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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183513
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】乗員サービス提供装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/26 20060101AFI20231221BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20231221BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231221BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60N2/26
B60R11/02 S
B60R11/02 C
B60N2/90
A47C7/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097069
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】臼井 茉菜
(72)【発明者】
【氏名】松尾 祥和
(72)【発明者】
【氏名】金山 雅人
(72)【発明者】
【氏名】岩浅 達哉
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3D020
【Fターム(参考)】
3B084JD02
3B084JD04
3B084JD07
3B087CE01
3B087DE08
3B087DE10
3D020BA05
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC11
3D020BD03
3D020BE03
(57)【要約】
【課題】車両に同乗する幼児等の子供の面倒を見る手間を軽減する。
【解決手段】乗員サービス提供装置10は、乗員が着座する車両の座席に振動を付与する振動アクチュエータ16と、乗員が視聴可能な音声情報を出力するスピーカ27または映像情報を出力するディスプレイ26と、車両が目的地に到着したときの乗員の睡眠状態を指定した希望睡眠状態の入力を受け付ける情報取得部113と、地図情報を記憶する記憶部12と、記憶部12に記憶された地図情報に基づき、車両が目的地に到着する到着時刻を算出し、算出された到着時刻に乗員が希望睡眠状態になるように、振動アクチュエータ16とスピーカ27またはディスプレイ26と、を制御する睡眠制御部115と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者以外の乗員が着座する車両の座席に振動を付与する振動アクチュエータと、
前記乗員が視聴可能な音声情報または映像情報を出力する出力装置と、
前記車両が目的地に到着したときの前記乗員の睡眠状態を指定した希望睡眠状態の入力を受け付ける受付部と、
地図情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記地図情報に基づき、前記車両が前記目的地に到着する到着時刻を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記到着時刻に前記乗員が前記希望睡眠状態になるように、前記振動アクチュエータと前記出力装置とを制御する制御部と、を備えることを特徴とする乗員サービス提供装置。
【請求項2】
請求項1記載の乗員サービス提供装置において、
前記希望睡眠状態には、睡眠および覚醒のいずれかが指定されることを特徴とする乗員サービス提供装置。
【請求項3】
請求項2記載の乗員サービス提供装置において、
前記出力装置には、スピーカが含まれ、
前記制御部は、前記希望睡眠状態に睡眠が指定されているとき、聴覚情報を出力するように前記スピーカを制御することを特徴とする乗員サービス提供装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の乗員サービス提供装置において、
前記出力装置には、ディスプレイが含まれ、
前記制御部は、前記希望睡眠状態に覚醒が指定されているとき、視覚情報を出力するように前記ディスプレイを制御することを特徴とする乗員サービス提供装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の乗員サービス提供装置において、
前記座席が、チャイルドシートであることを特徴とする乗員サービス提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の乗員にサービスを提供する乗員サービス提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、車両の運転席に設けられた操作部を介して入力される運転者の操作に応じて、後部座席に設置されたチャイルドシートを振動させてチャイルドシートに着座した子供に心地よい刺激を与えることで、子供の睡眠への導入を図るようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-137484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両が目的地に到達したときに、チャイルドシートで寝ている子供を無理に起こすと子供がぐずったり泣き出したりする場合がある。したがって、上記特許文献1記載の装置のようにチャイルドシートに着座した子供を寝かしつけるだけでは、かえって保護者の手を煩わせる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である乗員サービス提供装置は、運転者以外の乗員が着座する車両の座席に振動を付与するアクチュエータと、乗員が視聴可能な音声情報または映像情報を出力する出力装置と、車両が目的地に到着したときの乗員の睡眠状態を指定した希望睡眠状態の入力を受け付ける受付部と、地図情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された地図情報に基づき、車両が目的地に到着する到着時刻を算出する算出部と、算出部により算出された到着時刻に乗員が希望睡眠状態になるように、アクチュエータと出力装置とを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両に同乗する幼児等の子供の面倒を見る手間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る乗員サービス提供装置を含む乗員サービス提供システムの概略構成を示す図。
図2A】車室内端末の設置例を示す図。
図2B】車室内端末の設置例を示す図。
図3】ユーザ端末の使用例を示す図。
図4図1の乗員サービス提供システムの概略構成を示す図。
図5図4の運転者端末の演算部で実行される処理の一例を示すフローチャート。
図6図4の運転者端末の演算部で実行される他の処理の一例を示すフローチャート。
図7図4の車載端末の演算部で実行される処理の一例を示すフローチャート。
図8図4の車載端末の演算部で実行される他の処理の一例を示すフローチャート。
図9】運転者端末のディスプレイに表示されるアプリケーションの画面の一例を示す図。
図10A】ユーザ端末のディスプレイに表示される映像の一例を示す図。
図10B】車室内端末のディスプレイに表示される映像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図10Bを参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る乗員サービス提供装置は、車両等の乗員へのサービス、特に、車両等に同乗する幼児等の子供の見守りサービスを提供する乗員サービス提供システムの一部を構成する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る乗員サービス提供装置を含む乗員サービス提供システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る乗員サービス提供システム1は、車両100に搭載される車載端末10と、車両100の車室内に設置される通信端末(以下、車室内端末と呼ぶ。)20と、車室内端末20とネットワーク50を介して通信可能に接続される車室外の通信端末(以下、ユーザ端末と呼ぶ。)30と、車両100の運転者の通信端末(以下、運転者端末と呼ぶ。)40とを含む。本実施形態に係る乗員サービス提供装置は、主に車載端末10、車室内端末20およびユーザ端末30により構成される。ネットワーク50には、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。
【0010】
図2Aおよび図2Bは、車室内端末20の設置例を示す図である。車室内端末20は、スピーカやディスプレイを有するタブレット端末等の通信端末である。車室内端末20は、ディスプレイに表示される映像やスピーカから出力される音声を車両100に乗車する幼児等の子供が視聴可能な位置に設置される。図2Aに示すように、幼児等の子供P2がフロントシート(例えば運転席)DSの後側のリアシートRSに乗車する場合には、車室内端末20は、図2Bに示すように、車両100の運転席DSの背面部の裏側に設置される。なお、車室内端末20は、フロントシートに固定されてもよいし、取り外し可能に設置されてもよい。
【0011】
図3は、ユーザ端末30の使用例を示す図である。ユーザ端末30は、スピーカやディスプレイを有するスマートフォンやタブレット端末等の通信端末である。ユーザ端末30は、車室内端末20を介して、車両100に同乗する子供P2とビデオ通話等が可能である。ユーザ端末30は、車両100に乗車する子供の見守り役(シッター役)となる車室外の人物(以下、協力者と呼ぶ。)P3に利用される。例えば、車両100の運転者P1が、車両100に同乗する子供の母親であるとき、協力者P3は、車室外(例えば、図1の家300)にいるその母親の両親(その子供の祖父母)等である。なお、図3には、ユーザ端末30が1つ例示されているが、ネットワーク50には複数のユーザ端末30が接続されてもよい。その場合、各ユーザ端末30に紐づけられた複数の人物が協力者の候補となり得る。
【0012】
図4は、図1の乗員サービス提供システム1の概略構成を示す図である。図4に示すように、車載端末10は、CPU等の演算部11と、ROM、RAM等の記憶部12と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。また、車載端末10は、通信部13と、カメラ14と、スピーカ15と、振動アクチュエータ16と、を有する。
【0013】
通信部13は、ネットワーク50を介して車室内端末20、ユーザ端末30、および、運転者端末40と無線通信可能に構成される。カメラ14は、CCDやCMOS等の撮像素子を有する。カメラ14は、車両100の室内、例えば天井部に、少なくとも運転者および同乗者が撮像範囲に含まれるように設置される。スピーカ15は、車両100の室内に設置される。振動アクチュエータ16は、チャイルドシートCSの座面部や背面部の内部に設置される。チャイルドシートCSの外面(側面等)にはコネクタが設けられ、そのコネクタと、車両100のリアシートRS付近に設けられたコネクタとが信号線で接続され、その信号線を介して車載端末10からの信号(制御信号)がチャイルドシートCS(振動アクチュエータ16)に送られる。振動アクチュエータ16は、その制御信号に応じて作動する。
【0014】
演算部11は、機能的構成として、乗員検出部111と、判定部112と、情報取得部113と、接続制御部114と、睡眠制御部115とを有する。記憶部12は、後述する登録者情報を記憶する。
【0015】
乗員検出部111は、カメラ14により得られた画像データ(以下、撮像画像データまたは単に撮像画像と呼ぶ。)に基づき、車両100の乗員を検出する。
【0016】
判定部112は、乗員検出部111により検出された乗員のうち運転者P1以外の乗員(同乗者)に対する、車室外の協力者からの見守りサービスの提供の要否を判定する。より詳細には、判定部112は、カメラ14により得られた撮像画像に基づく画像認識処理により同乗者の年齢を認識する。判定部112は、認識した同乗者の年齢が所定の年齢層に含まれるとき、同乗者に対する見守りサービスの提供が必要であると判定する。見守りサービスの提供の一例としては、ビデオ通話を介した協力者からの映像提供が挙げられる。
【0017】
判定部112は、カメラ14により得られた撮像画像に基づく画像認識処理により、同乗者の年齢の他、同乗者の体の大きさを認識してもよく、認識された体の大きさが所定サイズ未満であるとき、同乗者に対する見守りサービスの提供が必要であると判定してもよい。また、判定部112は、カメラ14により得られた撮像画像に基づく画像認識処理により、同乗者が図2Aに示すようなチャイルドシートCSに着座しているか否かを判定し、同乗者がチャイルドシートCSに着座していると判定すると、同乗者に対する見守りサービスの提供が必要であると判定してもよい。
【0018】
情報取得部113は、見守りサービスを提供する協力者として予め登録された人物の情報(以下、登録者情報と呼ぶ。)を、記憶部12から読み出す。登録者情報には、協力者に紐づけられたユーザ端末30の情報(電話番号やメールアドレスなど)や、協力者の情報が含まれる。協力者の情報には、協力者の氏名やニックネームを示す情報や、協力者が見守りサービスを提供可能な日時(日付や、曜日、時間帯など)を示す情報(以下、提供可能日時情報と呼ぶ。)が含まれる。登録者情報は、後述するように、車両100の運転者P1により運転者端末40を介して事前に、記憶部12に登録される。
【0019】
また、情報取得部113は、見守り設定情報を取得する。見守り設定情報は、運転者端末40を介して車両100の運転者P1により、後述する見守り開始指示とともに車載端末10に送信される。見守り設定情報には、運転者P1が希望する、車両100が目的地に到着したときの同乗者の睡眠状態(以下、希望睡眠状態と呼ぶ。)を示す希望睡眠状態情報が含まれる。希望睡眠状態には、「睡眠」または「覚醒」が指定される。例えば、車両100が目的地(自宅)に到着したときに子供P2を睡眠状態のまま自宅の寝室に連れて行きたい場合には、目的地到着時に子供P2が睡眠状態にあることが望ましい。そこで、運転者P1は、希望睡眠状態に「睡眠」を指定する。また例えば、運転者P1が子供P2を幼稚園や習い事に送る場合には、車両100が目的地(幼稚園やレッスン場)に到着したときに子供P2が起きていることが望ましい。そこで、運転者P1は、希望睡眠状態に「覚醒」を指定する。見守り設定情報には、運転者P1により運転者端末40を介して入力された、車両100の目的地を示す情報(以下、目的地情報と呼ぶ。)がさらに含まれる。また、見守り設定情報には、見守りの依頼先となる協力者の氏名やニックネームを示す情報(以下、協力者情報と呼ぶ。)がさらに含まれる。
【0020】
接続制御部114は、車室内端末20と、協力者に紐づけられたユーザ端末30との接続を制御する。接続制御部114は、車両100の運転者P1により運転者端末40を介して見守りの開始を要求する見守り開始指示が入力されると、車室内端末20をユーザ端末30に通信可能に接続する。具体的には、接続制御部114は、通信部13を介して運転者端末40からの見守り開始指示を受信すると、見守り開始指示に付随する見守り設定情報に含まれる協力者情報を取得する。接続制御部114は、協力者情報により示される協力者に対応する、登録者情報を記憶部12から読み出す。接続制御部114は、読み出した登録者情報に基づいて発信先情報を生成し、該発信先情報を含む接続指示を車室内端末20に送信する。なお、接続指示の送信先となる通信端末の識別情報(MACアドレスやIPアドレス等)が予め記憶部12に記憶されていて、接続制御部114は、その識別情報に基づき特定される通信端末(車室内端末20)に接続指示を送信する。また、発信先情報には、車室内端末20の接続先、すなわち協力者に紐づけられたユーザ端末30の電話番号やIPアドレス等が含まれる。
【0021】
睡眠制御部115は、記憶部12に記憶された地図情報と、情報取得部113により取得された目的地情報とに基づき、車両100が目的地に到着する目的地到着時刻を算出する。睡眠制御部115は、算出した目的地到着時刻に基づき、同乗者を希望睡眠状態に導くための制御(以下、睡眠制御と呼ぶ。)を開始する開始時刻を決定する。睡眠制御の開始時刻は、目的地到着時刻から、睡眠制御により同乗者が現在の睡眠状態(「睡眠」または「覚醒」)から希望睡眠状態(「睡眠」または「覚醒」)に遷移する時間(以下、状態遷移時間と呼ぶ。)を差し引いた時刻である。状態遷移時間は、予め実験等により求められ、記憶部12に記憶される。なお、同乗者の現在の睡眠状態は、カメラ14の撮像画像に基づき認識されてもよいし、その他の方法により認識されてもよい。また、希望睡眠状態が「睡眠」であって同乗者がすでに睡眠状態であるときや、希望睡眠状態が「覚醒」であって同乗者がすでに覚醒状態であるときには、状態遷移時間を短くするように調整してもよいし、状態遷移時間を0に設定してもよい。
【0022】
睡眠制御部115は、睡眠制御の開始時刻になると、睡眠制御を開始する。このとき、睡眠制御部115は、通信部13を介して同乗者の見守りが不要であることを示す見守り不要通知をユーザ端末30に出力(送信)する。これにより、協力者は、見守りが不要になったことを認識でき、必要に応じて、ユーザ端末30の操作部36を介して車室内端末20とのビデオ通話を終了する。
【0023】
睡眠制御において、睡眠制御部115は、希望睡眠状態に応じて、同乗者を睡眠に導入するようにまたは同乗者の覚醒を促すように、振動アクチュエータ16と、車室内端末20のスピーカ27およびディスプレイ26とを制御する。より詳細には、同乗者を睡眠に導入するとき、睡眠制御部115は、同乗者に心地よい刺激を与えるように、振動アクチュエータ16を制御してチャイルドシートCSに振動を印加する。また、睡眠制御部115は、同乗者をリラックスさせるような、例えばアルファ波を出す音楽を、スピーカ27を介して出力する。このとき、睡眠制御部115は、同乗者の視覚を刺激しないように、車室内端末20のディスプレイ26をオフにする。なお、睡眠制御部115は、ディスプレイ26をオフする代わりに、ディスプレイ26の輝度を低くしたりディスプレイ26に暖色系の映像を表示したりしてもよい。
【0024】
一方、同乗者の覚醒を促すとき、睡眠制御部115は、同乗者を入眠させないように、同乗者に所定程度以上の強度の不規則な振動を与えるように振動アクチュエータ16を制御してチャイルドシートCSに振動を印加する。また、睡眠制御部115は、同乗者を入眠させないように、例えば同乗者が興味を示す動画コンテンツの映像をディスプレイ26に表示する。なお、睡眠制御部115は、希望睡眠状態が「覚醒」であるときには、見守り不要通知をユーザ端末30に出力(送信)しないようにして、協力者とのビデオ通話を継続させて、協力者の顔画像を含む映像をディスプレイ26に表示してもよい。また、睡眠制御部115は、寒色系の映像をディスプレイ26に表示してもよい。さらに、睡眠制御部115は、同乗者を入眠させないように、スピーカ27を介して不規則なテンポの音を出力してもよい。
【0025】
車室内端末20は、図4に示すように、CPU等の演算部21と、ROM、RAM等の記憶部22と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。また、車室内端末20は、通信部23、マイクロフォン(以下、単にマイクと称する。)24と、カメラ25と、ディスプレイ26と、スピーカ27とを有する。
【0026】
通信部23は、ネットワーク50を介して少なくとも車載端末10およびユーザ端末30と無線通信可能に構成される。マイク24は、周囲の音声を音声信号として入力する。マイク24により入力された音声信号は、不図示のA/D変換器を介して音声データとして演算部21に出力される。カメラ25は、CCDやCMOS等の撮像素子を有する。カメラ25により得られた撮像画像は、演算部21に出力される。ディスプレイ26は、演算部21からの画像データに基づく映像を表示する。スピーカ27は、演算部21からの音声データを不図示のD/A変換器を介して音声信号として出力する。
【0027】
演算部21は、機能的構成として、接続制御部211と、出力制御部212とを有する。接続制御部211は、通信部23を介して車載端末10からの接続指示を受信すると、接続指示に含まれる発信先情報に基づき、通信部23を介して発信信号を出力する。例えば、発信先情報にユーザ端末30の電話番号が含まれるとき、ユーザ端末30に対して呼出信号が出力される。この呼出信号にユーザ端末30が応答すると、ユーザ端末30との接続が確立され、車室内端末20とユーザ端末30との間でビデオ通話が可能となる。
【0028】
出力制御部212は、マイク24により取得された音声データを、通信部23を介してユーザ端末30に送信する。また、出力制御部212は、カメラ25により得られた撮像画像を、通信部23を介してユーザ端末30に送信する。また、出力制御部212は、通信部23を介してユーザ端末30から受信した音声データを、スピーカ27に出力する。さらに、出力制御部212は、通信部23を介してユーザ端末30から受信した撮像画像を、ディスプレイ26に出力する。
【0029】
ユーザ端末30は、図4に示すように、CPU等の演算部31と、ROM、RAM等の記憶部32と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。また、ユーザ端末30は、通信部33、マイク34と、カメラ35と、操作部36と、ディスプレイ37と、スピーカ38とを有する。
【0030】
通信部33は、ネットワーク50を介して少なくとも車載端末10および車室内端末20と無線通信可能に構成される。マイク34は、外部の音声信号を入力する。マイク34により入力された音声信号は、不図示のA/D変換器を介して音声データとして演算部31に出力される。カメラ35は、CCDやCMOS等の撮像素子を有する。カメラ35により得られた撮像画像は、演算部31に出力される。操作部36は、キーボード等の入力装置により構成される。ディスプレイ37は、演算部31からの画像データに基づく映像を表示する。なお、ディスプレイ37がタッチパネル機能を有する場合、操作部36は、ディスプレイ37により構成されてもよい。スピーカ38は、演算部31からの音声データを不図示のD/A変換器を介して音声信号として出力する。
【0031】
演算部31は、機能的構成として、接続制御部311と、出力制御部312とを有する。接続制御部311は、通信部33を介して車室内端末20からの呼出信号を受信すると、スピーカ38を介して呼び出し音を出力する。ユーザが、操作部36等を操作して、呼び出し音による呼び出しに応答すると、車室内端末20との接続が確立され、車室内端末20とのビデオ通話が可能となる。
【0032】
出力制御部312は、マイク34により取得された音声データを、通信部33を介して車室内端末20に送信する。また、出力制御部312は、カメラ35により得られた撮像画像を、通信部33を介して車室内端末20に送信する。また、出力制御部312は、通信部33を介して車室内端末20から受信した音声データを、スピーカ38に出力する。
【0033】
運転者端末40は、図4に示すように、CPU等の演算部41と、ROM、RAM等の記憶部42と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。また、運転者端末40は、通信部43、操作部44と、ディスプレイ45とを有する。
【0034】
通信部43は、ネットワーク50を介して少なくとも車載端末10と無線通信可能に構成される。操作部44は、キーボード等の入力装置により構成される。なお、ディスプレイ45がタッチパネル機能を有する場合、操作部44は、ディスプレイ45により構成されてもよい。
【0035】
演算部41は、機能的構成として、登録部411と、設定部412とを有する。登録部411は、操作部44を介して車両100の運転者P1により入力された登録者情報を、通信部43を介して車載端末10に送信する。具体的には、まず、登録部411は、操作部44を介したユーザからの指示に基づき、ディスプレイ45に登録者情報を入力するための画面(以下、登録画面と呼ぶ。)を表示する。ユーザが操作部44を介して登録画面に登録者情報を入力すると、入力された登録者情報が記憶部42に記憶される。登録部411は、記憶部42に記憶された登録者情報を、通信部43を介して車載端末10に送信する。
【0036】
設定部412は、操作部44を介して車両100の運転者P1により入力された見守り設定情報を、通信部43を介して車載端末10に送信する。具体的には、まず、登録部411は、操作部44を介したユーザからの指示に基づき、ディスプレイ45に見守り設定情報を入力するための画面(以下、設定画面と呼ぶ。)を表示する。ユーザが操作部44を介して設定画面に見守り設定情報を入力すると、入力された見守り設定情報が記憶部42に記憶される。記憶部42に記憶された見守り設定情報は、後述するように、見守り開始指示とともに通信部43を介して車載端末10に送信される。
【0037】
図5は、予め定められたプログラムに従い運転者端末40の演算部41(CPU)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートに示す処理は、操作部44を介して登録画面の表示指示を受け付けると開始される。登録画面の表示指示は、例えば、予め運転者端末40にインストールされた、登録者情報を入力するためのアプリケーション(以下、登録アプリと呼ぶ。)を、操作部44を介して起動することにより行われる。
【0038】
まず、ステップS11で、登録画面を表示する。ステップS12で、登録者情報の入力が完了したか否かを判定する。ステップS12は肯定されるまで繰り返される。ステップS12で肯定されると、ステップS13で、登録画面に入力された登録者情報を、通信部43を介して車載端末10に送信する。
【0039】
図6は、予め定められたプログラムに従い運転者端末40の演算部41(CPU)で実行される他の処理の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理は、操作部44を介して設定画面の表示指示を受け付けると開始される。設定画面の表示指示は、例えば、予め運転者端末40にインストールされた、見守り設定情報を入力するためのアプリケーション(以下、設定アプリと呼ぶ。)を、操作部44を介して起動することにより行われる。
【0040】
まず、ステップS21で、設定画面を表示する。ステップS22で、見守り設定情報の入力が完了したか否かを判定する。ステップS22は肯定されるまで繰り返される。ステップS22で肯定されると、ステップS23で、設定画面に入力された見守り設定情報を、記憶部42に記憶する。
【0041】
図7は、予め定められたプログラムに従い車載端末10の演算部11(CPU)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートに示す処理は、運転者P1の運転席DSへの着座を検出すると開始される。なお、運転者P1が運転席DSに着座している否かは、カメラ14により得られた撮像画像により検出してもよいし、その他の方法により検出してもよい。
【0042】
まず、ステップS21で、運転者P1により運転者端末40を介して見守り開始指示が入力されたか否か、すなわち、通信部13を介して運転者端末40から見守り開始指示を受信したか否かを判定する。ステップS31で否定されると、処理を終了する。ステップS31で肯定されると、ステップS32で、見守り開始指示に付随して受信された見守り設定情報を取得する。ステップS33で、ステップS32で取得した見守り設定情報に含まれる目的地情報に、目的地到着時刻が含まれるか否かを判定する。ステップS33で肯定されると、ステップS35に進む。ステップS33で否定されると、ステップS34で、記憶部12に記憶された地図情報と、ステップS32で取得した見守り設定情報に含まれる目的地情報とに基づき、目的地到着時刻を算出する。ステップS35で、目的地到着時刻に基づき、睡眠制御の開始時刻を決定する。
【0043】
ステップS36で、ステップS32で取得した見守り設定情報に含まれる協力者情報を取得し、協力者情報により示される協力者に対応する、登録者情報を記憶部12から読み出す。そして、読み出した登録者情報に基づいて、協力者に紐づけられたユーザ端末30の電話番号等を含む発信先情報を生成し、生成した発信先情報を含む接続指示を車室内端末20に送信する。これにより、車室内端末20からネットワーク50を介してユーザ端末30に対して呼出信号が出力され、ユーザ端末30がこの呼出信号に応答すると、車室内端末20とユーザ端末30とがビデオ通話可能に接続される。
【0044】
図8は、予め定められたプログラムに従い車載端末10の演算部11(CPU)で実行される他の処理の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートに示す処理は、車室内端末20とユーザ端末30とが接続されるとビデオ通話可能に接続されると開始され、所定周期で繰り返される。
【0045】
まず、ステップS41で、ステップS35で決定された睡眠制御の開始時刻を過ぎているか否かを判定する。ステップS41で否定されると、処理を終了する。ステップS41で肯定されると、ステップS42で、通信部13を介して見守り不要通知をユーザ端末30に出力(送信)する。ステップS43で、ステップS32で取得した見守り設定情報に含まれる希望睡眠状態情報により示される希望睡眠状態が「睡眠」であるか否かを判定する。ステップS43で肯定されると、ステップS44で、振動アクチュエータ16を制御してチャイルドシートCSに、同乗者に心地よい刺激を与える睡眠導入用の振動を印加する。ステップS45で、同乗者をリラックスさせるような音楽等の聴覚情報を、スピーカ27を介して出力する。一方、ステップS43で否定されると、ステップS46で、同乗者を入眠させないように、振動アクチュエータ16を制御してチャイルドシートCSに覚醒促進用の振動、例えば所定程度以上の強度の不規則な振動を付与する。ステップS47で、動画コンテンツの映像などの視覚情報をディスプレイ37に表示する。
【0046】
本実施形態に係る乗員サービス提供装置を含む乗員サービス提供システムの動作をまとめると以下のようになる。まず、運転者である母親P1が車両100に乗車し、運転者端末40の操作部44を介して設定アプリを起動し、設定アプリを介して見守り設定情報を入力する(S21~S24)。これにより、見守り設定情報が記憶部42に記憶される。図9は、運転者端末40のディスプレイ45に表示される設定アプリの画面(以下、設定画面と呼ぶ。)の一例を示す図である。設定画面は、目的地の場所と目的地に到着時刻を設定するための設定欄MN1と、ビデオ通話の接続先、すなわち見守りの依頼先(協力者)を選択する選択欄MN2と、希望睡眠状態(「睡眠」または「覚醒」)を指定する指定欄MN3と、見守り開始指示を送信するための送信ボタンMN4と、を含む。運転者P1が、送信ボタンMN4を押下すると、各欄MN1~MN3の情報が見守り設定情報として見守り開始指示とともに、ネットワーク50を介して車載端末10に送信される。
【0047】
車載端末10は、見守り開始指示を受信すると(ステップS31,S32)、見守り開始指示に付随する見守り設定情報に含まれる目的地情報に基づき、睡眠制御の開始時刻を決定する(S33~S35)。さらに、車載端末10は、見守り設定情報に含まれる協力者情報に基づき、車室内端末20と、協力者(祖母P3)の端末(ユーザ端末30)とをビデオ通話可能に接続する(S36)。これにより、祖母P3のユーザ端末30のディスプレイ37には、車室内端末20のカメラ25により取得された撮像画像(図10Aの映像IM1)が表示される。祖母P3が、ディスプレイ37に表示される子供P2の様子を確認しながら、子供P2をあやす仕草などをすると、その様子がカメラ35により撮像され、その撮像画像が車室内端末20に送信される。また、祖母P3が、子供P2をあやす言葉などを発すると、マイク34を介して入力された祖母P3の音声が音声データとして車室内端末20に送信される。この結果、車室内端末20のディスプレイ26に、祖母P3が子供P2をあやす映像(図10Bの映像IM3)が表示されるとともに、車室内端末20のスピーカ27から、祖母P3の音声(子供P2をあやす言葉など)が出力される。このようにして祖母P3が子供P2を見守ることで、母親である運転者P1は、子供P2を気に掛けることなく運転に集中できる。なお、ユーザ端末30のディスプレイ37に、図10Aに示すように、車室内端末20に送信された撮像画像に基づく映像、すなわち、図10Bの映像IM3と同じ映像(図10Aの映像IM2)を表示してもよい。これにより、祖母P3は、自身の映像が車室内端末20のディスプレイ26にどのように表示されているかを確認しながら、子供P2をあやすことができる。
【0048】
睡眠制御の開始時刻を過ぎると、車載端末10は、祖母P3のユーザ端末30に、見守り不要通知を送信する。祖母P3は、この通知に応じてビデオ通話を終了する。その後、車載端末10は、見守り設定情報(希望睡眠状態情報)により示される希望睡眠状態(「睡眠」または「覚醒」)に応じて(S41~S43)、車両100が目的地に到着するまで、睡眠導入用の睡眠制御(S44,S45)、または、覚醒促進用の睡眠制御(S46,S47)を実行する。これにより、車両100の目的地到着時の子供P2の睡眠状態を希望睡眠状態にすることができる。
【0049】
本発明の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)乗員サービス提供装置は、主に、車両100の車載端末10および車室内端末20と、車両100の外部のユーザ端末30と、車両100の運転者(図2Aの運転者P1)の運転者端末40と、により構成され、ユーザ端末30から車両100の運転者以外の乗員(図2Aの子供P2)にサービスを提供する。乗員サービス提供装置は、車両100の運転者以外の乗員が着座する車両の座席(例えば、チャイルドシートCS)に振動を付与する振動アクチュエータ16と、乗員が視聴可能な音声情報を出力するスピーカ27または映像情報を出力するディスプレイ26と、車両100が目的地に到着したときの乗員の睡眠状態を指定した希望睡眠状態の入力を受け付ける情報取得部113と、地図情報を記憶する記憶部12と、記憶部12に記憶された地図情報に基づき、車両100が目的地に到着する到着時刻を算出し、算出された到着時刻に乗員が希望睡眠状態になるように、振動アクチュエータ16とスピーカ27またはディスプレイ26とを制御する睡眠制御部115と、を備える。希望睡眠状態には、睡眠および覚醒のいずれかが指定される。これにより、車両100の目的地到着時の子供の睡眠状態を希望睡眠状態にすることができる。
【0050】
(2)睡眠制御部115は、希望睡眠状態に「睡眠」が指定されているとき、聴覚情報を出力するようにスピーカ27を制御する。一方、希望睡眠状態に「覚醒」が指定されているとき、睡眠制御部115は、視覚情報を出力するようにディスプレイ26を制御する。このように、希望睡眠状態が「睡眠」であるときには、覚醒を促しやすい視覚への刺激ではなく、眠気を誘いやすい聴覚への刺激を乗員に与えることで、乗員を的確に睡眠に導入できる。また、希望睡眠状態が「覚醒」であるときには、視覚への刺激を乗員に与えることで、乗員を的確に覚醒させることができる。
【0051】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。上記実施形態では、制御部としての睡眠制御部115が、希望睡眠状態に睡眠が指定されているとき、聴覚情報を出力するように出力装置としてのスピーカ27を制御するようにした。しかしながら、制御部は、聴覚情報を出力するように、車載端末10のスピーカ15を制御してもよい。また、上記実施形態では、算出部としての睡眠制御部115が、記憶部12に記憶された地図情報と、情報取得部113により取得された目的地情報とに基づき、車両100が目的地に到着する目的地到着時刻を算出するようにした。しかしながら、目的地情報に目的地到着時刻が含まれるとき、算出部は、目的地情報から目的地到着時刻を取得してもよい。また、算出部は、車両100の目的地や目的地到着時刻に関する情報を、無線通信等を利用して不図示の車載ナビゲーション装置から取得してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、振動アクチュエータ16が、チャイルドシートCSの内部に設けられる例を説明した。しかしながら、振動アクチュエータ16は、チャイルドシートCSが載置されるリアシートRSの内部に設けられてもよい。詳細には、振動アクチュエータ16は、リアシートRSに載置されたチャイルドシートCSに着座する同乗者に振動が伝わるように、リアシートRSの座面部や背面部の内部に設けられてもよい。これにより、チャイルドシートCSが利用されない場合、すなわち、乗員がリアシートRSに直に着座する場合にも、乗員の睡眠状態を希望睡眠状態にすることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、判定部112が、カメラ14により得られた画像データに基づき、乗員検出部111により検出された乗員(同乗者)に対する協力者からの映像提供の要否を判定するようにした。しかしながら、判定部の構成はこれに限らない。例えば、乗員サービス提供装置10が、同乗者が着座するシート部(図2AのリアシートRS)に設置された着座センサを備えるとき、判定部は、着座センサにより検出されたその同乗者の重量が所定値未満であるとき、その同乗者に対する協力者からの映像提供が必要であると判定してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、運転者端末40から送信された登録者情報を、乗員サービス提供装置10の記憶部12に記憶するようにしたが、登録者情報を、ネットワーク50を介して通信可能なサーバ装置が備える記憶部に記憶するようにしてもよい。ネットワーク50に複数の運転者の通信端末(運転者端末)が接続されているとき、サーバ装置の記憶部には、各運転者端末から送信された登録者情報が記憶される。この場合、登録者情報の送信元が特定可能なように、登録者情報に、各運転者端末に対応する運転者の情報(氏名やニックネームなど)や各運転者端末の識別情報(電話番号など)を含ませててもよい。車載端末10の情報取得部113は、サーバ装置の記憶部から登録者情報を取得するとき、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を介して車載端末10に接続されている運転者端末に対応する登録者情報を、サーバ装置の記憶部に記憶されている複数の登録者情報の中から取得する。
【0055】
また、上記実施形態では、受付部としての情報取得部113が、運転者端末40(操作部44)から希望睡眠状態を含む見守り設定情報を受信することで、「睡眠」および「覚醒」のいずれかが指定された希望睡眠状態の入力を受け付けるようにした。しかしながら、希望睡眠状態として睡眠深度が異なる複数の「睡眠」、例えば、「レム睡眠」、「浅い睡眠」、「深い睡眠」が指定可能であってもよい。また、上記実施形態では、睡眠制御部115が、同乗者の現在の睡眠状態(「睡眠」または「覚醒」)と希望睡眠状態(「睡眠」または「覚醒」)とに基づき状態遷移時間を求めるようにした。しかしながら、睡眠制御部115は、同乗者の現在の睡眠状態が「睡眠」であると認識されたとき、さらに、その「睡眠」を睡眠深度が異なる複数の「睡眠」に分類してもよい。また、睡眠深度が異なる複数の「睡眠」のそれぞれについて状態遷移時間を予め実験等により求めて、記憶部12に記憶してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、車両100の運転者P1が、運転者端末40の操作部44を介して登録者情報を入力する例、すなわち、運転者P1が、見守りサービスへの協力者P3の登録作業を行う例を説明した。しかしながら、見守り役となる協力者自身が、ユーザ端末30にインストールされた登録アプリを介して、見守りサービスへの登録作業を行ってもよい。これにより、見守りサービスへの協力者としての参加に興味を持つ人物が積極的にサービスに参加できるようになり、協力者の数を増大させることができ、見守りサービスの利便性の向上を図ることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、接続指示の送信先となる通信端末(車室内端末20)の識別情報が予め記憶部12に記憶されている場合を例にしたが、ユーザ操作に基づき、接続指示の送信先の識別情報が記憶部12に記憶されてもよい。例えば、ユーザ(例えば、運転者P1)が車室内端末20を操作して、乗員サービス提供装置10とのBluetooth(登録商標)接続を確立させると、車室内端末20の識別情報が、接続指示の送信先の情報として記憶部12に記憶されてもよい。また例えば、ユーザ(例えば、運転者P1)が運転者端末40の操作部44を介して、車室内端末20の識別情報を入力して車載端末10に送信することで、その識別情報が接続指示の送信先として記憶部12に記憶されてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、車室内端末20からネットワーク50を介してユーザ端末30に対して出力される呼出信号に、協力者P3が応答することで車室内端末20とユーザ端末30との間のビデオ通話が開始される例を示した。しかしながら、協力者P3が他の作業をしているなどして呼出信号に応答できないとき、すなわち、呼出信号による呼び出しが所定時間以上継続したときには、協力者P3の代わりにAI(人工知能)を用いた対話用のアプリケーション(以下、対話アプリと呼ぶ。)が車室内端末20からの呼び出しに応答してもよい。具体的には、ユーザ端末30の出力制御部が対話アプリを起動させて、対話アプリが、車室内端末20からの呼び出しに応答するとともに、協力者P3の代役となるように動作してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、1台のユーザ端末30と1台の車室内端末20とがネットワーク50を介してビデオ通話可能に接続される例を示したが、1台のユーザ端末30に対して複数台の車室内端末20がビデオ通話可能に接続されてもよい。それにより、協力者P3は、ユーザ端末30を介して、複数台の車室内端末20のそれぞれに対応する車両に乗車する、複数人の子供それぞれの面倒を見ることが可能となる。
【0060】
さらに、上記実施形態では、車室内端末20と運転者端末40とが別々の通信端末で構成される例を示したが、車室内端末20と運転者端末40とが同一の端末で構成されてもよい。例えば、図2Aの運転席DSの背面部の裏側にスマートフォン等の通信端末を取り付け可能な器具を設置して、その器具に取り付けた運転者端末40を車室内端末20として利用してもよい。
【0061】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の一つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 乗員サービス提供装置、20 車室内端末、30 ユーザ端末、40 運転者端末、11 演算部、12 記憶部、111 乗員検出部、112 判定部、113 登録者情報取得部、114 接続制御部、115 睡眠制御部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B