(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183490
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】配電盤
(51)【国際特許分類】
H02B 1/30 20060101AFI20231221BHJP
H02B 1/20 20060101ALI20231221BHJP
H02B 1/32 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H02B1/30 F
H02B1/20 B
H02B1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097034
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 秀明
(72)【発明者】
【氏名】原田 和也
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕明
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA03
5G016CB01
5G016CD26
5G016CD37
5G016CF02
(57)【要約】
【課題】本願は、垂直母線カバー体を取り外すことなく大容量機能ユニットを実装することができる配電盤を提供するものである。
【解決手段】複数の機能ユニット(2)が配置されるユニット区画(3)と、垂直母線(5)が配置される垂直母線区画(4)と、ユニット区画(3)と垂直母線区画(4)とを仕切る垂直母線カバー体(1)を備えた配電盤(100)であって、垂直母線カバー体(1)は機能ユニット(2)と垂直母線(5)とを接続する接続用挿通穴(7)が形成され、垂直母線カバー体(1)の接続用挿通穴(7)の周囲にミシン目状切り欠き部(10)を設け、ミシン目状切り欠き部(10)から切り出される部分取り外し部(9)を設けたものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能ユニットが配置されるユニット区画と、垂直母線が配置される垂直母線区画と、前記ユニット区画と前記垂直母線区画とを仕切る垂直母線カバー体を備えた配電盤であって、前記垂直母線カバー体は前記機能ユニットと前記垂直母線とを接続する接続用挿通穴が形成され、前記垂直母線カバー体の前記接続用挿通穴の周囲にミシン目状切り欠き部を設け、前記ミシン目状切り欠き部から切り出される部分取り外し部を設けたことを特徴とする配電盤。
【請求項2】
前記部分取り外し部は前記垂直母線区画に落下するのを防止する落下防止片が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の配電盤。
【請求項3】
前記落下防止片は前記ミシン目状切り欠き部から切り出された前記部分取り外し部を再度前記垂直母線カバー体に取り付ける取付穴が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の配電盤。
【請求項4】
複数の機能ユニットが配置されるユニット区画と、垂直母線が配置される垂直母線区画と、前記ユニット区画と前記垂直母線区画とを仕切る垂直母線カバー体を備えた配電盤であって、前記垂直母線カバー体は前記機能ユニットと前記垂直母線とを接続する位置に開口部が設けられ、前記垂直母線カバー体の前記開口部にスライド機構が設けられ、前記スライド機構は、前記開口部の上下部に設けられた一対の垂直母線カバー体側スライドレールと、前記垂直母線カバー体側スライドレールに着脱可能に挿入されるスライド体とにより構成されたことを特徴とする配電盤。
【請求項5】
前記スライド体は垂直母線カバー体側スライドレールに着脱可能に挿入されるスライド体側スライドレールと、前記機能ユニットと前記垂直母線とを接続する接続用挿通穴とを有することを特徴とする請求項4に記載の配電盤。
【請求項6】
前記スライド体はスライドさせる掴み部が設けられたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の配電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、配電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電盤(コントロールセンタあるいはスイッチギヤなど)は、特許文献1の実開昭61-41306号で開示されているように、複数の機能ユニットを収納するユニット区画と、各機能ユニットに主電流を供給するための垂直母線が収納された垂直母線区画が垂直母線カバー(背面板)によって分離されている。
【0003】
垂直母線カバーは、機能ユニットと垂直母線を接続するためのジャンクションのみを通す開口部を設けているため、機能ユニットを垂直母線に接続している状態でも、充電部に指あるいはその他異物が入らない保護構造を形成している。
【0004】
一般的に垂直母線カバーは、組み立て時の作業性向上のため、複数の機能ユニットにまたがるサイズの大きさのものが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の特許文献1に記載の配電盤は、垂直母線から機能ユニットへ電流を供給するために、機能ユニットにジャンクションを設けることで、機能ユニットを配電盤に実装することにより垂直母線と電気的に接続させることができる。しかし、ジャンクションの性能によって垂直母線から供給できる電流値に制限があるため、大容量の電流供給が必要となる機能ユニットを配電盤に実装する場合は、ジャンクションよりも大電流の供給が可能な接続導体を垂直母線にボルト・ナットなどを用いて電気的に接続する必要がある。しかしながら、ジャンクションを通す開口部は小さいため、ボルト・ナットを締結するための工具あるいは手を入れることはできないという問題点があった。
【0007】
上記の理由から、大容量機能ユニットを新規に追加する改造工事では、垂直母線カバーを取り外す必要があり、そのため機能ユニットも引き出す必要があるという問題点があった。
【0008】
機能ユニットの引き出しおよび挿入時には、機能ユニット内部のコネクタあるいは電線接続部の解線および結線が必要になる場合があり、機能ユニットの引き出し範囲が広くなり、解結線誤りのリスクが高まるという問題点があった。
【0009】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、その目的は、垂直母線カバー体を取り外すことなく大容量機能ユニットを実装することができる配電盤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願に開示される配電盤は、複数の機能ユニットが配置されるユニット区画と、垂直母線が配置される垂直母線区画と、前記ユニット区画と前記垂直母線区画とを仕切る垂直母線カバー体を備えた配電盤であって、前記垂直母線カバー体は前記機能ユニットと前記垂直母線とを接続する接続用挿通穴が形成され、前記垂直母線カバー体の前記接続用挿通穴の周囲にミシン目状切り欠き部を設け、前記ミシン目状切り欠き部から切り出される部分取り外し部を設けたものである。
【0011】
また、本願に開示される配電盤は、複数の機能ユニットが配置されるユニット区画と、垂直母線が配置される垂直母線区画と、前記ユニット区画と前記垂直母線区画とを仕切る垂直母線カバー体を備えた配電盤であって、前記垂直母線カバー体は前記機能ユニットと前記垂直母線とを接続する位置に開口部が設けられ、前記垂直母線カバー体の前記開口部にスライド機構が設けられ、前記スライド機構は、前記開口部の上下部に設けられた一対の垂直母線カバー体側スライドレールと、前記垂直母線カバー体側スライドレールに着脱可能に挿入されるスライド体とにより構成されたものである。
【発明の効果】
【0012】
本願に開示される配電盤によれば、垂直母線カバー体を取り外すことなく大容量機能ユニットを実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係るユニット区画と垂直母線区画を仕切る垂直母線カバー体を有した配電盤を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るユニット区画と垂直母線区画を仕切る垂直母線カバー体を有した配電盤を示す側面図である。
【
図3】実施の形態1に係る機能ユニットを示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る垂直母線カバー体を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る部分取り外し部の1部を取り外した状態の垂直母線カバー体を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る大容量機能ユニットを配電盤に実装する手順を示す斜視図であり、(a)は部分取り外し部を取り外す状態を示し、(b)は大電流供給用接続導体を取り付ける状態を示し、(c)は大容量機能ユニットを実装する状態を示している。
【
図7】実施の形態1に係る大容量機能ユニットの実装箇所に機能ユニットを実装する手順を示す斜視図であり、(a)は大容量機能ユニットを取り外す状態を示し、(b)は大電流供給用接続導体を取り外す状態を示し、(c)は部分取り外し部を取り付ける状態を示し、(d)は機能ユニットを実装する状態を示している。
【
図8】実施の形態2に係る垂直母線カバー体を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態2に係るスライド体を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態2に係るスライド体の1部を取り外した状態の垂直母線カバー体を示す斜視図である。
【
図11】実施の形態2に係る大容量機能ユニットを配電盤に実装する手順を示す斜視図であり、(a)はスライド体を取り外す状態を示し、(b)は大電流供給用接続導体を取り付ける状態を示し、(c)は大容量機能ユニットを実装する状態を示している。
【
図12】実施の形態2に係る大容量機能ユニットの実装箇所に機能ユニットを実装する手順を示す斜視図であり、(a)は大容量機能ユニットを取り外す状態を示し、(b)は大電流供給用接続導体を取り外す状態を示し、(c)はスライド体を取り付ける状態を示し、(d)は機能ユニットを実装する状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下、本願の実施の形態1を
図1から
図7に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図1は実施の形態1に係るユニット区画と垂直母線区画を仕切る垂直母線カバー体を有した配電盤を示す斜視図である。
図2は実施の形態1に係るユニット区画と垂直母線区画を仕切る垂直母線カバー体を有した配電盤を示す側面図である。
図3は実施の形態1に係る機能ユニットを示す斜視図である。
図4は実施の形態1に係る垂直母線カバー体を示す斜視図である。
図5は実施の形態1に係る部分取り外し部の一部を取り外した状態の垂直母線カバー体を示す斜視図である。
図6は実施の形態1に係る大容量機能ユニットを配電盤に実装する手順を示す斜視図であり、(a)は部分取り外し部を取り外す状態を示し、(b)は大電流供給用接続導体を取り付ける状態を示し、(c)は大容量機能ユニットを実装する状態を示している。
図7は実施の形態1に係る大容量機能ユニットの実装箇所に機能ユニットを実装する手順を示す斜視図であり、(a)は大容量機能ユニットを取り外す状態を示し、(b)は大電流供給用接続導体を取り外す状態を示し、(c)は部分取り外し部を取り付ける状態を示し、(d)は機能ユニットを実装する状態を示している。
【0015】
図1および
図2に示すように、4台のジャンクション接続式の機能ユニット2を配電盤100の下段側に実装した場合を示している。配電盤100の垂直母線区画4に配置された垂直母線5とユニット区画3に配置された機能ユニット2とを電気的に接続させるために、
図3に示す機能ユニット2の背面にジャンクション6を設けることで、配電盤100に機能ユニット2を実装すると同時に、機能ユニット2のジャンクション6が垂直母線5に噛み合うことにより、電気的に接続状態にすることができる。
【0016】
この配電盤100の上段側に、ジャンクション6では通電できない大容量機能ユニット14を実装する場合は、ジャンクション6の代わりに大電流供給用接続導体13をボルト・ナットなどにより垂直母線5と電気的に接続させる必要があるが、ジャンクション6を通す接続用挿通穴7のサイズではボルト・ナットを締結させるための工具あるいは手を入れることはできない。
【0017】
そのため、従来の技術では大容量機能ユニット14を実装する場合は、垂直母線カバー全体を取り外す必要があり、垂直母線カバー全体を取り外すためには、付近の機能ユニット2も一度配電盤100から引き出す必要があり多大の手間があった。
【0018】
そこで、本願の実施の形態1では
図4で示すように、垂直母線カバー体1の接続用挿通穴7の周囲に長方形のミシン目状切り欠き部10を設けることによって、垂直母線カバー体1の部分取り外し部9を設けることで、垂直母線カバー体1全体を取り外すことを不要とすることができる。
【0019】
なお、垂直母線5に接続する大電流供給用接続導体13は、三相3線式であれば3本、三相4線式であれば4本が幅方向に並んで配置される。垂直母線5に大電流供給用接続導体13を接続させるためには、全ての垂直母線5が見えるように垂直母線カバー体1に部分的な開口を設ける必要があるため、ミシン目状切り欠き部10の形状は、高さ方向が短く、幅方向が長い長方形とする。
【0020】
ミシン目状切り欠き部10は垂直母線カバー体1の部分取り外しを可能とするための処置であり、大容量機能ユニット14を実装する際には当該箇所を取り外す。ミシン目状切り欠き部10を配電盤100の高さ方向に等間隔に設けることで、大容量機能ユニット14の実装位置がどこであっても対応できるようになるが、他の機能ユニット2の搭載場所が固定されている場合、あるいは、大容量機能ユニット14が搭載される位置がある程度絞られる場合は、ミシン目状切り欠き部10は全位置に等間隔に設けなくても、必要な位置にのみ設ける仕様としても良い。
【0021】
垂直母線カバー体1の部分取り外し部9をニッパーなどの汎用工具で取り外し可能となるよう、ミシン目状切り欠き部10の長さは50mm程度、繋がっている部分の長さは2mm程度とする。また、繋がっている部分については、タレットパンチプレスで垂直母線カバー体1を加工する際に、ポンチなどにより板厚を薄くする。これにより、取り外しを容易にする。
【0022】
落下防止片8は、部分取り外し部9の取り外しの際、部分取り外し部9が垂直母線区画4側に落下するのを防止するために、各部分取り外し部9に対して設けている。
【0023】
落下防止片8は、溶接により各部分取り外し部9に取り付け、取り付け箇所は各部分取り外し部9の左右1箇所ずつとする。
【0024】
なお、落下防止片8には丸穴11、垂直母線カバー体1にはねじ穴12をあらかじめ設けておくこととする。そうすることによって、同一箇所の機能ユニット2を、大容量機能ユニット14から、ジャンクション接続式の機能ユニット2に変更する際に、部分取り外し部9を再度垂直母線カバー体1に取り付けることができる。
【0025】
実施の形態1を適用した配電盤100へ大容量機能ユニット14を実装する際の作業の手順は
図6に示すとおりである。
図6(a)に示すように、垂直母線カバー体1の内、大容量機能ユニット14に大電流供給用接続導体13を通す箇所の部分取り外し部9をミシン目状切り欠き部10からニッパーなどの汎用工具で切り出して取り外す。次に、
図6(b)に示すように、部分取り外し部9を取り外した箇所の垂直母線5に大電流供給用接続導体13をボルト・ナットなどで接続する。更に、
図6(c)に示すように、大容量機能ユニット14と大電流供給用接続導体13を接続し、大容量機能ユニット14を配電盤100に実装する。
【0026】
その後の工事で、大容量機能ユニット14の実装位置にジャンクション接続式の機能ユニット2を実装する際の作業の手順は
図7に示すとおりである。
図7(a)に示すように、大容量機能ユニット14と大電流供給用接続導体13の接続を解除し、大容量機能ユニット14を配電盤100のユニット区画3から引き出す。次に、
図7(b)に示すように、大電流供給用接続導体13と垂直母線5の接続を解除し、大電流供給用接続導体13を配電盤100から取り外す。次に、
図7(c)に示すように、取り外した部分取り外し部9を垂直母線カバー体1の元の位置で、落下防止片8の丸穴11と垂直母線カバー体1のねじ穴12にねじ(図示せず)を螺着して取り付ける。更に、
図7(d)に示すように、ジャンクション接続式の機能ユニット2を配電盤100に実装する。
【0027】
従来の垂直母線カバーは大容量機能ユニット14の大電流供給用接続導体13の接続用領域を部分的に開口することが不可であったが、実施の形態1を適用することにより、部分的な取り外し開口を可能とする。これにより、改造工事において大容量機能ユニット14を実装する際、作業性の向上及び工事範囲の縮小、またそれらに伴うヒューマンエラーの低減が期待できる。すなわち、機能ユニットを配電盤に実装する際に、垂直母線カバー体1を取り外さなくても、必要部分の部分取り外し部9を取り外して開口して垂直母線区画4内の垂直母線5にアクセス可能とすることができ、他の機能ユニットを引き出す必要がなくなり、改造工事の作業量が削減できるとともに、解結線の量が減り、解結線誤りのリスクの低減が期待できる。
【0028】
実施の形態2.
本願の実施の形態2を
図8から
図12に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図8は実施の形態2に係る垂直母線カバー体を示す斜視図である。
図9は実施の形態2に係るスライド体を示す斜視図である。
図10は実施の形態2に係るスライド体の1部を取り外した状態の垂直母線カバー体を示す斜視図である。
図11は実施の形態2に係る大容量機能ユニットを配電盤に実装する手順を示す斜視図であり、(a)はスライド体を取り外す状態を示し、(b)は大電流供給用接続導体を取り付ける状態を示し、(c)は大容量機能ユニットを実装する状態を示している。
図12は実施の形態2に係る大容量機能ユニット実装箇所に機能ユニットを実装する手順を示す斜視図であり、(a)は大容量機能ユニットを取り外す状態を示し、(b)は大電流供給用接続導体を取り外す状態を示し、(c)はスライド体を取り付ける状態を示し、(d)は機能ユニットを実装する状態を示している。
【0029】
本願の実施の形態2では、
図8から
図10に示すように、垂直母線カバー体1は機能ユニット2と垂直母線5とを接続する位置に開口部70が設けられ、垂直母線カバー体1の開口部70の周囲に部分取り外し部20を構成するスライド機構15が設けられている。スライド機構15は垂直母線カバー体1の開口部70の上下部に設けられた一対の垂直母線カバー体側スライドレール16と、垂直母線カバー体側スライドレール16に着脱可能に挿入されるスライド体17とにより構成されている。スライド体17は一対の垂直母線カバー体側スライドレール16に着脱可能に挿入される一対のスライド体側スライドレール18と、機能ユニット2と垂直母線5とを接続する接続用挿通穴71とを有し、スライド体17を掴み部19によりスライドさせることにより、部分取り外しを可能とする。
【0030】
スライド体17は大容量機能ユニット14を実装する際に大電流供給用接続導体13の接続部分となる箇所に設ける。これにより、改造工事の際、当該箇所をスライドにより部分取り外し部20を取り外すことができる。
【0031】
なお、スライド体17にはジャンクションを通す接続用挿通穴71を設けている。これにより、スライド体17を付けたまま、ジャンクション接続式の機能ユニット2を配電盤100に搭載することが可能となる。また、1段あたりに必要となるスライド体17の数量は、垂直母線5と同数であるため、三相3線式の場合は3つ、三相4線式の場合は4つのスライド体17を垂直母線カバー体1に設けることになる。
【0032】
スライド体17は、設置面に対して水平方向に動かせる構造とする。また、スライド体17は垂直母線カバー体1に設ける垂直母線カバー体側スライドレール16に沿う形で取り付け可能とするために、スライド体17の上下にスライド体側スライドレール18を設けている。
【0033】
なお、スライド体17をスライドさせる際に、作業者の指で掴むことを可能にするためにスライド体側スライドレール18以外の平面を正面方向に突き出した構造にすることで掴み部19を設けている。この掴み部19は、開口作業性の向上、および、スライド体17が垂直母線区画4側に落下するのを防ぐため、各スライド体17に対して設けている。
【0034】
実施の形態2を適用した配電盤へ大容量機能ユニット14を実装する際の作業の手順は
図11に示すとおりである。
図11(a)に示すように、垂直母線カバー体1の内、大容量機能ユニット14に大電流供給用接続導体13を通す箇所の部分取り外し部20において、スライド機構15の各スライド体17を掴み部19によりスライドさせて垂直母線カバー体側スライドレール16から取り外す。次に、
図11(b)に示すように、スライド体17を取り外した箇所の垂直母線5に大電流供給用接続導体13をボルト・ナットなどで接続する。更に、
図11(c)に示すように、大容量機能ユニット14と大電流供給用接続導体13を接続し、大容量機能ユニット14を配電盤100に実装する。
【0035】
その後の工事で、大容量機能ユニット14の実装位置にジャンクション接続式の機能ユニット2を実装する際の作業の手順は
図12に示すとおりである。
図12(a)に示すように、大容量機能ユニット14と大電流供給用接続導体13の接続を解除し、大容量機能ユニット14を配電盤100のユニット区画3から引き出す。次に、
図12(b)に示すように、大電流供給用接続導体13と垂直母線5の接続を解除し、大電流供給用接続導体13を配電盤100から取り外す。次に、
図12(c)に示すように、スライド機構15の各スライド体17のスライド体側スライドレール18を垂直母線カバー体側スライドレール16に挿入し、スライド体17を掴み部19によりスライドさせて取り付ける。更に、
図12(d)に示すように、ジャンクション接続式の機能ユニット2を配電盤100に実装する。
【0036】
従来の垂直母線カバーは大容量機能ユニット14の大電流供給用接続導体13の接続用領域を部分的に開口することが不可であったが、実施の形態2を適用することにより、部分的な取り外し開口を可能とする。これにより、改造工事において大容量機能ユニット14を実装する際、作業性の向上及び工事範囲の縮小、またそれらに伴うヒューマンエラーの低減が期待できる。すなわち、機能ユニットを配電盤に実装する際に、垂直母線カバー体1を取り外さなくても、必要部分のスライド機構15のスライド体17を取り外して開口して垂直母線区画4内の垂直母線5にアクセス可能とすることができ、他の機能ユニットを引き出す必要がなくなり、改造工事の作業量が削減できるとともに、解結線の量が減り、解結線誤りのリスクの低減が期待できる。
【0037】
実施の形態2を適用することにより、実施の形態1と同様の効果を得られる。また、スライド体17のスライド移動だけで部分取り外し部20の開閉を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0038】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本願は、垂直母線カバー体を取り外すことなく大容量機能ユニットを実装することができる配電盤の実現に好適である。
【符号の説明】
【0040】
1 垂直母線カバー体、2 機能ユニット、3 ユニット区画、4 垂直母線区画、5 垂直母線、6 ジャンクション、7、71 接続用挿通穴、8 落下防止片、9 部分取り外し部、10 ミシン目状切り欠き部、11 丸穴、12 ねじ穴、13 大電流供給用接続導体、14 大容量機能ユニット、15 スライド機構、16 垂直母線カバー体側スライドレール、17 スライド体、18 スライド体側スライドレール、19 掴み部、20 部分取り外し部、70 開口部