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特開2023-183462情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183462
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20231221BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096992
(22)【出願日】2022-06-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-10
(71)【出願人】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル プリンス
(72)【発明者】
【氏名】バンサル マヤンク
(72)【発明者】
【氏名】パリーク ゴーラヴ
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】ユーザの次の訪問場所を予測するための技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得し、該ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得し、該位置データと該ユーザ特徴とに基づいて、該ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成し、該位置データから、該ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成し、該ユーザベクトルと該シーケンスベクトルから、機械学習により、該ユーザが次に訪れる場所を予測する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得手段と、
前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得手段と、
前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成手段と、
前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成手段と、
前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データと前記ユーザ特徴に基づいて、前記ユーザの移動のパターンの地理的特徴を表す関心領域ベクトルと、前記ユーザの移動場所を通じた前記ユーザの関心場所の特徴を表す関心場所ベクトルとを生成し、前記関心領域ベクトルと前記関心場所ベクトルを結合することにより、前記ユーザベクトルを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データと前記ユーザ特徴に基づいて、前記ユーザの移動のパターンの地理的特徴を表す関心領域ベクトル、前記ユーザの移動を通じた前記ユーザの関心の特徴を表す関心場所ベクトル、および、前記ユーザの移動を通じて前記ユーザが利用した交通手段の特徴を表す交通手段ベクトルを生成し、前記関心領域ベクトル、前記関心場所ベクトル、および、前記交通手段ベクトルを結合することにより、前記ユーザベクトルを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データに基づく前記ユーザの訪問場所のシーケンスと前記ユーザ特徴とを用いて、前記関心領域ベクトルを生成することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データに基づく前記ユーザの訪問場所の名前と当該場所の土地利用種別と、前記ユーザ特徴とを用いて、前記関心場所ベクトルを生成することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記機械学習のための学習モデルを学習させる学習手段を更に有し、
前記学習手段は、前記ユーザと異なる他の複数のユーザについての前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルを用いて、前記学習モデルを学習させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザ特徴は、前記ユーザについての事実特徴であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記予測手段により予測された場所の情報に関する広告を生成して前記ユーザに提供する提供手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得工程と、
前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得工程と、
前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成工程と、
前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成工程と、
前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、
ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得処理と、
前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得処理と、
前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成処理と、
前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成処理と、
前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、ユーザの行動を予測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末装置の位置情報を取得して、当該位置情報から当該端末装置のユーザの行動を検出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、無線LANにおけるアクセスポイントが、端末装置から当該端末装置の位置情報を取得して、当該端末装置のユーザが所定の店舗に来店したことを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-37244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術では、端末装置の位置情報から、当該端末装置のユーザが訪れた場所を把握することができる。すなわち、当該文献による技術では、ユーザがこれまでに訪れた場所(すなわち、過去や現在の訪問場所)については検出できる。しかしながら、当該技術では、ユーザがこれから訪れる場所(すなわち、次の訪問場所)を予測することはできなかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの次の訪問場所を予測するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理装置の一態様は、ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得手段と、前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得手段と、前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成手段と、前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成手段と、前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測手段と、を有する。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理方法の一態様は、ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得工程と、前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得工程と、前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成工程と、前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成工程と、前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測工程と、を有する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によるプログラムの一態様は、情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得処理と、前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得処理と、前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成処理と、前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成処理と、前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの次の訪問場所を予測するための技術が提供される。
上記した本発明の目的、態様及び効果並びに上記されなかった本発明の目的、態様及び効果は、当業者であれば添付図面及び請求の範囲の記載を参照することにより下記の発明を実施するための形態から理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、情報処理システムの構成例を示す。
図2図2は、実施形態による情報処理装置10の機能構成例を示す。
図3図3は、ジオデータの一例を示す。
図4図4は、情報処理装置10とユーザ装置11のハードウェア構成例を示す。
図5図5は、ユーザベクトルの生成手順を示すフローチャートである。
図6A図6Aは、関心領域ベクトルの生成手順の概念図を示す。
図6B図6Bは、関心場所ベクトルの生成手順の概念図を示す。
図6C図6Cは、交通手段ベクトルの生成手順の概念図を示す。
図6D図6Dは、ユーザベクトルの生成手順の概念図を示す。
図7図7は、シーケンスベクトルの生成手順の概念図を示す。
図8図8は、次地点予測モデルの概念図を示す。
図9図9は、ユーザの次の訪問場所の予測処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。以下に開示される構成要素のうち、同一機能を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、以下に開示される実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
[情報処理システムの構成例]
図1に、本実施形態による情報処理システムの構成例を示す。本情報処理システムは、その一例として、図1に示すように、情報処理装置10と、任意の複数のユーザ1~Nにより使用される複数のユーザ装置11-1~11-N(N>1)を含んで構成される。なお、以下の説明において、特に説明がない限り、ユーザ装置11-1~11-Nをユーザ装置11と総称しうる。また、以下の説明において、ユーザ装置とユーザという語は同義に使用されうる。
【0013】
ユーザ装置11は、例えば、スマートフォンやタブレットといったデバイスであり、LTE(Long Term Evolution)等の公衆網や、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信網を介して、情報処理装置10と通信可能に構成されている。ユーザ装置11は、液晶ディスプレイ等の表示部(表示面)を有し、各ユーザは、当該液晶ディスプレイに装備されたGUI(Graphic User Interface)により各種操作を行うことができる。当該操作は、指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、画面に表示された画像等のコンテンツに対する各種の操作を含む。
なお、ユーザ装置11は、図1に示すような形態のデバイスに限らず、タブレット端末やノート型のPCといったデバイスであってもよい。また、ユーザ装置11は、表示面を別に備えてもよい。
【0014】
ユーザ装置11は、情報処理装置10から、または、不図示の他の装置から情報処理装置10を介して提供されるウェブサービス(インターネット関連サービス)を利用することができる。当該ウェブサービスは、インターネットを介して提供される、オンラインモールやネットスーパー、あるいは、通信、金融、不動産、スポーツ、旅行に関するサービスを含むことができる。ユーザ装置11は、当該ウェブサービスを利用するために、ユーザの住所やユーザの氏名、ユーザが保持するクレジットカードの番号、ユーザのデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、職業、家族構成等の人口統計学的なユーザ属性)といった情報を登録しうる。
【0015】
また、ユーザ装置11は、GPS(Global Positioning System)衛星(不図示)から受信される信号等に基づいて測位計算を行い、当該計算により得られた緯度、経度、高度といった、ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータ(位置データ)を生成することができる。ユーザ装置11は、位置データに、情報処理装置10へ送信(伝達)することができる。ユーザ装置11は、定期的に位置データを情報処理装置10へ送信することができる。
【0016】
[情報処理装置10の機能構成]
本実施形態による情報処理装置10は、まず、ユーザ装置11-1~11-Nから位置データとユーザ特徴を取得する。ユーザ特徴については後述する。情報処理装置10は、当該位置データから、当該位置に関する情報を含んだジオグラフィックデータ(以下、ジオデータ)を生成し、当該ジオデータと当該ユーザ特徴から、各ユーザの移動(行動)の特徴を示すユーザベクトルを生成する。本実施形態では、ユーザベクトルは、3種類の特徴ベクトルの結合により構成される。情報処理装置10は、ユーザベクトルに基づいて、次地点予測モデル111を学習させる。さらに、情報処理装置10は、任意のユーザから取得した位置データに基づいて、学習済みの次地点予測モデル111を用いて、当該ユーザが次に訪れる場所(次の訪問場所)を予測する。なお、本実施形態において、「ベクトル」という語は、特徴量や特徴値を表す語として使用される。
【0017】
図2は、本実施形態による情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す情報処理装置10は、位置データ取得部101、ジオデータ取得部102、ユーザ特徴取得部103、ユーザベクトル生成部104、シーケンスベクトル生成部105、学習部106、予測部107、出力部108、学習モデル記憶部110、およびデータ記憶部120を備える。学習モデル記憶部110は、次地点予測モデル111を記憶可能に構成される。また、データ記憶部120は、ジオデータ121とユーザ特徴122を記憶可能に構成される。
【0018】
位置データ取得部101は、ユーザ装置11-1~11-Nのそれぞれから、位置データを取得する。位置データには、ユーザ装置11において測位計算により得られた緯度と経度のデータが含まれる。位置データには、ユーザIDが関連付けられている。ユーザIDは、ユーザを識別するための識別子であり、例えば、ユーザがウェブサービスを利用するために登録されたIDが使用されうる。あるいは、ユーザIDは、位置データを送信したユーザ装置11の送信元アドレスに対応するIDであってもよい。ユーザ装置11は、位置データを定期的に情報処理装置10へ送信することができ、これにより、位置データ取得部101は、定期的に位置データを取得することができる。
【0019】
ジオデータ取得部102は、位置データ取得部101により取得された位置データを用いて、ジオデータを生成して取得する。ジオデータの生成には、地図情報が利用される。当該地図情報には、場所の名前や、公園、学校、駅といった土地利用種別(以下、タイプと称する)、住所が含まれうる。まず、ジオデータ取得部102は、位置データである緯度や経度の動きに応じて、ユーザが一定時間滞在した場所(以下、訪問場所)を特定する。ジオデータ取得部102は、当該訪問場所と当該地図情報に基づいて、当該訪問場所の名前と、タイプを示す場所情報を生成する。なお、当該一定時間は、任意に設定されうる。ジオデータ取得部102はさらに、ユーザが当該訪問場所へ入った日時(イン)と当該場所から出た日時(アウト)、すなわち、一定時間の開始日時と終了日時を生成する。ジオデータ取得部102は、訪問場所の位置データ、場所情報、日時(イン)と日時(アウト)を含むジオデータを生成する。
【0020】
ジオデータの一例を、図3に示す。図3において、ユーザID31は、ユーザの識別子である。図3の例では、ユーザID31は数字のみから構成されるが、識別可能な文字や数字を組み合わせて構成されてもよい。
【0021】
LID(Location ID)32は、各訪問場所(一定時間滞在した場所)の緯度33と経度34に対して与えられるIDである。LID32は、緯度33と経度34が完全に一致しなくとも、同一場所と認識可能な場所(例えば、所定の範囲以内の緯度と経度)に対して、同一のLIDが付与されうる。
緯度33と経度34はそれぞれ、LID32に対応する訪問場所の緯度と経度である。緯度33と経度34は、位置データ取得部101により取得された位置データから取得される。図3の例では、緯度33と経度34は、小数点第2位までのデータとなっているが、データの精度は任意に設定されうる。
【0022】
日時(イン)35と日時(アウト)36はそれぞれ、訪問場所へ入った日時と訪問場所から出た日時である。図3の例では、日時(イン)35と日時(アウト)36は、年/月/日および時間で表されているが、これは一例である。例えば、日時(イン)35と日時(アウト)36は、情報処理装置10で独立して設定したタイマに従う数値データ等であってもよい。
【0023】
名前37は、訪問場所の名前を表す。場所の名前が地図情報から取得できない場合は、名前37はブランクに設定されうる。
タイプ38は、訪問場所のタイプ(土地利用種別)を表す。タイプが地図情報から取得できない場合は、タイプ38はブランクに設定されうる。
なお、ジオデータには、LID32に対応する住所の情報が含まれてもよい。
【0024】
なお、ジオデータ取得部102は、ユーザ装置11により生成されたジオデータを取得してもよい。この場合も、ユーザ装置11により生成されたジオデータは、図3に示すようなデータを含む。すなわち、ユーザ装置11は、測位計算により生成した位置データと所与の地図情報に基づいて、場所情報、日時(イン)と日時(アウト)を生成し、これらのデータを含むジオデータとして生成する。ユーザ装置11は、任意の場所に一定時間滞在する毎に、ジオデータを情報処理装置10へ送信することができる。情報処理装置10のジオデータ取得部102は、ユーザ装置11から取得されたジオデータの位置データ(緯度と経度)に対してLID32を付与することができる。
【0025】
ジオデータ取得部102は、取得したジオデータを、ジオデータ121としてデータ記憶部120に格納する。
【0026】
ユーザ特徴取得部103は、ユーザ装置11-1~11-Nのそれぞれから、当該ユーザ装置やユーザについての事実特徴(事実情報)(以下、ユーザ特徴)を取得する。位置データと同様に、ユーザ特徴には、ユーザIDが関連付けられている。ユーザ特徴は、当該ユーザ装置やユーザから実際に、または、客観的に得られる、事実に基づく特徴(情報)である。ユーザ特徴取得部103は例えば、ユーザ装置11から直接ユーザ特徴を取得することができる。また、ユーザ特徴取得部103は、ユーザ装置11のユーザによりウェブサービスに登録された情報として、ユーザ特徴を取得することができる。
【0027】
ユーザ特徴は、ユーザ装置のIPアドレス、ユーザの住所やユーザの氏名、ユーザが保持するクレジットカードの番号、ユーザのデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、職業、家族構成等の人口統計学的なユーザ属性)等を含む。また、ユーザ特徴は、所定のウェブサービス利用時における登録番号や登録名を含んでもよい。また、ユーザ特徴は、通話履歴、所定のウェブサービス利用時における商品のユーザの住所以外の配送先住所、所定のウェブサービス利用時の利用状況、利用履歴、検索履歴、サービスの利用により貯めることが可能なポイントに関する情報を含んでもよい。このように、ユーザ特徴は、ユーザ装置またはユーザ自身に関連する情報や、通信を介した所定のサービス利用に関する情報を含む、あらゆる情報を含むことができる。なお、本実施形態では、ユーザ特徴は、ユーザの事実特徴とするが、ユーザの趣向を示す情報であればよい。
【0028】
ユーザ特徴取得部103は、取得したユーザ特徴を、ユーザ特徴122としてデータ記憶部120に格納する。
【0029】
ユーザベクトル生成部104は、ジオデータ121とユーザ特徴122に基づいて、3種類の特徴ベクトルを生成し、当該特徴ベクトルを結合することにより、ユーザベクトルを生成する。ユーザベクトルの生成手順については後述する。
【0030】
シーケンスベクトル生成部105は、位置データ取得部101により取得された位置データを用いて、ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成する。シーケンスベクトルの生成手順については後述する。
【0031】
学習部106は、ユーザベクトル生成部104により生成されたユーザベクトルと、シーケンスベクトル生成部105により生成されたシーケンスベクトルを用いて、次地点予測モデル111を学習させる。学習部106は、学習済みの次地点予測モデル111を、学習モデル記憶部110に格納する。学習部106による学習処理については後述する。
【0032】
予測部107は、任意のユーザに対して、学習済みの次地点予測モデル111を用いて、当該任意のユーザの次の訪問場所を予測する。次の訪問場所の予測処理については後述する。
【0033】
出力部108は、予測部107により予測された結果(予測結果)を出力する。出力部108は、任意のユーザの次の訪問場所に関する情報を生成して出力してもよい。当該出力は、あらゆる出力処理であり得、通信I/F(図4の通信I/F47)を介した外部装置への出力であってもよいし、表示部(図4の表示部46)への表示であってもよい。
【0034】
[情報処理装置10のハードウェア構成]
図4は、本実施形態による情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態による情報処理装置10は、単一または複数の、あらゆるコンピュータ、モバイルデバイス、または他のいかなる処理プラットフォーム上にも実装することができる。
図4を参照して、情報処理装置10は、単一のコンピュータに実装される例が示されているが、本実施形態による情報処理装置10は、複数のコンピュータを含むコンピュータシステムに実装されてよい。複数のコンピュータは、有線または無線のネットワークにより相互通信可能に接続されてよい。
【0035】
図4に示すように、情報処理装置10は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、HDD44と、入力部45と、表示部46と、通信I/F47と、システムバス48とを備えてよい。情報処理装置10はまた、外部メモリを備えてよい。
CPU(Central Processing Unit)41は、情報処理装置10における動作を統括的に制御するものであり、データ伝送路であるシステムバス48を介して、各構成部(42~47)を制御する。
【0036】
ROM(Read Only Memory)42は、CPU41が処理を実行するために必要な制御プログラム等を記憶する不揮発性メモリである。なお、当該プログラムは、HDD(Hard Disk Drive)44、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体(不図示)等の外部メモリに記憶されていてもよい。
RAM(Random Access Memory)43は、揮発性メモリであり、CPU41の主メモリ、ワークエリア等として機能する。すなわち、CPU41は、処理の実行に際してROM42から必要なプログラム等をRAM43にロードし、当該プログラム等を実行することで各種の機能動作を実現する。
【0037】
HDD44は、例えば、CPU41がプログラムを用いた処理を行う際に必要な各種データや各種情報等を記憶している。また、HDD44には、例えば、CPU41がプログラム等を用いた処理を行うことにより得られた各種データや各種情報等が記憶される。
入力部45は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスにより構成される。
表示部46は、液晶ディスプレイ(LCD)等のモニターにより構成される。表示部46は、入力部45と組み合わせて構成されることにより、GUI(Graphical User Interface)として機能してもよい。
【0038】
通信I/F47は、情報処理装置10と外部装置との通信を制御するインタフェースである。
通信I/F47は、ネットワークとのインタフェースを提供し、ネットワークを介して、外部装置との通信を実行する。通信I/F47を介して、外部装置との間で各種データや各種パラメータ等が送受信される。本実施形態では、通信I/F47は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に準拠する有線LAN(Local Area Network)や専用線を介した通信を実行してよい。ただし、本実施形態で利用可能なネットワークはこれに限定されず、無線ネットワークで構成されてもよい。この無線ネットワークは、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等の無線PAN(Personal Area Network)を含む。また、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)や、WiMAX(登録商標)等の無線MAN(Metropolitan Area Network)を含む。さらに、LTE/3G、4G、5G等の無線WAN(Wide Area Network)を含む。なお、ネットワークは、各機器を相互に通信可能に接続し、通信が可能であればよく、通信の規格、規模、構成は上記に限定されない。
【0039】
図4に示す情報処理装置10の各要素のうち少なくとも一部の機能は、CPU41がプログラムを実行することで実現することができる。ただし、図4に示す情報処理装置10の各要素のうち少なくとも一部の機能が専用のハードウェアとして動作するようにしてもよい。この場合、専用のハードウェアは、CPU41の制御に基づいて動作する。
【0040】
[ユーザ装置11のハードウェア構成]
図1に示すユーザ装置11のハードウェア構成は、図4と同様でありうる。すなわち、ユーザ装置10は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、HDD44と、入力部45と、表示部46と、通信I/F47と、システムバス48とを備えうる。ユーザ装置11は、情報処理装置10により提供された各種情報を、表示部46に表示し、GUI(入力部45と表示部46による構成)を介してユーザから受け付ける入力操作に対応する処理を行うことができる。
【0041】
[ユーザベクトルの生成手順]
次に、ユーザベクトル生成部104によるユーザベクトルの生成の手順について、図5図6A図6Dを参照して説明する。図5は、ユーザベクトルの生成手順を示すフローチャートである。本実施形態では、ユーザベクトル生成部104は、関心領域ベクトル、関心場所ベクトル、および、交通手段ベクトルという、3種類の特徴ベクトルを生成する(S51~S53)。続いて、ユーザベクトル生成部104は、これらの特徴ベクトルを結合して、ユーザベクトルを生成する(S54)。なお、S51~S53の処理の順序は、図5に示す順序に限定されない。例えば、当該処理は、図5に示す順序と異なる順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。以下、図5の各処理について説明する。
【0042】
S51では、ユーザベクトル生成部104は、関心領域ベクトルを生成する。関心領域ベクトルは、ユーザの移動パターンの地理的特徴(関心領域)を表すベクトルである。具体的には、関心領域ベクトルは、ユーザの移動(軌跡)や移動パターンにおける、場所(地理的領域)の共通の特徴であり、ユーザ1が地理的な特定の領域(エリア)で行動している場合、ユーザ1についての関心領域ベクトルは、当該特定の領域の特徴を表す。また、ユーザ1の行動が特定の移動パターンを有する場合、当該移動パターンに対応する領域の特徴を表す。図6Aに、関心領域ベクトルの生成手順の概念図を示す。
【0043】
まず、ユーザベクトル生成部104は、ジオデータ121から、各ユーザIDについて、LID32を取得し、LID32のシーケンス、すなわち、訪問場所の位置データ(緯度と経度、対応した住所の情報を含みうる)のシーケンスを生成する。例えば、ユーザID31=001の場合、LID32のシーケンスとして、L1→L2→L5を示す情報を生成する。
そして、ユーザベクトル生成部104は、各ユーザIDについて、生成したLID32のシーケンスとユーザ特徴122を用いて、関心領域ベクトル化アルゴリズム61に従って、関心領域ベクトル62を生成する。
【0044】
関心領域ベクトル化アルゴリズム61は、ユーザがカバーする領域(ユーザが影響力を与える領域)を理解するための、Doc2VecといったNLP(Natural Language Processing)に基づくアルゴリズムでありうる。関心領域ベクトル化アルゴリズム61は、LID32のシーケンスとユーザ特徴122を、関心領域ベクトル62に変換する。すなわち、関心領域ベクトル化アルゴリズム61は、エンベディング(embedding(埋め込み))を行い、LID32のシーケンスとユーザ特徴122に基づく関心領域ベクトル62(埋め込みベクトル)を生成する。なお、関心領域ベクトル62は、LID32に対応する日時(イン)35と日時(アウト)36も用いて、生成されてもよい。この場合、日時(時間)と関心領域との関係性の特徴も関心領域ベクトル62に含まれる。
【0045】
S52では、ユーザベクトル生成部104は、関心場所ベクトルを生成する。関心場所ベクトルは、ユーザの移動場所(訪問場所)を通じたユーザの関心場所の特徴を表すベクトルである。例えば、ユーザの関心場所は、ユーザが興味あると思った、1つ以上の特定の場所やPOI(Point of Interest)である。ユーザの関心場所は、位置情報であってもよいし、場所の名前(例えば、特定の建物やエリアの名前)であってもよい。関心場所ベクトルは、ユーザが興味を示す特定の場所を表すのに対して、前述の関心領域ベクトルは、ユーザの移動パターンの地理的特徴(より広い領域の特徴)を表すという点で、両者は異なる。図6Bに、関心場所ベクトルの生成手順の概念図を示す。
【0046】
ユーザベクトル生成部104は、ジオデータ121から、各ユーザIDについて、名前37とタイプ38を取得する。ユーザIDについて複数のLID32がある場合、複数の名前37とタイプ38が取得される。
そして、ユーザベクトル生成部104、各ユーザIDについて、名前37、タイプ38、およびユーザ特徴122を用いて、関心場所ベクトル化アルゴリズム63に従って、関心場所ベクトル64を生成する。
【0047】
関心場所ベクトル化アルゴリズム63は、テキスト分析(セマンティック分析)に基づくアルゴリズムでありうる。関心場所ベクトル化アルゴリズム63は、名前37、タイプ38、およびユーザ特徴122を、関心場所ベクトル64に変換する。すなわち、関心場所ベクトル化アルゴリズム63は、エンベディングを行い、名前37、タイプ38、およびユーザ特徴122LID32に基づく関心場所ベクトル64(埋め込みベクトル)を生成する。なお、関心場所ベクトル64は、LID32に対応する日時(イン)35と日時(アウト)36も用いて、生成されてもよい。この場合、日時(時間)と関心との関係性の特徴も関心場所ベクトル64含まれる。
【0048】
S53では、ユーザベクトル生成部104は、交通手段ベクトルを生成する。交通手段ベクトルは、ユーザの移動(訪問場所)を通じてユーザが利用した交通手段の特徴を表すベクトルである。図6Cに、交通手段ベクトルの生成手順の概念図を示す。
【0049】
まず、ユーザベクトル生成部104は、ジオデータ121から、各ユーザIDについて、LID32を取得し、LID32のシーケンス、すなわち、訪問場所の位置データのシーケンスを生成する。S51と同様、例えば、ユーザID31=001の場合、LID32のシーケンスとして、L1→L2→L5を示す情報を生成する。また、ユーザベクトル生成部104は、ジオデータ121から、各ユーザIDについて、日時(イン)35と日時(アウト)36を取得する。
そして、ユーザベクトル生成部104は、各ユーザIDについて、生成したLID32のシーケンス、日時(イン)35、日時(アウト)36、およびユーザ特徴122を用いて、交通手段ベクトル化アルゴリズム65に従って、交通手段ベクトル66を生成する。
【0050】
まず、交通手段ベクトル化アルゴリズム65は、LID32のシーケンスにおける各LID32、日時(イン)35および、日時(アウト)36に基づいて、2つのLID32間におけるユーザの速度、加速度といった動き特徴を算出(導出)する。
また、交通手段ベクトル化アルゴリズム65は、LID32のシーケンスにおける各LID32の間のルート(軌跡)を、所定の地図データにマッピングし、ルート特徴を生成する。地図データは、例えば、道路ネットワーク、鉄道ネットワーク、バス経路ネットワークを含む。道路ネットワークは、道路(ある場所と他の場所とを結ぶあらゆる地上の道路)を表す道路情報である。鉄道ネットワークは、鉄道路線図の情報である。バス経路ネットワークは、路線バスの経路図の情報である。バス経路ネットワークは、臨時に運行するバスの路線図の情報を含んでもよい。道路ネットワーク、鉄道ネットワーク、およびバス経路ネットワークはそれぞれ、道路、鉄道、バス経路を表す線(ライン)により表されうる。交通手段ベクトル化アルゴリズム65は、マッピングすることにより、各LID間のルートが、道路、鉄道、バスのいずれかに該当するかを示すルート特徴を生成する。
【0051】
次に、交通手段ベクトル化アルゴリズム65は、算出した動き特徴と、生成したルート特徴に基づいて、ユーザの交通手段を予測し、当該交通手段に基づく交通手段ベクトル66(埋め込みベクトル)を生成する。例えば、動き特徴が速さ=15m/s以上で33m/s以下で、ルート特徴=道路である場合、交通手段ベクトル化アルゴリズム65は、ユーザの交通手段が「車」と予測し、当該交通手段に基づく交通手段ベクトル66を生成する。また、例えば、動き特徴が速さ=1.4m/s以下で、ルート特徴=道路である場合、交通手段ベクトル化アルゴリズム65は、ユーザの交通手段が「徒歩」と予測し、当該交通手段に基づく交通手段ベクトル66を生成する。
【0052】
S54では、ユーザベクトル生成部104は、S51~S53で生成されたベクトルを結合してユーザベクトルを生成する。図6Dに、ユーザベクトルの生成手順の概念図を示す。ユーザベクトル生成部104は、S51~S53で生成された、関心領域ベクトル62、関心場所ベクトル64、および交通手段ベクトル66を、結合アルゴリズム67により結合し、ユーザベクトル68を生成する。結合アルゴリズム67は、例えば、オートエンコーダで構成され、関心領域ベクトル62、関心場所ベクトル64、および交通手段ベクトル66が表す特徴が結合されたユーザベクトル68が生成される。
【0053】
なお、本実施形態ではユーザベクトル68は、関心領域ベクトル62、関心場所ベクトル64、および交通手段ベクトル66から生成される例を説明したが、関心領域ベクトル62と関心場所ベクトル64の2種類のベクトルの結合から生成されるように構成されてもよい。
【0054】
[学習部106による学習処理]
学習部106は、次地点予測モデル111を学習させる。次地点予測モデル111は、ユーザが訪問した場所のシーケンスを理解し、次の訪問場所を予測する、機械学習のための学習モデルである。図8に、次地点予測モデル111の概念図を示す。次地点予測モデル111は、ユーザベクトル生成部104により生成されたユーザベクトル68と、ユーザの軌跡を示すシーケンスベクトル72を入力として、ユーザの次地点(次の訪問場所)を示すデータを出力するように構成される。
【0055】
シーケンスベクトル72は、シーケンスベクトル生成部105により生成される。図7に、シーケンスベクトルの生成手順の概念図を示す。学習段階では、シーケンスベクトル生成部105は、ジオデータ121から、各ユーザIDについて、LID32を取得し、LID32のシーケンス、すなわち、訪問場所の位置データのシーケンスを生成する。例えば、ユーザID31=001の場合、LID32のシーケンスとして、L1→L2を示す特徴(行動履歴)を生成する。ユーザID31=001の場合、LID32の全体のシーケンスは、L1→L2→L5であるが、L5は正解データとして学習処理に使用される。シーケンスベクトル生成部105はLID32のシーケンスを用いて、シーケンスベクトル化アルゴリズム71に従って、シーケンスベクトル72を生成する。シーケンスベクトル化アルゴリズム71は、LID32のシーケンスから当該シーケンスの特徴を表すベクトルを生成するアルゴリズムであれば、どのような手法に基づくアルゴリズムであってもよい。
【0056】
学習部106は、ユーザベクトル68とシーケンスベクトル72を次地点予測モデル111に入力し、出力された次地点を示すデータを、正解データとしての次地点と比較して、次地点予測モデル111を学習させる。例えば、ユーザID31=001の場合、学習部106は、当該ユーザに対応するユーザベクトル68と、L1→L2を表すシーケンスベクトル72とを次地点予測モデル111に入力し、出力されたデータを正解データであるL5と比較して、比較結果を用いて、次地点予測モデル111を学習させる。学習処理は、ジオデータ121に含まれる複数のユーザに対するデータに対して、繰り返し行われうる。このような学習処理により、あるユーザ特徴を有するユーザの訪問場所のパターン、すなわち、行動パターンが学習される。
【0057】
[ユーザの次の訪問場所の予測処理]
情報処理装置10は、学習済みの次地点予測モデル111を用いて、任意のユーザの次の訪問場所を予測する。図9に、ユーザの次の訪問場所の予測処理を示すフローチャートを示す。当該処理は、例えば、情報処理システムにおいて、次の訪問場所を予測する対象のユーザ(対象ユーザ)が指定された場合に開始されうる。あるいは、当該処理は、情報処理装置10が所定の設定により対象ユーザを決定した場合に開始されてもよいし、他のトリガにより開始されてもよい。
【0058】
S91では、位置データ取得部101は、対象ユーザの位置データ(緯度と経度を含む)を取得する。
S92では、ユーザ特徴取得部103は、対象ユーザのユーザ特徴を取得する。
S93では、ジオデータ取得部102は、S91で取得された対象ユーザの位置データを用いて、対象ユーザのジオデータを生成して取得する。ジオデータは、図3に示すように、訪問場所の位置データ、場所情報、日時(イン)と日時(アウト)を含みうる。なお、ジオデータ取得部102は、対象ユーザにより生成されたジオデータを取得してもよい。
S94では、ユーザベクトル生成部104は、S92で取得された対象ユーザのジオデータと、S92で取得された対象ユーザのユーザ特徴を用いて、ユーザベクトルを生成する。ユーザベクトルの生成手順は、図5図6A図6Dを参照して上述した通りである。
S95では、シーケンスベクトル生成部105は、S92で取得された対象ユーザのジオデータから、シーケンスベクトルを生成する。シーケンスベクトルの生成手順は、図7を参照して上述した通りである。
【0059】
S96では、予測部107は、S94で生成された対象ユーザのユーザベクトルと、S95で生成された対象ユーザのシーケンスベクトルを、次地点予測モデル111に入力して、対象ユーザの次の訪問場所を予測する。学習済みの次地点予測モデル111は、入力された対象ユーザのユーザ特徴と類似したユーザ特徴を有するユーザの行動パターンに基づき、対象ユーザが訪問する次地点を予測し、当該次地点を示すデータを出力する(図8参照)。出力された次地点を示すデータは、例えば、LIDで表され、予測部107は、当該LIDに対応する場所が対象ユーザの次の訪問場所であると予測する。
【0060】
S97では、出力部108は、S96における予測結果を出力する。例えば、予測部1107により、次の訪問場所として、LID=L3が予測された場合、L3の場所を示す情報を予測結果として生成して出力する。また、この場合、出力部108は、予測された次の訪問場所に関する広告を生成して出力してもよい。例えば、図3を参照すると、LID=L3は、GHIマートという名前のコンビニエンスストアであるため、GHIマートに関する広告を作成して、対象ユーザに提供してもよい。これにより、対象ユーザが実際にGHIマートに行く場合に、広告は対象ユーザにとって有益な情報になりうる。
【0061】
このように、本実施形態による情報処理装置は、ユーザ特徴(ユーザの趣向を示す情報)および、ユーザの移動に関する特徴を含めたユーザベクトルを生成する。そして、情報処理装置は、当該ユーザベクトルとユーザの移動軌跡(LIDのシーケンス)を用いて、ユーザの次の訪問場所を予測するための次地点予測モデルを学習させる。ユーザベクトルには、ユーザが関心を有する場所や領域に関する特徴を含むため、ユーザ特徴に関連付けて、ユーザの行動パターンを精度よく学習することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態による情報処理装置は、学習済みの次地点予測モデルを用いて、任意のユーザ(対象ユーザ)の次の訪問先を予測するように構成される。当該モデルを用いることにより、当該対象ユーザと同様のユーザ特徴を有する他のユーザの移動に関する特徴を利用して、当該対象ユーザの次の訪問場所を予測することが可能となる。また、当該モデルを用いることにより、情報処理装置がすでに有している、当該対象ユーザについての行動に関するデータが多くなくても(すなわち、疎らであっても)、特徴が類似したユーザの移動に関する特徴(行動履歴等)を利用して、当該対象ユーザの行動を予測することが可能となる。
【0063】
さらに、対象ユーザの次の訪問場所を予測することができるため、当該次の訪問場所に向けた広告を作成し、当該対象ユーザに提供することができる。これにより、当該対象ユーザは有益な情報を受け取れるだけでなく、当該対象ユーザに対する広告効果の向上が期待される。
【0064】
なお、上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置及び方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本発明の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換及び変更をなすこともできる。かかる省略、置換及び変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたもの及びこれらの均等物の範疇に含まれ、本発明の技術的範囲に属する。
【0065】
本実施形態の開示は以下の構成を含む。
[1]ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得手段と、前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得手段と、前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成手段と、前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成手段と、前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【0066】
[2]前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データと前記ユーザ特徴に基づいて、前記ユーザの移動のパターンの地理的特徴を表す関心領域ベクトルと、前記ユーザの移動場所を通じた前記ユーザの関心場所の特徴を表す関心場所ベクトルとを生成し、前記関心領域ベクトルと前記関心場所ベクトルを結合することにより、前記ユーザベクトルを生成することを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0067】
[3]前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データと前記ユーザ特徴に基づいて、前記ユーザの移動のパターンの地理的特徴を表す関心領域ベクトル、前記ユーザの移動を通じた前記ユーザの関心の特徴を表す関心場所ベクトル、および、前記ユーザの移動を通じて前記ユーザが利用した交通手段の特徴を表す交通手段ベクトルを生成し、前記関心領域ベクトル、前記関心場所ベクトル、および、前記交通手段ベクトルを結合することにより、前記ユーザベクトルを生成することを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0068】
[4]前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データに基づく前記ユーザの訪問場所のシーケンスと前記ユーザ特徴とを用いて、前記関心領域ベクトルを生成することを特徴とする[2]または[3]に記載の情報処理装置。
【0069】
[5]前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データに基づく前記ユーザの訪問場所の名前と当該場所の土地利用種別と、前記ユーザ特徴とを用いて、前記関心場所ベクトルを生成することを特徴とする[2]または[3]に記載の情報処理装置。
【0070】
[6]前記機械学習のための学習モデルを学習させる学習手段を更に有し、
前記学習手段は、前記ユーザと異なる他の複数のユーザについての前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルを用いて、前記学習モデルを学習させることを特徴とする[1]から[5]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0071】
[7]前記ユーザ特徴は、前記ユーザについての事実特徴であることを特徴とする[1]から[6]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0072】
[8]前記予測手段により予測された場所の情報に関する広告を生成して前記ユーザに提供する提供手段を更に有することを特徴とする[1]から[7]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0073】
[9]ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得工程と、前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得工程と、前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成工程と、前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成工程と、前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測工程と、を有することを特徴とする情報処理方法。
【0074】
[10]情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得処理と、前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得処理と、前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成処理と、前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成処理と、前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである、情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0075】
1~N:ユーザ、10:情報処理装置、11-1~11-N:ユーザ装置、101:位置データ取得部、102:ジオデータ取得部、103:ユーザ特徴取得部、104:ユーザベクトル生成部、105:シーケンスベクトル生成部、106:学習部、107:予測部、108:出力部、110:学習モデル記憶部、111:次地点予測モデル、120:データ記憶部、121:ジオデータ、122:ユーザ特徴
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得手段と、
前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得手段と、
前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成手段と、
前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成手段と、
前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データと前記ユーザ特徴に基づいて、前記ユーザの移動のパターンの地理的特徴を表す関心領域ベクトルと、前記ユーザの移動場所を通じた前記ユーザの関心場所の特徴を表す関心場所ベクトルとを生成し、前記関心領域ベクトルと前記関心場所ベクトルを結合することにより、前記ユーザベクトルを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データと前記ユーザ特徴に基づいて、前記ユーザの移動のパターンの地理的特徴を表す関心領域ベクトル、前記ユーザの移動を通じた前記ユーザの関心場所の特徴を表す関心場所ベクトル、および、前記ユーザの移動を通じて前記ユーザが利用した交通手段の特徴を表す交通手段ベクトルを生成し、前記関心領域ベクトル、前記関心場所ベクトル、および、前記交通手段ベクトルを結合することにより、前記ユーザベクトルを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データに基づく前記ユーザの訪問場所のシーケンスと前記ユーザ特徴とを用いて、前記関心領域ベクトルを生成することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザベクトル生成手段は、前記位置データに基づく前記ユーザの訪問場所の名前と当該場所の土地利用種別と、前記ユーザ特徴とを用いて、前記関心場所ベクトルを生成することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記機械学習のための学習モデルを学習させる学習手段を更に有し、
前記学習手段は、前記ユーザと異なる他の複数のユーザについての前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルを用いて、前記学習モデルを学習させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザ特徴は、前記ユーザについての事実特徴であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記予測手段により予測された場所の情報に関する広告を生成して前記ユーザに提供する提供手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置に、
ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得工程と、
前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得工程と、
前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成工程と、
前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成工程と、
前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測工程と、
実行させることを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、
ユーザの移動に伴うユーザ位置のデータを取得する位置データ取得処理と、
前記ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得処理と、
前記位置データと前記ユーザ特徴とに基づいて、前記ユーザの移動の特徴を表すユーザベクトルを生成するユーザベクトル生成処理と、
前記位置データから、前記ユーザの訪問場所のシーケンスを表すシーケンスベクトルを生成するシーケンスベクトル生成処理と、
前記ユーザベクトルと前記シーケンスベクトルから、機械学習により、前記ユーザが次に訪れる場所を予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである、
情報処理プログラム。