
図2に示すように、燃焼器3は、筒形状を有し、例えば、ガスタービン1の軸線Xを囲む環状に形成されたアニュラ型燃焼器である。なお、燃焼器3は、アニュラ型以外の形式のものでもよい。燃焼器3において、ケーシング10は、筒状のアウターケーシング11と、アウターケーシング11の内側に同心円状に配置された筒状のインナーケーシング12と、を有する。アウターケーシング11及びインナーケーシング12は、環状の内部空間を画定している。なお、燃焼器3の内側は、アウターケーシング11の径方向Rの内側で且つインナーケーシング12の径方向Rの外側を意味する。
【0015】
ケーシング10の環状の内部空間には、ケーシング10と同心円状に燃焼筒としてシェル13が配置されている。シェル13は、燃焼室16を囲む。シェル13は、例えば、金属製である。シェル13は、筒状のアウターシェル14と、アウターシェル14の内側に同心円状に配置された筒状のインナーシェル15と、を有する。なお、シェル13の内側は、アウターシェル14の径方向Rの内側で且つインナーシェル15の径方向Rの外側を意味する。
【0016】
燃焼室16の上流側には、燃焼室16に燃料を噴射する複数の燃料インジェクタ17が燃焼室16に沿って環状に並んでいる。複数の燃料インジェクタ17は、シェル13と同心の仮想円上において周方向Cに並んでいる。シェル13には、ガスタービン1の始動時に燃焼室16の混合気に着火するための火花を発生させる点火プラグ18が設けられている。シェル13の環状の内部空間には、ケーシング10及びシェル13と同心円状にライナー20が配置されている。
【0017】
ライナー20は、例えば、セラミックマトリックス複合材料(CMC)製である。ライナー20は、筒状のアウターライナー21と、アウターライナー21の内側に同心円状に配置された筒状のインナーライナー22と、を有する。アウターライナー21は、アウターシェル14の内周面を覆っている。インナーライナー22は、インナーシェル15の外周面を覆っている。
【0018】
アウターライナー21は、筒状をなすように互いに周方向に隣り合って並べられた複数のライナーパネル31の集合体とし得る。インナーライナー22も、筒状をなすように互いに周方向に隣り合って並べられた複数のライナーパネル32の集合体とし得る。なお、アウターライナー21及びインナーライナー22の一方又は両方は、周方向に並ぶ複数のライナーパネルに分割されずに筒状に一体成形された筒体であってもよい。また、個々のライナーパネルは、円弧板に限られず平板であってもよく、複数のライナーパネルで構成されるライナーは円筒状に限られず多角形筒状であってもよい。
【0019】
図3は、
図2の燃焼器3のIII-III線断面図である。
図3に示すように、ケーシング10の上流側部分には、圧縮機2で生成された圧縮空気をケーシング10に取り入れるディフューザー8が設けられている。燃料インジェクタ17は、ケーシング10に固定されたステム9により支持されている。ケーシング10内の空間S1に取り入れられた圧縮空気の一部は、燃焼のために燃料インジェクタ17に供給される。ケーシング10内の空間S1に取り入れられた圧縮空気の残部は、シェル13の外面を冷却するとともに、その一部がアウターシェル14に形成された開口14b(
図4参照)からシェル13内に冷却空気として供給される。
【0020】
アウターライナー21は、アウターシェル14から径方向Rの内側に距離をあけて配置されている。インナーライナー22は、インナーシェル15から径方向Rの外側に距離をあけて配置されている。アウターライナー21及びインナーライナー22は、複数の取付具40(
図4参照)によってシェル13から離間した状態でシェル13に取り付けられている。アウターライナー21及びインナーライナー22は、燃焼室16を画定している。燃焼室16の燃焼ガスは、燃焼室16の圧縮空気の流れ方向Fの下流側におけるアウターライナー21及びインナーライナー22の端によって画定された排出口16aからタービン4(
図1参照)に向けて排出される。
【0021】
アウターシェル14に対するアウターライナー21の取付構造と、インナーシェル15に対するインナーライナー22の取付構造とは、互いに同様であるため、それらの代表として、以下ではアウターシェル14に対するアウターライナー21の取付構造について説明する。
【0022】
図4は、
図3の燃焼器3の部分断面図である。
図4に示すように、アウターシェル14は、取付用の貫通穴14aと、冷却用の開口14bと、を有する。ライナーパネル31は、取付用の支持穴31aを有する。ライナーパネル31の支持穴31aは、アウターシェル14の貫通穴14aと径方向Rに合致するように配置されている。支持穴31aの内周面は、取付具40に対応する形状となっている。例えば、径方向Rの内方に向けて拡径するテーパー面を有する。
【0023】
取付具40は、ライナーパネル31をアウターシェル14に取り付ける。取付具40は、例えば金属製であるが、金属以外の材料で形成されてもよい。取付具40は、サポート41、固定部材42、スペーサ43及び付勢部材44を備えた組立体である。
【0024】
サポート41は、ライナーパネル31の支持穴31a及びアウターシェル14の貫通穴14aを径方向Rの内側から挿通している。サポート41は、軸部41a、頭部41b、及び、燃焼室16に接続する空気流路41cを有する。軸部41aは、径方向Rに延びてアウターシェル14の貫通穴14aを挿通する。軸部41aの中心軸線Yは、径方向Rに延びている。軸部41aの外周面のうちアウターシェル14よりも径方向Rの外側の部分にはネジ又は係合溝が形成されている。
【0025】
頭部41bは、軸部41aの径方向Rの内側の端部に接続されている。頭部41bの外径は、軸部41aの外径よりも大きい。頭部41bの外周面は、径方向Rの外側から内側に向けて拡径するテーパー面を有する。頭部41bは、ライナーパネル31の支持穴31aに配置されている。頭部41bの外周面のテーパー面は、支持穴31aの内周面のテーパー面に径方向Rの内側から当接している。即ち、頭部41bは、径方向Rの内側からライナーパネル31を支持する。なお、頭部41bの外周面及び支持穴31aの内周面にテーパー面を設けずに、ライナーパネル31の径方向Rの内側の面にサポート41の頭部41bが当接してもよい。
【0026】
空気流路41cは、サポート41の内部において軸部41aから頭部41bにわたってサポート41の中心軸線Yに沿って延びている。空気流路41cは、アウターシェル14の径方向Rの外側の空間S1に開口し、かつ、燃焼室16に開口している。空気流路41cのうち径方向Rの内側の部分は、燃焼室16に向けて拡大する円錐台形状を有する。空気流路41cは、空気流路41cを通過する空気を旋回させる旋回発生部を有していてもよい。旋回発生部は、例えば、サポート41の中心軸線Yに対して傾斜している空気流路41cへの空気取込口である。なお、サポート41は、空気流路41cを有しないものであってもよい。
【0027】
圧縮機2(
図1参照)からディフューザー8(
図3参照)を介して空間S1に流入した圧縮空気は、アウターシェル14の開口14bを介して、アウターシェル14とライナーパネル31との間の冷却空間S2に冷却空気として流入する。アウターシェル14とライナーパネル31との間には、冷却空気が冷却空間S2からリークするのを抑制する図示しないシール構造が配置されている。また、空間S1の圧縮空気は、サポート41に空気流路41cが設けられている場合、空気流路41cを流れ、ライナーパネル31の内側の面に沿って燃焼室16に冷却空気として吐出される。
【0028】
固定部材42は、アウターシェル14の径方向Rの外側においてサポート41の軸部41aに取り付けられている。固定部材42の外形は、中心軸線Yが延びる方向から見てアウターシェル14の貫通穴14aよりも大きい。固定部材42は、アウターシェル14から径方向Rの内側にサポート41が抜けるのを阻止するようにサポート41の軸部41aに取り付けられている。固定部材42は、中心軸線Yの延びる方向においてサポート41に対して変位不能に取り付けられている。固定部材42は、例えば、軸部41aの外周面の係合溝に係合されるC形状のクリップである。固定部材42は、軸部41aの外周面のネジに螺合されるナットでもよい。なお、固定部材42と軸部41aは任意の方法で取り付けることができる。また、固定部材42は、アウターシェル14の外面に直接的に対向しているが、固定部材42とアウターシェル14との間に他の部材が介在してもよい。
【0029】
スペーサ43は、アウターシェル14とライナーパネル31との間に介在する。スペーサ43は、中心軸線Y周りのリング形状を有するが、これに限られない。スペーサ43は、サポート41の軸部41aに遊びをもって外嵌されている。スペーサ43は、本体部43a及び突出部43bを有する。本体部43aは、アウターシェル14とライナーパネル31との間に配置されている。本体部43aは、例えば、リング板形状を有する。本体部43aの外形は、中心軸線Yが延びる方向から見てアウターシェル14の貫通穴14aよりも大きい。
【0030】
突出部43bは、本体部43aから径方向Rの外側に突出し、アウターシェル14の貫通穴14aに挿入されている。突出部43bは、筒形状を有する。アウターシェル14の貫通穴14aの内周面と突出部43bとの間には、ギャップG1が形成されている。即ち、スペーサ43は、中心軸線Yに直交する方向においてアウターシェル14に対して変位可能となっている。
【0031】
付勢部材44は、ライナーパネル31がアウターシェル14から径方向Rに離れるようにライナーパネル31を径方向Rの内側に向けて付勢している。付勢部材44は、例えば、環状の皿バネである。付勢部材44は、中心軸線Y周りのリング形状を有する。なお、付勢部材44は、これに限定されず、例えば、中心軸線Y周りに巻かれたコイルバネ等でもよい。付勢部材44は、サポート41の軸部41aに遊びをもって外嵌されている。
【0032】
付勢部材44は、基部44a及び弾性部44bを有する。基部44aは、径方向Rにおいてスペーサ43とライナーパネル31との間に挟まれている。弾性部44bは、サポート41の中心軸線Yに直交する方向におけるスペーサ43の外側に配置されている。弾性部44bは、基部44aから、アウターシェル14に向けて突出している。弾性部44bは、アウターシェル14を径方向Rの外側に向けて付勢する。弾性部44bがアウターシェル14から受ける反力によって、基部44aがライナーパネル31を径方向Rの内側に付勢する。
【0033】
付勢部材44によってライナーパネル31が径方向Rの内側に変位する。サポート41、固定部材42、及びスペーサ43が径方向Rの内側に変位し、径方向Rにおいてスペーサ43の本体部43aとアウターシェル14との間にギャップG2を形成する。なお、固定部材42は、スペーサ43の突出部43bを径方向Rの内側に向けて直接的に押圧するが、間接的に押圧してもよい。
【0034】
以上に説明した構成によれば、シェル及びライナーの温度差、材料の熱膨張率差、及びライナーの表裏面の温度差などで、アウターシェル14とライナーパネル31との間の熱膨張差が生じても、ライナーパネル31は、スペーサ43とアウターシェル14との間のギャップG2を縮めるように付勢部材44の付勢力に抗して変位でき、ライナーパネル31の応力を低減できる。また、ライナーパネル31は、アウターシェル14とスペーサ43との間のギャップG1において変位でき、ライナーパネル31の応力を低減できる。よって、ガスタービン1の燃焼器3におけるライナーパネル31の耐久性を向上できる。
【0035】
付勢部材44は、基部44a及び弾性部44bを有するため、スペーサ43とアウターシェル14との間にギャップG2を形成する付勢部材44を少ない部品点数で容易に組み付けることができる。
【0036】
図5は、
図2の燃焼器3のライナーパネル31及びサポート41の斜視図である。
図5では、取付具40のサポート41が図示されているが、取付具40の固定部材42、スペーサ43、付勢部材44及びアウターシェル14の図示が省略されている。
図5に示すように、ライナーパネル31は、3つの取付具40によって三点支持されている。ライナーパネル31は、燃焼器3の軸線方向Xに沿って延びている。ライナーパネル31の長手方向の一方側の部分に2つの取付具40が配置され、ライナーパネル31の長手方向の他方の部分に1つの取付具40が配置されている。3つの取付具40は、二等辺三角形の頂点となる位置に配置されている。なお、3つの取付具40の配置は、これに限られず、任意の配置とすることができる。
【0037】
3つの取付具40を用いた三点支持によって、ライナーパネル31の面方向が決まるため、アウターシェル14とライナーパネル31との間に熱膨張差が生じても、ライナーパネル31の姿勢変動を抑制できる。また、ライナーパネル31の支持点が三点であるため、ライナーパネル31の面外方向に拘束力が作用することを防止できる。よって、ガスタービン1の燃焼器3におけるライナーパネル31の耐久性を向上できる。また、ライナーパネル31の姿勢変動が抑制されるため、ライナーパネル31とアウターシェル14との間に設けられるシール構造のシール性も設計通りに維持されやすくできる。
【0038】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の燃焼器103の部分断面図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、第2実施形態の燃焼器103では、取付具140によってライナーパネル31がアウターシェル14に取り付けられている。なお、第2実施形態においても、1枚のライナーパネル31は、3つの取付具140による三点支持によりアウターシェル14に取り付けることができる。
【0039】
取付具140は、サポート41、固定部材142、スペーサ43、付勢部材144、押さえ部材145及び締結具146を備える。押さえ部材145は、固定部材142を径方向Rの外側から覆い、締結具146によってアウターシェル14に固定されている。押さえ部材145は、凹部145a及びフランジ部145bを有する。凹部145aは、径方向Rの外側に向けて窪んで径方向Rの内側に向けて開口している。フランジ部145bは、凹部145aの径方向Rの内側の端部から、サポート41の中心軸線Yに直交する方向に突出している。押さえ部材145のフランジ部145bは、締結具146によってアウターシェル14に固定されている。締結具146は、例えば、ボルト147及びナット148を含む。なお、締結具146は、押さえ部材145をアウターシェル14に固定できるものであれば他のもの(例えば、リベット)でもよい。
【0040】
固定部材142及び付勢部材144は、押さえ部材145の凹部145aとアウターシェル14との間の空間に収容されている。固定部材142は、アウターシェル14の径方向Rの外側においてサポート41の軸部41aに取り付けられている。固定部材142の外形は、中心軸線Yが延びる方向から見てアウターシェル14の貫通穴14aよりも大きい。固定部材142は、例えば、サポート41の軸部41aの外周面のネジに螺合されるナットである。付勢部材144は、押さえ部材145の凹部145aの底部と固定部材142との間に挟まれている。固定部材142は、付勢部材144を径方向Rの内側から支持する下座であり、押さえ部材145は、付勢部材144を径方向Rの外側から支持する上座である。
【0041】
付勢部材144は、固定部材142を径方向Rの内側に向けて押圧することで、サポート41及び固定部材142を径方向Rの内側に向けて付勢する。付勢部材144は、例えば、中心軸線Y周りに巻かれたコイルバネを含む。付勢部材144は、コイルバネ以外の弾性体(例えば、皿バネ)でもよい。押さえ部材145の凹部145aは、挿通孔145cを有する。サポート41の軸部41aは、凹部145aの挿通孔145cを径方向Rに挿通している。なお、軸部41aは、挿通孔145cを挿通しなくてもよい。
【0042】
付勢部材144によってサポート41、固定部材142及びスペーサ43が径方向Rの内側に変位する。ライナーパネル31が径方向Rの内側に押圧され、径方向Rにおいてスペーサ43の本体部43aとアウターシェル14との間にギャップG2が形成される。
【0043】
以上に説明した構成によれば、シェル及びライナーの温度差、材料の熱膨張率差、及びライナーの表裏面の温度差などで、アウターシェル14とライナーパネル31との間の熱膨張差が生じても、ライナーパネル31は、スペーサ43とアウターシェル14との間のギャップG2を縮めるように付勢部材144の付勢力に抗して変位でき、ライナーパネル31の応力を低減できる。また、ライナーパネル31は、アウターシェル14とスペーサ43との間のギャップG1において変位でき、ライナーパネル31の応力を低減できる。よって、燃焼器103におけるライナーパネル31の耐久性を向上できる。
【0044】
また、付勢部材144がアウターシェル14の径方向Rの外側に配置されるため、付勢部材144を燃焼室16の熱から遠ざけることができ、付勢部材144の熱負荷を低減できる。また、固定部材142はスペーサ43の突出部43bを径方向Rの内側に押圧しているので、スペーサ43の振動を防ぎながらスペーサ43とアウターシェル14との間のギャップG2を維持できる。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0045】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の燃焼器203の部分断面図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、第3実施形態の燃焼器203では、取付具240によってライナーパネル31がアウターシェル14に取り付けられている。なお、第3実施形態においても、1枚のライナーパネル31は、3つの取付具240による三点支持によりアウターシェル14に取り付けることができる。
【0046】
取付具240は、サポート41、固定部材242、スペーサ243、付勢部材244を備える。固定部材242は、アウターシェル14の径方向Rの外側においてサポート41の軸部41aに取り付けられている。固定部材242は、例えば、軸部41aの外周面のネジに螺合されるナットであるが、クリップ等のような他の部材でもよい。付勢部材244は、径方向Rにおいて固定部材242とアウターシェル14との間に配置されている。付勢部材244は、弾性体250、下座251及び上座252を有する組立体である。弾性体250は、例えばバネである。具体的には、弾性体250は、中心軸線Y周りに巻かれたコイルバネであるが、その他のもの(例えば、皿バネ)でもよい。
【0047】
下座251は、弾性体250に対して径方向Rの内側に配置されている。上座252は、弾性体250に対して径方向Rの外側に配置されている。下座251及び上座252は、弾性体250を迂回して互いに径方向Rに対向する対向面251a,252aを有する。上座252は付勢部材244によって径方向Rの外側に向けて押圧されているため、下座251の対向面251aと上座252の対向面252aとの間に径方向RにおいてギャップG3が形成されている。
【0048】
スペーサ243は、中心軸線Y周りのリング形状を有する。スペーサ243は、本体部243a及び突出部243bを有する。本体部243aは、アウターシェル14とライナーパネル31との間に挟まれている。本体部243aの外形は、中心軸線Yが延びる方向から見てアウターシェル14の貫通穴14aよりも大きい。本体部243aは、例えば、リング板形状を有する。突出部243bは、本体部243aから径方向Rの外側に突出し、アウターシェル14の貫通穴14aを通過して上座252に径方向Rの内側から当接している。突出部243bは、例えば、筒形状を有する。なお、
図7は、ガスタービン1の運転が停止した状態を示している。
【0049】
図8は、
図7の燃焼器203のガスタービン運転中の部分断面図である。
図8に示すように、ガスタービン運転中は、圧縮機2(
図1参照)から空間S1に流入した圧縮空気がアウターシェル14の開口14bを介して冷却空間S2に流入する。それにより冷却空間S2の圧力が高まってくると、冷却空間S2の圧縮空気が弾性体250の付勢力に抗してライナーパネル31を径方向Rの内側に変位させる。
【0050】
ライナーパネル31の径方向Rの内側への変位に伴って、サポート41、固定部材242、及びスペーサ243が径方向Rの内側に変位する。上座252の対向面252aが下座251の対向面251aに当接したところでライナーパネル31の径方向Rの内側への変位が停止する。径方向Rにおいてスペーサ243とアウターシェル14との間には、ギャップG2が形成される。
【0051】
以上に説明した構成によれば、ガスタービンが始動して圧縮機2から冷却空間S2に流入する圧縮空気が、付勢部材244に抗してライナーパネル31を径方向Rの内側に変位させるため、径方向Rにおいてスペーサ243とアウターシェル14との間にギャップG2を発生させる。ギャップG2が発生した状態で、シェル及びライナーの温度差、材料の熱膨張率差、及びライナーの表裏面の温度差などで、アウターシェル14とライナーパネル31との間の熱膨張差が生じても、ライナーパネル31は、スペーサ243とアウターシェル14との間の距離を縮めるように変位でき、ライナーパネル31の応力を低減できる。また、ライナーパネル31は、アウターシェル14とスペーサ243との間のギャップG1において変位でき、ライナーパネル31の応力を低減できる。よって、燃焼器203におけるライナーパネル31の耐久性を向上できる。
【0052】
また、付勢部材244がアウターシェル14の径方向Rの外側に配置されるため、付勢部材244を燃焼室16の熱から遠ざけることができ、付勢部材244の熱負荷を低減できる。また、付勢部材244は、前述したような組立体であるため、簡素な構成で固定部材242を径方向Rの外側に付勢できる。また、圧縮機2から冷却空間S2に流入する圧縮空気が、上座252と下座251との間の距離を縮めるようにライナーパネル31を径方向Rの内側に変位させたとき、上座252と下座251とが互いに当接して変位が停止するので、弾性体250を保護できる。
【0053】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【0054】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0055】
[項目1]
燃焼室を囲むシェルと、
前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面するライナーと、
前記シェルに前記ライナーを取り付ける取付具と、を備え、
前記取付具は、
前記シェルを貫通する軸部、及び、前記軸部と接続し前記シェルの径方向の内側から前記ライナーを支持する頭部を有するサポートと、
前記シェルの前記径方向の外側において前記サポートの前記軸部に取り付ける固定部材と、
前記シェルと前記ライナーとの間に介在するスペーサと、
前記ライナーが前記シェルから前記径方向に離れるように前記ライナーを前記径方向の内側に向けて付勢し、前記径方向において前記スペーサと前記シェルとの間にギャップを形成する付勢部材と、を含む、ガスタービンの燃焼器。
【0056】
この構成によれば、シェル及びライナーの温度差、材料の熱膨張率差、及びライナーの表裏面の温度差などで、シェルとライナーパネルとの間の熱膨張差が生じても、ライナーパネルは、スペーサとシェルとの間のギャップを縮めるように付勢部材の付勢力に抗して変位でき、ライナーパネルの応力を低減できる。また、ライナーパネルは、シェルとスペーサとの間のギャップにより変位可能であることで、ライナーパネルの応力を低減できる。よって、ガスタービンの燃焼器におけるライナーパネルの耐久性を向上できる。
【0057】
[項目2]
前記付勢部材は、前記サポート、前記固定部材、及び前記スペーサを前記径方向の内側に向けて付勢し、前記径方向において前記スペーサと前記シェルとの間にギャップを形成する、項目1に記載のガスタービンの燃焼器。
【0058】
この構成によれば、シェルとライナーパネルとの間の熱膨張差が生じた場合に、ライナーパネルが径方向に収縮できるようにスペーサとシェルとの間のギャップを形成できるので、ライナーパネルの応力を低減できる。また、ライナーパネルは、シェルとスペーサとの間のギャップにおいて変位できるので、ライナーパネルの応力を低減できる。よって、ガスタービンの燃焼器におけるライナーパネルの耐久性を向上できる。
【0059】
[項目3]
前記スペーサは、前記シェルと前記ライナーとの間に位置する本体部と、前記本体部から前記径方向の外側に突出して前記シェルを貫通する突出部と、を有する、項目1又は2に記載のガスタービンの燃焼器。
【0060】
この構成によれば、スペーサの振動を抑えることができる。
【0061】
[項目4]
前記取付具は、前記固定部材を前記径方向の外側から覆って前記シェルに固定する押さえ部材を更に含み、
前記付勢部材は、前記押さえ部材と前記固定部材との間に位置する、項目1乃至3のいずれかに記載のガスタービンの燃焼器。
【0062】
この構成によれば、シェルの径方向外側に付勢部材が配置されるため、付勢部材が燃焼室から受ける熱負荷を抑制できる。
【0063】
[項目5]
前記付勢部材は、前記径方向において前記スペーサと前記ライナーとの間に位置する基部と、前記径方向に直交する方向における前記スペーサの外側に配置されて前記シェルを前記径方向の外側に向けて付勢する弾性部と、を有する、項目1乃至3のいずれかに記載のガスタービンの燃焼器。
【0064】
この構成によれば、スペーサとシェルとの間にギャップを形成する付勢部材を少ない部品点数で容易に組み付けることができる。
【0065】
[項目6]
燃焼室を囲むシェルと、
前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面するライナーと、
圧縮空気が流入する前記シェルと前記ライナーとの間の冷却空間と、
前記シェルに前記ライナーを取り付ける取付具と、を備え、
前記取付具は、
前記シェルを貫通する軸部、及び、前記軸部と接続し前記シェルの径方向の内側から前記ライナーを支持する頭部を有するサポートと、
前記シェルと前記ライナーとの間に介在するスペーサと、
前記シェルの前記径方向の外側において前記サポートの前記軸部に取り付ける固定部材と、
前記シェルの前記径方向の外側かつ前記固定部材の前記径方向の内側に配置された付勢部材と、を含み、
前記付勢部材は、前記冷却空間に流入する前記圧縮空気に抗して前記ライナーが前記シェルに前記径方向に近づくように前記固定部材を前記径方向の外側に向けて付勢する、ガスタービンの燃焼器。
【0066】
この構成によれば、ガスタービンが始動して圧縮機から、シェルとライナーとの間の冷却空間に流入する圧縮空気が、付勢部材に抗してライナーパネルを径方向の内側に変位させるため、径方向においてスペーサとアウターシェルとの間にギャップを発生させる。ギャップが発生した状態で、シェル及びライナーの温度差、材料の熱膨張率差、及びライナーの表裏面の温度差などで、シェルとライナーパネルとの間の熱膨張差が生じても、ライナーパネルは、スペーサとシェルとの間の距離を縮めるように変位でき、ライナーパネルの応力を低減できる。また、ライナーパネルは、シェルとスペーサとの間のギャップにより変位可能であることで、ライナーパネルの応力を低減できる。よって、燃焼器におけるライナーパネルの耐久性を向上できる。
【0067】
[項目7]
前記付勢部材は、弾性体と、前記弾性体の前記径方向の外側に配置された上座と、前記弾性体の前記径方向の内側に配置された下座と、を含む、項目6に記載のガスタービンの燃焼器。
【0068】
この構成によれば、簡素な構成で固定部材を径方向外側に付勢できる。
【0069】
[項目8]
前記上座及び前記下座は、前記弾性体を迂回して互いに前記径方向に対向する対向面を有し、
前記上座の前記対向面と前記下座の前記対向面との間にギャップが形成されている、項目7に記載のガスタービンの燃焼器。
【0070】
この構成によれば、圧縮機から、シェルとライナーとの間の冷却空間に流入する圧縮空気が、上座と下座との間の距離を縮めるようにライナーを径方向の内側に変位させたとき、上座の対向面と下座の対向面とが互いに当接することでバネを保護できる。
【0071】
[項目9]
燃焼室を囲むシェルと、
前記シェルの内側に位置し、前記燃焼室に面する複数のライナーパネルと、
前記シェルに前記複数のライナーパネルをそれぞれ取り付ける複数の取付具と、を備え、
前記複数のライナーパネルは、前記シェルの周方向に位置し、
前記複数の取付具のうち3つの取付具は、前記複数のライナーパネルのうち1つのライナーパネルを三点支持する、ガスタービンの燃焼器。
【0072】
この構成によれば、三点支持によってライナーの面方向が決まるため、シェルとライナーとの間に熱膨張差が生じても、ライナーの姿勢変動を抑制できる。また、ライナーの支持点が三点であるため、ライナーの面外方向に拘束力が作用することを防止できる。よって、ガスタービンの燃焼器におけるライナーの耐久性を向上できる。
【符号の説明】
【0073】
1 ガスタービン
2 圧縮機
3,103,203 燃焼器
4 タービン
13 シェル
14 アウターシェル
14a 貫通穴
16 燃焼室
20 ライナー
21 アウターライナー
31 ライナーパネル
40,140,240 取付具
41 サポート
41a 軸部
41b 頭部
42,142,242 固定部材
43,243 スペーサ
43a,243a 本体部
43b,243b 突出部
44,144,244 付勢部材
145 押さえ部材
242 固定部材
250 弾性体
251 下座
251a 対向面
252 上座
252a 対向面
R 径方向
G2 ギャップ
G3 ギャップ
S2 冷却空間