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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183508
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】仮設構築物用梁枠の連結装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/34 20060101AFI20231221BHJP
   E04G 1/14 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
E04G7/34 304A
E04G1/14 Z
E04G7/34 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097060
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】中村 崇志
(72)【発明者】
【氏名】野邊 季樹
(57)【要約】
【課題】複数の梁枠分割体を簡単に連結することが可能な仮設構築物用梁枠の連結装置を提供する。
【解決手段】仮設足場1(仮設構築物)に配設される梁枠4の長さ方向に分割されて形成されている複数個の梁枠分割体のうち、長さ方向に隣接する第1、第2の梁枠分割体11,12同士を連結するための連結装置13である。2個の梁枠分割体のうち、第1の梁枠分割体に回動等の運動可能に設けられている係止部材42と、第2の梁枠分割体に設けられ、係止部材42の運動によりこの係止部材42が係止する被係止部材44とを含んで構成されている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設構築物に配設される梁枠の長さ方向に分割されて形成されている複数個の梁枠分割体のうち、前記長さ方向に隣接する2個の梁枠分割体同士を連結するための連結装置であって、
前記2個の梁枠分割体のうち、一方の梁枠分割体に運動可能に設けられている係止部材と、他方の梁枠分割体に設けられ、前記係止部材の運動によりこの係止部材が係止する被係止部材とを含んで構成されていることを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項2】
請求項1に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記運動は軸を中心とする回動であることを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項3】
請求項2に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記回動は、前記被係止部材に対して上からの回動であって、この回動は、前記係止部材が前記被係止部材に当接して係止することにより停止することを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項4】
請求項3に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記被係止部材は、頭部を備えていて、前記長さ方向に進退可能となっており、
前記被係止部材の前記他方の梁枠分割体側への後退により、前記頭部が前記係止部材に当接してこの係止部材に前記他方の梁枠分割体側への引き寄せ力が作用することを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項5】
請求項4に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記被係止部材は、頭部付きの雄ねじ部材であって、
この雄ねじ部材には、回転自在となっている回転操作用雌ねじ部材が螺合されており、
前記係止部材は、前記頭部を前記雄ねじ部材の軸方向と直交する方向における両側から挟む一対の挟み部を有し、
この一対の挟み部による前記頭部の挟み作用によって前記雄ねじ部材が前記回転操作用雌ねじ部材と一体となって共回りすることが防止されることにより、前記回転操作用雌ねじ部材の回転操作で前記雄ねじ部材に前記他方の梁枠分割体側への後退力が作用することを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記一方の梁枠分割体と前記他方の梁枠分割体のそれぞれは、上弦部材と下弦部材とを有し、
前記係止部材と前記被係止部材は、前記上弦部材と前記下弦部材のうち、前記下弦部材の配置位置と同じ高さ位置又は前記下弦部材の配置位置に近い高さ位置に配置されていることを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項7】
請求項6に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記係止部材には、この係止部材に作用する前記引き寄せ力によって前記他方の梁枠分割体を構成する部材に当接する当接部材が取り付けられ、この当接部材が前記他方の梁枠分割体を構成する前記部材に当接する位置は、前記係止部材と前記被係止部材が配置されている前記高さ位置よりも前記上弦部材に近い位置であることを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項8】
請求項1に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記2個の梁枠分割体は、上弦部材と下弦部材とを有し、
前記2個の梁枠分割体の前記上弦部材の端部同士及び前記下弦部材の端部同士は、一方の端部が他方の端部の内部に嵌入されるものとなっていることを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項9】
請求項8に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記一方の端部が前記他方の端部の内部に嵌入されたときに、前記一方の端部と前記他方の端部とを前記長さ方向と直交する方向に貫通するピン部材を備えていることを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項10】
請求項9に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記ピン部材は、前記2個の前記梁枠分割体の前記上弦部材の端部同士と前記下弦部材の端部同士とのうちいずれか一方の端部同士を貫通し、
前記上弦部材の端部同士と前記下弦部材の端部同士とのうち前記ピン部材が貫通していない他方の端部同士は、前記一方の端部が前記他方の端部の内部に嵌入されている状態を保持するロック手段によりロック可能となっていることを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【請求項11】
請求項10に記載の仮設構築物用梁枠の連結装置において、
前記ロック手段は、
前記他方の端部の外面に固定された座部材と、
前記ピン部材が貫通していない前記他方の端部同士の内部に挿入可能な先端部を有しかつ前記座部材を貫通する軸状のロック部材と、
前記ロック部材を前記他方の端部同士の内部に向けて付勢するばね部材と、
前記ロック部材の前記先端部とは反対側の基端部に固定された操作部材とを備え、
前記ロック部材は、前記他方の端部同士を構成する内周側部材と外周側部材の両方に係合するロック位置と、前記内周側部材との係合が解消される非ロック位置との間で移動可能に構成され、
前記操作部材は、
前記座部材と対向し、前記座部材に接触することにより前記ばね部材による前記ロック部材の移動を規制する本体と、
前記本体の端部から前記外面に向けて延びる形状に形成され、前記本体が前記ばね部材のばね力に抗して前記座部材とは反対側に移動しかつ前記ロック部材を中心にして予め定めた角度だけ回ることにより前記ロック部材の軸線方向において前記座部材と重なる突片とを有し、
前記本体が前記座部材に接触することにより前記ロック部材が前記ロック位置に位置付けられ、
前記突片が前記座部材に重なることにより前記ロック部材が前記非ロック位置に保持されることを特徴とする仮設構築物用梁枠の連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築作業現場等で構築される仮設足場や仮設フェンスなどを含む仮設構築物に用いられる梁枠を形成するために、互いに隣り合う梁枠分割体同士を連結するための仮設構築物用梁枠の連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物を囲む仮設足場や工事現場を囲む仮設フェンスなどの仮設構築物は、地面にジャッキベースを介して立てた複数の支柱に足場材を架け渡して構成されることが多い。この種の仮設構築物の内部に資材運搬用のトラックやコンクリートミキサー車などの工事車両を通すためには、門形の開口部が形成される。この開口部は、工事車両を通すことが可能な長さだけ離れて並ぶ一対の支柱と、これらの支柱の間に架け渡された梁枠とによって形成されている。
【0003】
開口部の開口幅は、工事車両や作業者が容易に通行できるように可及的に広くすることが望ましい。開口幅が広い開口部を形成するためには、梁枠を開口部の幅方向に分割して行っている。すなわち、開口部の幅方向に並ぶ複数の梁枠分割体を形成し、これらの梁枠分割体を現地で組み合わせて一つの梁枠を構成している。
【0004】
複数の梁枠分割体を組み合わせて構成された梁枠は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に開示されている梁枠分割体は、隣り合う梁枠分割体が接続される端部に連結用の板材を備えている。この板材は、梁枠の長さ方向とは直交する状態で梁枠分割体の本体に設けられており、ボルトを通すための複数の貫通孔が形成されている。
梁枠分割体同士を接続するためには、板材同士を重ね、板材の貫通孔に通した複数のボルトとナットとにより締結することによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6021604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているように複数の梁枠分割体を複数のボルトとナットとを用いる締結構造で連結すると、作業工数が多くなるから、梁枠を簡単に作ることが困難になる。
【0007】
本発明の目的は、複数の梁枠分割体を簡単に連結することが可能な仮設構築物用梁枠の連結装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明に係る仮設構築物用梁枠の連結装置は、仮設構築物に配設される梁枠の長さ方向に分割されて形成されている複数個の梁枠分割体のうち、前記長さ方向に隣接する2個の梁枠分割体同士を連結するための連結装置であって、前記2個の梁枠分割体のうち、一方の梁枠分割体に運動可能に設けられている係止部材と、他方の梁枠分割体に設けられ、前記係止部材の運動によりこの係止部材が係止する被係止部材とを含んで構成されているものである。
本発明において、「複数個の梁枠分割体」とは、2個の梁枠分割体だけではなく、3個以上の梁枠分割体も含まれる。
また、本発明において、「運動」は、回動、直線的なスライド移動、回動と直線的なスライド移動との組み合わせ運動などである。
【0009】
前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記運動は軸を中心とする回動であってもよい。
これによれば、前記係止部材を前記一方の梁枠分割体に運動可能に設けることを簡単に実現することができる。
【0010】
また、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記回動は、前記被係止部材に対して上からの回動であって、この回動は、前記係止部材が前記被係止部材に当接して係止することにより停止してもよい。
これによれば、前記係止部材を前記被係止部材に対して上から回動させると、この回動は、前記係止部材が前記被係止部材に当接して係止することにより停止するため、前記係止部材を前記被係止部材に係止させるための作業を、容易に行える。
【0011】
また、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記被係止部材は、頭部を備えていて、前記長さ方向に進退可能となっており、前記被係止部材の前記他方の梁枠分割体側への後退により、前記頭部が前記係止部材に当接してこの係止部材に前記他方の梁枠分割体側への引き寄せ力が作用してもよい。
これによれば、前記一方の梁枠分割体が前記他方の梁枠分割体に引かれた状態で連結されるから、強固な梁枠を形成することができる。
【0012】
さらに、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記被係止部材は、頭部付きの雄ねじ部材であって、この雄ねじ部材には、回転自在となっている回転操作用雌ねじ部材が螺合されており、前記係止部材は、前記頭部を前記雄ねじ部材の軸方向と直交する方向における両側から挟む一対の挟み部を有し、この一対の挟み部による前記頭部の挟み作用によって前記雄ねじ部材が前記回転操作用雌ねじ部材と一体となって共回りすることが防止されることにより、前記回転操作用雌ねじ部材の回転操作で前記雄ねじ部材に前記他方の梁枠分割体側への後退力が作用してもよい。
これによれば、前記係止部材を利用して前記雄ねじ部材の回り止めを行うことができるから、前記回転操作用雌ねじ部材を回して締め込むだけで前記係止部材を前記他方の梁枠分割体側に引き寄せることができる。したがって、前記一方の梁枠分割体と前記他方の梁枠分割体の連結作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記一方の梁枠分割体と前記他方の梁枠分割体のそれぞれは、上弦部材と下弦部材とを有し、前記係止部材と前記被係止部材は、前記上弦部材と前記下弦部材のうち、前記下弦部材の配置位置と同じ高さ位置又は前記下弦部材の配置位置に近い高さ位置に配置されていてもよい。
これによれば、前記係止部材に前記他方の梁枠分割体側への前記引き寄せ力が作用することにより、梁枠分割体同士の連結箇所が梁枠の重量によって下方へ大きく撓み変形することを有効に抑制できる。
【0014】
さらに、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記係止部材には、この係止部材に作用する前記引き寄せ力によって前記他方の梁枠分割体を構成する部材に当接する当接部材が取り付けられ、この当接部材が前記他方の梁枠分割体を構成する前記部材に当接する位置は、前記係止部材と前記被係止部材が配置されている前記高さ位置よりも前記上弦部材に近い位置になっていてもよい。
これによれば、梁枠分割体同士の連結箇所が梁枠の重量によって下方へ大きく撓み変形することを、当接部材によっても一層有効に抑制できる。
【0015】
また、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記2個の梁枠分割体は、上弦部材と下弦部材とを有し、前記2個の梁枠分割体の前記上弦部材の端部同士及び前記下弦部材の端部同士は、一方の端部が他方の端部の内部に嵌入されるものとなっていてもよい。
これによれば、前記上弦部材の端部同士の接続部分と、前記下弦部材の端部同士の接続部分がそれぞれ内外二重の構造になるから、梁枠分割体同士の連結箇所の剛性を大きくできる。
【0016】
また、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記一方の端部が前記他方の端部の内部に嵌入されたときに、前記一方の端部と前記他方の端部とを前記長さ方向と直交する方向に貫通するピン部材を備えていてもよい。
これによれば、前記一方の梁枠分割体と前記他方の梁枠分割体とが連結された状態を前記係止部材と前記被係止部材による係止構造と前記ピン部材とによって保持することができるから、連結装置による連結の強度を大きくできる。
【0017】
さらに、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記ピン部材は、前記2個の前記梁枠分割体の前記上弦部材の端部同士と前記下弦部材の端部同士とのうちいずれか一方の端部同士を貫通し、前記上弦部材の端部同士と前記下弦部材の端部同士とのうち前記ピン部材が貫通していない他方の端部同士は、前記一方の端部が前記他方の端部の内部に嵌入されている状態を保持するロック手段によりロック可能となっていてもよい。
これによれば、前記一方の梁枠分割体と前記他方の梁枠分割体とが連結されている状態を前記ロック手段によっても保持できるから、前記一方の梁枠分割体と前記他方の梁枠分割体とをより一層強固に連結することができる。
【0018】
また、前記仮設構築物用梁枠の連結装置において、前記ロック手段は、前記他方の端部の外面に固定された座部材と、前記ピン部材が貫通していない前記他方の端部同士の内部に挿入可能な先端部を有しかつ前記座部材を貫通する軸状のロック部材と、前記ロック部材を前記他方の端部同士の内部に向けて付勢するばね部材と、前記ロック部材の前記先端部とは反対側の基端部に固定された操作部材とを備え、前記ロック部材は、前記他方の端部同士を構成する内周側部材と外周側部材の両方に係合するロック位置と、前記内周側部材との係合が解消される非ロック位置との間で移動可能に構成され、前記操作部材は、前記座部材と対向し、前記座部材に接触することにより前記ばね部材による前記ロック部材の移動を規制する本体と、前記本体の端部から前記外面に向けて延びる形状に形成され、前記本体が前記ばね部材のばね力に抗して前記座部材とは反対側に移動しかつ前記ロック部材を中心にして予め定めた角度だけ回ることにより前記ロック部材の軸線方向において前記座部材と重なる突片とを有し、前記本体が前記座部材に接触することにより前記ロック部材が前記ロック位置に位置付けられ、前記突片が前記座部材に重なることにより前記ロック部材が前記非ロック位置に保持されてもよい。
これによれば、作業者が工具を使用することなく、指で前記操作部材を操作することにより前記ロック手段によるロック状態と非ロック状態とを簡単に切り換えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、係止部材と被係止部材とからなる係止構造によって隣接する2個の梁枠分割体が連結されるから、ボルトとナットとを使用する締結構造で梁枠分割体同士を連結する場合と較べて連結作業が簡単になる。このため、本発明によれば、複数の梁枠分割体を簡単に連結することが可能な仮設構築物用梁枠の連結装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る梁枠を有する仮設構築物の一部を示す正面図である。
図2図2は、梁枠の正面図で、(A)は2個の梁枠分割体が連結されている状態を示し、(B)は2個の梁枠分割体が分離されている状態を示す。
図3図3は、仮設足場用支柱に接続された梁枠の一部を省略して示す正面図である。
図4図4は、梁枠の要部を斜め上方から見た斜視図である。
図5図5は、梁枠の要部を上方から見た分解斜視図である。
図6図6は、梁枠の要部を斜め下方から見た分解斜視図である。
図7図7は、梁枠の端部と仮設足場用支柱との接続部分を説明するための図で、(A)は接続部分の分解斜視図、(B)はくさび部材を引き上げた状態を示す梁枠の端部を示す斜視図である。
図8図8は、下弦部材同士が連結装置によって連結されている状態を示す縦断面図である。
図9図9は、連結装置の横断面図である。
図10図10は、係止部材と被係止部材による係止部分を示す断面図で、(A)は係止される以前の状態を示し、(B)は係止された状態を示す。
図11図11は、ロック手段と上弦部材の断面図である。
図12図12は、ロック手段の分解斜視図である。
図13図13は、ロック状態にあるロック手段を示す図で、(A)は平面図、(B)は上弦部材を破断して示す斜視図である。
図14図14は、非ロック状態にあるロック手段を示す図で、(A)は平面図、(B)は上弦部材を破断して示す斜視図である。
図15図15は、2個の梁枠分割体同士が連結される直前の状態を示す正面図である。
図16図16は、2個の梁枠分割体同士が連結される途中の状態を示す正面図である。
図17図17は、ピン部材の他の実施の形態を示す斜視図である。
図18図18は、図17のピン部材の縦断面図で、(A)はピン部材が下弦部材を貫通している状態を示し、(B)はピン部材が下弦部材から引き出されている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る仮設構築物用梁枠の連結装置の一実施の形態を図1図18を参照して詳細に説明する。この実施の形態においては、仮設構築物が建築作業現場等で構築される仮設足場である場合の一例について説明する。
【0022】
(仮設足場の説明)
図1に示す仮設足場1は、図1において左右方向の両側に描かれている足場本体部2,3と、これらの足場本体部2,3同士の間に架け渡された梁枠4とによって形成された開口部5を有している。開口部5は、建築作業現場の出入口として使用される。
足場本体部2,3は、地面6にジャッキベース2a,3aを介して立てられた複数の支柱7と、支柱7同士を連結するブレース部材8などを備えている。支柱7とブレース部材8は、上下方向に並べられているとともに、図1の紙面と直交する前後方向にも並べられている。前側に設けられている複数の支柱7と複数のブレース部材8とからなる前側の足場材と、後側に設けられている支柱7と複数のブレース部材8とからなる後側の足場材は、前後方向に延びて支柱7同士を連結する連結部材(図示せず)によって互いに連結されている。連結部材には、作業者が乗ることが可能な作業足場布板9が取付けられている。
【0023】
梁枠4は、開口部5についての水平の左右方向の幅に相当する長さに形成されているとともに、この長さ方向において複数の梁枠分割体に分割されて形成されている。この実施の形態による梁枠4は、2個の梁枠分割体11,12に分割されている。これらの梁枠分割体11,12のうち図1において左側に位置する第1の梁枠分割体11と、図1において右側に位置する第2の梁枠分割体12とは、後述する連結装置13によって互いに連結されている。
【0024】
この実施の形態による梁枠4は、上述した足場本体部2,3と協働して仮設足場1を構築するために、足場本体部2,3と同様に、図1の紙面と直交する前後方向に2個並べて設けられている。前側の梁枠4と後側の梁枠(図示せず)同士は、前後方向に延びる形状に形成された複数の梁渡し14によって互いに連結されている。梁渡し14は、梁枠4の上端部に梁枠4の長さ方向へ所定の間隔をおいて並ぶ位置にそれぞれ取付けられている。また、これらの梁渡し14には、前側の梁枠4から上方に延びる支柱7と、図示していない後側の梁枠から上方に延びる支柱とがそれぞれ取付けられている。これらの支柱7のうち、梁枠4の長さ方向に隣り合う2本の支柱7,7同士の間には、手すり15が架け渡されている。
【0025】
(梁枠の説明)
第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12は、図2(A),(B)に示すように、これらの図において梁枠4の長さ方向である左右方向に水平方向に延びる上弦部材21,22と、上弦部材21,22の下方で上弦部材21,22と平行に延びる下弦部材23,24と、これらの上弦部材21,22と下弦部材23,24とを接続する複数の支柱部材25および斜部材26とを使用して構成されている。図2(A)は、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とが連結されている状態を示し、図2(B)は、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とが分離している状態を示している。この実施の形態においては、第1の梁枠分割体11が本発明でいう「一方の梁枠分割体」に相当し、第2の梁枠分割体12が本発明でいう「他方の梁枠分割体」に相当する。以下においては、第1の梁枠分割体11の上弦部材21を「第1の上弦部材」といい、第1の梁枠分割体11の下弦部材23を「第1の下弦部材」という。また、第2の梁枠分割体12の上弦部材を22「第2の上弦部材」といい、第2の梁枠分割体12の下弦部材24を「第2の下弦部材」という。
【0026】
(上弦部材と下弦部材の説明)
第1および第2の上弦部材21,22と、第1および第2の下弦部材23,24とは、それぞれパイプ部材によって形成されている。第1の上弦部材21と第2の上弦部材22は、図3に示すように互いに向き合う状態で第1の連結パイプ部材27を介して連結されることによって、実質的に1本のパイプ部材となる。第1の連結パイプ部材27は、第1および第2の上弦部材21,22の中に嵌合するパイプ部材で、図5に示すように、第2の上弦部材22の中に長さ方向の約半分が嵌合した状態で第2の上弦部材22に固定されている。このため、第1の連結パイプ部材27は、第2の上弦部材22の端部を構成することになる。
【0027】
以下において、第1および第2の梁枠分割体11,12の互いに接続される端部と、第1および第2の上弦部材21,22の互いに接続される端部と、第1および第2の下弦部材23,24の互いに接続される端部とを、単に「内側端部」という。また、第1および第2の梁枠分割体11,12の足場本体部2,3に接続される端部と、第1および第2の上弦部材21,22の足場本体部2,3に接続される端部と、第1および第2の下弦部材23,24の足場本体部2,3に接続される端部とを、単に「外側端部」という。
【0028】
第1の下弦部材23と第2の下弦部材24は、図3に示すように互いに向き合う状態で第2の連結パイプ部材28を介して連結されることによって、実質的に1本のパイプ部材となる。第2の連結パイプ部材28は、第1および第2の下弦部材23,24の中に嵌合するパイプ部材で、図5に示すように、第2の下弦部材24の中に長さ方向の約半分が嵌合した状態で第2の下弦部材24に固定されている。このため、第2の連結パイプ部材28は、第2の下弦部材24の内側端部を構成することになる。
すなわち、2個の梁枠分割体(第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12)の第1の上弦部材21と第2の上弦部材22の内側端部同士及び第1の下弦部材23と第2の下弦部材24の内側端部同士は、一方の内側端部(第1、第2の連結パイプ部材27,28)が他方の内側端部(第1の上弦部材21、第1の下弦部材23)の内部に嵌入されるものとなっている。
【0029】
第1の連結パイプ部材27は、第2の上弦部材22に溶接されている。
第2の連結パイプ部材28は、図8に示すように、第2の下弦部材24に2本のボルト31によって固定されている。これらのボルト31は、第2の下弦部材24と第2の連結パイプ部材28とを径方向に貫通し、先端部に締め付けられたナット32によって第2の下弦部材24と第2の連結パイプ部材28とに固定されている。
【0030】
図2に示すように、支柱部材25は、上下方向に延びる状態で梁枠4の長さ方向に所定の間隔をおいて並設されている。斜部材26は、互いに隣り合う2本の支柱部材25の間に2本設けられている。これら2本の斜部材26は、梁枠4を前方(長さ方向とは直交する水平方向)から見てV字状に傾斜している。このように複数の支柱部材25および複数の斜部材26を有する梁枠4は、第1、第2の上弦部材21,22と、第1、第2の下弦部材23,24と、支柱部材25と、斜部材26とからなるトラス構造物である。
【0031】
(梁枠と足場本体部との接続部分の説明)
第1の梁枠分割体11と足場本体部2との接続部分と、第2の梁枠分割体12と足場本体部3との接続部分は、図7(A)に示すように、足場本体部2,3の支柱7に設けられた二つのフランジ33と、第1、第2の上弦部材21,22の外側端部に設けられたくさび部材34と、第1、第2の下弦部材23,24の外側端部に設けられたピン35とを使用して接続する構成が採られている。
【0032】
フランジ33は、支柱7の長さ方向とは直交する方向に支柱7から突出する板状に形成されており、第1、第2の上弦部材21,22と隣接する支柱7の上部と、第1、第2の下弦部材23,24と隣接する支柱7の下部とにそれぞれ設けられている。また、フランジ33の前後方向の両側と、左右方向の両側とには、それぞれ貫通孔36が形成されている。
くさび部材34は、図7(B)に示すように、下端部から上端部に向かうにしたがって次第に太くなる棒状に形成され、第1、第2の上弦部材21,22の端部に保持部材37を介して上下方向に移動自在に保持されている。くさび部材34の下端部は、フランジ33の貫通孔36に上方から挿入可能に形成されている。くさび部材34の上端部は、フランジ33の貫通孔36を通過することができない太さに形成されている。保持部材37にはフランジ33を水平方向に挿入することが可能なスリット38が形成されている。
ピン35は、第1、第2の下弦部材23,24の端部に支持部材39を介して固定されており、フランジ33の貫通孔36に上方から挿入可能に形成されている。
【0033】
第1、第2の梁枠分割体11,12を足場本体部2,3に接続するためには、先ず、第1、第2の上弦部材21,22を第1、第2の下弦部材23,24に対して前方あるいは後方にずらして第1、第2の梁枠分割体11,12を前後方向に傾斜させ、その状態でピンを支柱7の下側のフランジ33の貫通孔36に斜め上方から挿入する。そして、第1、第2の梁枠分割体11,12を第1、第2の上弦部材21,22が第1、第2の下弦部材23,24の直上に位置するように起立させ、保持部材37のスリット38に支柱7の上側のフランジ33を水平方向から挿入する。このときは、くさび部材34を図7(B)に示すように保持部材37から上側に引き出し、フランジ33をくさび部材34の下方に通す。しかる後に、ハンマー等の工具による打圧作業でくさび部材34を下方に押し下げてフランジ33の貫通孔36に押し込む。このようにくさび部材34が貫通孔36に押し込まれることにより、第1、第2の梁枠分割体11,12が足場本体部2,3に固定される。
【0034】
(第1の梁枠分割体と第2の梁枠分割体との接続部分の説明)
第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12は、第1、第2の上弦部材21,22同士が連結されるとともに、第1、第2の下弦部材23,24同士が連結されることによって、一つの梁枠4を構成する。この実施の形態による第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12は、互いに引っ張り合う状態で連結されている。図1図3に示されている連結装置13は、このような第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とが互いに引っ張り合う状態を実現するものである。
【0035】
この実施の形態による連結装置13は、第1、第2の下弦部材23,24の配置位置に近い高さ位置に配置されて第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とを連結する構成が採られている。このため、第1の下弦部材23と第2の下弦部材24が連結装置13によって互いに引き合うようになると、梁枠4に上方に向けて反る傾向が生じる。
【0036】
(連結装置の説明)
連結装置13は、図5に示すように、第1の梁枠分割体11の内側端部に設けられた係止部材42およびピン部材43と、第2の梁枠分割体12の端部に設けられた被係止部材44とを含んで構成されている。係止部材42とピン部材43は、第1の梁枠分割体11の内側端部に設けられた支柱部材25を挟んで左右方向(第1の梁枠分割体11の長さ方向)の一方と他方とに振り分けられる位置に設けられている。第1の梁枠分割体11の内側端部に位置する支柱部材25には、第1の補強部材45が接続されている。
第2の梁枠分割体12の内側端部にも支柱部材25が設けられている。この支柱部材25には、第2の補強部材46が接続されている。第1の補強部材45と第2の補強部材46は、同一の構造で、支柱部材25から水平方向に延びる第1、第2の板状部45a,45b,46a,46bと、上下方向に延びてこれらの板状部の先端同士を接続する第3の板状部45c,46cと、第3の板状部45c,46cから斜め下方に延びる第4の板状部45d,46dとを有している。第3の板状部45c,46cと第4の板状部45d,46dの下端は、第1、第2の下弦部材23,24に溶接されている。
【0037】
(係止部材の説明)
係止部材42は、支柱部材25から第2の梁枠分割体12に向けて突出するブラケット47に運動可能に支持されている。ブラケット47は上下方向に延びる板状に形成されている。
この実施の形態による係止部材42は、一対の板からなる挟み部42a,42aと、これらの挟み部42a,42aの一端同士を接続する接続部42bとによって横断面コ字状に形成されており、一対の挟み部42aの間にブラケット47が挿入される状態で、支軸48によってブラケット47に上下方向へ回動自在に支持されている。
【0038】
支軸48は、ボルトによって構成され、図9に示すように一対の挟み部42aとブラケット47とを貫通している。図9の破断位置は図8中にIX-IX線によって示す位置である。支軸48の先端部には、支軸48が係止部材42から外れることを防ぐためにナット49が螺着されている。係止部材42がブラケット47に運動可能に支持される際の「運動」は、支軸48を中心とする回動である。図9に示すように、挟み部42aとブラケット47との間には環状のスペーサ50が挿入されている。このようにスペーサ50が設けられていることにより、支軸48の軸線方向において係止部材42の中心位置とブラケット47の位置とが一致又は略一致する。
【0039】
図5および図6に示すように、係止部材42の接続部42bの外面(ブラケット47とは反対側の面)には、当接部材51が溶接されている。当接部材51は、係止部材42と後述する被係止部材44とによって第1の梁枠分割体11が第2の梁枠分割体12に引き寄せられたときに第2の梁枠分割体12の一部に当接するものである。この実施の形態による当接部材51は、接続部42bの上端部から第2の梁枠分割体12に向けて突出する当接片52を有している。当接片52は、第1の梁枠分割体11が第2の梁枠分割体12に引き寄せられたときに第2の梁枠分割体12の支柱部材25に当接する。このため、当接片52には、断面円形のパイプ部材からなる支柱部材25の外周面に沿う円弧状の切り欠き52aが形成されている。
【0040】
係止部材42の接続部42bと当接部材51には、図6および図10(A),(B)に示すように下方に向けて開放されるU字状の切り欠き53,54が形成されている。図10(A),(B)は、係止部材42を破断して第1の梁枠分割体11側から見た断面図である。図10(A),(B)の破断位置は、図8中にX-X線によって示す位置である。この切り欠き53,54の開口幅は、後述する被係止部材44の軸部44aを挿入可能な幅である。この実施の形態による被係止部材44は、本発明でいう頭部付きの雄ねじ部材としての六角ボルトによって構成され、頭部44bが第1の梁枠分割体11に最も近付く姿勢で第2の梁枠分割体12に装着されている。
【0041】
図10(A)に示すように、係止部材42の一対の挟み部42a同士の間隔W1は、被係止部材44の頭部44bの平行な2面の間隔W2より僅かに大きい。このため、図10(A),(B)に示すように、被係止部材44をその頭部44bの平行な2面が挟み部42aと平行になる状態として係止部材42を上方から被係止部材44に接近させて切り欠き53,54に軸部44aを通すことにより、被係止部材44の頭部44bが係止部材42の内部に挿入される。すなわち、係止部材42の上述した「回動」は、被係止部材44に対して上からの回動であって、この回動は、係止部材42が被係止部材44に当接して係止することにより停止する。
【0042】
この係止状態において、係止部材42の一対の挟み部42aは、頭部44bを被係止部材44の軸方向と直交する方向における両側から挟む。
被係止部材44は、詳細は後述するが、第1の梁枠分割体11とは反対側となる第2の梁枠分割体12側に後退可能に構成されている。係止部材42が被係止部材44に係止した状態で被係止部材44が第2の梁枠分割体12側へ後退することにより、頭部44bが係止部材42の接続部42bに当接してこの係止部材42に第2の梁枠分割体12側への引き寄せ力が作用する。
【0043】
(被係止部材の説明)
被係止部材44は、図8に示すように、第2の梁枠分割体12の内側端部に設けられた支柱部材25を第2の梁枠分割体12の長さ方向に貫通している。支柱部材25における被係止部材44が貫通する部分には、図9に示すように支柱部材25を囲んで補強する枠部材55が溶接されている。被係止部材44は、支柱部材25と枠部材55とを梁枠4の長さ方向に移動自在に貫通しており、梁枠4の長さ方向に進退可能である。被係止部材44の軸部44aにおける頭部44bとは反対側の端部(枠部材55から突出した端部)には、回転自在となっている回転操作用雌ねじ部材56が螺合されている。
【0044】
この実施の形態による被係止部材44は、支柱部材25および枠部材55と、スプリングワッシャ57と、平ワッシャ58とを貫通した状態で雌ねじ部材56にねじ込まれている。被係止部材44には、雌ねじ部材56から頭部44bとは反対側に突出する先端部分において、抜け止めピン59が取付けられている。
雌ねじ部材56は、図9に示すように、被係止部材44に螺合するナット部材60と、このナット部材60が中心部に溶接された断面コ字状の被係合部材61とによって構成されている。被係合部材61の両側部には、貫通孔61aが形成されている。この貫通孔61aは、雌ねじ部材56を回転させるための工具(図示せず)を挿入するための孔である。工具は、例えば、足場材を番線によって結束する際に使用するシノを用いることができる。
【0045】
係止部材42が被係止部材44に係止している状態であって、雌ねじ部材56が緩められている状態で雌ねじ部材56を工具によって回転させて締め込むと、被係止部材44が雌ねじ部材56と一体となって共回りすることなく雌ねじ部材56が枠部材55に向けて前進する。被係止部材44が雌ねじ部材56と共周りすることがない理由は、係止部材42の一対の挟み部42aによる頭部44bの挟み作用で被係止部材44が回り止めされるからである。ここでいう挟み作用とは、一対の挟み部42aが頭部44bと係合し、頭部44bの回転を規制する作用である。
【0046】
このように挟み部42aによる挟み作用によって被係止部材44が雌ねじ部材56と一体となって共回りすることが防止されることにより、雌ねじ部材56の前進が枠部材55により規制された状態となった後も雌ねじ部材56を更に締め込むことにより、被係止部材44に第2の梁枠分割体12側への後退力が作用する。これにより、頭部44bが係止部材42の接続部42bに当接してこの係止部材42に第2の梁枠分割体12側への引き寄せ力が作用する。すなわち、2個の梁枠分割体11,12が互いに引っ張り合う状態になる。
係止部材42と被係止部材44は、第1、第2の下弦部材23,24の配置位置に近い高さ位置、言い換えれば第1、第2の下弦部材23,24より僅かに上に位置する高さ位置に配置されている。このため、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12は、第1、第2の下弦部材23,24同士が互いに引き合う状態で連結されることになる。
【0047】
(ピン部材の説明)
第1の梁枠分割体11の内側端部に設けられたピン部材43は、図8に示すように、U字状に屈曲した丸棒によって形成されており、湾曲部43aが最も上に位置して上下方向に延びる状態で第1の補強部材45の第1、第2の板状部を上下方向に移動自在に貫通している。ピン部材43の先端部には、先端に向かうにしたがって外径が次第に細くなるテーパー面43bが形成されている。また、ピン部材43の上下方向の中間部には、抜け止め用のピン62が取付けられている。
【0048】
図8に示すように、第1の下弦部材23にはピン部材43が貫通する二つの貫通孔63,64が形成されている。また、第2の連結パイプ部材28には、ピン部材43が貫通する二つの貫通孔65,66が形成されている。第1の下弦部材23の貫通孔63,64と、第2の連結パイプ部材28の貫通孔65,66は、係止部材42と被係止部材44とによって第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とが連結された状態、すなわち第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とが適切な引き寄せ力で互いに引き合う状態となったときに、梁枠4の長さ方向において同一の位置に位置付けられる。このため、ピン部材43は、第2の連結パイプ部材28が第1の下弦部材23の内側端部の内部に嵌入されて適切な位置に位置付けられたときに、貫通孔63~66に上方から挿入され、第1の下弦部材23と第2の連結パイプ部材28とを梁枠4の長さ方向と直交する方向(上下方向)に貫通する。
【0049】
(ロック手段の説明)
図3図5に示すロック手段41は、第1、第2の上弦部材21,22の内側端部同士と、第1、第2の下弦部材23,24の内側端部同士のうち、ピン部材43が貫通していない第1、第2の上弦部材21,22の内側端部同士を、第1の連結パイプ部材27が第1の上弦部材21の内部に嵌入されている状態にロック可能とするものである。第1、第2の上弦部材21,22の内側端部同士は、内周側部材としての第1の連結パイプ部材27と、外周側部材としての第1の上弦部材21とによって構成されている。
【0050】
この実施の形態によるロック手段41は、図11に示すように、第1の上弦部材21の内側端部の外面に固定された座部材71に後述する機能部品を組み付けて構成されている。図11の破断位置は、図3中にXI-XI線によって示す位置である。第1の上弦部材21の下端部には貫通孔72が形成されている。また、第1の上弦部材21に挿入される第1の連結パイプ部材27の下端部にも貫通孔73が形成されている。第1の連結パイプ部材27の貫通孔73は、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とが係止部材42と被係止部材44とによって連結された連結状態において、第1の上弦部材21の貫通孔72と同一軸線上に位置付けられる。
【0051】
座部材71は、図12に示すように、上方に向けて開く断面コ字状に形成され、一対の側板71aと、これらの側板71a同士を接続する底板71bとを有している。一対の側板71aは、図11に示すように第1の上弦部材21の長さ方向とは直交する方向に並ぶ状態で第1の上弦部材21の外周面に溶接されている。座部材71は、このように一対の側板71aの上端部が第1の上弦部材21に溶接されることにより第1の上弦部材21に固定されている。
【0052】
座部材71の底板71bを上方から見た形状は矩形である。一対の側板71aは、底板71bの幅方向の両端部に設けられている。底板71bの中央部には図12に示すように貫通孔74が形成されている。この貫通孔74は、第1の上弦部材21の貫通孔72と同一軸線上に位置付けられている。
座部材71の貫通孔74にはロック部材75が通されている。ロック部材75は、図12に示すように上下方向に延びる断面円形の軸状に形成されている。このロック部材75は、座部材71の貫通孔74と、第1の上弦部材21の貫通孔72および第1の連結パイプ部材27の貫通孔73とに挿入可能に形成されている。
【0053】
すなわち、ロック部材75は、図11および図13(B)に示すように、座部材71を貫通するとともに第1の上弦部材21および第1の連結パイプ部材27の内部(他方の端部同士の内部)に挿入可能な軸状に形成されている。以下においては、ロック部材75が図11および図13(B)に示すように、外周側部材としての第1の上弦部材21と、内周側部材としての第1の連結パイプ部材27との両方に係合するロック部材75の位置を「ロック位置」という。また、図14(B)に示すように、第1の連結パイプ部材27との係合が解消されるロック部材75の位置を「非ロック位置」という。この実施の形態によるロック部材75は、詳細は後述するがロック位置と非ロック位置との間で移動可能である。
【0054】
ロック部材75の上端部となる先端部には、傾斜面76が形成されている。傾斜面76は、ロック部材75の軸線に対して傾斜している。ロック部材75の下端部となる基端部には、操作部材77が固定されている。この固定は、溶接によって行われている。また、ロック部材75の上下方向の中間部には、E形止め輪78が取り付けられる環状の溝79が形成されている。E形止め輪78は、ロック部材75が座部材71の貫通孔74に通されて環状の溝79が座部材71より上に位置している状態で環状の溝79に取付けられる。このE形止め輪78と座部材71との間には、圧縮コイルばねからなるばね部材80が圧縮された状態で挿入されている。ばね部材80の中心部にはロック部材75が通されている。ばね部材80は、上から下に向かうにしたがって外径が次第に大きくなる形状に形成されている。このようにばね部材80がE形止め輪78と座部材71との間に設けられることにより、ロック部材75と操作部材77とがばね部材80のばね力で上方に向けて付勢されることになる。
【0055】
操作部材77は、図12に示すように、座部材71と対向する略長方形の板状の本体81と、本体81の短手方向(図12においては左上から右下に向かう方向)の両端部から上方に向けて(第1の上弦部材21に向けて)延びる形状に形成された一対の突片82とを有している。本体81の中央部には貫通孔83(図11参照)が形成されている。ロック部材75は、この貫通孔83に嵌合した状態で本体81に溶接されている。ロック部材75を本体81に溶接するにあたっては、ロック部材75の先端部の傾斜面76が傾斜する方向を本体81の短手方向として行う。
【0056】
また、本体81の長手方向の両端部には、本体81の他の部分より幅が狭くなる平板部84が形成されている。この平板部84は、図11および図13(B)に示すように本体81が座部材71に重ねられた状態で座部材71より側方に突出する。このため、図示していない作業者が指で平板部84を把持することができ、操作部材77を操作することができる。この操作は、操作部材77をばね部材80のばね力に抗して下方に引き下げる操作と、ロック部材75を中心として操作部材77を回す操作である。
【0057】
突片82は、本体81に接続された基部82aと、基部82aの一部から部分的に上方に向けて突出する突起82bとによって構成されている。突起82bは、本体81の長手方向において基部82aの一端部に形成されている。
図13(A)に示すように、一対の突片82の間隔W3は、座部材71の側板71aが設けられていない2個の側部71c,71dの形成幅W4より僅かに広い。このため、座部材71の2個の側部71c,71dが突片82と対向する状態で座部材71に本体81を重ねることができる。
【0058】
本体81が座部材71に重なって接することにより、ばね部材80のばね力によるロック部材75の移動が規制される。ロック部材75は、このように本体81が座部材71に接触する状態で図13(B)に示すように先端部が第1の上弦部材21の貫通孔72と、第1の上弦部材21の内部に挿入された第1の連結パイプ部材27の貫通孔73とに挿入される長さに形成されている。このため、本体81が座部材71に接触することによりロック部材75が上述した「ロック位置」に位置付けられることになる。
本体81を座部材71に重ねる際には、ロック部材75の傾斜面76が傾斜する方向を予め定めた方向として行う。傾斜面76が傾斜する方向は、第1の連結パイプ部材27の基端(第2の上弦部材22に接続される一端)に向かうにしたがって傾斜面76が低くなる方向である。
【0059】
一対の突片82は、図13(A)に示すように、ロック部材75の軸心(本体81の中心)を対称の中心として点対称となる形状に形成されている。突片82における突起82bが設けられていない基部82aの部分、すなわち相対的に突出高さが低くなる部分は、操作部材77を座部材71に対して下方に下げてロック部材75を中心として回すことにより、図14(A),(B)に示すように座部材71の底板71bに重なる。詳述すると、突片82の基部82aは、本体81がばね部材80のばね力に抗して座部材71とは反対側に移動しかつロック部材75を中心にして予め定めた角度だけ回ることにより、ロック部材75の軸線方向において座部材71と重なる形状に形成されている。本体81を回す際の回転方向は、突起82bが座部材71から離れる方向である。
【0060】
突片82の基部82aが座部材71に重なることにより、図14(B)に示すようにロック部材75の先端部が第1の連結パイプ部材27の貫通孔73より下がり、ロック部材75が上述した「非ロック位置」に保持される。
突片82の基部82aが座部材71に重なる状態で操作部材77が更に回されると、突起82bが座部材71に当たり、それ以上の回転を規制する。
【0061】
(連結装置の動作の説明)
このように構成された連結装置13を使用して第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とを連結するためには、先ず、図15に示すように、第1の梁枠分割体11の内側端部と第2の梁枠分割体12の内側端部とを互いに対向させる。このときには、係止部材42を当接部材51が上向きとなる方向に支軸48を中心にして回し、その状態に保持するとともに、第2の梁枠分割体12の雌ねじ部材56を緩めて被係止部材44の頭部44bが第2の梁枠分割体12の支柱部材25から突出する長さを大きくする。また、このときには、第1の梁枠分割体11のピン部材43を第1の下弦部材23から上方に引き抜いておく。
【0062】
そして、第1の連結パイプ部材27を第1の上弦部材21に挿入するとともに、第2の連結パイプ部材28を第1の下弦部材23に挿入する。この挿入時には、ロック手段41を操作せずにロック部材75をロック位置に位置付けておくことができるし、操作部材77を操作してロック部材75を予め非ロック位置に移動させておいてもよい。ロック部材75がロック位置に位置している状態で第1の連結パイプ部材27が第1の上弦部材21に挿入された場合は、第1の連結パイプ部材27の先端がロック部材75の傾斜面76に当たる。この場合は、第1の連結パイプ部材27の先端が傾斜面76上を滑ることによって、ロック部材75が下方に向けて押される。このため、ロック部材75がロック位置に位置している場合であっても、ロック部材75が第1の連結パイプ部材27によって押されてロック位置から非ロック位置に移動し、第1の連結パイプ部材27が第1の上弦部材21の中に挿入される。
【0063】
第1、第2の連結パイプ部材27,28が第1の上弦部材21、第1の下弦部材23に挿入されることにより、第1の上弦部材21および第1の下弦部材23の内側端部が第2の上弦部材22および第2の下弦部材24の内側端部に接近する。そして、図16に示すように、係止部材42を当接部材51が第2の梁枠分割体12の支柱部材25に向かう方向に支軸48を中心にして回す。すなわち、係止部材42を被係止部材44に対して上から回動させる。この回動は、係止部材42が被係止部材44に当接して係止することにより停止する。
【0064】
このように係止部材42の回動が停止することにより、係止部材42と当接部材51の切り欠き53,54に被係止部材44の軸部44aが挿入されて係止部材42が被係止部材44に係止した状態になる。次に、雌ねじ部材56を回転させて締め込み、被係止部材44によって係止部材42を第2の梁枠分割体12に向けて引き寄せる。このときの係止部材42の移動は、当接部材51が第2の梁枠分割体12の支柱部材25に当接するまで行われる。
当接部材51が支柱部材25に当たるまで第1の梁枠分割体11が第2の分割体に引き寄せられることにより、ロック手段41のロック部材75がばね部材80のばね力で第1の上弦部材21の貫通孔72と第1の連結パイプ部材27の貫通孔73とに挿入され、第1の連結パイプ部材27が第1の上弦部材21から抜けることができない状態にロックされる。なお、ロック手段41のロック部材75が非ロック位置に保持されていた場合は、操作部材77を操作し、図13の(A),(B)に示すように突片82を座部材71の側方に移動させる。このように操作部材77を操作することにより、ロック部材75がばね部材80のばね力でロック位置に移動する。
【0065】
その後、図4に示すように、ピン部材43を下げて第1の下弦部材23の貫通孔63,64と第2の連結パイプ部材28の貫通孔65,66とに通す。このようにピン部材43が第1の下弦部材23と第2の連結パイプ部材28とを貫通することにより、連結装置13によって互いに連結された第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とからなる梁枠4が完成する。
【0066】
この連結装置13は、係止部材42と被係止部材44とからなる係止構造で第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とを連結する構成が採られているから、ボルトとナットとを使用する従来の締結構造で梁枠分割体同士を連結する場合と較べると、連結作業を簡単に行うことができるものである。したがって、この実施の形態によれば、複数の梁枠分割体を簡単に連結することが可能な仮設構築物用梁枠の連結装置を提供することができる。
【0067】
(ピン部材の変形例)
ピン部材は図17および図18(A),(B)に示すように構成することができる。図17および図18(A),(B)において、図1図16によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図17に示すピン部材91は、2本の丸棒状のピン92と、これらのピン92の上端部同士を連結する連結部材93とによって構成されている。2本のピン92は同一のもので、図18(A),(B)に示すように一端部に雄ねじ94が形成されているとともに他端部にテーパー面95が形成されている。雄ねじ94の外径は、ピン92の他の部分の外径より小さい。図18(A)はピン部材91を第1の下弦部材23に貫通させた状態を示し、図18(B)はピン部材を 第1の下弦部材23から引き上げた状態を示す。
【0068】
連結部材93は、金属製の板材にプレス加工を施すことによって所定の形状に形成されており、ピン92の雄ねじ94が貫通する連結板部93aと、連結板部93aの両側部から起立した側板部93bとを有している。ピン92は、連結板部93aを貫通した雄ねじ94にナット96を締め付けることによって連結部材93に固定されている。連結板部93aの中央部分にはスペーサ97が溶接されている。このスペーサ97は、連結部材93を作業者が把持する際に指を挿入するためのスペースを第1の補強部材45の第1の板状部45aとの間に形成するためのものである。
このピン部材43は、単純な形状のピン92とプレス成形品からなる連結部材93とによって形成されているから、U字状に屈曲した丸棒を使用する場合と較べると簡単に形成することができる。
【0069】
(実施の形態による効果の説明)
この実施の形態による係止部材42は、第1の梁枠分割体11に支軸48を中心として回動自在に設けられている。
このため、係止部材42を第1の梁枠分割体11に運動可能に設けることを簡単に実現することができる。
【0070】
また、この実施の形態による係止部材42の回動は、被係止部材44に対して上からの回動である。この回動は、係止部材42が被係止部材44に当接して係止することにより停止する。係止部材42は被係止部材44に係止した状態に保持されるから、係止部材42を係止状態に保つための操作が不要で、係止部材42を被係止部材44に係止させるための作業を容易に行うことができる。
【0071】
また、この実施の形態による被係止部材44は、頭部44bを備えていて、梁枠4の長さ方向に進退可能である。被係止部材44の第2の梁枠分割体12側(他方の梁枠分割体側)への後退により、被係止部材44の頭部44bが係止部材42に当接してこの係止部材42に第2の梁枠分割体12側への引き寄せ力が作用する。このため、第1の梁枠分割体11が第2の梁枠分割体12に引き寄せられた状態で連結されるから、強固な梁枠4を形成することができる。
【0072】
さらに、この実施の形態による被係止部材44は、六角ボルトによって構成された頭部付きの雄ねじ部材である。この雄ねじ部材には、回転自在となっている回転操作用雌ねじ部材56が螺合されている。係止部材42は、雄ねじ部材の頭部44bを雄ねじ部材の軸方向と直交する方向における両側から挟む一対の挟み部42aを有している。この一対の挟み部42aによる頭部44bの挟み作用によって雄ねじ部材が回転操作用雌ねじ部材56と一体となって共回りすることが防止されることにより、回転操作用雌ねじ部材56の回転操作で雄ねじ部材に第2の梁枠分割体12側への後退力が作用する。このため、係止部材42を利用して被係止部材44(雄ねじ部材)の回り止めを行うことができるから、回転操作用雌ねじ部材56を回して締め込むだけで係止部材42を第2の梁枠分割体12側に引き寄せることができる。したがって、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12の連結作業を容易に行うことができる。
【0073】
また、この実施の形態による第1の梁枠分割体11(一方の梁枠分割体)と第2の梁枠分割体12(他方の梁枠分割体)のそれぞれは、上弦部材(第1、第2の上弦部材21,22)と下弦部材(第1、第2の下弦部材23,24)とを有している。係止部材42と被係止部材44は、上弦部材と下弦部材のうち、下弦部材の配置位置に近い高さ位置に配置されている。
このため、係止部材42に第2の梁枠分割体12側への引き寄せ力が作用することにより、梁枠4にいわゆる「むくり」、言い換えると、上方への湾曲を生じさせることが可能になるから、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12との連結箇所、すなわち梁枠4全体の長さ方向中央部が梁枠4の重量によって下方へ大きく撓み変形することを有効に抑制できる。
【0074】
また、この実施の形態による係止部材42には、この係止部材42に作用する引き寄せ力によって第2の梁枠分割体12を構成する支柱部材25に当接する当接部材51が取り付けられている。この当接部材51が第2の梁枠分割体12の支柱部材25に当接する位置は、係止部材42と被係止部材44の配置高さ位置よりも第1、第2の上弦部材21,22に近い位置である。このため、梁枠4全体の長さ方向中央部が梁枠4の重量によって下方へ大きく撓み変形することを、当接部材51によっても一層有効に抑制できる。
【0075】
さらに、この実施の形態による2個の梁枠分割体、すなわち第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12は、第1、第2の上弦部材21,22と第1、第2の下弦部材23,24とを有している。第1、第2の梁枠分割体11,12の第1、第2の上弦部材21,22の内側端部同士及び第1、第2の下弦部材23,24の内側端部同士は、一方の内側端部(第1、第2の連結パイプ部材27,28)が他方の内側端部(第1の上弦部材21、第1の下弦部材23)の内部に嵌入されるものとなっている。このため、第1の上弦部材21と第2の上弦部材22との接続部分と、第1の下弦部材23と第2の下弦部材24との接続部分がそれぞれ内外二重の構造になるから、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とからなる梁枠4の長さ方向中央部の剛性を大きくできる。
【0076】
また、この実施の形態においては第2の下弦部材24の内側端部(第2の連結パイプ部材28)が第1の下弦部材23の内部に嵌入されたときに、第2の下弦部材24の内側端部と第1の下弦部材23の内側端部とを梁枠4の長さ方向と直交する方向に貫通するピン部材43を備えている。このため、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とが連結された状態を係止部材42と被係止部材44による係止構造とピン部材43とによって保持することができるから、連結装置13による連結強度を大きくできる。
【0077】
また、この実施の形態においては、ピン部材43が貫通していない第1、第2の上弦部材21,22の内側端部同士は、第2の連結パイプ部材28が第1の上弦部材21の内側端部の内部に嵌入されている状態を保持するロック手段41によりロック可能となっている。このため、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とが連結されている状態をロック手段41によっても保持できるから、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とをより一層強固に連結することができる。
【0078】
さらに、この実施の形態によるロック手段41は、座部材71と、ロック部材75と、ばね部材80と、操作部材77とを備えている。ロック部材75は、第1の上弦部材21と第2の上弦部材22の端部同士を構成する第1の連結パイプ部材27(内周側部材)と第1の上弦部材21(外周側部材)の両方に係合するロック位置と、第1の連結パイプ部材27との係合が解消される非ロック位置との間で移動可能に構成されている。操作部材77は、座部材71と対向する本体81と、本体81の端部から突出する突片82とを有している。操作部材77の本体81が座部材71に接触することによりロック部材75がロック位置に位置付けられ、操作部材77の突片82が座部材71に重なることによりロック部材75が非ロック位置に保持される。このため、作業者が工具を使用することなく、指で操作部材77を操作することによりロック手段41によるロック状態と非ロック状態とを簡単に切り換えることができる。
【0079】
上述した実施の形態に示した係止部材42と被係止部材44は、第1、第2の下弦部材23,24の配置位置に近い高さ位置に配置されている。しかし、係止部材42と被係止部材44は、下弦部材の配置位置と同じ高さ位置に配置してもよい。この構成を採ることにより、梁枠4全体の長さ方向中央部が梁枠4の重量によって下方へ撓み変形することをより一層有効に抑制できる。
上述した実施の形態においては、係止部材42を第1の梁枠分割体11に運動可能に設けるにあたって「回動」によって行う例を示した。しかし、係止部材42を第1の梁枠分割体11に運動可能に設けるにあたって「運動」は、「回動」に限定されることはなく、「直線的なスライド移動」や、「回動と直線的なスライド移動との組み合わせ運動」などでもよい。直線的なスライド移動を実現するためには、図示してはいないが、第1の梁枠分割体11の上下方向に延びる支柱部材25に例えばガイドレールを沿わせて設け、このガイドレールに係止部材42を移動自在に支持させる。
【0080】
上述した実施の形態においては、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とからなる2個の梁枠分割体で1個の梁枠4を構成する例を示した。しかし、本発明に係る連結装置13は、3個以上の梁枠分割体を連結して1個の梁枠を構成する場合にも適用することができる。
【0081】
また、上述した実施の形態においては本発明を仮設足場1の梁枠4の連結装置13に適用する例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、例えば仮設フェンス、仮設ステージの床を支持するフレームなどの仮設構築物にも適用することができる。
【0082】
また、第1の梁枠分割体11と第2の梁枠分割体12とを連結するにあたっては、係止部材42を使用することなく、被係止部材44が第1の梁枠分割体11を構成する部材に直接又は間接的に係止される構造を採ることができる。これを説明すると、例えば、図示してはいないが、被係止部材を第2の下弦部材24を中心として回転するナットとして形成して第2の下弦部材24に軸線方向への移動が規制された状態で回転自在に支持させ、このナットに螺合する雄ねじを第1の下弦部材23の外周面に形成することにより、被係止部材が直接第1の下弦部材23に係止される構造としてもよい。このような構造でも、第1の梁枠分割体11を第2の梁枠分割体12側に引き寄せる力は、ナットを回転させることにより生じ、しかも、この引き寄せる力は、下弦部材23,24と同じ高さ位置で生じるため、2個の梁枠分割体11,12の連結箇所が梁枠の重量により下方へ撓み変形することを有効に防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、建築作業現場等で構築される仮設足場や仮設フェンスなどを含む仮設構築物に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…仮設足場、4…梁枠、11…第1の梁枠分割体、12…第2の梁枠分割体、13…連結装置、21…他方の端部と外周側部材である第1の上弦部材、22…第2の上弦部材、23…他方の端部である第1の下弦部材、24…第2の下弦部材、25…他方の梁枠分割体を構成する部材である支柱部材、27…一方の端部と内周側部材である第1の連結パイプ部材、28…一方の端部である第2の連結パイプ部材、41…ロック手段、42…係止部材、42a…挟み部、43…ピン部材、44…被係止部材、44b…頭部、48…支軸、51…当接部材、56…雌ねじ部材、71…座部材、75…ロック部材、77…操作部材、80…ばね部材、81…本体、82…突片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
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図16
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