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特開2023-183475天井パネル枠および天井パネル枠の補強部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183475
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】天井パネル枠および天井パネル枠の補強部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/14 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
E04B9/14 G
E04B9/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097006
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】井土 祥太
(57)【要約】
【課題】配管に妨げられずに装着することが可能であり、片持ち支持状態の交差補助材の一方の端部側の下がりを抑制できる天井パネル枠および補強部材を提供する。
【解決手段】天井パネル枠1は、両側の縁部を構成する主材11と、互いに間隔をあけて主材11間に掛け渡された複数の繋ぎ材12と、上記複数の繋ぎ材12に交差して各繋ぎ材12に接続されるとともに、一方の端部側13aが当該一方の端部側13aに最も近い繋ぎ材12にて片持ち支持された交差補助材13と、交差補助材13に係合して当該交差補助材の一方の端部側13aの下がりを抑制する補強部材2を備えている。補強部材2は、交差補助材13と当該交差補助材13の一方の端部側13aに最も近い繋ぎ材12との交差箇所に設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側縁部を構成する主材と、上記主材間に掛け渡された複数の繋ぎ材と、上記複数の繋ぎ材に交差して各繋ぎ材に接続されるとともに、一方の端部側が当該一方の端部側に最も近い繋ぎ材にて片持ち支持された交差補助材と、上記交差補助材に係合して当該交差補助材の上記一方の端部側の下がりを抑制する補強部材と、を備えることを特徴とする天井パネル枠。
【請求項2】
請求項1に記載の天井パネル枠において、上記補強部材は、上記交差補助材と当該交差補助材の一方の端部側に最も近い繋ぎ材との交差箇所に設けられていることを特徴とする天井パネル枠。
【請求項3】
請求項2に記載の天井パネル枠において、上記補強部材は、上記交差箇所で上記繋ぎ材を横切って上記交差補助材に至る板状部と、上記交差補助材側に位置する上記板状部の縁側から延びて上記交差補助材の両側面に対向する対向面部と、を備えており、各対向面部と上記交差補助材の側面とが接合されていることを特徴とする天井パネル枠。
【請求項4】
請求項2に記載の天井パネル枠において、上記補強部材は、上記交差箇所で上記繋ぎ材を横切って上記交差補助材下に位置する底板部と、上記交差補助材下に位置する上記底板部の縁側から立ち上がって上記交差補助材の両側面に対向し且つ当該側面の高さを超える高さを有する対向面部と、を備えており、上記交差補助材の側面の高さを超える上記対向面部の箇所間に装着された螺合部材による当該対向面部間の相互接近によって上記対向面部が上記交差補助材の側面に圧接固定されていることを特徴とする天井パネル枠。
【請求項5】
請求項1に記載の天井パネル枠において、上記補強部材は、上記交差補助材の上記一方の端部側の下側に位置する下支え部と、上記主材の上面部側に位置し、当該主材により保持される係合部とを備えており、上記主材および上記交差補助材に対して着脱自在に設けられることを特徴とする天井パネル枠。
【請求項6】
請求項3に記載の天井パネル枠を構成する補強部材であって、上記交差箇所で上記繋ぎ材を横切って上記交差補助材に至る板状部と、上記交差補助材側に位置する上記板状部の縁側から延びて上記交差補助材の両側面に対向する対向面部と、を備えることを特徴とする天井パネル枠の補強部材。
【請求項7】
請求項4に記載の天井パネル枠を構成する補強部材であって、上記交差箇所で上記繋ぎ材を横切って上記交差補助材下に位置する底板部と、上記交差補助材下に位置する上記底板部の縁側から立ち上がって上記交差補助材の両側面に対向し且つ当該側面の高さを超える高さを有する対向面部と、を備えることを特徴とする天井パネル枠の補強部材。
【請求項8】
請求項5に記載の天井パネル枠に用いられる補強部材であって、上記交差補助材の上記一方の端部側の下側に位置する下支え部と、上記主材の上面部側に位置し、当該主材により保持される係合部とを備えており、上記主材および上記交差補助材に対して着脱自在に設けられることを特徴とする天井パネル枠の補強部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の配管が設置される箇所に取り付けることができる天井パネル枠および天井パネル枠の補強部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、矩形板状の天井材とこの天井材の裏面に設けられて天井材を補強する板状あるいは角材状の補強材とを備えてなる天井パネルであって、上記天井材の裏面の長辺側端部に長辺方向に沿って連結部材が設けられ、該連結部材に、上記補強材の厚さと略同一の間隔をあけて位置された一対の挾着板からなる挾着部が設けられ、かつ該挾着板の少なくとも一方の内面に内側に突出する係合突出部が設けられ、上記補強材の少なくとも一方の側面に凹部が形成され、該補強材が、上記連結部材の挾着部内に挾持されかつその凹部が上記係合突出部に係合することにより天井材に固定されてなる天井パネルが開示されている。
【0003】
また、図8に示す天井パネル枠7を製作することが考えられる。この天井パネル枠7は、両側縁部を構成する主材71と、上記主材71間に掛け渡された複数の繋ぎ材72と、上記複数の繋ぎ材72に交差して各繋ぎ材72に接続されるとともに、一方の端部側73aが当該一方の端部側73aに最も近い繋ぎ材72にて片持ち支持された交差補助材73と、を備える。このような天井パネル枠7は、図9に示すように、建物の壁側等で縦に延びて天井に至る配管Pが存在していても、上記一方の端側において繋ぎ材72が存在しないため、支障なく、当該天井パネル枠7を梁8に装着された吊り金具9によって吊ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07-180261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記天井パネル枠7では、繋ぎ材72と交差補助材73との交差箇所において、繋ぎ材72の一部が切除されて薄板部となっており、この薄板部にて交差補助材73の一方の端部側73aが片持ち支持される状態であるため、一方の端部側73aの先端が下がった状態となり、天井パネル枠7を建物躯体側に吊り支持する作業および天井パネル枠7に天井面材をビス打ちする作業がやり難くなるという問題があった。なお、特許文献1に開示された天井パネルでは上記のような問題を解決できない。
【0006】
この発明は、配管に妨げられずに装着することが可能であり、片持ち支持状態の交差補助材の一方の端部側の下がりを抑制できる天井パネル枠および補強部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の天井パネル枠は、両側縁部を構成する主材と、上記主材間に掛け渡された複数の繋ぎ材と、上記複数の繋ぎ材に交差して各繋ぎ材に接続されるとともに、一方の端部側が当該一方の端部側に最も近い繋ぎ材にて片持ち支持された交差補助材と、上記交差補助材に係合して当該交差補助材の上記一方の端部側の下がりを抑制する補強部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、天井パネル枠を建物側の配管に妨げられずに装着できるとともに、上記補強部材によって上記交差補助材の上記片持ち支持状態の一方の端部側の下がりが抑制されるので、天井パネル枠の吊り金具への取り付けや天井面材のビス打ち等がやり易くなる。
【0009】
上記天井パネル枠において、上記補強部材は、上記交差補助材と当該交差補助材の一方の端部側に最も近い繋ぎ材との交差箇所に設けられていてもよい。これによれば、上記補強部材の小型化が容易になる。
【0010】
上記天井パネル枠において、上記補強部材は、上記交差箇所で上記繋ぎ材を横切って上記交差補助材に至る板状部と、上記交差補助材側に位置する上記板状部の縁側から延びて上記交差補助材の両側面に対向する対向面部と、を備えており、各対向面部と上記交差補助材の側面とが接合されていてもよい。これによれば、上記交差補助材の上記一方の端部側と上記繋ぎ材を挟んで位置する上記交差補助材の他の部分とが、上記補強部材によって相互に繋がれ、この補強部材が当該交差箇所における上記交差補助材に対する補強となるので、上記片持ち支持状態の一方の端部側の下がりを抑制することができる。
【0011】
上記天井パネル枠において、上記補強部材は、上記交差箇所で上記繋ぎ材を横切って上記交差補助材下に位置する底板部と、上記交差補助材下に位置する上記底板部の縁側から立ち上がって上記交差補助材の両側面に対向し且つ当該側面の高さを超える高さを有する対向面部と、を備えており、上記交差補助材の側面の高さを超える上記対向面部の箇所間に装着された螺合部材による当該対向面部間の相互接近によって上記対向面部が上記交差補助材の側面に圧接固定されていてもよい。これによれば、上記交差補助材の上記一方の端部側と上記繋ぎ材を挟んで位置する上記交差補助材の他の部分とが、上記補強部材によって相互に繋がれ、この補強部材が当該交差箇所における上記交差補助材に対する補強となるので、上記片持ち支持状態の一方の端部側の下がりを抑制することができる。
【0012】
或いは、上記天井パネル枠において、上記補強部材は、上記交差補助材の上記一方の端部側の下側に位置する下支え部と、上記主材の上面部側に位置し、当該主材により保持される係合部とを備えており、上記主材および上記交差補助材に対して着脱自在に設けられてもよい。これによれば、上記補強部材は多少大きくなるものの、この補強部材の下支え部によって、上記片持ち支持状態の一方の端部側を下支えしてその下がりを抑制することができる。
【0013】
また、この発明の補強部材は、天井パネル枠を構成する補強部材であって、上記交差箇所で上記繋ぎ材を横切って上記交差補助材に至る板状部と、上記交差補助材側に位置する上記板状部の縁側から延びて上記交差補助材の両側面に対向する対向面部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
かかる構成であれば、上記対向面部からビス等をねじ込むことで、上記交差補助材の上記一方の端部側と上記繋ぎ材を挟んで位置する上記交差補助材の他の部分とが、当該補強部材により相互に繋がれ、この補強部材が当該交差箇所における上記交差補助材に対する補強となるので、上記片持ち支持状態の一方の端部側の下がりを抑制することができる。
【0015】
また、この発明の補強部材は、天井パネル枠を構成する補強部材であって、上記交差箇所で上記繋ぎ材を横切って上記交差補助材下に位置する底板部と、上記交差補助材下に位置する上記底板部の縁側から立ち上がって上記交差補助材の両側面に対向し且つ当該側面の高さを超える高さを有する対向面部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
かかる構成であれば、上記対向面部における上記交差補助材の側面の高さを超える部位に螺合部材を設け、この螺合部材によって上記対向面部を上記交差補助材の側面に圧接固定させることで、上記交差補助材の上記一方の端部側と上記繋ぎ材を挟んで位置する上記交差補助材の他の部分とが、上記補強部材によって相互に繋がれ、この補強部材が当該交差箇所における上記交差補助材に対する補強となるので、上記片持ち支持状態の一方の端部側の下がりを抑制することができる。
【0017】
また、この発明の補強部材は、天井パネル枠に用いられる補強部材であって、上記交差補助材の上記一方の端部側の下側に位置する下支え部と、上記主材の上面部側に位置し、当該主材により保持される係合部とを備えており、上記主材および上記交差補助材に対して着脱自在に設けられることを特徴とする。
【0018】
かかる構成であれば、上記片持ち支持状態の一方の端部側を下支えしてその下がりを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明であれば、交差補助材の片持ち支持状態の一方の端部側の下がりが抑制されるので、天井パネル枠の吊り金具への取り付けや天井面材のビス打ち等がやり易くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の天井パネル枠を示した平面図である。
図2図1の天井パネル枠の交差部および補強部材を示した図であって、同図(A)は図1のA-A矢視拡大断面図であり、同図(B)は図1のB-B矢視拡大断面図である。
図3図1の天井パネル枠の交差部および補強部材を示した概略の分解斜視図である。
図4図1の天井パネル枠を躯体に取り付けた状態を示した説明図である。
図5】他の実施形態の天井パネル枠を示した平面図である。
図6図5の天井パネル枠の交差部および補強部材を示した図であって、同図(A)は図5のA-A矢視拡大断面図であり、同図(B)は図5のB-B矢視拡大断面図である。
図7】同図(A)は他の実施形態の天井パネル枠を示した平面図であり、同図(B)は同図(A)のA-A矢視拡大断面図である。
図8】配管が存在していても支障なく装着できる天井パネル枠を示した平面図である。
図9図8の天井パネル枠を躯体に取り付けた状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態1)
以下、実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態の天井パネル枠1は、その長辺方向の両側縁部を構成する主材11と、互いに間隔をあけて主材11間に掛け渡された複数の繋ぎ材12と、上記複数の繋ぎ材12に交差して各繋ぎ材12に接続されるとともに、一方の端部側13aが当該一方の端部側13aに最も近い繋ぎ材12にて片持ち支持された交差補助材13と、を備える。
【0022】
主材11は、断面が略コ字形であって、吊り金具に係止される係止凸部を内側面となる非開口面の上部側に有した形状となっている。
【0023】
繋ぎ材12は、例えば、リップ溝形鋼からなり、当該リップ溝形鋼の開口側を上に向けている。交差補助材13は、例えば、溝形鋼からなり、同様に当該溝形鋼の開口側を上に向けている。繋ぎ材12と交差補助材13とが交差する十字状の交差箇所では、交差補助材13の両方の側面が切除されることで下側の薄板部のみ残された形状となる一方、この切除箇所において繋ぎ材12は特段の加工無しで配置されている。これら繋ぎ材12と交差補助材13とは、上記薄板部との重なり部分にカシメが施されることで、相互に連結されている。
【0024】
天井パネル枠1は、図4に示すように、建物の壁側等で縦に延びて天井に至る配管Pが存在する箇所に取り付けられる。天井パネル枠1は、配管Pが存在していても、一方の端部側13a側において繋ぎ材12が存在しないため、支障なく、当該天井パネル枠1を梁8に装着された吊り金具9によって吊ることが可能である。
【0025】
天井パネル枠1の上面は、梁8の下面レベルよりも下方に位置する。また、天井パネル枠1を用いた天井構造においては、一方の端部側13a側に、梁8を跨ぐように補強薄鉄板Rが配置される。この補強薄鉄板Rは、梁8を挟んで隣り合う天井パネル枠1と他の天井パネル枠の下面に貼られた両面テープによって保持される。補強薄鉄板Rは、図示しない天井面材(石こうボード等)が天井パネル枠1等にビス固定される際に、当該ビスによって天井パネル枠1等に共締め固定される。
【0026】
また、天井パネル枠1は、交差補助材13に係合して当該交差補助材の一方の端部側13aの下がりを抑制する補強部材2を備えている。この補強部材2は、交差補助材13と当該交差補助材13の一方の端部側13aに最も近い繋ぎ材12との交差箇所に設けられている。また、補強部材2は、天井パネル枠1の製造段階において取り付けられており、この状態で出荷されて建築現場に搬送される。
【0027】
補強部材2は、図2および図3に示すように、上記交差箇所で繋ぎ材12を横切って交差補助材13上に至る板状部21と、交差補助材13上に位置する板状部21の縁側から延びて交差補助材13の各側面に対向する対向面部22と、を備えている。板状部21の幅は交差補助材13の幅よりも広く、対向面部22は、交差補助材13の各側面の外側に位置する。また、板状部21の高さは、交差補助材13の高さよりも低く、対向面部22は交差補助材13の下面(天井面材取付面)より下には出ない。補強部材2は、例えば、金属角パイプに切断加工を施すことによって作製することができる。補強部材2の肉厚は、例えば、1.6mmである。
【0028】
補強部材2の各対向面部22には、ビス(ドリルビス等)23が各々1本ねじ込まれており、さらに、このビス23の先端側は交差補助材13の側面部に入り込んでいる。すなわち、補強部材2の各対向面部22は、ビス23の締結により、交差補助材13の両側面に接合されている。
【0029】
上記の天井パネル枠1および補強部材2であれば、当該補強部材2によって交差補助材13の片持ち支持状態の一方の端部側13aの下がりを抑制できるので、当該天井パネル枠1の建物躯体側に装着する作業が行い易くなる。
【0030】
また、補強部材2は、交差補助材13と当該交差補助材13の一方の端部側13aに最も近い繋ぎ材12との交差箇所に設けられているので、補強部材2の小型化が容易になる。
【0031】
また、補強部材2は、上記のように、板状部21と対向面部22とを有し、各対向面部22と交差補助材13の両側面とが接合される。これにより、交差補助材13の一方の端部側13aと、繋ぎ材12を挟んで位置する交差補助材13の他の部分とが、補強部材2によって相互に繋がれ、当該交差箇所における交差補助材13の上記薄板部に対する補強となるので、上記片持ち支持状態の一方の端部側13aの下がりを抑制することができる。
【0032】
なお、補強部材2の板状部21は、交差補助材13に必ずしも接触している必要はない。また、対向面部22の内側縁(繋ぎ材12に対向する側の縁)も、繋ぎ材12に接触している必要はない。
【0033】
また、補強部材2を上下逆転し、板状部21を天井パネル枠1の下面側に位置させることもできる。ただし、このような使用形態では、天井パネル枠1の下面(天井面材取付面)に板状部21の厚み分の凸部が生じることになる。
【0034】
(実施形態2)
次に、他の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付記して説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、実施形態の天井パネル枠1Aは、交差補助材13に係合して当該交差補助材の一方の端部側13aの下がりを抑制する補強部材3を備えている。補強部材3は、交差補助材13と当該交差補助材13の一方の端部側13aに最も近い繋ぎ材12との交差箇所に設けられる。また、この補強部材3は、天井パネル枠1Aの製造段階において取り付けられ、この取り付け状態で出荷されて建築現場に搬送される。
【0036】
補強部材3は、図6(A)および図6(B)にも示すように、上記交差箇所で繋ぎ材12を横切って交差補助材13下に位置する底板部31と、交差補助材13下に位置する底板部31の縁側から立ち上がって交差補助材13の両側面に対向し且つ当該側面の高さを超える高さを有する対向面部32と、を備えている。底板部31は交差補助材13よりも広幅であり、対向面部32は交差補助材13の各側面の外側に位置する。補強部材3は、例えば、金属角パイプに対して切断加工を施すことによって作製することができる。
【0037】
交差補助材13の側面の高さを超える対向面部32の各箇所には、貫通孔が形成されており、当該箇所間には、上記貫通孔部に通されて螺合部材33であるボルト・ナットが装着される。
【0038】
天井パネル枠1Aでは、螺合部材33のナット締めによる当該対向面部32間の相互接近によって、対向面部32が交差補助材13の両側面に圧接固定されている。これにより、交差補助材13の一方の端部側13aと、繋ぎ材12を挟んで位置する交差補助材13の他の部分とが、補強部材2によって相互に繋がれ、この補強部材2が当該交差箇所における交差補助材13の薄板部に対する補強となるので、上記片持ち支持状態の一方の端部側13aの下がりを抑制することができ、当該天井パネル枠1Aの建物躯体側に装着および天井面材のビス固定の作業が行い易くなる。ただし、補強部材3では、天井パネル枠1Aの下面(面材が取り付けられる面)に底板部31の厚み分の凸部が生じることになる。
【0039】
また、天井パネル枠1Aにおいても、補強部材3は、交差補助材13と当該交差補助材13の一方の端部側13aに最も近い繋ぎ材12との交差箇所に設けられているので、補強部材3の小型化が容易になる。
【0040】
(実施形態3)
次に、他の実施形態の天井パネル枠1Bおよび補強部材4を添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付記して説明を省略する。
【0041】
図7(A)および図7(B)に示すように、天井パネル枠1Bは補強部材4を備える。この補強部材4は、繋ぎ材12と平行に配置されて主材11間に渡る長尺形状を有しており、交差補助材13の一方の端部側13aの下側に位置する下支え部41と、主材11の上面部側に位置し、当該主材11で保持される係合部42とを備えており、主材11および交差補助材13に対して着脱自在に設けられる。各係合部42は、開口側が下向きとされた略コ字形に折り曲げ加工されている。この補強部材4は、天井パネル枠1Bの製造段階において取り付けられ、この取り付け状態で出荷されて建築現場に搬送されることとしてもよい。
【0042】
補強部材4は、多少大きくなるものの、片持ち支持状態の一方の端部側13aを下支えしてその下がりを抑制することができる。なお、建物側に配置されている配管P(図4参照)の位置が補強部材4の装着位置に重なる場合には、この補強部材4は使用できない。
【0043】
天井パネル枠1Bの取り付けは、補強部材4を一旦外した状態で配管Pを当該天井パネル枠1B内に入れる段階と、補強部材4を再び取り付けた状態で当該天井パネル枠1Bを建物躯体側(図4の梁8等)に取り付け、この天井パネル枠1Bの下面に天井面材をビス固定する段階(一方の端部側13aと下支え部41との交差箇所にはビスは未だ打たない)と、補強部材4を取り外して回収し、天井面材のビス固定を完了する段階と、を有する。補強部材4の取付および回収は、補強部材4を水平にスライドさせることで行うことができる。かかる方法であれば、補強部材4を外して回収し、その再使用ができるので、天井パネル枠1Bの施工コストを低減することができる。
【0044】
一方、補強部材4を回収せずに、この補強部材4を残置して繋ぎ材代わりとして用いることとしてもよい。この場合は、梁8の下方に補強薄鉄板を配置しなくてもよい。
【0045】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 :天井パネル枠
1A :天井パネル枠
1B :天井パネル枠
2 :補強部材
3 :補強部材
4 :補強部材
7 :天井パネル枠
8 :梁
9 :吊り金具
11 :主材
12 :繋ぎ材
13 :交差補助材
13a :端部側
21 :板状部
22 :対向面部
23 :ビス
31 :底板部
32 :対向面部
33 :螺合部材
41 :下支え部
42 :係合部
P :配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9