IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンデン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図1
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図2
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図3
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図4
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図5
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図6
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図7
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図8
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図9
  • 特開-電気装置、および電気装置の製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018352
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】電気装置、および電気装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20230201BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20230201BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230201BHJP
   B60Q 5/00 20060101ALN20230201BHJP
【FI】
H04R29/00 310
G10K15/04 302F
H04R1/02 102B
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 660B
B60Q5/00 660F
B60Q5/00 670A
B60Q5/00 650A
B60Q5/00 610Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122410
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 晋
【テーマコード(参考)】
5D017
5D208
【Fターム(参考)】
5D017AE11
5D208DA02
5D208DE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】音圧検査装置が検査音の音圧を測定する精度を向上する電気装置及び電気装置の製造方法を提供する。
【解決手段】製造システム100の電気装置のワーク10Aにおいて、中央処理装置は、発音体から検査音を出力させる出力指令信号をコントローラ110から受信したとき、検査音を発音体から出力させることに先だってマーカ音を発音体から出力させる。マーカ音は、検査音の音圧の測定開始タイミングを音圧検査装置130に通知するための音である。発音体が検査音の発生を開始するタイミングと音圧検査装置130が検査音の音圧の測定を開始するタイミングとの間のずれを小さくする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を発生する発音体(30)と、
前記発音体から検査音を出力させる指令信号をコントローラ(110)から受信したとき、前記検査音を前記発音体から出力させることに先だって、前記検査音の音圧の測定開始タイミングを音圧検査装置(130)に通知するための音であるマーカ音を前記発音体から出力させるように前記発音体を制御する制御部(51)と、
を備える電気装置。
【請求項2】
前記検査音は、周波数が徐々に変化する周波数スイープ音である請求項1に記載の電気装置。
【請求項3】
前記マーカ音は、予め決められた一定時間に亘って前記発音体から出力されるように設定されており、
さらに、前記マーカ音は、前記一定時間に亘って予め決められた周波数を有し、かつ前記一定時間に亘って予め決められた音圧を有する請求項1または2に記載の電気装置。
【請求項4】
前記検査音を第1検査音としたとき、一定の周波数帯域に亘って音圧が一定になっている第2検査音の音源が記録されている音源記録部(54)を備え、
前記制御部は、前記第1検査音を前記発音体から発生させた後に、前記音源に基づいて前記第2検査音を前記発音体から発生させるように前記発音体を制御する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電気装置。
【請求項5】
前記発音体と前記制御部とが車両に搭載される場合において、前記検査音を第1検査音としたとき、前記発音体と前記制御部とが前記車両に搭載された状態で音を発生させるための実使用音源が記録されている音源記録部(54)を備え、
前記制御部は、前記第1検査音を前記発音体から発生させた後に、前記実使用音源を第2検査音として前記発音体から再生させるように前記発音体を制御する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電気装置。
【請求項6】
音を発生する発音体(30)と前記発音体を制御する制御部(51)とを備える電気装置(10)のワークを準備することと、
コントローラ(110)が検査音を前記発音体から発生させる指令信号を前記ワークに出力することと、
前記ワークが、前記コントローラから前記指令信号を受信すると、前記検査音を前記発音体から発生させることに先だって、前記検査音の測定開始タイミングを通知するための音であるマーカ音を前記発音体から発生させるように前記発音体を制御することと、
音圧検査装置(130)は、前記発音体から発生される前記マーカ音、前記検査音を検出する検出部(120)の出力信号に基づいて、前記検出部で前記マーカ音を検出したタイミングに基づいた前記検査音の音圧の測定の開始のタイミングを判定し、この判定したタイミングにて前記発音体から発生される前記検査音の音圧の測定を開始することと、
を含む電気装置の製造方法。
【請求項7】
前記検査音を第1検査音としたとき、前記ワークは、一定の周波数帯域に亘って音圧が一定になっている第2検査音の音源が記録されている音源記録部(54)を備え、
前記ワークが、前記第1検査音を前記発音体から発生させた後に、前記音源に基づいて前記第2検査音を前記発音体から発生させるように前記発音体を制御することと、
前記音圧検査装置が、前記第1検査音の音圧の測定の終了後、前記発音体から発生される前記第2検査音の音圧を測定することと、
を含む請求項6に記載の電気装置の製造方法。
【請求項8】
前記電気装置は、車両に搭載される電気装置であり、
前記検査音を第1検査音としたとき、前記ワークは、前記電気装置が前記車両に搭載された状態で音を発生させるための実使用音源が記録されている音源記録部(54)を備え、
前記ワークが、前記第1検査音を前記発音体から発生させた後に、前記実使用音源に基づいて第2検査音を前記発音体から発生させるように前記発音体を制御することと、
前記音圧検査装置が、前記第1検査音の音圧の測定の終了後、前記発音体から発生される前記第2検査音の音圧を測定することと、
を含む請求項6に記載の電気装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置、および電気装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発音器として、例えば特許文献1に示すように、音を発生する発音体が筐体に収納されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-121249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、発音体を制御して発音体から音を発生させる制御回路が実装されている回路基板を、発音体とともに筐体内に収納する発音器の製造工程について検討した。
【0005】
本発明者の検討によれば、製造工程において、発音体から出力される検査音の音圧を測定する音圧検査装置と、音圧検査装置および発音器のワークを制御するコントローラとを用いて、発音体から出力される音圧を検査する場合、次の不具合が生じる。
【0006】
まず、コントローラは、発音器のワークに検査音を出力させる出力指令信号を出力させるとともに、音圧検査装置に発音器の発音体から出力される検査音の音圧を測定させる測定指令信号を出力させる。
【0007】
この場合、発音器がコントローラからの出力指令信号を受けた後、発音体が検査音を出力する迄の間には、制御回路の信号処理に起因した遅延時間が生じる。音圧検査装置がコントローラからの測定指令信号を受けた後、音圧検査装置が検査音の音圧の測定を開始する迄の間には、音圧検査装置の信号処理に起因した遅延時間が生じる。
【0008】
このため、コントローラが発音器に出力指令信号を出力する時刻と同一時刻で、コントローラが音圧検査装置に測定指令信号を出力した場合には、発音体が検査音の出力を開始する時刻と音圧検査装置が音圧測定を開始する時刻との間にずれが生じる場合がある。したがって、音圧検査装置が検査音の音圧を測定する精度が低下するおそれがある。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、検査音の音圧の測定精度を向上するようにした電気装置、および電気装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電気装置において、音を発生する発音体(30)と、
発音体から検査音を出力させる指令信号をコントローラ(110)から受信したとき、検査音を発音体から出力させることに先だって、検査音の音圧の測定開始タイミングを音圧検査装置(130)に通知するための音であるマーカ音を発音体から出力させるように発音体を制御する制御部(51)と、を備える。
【0011】
したがって、電気装置が音圧検査装置に測定開始タイミングを通知する。このため、発音体が検査音の出力を開始する時刻と音圧検査装置が音圧測定を開始する時刻との間のずれを小さくすることができる。これにより、検査音の音圧の測定精度を向上するようにした電気装置を提供することができる。
【0012】
請求項6に記載の発明では、電気装置の製造方法において、音を発生する発音体(30)と発音体を制御する制御部(51)とを備える電気装置(10)のワークを準備することと、
コントローラ(110)が検査音を発音体から発生させる指令信号をワークに出力することと、
ワークが、コントローラから指令信号を受信すると、検査音を発音体から発生させることに先だって検査音の測定開始タイミングを通知するための音であるマーカ音を発音体から発生させるように発音体を制御することと、
音圧検査装置(130)は、発音体から発生されるマーカ音、検査音を検出する検出部(120)の出力信号に基づいて、検出部でマーカ音を検出したタイミングに基づいた検査音の音圧測定開始のタイミングを判定し、この判定したタイミングにて発音体から発生される検査音の音圧の測定を開始することと、を含む。
【0013】
したがって、発音体が検査音の出力を開始する時刻と音圧検査装置が音圧測定を開始する時刻との間のずれを小さくすることができる。これにより、検査音の音圧の測定精度を向上するようにした電気装置の製造方法を提供することができる。
【0014】
ここで、ワークとは、電気装置を製造する工程において製造の途中の状態の電気装置のことである。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態における電気装置の全体の内部構成を示す模式図である。
図2】第1実施形態における電気装置の電気的構成を示すブロック図であり、不揮発性メモリに記録されている実使用音源、および検査用音源等の説明を補助するための図である。
図3】第1実施形態における図2の電気装置の不揮発性メモリに記録される副補正値の役割の説明を補助するための図である。
図4】第1実施形態における図2の電気装置のマイクロコンピュータで実行される接近通報音再生処理の詳細を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態における電気装置のワークの発音体から出力される音圧を検査工程にて測定するための製造システムの全体構成を示すブロック図である。
図6】第1実施形態における電気装置の製造工程の全体を示すフローチャートである。
図7】第1実施形態における電気装置の製造工程においてコントローラで実行される指令処理を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態における電気装置の製造工程において電気装置のワークで実行される検査処理を示すフローチャートである。
図9】第1実施形態における電気装置の製造工程において音圧検査装置で実行される音圧測定処理を示すフローチャートである。
図10】第1実施形態における電気装置の製造工程においてワークから出力されるマーカ音、周波数スイープ音、検査音、合成実使用音、および音圧検査装置の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の電気装置10の一実施形態について図1図10に基づいて説明する。
【0018】
電気装置10は、ハイブリット自動車や電気自動車等の自動車に搭載されている。電気装置10は、自動車が走行用電動機によって所定速度以下で走行されている際に自動車の周囲の歩行者に対して自動車が接近していることを知らせる接近通報音を発生する。
【0019】
具体的には、電気装置10は、図1に示すように、筐体20、発音体30、および回路基板40を備える。
【0020】
筐体20は、金属材料或いは樹脂材料によって構成されている。発音体30は、筐体20内に配置されて、接近通報音や検査音等の音を筐体20の外側に音を発生する。本実施形態の発音体30としては、例えば、ボイスコイルやダイアフラム等の振動体を有して電力増幅回路60の出力信号によって振動して音を発生させるスピーカを用いられている。
【0021】
回路基板40は、筐体20内に配置されている。回路基板40には、発音体30を駆動するための発音体駆動回路40Aが実装されている。このように、電気装置10は、発音体30および回路基板40が筐体20に収納されることにより、発音体30および回路基板40が一体化されている。
【0022】
次に、本実施形態の発音体駆動回路40Aの詳細について図2を参照して説明する。
【0023】
発音体駆動回路40Aは、図2に示すように、マイクロコンピュータ50、および電力増幅回路60を備える。マイクロコンピュータ50は、中央処理装置51、RAM52、ROM53、および不揮発性メモリ54を備える。中央処理装置51は、コンピュータプログラムの実行により、後述する接近通報処理や検査処理を実行する制御部である。
【0024】
中央処理装置51は、後述するように、接近通報処理の実行に伴って実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4に基づいた合成音源信号を電力増幅回路60に出力する。
【0025】
中央処理装置51は、検査処理の実行に伴って不揮発性メモリ54に記録されている検査用音源に基づいて検査信号を電力増幅回路60に出力する。
【0026】
RAM52は、中央処理装置51が作業領域として用いる書き込み可能な揮発性記録媒体である。ROM53は、中央処理装置51によって実行されるコンピュータプログラム等が記録された書き込み不可能な記録媒体である。
【0027】
不揮発性メモリ54は、非遷移的実体的記録媒体であって、中央処理装置51が実行するコンピュータプログラム、実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4、検査用音源が記録されている音源記録部である。不揮発性メモリ54は、主補正値の候補値群、実使用音源毎の副補正値(すなわち、複数の補正値)が記録されている。
【0028】
実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4は、それぞれ、電気装置10が自動車(すなわち、車両)に搭載された状態で、異なる周波数帯域の音を発生させるためのデジタルデータである。以下、説明の便宜上、実使用音源1、実使用音源2、実使用音源3、実使用音源4を実使用音源1、2、3、4とも記載する。
【0029】
本実施形態では、図3に示す実使用音源1の周波数帯域fw1の幅、実使用音源2の周波数帯域fw2の幅、実使用音源3の周波数帯域fw3の幅、実使用音源4の周波数帯域fw4の幅が同一に設定されている。本実施形態では、周波数帯域fw1の幅、周波数帯域fw2の幅、周波数帯域fw3の幅、周波数帯域fw4の幅は、それぞれ、例えば、1/3オクターブに設定されている。
【0030】
実使用音源1、2、3、4は、発音体30によって車両接近通報音等を発生させるために用いられる。
【0031】
主補正値は、実使用音源1、2、3、4のそれぞれを発音体30から再生される際に発音体30から発生される音圧を実使用音源毎に補正するために用いられる値である。
【0032】
主補正値は、後述するように、車両情報に基づいて決定される。本実施形態の車両情報とは、自動車の速度、自動車の進行方向等の車両状態、および自動車の仕向け地を示す情報である。
【0033】
ここで、進行方向とは、進行方向前側、および進行方向後側のうちいずれかを示す。このため、自動車が前進しているときと、自動車が後退しているときとで、主補正値として用いる値が代わることになる。
【0034】
そこで、本実施形態では、各種の車両状態や各種の仕向け地に対応した主補正値の候補値群が予め不揮発性メモリ54が記録されることになる。
【0035】
実使用音源毎の副補正値は、実使用音源1、2、3、4が発音体30から再生された際に、図3に示すように、実使用音源毎に発音体30から発生される音圧レベル「dB」を狙い値に近づけるための補正値である。本実施形態では、実使用音源1、2、3、4のそれぞれに対応する4つの副補正値が不揮発性メモリ54に記録されている。
【0036】
検査用音源は、音圧が一定である音源であって、実使用音源毎の副補正値を求めるために検査信号を発音体30に出力させるためのデジタルデータである。検査信号は、その周波数帯域FWが実使用音源1、2、3、4の周波数帯域fw1、fw2、fw3、fw4の全てを含むように設定されている。
【0037】
電力増幅回路60は、中央処理装置51から与えられる合成音源信号を電力増幅して発音体30に出力する。
【0038】
次に、本実施形態のマイクロコンピュータ50の中央処理装置51における接近通報処理の詳細について図4を参照して説明する。図4は、中央処理装置51における接近通報処理の詳細を示すフローチャートである。
【0039】
まず、中央処理装置51は、ステップS100において、実使用音源1、2、3、4のそれぞれに対応する4つの副補正値を不揮発性メモリ54から読み込む。
【0040】
次に、中央処理装置51は、ステップS110において、他の電子制御装置から与えられる車両信号に基づいて、実使用音源1、2、3、4に対応する4つの主補正値を不揮発性メモリ54に記録されている主補正値の候補値群から選択する。
【0041】
ここで、車両信号には、上述した車両状態や仕向け地を有する車両情報が含まれる。他の電子制御装置とは、自動車に搭載されて電気装置10との間で通信する車載電子制御装置である。
【0042】
具体的には、中央処理装置51は、不揮発性メモリ54の記録されている主補正値の候補値群のうち上述の車両の速度、進行方向、仕向け地等に合致した候補値を主補正値として実使用音源毎に選択する。
【0043】
すなわち、中央処理装置51は、主補正値の候補値群のうち上述の車両の速度、進行方向、仕向け地等に合致した4つの候補値を4つの主補正値として選択する。
【0044】
次に、中央処理装置51は、ステップS120において、音圧補正部として、不揮発性メモリ54から実使用音源1、2、3、4を読み込んで、この実使用音源1、2、3、4のそれぞれを主補正値および副補正値によって実使用音源毎に補正する。
【0045】
以下、このように主補正値および副補正値によって実使用音源毎に補正した実使用音源1、2、3、4のそれぞれを補正後実使用音源1、2、3、4という。
【0046】
ここで、音圧「Pa」は、電圧に対して正相関となる関係になっている。このため、中央処理装置51は、上述のステップS120において、実使用音源1、2、3、4の信号レベル(すなわち、電圧値)を実使用音源毎の主補正値および副補正値によって補正することにより、補正後実使用音源1、2、3、4を求めることができる。
【0047】
次に、中央処理装置51は、ステップS130において、補正後実使用音源1、2、3、4を合成して合成実使用音源を生成する。その後、中央処理装置51は、ステップS140において、上述のステップS130において生成した合成実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換して、この変換したアナログ信号を電力増幅回路60に出力する。
【0048】
すなわち、中央処理装置51は、ステップS130、S140において、補正後実使用音源1、2、3、4を合成して発音体30から再生させるように発音体30を制御することになる。
【0049】
中央処理装置51は、このようなステップS100の副補正値読み込み処理、ステップS110の主補正値読み込み処理、ステップS120の実使用音源補正処理、ステップS130の音源合成処理、ステップS140のDA変換処理を繰り返し実行する。
【0050】
これに伴い、電力増幅回路60は、中央処理装置51から出力されるアナログ信号を電力増幅してこの電力増幅されたアナログ信号を発音体30に出力する。これに伴い、発音体30は、電力増幅回路60から出力されるアナログ信号に基づいて接近通報音を発生する。
【0051】
次に、本実施形態の電気装置10の製造システム100について図5を参照して説明する。以下、説明の便宜上、電気装置10を製造する工程において途中の状態の電気装置10をワーク10Aという。
【0052】
製造システム100は、ワーク10Aの音圧を検査する製造工程において用いられる。具体的には、製造システム100は、図5に示すように、コントローラ110、マイク120、および音圧検査装置130を備える。
【0053】
コントローラ110は、マイクロコンピュータやメモリ等によって構成されている。コントローラ110は、後述するように、ワーク10Aに検査音を出力させる指令信号を出力したり、音圧検査装置130に音圧を測定させる指令信号を出力する指令処理を実行する。
【0054】
マイク120は、防音箱140内に配置されて、ワーク10Aの発音体30から出力される検査音を検出する検出部である。音圧検査装置130は、マイクロコンピュータやメモリによって構成されている。音圧検査装置130は、コンピュータ131とともに、マイク120で検出される検査音の音圧を測定する測定処理を実施する。
【0055】
次に、本実施形態の製造システム100を用いた製造工程について図6図7図8図9、10を参照して説明する。
【0056】
図6は、製造システム100を用いて実施される製造工程の詳細を示すフローチャートである。図7は、製造工程においてコントローラ110で実行される指令処理の詳細を示すフローチャートである。図8は、製造工程においてワーク10Aの中央処理装置51で実行される検査処理の詳細を示すフローチャートである。図9は、製造工程において音圧検査装置130で実行される音圧測定処理の詳細を示すフローチャートである。図10の(a)は、ワーク10Aの発音体30から出力されるマーカ音、周波数スイープ音、検査音、合成実使用音のタイミングチャートである。図10の(b)は、音圧検査装置130の作動を示すタイミングチャートである。
【0057】
まず、ステップS200の第1工程において、不揮発性メモリ54に実使用音源毎の副補正値が記録されていない電気装置10のワーク10Aを準備して防音箱140内に配置する。
【0058】
このとき、ワーク10Aとコントローラ110とが、LANで接続される。このことにより、ワーク10Aの発音体30から出力される音圧を測定するための準備が行われることになる。本実施形態のLANとしては、例えば、CAN通信が用いられる。LANとは、Local Area Networkの略である。
【0059】
次に、ステップS210の第2工程において、コントローラ110は、ワーク10Aに対して第1検査音としての周波数スイープ音を出力させる。コントローラ110は、音圧検査装置130によってワーク10Aから出力される周波数スイープ音の音圧を測定させる。
【0060】
次に、ステップS220の第3工程において、コントローラ110は、ワーク10Aに対して検査音を出力させる。コントローラ110は、音圧検査装置130によってワーク10Aから出力される検査音の音圧を測定させる。
【0061】
次に、ステップS230の第4工程において、コントローラ110は、ワーク10Aに対して合成実使用音を第2検査音として出力させる。コントローラ110は、音圧検査装置130によってワーク10Aから出力される実使用音毎の音圧を測定させる。
【0062】
以下、コントローラ110、ワーク10Aの中央処理装置51、および音圧検査装置130のそれぞれの処理について説明する。
【0063】
コントローラ110は、図7のフローチャートにしたがって、指令処理を実行する。ワーク10Aの中央処理装置51は、図8のフローチャートにしたがって、検査処理を実行する。音圧検査装置130は。図9のフローチャートにしたがって、音圧測定処理を実行する。
【0064】
まず、コントローラ110は、図7のステップS300において、ワーク10Aに対して検査音を出力させる指令信号を出力する。
【0065】
また、ワーク10Aの中央処理装置51は、図8のステップS400において、指令信号をコントローラ110から受信したか否かを判定する。このとき、中央処理装置51は、指令信号をコントローラ110から受信していないとき、NOとして判定して、ステップS400に戻る。
【0066】
その後、中央処理装置51は、コントローラ110からの指令信号を受信したとき、ステップS400において、YESとして判定する。これに伴い、中央処理装置51は、ステップS400において、検査信号としての周波数スイープ信号の出力に先立って、マーカ音信号を電力増幅回路60に出力する。
【0067】
ここで、マーカ音信号は、検査音の測定開始タイミングを音圧検査装置130に通知するための音であるマーカ音を発生させるための信号である。マーカ音は、図10に示すように、予め決められた一定時間Tsに亘って発音体30から出力されるように設定されている。マーカ音は、一定時間Tsに亘って予め決められた一定の周波数fsを有し、かつ一定時間Tsに亘って予め決められた一定の音圧Asを有する。
【0068】
その後、電力増幅回路60は、マーカ音信号を電力増幅して発音体30に出力する。このため、発音体30は、電力増幅回路60によって電力増幅されたマーカ音信号に基づいてマーカ音を出力する。
【0069】
ここで、図10に示すように、中央処理装置51は、コントローラ110からの指令信号を受信してから、発音体30がマーカ音を出力するまでの遅延時間が生じる。遅延時間は、中央処理装置51やLANの処理時間に起因している。
【0070】
一方、中央処理装置51は、マーカ音信号の出力が終了した終了タイミングから、予め決められた一定時間T1待機する。その後、中央処理装置51は、ステップS410において、周波数スイープ信号を生成して電力増幅回路60に出力する。すなわち、中央処理装置51は、マーカ音信号の出力の終了タイミングから、一定時間T1待機した後、周波数スイープ信号を生成して電力増幅回路60に出力する。
【0071】
本実施形態の周波数スイープ信号は、低い周波数から高い周波数に向かって徐々に周波数が上昇するように設定されている信号である。
【0072】
次に、電力増幅回路60は、周波数スイープ信号を電力増幅して発音体30に与えられる。このため、発音体30は、電力増幅回路60によって電力増幅された周波数スイープ信号に基づいて周波数スイープ音を出力する。周波数スイープ音は、低い周波数から高い周波数に向かって徐々に周波数が上昇するように設定されている音である。
【0073】
また、音圧検査装置130は、図9のステップS500において、マイク120で検出される音の音圧を求めるために、マイク120から出力される出力信号に対して音圧分析を実施する。以下、「マイク120から出力される出力信号」を簡素化して「マイク120の出力信号」とする。
この音圧分析の結果と音圧検査装置130のメモリに予め記録されているマーカ音情報とに基づいて、マーカ音を検出したか否かについて音圧検査装置130が判定する。
【0074】
本実施形態のマーカ音情報とは、マーカ音の周波数fs、音圧As、一定時間Tsである。一定時間Tsは、マーカ音が発音体30から継続して出力される出力時間である。
【0075】
このため、音圧検査装置130は、周波数fs、音圧Asの音が一定時間Tsに亘ってマイク120で検出されたか否かを判定することにより、マーカ音を検出したか否かを判定する。
ここで、音圧検査装置130は、マーカ音を検出してないときには、ステップS500において、NOと判定してステップS500に戻る。その後、音圧検査装置130は、マーカ音を検出したときには、ステップS500において、YESと判定する。
【0076】
次に、音圧検査装置130は、周波数スイープ音の音圧の測定を開始する測定開始タイミングに到達したとき、ステップS510において、マイク120の出力信号に基づいて、周波数スイープ音の音圧の測定を開始する。
具体的には、音圧検査装置130は、マイク120の出力信号に対して音圧分析を実施して周波数毎の音圧を求める。その後、音圧検査装置130は、周波数スイープ音の音圧測定を終了する。
ここで、測定開始タイミングとは、音圧検査装置130がマーカ音の検出を終了した検出終了タイミングから一定時間T1経過したタイミングである。
【0077】
検出終了タイミングとは、音圧検査装置130においてマーカ音を検出することを終了したタイミングである。すなわち、検出終了タイミングとは、音圧検査装置130においてマーカ音の検出を開始してから一定時間Ts経過したタイミングである。
【0078】
次に、コントローラ110は、図7のステップS310において、ワーク10Aに対して検査音を出力させる出力指令信号を出力するとともに、音圧検査装置130に対して検査音の音圧を測定させる測定指令信号を出力する。
【0079】
本実施形態では、コントローラ110が検査音の出力指令信号、測定指令信号を出力するタイミングは、発音体30から周波数スイープ音の出力が終了するタイミングから所定期間T2経過したと想定されるタイミングである。
【0080】
また、ワーク10Aの中央処理装置51は、図8のステップS420において、出力指令信号をコントローラ110から受信したか否かを判定する。このとき、中央処理装置51は、出力指令信号をコントローラ110から受信していないとき、NOとして判定して、ステップS420に戻る。
【0081】
その後、中央処理装置51は、コントローラ110からの出力指令信号を受信したとき、ステップS420において、YESとして判定する。
これに伴い、中央処理装置51は、ステップS430において、不揮発性メモリ54から音圧が一定である検査用音源を読み込んでこの検査用音源に基づいた検査信号を複数の周期に亘って電力増幅回路60に出力する。
検査信号は、周波数帯域Fwに亘って信号レベルが一定となるように設定されている信号である。
また、音圧検査装置130は、図9のステップS520において、測定指令信号をコントローラ110から受信したか否かを判定する。音圧検査装置130は、測定指令信号をコントローラ110から受信していないときには、ステップS520において、NOと判定する。
【0082】
その後、音圧検査装置130は、測定指令信号をコントローラ110から受信すると、ステップS520においてYESと判定する。
【0083】
これに伴い、音圧検査装置130は、ステップS530において、マイク120の出力信号に基づいて、検査音の音圧の測定を開始する。具体的には、音圧検査装置130は、マイク120の出力信号に対して音圧分析を実施して一周期分の検査音における周波数毎の音圧を求める。その後、音圧検査装置130は、一周期分の検査音の音圧測定を終了する。
【0084】
次に、コントローラ110は、図7のステップS320において、ワーク10Aに対して実使用音源を再生させる出力指令信号を出力するとともに、音圧検査装置130に対して実使用音源1、2、3、4の音圧を測定させる測定指令信号を出力する。
【0085】
本実施形態では、コントローラ110が実使用音源の出力指令信号、測定指令信号を出力するタイミングは、発音体30から検査音の出力が終了するタイミングから所定期間T3経過したと想定されるタイミングである。
【0086】
ワーク10Aの中央処理装置51は、図8のステップS440において、出力指令信号をコントローラ110から受信したか否かを判定する。中央処理装置51は、出力指令信号をコントローラ110から受信していないときには、ステップS440において、NOと判定する。
【0087】
その後、中央処理装置51は、出力指令信号をコントローラ110から受信したときには、ステップS440において、YESと判定する。すると、中央処理装置51は、ステップS450において、不揮発性メモリ54から実使用音源1、2、3、4を読み込んで実使用音源1、2、3、4を合成して合成実使用音源を求める。
【0088】
中央処理装置51は、この合成実使用音源に基づいた合成実使用音源信号を複数の周期に亘って電力増幅回路60に出力する。
【0089】
電力増幅回路60は、合成実使用音源信号を電力増幅して発音体30に出力する。このため、発音体30は、電力増幅回路60によって電力増幅された合成実使用音源信号に基づいて合成実使用音を出力する。
【0090】
一方、音圧検査装置130は、ステップS540において、測定指令信号をコントローラ110から受信したか否かを判定する。音圧検査装置130は、ステップS540において、測定指令信号をコントローラ110から受信していないとき、NOと判定する。
【0091】
その後、音圧検査装置130は、ステップS540において、測定指令信号をコントローラ110から受信すると、YESと判定する。これに伴い、音圧検査装置130は、ステップS550において、マイク120の出力信号に基づいて、合成実使用音の音圧の測定を開始する。
【0092】
具体的には、音圧検査装置130は、マイク120の出力信号に対して音圧分析を実施して一周期分の実使用音源毎の音圧を求める。その後、音圧検査装置130は、一周期分の実使用音源毎の音圧測定を終了する。
【0093】
以上により、製造工程に含まれる検査工程において、周波数スイープ音の音圧測定、検査音の音圧測定、実使用音源毎の音圧測定が実施される。
【0094】
以上説明した本実施形態によれば、電気装置10のワーク10Aは、音を発生する発音体30を備える。中央処理装置51は、発音体30から検査音を出力させる出力指令信号をコントローラ110から受信したとき、検査音を発音体30から出力させることに先だってマーカ音を発音体30から出力させるように発音体30を制御する。マーカ音は、検査音の音圧の測定開始タイミングを音圧検査装置130に通知するための音である。
【0095】
以上により、発音体30が検査音の発生を開始するタイミングと音圧検査装置130が検査音の音圧の測定を開始するタイミングとの間のずれを小さくすることができる。したがって、音圧検査装置130が検査音の音圧を測定する精度を向上することができる。
【0096】
本実施形態では、予め決められた一定時間Tsに亘って発音体30から出力されるように設定されている。
【0097】
マーカ音は、一定時間Tsに亘って予め決められた一定の周波数fsを有し、かつ一定時間Tsに亘って予め決められた一定の音圧Asを有するように設定されている。
【0098】
音圧検査装置130のメモリには、一定時間Ts、周波数fs、および音圧As等のマーカ音情報が記録されている。このため、音圧検査装置130は、メモリに記録されているマーカ音情報に基づいて、発音体30から出力される音がマーカ音であるか否かを高精度に判定することができる。
【0099】
これにより、ワーク10A、マイク120の周囲に騒音が生じていても、音圧検査装置130がマーカ音を誤って検出することを未然に防ぐことができる。
【0100】
本実施形態では、中央処理装置51は、コントローラ110からの出力指令信号を受信したとき、不揮発性メモリ54に記録されている検査用音源に基づいた検査信号を出力することを開始する。音圧検査装置130は、測定指令信号をコントローラ110から受信すると、検査音の音圧の測定を開始する。
【0101】
このため、中央処理装置51の処理時間や音圧検査装置130の処理時間、LANの処理時間に起因して、中央処理装置51が検査信号の出力を開始するタイミングと音圧検査装置130が検査音の音圧の測定を開始するタイミングがずれる虞がある。
【0102】
これに対して、本実施形態では、中央処理装置51が検査信号を複数の周期に亘って出力する期間中に、音圧検査装置130は一周期分の検査音の音圧を測定する。このため、音圧検査装置130による一周期分の検査音の音圧の測定を良好に実施することができる。
【0103】
本実施形態では、中央処理装置51は、コントローラ110からの再生指令信号を受信したとき、不揮発性メモリ54に記録されている実使用音源1、2、3、4を合成して合成実使用音源を求め、合成実使用音源に基づいた合成実使用音源信号を出力する。
【0104】
さらに、音圧検査装置130は、測定指令信号をコントローラ110から受信すると、マイク120の出力信号に基づいて、合成実使用音源の音圧の測定を開始する。
【0105】
このため、中央処理装置51、音圧検査装置130、LANのそれぞれの処理時間に起因して、中央処理装置51が合成実使用音源信号の出力を開始するタイミングと音圧検査装置130が合成実使用音源の音圧の測定を開始するタイミングがずれる虞がある。
【0106】
これに対して、本実施形態では、中央処理装置51が合成実使用音源信号を複数の周期に亘って出力する期間中に。音圧検査装置130が一周期分の合成実使用音源の音圧を測定する。このため、音圧検査装置130による一周期分の実使用音源毎の音圧を良好に測定をことができる。
【0107】
さらに、本実施形態によれば、電気装置10の製造方法は、音を発生する発音体30と発音体30を制御する中央処理装置51とを備える電気装置10のワーク10Aを準備するステップS200の第1工程を備える。
【0108】
電気装置10の製造方法は、ステップS210の第2工程において、コントローラ110が検査音としての周波数スイープ音を発音体30から発生させる出力指令信号をワーク10Aに出力する。
【0109】
ステップS210の第2工程において、ワーク10Aが、コントローラ110から出力指令信号を受信すると、周波数スイープ音を発音体30から発生させることに先だって、マーカ音を発音体30から発生させるように発音体30を制御する。マーカ音は、検査音の測定開始タイミングを通知するための音である。
【0110】
音圧検査装置130は、発音体30からのマーカ音、周波数スイープ音を検出するマイク120の出力信号に基づいて、マイク120でマーカ音を検出したタイミングに応じた周波数スイープ音の音圧の測定開始タイミングを判定する。
【0111】
マーカ音の検出終了タイミングとは、上述の如く、音圧検査装置130でマーカ音を検出することを終了したタイミングである。音圧検査装置130は、マーカ音の検出終了タイミングから経過した時間が一定時間T1に一致するとき、現時刻が測定開始タイミングであると判定する。
【0112】
音圧検査装置130は、ステップS210の第2工程にて、この判定した音圧の測定開始タイミングにて発音体30から発生される検査音の音圧の測定を開始する。
【0113】
以上により、発音体30が検査音の発生を開始するタイミングと、音圧検査装置130が検査音の音圧の測定を開始するタイミングとの間のずれを小さくすることができる。したがって、検査音の音圧を測定する精度を向上するようにした電気装置10の製造方法を提供することができる。
【0114】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、低い周波数から高い周波数に向かって徐々に周波数が上昇するように設定されている信号を周波数スイープ信号とした例について説明した。しかし、これに代えて、高い周波数から低い周波数に向かって徐々に周波数が下降するように設定されている信号を周波数スイープ信号としてもよい。
【0115】
(2)上記実施形態では、中央処理装置51がコンピュータプログラムの実行により音源を用いることなく、周波数スイープ信号を生成して出力した例について説明した。しかし、これに代えて、周波数スイープ信号の音源を不揮発性メモリ54に予め記録しておき、中央処理装置51が音源を再生して周波数スイープ信号を出力してもよい。
【0116】
(3)上記実施形態では、不揮発性メモリ54に記録されている4つの実使用音源1、2、3、4を用いて接近通報音を発音体30から発生させる例について説明した。
【0117】
しかし、これに代えて、不揮発性メモリ54に1つの実使用音源を記録させておき、1つの実使用音源を用いて接近通報音を発音体30から発生させてもよい。また、不揮発性メモリ54に記録されている実使用音源の個数は、2個又は3個でもよく、或いは5個以上でもよい。
【0118】
(4)上記実施形態では、不揮発性メモリ54に記録されている4つの実使用音源を主補正値および副補正値で補正して、この補正した4つの補正後実使用音源を合成した合成実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換した例について説明した。
【0119】
しかし、これに代えて、中央処理装置51は、次の(a)(b)のように、不揮発性メモリ54に記録されている複数の実使用音源のうちいずれかの実使用音源を選択してもよい。
【0120】
(a)例えば、上記選択した実使用音源の個数が1つの場合には、中央処理装置51は、この選択した1つの実使用音源を主補正値および副補正値で補正して補正後実使用音源を求める。さらに、中央処理装置51は、この求めた補正後実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換して電力増幅回路60に出力する。
【0121】
(b)上記選択した実使用音源の個数が複数個の場合には、この選択した複数の実使用音源を主補正値および副補正値で補正して複数の補正後実使用音源を求める。さらに、中央処理装置51は、複数の補正後実使用音源を合成して合成実使用音源を生成して、この生成した合成実使用音源をデジタル信号からアナログ信号に変換して電力増幅回路60に出力する。
【0122】
(5)上記実施形態では、本発明の電気装置を車両に搭載した状態で電気装置10が接近通報音を発生する例について説明した。しかし、これに代えて、本発明の電気装置を車両に搭載した状態で接近通報音以外の音を発生するようにしてもよい。
【0123】
(6)上記実施形態では、本発明の電気装置を自動車に搭載した電気装置10とした例について説明した。しかし、これに代えて、設置型の電気装置10や自動車以外の移動体(例えば、列車、電車、飛行機)に搭載される電気装置10を本発明の電気装置としてもよい。
【0124】
(7)上記実施形態では、マーカ音の後に出力される検査音を周波数スイープ音とした例について説明したが、これに限らず、周波数スイープ音以外の各種の音を検査音としてもよい。
【0125】
(8)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0126】
10 電気装置
10A ワーク
30 発音体
50 マイクロコンピュータ
51 中央処理装置
110 コントローラ
130 音圧検査装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10