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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183454
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】レーザ測定装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20231221BHJP
【FI】
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096977
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 史記
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA02
4E168DA13
4E168DA26
4E168DA28
4E168EA17
4E168EA24
4E168EA25
4E168KA17
(57)【要約】
【課題】レーザ光の焦点位置を確認できるレーザ測定装置を提供する。
【解決手段】レーザ測定装置30は、測定通路部35と、複数の光量検出部37と、を備える。測定通路部35は、レーザ光LBが通過する測定通路36を有する。光量検出部37は、レーザ光LBの光軸方向に沿って間隔をあけて配置される。光量検出部37は、測定通路36を通過するレーザ光LBの光量を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工ヘッドから出射されたレーザ光を測定するレーザ測定装置であって、
前記レーザ光が通過する測定通路を有する測定通路部と、
前記レーザ光の光軸方向に沿って間隔をあけて配置され、前記測定通路を通過する前記レーザ光の光量を検出する複数の光量検出部と、を備える
レーザ測定装置。
【請求項2】
請求項1のレーザ測定装置において、
前記複数の光量検出部で検出された複数の検出値に基づいて、前記レーザ光の焦点位置を算出する算出部を備える
レーザ測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2のレーザ測定装置において、
前記複数の光量検出部は、前記レーザ光の光軸に沿って配置された第1列の前記光量検出部と、前記レーザ光の光軸を挟んで前記第1列と対向するように配置された第2列の前記光量検出部と、を含む
レーザ測定装置。
【請求項4】
請求項1又は2のレーザ測定装置において、
前記測定通路部を通過した前記レーザ光の光量を減少させる入力光量減少部と、
前記入力光量減少部を通過した前記レーザ光が入射する所定の光量検出範囲内に複数配置され、前記レーザ光の光量を検出する入力光量検出部と、
前記光量検出範囲に対して所定の割合にデフォーカスでビーム径を設定し、少なくとも入射範囲の前記レーザ光が前記光量検出範囲の一部に集光するような焦点距離と位置の関係に設置された集光レンズと、を備える
レーザ測定装置。
【請求項5】
請求項1又は2のレーザ測定装置において、
前記光量検出部は、前記レーザ光における所定の割合のビーム径よりも径方向外方に配置される
レーザ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、保護ガラスを透過したレーザ光を溶接対象物に向けて屈折させるミラーのレーザ光出射方向下流側に、後段エアナイフノズルと前段エアナイフノズルを設けたレーザ加工ヘッドが開示されている。
【0003】
特許文献1の発明では、レーザ光の光路を横切るエアカーテン流を形成することで、溶接スパッタなどの飛散物がミラー及び保護ガラスへ付着するのを抑え、熱レンズ効果の発現を防ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-240722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の発明では、保護ガラスへの溶接スパッタなどの飛散物の付着を抑え得るものの、それ以外の要因による光学系への飛散物の付着を抑えることはできない。
【0006】
具体的に、光ファイバの交換やメンテナンスを行うために、レーザ加工ヘッドから一旦、光ファイバを取り外すことがある。このとき、光ファイバの差込口が開口状態となることから、差込口を通ってレーザ加工ヘッドの内部に塵埃が侵入し、コリメータレンズなどの光学系に付着するおそれがある。
【0007】
そして、飛散物が光学系に付着した状態でレーザ光を出射し続けると、飛散物が発熱源となって熱レンズ効果が生じてレーザ光の焦点位置が変動してしまい、レーザ加工精度に影響を及ぼすおそれがある。そのため、レーザ光の焦点位置を定期的に確認するための対策が望まれていた。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーザ光の焦点位置を確認できるレーザ測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、レーザ加工ヘッドから出射されたレーザ光を測定するレーザ測定装置であって、前記レーザ光が通過する測定通路を有する測定通路部と、前記レーザ光の光軸方向に沿って間隔をあけて配置され、前記測定通路を通過する前記レーザ光の光量を検出する複数の光量検出部と、を備える。
【0010】
第1の発明では、レーザ加工ヘッドにおいて熱レンズ効果が生じてしまい、レーザ光の焦点位置が変動した場合でも、複数の光量検出部で検出された複数の検出値に基づいて、レーザ光の焦点位置を確認することができる。
【0011】
具体的に、レーザ光の焦点位置に近い位置では、レーザ光のビーム径が小さくレーザ光の漏れ光が少ないために、光量検出部の検出値が小さくなる傾向にある。一方、レーザ光の焦点位置から離れた位置では、レーザ光のビーム径が大きくレーザ光の漏れ光が多いために、光量検出部の検出値が大きくなる傾向にある。
【0012】
そのため、複数の光量検出部のうち、最も小さい検出値が検出された光量検出部の近傍に、レーザ光の焦点位置が存在していると判断することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明のレーザ測定装置において、前記複数の光量検出部で検出された複数の検出値に基づいて、前記レーザ光の焦点位置を算出する算出部を備える。
【0014】
第2の発明では、複数の光量検出部で検出された複数の検出値に基づいて、レーザ光の焦点位置を算出することができる。
【0015】
具体的に、レーザ光の焦点位置に近い位置では、レーザ光のビーム径が小さくレーザ光の漏れ光が少ないために、光量検出部の検出値が小さくなる傾向にある。そのため、複数の光量検出部のうち、最も小さい検出値が検出された光量検出部の近傍に、レーザ光の焦点位置が存在していると判断することができる。
【0016】
第3の発明は、第1又は2の発明のレーザ測定装置において、前記複数の光量検出部は、前記レーザ光の光軸に沿って配置された第1列の前記光量検出部と、前記レーザ光の光軸を挟んで前記第1列と対向するように配置された第2列の前記光量検出部と、を含む。
【0017】
第3の発明では、複数の光量検出部を、レーザ光の光軸を挟んで対向するように配置することで、測定通路を通過するレーザ光の光軸が傾いているかを判断することができる。
【0018】
具体的に、まず、複数の光量検出部が第1列のみを含み、第1列において、測定通路の上流端の光量検出部に近い位置から、測定通路の下流端の光量検出部に対して離れた位置に向かって、レーザ光の光軸が傾いた状態で、レーザ光が測定通路に入射された場合について説明する。
【0019】
この場合、測定通路の上流端に配置された光量検出部の検出値が大きくなり、測定通路の下流端に配置された光量検出部の検出値が小さくなる。そのため、測定通路の下流端に配置された光量検出部の近傍に、レーザ光の焦点位置が存在していると誤判断するおそれがある。
【0020】
これに対し、複数の光量検出部を、レーザ光の光軸を挟んで対向するように配置すれば、測定通路の上流端では、第1列の光量検出部の検出値が大きくなるが、第2列の光量検出部の検出値が小さくなる。一方、測定通路の下流端では、第1列の光量検出部の検出値が小さくなるが、第2列の光量検出部の検出値が大きくなる。また、測定通路の途中には、第1列と第2列とで、検出値が略同じとなる光量検出部が存在することとなる。
【0021】
そこで、第1列の光量検出部と、第2列の光量検出部とにおいて、略同じ検出値が検出された光量検出部の近傍に、レーザ光の焦点位置が存在していると判断することができる。
【0022】
第4の発明は、第1又は2の発明のレーザ測定装置において、前記測定通路部を通過した前記レーザ光の光量を減少させる入力光量減少部と、前記入力光量減少部を通過した前記レーザ光が入射する所定の光量検出範囲内に複数配置され、前記レーザ光の光量を検出する入力光量検出部と、前記光量検出範囲に対して所定の割合にデフォーカスでビーム径を設定し、少なくとも入射範囲の前記レーザ光が前記光量検出範囲の一部に集光するような焦点距離と位置の関係に設置された集光レンズと、を備える。
【0023】
第4の発明では、高出力のレーザ光であっても、計測可能な光量に調整されて複数の入力光量検出部に出射させ、複数の入力光量検出部の検出値に基づいて、レーザ光の光量の重心位置と総量を算出することで、入射したレーザ光のスポットの位置と出力値を同時に測定することができる。
【0024】
第5の発明は、第1又は2の発明のレーザ測定装置において、前記光量検出部は、前記レーザ光における所定の割合のビーム径よりも径方向外方に配置される。
【0025】
第5の発明では、レーザ光における所定の割合(例えば、86%)のビーム径よりも径方向外方に光量検出部を配置することで、光量検出部で検出するレーザ光のパワー密度が小さくなり、光量検出部の破損を抑えることができる。また、レーザ光の光軸上から離れた位置に光量検出部を配置することで、レーザ光の出力計測に影響を与えるのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、レーザ加工ヘッドにおいて熱レンズ効果が生じてしまい、レーザ光の焦点位置が変動した場合でも、複数の光量検出部で検出された複数の検出値に基づいて、レーザ光の焦点位置を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態1に係るレーザ加工装置の構成を示す側面図である。
図2】レーザ測定装置の構成を示す側面断面図である。
図3】各光量検出部で検出されたレーザ光のパワー密度を示す図である。
図4】Z方向位置と検出値との関係を示すグラフ図である。
図5】入力光量検出部とレーザ光の入射位置との関係を示す平面図である。
図6】本実施形態1の変形例に係るレーザ測定装置の構成を示す側面断面図である。
図7】本実施形態2に係るレーザ測定装置の構成を示す側面断面図である。
図8】各光量検出部で検出されたレーザ光のパワー密度を示す図である。
図9】Z方向位置と検出値との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。なお、図面中に示されるX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ直交する方向である。ここで、Z軸は、上下方向にあたる鉛直方向である。
【0029】
《実施形態1》
〈レーザ加工装置〉
図1に示すように、レーザ加工装置1は、レーザ発振器10と、伝送ファイバ11と、マニピュレータ13と、制御部15と、レーザ加工ヘッド20と、レーザ測定装置30と、を備える。
【0030】
レーザ発振器10は、レーザ光LBを発振する。レーザ発振器10は、例えば、固体レーザ光源、気体レーザ光源、ファイバレーザ光源を用いることができる。また、レーザ発振器10は、半導体レーザからの出射光を直接に用いる半導体レーザ光源や、複数のレーザ光エミッタを備える半導体レーザアレイであってもよい。
【0031】
レーザ発振器10は、伝送ファイバ11の入射端に接続される。レーザ加工ヘッド20は、伝送ファイバ11の出射端に接続される。レーザ発振器10から出射されたレーザ光LBは、伝送ファイバ11を介してレーザ加工ヘッド20に伝送される。
【0032】
レーザ加工ヘッド20は、マニピュレータ13に取り付けられる。レーザ加工ヘッド20は、マニピュレータ13を動作させることで、ワークWに対するレーザ光LBの出射位置及び焦点位置を変更可能となっている。
【0033】
制御部15には、レーザ発振器10、マニピュレータ13、レーザ加工ヘッド20、及びレーザ測定装置30が接続される。制御部15は、レーザ加工ヘッド20の移動速度の他に、レーザ光LBの出力開始や停止、レーザ光LBの出力強度などを制御する。
【0034】
制御部15は、算出部16を有する。詳しくは後述するが、算出部16は、複数の光量検出部37で検出された複数の検出値に基づいて、レーザ光LBの焦点位置を算出する。
【0035】
レーザ加工ヘッド20は、マニピュレータ13を動作させることで、ワークWに対向するワーク加工位置と、レーザ測定装置30に対向するレーザ測定位置と、に切り替えられる。
【0036】
〈レーザ加工ヘッド〉
レーザ加工ヘッド20は、コリメータレンズ21と、集光レンズ22と、第1平行平板23と、第2平行平板24と、保護レンズ25と、を有する。
【0037】
コリメータレンズ21は、伝送ファイバ11の出射端から出射されたレーザ光LBを平行化する。
【0038】
集光レンズ22は、コリメータレンズ21で平行化されたレーザ光LBを集光する。
【0039】
第1平行平板23及び第2平行平板24は、集光レンズ22で集光されたレーザ光LBを透過させる。第1平行平板23及び第2平行平板24は、図示しないモータに接続され、制御部15からの指令に従って回転する。制御部15は、第1平行平板23及び第2平行平板24を回転させることにより、レーザ光LBが円軌道となるように回転させ、旋回移動させることができる。
【0040】
保護レンズ25は、レーザ加工ヘッド20の出射端に配置される。保護レンズ25は、ワークWのレーザ加工時に発生するヒュームやスパッタがレーザ加工ヘッド20内部の光学系に付着しないように保護している。保護レンズ25を透過したレーザ光LBは、ワークW、又はレーザ測定装置30に出射される。
【0041】
〈レーザ測定装置〉
図2に示すように、レーザ測定装置30は、筐体31と、測定通路部35と、入力光量減少部40と、集光レンズ49と、入力光量検出部50と、を備える。筐体31内部には、レーザ測定装置30が備える各構成要素が収容される。
【0042】
測定通路部35は、筒状に形成される。測定通路部35は、測定通路36を有する。レーザ加工ヘッド20から出射されたレーザ光LBは、測定通路36の開口から入射して、測定通路36を通過する。
【0043】
測定通路部35の入射側の開口には、保護レンズ32が配置される。保護レンズ32は、例えば、石英で構成される。保護レンズ32は、外部から塵埃などが測定通路部35内に侵入するのを抑える。
【0044】
保護レンズ32は、開閉シャッタ33によって開閉可能に覆われる。開閉シャッタ33は、レーザ測定装置30を使用しないときに保護レンズ32を覆うことで、外部からの塵埃等が保護レンズ32に付着するのを抑える。
【0045】
測定通路部35には、複数の光量検出部37が設けられる。図2に示す例では、測定通路部35には、4つの光量検出部37が設けられる。
【0046】
光量検出部37は、測定通路36を通過するレーザ光LBの光量を検出する。光量検出部37は、例えば、フォトダイオードで構成される。光量検出部37は、レーザ光LBの光軸方向に沿って間隔をあけて配置される。光量検出部37は、測定通路部35の側壁部に埋め込まれる。
【0047】
複数の光量検出部37で検出された複数の検出値は、制御部15に送られる。制御部15の算出部16は、複数の検出値に基づいて、レーザ光LBの焦点位置を算出する。
【0048】
具体的に、レーザ光LBの焦点位置に近い位置では、レーザ光LBのビーム径が小さくレーザ光LBの漏れ光が少ないために、光量検出部37の検出値が小さくなる傾向にある。一方、レーザ光LBの焦点位置から離れた位置では、レーザ光LBのビーム径が大きくレーザ光LBの漏れ光が多いために光量検出部37の検出値が大きくなる傾向にある。
【0049】
図3では、測定通路部35の上流端をZ方向の基準位置(0位置)とする。光量検出部37は、レーザ光LBにおける所定の割合のビーム径よりも径方向外方に配置される。図3に示す例では、光量検出部37は、レーザ光LBにおける86%のビーム径よりも径方向外方に配置される。これにより、光量検出部37で検出するレーザ光LBのパワー密度が小さくなり、光量検出部37の破損を抑えることができる。また、レーザ光LBの光軸上から離れた位置に光量検出部37を配置することで、レーザ光LBの出力計測に影響を与えるのを抑えることができる。
【0050】
図3に示すように、4つの光量検出部37のうち、測定通路36の上流端から見て4番目に配置された光量検出部37では、検出されるレーザ光LBのパワー密度が最も大きく、レーザ光LBの焦点位置から最も離れた位置であることが分かる。
【0051】
また、測定通路36の上流端から見て2番目に配置された光量検出部37では、検出されるレーザ光LBのパワー密度が最も小さく、2番目の光量検出部37の近傍に、レーザ光LBの焦点位置が存在していることが分かる。
【0052】
また、測定通路36の上流端から見て1番目及び3番目に配置された光量検出部37では、検出されるレーザ光LBのパワー密度が、4番目の配置された光量検出部37の検出値よりも小さく、2番目に配置された光量検出部37の検出値よりも大きい。
【0053】
図4のグラフ図では、4つの光量検出部37の検出値を連続的に繋いだ線を表している。図4では、測定通路36の上流端から1番目、2番目、3番目、及び4番目に配置された光量検出部37の検出値に、それぞれ「1」、「2」、「3」、及び「4」の番号を付している。
【0054】
図4に示す例では、1番目の光量検出部37から2番目の光量検出部37に向かって徐々に検出値が小さくなり、2番目の光量検出部37のZ方向位置を若干超えた位置から、3番目の光量検出部37に向かって徐々に検出値が大きくなっている。
【0055】
そのため、図4に示す例では、レーザ光LBの焦点位置は、検出値が最も小さい位置、つまり、2番目の光量検出部37よりもZ方向下方の位置に存在していると判断することができる。
【0056】
これにより、レーザ加工ヘッド20において熱レンズ効果が生じてしまい、レーザ光LBの焦点位置が変動した場合でも、複数の光量検出部37で検出された複数の検出値に基づいて、レーザ光LBの焦点位置を確認することができる。
【0057】
〈入力光量減少部〉
図2に示すように、入力光量減少部40は、レーザ測定装置30に入力されたレーザ光LBの光量を減少させる。入力光量減少部40は、第1部分反射ミラー41と、第2部分反射ミラー42と、部分透過フィルタ43と、第1ダンパ部44と、ダンパウィンドウ45と、第2ダンパ部47と、水循環用配管48と、を備える。
【0058】
第1部分反射ミラー41及び第2部分反射ミラー42は、レーザ光LBの光軸に対して45°の角度で配置される。第2部分反射ミラー42は、第1部分反射ミラー41に対してレーザ光LBの出射側に離れた位置に配置される。第1部分反射ミラー41及び第2部分反射ミラー42は、レーザ光LBの波長に対する反射率が90~99.5%であり、より好ましくは99.0%である。
【0059】
第1部分反射ミラー41及び第2部分反射ミラー42は、設定された反射率分のレーザ光LBを反射し、残りを透過させる。第1部分反射ミラー41及び第2部分反射ミラー42は、例えば、石英で構成される。第1部分反射ミラー41及び第2部分反射ミラー42は、レーザ光LBの入射側の表面に保護膜が施される。
【0060】
部分透過フィルタ43は、第2部分反射ミラー42に対してレーザ光LBの出射側に離れた位置に配置される。部分透過フィルタ43は、第2部分反射ミラー42を透過したレーザ光LBの波長に対して、透過光の出力を、入力光量検出部50における最大受光可能出力以下にさせるような透過率を持つ。部分透過フィルタ43は、設定された透過率分のレーザ光LBを透過させ、残りを吸収又は反射する。部分透過フィルタ43は、例えば、石英で構成される。
【0061】
第1ダンパ部44は、第1部分反射ミラー41で反射されたレーザ光LBが入射する位置に配置される。第1ダンパ部44は、円錐形状部46と、水循環用配管48と、を有する。第1ダンパ部44には、水が満たされる。第1ダンパ部44は、レーザ光LBを減衰させた上で吸収する。
【0062】
円錐形状部46は、円錐上の頂点が第1部分反射ミラー41で反射されたレーザ光LBに対向する配置される。円錐形状部46は、第1部分反射ミラー41で反射されたレーザ光LBを水中に拡散させる。
【0063】
水循環用配管48は、第1ダンパ部44内に満たされる水を循環させる。これにより、第1ダンパ部44の光量減衰性能が向上する。
【0064】
ダンパウィンドウ45は、第1部分反射ミラー41側に反射防止膜を有する。ダンパウィンドウ45は、第1ダンパ部44の第1部分反射ミラー41側に取り付けられる。ダンパウィンドウ45は、第1部分反射ミラー41と、第1ダンパ部44と、の空間を仕切る。ダンパウィンドウ45は、第1ダンパ部44内に満たされた水が漏れ出すのを防ぐ蓋体として機能する。ダンパウィンドウ45は、例えば、石英で構成される。
【0065】
第2ダンパ部47は、第2部分反射ミラー42で反射されたレーザ光LBが入射する位置に配置される。第2ダンパ部47は、第2部分反射ミラー42で反射されたレーザ光LBを受光して吸収する。第2ダンパ部47の内部は、反射防止のため表面を黒アルマイト処理される。
【0066】
〈集光レンズ〉
集光レンズ49は、部分透過フィルタ43に対してレーザ光LBの出射側に離れた位置に配置される。集光レンズ49は、平凸レンズで構成される。集光レンズ49の材質は、例えば、BK7である。
【0067】
集光レンズ49は、入力光量検出部50の光量検出範囲51(図5参照)に対して所定の割合にデフォーカスでビーム径を設定し、少なくとも入射範囲のレーザ光LBが光量検出範囲51の一部に集光するような焦点距離と位置の関係に設置される。
【0068】
〈入力光量検出部〉
入力光量検出部50は、集光レンズ49に対してレーザ光LBの出射側に離れた位置に配置される。入力光量検出部50は、レーザ光LBの光量を検出する。入力光量検出部50は、例えば、フォトダイオードで構成される。入力光量検出部50は、入力光量減少部40及び集光レンズ49を通過したレーザ光LBが入射する所定の光量検出範囲51内に複数配置される。
【0069】
図5に示す例では、光量検出範囲51は、レーザ光LBの光軸方向から見て円形状に設定される。光量検出範囲51を4分割したそれぞれの範囲には、4つの入力光量検出部50がそれぞれ配置される。
【0070】
集光レンズ49では、入射したレーザ光LBが、所定の割合にデフォーカスでビーム径を調整されるように集光される。集光レンズ49で集光されたレーザ光LBは、所定の割合にデフォーカスされたことで、光量検出範囲51内の4つの入力光量検出部50の全てへ入射し、各々の光量が検出される。入力光量検出部50の検出値は、制御部15に送られる。
【0071】
制御部15の算出部16は、4つの入力光量検出部50で検出した各々の光量の検出値の割合から光量の重心位置を算出する。さらに、各々の光量の検出値を合計することで、光量検出範囲51へ入射したレーザ光LBのトータル光量を算出する。
【0072】
図5に示す例では、4つの入力光量検出部50のうち、右上部及び右下部に配置された入力光量検出部50の検出値が大きく、左上部及び左下部に配置された入力光量検出部50の検出値が小さいことから、レーザ光LBのスポット位置が、光量検出範囲51の中心位置よりも右寄りであることが分かる。
【0073】
これにより、光量検出範囲51に入射したレーザ光LBの重心位置とトータル光量を同時に算出することができる。
【0074】
-実施形態1の変形例-
前記実施形態1では、4つの光量検出部37を用いてレーザ光LBの光量を検出するようにしたが、光量検出部37の数をさらに増やしてもよい。
【0075】
図6に示す例では、測定通路部35には、6つの光量検出部37が設けられる。6つの光量検出部37は、レーザ光LBの光軸方向に沿って間隔をあけて配置される。
【0076】
このように、光量検出部37の数を増やすことで、レーザ光LBの光量の検出値の数を多くして、レーザ光LBの焦点位置をより精度高く算出することができる。
【0077】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0078】
図7に示すように、測定通路部35には、複数の光量検出部37が設けられる。複数の光量検出部37は、レーザ光LBの光軸に沿って配置された第1列61の光量検出部37と、レーザ光LBの光軸を挟んで第1列61と対向するように配置された第2列62の光量検出部37と、を含む。
【0079】
図7に示す例では、第1列61は、4つの光量検出部37を含む。第2列62は、4つの光量検出部37を含む。つまり、図7に示す例では、測定通路部35には、8つの光量検出部37が設けられる。
【0080】
第1列61の光量検出部37と、第2列62の光量検出部37とは、互いに対向する位置に配置される。なお、第1列61の光量検出部37と、第2列62の光量検出部37とは、上下方向に互いにずれた位置に配置されてもよい。
【0081】
このように、複数の光量検出部37を、レーザ光LBの光軸を挟んで対向するように配置することで、測定通路36を通過するレーザ光LBの光軸が傾いているかを判断することができる。
【0082】
図8では、測定通路部35の上流端をZ方向の基準位置(0位置)とする。図8に示す例では、第1列61において、測定通路36の上流端の光量検出部37に近い位置から、測定通路36の下流端の光量検出部37に対して離れた位置に向かって、レーザ光LBの光軸が傾いた状態で、レーザ光LBが測定通路36に入射された場合について説明する。
【0083】
図8に示すように、第1列61の4つの光量検出部37のうち、測定通路36の上流端から見て1番目に配置された光量検出部37では、検出されるレーザ光LBのパワー密度が最も大きいことが分かる。そして、2番目、3番目、4番目に配置された光量検出部37では、検出されるレーザ光LBのパワー密度が、この順番に徐々に小さくなっていることが分かる。
【0084】
ここで、第1列61の光量検出部37のみでレーザ光LB焦点位置を算出する場合、測定通路36の上流端から見て1番目に配置された光量検出部37の検出値が最も大きく、4番目に配置された光量検出部37の検出値が最も小さくなる。そのため、4番目に配置された光量検出部37の近傍に、レーザ光LBの焦点位置が存在していると誤判断するおそれがある。
【0085】
そこで、本実施形態では、レーザ光LBの光軸を挟んで第1列61と対向する第2列62の光量検出部37によってレーザ光LBの光量を検出することで、レーザ光LBの焦点位置を正確に確認できるようにしている。
【0086】
図8に示すように、第2列62の4つの光量検出部37のうち、測定通路36の上流端から見て1番目に配置された光量検出部37では、検出されるレーザ光LBのパワー密度が最も小さいことが分かる。そして、2番目、3番目、4番目に配置された光量検出部37では、検出されるレーザ光LBのパワー密度が、この順番に徐々に大きくなっていることが分かる。
【0087】
図9のグラフ図では、第1列61の4つの光量検出部37の検出値を連続的に繋いだ線と、第2列62の4つの光量検出部37の検出値を連続的に繋いだ線と、を表している。
【0088】
図9では、第1列61の4つの光量検出部37のうち、測定通路36の上流端から1番目、2番目、3番目、及び4番目に配置された光量検出部37の検出値に、それぞれ「1」、「2」、「3」、及び「4」の番号を付している。
【0089】
また、第2列62の4つの光量検出部37のうち、測定通路36の上流端から1番目、2番目、3番目、及び4番目に配置された光量検出部37の検出値に、それぞれ「5」、「6」、「7」、及び「8」の番号を付している。
【0090】
図9に示す例では、第1列61の光量検出部37の検出値は、1番目の光量検出部37から2番目、3番目、4番目の光量検出部37に向かって徐々に検出値が小さくなっている。
【0091】
一方、第2列62の光量検出部37の検出値は、1番目の光量検出部37から2番目、3番目、4番目の光量検出部37に向かって徐々に検出値が大きくなっている。
【0092】
ここで、測定通路36の途中には、第1列61と第2列62とで、検出値が略同じとなる光量検出部37が存在することとなる。そして、第1列61の光量検出部37と、第2列62の光量検出部37とにおいて、略同じ検出値が検出された光量検出部37の近傍に、レーザ光LBの焦点位置が存在していると判断することができる。
【0093】
図9に示す例では、第1列61の光量検出部37の検出値を連続的に繋ぐ線と、第2列62の光量検出部37の検出値を連続的に繋ぐ線と、の交点位置が、レーザ光LBの焦点位置であると判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上説明したように、本発明は、レーザ光の焦点位置を確認できるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0095】
16 算出部
20 レーザ加工ヘッド
30 レーザ測定装置
35 測定通路部
36 測定通路
37 光量検出部
40 入力光量減少部
49 集光レンズ
50 入力光量検出部
51 光量検出範囲
61 第1列
62 第2列
LB レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9