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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018351
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】電気装置、および電気装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20230201BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230201BHJP
   G10K 15/00 20060101ALI20230201BHJP
   B60Q 5/00 20060101ALN20230201BHJP
【FI】
H04R3/04
H04R1/02 102B
G10K15/00 L
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 660B
B60Q5/00 660F
B60Q5/00 650B
B60Q5/00 610Z
B60Q5/00 670A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122409
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 晋
(72)【発明者】
【氏名】山本 力
(72)【発明者】
【氏名】柴田 吉輝
【テーマコード(参考)】
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
5D017AE11
5D220AA01
5D220BC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気装置の音圧のバラツキを小さくする電気装置及び電気装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発音体駆動回路40Aにおいて、電気装置(マイクロコンピュータ50)は、実使用音源1、2、3、4と実使用音源毎の副補正値が記録されている不揮発性メモリ54を備える。中央処理装置51は、実使用音源1、2、3、4を副補正値によって実使用音源毎に補正した補正後実使用音源1、2、3、4を求める。中央処理装置51は、補正後実使用音源1、2、3、4を合成して、この合成した補正後実使用音源1、2、3、4を発音体30から再生させるように発音体30を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を発生する発音体(30)と、
複数の実使用音源が記録されている音源記録部(54)と、
前記複数の実使用音源がそれぞれ前記発音体で再生される場合に前記発音体から再生される前記複数の実使用音源の音圧をそれぞれ狙い値に近づけるように前記複数の実使用音源を補正するための複数の補正値が記録されている補正値記録部(54)と、
前記複数の実使用音源を前記複数の補正値のうち対応する補正値によって補正した複数の補正後実使用音源を求める音圧補正部(S120)と、
前記複数の補正後実使用音源を合成して前記発音体から再生させるように前記発音体を制御する制御部(S130、S140)と、
を備える電気装置。
【請求項2】
前記音源記録部、前記補正値記録部、前記音圧補正部、前記制御部、および前記発音体が、車両に搭載されている場合において、
前記補正値記録部を第1補正値記録部とし、かつ前記複数の補正値を複数の副補正値としたときに、前記複数の実使用音源がそれぞれ前記発音体で再生される場合に、前記発音体から再生される前記複数の実使用音源の音圧を補正するための主補正値の候補値群が記録されている第2補正値記録部(54)と、
前記主補正値の候補値群のうち、他の電子制御装置から与えられる前記車両の情報に合致する実使用音源毎の候補値を複数の主補正値として選択する補正値選択部(S110)と、を備え、
前記音圧補正部は、前記複数の実使用音源を前記複数の主補正値および前記複数の副補正値によって前記実使用音源毎に補正した前記複数の補正後実使用音源を求める請求項1に記載の電気装置。
【請求項3】
前記音源記録部、前記補正値記録部、前記音圧補正部、および前記制御部が実装されている回路基板(40)と、
前記発音体、および前記回路基板を収納する筐体(20)と、
を備える請求項1または2に記載の電気装置。
【請求項4】
音を発生する発音体(30)と、
実使用音源が記録されている音源記録部(54)と、
前記実使用音源が前記発音体で再生される場合に前記発音体から再生される前記実使用音源の音圧を狙い値に近づけるように前記実使用音源を補正する補正値が記録されている補正値記録部(54)と、
前記実使用音源を前記補正値によって補正した補正後実使用音源を求める音圧補正部(S120A)と、
前記補正後実使用音源を前記発音体から再生させるように前記発音体を制御する制御部(S140A)と、
を備える電気装置。
【請求項5】
前記音源記録部、前記補正値記録部、前記音圧補正部、前記制御部、および前記発音体が、車両に搭載されている場合において、
前記補正値記録部を第1補正値記録部とし、かつ前記補正値を副補正値としたときに、前記実使用音源が前記発音体で再生される場合に、前記発音体から再生される前記実使用音源の音圧を補正するための主補正値の候補値群が記録されている第2補正値記録部(54)と、
前記主補正値の候補値群のうち、他の電子制御装置から与えられる前記車両の情報に合致する候補値を前記実使用音源の主補正値として選択する補正値選択部(S110A)と、を備え、
前記音圧補正部は、前記実使用音源を前記主補正値および前記副補正値によって補正した前記補正後実使用音源を求める請求項4に記載の電気装置。
【請求項6】
前記音源記録部、前記補正値記録部、前記音圧補正部、および前記制御部が実装されている回路基板(40)と、
前記発音体、および前記回路基板を収納する筐体(20)と、
を備える請求項3または4に記載の電気装置。
【請求項7】
発音体(30)と前記発音体を制御する制御部(51)と複数の実使用音源が記録されている音源記録部(54)とを備える電気装置(10)のワークを準備することと、
コントローラ(110)が前記制御部を介して前記発音体を制御して、前記複数の実使用音源のそれぞれの周波数帯域を含む周波数帯域の検査音を前記発音体から発生させることと、
前記発音体が前記検査音を発生される前記検査音の音圧を音圧検査装置(130)によって検出させることと、
前記音圧検査装置によって検出される音圧に基づいて、前記複数の実使用音源がそれぞれ前記発音体で再生される際に前記発音体から発音される前記複数の実使用音源の音圧を狙い値に近づけるための複数の補正値を前記コントローラによって算出することと、
前記コントローラが前記算出した複数の補正値を前記ワークに記録させることを、
含む電気装置の製造方法。
【請求項8】
発音体(30)と前記発音体を制御する制御部(51)と実使用音源が記録されている音源記録部(54)とを備える電気装置(10)のワークを準備することと、
コントローラ(110)が前記制御部を介して前記発音体を制御して、前記実使用音源の周波数帯域を含む周波数帯域の検査音を前記発音体から発生させることと、
前記発音体から発生される前記検査音の音圧を音圧検査装置(130)によって検出させることと、
前記音圧検査装置によって検出される音圧に基づいて、前記実使用音源が前記発音体で再生される際に前記発音体から発音される前記実使用音源の音圧を狙い値に近づけるための補正値を前記コントローラによって算出することと、
前記コントローラが前記算出した補正値を前記ワークに記録させることを、
含む電気装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置、および電気装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発音器として、例えば特許文献1に示すように、音を発生する発音体が筐体に収納されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-121249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、発音体を制御して発音体から音を発生させる電子回路が実装されている回路基板を、発音体とともに筐体内に収納した発音器について検討した。
【0005】
このような発音器(すなわち、電気装置)では、発音体から発生される音圧のバラツキが発音器毎に生じるという不具合が生じる。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくするようにした電気装置、およびこの電気装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電気装置において、音を発生する発音体(30)と、
複数の実使用音源が記録されている音源記録部(54)と、
複数の実使用音源がそれぞれ発音体で再生される場合に発音体から再生される複数の実使用音源の音圧をそれぞれ狙い値に近づけるように複数の実使用音源を補正するための複数の補正値が記録されている補正値記録部(54)と、
複数の実使用音源を複数の補正値のうち対応する補正値によって補正した複数の補正後実使用音源を求める音圧補正部(S120)と、
複数の補正後実使用音源を合成して発音体から再生させるように発音体を制御する制御部(S130、S140)と、を備える。
【0008】
したがって、制御部は、複数の実使用音源を複数の補正値のうち対応する補正値によって補正した複数の補正後実使用音源を合成して発音体から再生させる。このため、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくするようにした電気装置を提供することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、電気装置において、音を発生する発音体(30)と、
実使用音源が記録されている音源記録部(54)と、
実使用音源が発音体で再生される場合に発音体から再生される実使用音源の音圧を狙い値に近づけるように実使用音源を補正する補正値が記録されている補正値記録部(54)と、
実使用音源を補正値によって補正した補正後実使用音源を求める音圧補正部(S120A)と、
補正後実使用音源を発音体から再生させるように発音体を制御する制御部(S140A)と、を備える。
【0010】
したがって、制御部は、実使用音源を補正値によって補正した補正後実使用音源を発音体から再生させる。このため、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくするようにした電気装置を提供することができる。
【0011】
請求項7に記載の発明では、電気装置の製造方法において、発音体(30)と発音体を制御する制御部(51)と複数の実使用音源が記録されている音源記録部(54)とを備える電気装置(10)のワークを準備することと、
コントローラ(110)が制御部を介して発音体を制御して、複数の実使用音源のそれぞれの周波数帯域を含む周波数帯域の検査音を発音体から発生させることと、
発音体から発生される検査音の音圧を音圧検査装置(130)によって検出させることと、
音圧検査装置によって検出される音圧に基づいて、複数の実使用音源がそれぞれ発音体で再生される際に発音体から発音される複数の実使用音源の音圧を狙い値に近づけるための複数の補正値をコントローラによって算出することと、
コントローラが算出した複数の補正値をワークに記録させることを、含む。
【0012】
したがって、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくするようにした電気装置の製造方法を提供することができる。ここで、ワークとは、電気装置を製造する工程において製造の途中の状態の電気装置のことである。
【0013】
請求項8に記載の発明では、電気装置の製造方法において、発音体(30)と発音体を制御する制御部(51)と実使用音源が記録されている音源記録部(54)とを備える電気装置(10)のワークを準備することと、
コントローラ(110)が制御部を介して発音体を制御して、実使用音源の周波数帯域を含む周波数帯域の検査音を発音体から発生させることと、
発音体から発生される検査音の音圧を音圧検査装置(130)によって検出させることと、
音圧検査装置によって検出される音圧に基づいて、実使用音源が発音体で再生される際に発音体から発音される実使用音源の音圧を狙い値に近づけるための補正値をコントローラによって算出することと、
コントローラが算出した補正値をワークに記録させることとを、含む。
【0014】
したがって、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくするようにした電気装置の製造方法を提供することができる。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態における電気装置の全体の内部構成を示す模式図である。
図2】第1実施形態における電気装置の電気的構成を示すブロック図であり、不揮発性メモリに記録されている実使用音源、検査用音源、主補正値の候補値群、副補正値の説明を補助するための図である。
図3】第1実施形態における図2の電気装置の不揮発性メモリに記録される副補正値の役割の説明を補助するための図である。
図4】第1実施形態における図2の電気装置のマイクロコンピュータで実行される接近通報音再生処理の詳細を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態における電気装置の不揮発性メモリに副補正値を書き込むための製造システムの全体構成を示すブロック図である。
図6】第1実施形態における図2の電気装置の製造工程の全体を示すフローチャートである。
図7】第1実施形態における図2の電気装置の製造工程で実行されるワークの検査音再生処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態における電気装置の電気的構成を示すブロック図であり、不揮発性メモリに記録されている実使用音源、検査用音源、主補正値の候補値群、副補正値の説明を補助するための図である。
図9】第2実施形態における図8の電気装置のマイクロコンピュータで実行される接近通報音再生処理の詳細を示すフローチャートである。
図10】第2実施形態における図2の電気装置の製造工程の全体を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
次に、本発明の電気装置10の本第1実施形態について図1図6に基づいて説明する。
【0019】
電気装置10は、ハイブリット自動車や電気自動車等の自動車に搭載されている。電気装置10は、自動車が走行用電動機によって所定速度以下で走行されている際に自動車の周囲の歩行者に対して自動車が接近していることを通知する接近通報音を発生する。
【0020】
具体的には、電気装置10は、図1に示すように、筐体20、発音体30、および回路基板40を備える。
【0021】
筐体20は、金属材料或いは樹脂材料によって構成されている。発音体30は、筐体20内に配置されて、接近通報音や検査音等の音を筐体20の外側に音を出力する。本実施形態の発音体30としては、例えば、ボイスコイルやダイアフラム等の振動体を有して電力増幅回路60の出力信号によって振動して音を発生させるスピーカを用いることができる。
【0022】
回路基板40は、筐体20内に配置されている。回路基板40には、発音体30を駆動するための発音体駆動回路40Aが実装されている。このように、電気装置10は、発音体30および回路基板40が筐体20に収納されることにより、発音体30および回路基板40が一体化されている。
【0023】
次に、本実施形態の発音体駆動回路40Aの詳細について図2を参照して説明する。
【0024】
発音体駆動回路40Aは、図2に示すように、マイクロコンピュータ50、および電力増幅回路60を備える。マイクロコンピュータ50は、中央処理装置51、RAM52、ROM53、および不揮発性メモリ54を備える。中央処理装置51は、コンピュータプログラムの実行により、後述する接近通報処理や検査処理を実行する制御部である。
中央処理装置51は、後述するように、接近通報処理の実行に伴って実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4に基づいた合成音源信号を電力増幅回路60に出力する。また、中央処理装置51は、検査処理の実行に伴って不揮発性メモリ54に記録されている検査用音源に基づいて検査用音信号を電力増幅回路60に出力する。
【0025】
RAM52は、中央処理装置51が作業領域として用いる書き込み可能な揮発性記録媒体である。ROM53は、中央処理装置51によって実行されるコンピュータプログラム等が記録された書き込み不可能な記録媒体である。
【0026】
不揮発性メモリ54は、非遷移的実体的記録媒体であって、中央処理装置51が実行するコンピュータプログラム、実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4、検査用音源が記録されている音源記録部である。不揮発性メモリ54は、第1補正値記録部、第2補正値記録部として、主補正値の候補値群、実使用音源毎の副補正値(すなわち、複数の補正値)が記録されている。
【0027】
実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4は、それぞれ、異なる周波数帯域の音を発生させるためのデジタルデータである。以下、説明の便宜上、実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4を実使用音源1、2、3、4とも記載する。
【0028】
本実施形態では、図3に示す実使用音源1の周波数帯域fw1の幅、実使用音源2の周波数帯域fw2の幅、実使用音源3の周波数帯域fw3の幅、実使用音源4の周波数帯域fw4の幅が同一に設定されている。本実施形態では、周波数帯域fw1の幅、周波数帯域fw2の幅、周波数帯域fw3の幅、周波数帯域fw4の幅は、それぞれ、例えば、1/3オクターブに設定されている。
【0029】
実使用音源1、2、3、4は、電気装置10が自動車に搭載された状態で発音体30によって車両接近通報音等を発生させるために用いられる。
【0030】
主補正値は、実使用音源1、2、3、4のそれぞれを発音体30から再生される際に発音体30から発生される音圧を実使用音源毎に補正するために用いられる値である。
【0031】
主補正値は、後述するように、車両情報に基づいて決定される。本実施形態の車両情報とは、自動車の速度、自動車の進行方向等の車両状態、および自動車の仕向け地を示す車両の情報である。
【0032】
ここで、進行方向とは、進行方向前側、および進行方向後側のうちいずれかを示す。このため、自動車が前進しているときと、自動車が後退しているときとで、主補正値として用いる値が代わることになる。
【0033】
そこで、本実施形態では、各種の車両状態や各種の仕向け地に対応した主補正値の候補値群が予め不揮発性メモリ54が記録されることになる。
【0034】
実使用音源毎の副補正値は、実使用音源1、2、3、4が発音体30から再生された際に、図3に示すように、実使用音源毎に発音体30から発生される音圧レベル「dB」を狙い値に近づけるための補正値である。本実施形態では、実使用音源1、2、3、4のそれぞれに対応する4つの副補正値が不揮発性メモリ54に記録されている。
【0035】
検査用音源は、音圧が一定である音源であって、実使用音源毎の副補正値を求めるために検査信号を発音体30に出力させるためのデジタルデータである。検査信号は、その周波数帯域FWが実使用音源1、2、3、4の周波数帯域fw1、fw2、fw3、fw4の全てを含むように設定されている。本実施形態の検査信号は、例えば、周波数帯域Fwに亘って信号レベルが一定になるように設定されている。
【0036】
電力増幅回路60は、中央処理装置51から与えられる合成音源信号を電力増幅して発音体30に出力する。
【0037】
次に、本実施形態のマイクロコンピュータ50の中央処理装置51における接近通報処理の詳細について図4を参照して説明する。図4は、中央処理装置51における接近通報処理の詳細を示すフローチャートである。
【0038】
まず、中央処理装置51は、ステップS100において、実使用音源1、2、3、4のそれぞれに対応する4つの副補正値を不揮発性メモリ54から読み込む。
【0039】
次に、中央処理装置51は、ステップS110にて、他の電子制御装置から与えられる車両信号に基づいて、実使用音源1、2、3、4に対応する4つの主補正値を不揮発性メモリ54に記録されている主補正値の候補値群から選択する。
【0040】
ここで、車両信号には、上述した車両状態や仕向け地を有する車両情報が含まれる。他の電子制御装置とは、自動車に搭載されて電気装置10との間で通信する車載電子制御装置である。
【0041】
具体的には、中央処理装置51は、補正値選択部として、不揮発性メモリ54の記録されている主補正値の候補値群のうち上述の車両の速度、進行方向、仕向け地に合致した候補値を主補正値として実使用音源毎に選択する。
【0042】
すなわち、中央処理装置51は、主補正値の候補値群のうち上述の車両の速度、進行方向、仕向け地等に合致した4つの候補値(すなわち、複数の候補値)を4つの主補正値(すなわち、複数の主補正値)として選択する。
【0043】
次に、中央処理装置51は、ステップS120において、音圧補正部として、不揮発性メモリ54から実使用音源1、2、3、4を読み込んで、この実使用音源1、2、3、4のそれぞれを主補正値および副補正値によって実使用音源毎に補正する。
【0044】
以下、このように主補正値および副補正値によって実使用音源毎に補正した実使用音源1、2、3、4のそれぞれを補正後実使用音源1、2、3、4という。
【0045】
ここで、音圧「Pa」は、電圧に対して正相関となる関係になっている。このため、中央処理装置51は、上述のステップS120において、実使用音源1、2、3、4の信号レベル(すなわち、電圧値)を実使用音源毎の主補正値および副補正値によって補正することにより、補正後実使用音源1、2、3、4を求めることができる。
【0046】
次に、中央処理装置51は、ステップS130において、補正後実使用音源1、2、3、4を合成して合成実使用音源を生成する。その後、中央処理装置51は、ステップS140において、上述のステップS130において生成した合成実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換して、この変換したアナログ信号を電力増幅回路60に出力する。
【0047】
すなわち、中央処理装置51は、ステップS130、S140において、補正後実使用音源1、2、3、4を合成して発音体30から再生させるように発音体30を制御することになる。
【0048】
中央処理装置51は、このようなステップS100の副補正値読み込み処理、ステップS110の主補正値読み込み処理、ステップS120の実使用音源補正処理、ステップS130の音源合成処理、ステップS140のDA変換処理を繰り返し実行する。
【0049】
これに伴い、電力増幅回路60は、中央処理装置51から出力されるアナログ信号を電力増幅してこの電力増幅されたアナログ信号を発音体30に出力する。これに伴い、発音体30は、電力増幅回路60から出力されるアナログ信号に基づいて接近通報音を発生する。
【0050】
次に、本実施形態の電気装置10のワークの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を書き込むための製造システム100について図5を参照して説明する。電気装置10のワークとは、電気装置10を製造する工程において製造の途中の状態の電気装置10のことである。以下、説明の便宜上、電気装置10とワークとの区別するためにワーク10Aという。
【0051】
製造システム100は、ワーク10Aの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を書き込むための製造工程において用いられる。具体的には、製造システム100は、図5に示すように、コントローラ110、マイク120、および音圧検査装置130を備える。
【0052】
コントローラ110は、マイクロコンピュータやメモリ等によって構成されている。コントローラ110は、後述するように、実使用音源毎の副補正値を算出してこの算出した実使用音源毎の副補正値を電気装置10のワーク10Aの不揮発性メモリ54に記録する。
【0053】
マイク120は、防音箱140内に配置されて、電気装置10のワーク10Aで再生される検査音を検出する。音圧検査装置130は、マイクロコンピュータやメモリによって構成されている。音圧検査装置130は、コンピュータ131とともに、マイク120で検出される検査音の音圧を測定する測定処理を実施する。
【0054】
次に、本実施形態の製造システム100を用いた製造工程について図6図7を参照して説明する。図6は、製造工程の詳細を示すフローチャートである。図7は、製造工程においてワーク10Aで実行される中央処理装置51の検査処理の詳細を示すフローチャートである。
【0055】
まず、ステップS200の第1工程において、不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値が記録されていない電気装置10のワーク10Aを準備して、この準備したワーク10Aを防音箱140内に配置する。
【0056】
このとき、ワーク10Aとコントローラ110とが、LANで接続される。このことにより、ワーク10Aの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を書き込むための準備が行われることになる。LANとは、Local Area Networkの略である。本実施形態のLANとしては、CAN通信が用いられる。
【0057】
次に、ステップS210の第2工程において、コントローラ110は、ワーク10Aの中央処理装置51に対して検査用音源を再生させる検査用音源再生指令信号を出力する。
【0058】
このとき、ワーク10Aの中央処理装置51は、コントローラ110から検査用音源再生指令信号を受信すると、図7のフローチャートにしたがって、検査処理の実行を開始する。
【0059】
まず、中央処理装置51は、図7のステップS300において、不揮発性メモリ54から検査用音源を読み込んで、この読み込んだ検査用音源をアナログ信号に変換して、この変換したアナログ信号を電力増幅回路60に出力する。すると、電力増幅回路60は、アナログ信号を電力増幅してこの電力増幅したアナログ信号を出力信号として発音体30に出力する。このとき、発音体30は、電力増幅回路60の出力信号によって振動して検査音を防音箱140内にて発生する。
【0060】
このとき、マイク120は、防音箱140内にて発音体30から発生される検査音を検出してこの検出した検査音を示す検出信号を音圧検査装置130に出力する。
【0061】
次に、図6のステップS220の第3工程において、音圧検査装置130は、マイク120から出力される検出信号に対して周波数解析を実施する。
そして、音圧検査装置130は、この周波数解析の結果に基づいて検査音において実使用音源1、2、3、4のそれぞれの周波数帯域における音圧を求める。すなわち、検査音において実使用音源毎に音圧を検出する。本実施形態の周波数解析としては、例えば高速フーリエ変換が用いられる。
【0062】
次に、ステップS230の第4工程において、コントローラ110は、音圧検査装置130で検出される検査音における実使用音源毎の音圧に基づいて、実使用音源毎の副補正値を求める。
実使用音源毎の副補正値は、上述の如く、実使用音源1、2、3、4が発音体30から再生された際に、実使用音源毎に発音体30から発生される音圧レベルを狙い値に近づけるための補正値である。
【0063】
次に、ステップS240の第5工程において、コントローラ110は、実使用音源毎の副補正値をワーク10Aの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を書き込む。
【0064】
以上により、ワーク10Aの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を記録させることができる。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、電気装置10は、音を発生する発音体30と、異なる周波数帯域の音を発生させる実使用音源1、2、3、4と実使用音源毎の副補正値とが記録されている不揮発性メモリ54とを備える。
【0066】
複数の副補正値は、実使用音源1、2、3、4がそれぞれ発音体30で再生される場合に発音体30から発生する実使用音源1、2、3、4のそれぞれの音圧を狙い値に近づけるように実使用音源1、2、3、4を補正するための実使用音源毎の補正値である。
【0067】
中央処理装置51は、実使用音源1、2、3、4を副補正値によって実使用音源毎に補正した補正後実使用音源1、2、3、4を求めるステップS120を備える。
【0068】
中央処理装置51は、補正後実使用音源1、2、3、4を合成してこの合成した補正後実使用音源1、2、3、4を発音体30から再生させるように発音体30を制御するステップS130、S140を備える。
【0069】
以上により、副補正値によって実使用音源毎に補正した補正後実使用音源1、2、3、4を合成して発音体30から再生させるため、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくすることができる。
【0070】
本実施形態の電気装置10は、実使用音源1、2、3、4が発音体30で再生される場合に、発音体30から再生される実使用音源1、2、3、4の音圧を補正するための主補正値の候補値群が記録されている不揮発性メモリ54を備える。
【0071】
中央処理装置51は、ステップS110にて、主補正値の候補値群のうち、他の電子制御装置から与えられる車両情報に合致する候補値を実使用音源毎に選択する。
【0072】
中央処理装置51は、実使用音源1、2、3、4を主補正値および副補正値によって実使用音源毎に補正した補正後実使用音源1、2、3、4を求める。
【0073】
中央処理装置51は、ステップS130、S140において、補正後実使用音源1、2、3、4を合成してこの合成した補正後実使用音源1、2、3、4を発音体30から再生させるように発音体30を制御する。
【0074】
以上により、車両情報に合致した音圧を発音体30から出力させることができる。
【0075】
本実施形態の電気装置10は、中央処理装置51および不揮発性メモリ54を備えるマイクロコンピュータ50が実装されている回路基板40と、発音体30、および回路基板40を収納する筐体20とを備える。
【0076】
このため、発音体30および回路基板40が1対1で特定される組み合わせになっている。したがって、電気装置10の工場出荷時の音圧検査は、1回となり、発音体30および回路基板40を含むシステム(すなわち、電気装置10)で音圧レベルを保証することができる。
【0077】
さらに、本実施形態の電気装置10の製造方法は、発音体30と、発音体30を制御する中央処理装置51と、実使用音源1、2、3、4が記録されている不揮発性メモリ54とを備える電気装置10のワーク10Aを準備するステップS200の第1工程を含む。
【0078】
電気装置10の製造方法は、コントローラ110が中央処理装置51を介して発音体を制御して、実使用音源1、2、3、4の周波数帯域を含む周波数帯域の検査音を発音体30から発生させるステップS210の第2工程を含む。
【0079】
電気装置10の製造方法は、発音体30が検査音を発生した際に、発音体30から発生される検査音の音圧を音圧検査装置130によって検出させるステップS220の第3工程を含む。
【0080】
電気装置10の製造方法は、音圧検査装置130によって検出される音圧に基づいて、複数の副補正値をコントローラ110によって算出するステップS230の第4工程を含む。
【0081】
複数の副補正値は、実使用音源1、2、3、4がそれぞれ発音体30で再生された際に発音体30から発音される実使用音源1、2、3、4の音圧をそれぞれ狙い値に近づけるための実使用音源毎の副補正値である。
【0082】
電気装置10の製造方法は、コントローラ110が複数の副補正値を電気装置10のワーク10Aの不揮発性メモリ54に記録させるステップS240の第5工程を含む。
【0083】
以上により、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくするようにした電気装置10の製造方法を提供することができる。
【0084】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、4つの実使用音源1、2、3、4が記録されている不揮発性メモリ54を備える電気装置10を用いた例について説明した。しかし、これに代えて、1つの実使用音源が記録されている不揮発性メモリ54を備える電気装置10を用いた本第2実施形態について図8図9図10を参照して説明する。
【0085】
本実施形態の電気装置10と上記第1実施形態の電気装置10とでは、不揮発性メモリ54に記録されている実使用音源の個数、主補正値の候補値、副補正値が相違する。本実施形態の電気装置10のうち不揮発性メモリ54以外の他のハードウェア構成は、上記第1実施形態と実質的同様である。以下、主に、本実施形態と上記第1実施形態との相違点について説明する。
【0086】
本実施形態のマイクロコンピュータ50の不揮発性メモリ54は、1つの実用音源が記録されている。不揮発性メモリ54は、1つの実用音源の補正に用いられる主補正値の候補値が記録されている。不揮発性メモリ54は、1つの実用音源の補正に用いられる副補正値が記録されている。
【0087】
また、本実施形態の電気装置10と上記第1実施形態の電気装置10とでは、中央処理装置51によって実行される接近通報処理が相違する。本実施形態の電気装置10の中央処理装置51は、図4に代わる図9のフローチャートにしたがって、接近通報処理を実行する。図9は、中央処理装置51によって実行される接近通報処理の詳細を示すフローチャートである。
【0088】
まず、中央処理装置51は、ステップS100Aにおいて、副補正値を不揮発性メモリ54から読み込む。
【0089】
次に、中央処理装置51は、ステップS110Aにおいて、不揮発性メモリ54の記録されている主補正値の候補値群のうち、他の電子制御装置から与えられる車両信号に基づいて車両の速度、進行方向、仕向け地等に合致した主補正値を選択する。
【0090】
次に、中央処理装置51は、ステップS120Aにおいて、不揮発性メモリ54から実使用音源を読み込んで、この実使用音源を主補正値および副補正値によって補正して補正後実使用音源を求める。
【0091】
次に、中央処理装置51は、ステップS140Aにおいて、上述のステップS120Aにおいて求めた補正後実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換して、この変換したアナログ信号を電力増幅回路60に出力する。
【0092】
中央処理装置51は、このようなステップS100Aの副補正値読み込み処理、ステップS110Aの主補正値読み込み処理、ステップS120Aの実使用音源補正処理、ステップS140AのDA変換処理を繰り返し実行する。
【0093】
これに伴い、電力増幅回路60は、中央処理装置51から出力されるアナログ信号を電力増幅してこの電力増幅されたアナログ信号を発音体30に出力する。これに伴い、発音体30は、電力増幅回路60から出力されるアナログ信号に基づいて接近通報音を発生する。
【0094】
このように、中央処理装置51は、ステップS140Aにおいて、補正後実使用音源を発音体30から再生させるように発音体30を制御することになる。
【0095】
次に、本実施形態の電気装置10のワーク10Aの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を書き込むための製造システム100について図10を参照して説明する。
【0096】
本実施形態の製造システム100は、上記第1実施形態と同様に、コントローラ110、マイク120、および音圧検査装置130を備え、ワーク10Aの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を書き込むための製造工程において用いられる。
【0097】
本実施形態と上記第1実施形態とでは、製造工程が相違する。以下、次に、本実施形態の製造工程について図10を参照して説明する。図10は、製造工程の詳細を示すフローチャートである。
【0098】
まず、ステップS200Aの第1工程において、不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値が記録されていない電気装置10のワーク10Aを準備して、この準備したワーク10Aを防音箱140内に配置する。
【0099】
このとき、ワーク10Aとコントローラ110とが、LANで接続される。このことにより、ワーク10Aの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を書き込むための準備が行われることになる。
【0100】
次に、ステップS210Aの第2工程において、コントローラ110は、ワーク10Aの中央処理装置51に対して検査用音源を再生させる検査用音源再生指令信号を出力する。
【0101】
このとき、ワーク10Aの中央処理装置51は、上記第1実施形態と同様に、コントローラ110から検査用音源再生指令信号を受信すると、図7のフローチャートにしたがって、検査処理の実行を開始する。
【0102】
まず、中央処理装置51は、ステップS300において、不揮発性メモリ54から音圧が一定である検査用音源を読み込んで、この読み込んだ検査用音源をアナログ信号に変換して、この変換したアナログ信号を検査信号として電力増幅回路60に出力する。すると、電力増幅回路60は、アナログ信号を電力増幅してこの電力増幅したアナログ信号を出力信号として発音体30に出力する。このとき、発音体30は、電力増幅回路60の出力信号によって駆動されて検査音を防音箱140内にて発生する。
【0103】
ここで、検査音の周波数帯域は、不揮発性メモリ54に記録されている実使用音源の周波数帯域の全体を含むように設定されている。
【0104】
このとき、マイク120は、防音箱140内にて発音体30から発生される検査音を検出してこの検出した検査音を示す検出信号を音圧検査装置130に出力する。
【0105】
次に、ステップS220Aの第3工程において、音圧検査装置130は、マイク120から出力される検出信号に対して周波数解析を実施する。音圧検査装置130は、この周波数解析の結果に基づいて、検査音において実使用音源の周波数帯域において音圧を検出する。
【0106】
次に、ステップS230Aの第4工程において、コントローラ110は、音圧検査装置130で検出される検査音の音圧に基づいて、副補正値を求める。実使用音源の副補正値は、実使用音源が発音体30から再生された際に、発音体30から発生される音圧レベルを狙い値に近づけるための補正値である。
【0107】
次に、ステップS240の第5工程において、コントローラ110は、実使用音源毎の副補正値をワーク10Aの不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値を書き込む。
【0108】
以上により、ワーク10Aの不揮発性メモリ54に副補正値を記録させることができる。
【0109】
以上説明した本実施形態によれば、電気装置10は、音を発生する発音体30と、1つの実使用音源と1つの副補正値とが記録されている不揮発性メモリ54とを備える。
【0110】
副補正値は、実使用音源を発音体30で再生される場合に発音体30から発生する実使用音源の音圧を狙い値に近づけるように実使用音源を補正するための補正値である。
【0111】
中央処理装置51は、ステップS120Aにおいて、不揮発性メモリ54から実使用音源を読み込んで、この実使用音源を副補正値によって補正して補正後実使用音源を求める。
【0112】
次に、中央処理装置51は、ステップS140Aにおいて、この求めた補正後実使用音源を発音体30から再生させるように発音体30を制御する。
【0113】
以上により、副補正値によって補正した補正後実使用音源を発音体30から再生させるため、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくすることができる。
【0114】
さらに、本実施形態では、不揮発性メモリ54には、発音体30から再生される実使用音源の音圧を補正するための主補正値の候補値群が記録されている。
【0115】
中央処理装置51は、ステップS110Aにおいて、主補正値の候補値群のうち、他の電子制御装置から与えられる車両情報に合致する候補値を実使用音源の主補正値として選択する。
【0116】
中央処理装置51は、ステップS120A、S140Aにおいて、実使用音源を副補正値によって補正した補正後実使用音源を求め、この求めた補正後実使用音源を発音体30から再生させるように発音体30を制御する。
【0117】
以上により、車両情報に合致した音圧を発音体30から出力させることができる。
【0118】
さらに、本実施形態の電気装置10の製造方法は、発音体30と、発音体30を制御する中央処理装置51と、実使用音源が記録されている不揮発性メモリ54とを備える電気装置10のワーク10Aを準備するステップS200Aの第1工程を含む。
【0119】
電気装置10の製造方法は、コントローラ110が中央処理装置51を介して発音体を制御して、実使用音源の周波数帯域を含む周波数帯域の検査音を発音体30から発生させるステップS210Aの第2工程を含む。
【0120】
電気装置10の製造方法は、発音体30が検査音を発生した際に、発音体30から発生される検査音の音圧を音圧検査装置130によって検出させるステップS220Aの第3工程を含む。
【0121】
電気装置10の製造方法は、音圧検査装置130によって検出される音圧に基づいて、副補正値をコントローラ110によって算出するステップS230Aの第4工程を含む。
【0122】
電気装置10の製造方法は、コントローラ110が副補正値を電気装置10のワーク10Aの不揮発性メモリ54に記録させるステップS240Aの第5工程を含む。
【0123】
以上により、電気装置毎の音圧のバラツキを小さくするようにした電気装置10の製造方法を提供することができる。
【0124】
(他の実施形態)
(1)上記第1実施形態では、不揮発性メモリ54に記録されている4つの実使用音源1、2、3、4を用いて接近通報音を発音体30から発生させる例について説明した。上記第2実施形態では、不揮発性メモリ54に記録されている実使用音源を用いて接近通報音を発音体30から発生させる例について説明した。
【0125】
しかし、不揮発性メモリ54に記録されている実使用音源の個数は、2個又は3個でもよく、或いは5個以上でもよい。
【0126】
(2)上記第1実施形態では、不揮発性メモリ54に記録されている4つの実使用音源を主補正値および副補正値で補正して、この補正した4つの補正後実使用音源を合成した合成実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換した例について説明した。
【0127】
しかし、これに代えて、中央処理装置51は、次の(a)(b)のように、不揮発性メモリ54に記録されている複数の実使用音源のうちいずれかの実使用音源を選択してもよい。
【0128】
(a)例えば、上記選択した実使用音源の個数が1つの場合には、中央処理装置51は、この選択した1つの実使用音源を主補正値および副補正値で補正して補正後実使用音源を求める。さらに、中央処理装置51は、この求めた補正後実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換して電力増幅回路60に出力する。
【0129】
(b)上記選択した実使用音源の個数が複数個の場合には、この選択した複数の実使用音源を主補正値および副補正値で補正して複数の補正後実使用音源を求める。さらに、中央処理装置51は、複数の補正後実使用音源を合成して合成実使用音源を生成して、この生成した合成実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換して電力増幅回路60に出力する。
【0130】
(3)上記第1、第2実施形態では、本発明の電気装置を接近通報音を発生する電気装置10とした例について説明した。しかし、これに代えて、接近通報音以外の音を発生する電気装置10を本発明の電気装置10としてもよい。
【0131】
(4)上記第1、第2実施形態では、本発明の電気装置を自動車に搭載した車両用電気装置10とした例について説明した。しかし、これに代えて、設置型の電気装置10や自動車以外の移動体(例えば、列車、電車、飛行機)に搭載される電気装置10を本発明の電気装置としてもよい。
【0132】
(5)上記第1、第2実施形態では、発音体30として、ボイスコイルやダイアフラムを有するスピーカを用いる例について説明したが、これに代えて、圧電素子を振動体とするピエゾスピーカを発音体30としてもよい。
【0133】
(6)上記第1、第2実施形態では、自動車の速度、自動車の進行方向等の車両状態、および自動車の仕向け地を示す情報を車両情報とした例について説明した。しかし、車両状態および仕向け地以外の他の情報を車両情報としてもよい。
【0134】
(7)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0135】
10 電気装置
54 不揮発性メモリ
51 中央処理装置
30 発音体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
不揮発性メモリ54は、非遷移的実体的記録媒体であって、中央処理装置51が実行するコンピュータプログラム、実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4、検査用音源が記録されている音源記録部である。不揮発性メモリ54は、第1補正値記録部、第2補正値記録部として、主補正値の候補値群、実使用音源毎の副補正値(すなわち、複数の補正値)が記録されている。
なお、本実施形態では、不揮発性メモリ54に記録される主補正値の候補値群がそれぞれ異なる値を有する場合に限らず、主補正値の候補値群のうち少なくとも2つ以上の候補値が同一値を有する場合もある。同様に、不揮発性メモリ54に記録される実使用音源毎の副補正値がそれぞれ異なる値を有する場合に限らず、実使用音源毎の副補正値のうち2つ以上の副補正値が同一値を有する場合もある。