(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183524
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】スパイラル型膜エレメント
(51)【国際特許分類】
B01D 63/10 20060101AFI20231221BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B01D63/10
B01D63/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097085
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】宇田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博充
(72)【発明者】
【氏名】別府 雅志
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006GA14
4D006HA62
4D006JA05A
4D006JA05C
4D006JA06A
4D006JA06C
4D006JA10C
4D006JA19A
4D006JA30Z
4D006JB06
4D006MA06
4D006MC11
4D006MC45
4D006MC54
4D006MC56
4D006MC65
4D006PA01
4D006PB03
4D006PB08
(57)【要約】
【課題】分離膜の内周側端部の周辺における封止構造の信頼性を向上させることができるスパイラル型膜エレメントを提供する。
【解決手段】有孔の中心管5と、その中心管5に巻回されており、内周側端部で屈曲させて供給側面を対向させた分離膜1とその分離膜1の間に介在する供給側流路材2とを含む巻回体と、供給側流路と透過側流路との混合を防止する封止部13と、を備えるスパイラル型膜エレメントであって、前記供給側流路材2は、少なくとも内周側端部において中央部に比較して厚みのより小さい厚み調整部2aを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有孔の中心管と、その中心管に巻回されており、内周側端部で屈曲させて供給側面を対向させた分離膜とその分離膜の間に介在する供給側流路材とを含む巻回体と、供給側流路と透過側流路との混合を防止する封止部と、を備えるスパイラル型膜エレメントであって、
前記供給側流路材は、少なくとも内周側端部において中央部に比較して厚みのより小さい厚み調整部を有する、スパイラル型膜エレメント。
【請求項2】
前記厚み調整部は、先端側ほど厚みが薄い形状である、請求項1に記載のスパイラル型膜エレメント。
【請求項3】
前記供給側流路材は、前記内周側端部と外周側端部とに前記厚み調整部を有する、請求項1に記載のスパイラル型膜エレメント。
【請求項4】
前記分離膜の供給側面には、前記内周側端部に沿って設けられた保護層を備える、請求項1~3いずれか1項に記載のスパイラル型膜エレメント。
【請求項5】
前記内周側端部に設けられる前記厚み調整部の幅が、前記保護層の幅の半分の長さに対して、0.2~2倍である、請求項4に記載のスパイラル型膜エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内周側端部で屈曲させた分離膜とその分離膜の間に介在する供給側流路材とを含むスパイラル型膜エレメント(以下、「膜エレメント」と略称する場合がある)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスパイラル型膜エレメントは、例えば、
図1に示すように、対向する分離膜1の間に透過側流路材3が介在する複数の膜リーフLと、膜リーフLの間に介在する供給側流路材2と、膜リーフL及び供給側流路材2を巻回した有孔の中心管5と、供給側流路と透過側流路との混合を防止する封止部11,12,13と、を備えるものが一般的である。
【0003】
このような膜エレメントは、例えば、
図2A~
図2Bに示すように、分離膜1を屈曲させて供給側面を対向させた間に供給側流路材2を配置したものと透過側流路材3とを積み重ね、両端封止部11と外周側封止部12とを形成するための接着剤4,6を、透過側流路材3の軸心方向A1の両端部及び巻回の外周側端部に塗布した分離膜ユニットUを準備した後、
図2Cに示すように、分離膜ユニットUを積層してから、中心管5を矢印の方向に回転させて、複数の分離膜ユニットUを中心管5に巻回することで、製造されていた。
【0004】
また、特許文献1に記載されているように、分離膜1を屈曲させる際に、屈曲部を保護する目的で、分離膜1の供給側面には、内周側端部に沿って保護テープを貼着する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図6に示すように、分離膜ユニットUの積層体を中心管5に巻回する際、供給側流路材2の厚みに応じて、分離膜1の内周側端部の屈曲厚み(例えば曲率半径)が大きくなり、これに伴って三角形状の段差Sが生じ易くなる。その結果、透過側流路材3に塗布された接着剤によって形成される中心管5回りの中央側封止部13にも間隙が生じやすくなり、分離膜1の内周側端部の周辺における封止構造の信頼性が低下するという懸念があった。特に、保護テープ等を分離膜1の供給側面の内周側端部に設ける場合、保護テープ等によって分離膜1の内周側端部の屈曲厚みが更に増加し、上記のような封止構造の信頼性が問題となり易い。
【0007】
そこで、本発明の目的は、分離膜の内周側端部の周辺における封止構造の信頼性を向上させることができるスパイラル型膜エレメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、以下の如き本発明によって達成できる。
【0009】
即ち、本発明のスパイラル型膜エレメントは、有孔の中心管と、その中心管に巻回されており、内周側端部で屈曲させて供給側面を対向させた分離膜とその分離膜の間に介在する供給側流路材とを含む巻回体と、供給側流路と透過側流路との混合を防止する封止部と、を備えるスパイラル型膜エレメントであって、前記供給側流路材は、少なくとも内周側端部において中央部に比較して厚みのより小さい厚み調整部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のスパイラル型膜エレメントによると、より厚み小さい供給側流路材の厚み調整部が、分離膜が屈曲する内周側端部に介在することで、分離膜の内周側端部の屈曲厚み(例えば曲率半径)が低減されるため、中心管の周囲に配置した複数の分離膜の内周側端部の段差が小さくなり、内周側端部の周辺における封止構造の信頼性を向上させることができる。また、供給側流路材の厚み調整部が、分離膜が屈曲する内周側端部に介在することで、厚みが一定の供給側流路材を介在させる場合と比較して、分離膜が屈曲する内周側端部に、厚み調整部の先端が安定して入り込み易くなる。このため、供給側流路材の先端が均一な位置に配置され易く、封止構造のバラツキが生じにくくなる結果、封止構造の信頼性を向上させることができる。
【0011】
上記において、前記厚み調整部は、先端側ほど厚みが薄い形状であることが好ましい。この構成により、分離膜の内周側端部の屈曲厚み(例えば曲率半径)がより低減されるため、中心管の周囲に配置した複数の分離膜の内周側端部の段差をより小さくして、内周側端部の周辺における封止構造の信頼性をより向上させることができる。
【0012】
また、前記供給側流路材は、前記内周側端部と外周側端部とに前記厚み調整部を有することが好ましい。このように、外周側端部にも厚みのより小さい厚み調整部を設けることにより、一定の外径を有するスパイラル型膜エレメントに充填される分離膜の有効膜面積を増加させることができる。その際、供給側流路材の外周側端部の付近は分離機能に寄与しにくいため、厚みのより小さい厚み調整部を設けてもデメリットは小さいものとなる。また、巻回体の外周面においても、段差を小さくすることができる。
【0013】
更に、上記いずれの場合においても、前記分離膜の供給側面には、前記内周側端部に沿って設けられた保護層を備えることが好ましい。保護層を備えることで、分離膜の内周側端部の損傷を防止して封止構造を良好に維持することができるが、保護層によって分離膜の内周側端部の屈曲厚み(例えば曲率半径)が増加しやすいところ、本発明のような厚み調整部を設けることにより、屈曲厚みを低減して封止構造の信頼性をより向上させることができる。
【0014】
上記の際、前記内周側端部に設けられる前記厚み調整部の幅が、前記保護層の幅の半分の長さに対して、0.2~2倍であることが好ましい。厚み調整部の幅が、このような比率であると、分離膜の分離機能を十分維持させながら、分離膜の内周側端部の周辺における封止構造の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、分離膜の内周側端部の周辺における封止構造の信頼性を向上させることができるスパイラル型膜エレメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】膜リーフ及び供給側流路材が中心管に巻回された巻回体の一例を示す、一部を切り欠いた斜視図である。
【
図2A】本発明のスパイラル型膜エレメントに使用する分離膜ユニットの一例を示す平面図である。
【
図2B】本発明のスパイラル型膜エレメントに使用する分離膜ユニットの一例を示す正面図である。
【
図2C】本発明のスパイラル型膜エレメントに使用する分離膜ユニットを積層して巻回する前の状態の一例を示す正面図である。
【
図3】本発明のスパイラル型膜エレメントの要部の一例を示す正面視断面図である。
【
図4A】本発明に用いることができる供給側流路材の例を示す正面視断面図である。
【
図4B】本発明に用いることができる供給側流路材の例を示す正面視断面図である。
【
図4C】本発明に用いることができる供給側流路材の例を示す正面視断面図である。
【
図4D】本発明に用いることができる供給側流路材の例を示す正面視断面図である。
【
図5】加熱プレスの条件を変えて得られた供給側流路材の厚み調整部の例を示す写真である。
【
図6】従来のスパイラル型膜エレメントの要部の一例を示す正面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(スパイラル型膜エレメント)
本発明のスパイラル型膜エレメントは、例えば
図1に示すように、有孔の中心管5と、その中心管5に巻回されており、内周側端部で屈曲させて供給側面を対向させた分離膜1とその分離膜1の間に介在する供給側流路材2とを含む巻回体Rと、供給側流路と透過側流路との混合を防止する封止部11,12,13と、を備えるものである。
【0018】
本発明のスパイラル型膜エレメントは、例えば
図3に示すように、供給側流路材2が、少なくとも内周側端部において中央部に比較して厚みのより小さい厚み調整部2aを有するが、供給側流路材2以外の点については、従来のスパイラル型膜エレメントの構成が、何れも採用できる。
【0019】
図1及び
図3には、膜リーフLにおいて対向する分離膜1の間に透過側流路材3が介在する例が示されているが、分離膜1の透過側の表面に凹凸又は溝などを設けて、透過側流路を分離膜1自体に形成することも可能であり、その場合、透過側流路材3を省略することが可能である。
【0020】
本実施形態では、封止部が両端封止部11と外周側封止部12とを含む例を示す。封止部のうち、両端封止部11は、膜リーフLの軸心方向A1の両側における二辺端部を接着剤で封止したものである。外周側封止部12は、膜リーフLの外周側先端の端部を接着剤で封止したものである。
【0021】
また、本発明では、
図1に示すように、中心管5と膜リーフLの基端部の軸心方向A1の両側を接着剤で封止した中央側封止部13を有することが好ましい。本実施形態の膜エレメントは、このような中央側封止部13を介して、膜リーフL及び供給側流路材2が中心管5に巻回された巻回体Rを有している。
【0022】
上記のような巻回体Rを有する膜エレメントは、例えば
図2A~
図2Cに示す工程により製造することができる。
図2Aは分離膜ユニットUの平面図であり、
図2Bは分離膜ユニットUの正面図であり、
図2Cは分離膜ユニットUを積層して巻回する前の状態を示す正面図である。
【0023】
まず、
図2A及び
図2Bに示すように、分離膜1を2つ折りにして屈曲させて供給側面を対向させ、その間に供給側流路材2を配置したものと透過側流路材3とを積み重ねる。次いで、両端封止部11と外周側封止部12とを形成するための接着剤4,6を、透過側流路材3の軸心方向A1の両端部及び巻回の先端部に塗布した分離膜ユニットUを準備する。このとき、分離膜1の折り目部分に保護テープを貼り付けるなどして、保護層を設けてもよい。
【0024】
接着剤4,6としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを採用することができる。具体的には、例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等、従来公知のいずれの接着剤も使用することができる。
【0025】
次ぎに、
図2Cに示すように、他のものより延長した部分を有する透過側流路材3の上に、膜リーフLと同数の分離膜ユニットUを積層して、分離膜ユニットUの積層体を準備する。このとき、最も下側の透過側流路材3の延長部分の軸心方向A1の両端部にも接着剤を塗布しておくことで、中央側封止部13を形成することができる。
【0026】
次いで、
図2Cに示すように、有孔の中心管5を矢印の方向に回転させて、複数の分離膜ユニットUを中心管5に巻回する。このとき、接着剤4,6が、対向する分離膜1と透過側流路材3とを接着することにより、両端封止部11と外周側封止部12とを有する膜リーフLが形成される。
【0027】
その結果、
図1に示すように、膜リーフL及び供給側流路材2が中心管5に巻回された巻回体Rが形成される。封止後の巻回体Rは、軸心方向A1の長さを調整するために、両端部のトリミング等を行ってもよい。
【0028】
必要に応じて、膜エレメントの巻回体Rの上流側には、シールキャリア等の上流側端部材が設けられ、下流側にはアンチテレスコープ材等の下流側端部材が設けられる。更に、耐圧性の向上等を目的として、外装材を設けてることも可能である。
【0029】
外装材としては、特に限定されず、各種シート、フィルム、テープ等が挙げられ、必要に応じて、補強のために繊維補強樹脂(FRP)などが使用される。繊維補強樹脂の形成方法としては、繊維に硬化性樹脂を含浸させたロービングを使用して、これを巻回体Rの外周に巻き付ける方法が好ましい。
【0030】
一般的な8インチ径のスパイラル型膜エレメントにおいては、膜リーフLは15~30組程度巻回されるが、本発明では、供給側流路材2として、少なくとも内周側端部において中央部に比較して厚みのより小さい厚み調整部2aを有するものを使用するため、単位体積当たりの有効膜面積を増加させることができる。特に、内周側端部と外周側端部とに厚み調整部2aを有する供給側流路材2を用いることで、有効膜面積をより増加させることができる。
【0031】
膜エレメントを使用する際は、圧力容器(ベッセル)内に収容され、供給液は膜エレメントの一方の端面側から供給される。供給された供給液は、供給側流路材2に沿って中心管5の軸心方向A1に平行な方向に流れ、膜エレメントの他方の端面側から濃縮液として排出される。また、供給液が供給側流路材2に沿って流れる過程で分離膜1を透過した透過液は、透過側流路材3に沿って流動した後に、開孔5aから中心管5の内部に流れ込み、この中心管5の端部から排出される。
【0032】
(供給側流路材)
供給側流路材2としては、厚み調整部2aを設けること以外は、従来のものと特に変わりがなく、従来のものが何れも使用できる。供給側流路材2は一般に、膜面に流体を満遍なく供給するための間隙を確保する役割を有する。このような供給側流路材2は、例えばネット、編み物、凹凸加工シートなどを用いることができ、適当な厚さを有するものを適宜用いることができる。また、流路材は分離膜1の両面に設置するのが好ましいが、供給液側に設ける供給側流路材2と、透過液側に設ける透過側流路材3として、異なる流路材を用いることが一般的である。供給側流路材2では目が粗く厚いネット状の流路材を用いる一方で、透過側流路材3では目の細かい織物や編物の流路材を用いることが好ましい。
【0033】
本発明では、供給側流路材2として、例えば
図3に示すように、少なくとも内周側端部において中央部に比較して厚みのより小さい厚み調整部2aを有するものを使用することを特徴とする。例えば
図3に示すように、供給側流路材2の厚み調整部2aが、分離膜1が屈曲する内周側端部に介在することで、分離膜1の内周側端部の屈曲厚み(例えば曲率半径)が低減されるため、中心管5の周囲に配置した複数の分離膜1の内周側端部の段差Sが小さくなり、接着剤等のボイド(空隙)が生じにくくなる結果、内周側端部の周辺における封止構造(中央側封止部13)の信頼性を向上させることができる。
【0034】
なお、巻回前に塗布した接着剤等により中央側封止部13を形成した後に、更に巻回体Rの端面に接着剤等を塗布することで、封止構造の信頼性をより向上させることも可能である。その場合においても、内周側端部に厚み調整部2aを有することで、封止構造の信頼性をより向上させることができる。
【0035】
ここで、厚み調整部2aとしては、例えば
図4Dに示すように、供給側流路材2の中央部の厚みTと比較して、より小さい厚みTaの部分を有していればよい。本発明において、供給側流路材2の「中央部」とは、供給側流路材2の内周側端部と外周側端部との中央、かつ軸心方向A1の中央の位置を指している。供給側流路材2の厚み調整部2a以外の領域は、供給側流路材2の中央部を含めて、通常、同じ厚みTを有しているが、本発明では厚み調整部2aを少なくとも内周側端部に有していればよく、厚み調整部2a以外において、供給側流路材2の厚みTが変動するものであってもよい。
【0036】
また、供給側流路材2の構造によっては、どの部分を測定するかにより、厚みTの測定値が異なる場合が生じる。例えば、供給側流路材2を構成する線材の交点部が供給側流路材2の最大厚みとなる場合には、交点部以外の部分では厚みが小さくなる傾向がある。このため、本発明では、供給側流路材2における繰り返し構造の中で、同じ構成部分同士を比較して、厚みの大小を決定する。例えば、繰り返し構造の中で供給側流路材2の最大厚みとなる部分が交点部である場合、厚み調整部2aに相当し得る部分の交点部の厚みを測定して、より小さい厚みの部分を有しているか判別する。
【0037】
従って、上記のような交点部を有する供給側流路材2の場合、中央部における当該交点部の厚みと比較して、より小さい厚みとなる線材の交点部を有する部分が厚み調整部2aに相当する。また、供給側流路材2を構成する線材自身が、中央部における線材と比較して、より小さい厚みとなる線材を有する場合にも、より小さい厚みとなる線材の部分が、厚み調整部2aに相当する。つまり、本発明では、供給側流路材2における繰り返し構造の中の何れかの構成部分で、より小さい厚みとなる部分が存在すれば、これが厚み調整部2aに相当する。
【0038】
本発明では、このような厚み調整部2aを少なくとも内周側端部に有していればよく、その正面視断面の形状や、供給側流路材2の繰り返し構造は、何れであってもよい。例えば、
図4Dに示すように、厚み調整部2aの厚みTaは一定でもよいが、
図4A~
図4Cに示すように、前述した理由より、先端側A2ほど厚みが薄い形状であることが好ましい。
【0039】
また、
図4Aに示すように、供給側流路材2の先端が尖った形状でもよく、
図4Bに示すように、供給側流路材2の先端が曲面からなる形状でもよい。この両者を比較した場合、供給側流路材2の先端を均一な位置に配置する観点から、供給側流路材2の先端が曲面からなる形状であることが、より好ましい。
【0040】
更に、厚み調整部2aの形状は、
図4Cに示すように、上下に非対称であってもよいが、製造工程の工程管理の観点から、厚み調整部2aの形状が上下に対称であることが好ましい。
【0041】
供給側流路材2は、少なくとも内周側端部に厚み調整部2aを有していればよく、内周側端部のみ、内周側端部と外周側端部、又は内周側端部と外周側端部と軸心方向A1の両端部の一方もしくは両方、などでもよい。特に、前述した理由より、内周側端部と外周側端部とに厚み調整部2aを有することが好ましい。
【0042】
厚み調整部2aの幅Wや正面視断面の形状は、多少変化していてもよいが、封止構造のバラツキを生じにくくする観点から、一定又は略一定であることが好ましい。
【0043】
内周側端部における厚み調整部2aの幅Wとしては、屈曲厚みの低減効果と封止構造の安定性の観点から、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。また、厚み調整部2aの幅Wは、分離機能を良好に維持する観点から、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。
【0044】
外周側端部に厚み調整部2aを設ける場合の幅Wとしては、外周面における段差の低減の観点から、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。また、外周側端部における厚み調整部2aの幅Wは、分離機能を良好に維持する観点から、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。なお、外周側端部における厚み調整部2aの幅Wと、内周側端部における厚み調整部2aの幅Wとは、同一でも異なっていてもよい。
【0045】
例えば、RO膜やNF膜を用いる海水淡水化や排水処理等の用途の場合、供給側流路材2としては、線状物を格子状に配列した網目構造のものを好ましく利用することができる。
【0046】
構成する材料としては特に限定されるものではないが、ポリエチレンやポリプロピレンなどが用いられる。これらの樹脂は殺菌剤や抗菌剤を含有していてもよい。この供給側流路材2の厚さは、一般に0.3~3.0mmであり、0.5~1.0mmが好ましい。厚さが厚すぎると膜エレメントに収容できる膜の有効膜面積とともに透過量が減ってしまい、逆に薄すぎると汚染物質が付着しやすくなるため、透過性能の劣化が生じやすくなる。
【0047】
供給側流路材2の厚み調整部2aは、封止構造の信頼性をより向上させる観点から、このような供給側流路材2の厚さに対して、50%以下の厚み部分を少なくとも一部に有することが好ましく、30%以下の厚み部分を少なくとも一部に有することがより好ましく、20%以下の厚み部分を少なくとも一部に有することが更に好ましい。
【0048】
供給側流路材2に厚み調整部2aを形成する方法としては、一定幅の供給側流路材2を製造する際に厚み調整部2aを形成する方法でもよいが、製造効率の観点から、厚みが一定の供給側流路材2を一定幅又は所定形状に裁断した後に、対象となる単数又は複数の端部に、厚み調整部2aを形成する方法が好ましい。供給側流路材2を一定幅に裁断した後に、連続加工により、一方又は両方の端部に、厚み調整部2aを形成することも可能である。
【0049】
厚み調整部2aを形成する方法としては、加熱加圧、加熱変形、研削加工、研磨加工、超音波処理など何れでもよいが、加熱プレス、加熱ロールプレスなどの加熱加圧、超音波印加プレスなどの超音波処理が好ましい。
【0050】
具体的には、例えば
図5に示すように、網目構造のネットに対して、各種条件で加熱プレスを行なうことで、厚みの異なる厚み調整部2aを形成することができる。
図5に示す例は、ポリプロピレン(PP)製のダイヤモンド型ネット(交点部の厚み0.86mm)を用いて、加熱プレスする際の条件として、プレス荷重80kgf、プレス幅15mmで、温度と時間を変えて、加熱プレスしてものである。
【0051】
図5に示すように、交点部が潰れて厚みが小さくなっていることが分かり、高温で時間が長いほど、厚みが薄くなることが確認できる。つまり、供給側流路材2の材質や構造に応じて、加熱プレスの条件を変えることで所望の厚みの厚み調整部2aを形成することができる。例えば、ポリプロピレンの熱変形開始温度は、60~65℃であるが、ポリエチレンの場合、30~50℃であるため、より低温の加熱加圧により、厚み調整部2aを形成することができる。
【0052】
なお、加熱プレスした後に端辺を切断して、端辺が直線状になるようにトリミングしたり、厚み調整部2aの先端の長さを調整して、所望の幅を有する供給側流路材2とすることも可能である。
【0053】
(中心管)
中心管5は、管の周囲に開孔5aを有するものであれば良く、従来のものが何れも使用できる。一般に海水淡水化や排水処理等で用いる場合には、分離膜1を経た透過水が壁面の孔から中心管5中に侵入し、透過側流路を形成する。中心管5の長さは巻回体Rの軸方向長さより長いものが一般的だが、複数に分割するなど連結構造の中心管5を用いてもよい。中心管5を構成する材料としては特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が用いられる。
【0054】
(透過側流路材)
透過側流路材3としては、従来のものが何れも使用できる。透過側流路材3は、海水淡水化や排水処理等の用途において、RO膜やNF膜を用いる場合に、例えば
図1に示すように、膜リーフLにおいて対向する分離膜1の間に介在するように設けられる。この透過側流路材3には膜にかかる圧力を膜背面から支えるとともに、透過液の流路を確保することが求められる。
【0055】
このような機能を確保するために、トリコット編物により透過側流路材3が形成されていることが好ましく、編物形成後に樹脂補強又は融着処理されたトリコット編物であることがより好ましい。
【0056】
透過側流路材3の構成糸としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなどが挙げられる。なかでも、加工性と生産性の観点からポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
【0057】
編物形成後に樹脂補強を行なう場合、繊維中に樹脂を含浸して硬化させたり、繊維表面に樹脂を被覆して硬化させる方法などが挙げられる。補強に使用する樹脂としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、などが挙げられる。
【0058】
透過側流路材3の構成糸は、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよいが、一定の太さの構成糸によって、トリコット編物が形成される。トリコット編物のなかでも、直線状に連続する溝の構造が明確なハーフ編みやダブルデンビー編みが好ましい。
【0059】
透過側流路材3の厚みは、0.10~0.40mmが好ましく、0.15~0.35mmがより好ましく、0.20~0.30mmが更に好ましい。厚みが0.10mm以上であると、十分な流路が確保され、透過液の圧力損失を低減できる。また、厚みが0.40mm以下であると、膜エレメントにおける分離膜の有効膜面積が大きくなり、透過液の流量を増加させ易くなる。透過側流路材3の構成糸は、上記の厚みのトリコット編物を形成する上で、0.1~0.15mmが好ましい。
【0060】
膜エレメントにおいて透過側流路材3を配置する方向は、いずれでもよいが、直線状に連続する溝の方向が周方向に沿った方向で巻回されていることが好ましい。
【0061】
(分離膜)
分離膜1としては、従来のものが何れも使用できる。例えば各種の多孔質膜等を使用することもできるが、多孔性支持体の表面に分離機能層を有する複合半透膜が好ましい。多孔性支持体としては、不織布層の片面にポリマー多孔質層を有するものが好ましい。分離膜、特に複合半透膜の厚さは70~160μm程度が好ましく、85~130μmがより好ましい。
【0062】
このような複合半透膜はその濾過性能や処理方法に応じてRO(逆浸透)膜、NF(ナノ濾過)膜、FO(正浸透)膜と呼ばれ、超純水製造や、海水淡水化、かん水の脱塩処理、排水の再利用処理などに用いることができる。
【0063】
分離機能層としては、ポリアミド系、セルロース系、ポリエーテル系、シリコン系、などの分離機能層が挙げられるが、ポリアミド系の分離機能層を有するものが好ましい。ポリアミド系の分離機能層としては、一般に、視認できる孔のない均質膜であって、所望のイオン分離能を有する。この分離機能層としてはポリマー多孔質層から剥離しにくいポリアミド系薄膜であれば特に限定されるものではないが、例えば、多官能アミン成分と多官能酸ハライド成分とを多孔性支持膜上で界面重合させてなるポリアミド系分離機能層がよく知られている。
【0064】
前記ポリアミド系分離機能層をポリマー多孔質層の表面に形成する方法は特に制限されずにあらゆる公知の方法を用いることができる。例えば、界面重合法、相分離法、薄膜塗布法などの方法が挙げられるが、本発明では特に界面重合法が好ましく用いられる。界面重合法は例えば、ポリマー多孔質層上を多官能アミン成分含有アミン水溶液で被覆した後、このアミン水溶液被覆面に多官能酸ハライド成分を含有する有機溶液を接触させることで界面重合が生じ、スキン層を形成する方法である。
【0065】
前記アミン水溶液に含まれる多官能アミン成分は、2以上の反応性アミノ基を有する多官能アミンであり、芳香族、脂肪族、及び脂環式の多官能アミンが挙げられる。前記芳香族多官能アミンとしては、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、N,N’-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジアミン等が挙げられる。前記脂肪族多官能アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、n-フェニル-エチレンジアミン等が挙げられる。前記脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、4-アミノメチルピペラジン等が挙げられる。これらの多官能アミンは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に本発明では、逆浸透膜性能において高阻止率を求める場合には緻密性の高い分離機能層が得られるm-フェニレンジアミンを主成分とすることが好ましく、また、NF膜性能において高いFlux保持率を求める場合にはピペラジンを主成分とすることが好ましい。
【0066】
前記有機溶液に含まれる多官能酸ハライド成分は、反応性カルボニル基を2個以上有する多官能酸ハライドであり、芳香族、脂肪族、及び脂環式の多官能酸ハライドが挙げられる。前記芳香族多官能酸ハライドとしては、例えば、トリメシン酸トリクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸トリクロライド、ベンゼンジスルホン酸ジクロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。前記脂肪族多官能酸ハライドとしては、例えば、プロパンジカルボン酸ジクロライド、ブタンジカルボン酸ジクロライド、ペンタンジカルボン酸ジクロライド、プロパントリカルボン酸トリクロライド、ブタントリカルボン酸トリクロライド、ペンタントリカルボン酸トリクロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド等が挙げられる。前記脂環式多官能酸ハライドとしては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸トリクロライド、シクロブタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタントリカルボン酸トリクロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロヘキサントリカルボン酸トリクロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタンジカルボン酸ジクロライド、シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。これら多官能酸ハライドは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。高塩阻止性能のスキン層を得るためには、芳香族多官能酸ハライドを用いることが好ましい。また、多官能酸ハライド成分の少なくとも一部に3価以上の多官能酸ハライドを用いて、架橋構造を形成することが好ましい。
【0067】
前記多官能酸ハライドを含有させる有機溶媒としては、水に対する溶解度が低く、多孔性支持膜を劣化させることなく、多官能酸ハライド成分を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びノナン等の飽和炭化水素、1,1,2-トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン置換炭化水素などを挙げることができる。好ましくは沸点が300℃以下、さらに好ましくは沸点が200℃以下の飽和炭化水素である。
【0068】
前記アミン水溶液や有機溶液には、各種性能や取り扱い性の向上を目的とした添加剤を加えてもよい。前記添加剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などのポリマー、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールや、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤、重合により生成するハロゲン化水素を除去する水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、及びトリエチルアミン等の塩基性化合物、アシル化触媒及び、特開平8-224452号公報記載の溶解度パラメータが8~14(cal/cm3)1/2の化合物などが挙げられる。
【0069】
前記分離機能層の露出表面には、各種ポリマー成分からなるコーティング層を設けてもよい。前記ポリマー成分は、分離機能層及び多孔性支持膜を溶解せず、また水処理操作時に溶出しないポリマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、及びケン化ポリエチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらのうち、ポリビニルアルコールを用いることが好ましく、特にケン化度が99%以上のポリビニルアルコールを用いるか、ケン化度90%以上のポリビニルアルコールを前記スキン層のポリアミド系樹脂と架橋させることで、水処理時に溶出しにくい構成とすることが好ましい。このようなコーティング層を設けることにより、膜表面の電荷状態が調整されるとともに親水性が付与されるため、汚染物質の付着を抑制することができ、さらに本発明との相乗効果によりFlux保持効果をより高めることができる。
【0070】
本発明に用いられる不織布層としては、前記複合半透膜の分離性能および透過性能を保持しつつ、適度な機械強度を付与するものであれば特に限定されるものではなく、市販の不織布を用いることができる。この材料としては例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロースなどからなるものが用いられ、複数の素材を混合したものも使用することができる。特に成形性の点ではポリエステルを用いることが好ましい。また適宜、長繊維不織布や短繊維不織布を用いることができるが、ピンホール欠陥の原因となる微細な毛羽立ちや膜面の均一性の点から、長繊維不織布を好ましく用いることができる。
【0071】
前記ポリマー多孔質層としては、前記ポリアミド系分離機能層を形成しうるものであれば特に限定されないが、通常、0.01~0.4μm程度の孔径を有する微多孔層である。前記微多孔層の形成材料は、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンに例示されるポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンなど種々のものをあげることができる。特に化学的、機械的、熱的に安定である点からポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンを用いたポリマー多孔質層を形成することが好ましい。
【0072】
(保護層)
分離膜1の供給側面には、内周側端部(屈曲部)に沿って設けられた保護層を備えることが好ましい。このような保護層により、屈曲部の分離膜1が供給側に露出する場合と比較して、分離膜1を損傷しにくくすることができる。
【0073】
保護層は、分離膜1の供給側面の屈曲部の中心線に対して、保護層の両端が平行になるように形成することが好ましく、屈曲部の中心線が保護層の中央に配置されることがより好ましい。
【0074】
保護層を設ける幅としては、例えば25~50mmである。本発明では、保護層の幅の半分の長さに対して、内周側端部に設けられる厚み調整部2aの幅Wが、0.2~2倍が好ましく、0.3~1.5倍がより好ましく、0.5~1倍が更に好ましい。厚み調整部2aの幅Wが、このような比率であると、分離膜1の分離機能を十分維持させながら、分離膜1の内周側端部の周辺における封止構造の信頼性を向上させることができる。
【0075】
このような保護層としては、粘着テープ、フィルムの接着、樹脂塗工、などが挙げられるが、形成工程の簡易性や材料の溶出性の観点から、粘着テープを用いることが好ましい。
【0076】
保護層の厚みとしては、例えば25~100μmであるが、保護層の厚みが厚いほど、内周側端部に設けられる厚み調整部2aによる、屈曲厚み(例えば曲率半径)の低減効果が、より有効になる。
【0077】
(スパイラル型膜エレメントの別の実施形態)
以上の説明に於いては、本発明の最も好適な実施態様について説明した。しかし、本発明は当該実施態様に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の範囲で種々の変更が可能である。
【0078】
即ち、前記の実施態様に於いては、
図2A~
図2Cに示すように、供給側流路材2を挟みこむように二つ折りにした分離膜1の上に、透過側流路材3を重ねて、接着剤4,6を塗布する例で説明した。しかし、本発明では、透過側流路材3の上に二つ折りにした分離膜1を重ねその上に接着剤4,6を塗布することも可能である。更に、連続した分離膜1を用いて、外周側封止部12を不要にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によると、分離膜の内周側端部の周辺における封止構造の信頼性を向上することができるスパイラル型膜エレメントを提供することができる。このため、本発明のスパイラル型膜エレメントは、超純水製造や、海水淡水化、かん水の脱塩処理、排水の再利用処理などの各種用途に、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 :分離膜
2 :供給側流路材
2a :厚み調整部
3 :透過側流路材
5 :中心管
13 :中央側封止部(封止部)
A1 :軸心方向
R :巻回体
T :供給側流路材の厚み
Ta :厚み調整部の厚み
W :厚み調整部の幅
S :段差