(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183470
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】気体の回収方法および気体の回収システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/18 20060101AFI20231221BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20231221BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B01D53/18 150
B01D53/78 ZAB
B01D53/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097000
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】青谷 貴治
(72)【発明者】
【氏名】榊原 悌互
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 紀博
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AA12
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA16
4D002CA01
4D002DA02
4D002DA11
4D002DA17
4D002DA33
4D002DA34
4D002DA35
4D002DA64
4D002DA70
4D002EA02
4D002GA01
4D002GB20
4D020AA03
4D020AA05
4D020BA01
4D020BA06
4D020BA07
4D020BA08
4D020BA16
4D020BA19
4D020BA23
4D020BB03
4D020CB27
4D020CD01
4D020DA03
4D020DB20
(57)【要約】
【課題】少ないエネルギーで所定の気体を回収する、気体の回収方法、気体の回収システムを提供することを目的とする。
【解決手段】第一の液体をミストに変換する変換工程と、前記ミストを、散布する散布工程と、散布されたミストと、気体とを接触させる接触工程と、前記接触工程を経て得られたミストに対して、第二の液体から構成される、液滴を接触させる接触工程と、前記接触工程を経て得られた、所定の気体を含む液滴を回収する回収工程。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中から所定の気体を回収する回収方法であって、第一の液体をミストに変換する変換工程と、前記ミストを、散布する散布工程と、散布されたミストと、前記大気中の気体とを接触させる接触工程と、前記接触工程を経て得られたミストに対して、第二の液体から構成される、液滴を接触させる接触工程と、前記接触工程を経て得られた、所定の気体を含む液滴を回収する回収工程と、を有することを特徴とした気体の回収方法。
【請求項2】
前記散布工程は隔壁と開口部とから構成される気体流路に対して、前記ミストを散布することを特徴とする請求項1に記載の気体の回収方法。
【請求項3】
前記第二の液体から構成される液滴は第一の液体で構成されるミストより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の気体の回収方法。
【請求項4】
前記ミストは10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の気体の回収方法。
【請求項5】
前記ミストは、超音波振動によって生成されることを特徴とする請求項1または2に記載の気体の回収方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の気体の回収方法は、大気中で行われることを特徴とする気体の回収方法。
【請求項7】
前記所定の気体は、二酸化炭素を含む気体であることを特徴とする請求項1または2に記載の気体の回収方法。
【請求項8】
前記第一の液体は、水を含む液体であることを特徴とする請求項1または2に記載の気体の回収方法。
【請求項9】
前記第二の液体は、水を含む液体であることを特徴とする請求項1または2に記載の気体の回収方法。
【請求項10】
前記接触工程は、前記ミストの散布から所定の時間が経過後に実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の気体の回収方法。
【請求項11】
前記ミストへの接触前の第二の液体のpHよりも、前記回収工程を経て取得される液滴のpHが小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の気体の回収方法。
【請求項12】
第一の液体をミストに変換するミスト変換部と、
前記ミストを、散布するミスト散布部と、
散布されたミストと、所定の気体との接触によって得られたミストに対して、第二の液体から構成される、液滴を接触させる接触部と、
接触を経て得られた、所定の気体を含む液滴を回収する回収部と、を有することを特徴とした気体の回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中から所定の気体を回収する気体回収方法、気体回収システムおよびに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因の一つとされている二酸化炭素の削減は、世界的にも重要な課題となっている。中でも二酸化炭素の排出の多くは、石油や石炭等をエネルギー源として使う火力発電からとされている。DAC(Direct Air Capture)という直接大気中の二酸化炭素を回収することにより、今まで排出していた二酸化炭素を回収し貯留することで大気中の二酸化炭素量を減らす技術開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、排気ガスに含まれるNOxの回収方法として、アルカリ水溶液をミスト化し排気ガスと混合させ酸塩基反応を用いて回収機等を使い回収し固定化させる方法でNOxを固定化する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、霧化工程、酸化工程、スタティックミキサーを含む混合工程や、該混合工程によって生成されたミストを回収する回収器等、排気ガスの浄化に大規模な機構とエネルギーを要する。
【0006】
本発明は、少ないエネルギーで所定の気体を回収する、気体の回収方法、気体の回収システムおよび気体の回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、大気中から所定の気体を回収する回収方法であって、第一の液体をミストに変換する変換工程と、ミストを、散布する散布工程と、散布されたミストと、大気中の気体とを接触させる接触工程と、前記接触工程を経て得られたミストに対して、第二の液体から構成される、液滴を接触させる接触工程と、接触工程を経て得られた、所定の気体を含む液滴を回収する回収工程を構成することにより上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ないエネルギーで所定の気体を回収する気体の回収方法および回収システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の気体の回収システムに関する機能構成図。
【
図3】本発明の気体の回収方法に関して説明する図。
【
図4】本発明の気体の回収方法の概略の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0011】
尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれる。
【0012】
<第一の実施形態>
本発明の気体回収システムは、所定の気体を回収するための回収システムであって、第一の液体をミストに変換し、変換したミストを散布させ、散布されたミストと、気体とを接触させ、さらに第二の液体から構成される液滴を接触させ、接触を経て得られた、所定の気体を含む液滴を回収することで、所定気体を回収する。なお、下記図面を用いて説明するが、該システム構成は、一つ以上の装置から構成される気体の回収装置として実現されてもよい。
【0013】
図1は、本発明の気体回収システム1の機能構成図である。気体回収システムは、第一の液体からミストを生成するミスト生成部2と、生成されたミストと所定の気体との接触によって得られたミストに対して、第二の液体から構成される、液滴を接触する接触部3と、接触を経て得られた、所定の気体を含む液滴を回収する回収部4と、から構成される。ミスト生成部2は、第一の液体をミストに変換するミスト変換部21と、変換されたミストを散布するミスト散布部22とを含み構成される。なお、ミスト生成部2におけるミスト変換部21とミスト散布部22とは、一体の装置として構成されてもよい。
【0014】
ミスト生成部2は、第一の液体からミストを生成する。具体的には、液体をミストに変換するための機構として、超音波照射ユニットが用いられる。ミスト生成部2は、ミスト化の機構として、超音波照射ユニットを用いた超音波振動により、微細な液滴を生成する。超音波照射ユニットは例えば圧電材料から構成される。
【0015】
圧電材料は、アクチュエータ、超音波振動子、マイクロ電源、高電圧発生装置等の用途で、幅広く利用されている。これらに使用されている圧電体の多くは、いわゆるPZTと呼称されている材料で、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)を含む酸化物である。そのため、環境上の問題から、非鉛圧電材料の開発が進められている。非鉛圧電材料としては、例えば一般式BaM’O3で表されるBa系ペロブスカイト酸化物がある。但しM’は、1種類の元素または2種類以上の元素がある組成比で混晶されたものを表すが、一般式BaM’O3の電荷が中性になることを満足する必要がある。BaM’O3で表される圧電材料としては、例えば室温付近で正方晶の構造をとるBaTiO3がある。超音波照射ユニットとしては、市販のユニットを用いることも可能である。一例としては、星光技研製の投込型超音波霧化ユニット IM1-24や、加湿器として上市されている無印良品 コードレスアロマディフューザー MJ‐CAD1 44486320等が挙げられるがこの限りではない。市販品としての超音波霧化発生装置としてはネブライザーなども好適な一例である。また、第一の液体と、超音波を照射させる圧電霧化ユニットを設けた液相を分離させて、間接的にミスト化させることも好適な様態である。超音波を照射させるミスト化ユニットを設けた液相としては、特に限定は無いが、カイジョー製クォーバミニ等が好ましい一様体である。振動子周波数としては特に限定はないが、1.6MHzが好ましい一様態である。また、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐腐食性を改善する一例として、圧電素子の接液部材を、フッ素系の樹脂やチタン系部材、石英などのガラス部材で被覆することも好ましい様態である。なお、ミスト生成部2は、液体からミストを生成することができればよく、該機構に限定されるものではない。
【0016】
接触部3は、第二の液体から構成される、液滴を、ミスト生成部2によって生成され、大気中の気体と接触させたミストに対して接触させる。接触部3が接触させる第二の液体は、後程詳述するが、第一の液体で構成されるミストよりも大きいことを特徴とする。接触部3は、所定の気体が溶解した第一の液滴を回収するために第二の液体を接触させる方法としては、空間上部より液体を散布することで可能となる。散水ノズルやシャワーヘッド等を用いてもよい。また使用する第二の液体使用量を少なくするために、小さいノズルをもつ散水ノズルの方がよく、インクジェットヘッド等を用いてもよい。
【0017】
回収部4は、接触部3による接触を経て得られた所定の気体を含む液滴を回収する。
【0018】
気体回収システム1は、このように構成されることで、少ないエネルギーで所定の気体を回収することができる。なお、気体の回収システム1の設置先や適用先は、液体に溶解する気体があるところであれば、特に限定されるものではない。大気中に気体回収システム1を適用した場合には、該気体回収システム1によって二酸化炭素を回収することができる。また火力発電所等で、気体回収システム1を適用することで、特によく二酸化炭素が回収することができる。また気体回収システム1をトンネル内など排気ガスが溜まる空間に設置することで、NOxを回収することができる。
【0019】
下記、
図2を用いて、本発明の気体回収システムが行う気体回収方法のフローに関して説明する。
【0020】
(ステップS201)
ステップS201において、ミスト変換部21は、第一の液体をミストに変換する。ここで、ミスト変換部21は例えば、超音波を照射させる振動子を用いて第一の液体をミストに変換する。なおミスト変換部21は、
図3で説明をしているように、超音波振動子201による振動を第一の液体に伝えることで、第一の液体をミストに変換させてもよい。
図3は、ミスト変換部21として、超音波振動子201と、第1の液体202を有している。後のフローにおいて、接触部3として、第二の液体を接触させる装置301と、第2の液体302とを接触させることで、所定の液体が溶解した液滴を回収することができる。
【0021】
なお、ミスト変換部21は、ミストに変換できる微小液滴を吐出する方法等、公知能方法により第一の液体からミストへの変換をしてもよい。ここで変換されるミストのサイズは、10μm程度もしくはそれ以下が好ましく、ミスト変換部21は、ミストを10μm以下で生成することで、環境湿度によるが雲のように一定時間空間に第一の液体のミストを大気中にとどめることができる。ミスト変換部21による処理を終えると、次のステップへと処理を進める。
【0022】
(ステップS202)
ステップS202において、ミスト散布部22は、ミスト変換部21によって、変換されたミストを大気中に散布する。なお、ステップS201とステップS202とは一体の処理として実施されてもよい。ミスト散布部22は、例えば風を与えてミストを大気中に散布することもできる。もしくはミストの変換処理によって、ミスト自身がある程度の速度を持ち、散布されてもよい。ミスト散布部22による散布先としては、例えば、隔壁と開口部とから構成される気体流路や、閉空間、大気等、適宜設定できる。気体流路としては例えば、トンネル等が挙げられる。ここで、
図4(a)および
図4(b)は、ミストの生成から、散布までのイメージをフローとして示している。
【0023】
ミスト散布部22は、ミストを散布すると次のステップへと処理を進める。
【0024】
(ステップS203)
ステップS203において、気体回収システム1は、散布されたミストと気体とを接触させる。気体回収システム1は、ミスト散布部32によるミストの散布から、回収までに所定の時間間隔を設けることで、ミストと気体との接触を行わせる。気体回収システム1は、大気中にミストを滞留させることにより、ミストの径のばらつきや、ミストに所定の気体が溶解する時間を考慮した所定気体の回収が可能となる。なお、気体回収システム1は、溶解度に達するまでに十分に所定の気体がない場合に、大気を送り込むことにより所定の気体の溶解度まで溶解させることを促進させてもよい。気体回収システム1は、該接触工程を終了すると次のステップへと処理を進める。
【0025】
(ステップS204)
ステップS204において、接触部3は、接触工程を経て得られたミストに対して、第二の液体から構成される、液滴を接触させる。即ち、接触部3は、所定の時間経過後に接触工程を実施する。
【0026】
図4(c)は、接触部3より、第二の液体から構成される、液滴を、接触工程を経て得られたミストに対して、接触させているイメージ図である。接触部3は、液滴を接触させる接触工程により、ミストを凝集させて大気中に滞留させることを終了させることができる。ここで、液滴とは、液体の粒を指し、小滴等の粒径の小さい粒も含む。
【0027】
その後凝集したミストは自然と落下することができ所定の気体が溶解した液体を回収することができる。
【0028】
(ステップS205)
回収部4は、接触部3による接触工程を経て得られた所定の気体を含む液滴を回収する。
【0029】
ここで、
図5を用いて、回収部4による所定の気体を含む液滴の回収に関して説明する。
【0030】
図5(a)は、ステップS201乃至ステップS203を経て、ミスト化させた液体を所定の気体雰囲気中で、飛翔、噴霧させた状態である。このように飛翔、噴霧された液滴は微小であるため体積当たりの気液界面の面積が大きく、飛翔、噴霧され空間中に漂っている間に全体の気体成分が効率よく平衡濃度に向けて置換・交換が可能となり、
図5(b)のように所定の気体の溶解した液滴となると考えられる。特に液体への溶解性が高い気体であれば選択的に溶解し高濃度の所定の気体溶解液を作製することができる。例えば二酸化炭素は20℃での溶解度(水1cm
3に対して)が0.88cm
3となっている。一方窒素は0.016cm
3、酸素は0.031cm
3であるため溶解度が10倍以上多いため、飛翔、噴霧された液滴は二酸化炭素がより溶解しやすく、大気中に水を飛翔、噴霧させることで大気中の二酸化炭素を回収することができる。また同様に、トンネル内のようにNOx濃度が高い空間においては、NOxの液体への溶解性を利用して回収することができる。回収部4は、
図5(b)を用いて説明したような、所定の気体を含む液滴を回収する。
【0031】
(液体について)
ここで、気体回収システム1におけるミスト生成部2が利用する第一の液体や、接触部3が利用する第二の液体に関して説明する。なお、第一の液体と第二の液体とは同一でも異なっていてもよい。
【0032】
ミスト生成部2が利用する第一の液体は例えば水である。ミスト生成部2は、第一の液体として、水を利用することで、酸塩基反応のような強力な結合による回収に比べ、所定の気体の取り出しやすさを考慮した溶解が可能となる。
【0033】
またミスト生成部2が利用する第一の液体の候補として、反応による精製された純度の高い水(超純水)、水道水、硬水等があげられる。また、ミスト生成部2が利用する第一の液体は、これらに溶解する溶質(塩化ナトリウム、硝酸銀などが乖離してできる電解質、遊離塩素、アミノ酸、糖類、緩衝剤、染料等)等を含有してもよく、また分散体(顔料、分散剤、細胞、気泡、エマルション、酸化チタン、乳化剤等)等を含有していてもよい。またミスト生成部2は、第一の液体として水と有機液体の混合液を利用してもよい。ミスト生成部2によって、利用される水溶性有機溶剤としては特に限定されないが、具体例として、以下のものを挙げることができる。メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール。1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコールなどのグリコール類。エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンなどのトリオール類。これらの水溶性有機溶剤は、単独で用いられてもよく、または2種以上が併用されてもよい。また、気体溶解液の液体として、生体由来の液体、具体的には血液や髄液等を使用することも可能である。
【0034】
次に、接触部3が利用する第二の液体に関して説明する。接触部3は、第二の液体として、水を利用する。接触部3は第二の液体として水を用いることで、系に与える影響を考慮した、所定気体の回収が可能となる。また接触部3が利用する第二の液体の候補として、反応による精製された純度の高い水(超純水)、水道水、硬水等があげられる。また、接触部3が利用する第二の液体は、これらに溶解する溶質(塩化ナトリウム、硝酸銀などが乖離してできる電解質、遊離塩素、アミノ酸、糖類、緩衝剤、染料等)等を含有してもよく、また分散体(顔料、分散剤、細胞、気泡、エマルション、酸化チタン、乳化剤等)等を含有していてもよい。また接触部3は、第二の液体として、水と有機液体の混合液として利用してもよい。接触部3によって、利用される水溶性有機溶剤としては特に限定されないが、具体例として、以下のものを挙げることができる。メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール。1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコールなどのグリコール類。エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンなどのトリオール類。これらの水溶性有機溶剤は、単独で用いられてもよく、または2種以上が併用されてもよい。また、気体溶解液の液体として、生体由来の液体、具体的には血液や髄液等を使用することも可能である。また接触部3が利用する第二の液体は、第一の液体に溶解した気体を回収することが目的であるため、水でなくても油脂等でもよい。接触部3が第二の液体として、油脂等を利用する場合には、回収後第一の液体のみを分離することが容易となる。
【実施例0035】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0036】
・実施例1
ミスト生成部2におけるミスト変換部21およびミスト散布部22として、
図4(a)に示すようにミスト発生には圧電素子201を用い、具体的には星光技研製圧電霧化素子(1.6MHz)を用いた。1Lのビーカー内に設け、超純水500mL水を注水した。図示した装置を用い、電源を入れてミストを発生させた。ミストの粒形は10μmであった。超純水がなくなるまでミストを発生させたのちに
図4(c)に示すように、回収部4である、回収容器103を101上に置いて、10分放置した。10分放置した後に第二の液体を接触させる装置102であるミストシャワーより超純水を接触して回収容器103で回収した。接触した超純水の粒形は50μmであった。
【0037】
・実施例2
実施例1に示した構成と同じ構成で接触部3として、第二の液体接触させる装置301にインクジェットヘッドを用いた。粒形は30μmであった。
【0038】
・実施例3
図6のように大気空間と連通させる1以上の開口を具備する閉空間を作り閉空間内に実施例1で用いた装置を使い
図2に示した方法を適用し、圧電素子201によるミスト発生装置を用いて、でミストを発生させる。その間大気空間より大気を送り込みミストと接触させる。5分放置した後に第二の液体を接触させる装置102であるミストシャワーより程度たった後に超純水を接触して回収容器103で回収した。
【0039】
・実施例4
図7で示すように実施例1と同様にミスト発生には圧電素子を用い、具体的には星光技研製圧電霧化素子(1.6MHz)を用いた。1Lのビーカー内に設け、超純水500mL水を注水した。図示した装置を用い、電源を入れてミストを発生させた。10分放置した後に第二の液体を第一の液体でミスト発生したのと同様霧化装置を用いて第二の液体ミストを作製する。同時に回収容器103を発電素子101上に配置する。その後風をお送り第一のミストと第二のミストを接触させ回収容器103で回収した。
【0040】
・比較例1
図4が示す方法にて、第二の液体を接触させる装置から超純水1Lを塗布して回収容器103で回収した。
【0041】
実施例1~4で回収した水のpHをpH試験紙を用いて測定するとpH5~6ということが分かった。元の超純水のpHは7であったため、空気中の二酸化炭素が溶解しpHが下がったものであると考えられる。また比較例1の回収液のpHは7であった。即ちミストへの接触前の第二の液体のpHよりも、回収工程を経て取得される液滴のpHが小さくなっていることを特徴する。
【0042】
上述の実施例から、空気中の二酸化炭素を回収するには十分に小さいミストで空間中に滞留させることが必要であることが分かる。