(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183463
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置及び医用寝台装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61B6/03 323Z
A61B6/03 370B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096993
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五反田 克己
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA17
4C093ED01
4C093EE14
4C093EE16
4C093FA47
(57)【要約】
【課題】医用画像診断装置を用いた撮影における生体情報検出装置への電力供給の利便性を従来に比して向上させること。
【解決手段】実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台と、寝台と、バッテリとを備える。寝台は、被検体を載置する天板を有し、前記架台の中空へ前記天板を移動させる。バッテリは、前記寝台に設けられ、前記天板と共に移動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、
被検体を載置する天板を有し、前記架台の中空へ前記天板を移動させる寝台と、
前記寝台に設けられ、前記天板と共に移動するバッテリと、
を備えるX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記バッテリは、前記天板の長手方向の両端部のうち、前記架台から遠い前記天板の一端側に設けられる、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記寝台は、前記バッテリを充電する充電器を有する、
請求項2に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記充電器は、前記天板が基準位置に配置された場合に前記バッテリと電気的に有線接続又は無線接続され、前記バッテリを充電する、
請求項3に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
長手方向に移動可能であり被検体を載置する天板と、
前記天板と共に移動するバッテリと、
を備える医用寝台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置及び医用寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置などの画像診断装置や治療装置などの各種の医用装置が検査や治療などの医用行為に使用されている。例えば、寝台を備える医用装置においては、寝台の天板上に心電計や呼吸同期装置(以下、総称して生体情報検出装置ともいう)を載置して、被検体の撮影を行う場合がある。このような場合、心電計や呼吸同期装置が備える電源ケーブルは、検査室の壁に設置されるコンセントに接続することや、寝台に設置されるコンセントに接続することとなる。
【0003】
しかしながら、壁のコンセントに電源ケーブルを接続する場合、天板が動く際に、電源ケーブルが邪魔になってしまう。また、寝台にコンセントを設置する場合、天板の動作時に可動する可動ケーブルが別途必要となり、例えば、天板の動作中に可動ケーブルが破損する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、医用画像診断装置を用いた撮影における生体情報検出装置への電力供給の利便性を従来に比して向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台と、寝台と、バッテリとを備える。寝台は、被検体を載置する天板を有し、前記架台の中空へ前記天板を移動させる。バッテリは、前記寝台に設けられ、前記天板と共に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る医用寝台装置が搭載されたX線コンピュータ断層撮影装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る医用寝台装置の天板及びバッテリの位置の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る医用寝台装置の天板及びバッテリの位置の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る医用寝台装置の充電器からバッテリに対して充電するタイミングを説明するための一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置及び医用寝台装置を説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0009】
また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。また、例えば、図面の視認性を確保する観点から、各図面の説明において主要又は代表的な構成要素だけに参照符号を付し、同一又は略同一の機能を有する構成要素であっても参照符号を付していない場合もある。
【0010】
以下に説明する各実施形態では、各実施形態に係る医用寝台装置がX線コンピュータ断層撮影装置の寝台である場合を例示する。
【0011】
例えば、X線コンピュータ断層撮影装置には、第3世代CT、第4世代CT等様々なタイプがあるが、いずれのタイプでも各実施形態へ適用可能である。ここで、第3世代CTは、X線管と検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Typeである。第4世代CTは、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Typeである。
【0012】
なお、各実施形態に係る医用寝台装置は、X線コンピュータ断層撮影装置以外の他の医用画像診断装置の寝台であっても構わない。他の医用画像診断装置としては、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線コンピュータ断層撮影装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線コンピュータ断層撮影装置とが一体化されたPET-CT装置などの種々の医用画像診断装置があり得る。
【0013】
図1は、実施形態に係る医用寝台装置が搭載されたX線コンピュータ断層撮影装置1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1は、架台10、寝台30及びコンソール40を有する。なお、
図1では説明の都合上、架台10が複数描画されている。架台10は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台30は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。
【0014】
コンソール40は、架台10、寝台30を制御するコンピュータである。例えば、架台10及び寝台30はCT検査室に設置され、コンソール40はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10、寝台30及びコンソール40は、互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。
【0015】
なお、コンソール40は、必ずしも制御室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール40は、架台10及び寝台30と共に同一の部屋に設置されてもよい。また、コンソール40が架台10に組み込まれてもよい。
【0016】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0017】
図1に示すように、架台10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路(Data Acquisition System:DAS)18を有する。
【0018】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、被検体Pに対してX線を照射する。
【0019】
なお、X線を発生させるハードウェアはX線管11に限られない。例えば、X線管11に代えて、第5世代方式を用いてX線を発生させることにしても構わない。第5世代方式は、電子銃から発生した電子ビームを集束させるフォーカスコイルと、電磁偏向させる偏向コイルと、被検体Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングとを含む。
【0020】
X線検出器12は、X線管11から照射され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をデータ収集回路18に出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列を有する。
【0021】
X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子がスライス方向(列方向,row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器12は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。
【0022】
なお、グリッドは、コリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する機能を有する。光センサとしては、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプアイヤー:PMT)等が用いられる。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。ここで、X線検出器12は、検出部の一例である。
【0023】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13の開口部19には、画像視野(FOV)が設定される。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。
【0024】
なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路18等をさらに支持することもできる。また、回転フレーム13は、
図1において図示しない種々の構成をさらに支持することもできる。
【0025】
X線高電圧装置14は、高電圧発生装置及びX線制御装置を有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。
【0026】
高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置14は、架台10内の回転フレーム13に設けられてもよいし、架台10内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0027】
制御装置15は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構と、この駆動機構を制御するプロセッサ及びメモリ等を有する処理回路とを含む。制御装置15は、入力インターフェース43や架台10に設けられた入力インターフェース等からの入力信号を受けて、架台10及び寝台30の動作制御を行う。
【0028】
制御装置15による動作制御としては、例えば、回転フレーム13を回転させる制御、架台10をチルトさせる制御及び寝台30を動作させる制御等がある。なお、架台10をチルトさせる制御は、架台10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。
【0029】
なお、制御装置15は架台10に設けられてもよいし、コンソール40に設けられてもよい。ここで、制御装置15は、医用寝台制御装置の一例であり得る。
【0030】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。
【0031】
例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工して構成される。
【0032】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ17は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0033】
データ収集回路18は、X線検出器12により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器12から読み出す。データ収集回路18は、読み出した電気信号を増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分(加算)することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。検出データは、投影データと呼ばれる。
【0034】
データ収集回路18は、例えば、投影データを生成可能な回路素子を搭載した特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)により実現される。投影データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール40に伝送される。ここで、データ収集回路18は、検出部の一例である。
【0035】
なお、データ収集回路18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から光通信によって架台10の非回転部分(例えば、固定フレーム。
図1での図示は省略している。)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール40へと転送される。なお、回転部分の回転フレーム13から架台10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ転送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
【0036】
なお、本実施形態では、積分型のX線検出器12が搭載されたX線コンピュータ断層撮影装置1を例として説明するが、本実施形態に係る技術は、光子計数型のX線検出器が搭載されたX線コンピュータ断層撮影装置1として実現することもできる。
【0037】
寝台30は、スキャン対象の被検体Pを載置、架台10の中空へ天板33を移動させる装置である。寝台30は、基台31、寝台駆動装置32、天板33及び支持フレーム34を有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長手方向に移動する駆動機構である。寝台駆動装置32は、モータ及びアクチュエータ等を含む。
【0038】
天板33は、被検体Pを載置する板である。天板33は、支持フレーム34の上面に設けられる。天板33は、被検体Pの全身が撮影可能となるように、寝台30から架台10側へ突出する(長手方向に移動可能である)ことが可能である。天板33は、例えば、X線の透過性と、剛性及び強度等の物理特性とが良好な炭素繊維強化樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastic;CFRP)により形成される。また、例えば、天板33の内部は、空洞である。
【0039】
支持フレーム34は、天板33を、天板33の長手方向に移動可能に支持する。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動させてもよい。なお、寝台30は、医用寝台装置の一例である。
【0040】
例えば、寝台30を備える医用装置においては、寝台30の天板33上に心電計や呼吸同期装置を載置して、被検体Pの撮影を行う場合がある。このような場合、心電計や呼吸同期装置が備える電源ケーブルは、検査室の壁に設置されるコンセントに接続することや、寝台に設置されるコンセントに接続することとなる。
【0041】
しかしながら、壁のコンセントに電源ケーブルを接続する場合、天板33をZ軸方向に移動させる際に、電源ケーブルが邪魔になってしまう。また、寝台30にコンセントを設置する場合、天板33の動作時に可動する可動ケーブルが別途必要となり、例えば、天板233の動作中に可動ケーブルが破損する可能性がある。そこで、実施形態に係る寝台30は、心電計や呼吸同期装置に電力を供給するためのバッテリを設ける。
【0042】
ここで、寝台30に設けるバッテリについて、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2及び
図3は、実施形態に係る医用寝台装置の天板33及びバッテリ35の位置の一例を模式的に示す図である。
【0043】
バッテリ35は、寝台30に設けられ、天板33と共に移動する。例えば、バッテリ35は、X線管11によるX線の照射範囲に入らないように、例えば、天板33の長手方向の両端部のうち、架台10から遠い一端側に設ける。バッテリ35は、第1電源ケーブル352を介して、生体情報検出装置351に対して、電力を供給する。第1電源ケーブル352は、例えば、バッテリ35に接続することができる2股コンセント接続ケーブルである。なお、第1電源ケーブル352は、バッテリ35に接続することができる接続ケーブルであれば良く、USB接続ケーブルであっても良く、これに限定されない。
【0044】
生体情報検出装置351は、被検体Pの生体情報を検出する。例えば、生体情報検出装置351は、生体情報が心電波形である場合、心電計に相当する。このとき、生体情報検出装置351は、被検体Pの心電波形を、後述する処理回路44に出力する。なお、生体情報は心電波形に限定されず、例えば、呼吸波形、脈波形などであってもよい。これらの場合、生体情報検出装置351は、呼吸波形検出器、脈波計などに対応する。
【0045】
また、生体情報検出装置351は、一つの計測装置に限定されず、例えば、心電計と呼吸波形検出器とを有していてもよい。このとき、心電計は被検体Pの心電波形を後述する処理回路44に出力し、呼吸波形検出器は被検体Pの呼吸波形を処理回路44に出力する。生体情報検出装置351として既知の装置が適用可能であるため、説明は省略する。
【0046】
また、バッテリ35は、所定の位置に達すると、支持フレーム34に設ける充電器36から充電する。具体的には、バッテリ35は、天板33がアウトリミットに位置する(
図2参照)と、充電器36から充電する。
【0047】
充電器36は、例えば、寝台30に設けられる。具体的には、充電器36は、例えば、寝台30の長手方向の両端部のうち、架台10から遠い天板33の一端側に設ける。充電器36は、第2電源ケーブル361を介して、バッテリ35に対して、電力を供給する。第2電源ケーブル361は、架台10に接続する。
【0048】
ここで、バッテリ35が充電器36から充電するタイミングについて、
図4を用いて説明する。
図4は、実施形態に係る医用寝台装置の充電器36からバッテリ35に対して充電するタイミングを説明するための一例を模式的に示す図である。
図4に示す天板33及び支持フレーム34は、天板33がアウトリミットに位置しない状態を示す。
【0049】
天板33は、第1端子331を備える。第1端子331は、バッテリ35及び充電器36を電気的に接続するための部材である。例えば、第1端子331は、金属製の板バネであり、電極である。第1端子331は、架台10から遠い天板33の一端側に設ける。また、第1端子331は、天板33の下部側に設ける。また、第1端子331は、電気的にバッテリ35と接続する。
【0050】
支持フレーム34は、第2端子341を備える。第2端子341は、バッテリ35及び充電器36を電気的に接続するための部材である。例えば、第2端子341は、金属製の電極である。第2端子341は、架台10から遠い支持フレーム34の一端側に設ける。また、第2端子341は、支持フレーム34の上部側に設ける。また、第2端子341は、電気的に充電器36と接続する。
【0051】
例えば、
図4に示す天板33は、Z軸方向負側に移動し、天板33がアウトリミットに位置すると、板バネとしての第1端子331が弾性変形しながら第2端子341と接する。充電器36は、天板33に設けられる第1端子331と、支持フレーム34に設けられる第2端子341と、が接すると、後述する充電制御機能445に従って、バッテリ35に対して、充電を開始する。
【0052】
第1端子331は、バッテリ35に電気的に接続し、第2端子341は、充電器36に電気的に接続している。そのため、第1端子331と第2端子341が接すると、バッテリ35と充電器36は電気的に接続する。これにより、充電器36は、バッテリ35に対して、電力を供給する。なお、第1端子331の形態は、第2端子341と接することで、バッテリ35と充電器36が電気的に接続できれば良く、金属製の板バネに限定されない。
【0053】
図1に戻る。コンソール40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を有する。メモリ41とディスプレイ42と入力インターフェース43と処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール40は架台10とは別体として説明するが、架台10にコンソール40又はコンソール40の各構成要素の一部が含まれてもよい。ここで、コンソール40は、医用寝台制御装置の一例である。
【0054】
メモリ41は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。また、例えば、メモリ41は、各種のプログラムを記憶する。なお、メモリ41の保存領域は、X線コンピュータ断層撮影装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。ここで、メモリ41は、記憶部の一例である。
【0055】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。ディスプレイ42に表示される情報は、実施形態に係る寝台制御における通知情報を含む。ディスプレイ42としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。
【0056】
例えば、ディスプレイ42として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイが使用可能である。
【0057】
なお、ディスプレイ42は、制御室の如何なる場所に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、架台10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール40の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ42として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。ここで、ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0058】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、撮影条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像データに対する画像処理条件等を操作者から受け付ける。
【0059】
入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
【0060】
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、これらの物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0061】
また、入力インターフェース43は、架台10及び/又は寝台30に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ここで、入力インターフェース43は、入力部の一例である。
【0062】
処理回路44は、X線コンピュータ断層撮影装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリにロードされたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、画像生成機能442、画像処理機能443、位置検知機能444、充電制御機能445及び表示制御機能446等を実行する。ここで、処理回路44は、処理部の一例である。
【0063】
システム制御機能441において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。例えば、処理回路44は、寝台30の天板33の位置を制御する。処理回路44は、架台10で行われるCTスキャンを制御する。また、処理回路44は、CTスキャンで得られた検出データを取得する。なお、処理回路44は、X線コンピュータ断層撮影装置1の外部から被検体Pに関する検出データを取得してもよい。
【0064】
画像生成機能442において処理回路44は、データ収集回路18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。処理回路44は、生成されたデータをメモリ41に格納する。
【0065】
なお、前処理前のデータ(検出データ)及び前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。処理回路44は、生成された投影データ(前処理後の投影データ)に対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、機械学習等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。処理回路44は、生成されたCT画像データをメモリ41に格納する。
【0066】
画像処理機能443において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、画像生成機能442によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。例えば、処理回路44は、当該CT画像データにボリュームレンダリングや、サーフェスレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planar Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して、任意視点方向のレンダリング画像データを生成する。
【0067】
なお、任意視点方向のレンダリング画像データ等の3次元画像データ、すなわちボリュームデータの生成は、画像生成機能442が直接行っても構わない。処理回路44は、断層像データや3次元画像データをメモリ41に格納する。
【0068】
位置検知機能444において処理回路44は、実施形態に係る天板33の位置を検知する。具体的には、処理回路44は、天板33及び支持フレーム34の架台10に対する天板33の長手方向の相対位置を検知する。
【0069】
充電制御機能445において処理回路44は、充電器36を用いたバッテリ35の充電に関する制御を行う。具体的には、処理回路44は、天板33が長手方向の移動におけるアウトリミット(基準位置の一例)に位置した場合に、バッテリ35と充電器36との電気的接続が確立されると、充電器36を制御してバッテリ35を充電する。また、充電制御機能445において処理回路44は、位置検知機能444によって得られる位置情報に基づいてバッテリ35が充電器36に対して所定位置に配置されたことをトリガとして、充電器36を制御してバッテリ35を充電することもできる。
【0070】
また、充電制御機能445において処理回路44は、撮影準備或いは撮影において天板33がアウトリミットから長手方向に移動する場合には、当該天板移動前の所定のタイミングで充電器36を制御してバッテリ35への充電を停止する。また、充電制御機能445において処理回路44は、バッテリ35が満充電状態になると、充電器36に対して、バッテリ35に電力を供給することを停止するように制御を行う。充電器36は、天板33がアウトリミットに位置すると、バッテリ35に電力を供給する。すなわち、バッテリ35は、検査と検査の間の装置の待機時間、翌日までの検査開始までの時間等において、天板33がアウトリミットに位置し充電器36との電気的接続が確立された状態にあれば、常に充電可能な状態となる。したがって、ユーザによる充電のための作業を必要とせずに、生体情報検出装置351の使用時におけるバッテリ35の充電不足を抑制することができる。
【0071】
表示制御機能446において処理回路44は、画像処理機能443により生成された各種画像データに基づいて、画像をディスプレイ42に表示させる。また、ディスプレイ42に表示させる画像は、CT画像データに基づくCT画像、任意断面の断面画像データに基づく断面画像、任意視点方向のレンダリング画像データに基づく任意視点方向のレンダリング画像等を含む。また、ディスプレイ42に表示させる画像は、操作画面を表示するための画像や操作者への通知及び警告を表示するための画像を含む。ここで、表示制御機能446を実現する処理回路44は、表示制御部の一例である。
【0072】
なお、各機能441~446は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各機能441~446を実現するものとしても構わない。ここで、各機能441~446は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0073】
なお、コンソール40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明したが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。例えば、画像生成機能442、画像処理機能443、位置検知機能444及び充電制御機能445等の処理回路44の機能を分散して有しても構わない。
【0074】
なお、処理回路44の一部又は全部は、コンソール40に含まれる場合に限らず、複数の医用画像診断装置にて取得された検出データに対する処理を一括して行う統合サーバに含まれてもよい。
【0075】
なお、後処理及び表示処理のうちの少なくとも1の処理は、コンソール40又は外部のワークステーションのどちらで実施することにしても構わない。また、コンソール40とワークステーションの両方で同時に処理することにしても構わない。ワークステーションとしては、例えば、各処理に対応する機能を実現するプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとをハードウェア資源として有するコンピュータ等が適宜利用可能である。
【0076】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)等の回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。
【0077】
なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0078】
なお、X線CT画像データの再構成においては、フルスキャン再構成方式及びハーフスキャン再構成方式のいずれの再構成方式が適用されてもよい。例えば、画像生成機能442において処理回路44は、フルスキャン再構成方式では、被検体Pの周囲一周、360度分の投影データを用いる。また、処理回路44は、ハーフスキャン再構成方式では、180度+ファン角度分の投影データを用いる。以下では、説明の簡単のため、処理回路44は、被検体Pの周囲一周、360度分の投影データを用いて再構成するフルスキャン再構成方式を用いるものとする。
【0079】
なお、本実施形態に係る技術は、一管球型のX線コンピュータ断層撮影装置にも、X線管と検出器との複数のペアを回転リングに搭載した、いわゆる多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置にも適用可能である。
【0080】
なお、本実施形態に係る技術は、デュアルエネルギー方式で撮影できるように構成されたX線コンピュータ断層撮影装置1にも適用可能である。このとき、X線高電圧装置14は、例えば2種の電圧値の高速スイッチングにより、X線管11から射出されるX線のエネルギースペクトルを交互に切り替えることができる。つまり、X線コンピュータ断層撮影装置1は、管電圧変調の制御信号に従うタイミングで管電圧を変調しながら各収集ビューで投影データを収集できるように構成されている。被検体Pを異なる管電圧で撮影することにより、X線のエネルギースペクトルごとの物質のエネルギー透過性に基づいて、CT画像における濃淡のコントラストを向上させることができる。
【0081】
なお、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、逐次読み出し方式でX線検出器12から電気信号を読み出すように構成されているとする。
【0082】
なお、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、架台10及び寝台30が移動可能な移動型CTとして構成されていても構わない。
【0083】
なお、実施形態に係る寝台制御は、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置1のコンソール40により実現されるが、制御装置15により実現されてもよいし、架台10又は寝台30に搭載されたコンピュータにより実現されても構わない。
【0084】
以上のように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、架台10と、被検体Pを載置する天板33を有し、架台10の中空へ天板33を移動させる寝台30と、寝台30に設けられ、天板33と共に移動するバッテリ35と、を備える。また、本実施形態に係るバッテリ35は、天板33が基準位置に配置された場合に、充電器36と電気的に接続され、充電器36から充電される。
【0085】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、例えば、生体情報検出装置351の第1電源ケーブル352をバッテリ35に接続することで、生体情報検出装置351に電力を供給することができる。これにより、生体情報検出装置351は、寝台30の天板上に載置して、被検体Pの撮影を行いながら、使用することができる。また、生体情報検出装置351の第1電源ケーブル352は、バッテリ35に接続するため、天板33が移動しても、天板33に追従することができる。
【0086】
また、例えば、バッテリ35は、天板33が基準位置に配置された場合に、充電器36と電気的に接続され、充電器36から充電されることで、生体情報検出装置351の使用時に充電不足であることを抑制することができる。したがって、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、医用画像診断装置を用いた撮影における生体情報検出装置351への電力供給の利便性を従来に比して向上させることができる。
【0087】
(実施形態の変形例)
上記実施形態においては、バッテリ35は、天板33に設けられる第1端子331と、支持フレーム34に設けられる第2端子341と、が接すると、充電を開始する場合を例とした。これに対し、天板33にバッテリ35と電気的に接続する充電部と、支持フレーム34に外部電源と電気的に接続する送電部を設け、充電部と送電部が重なる(天板33がアウトリミットに位置する)と、充電器36は、バッテリ35を無線充電してもよい。なお、無線充電として既知の装置が適用可能であるため、説明は省略する。
【0088】
これにより、バッテリ35は、天板33が基準位置に配置された場合に、充電器36と電気的に接続され、充電器36から充電されることで、生体情報検出装置351の使用時に充電不足であることを抑制することができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0090】
以上の実施形態に関し、発明の一側面及び選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0091】
(付記1)
架台と、
被検体を載置する天板を有し、前記架台の中空へ前記天板を移動させる寝台と、
前記寝台に設けられ、前記天板と共に移動するバッテリと、
を備えるX線コンピュータ断層撮影装置。
【0092】
(付記2)
前記バッテリは、前記天板の長手方向の両端部のうち、前記架台から遠い前記天板の一端側に設けられてもよい。
【0093】
(付記3)
前記寝台は、前記バッテリを充電する充電器を有してもよい。
【0094】
(付記4)
前記充電器は、前記天板が基準位置に配置された場合に前記バッテリと電気的に有線接続又は無線接続され、前記バッテリを充電してもよい。
【0095】
(付記5)
長手方向に移動可能であり被検体を載置する天板と、
前記天板と共に移動するバッテリと、
を備える医用寝台装置。
【符号の説明】
【0096】
1 X線コンピュータ断層撮影装置(医用画像診断装置)
10 架台
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置(制御部)
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 データ収集回路
19 開口部
30 寝台(医用寝台装置)
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 支持フレーム
35 バッテリ
36 充電器
40 コンソール
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
331 第1端子
341 第2端子
441 システム制御機能
442 画像生成機能
443 画像処理機能
444 位置検知機能
445 充電制御機能
446 表示制御機能