(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183526
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ、電動作業機、及びブラシレスモータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 21/14 20060101AFI20231221BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20231221BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20231221BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H02K21/14 M
H02K15/02 K
H02K7/116
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097087
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末永 充生
(72)【発明者】
【氏名】水越 啓太
【テーマコード(参考)】
5H607
5H615
5H621
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607DD02
5H607DD03
5H607EE31
5H607FF04
5H607GG08
5H607JJ06
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP24
5H615SS08
5H615SS09
5H621BB07
5H621JK01
5H621JK15
5H621JK17
(57)【要約】
【課題】ブラシレスモータの性能の低下を抑制すること。
【解決手段】ブラシレスモータは、回転軸を中心に回転するロータと、ロータの周囲に配置されコイルを有するステータと、を備える。ロータは、ロータコアと、ロータコアのシャフト孔に配置されるロータシャフトと、を有する。ロータシャフトは、シャフト孔に第1の圧入代で圧入される細径圧入部と、回転軸に平行な前後方向において細径圧入部とは異なる位置に配置され、シャフト孔に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される太径圧入部と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転するロータと、
前記ロータの周囲に配置されコイルを有するステータと、を備え、
前記ロータは、ロータコアと、前記ロータコアのシャフト孔に配置されるロータシャフトと、を有し、
前記ロータシャフトは、前記シャフト孔に第1の圧入代で圧入される細径圧入部と、前記回転軸に平行な前後方向において前記細径圧入部とは異なる位置に配置され、前記シャフト孔に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される太径圧入部と、を有する、
ブラシレスモータ。
【請求項2】
前記回転軸に直交する断面において、前記細径圧入部及び前記太径圧入部のそれぞれの外形は、円形状である、
請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
前記細径圧入部は、前記太径圧入部よりも後側に配置され、
前記ロータシャフトは、前記細径圧入部の後端部から後方に向かって直径が細くなる細径圧入ガイド部を有する、
請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
前記ロータシャフトは、前後方向において前記細径圧入部と前記太径圧入部との間に配置され、前記太径圧入部の後端部から後方に向かって直径が細くなる太径圧入ガイド部を有する、
請求項3に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記ロータシャフトは、前後方向において前記細径圧入部と前記太径圧入ガイド部との間に配置され、前記細径圧入部の直径よりも小さい直径の逃がし部を有する、
請求項4に記載のブラシレスモータ。
【請求項6】
前後方向において、前記細径圧入部の寸法は、前記太径圧入部の寸法よりも小さい、
請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項7】
前記細径圧入部は、前記太径圧入部よりも後側に配置され、
前記細径圧入部の後端部は、前記ロータコアの後端部よりも前側に配置され、
前記太径圧入部の前端部は、前記ロータコアの前端部よりも前側に配置される、
請求項6に記載のブラシレスモータ。
【請求項8】
請求項1に記載のブラシレスモータと、
先端工具が装着され、前記ブラシレスモータの回転力により駆動される先端工具保持部と、を備える、
電動作業機。
【請求項9】
前記ロータシャフトの一端部に設けられたギヤと、
前記ロータシャフトの一端部側から前記ロータシャフトに挿入されるファンと、
前記ロータシャフトの一端部側から前記ロータシャフトに挿入される第1ベアリングと、
前記ロータシャフトの他端部側から前記ロータシャフトに圧入される前記ロータコアと、
前記ロータシャフトの他端部側から前記ロータシャフトに挿入される第2ベアリングと、を備える、
請求項8に記載の電動作業機。
【請求項10】
回転軸を中心に回転するロータと前記ロータの周囲に配置されコイルを有するステータと、を備えるブラシレスモータの製造方法であって、
前記回転軸に平行な前後方向に延びるロータコアのシャフト孔に、前記シャフト孔に第1の圧入代で圧入される細径圧入部と、前記回転軸に平行な前後方向において前記細径圧入部とは異なる位置に配置され、前記シャフト孔に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される太径圧入部と、を有するロータシャフトを圧入することを含む、
ブラシレスモータの製造方法。
【請求項11】
前記細径圧入部を前記シャフト孔に圧入した後に、前記太径圧入部を前記シャフト孔に圧入する、
請求項10に記載のブラシレスモータの製造方法。
【請求項12】
前記細径圧入部は、前記太径圧入部よりも後側に配置され、
前記ロータシャフトに、前記細径圧入部の後端部から後方に向かって直径が細くなる細径圧入ガイド部が設けられ、
前記細径圧入ガイド部を前記シャフト孔に挿入した後に、前記細径圧入部を前記シャフト孔に圧入する、
請求項11に記載のブラシレスモータの製造方法。
【請求項13】
前後方向において前記細径圧入部と前記太径圧入部との間の前記ロータシャフトに、前記太径圧入部の後端部から後方に向かって直径が細くなる太径圧入ガイド部が設けられ、
前記太径圧入ガイド部を前記シャフト孔に挿入した後に、前記太径圧入部を前記シャフト孔に圧入する、
請求項12に記載のブラシレスモータの製造方法。
【請求項14】
前後方向において、前記細径圧入部の寸法は、前記太径圧入部の寸法よりも小さい、
請求項11に記載のブラシレスモータの製造方法。
【請求項15】
前記回転軸に直交する断面において、前記細径圧入部及び前記太径圧入部のそれぞれの外形が円形状になるように、前記細径圧入部の外周面及び前記太径圧入部の外周面のそれぞれを研磨加工する、
請求項14に記載のブラシレスモータの製造方法。
【請求項16】
前後方向において前記細径圧入部と前記太径圧入部との間に前記細径圧入部の直径よりも小さい直径の逃がし部を設けた後、前記細径圧入部の外周面を研磨加工する、
請求項15に記載のブラシレスモータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ブラシレスモータ、電動作業機、及びブラシレスモータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータに係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなモータが知られている。特許文献1において、圧入代として線状突起を有するアマチュアシャフトがロータコアに圧入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、線状突起の作成においてロータシャフト(アマチュアシャフト)が曲がってしまう可能性がある。また、線状突起をロータコアに圧入する方法の場合、ロータコアの中心軸とロータシャフトの中心軸とがずれてしまう可能性がある。ロータシャフトが曲がったり、ロータコアの中心軸とロータシャフトの中心軸とがずれたりすると、ロータの回転バランスが悪化する。ロータの回転バランスが悪化すると、ブラシレスモータの性能が低下する。例えばブラシ付モータにおいては、回転数が低くロックトルクが小さいため、線状突起でも十分であった。回転数が高くロックトルクが大きいブラシレスモータにおいては、ロータコアとロータシャフトとの回転固定力を大きくする必要がある。一段の圧入では、回転固定力が不足する可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、ブラシレスモータの性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、ブラシレスモータを開示する。ブラシレスモータは、回転軸を中心に回転するロータと、ロータの周囲に配置されコイルを有するステータと、を備えてもよい。ロータは、ロータコアと、ロータコアのシャフト孔に配置されるロータシャフトと、を有してもよい。ロータシャフトは、シャフト孔に第1の圧入代で圧入される細径圧入部と、回転軸に平行な前後方向において細径圧入部とは異なる位置に配置され、シャフト孔に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される太径圧入部と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、ブラシレスモータの性能の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電動作業機を示す前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電動作業機を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るロータを示す前方からの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るロータを示す後方からの斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るロータを示す側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るロータを示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るロータを示す前方からの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るロータを示す後方からの分解斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るロータシャフトを示す後方からの斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るロータシャフトを示す側面図である。
【
図11】
図11は、研磨加工されるロータシャフトを模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るロータコアのシャフト孔に圧入されるロータシャフトを示す後方からの斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るシャフト孔に挿入されたロータシャフトを示す後方からの斜視図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係るシャフト孔に挿入されたロータシャフトを示す側面図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係るシャフト孔にロータシャフトを挿入する動作を模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係るシャフト孔にロータシャフトを挿入する動作を模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態に係るシャフト孔にロータシャフトを挿入する動作を模式的に示す断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態に係るシャフト孔にロータシャフトを挿入する動作を模式的に示す断面図である。
【
図19】
図19は、実施形態に係るシャフト孔に挿入されたロータシャフトを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ブラシレスモータは、回転軸を中心に回転するロータと、ロータの周囲に配置されコイルを有するステータと、を備えてもよい。ロータは、ロータコアと、ロータコアのシャフト孔に配置されるロータシャフトと、を有してもよい。ロータシャフトは、シャフト孔に第1の圧入代で圧入される細径圧入部と、回転軸に平行な前後方向において細径圧入部とは異なる位置に配置され、シャフト孔に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される太径圧入部と、を有してもよい。
【0010】
上記の構成では、細径圧入部及び太径圧入部のそれぞれがロータコアのシャフト孔に圧入されることにより、ロータコアとロータシャフトとが固定される。細径圧入部及び太径圧入部の作成においては、ロータシャフトが曲がってしまうことが抑制される。また、細径圧入部の外周面及び太径圧入部の外周面のそれぞれとシャフト孔の内周面とが密着する面圧入により、ロータコアの中心軸とロータシャフトの中心軸とがずれることが抑制される。そのため、ロータの回転バランスの悪化が抑制される。また、細径圧入部の外周面及び太径圧入部の外周面のそれぞれとシャフト孔の内周面との面圧入により、ロータコアとロータシャフトとが強固に固定される。そのため、ロータコアとロータシャフトとが相対回転してしまったり、ロータコアとロータシャフトとが軸方向に相対移動してしまったりすることが抑制される。したがって、ブラシレスモータの性能の低下が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、回転軸に直交する断面において、細径圧入部及び太径圧入部のそれぞれの外形は、円形状でもよい。
【0012】
上記の構成では、ロータの回転バランスの悪化が抑制される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、細径圧入部は、太径圧入部よりも後側に配置されてもよい。ロータシャフトは、細径圧入部の後端部から後方に向かって直径が細くなる細径圧入ガイド部を有してもよい。
【0014】
上記の構成では、細径圧入ガイド部により、細径圧入部をシャフト孔に圧入し易くなる。また、細径圧入ガイド部により、細径圧入部をシャフト孔に圧入するときにロータコアに過度な応力集中が発生することが抑制されるので、ロータコアの損傷が抑制される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ロータシャフトは、前後方向において細径圧入部と太径圧入部との間に配置され、太径圧入部の後端部から後方に向かって直径が細くなる太径圧入ガイド部を有してもよい。
【0016】
上記の構成では、太径圧入ガイド部により、太径圧入部をシャフト孔に圧入し易くなる。また、太径圧入ガイド部により、太径圧入部をシャフト孔に圧入するときにロータコアに過度な応力集中が発生することが抑制されるので、ロータコアの損傷が抑制される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ロータシャフトは、前後方向において細径圧入部と太径圧入ガイド部との間に配置され、細径圧入部の直径よりも小さい直径の逃がし部を有してもよい。
【0018】
上記の構成では、細径圧入部の外周面を砥石で研磨加工するとき、逃がし部により、砥石が太径圧入部に干渉することが抑制された状態で、細径圧入部の外周面が砥石で研磨加工される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前後方向において、細径圧入部の寸法は、太径圧入部の寸法よりも小さくてもよい。
【0020】
上記の構成では、細径圧入部をシャフト孔に圧入した後に、太径圧入部をシャフト孔に圧入する場合、ロータシャフトをシャフト孔に圧入し易い。また、太径圧入部が細径圧入部よりも長いので、ロータコアとロータシャフトとが強固に固定される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、細径圧入部は、太径圧入部よりも後側に配置されてもよい。細径圧入部の後端部は、ロータコアの後端部よりも前側に配置されてもよい。太径圧入部の前端部は、ロータコアの前端部よりも前側に配置されてもよい。
【0022】
上記の構成では、細径圧入部がロータコアの後端部よりも後側に配置されないので、例えばロータコアよりも後側のロータシャフトにスリーブを圧入する場合、スリーブを圧入し易い。また、太径圧入部がロータコアの前端部よりも前側に配置されるので、太径圧入部の外周面とシャフト孔の内周面との接触面積が大きくなる。これにより、ロータコアとロータシャフトとが強固に固定される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、上記のブラシレスモータと、先端工具が装着され、ブラシレスモータの回転力により駆動される先端工具保持部と、を備えてもよい。
【0024】
上記の構成では、ロータの回転バランスの悪化が抑制されるので、電動作業機を用いる作業において、電動作業機の振動又は騒音の発生が抑制される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、ロータシャフトの一端部に設けられたギヤと、ロータシャフトの一端部側からロータシャフトに挿入されるファンと、ロータシャフトの一端部側からロータシャフトに挿入される第1ベアリングと、ロータシャフトの他端部側からロータシャフトに圧入されるロータコアと、ロータシャフトの他端部側からロータシャフトに挿入される第2ベアリングと、を備えてもよい。
【0026】
上記の構成では、電動作業機が効率良く製造される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、回転軸を中心に回転するロータとロータの周囲に配置されコイルを有するステータと、を備えるブラシレスモータの製造方法は、回転軸に平行な前後方向に延びるロータコアのシャフト孔に、シャフト孔に第1の圧入代で圧入される細径圧入部と、回転軸に平行な前後方向において細径圧入部とは異なる位置に配置され、シャフト孔に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される太径圧入部と、を有するロータシャフトを圧入することを含んでもよい。
【0028】
上記の構成では、細径圧入部及び太径圧入部のそれぞれがロータコアのシャフト孔に圧入されることにより、ロータコアとロータシャフトとが固定される。細径圧入部及び太径圧入部の作成においては、ロータシャフトが曲がってしまうことが抑制される。また、細径圧入部の外周面及び太径圧入部の外周面のそれぞれとシャフト孔の内周面とが密着する面圧入により、ロータコアの中心軸とロータシャフトの中心軸とがずれることが抑制される。そのため、ロータの回転バランスの悪化が抑制される。また、細径圧入部の外周面及び太径圧入部の外周面のそれぞれとシャフト孔の内周面との面圧入により、ロータコアとロータシャフトとが強固に固定される。そのため、ロータコアとロータシャフトとが相対回転してしまったり、ロータコアとロータシャフトとが軸方向に相対移動してしまったりすることが抑制される。したがって、ブラシレスモータの性能の低下が抑制される。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、細径圧入部をシャフト孔に圧入した後に、太径圧入部をシャフト孔に圧入してもよい。
【0030】
上記の構成では、細径圧入部及び太径圧入部のそれぞれがシャフト孔に適正に圧入される。細径圧入部よりも先に太径圧入部をシャフト孔に圧入してしまうと、太径圧入部の直径に合わせてシャフト孔の内径が拡大するようにロータコアが塑性変形した後に、細径圧入部がシャフト孔に挿入されることになる。すなわち、太径圧入部の直径に合わせて拡大したシャフト孔の内径は、細径圧入部の外径よりも大きい可能性があるので、細径圧入部は、シャフト孔に適正に圧入されない可能性がある。太径圧入部よりも先に細径圧入部がシャフト孔に圧入されることにより、細径圧入部の直径に合わせてシャフト孔の内径が拡大しても、拡大したシャフト孔の内径は、太径圧入部の外径よりも小さいので、太径圧入部は、シャフト孔に適正に圧入される。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、細径圧入部は、太径圧入部よりも後側に配置されてもよい。ロータシャフトに、細径圧入部の後端部から後方に向かって直径が細くなる細径圧入ガイド部が設けられてもよい。細径圧入ガイド部をシャフト孔に挿入した後に、細径圧入部をシャフト孔に圧入してもよい。
【0032】
上記の構成では、細径圧入ガイド部により、細径圧入部をシャフト孔に圧入し易くなる。また、細径圧入ガイド部により、細径圧入部をシャフト孔に圧入するときにロータコアに過度な応力集中が発生することが抑制されるので、ロータコアの損傷が抑制される。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前後方向において細径圧入部と太径圧入部との間のロータシャフトに、太径圧入部の後端部から後方に向かって直径が細くなる太径圧入ガイド部が設けられてもよい。太径圧入ガイド部をシャフト孔に挿入した後に、太径圧入部をシャフト孔に圧入してもよい。
【0034】
上記の構成では、太径圧入ガイド部により、太径圧入部をシャフト孔に圧入し易くなる。また、太径圧入ガイド部により、太径圧入部をシャフト孔に圧入するときにロータコアに過度な応力集中が発生することが抑制されるので、ロータコアの損傷が抑制される。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前後方向において、細径圧入部の寸法は、太径圧入部の寸法よりも小さくてもよい。
【0036】
上記の構成では、細径圧入部をシャフト孔に圧入した後に、太径圧入部をシャフト孔に圧入する場合、ロータシャフトをシャフト孔に圧入し易い。また、太径圧入部が細径圧入部よりも長いので、ロータコアとロータシャフトとが強固に固定される。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、回転軸に直交する断面において、細径圧入部及び太径圧入部のそれぞれの外形が円形状になるように、細径圧入部の外周面及び太径圧入部の外周面のそれぞれを研磨加工してもよい。
【0038】
上記の構成では、細径圧入部及び太径圧入部の加工方法として研磨加工が採用されることにより、ロータシャフトが曲がってしまうことが抑制される。したがって、ロータの回転バランスの悪化が抑制される。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前後方向において細径圧入部と太径圧入部との間に細径圧入部の直径よりも小さい直径の逃がし部を設けた後、細径圧入部の外周面を研磨加工してもよい。
【0040】
上記の構成では、細径圧入部の外周面を砥石で研磨加工するとき、逃がし部により、砥石が太径圧入部に干渉することが抑制された状態で、細径圧入部の外周面が砥石で研磨加工される。
【0041】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動作業機1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。電動作業機1は、動力源としてモータ6を有する。
【0042】
実施形態において、モータ6の回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0043】
実施形態において、回転軸AXは、前後方向に延伸する。回転軸AXに平行な軸方向は、前後方向である。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
【0044】
[電動作業機]
図1は、実施形態に係る電動作業機1を示す前方からの斜視図である。
図2は、実施形態に係る電動作業機1を示す断面図である。実施形態において、電動作業機1は、電動工具の一種であるレシプロソーである。
【0045】
電動作業機1は、後ハウジング2と、前ハウジング3と、バッテリ装着部4と、コントローラ5と、モータ6と、ファン7と、クランク機構8と、スライダ9と、ブレードホルダ10と、ガイドシュー11とを備える。
【0046】
後ハウジング2は、合成樹脂製である。後ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右側に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、一対の半割れハウジングを構成する。後ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。
【0047】
後ハウジング2は、モータ収容部12と、ハンドル部13と、バッテリ保持部14とを含む。モータ収容部12は、モータ6を収容する。ハンドル部13は、作業者に握られる。バッテリ保持部14は、バッテリパック22を保持する。ハンドル部13は、ループ状である。モータ収容部12は、ハンドル部13の前側に配置される。バッテリ保持部14は、ハンドル部13の下側に配置される。
【0048】
ハンドル部13にトリガレバー15が配置される。トリガレバー15は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガレバー15が操作されることにより、モータ6の駆動と停止とが切り換えられる。ハンドル部13の上部にロックオフボタン16が設けられる。ロックオフボタン16は、左右方向にスライド可能である。ロックオフボタン16が操作されることにより、トリガレバー15のロックが解除される。ハンドル部13の上面にロックオフボタン16の位置を表す窓17が設けられる。モータ収容部12の後部に第1吸気口18が設けられる。バッテリ保持部14に第2吸気口19が設けられる。
【0049】
モータ収容部12の右部に筒状のフック受け20が設けられる。フック受け20に吊り下げ用フック21が装着される。
【0050】
前ハウジング3は、後ハウジング2の前側に配置される。前ハウジング3は、筒状である。前ハウジング3の後端部は、後ハウジング2の前端部に固定される。前ハウジング3は、クランク機構8及びスライダ9を収容する。
【0051】
バッテリ装着部4は、バッテリ保持部14の下部に配置される。バッテリパック22がバッテリ装着部4に装着される。バッテリパック22は、電動作業機1の電源である。バッテリパック22は、バッテリ装着部4に着脱可能である。バッテリパック22は、バッテリ保持部14の前方からバッテリ装着部4に挿入されることにより、バッテリ装着部4に装着される。バッテリパック22は、バッテリ装着部4から前方に抜去されることにより、バッテリ装着部4から外される。バッテリパック22は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック22は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部4に装着されることにより、バッテリパック22は、電動作業機1に電力を供給することができる。モータ6は、バッテリパック22から供給される電力に基づいて駆動する。
【0052】
コントローラ5は、少なくともモータ6を制御する。コントローラ5は、回路基板と、回路基板に搭載される複数の電子部品とを有する。電子部品として、マイクロコンピュータ及びスイッチング素子が例示される。コントローラ5は、コントローラケース23に収容された状態で、バッテリ保持部14に収容される。
【0053】
モータ6は、電動作業機1の動力源である。モータ6は、電動モータである。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ24と、ロータ25とを有する。ステータ24は、ロータ25の周囲に配置される。ロータ25は、ステータ24に対して回転する。ロータ25は、回転軸AXを中心に回転する。回転軸AXは、前後方向に延伸する。
【0054】
ステータ24は、筒状のステータコア26と、ステータコア26の後部に固定される後インシュレータ27と、ステータコア26の前部に固定される前インシュレータ28と、後インシュレータ27及び前インシュレータ28を介してステータコア26のティースに巻かれる複数のコイル29と、複数のコイル29を短絡するバスバー30とを有する。
【0055】
ロータ25は、ロータコア31と、永久磁石32と、ロータシャフト33とを有する。ロータシャフト33の後部に、スリーブ51が固定される。ロータシャフト33の前部に、スリーブ52が固定される。後インシュレータ27に、永久磁石32の位置を検出することによってロータ25の回転を検出するセンサ基板34が取り付けられる。
【0056】
モータ6の少なくとも一部は、モータケース35に収容される。モータケース35の前方にクランクケース36が配置される。クランク機構8及びスライダ9は、クランクケース36に収容される。
【0057】
ステータ24は、モータケース35の内側に配置される。ステータ24は、モータケース35に固定される。モータケース35は、モータ収容部12に固定される。
【0058】
ロータシャフト33の後端部は、ロータベアリング37に回転可能に支持される。ロータシャフト33の前部は、ロータベアリング38に回転可能に支持される。ロータベアリング37は、モータケース35に保持される。ロータベアリング38は、クランクケース36に保持される。
【0059】
ファン7は、ロータシャフト33の前部に固定される。ファン7は、ステータコア26とロータベアリング38との間のロータシャフト33に固定される。ロータシャフト33が回転すると、ファン7が回転する。ファン7が回転することにより、モータ6の周囲に気流が生成される。モータ6は、ファン7の回転により生成される気流により冷却される。
【0060】
クランクケース36の後端部に止め板39が配置される。止め板39は、ねじ40によりクランクケース36の後端部に固定される。止め板39は、ロータベアリング38の外輪の後端部に接触する。止め板39により、ロータベアリング38がクランクケース36から後方に抜けることが抑制される。
【0061】
ロータシャフト33の前端部にピニオンギヤ41が設けられる。前後方向において、ロータベアリング38は、ピニオンギヤ41とファン7との間に配置される。ピニオンギヤ41は、クランクケース36の内側に配置される。ロータシャフト33は、ピニオンギヤ41を介してクランク機構8に結合される。
【0062】
クランク機構8は、ロータ25の回転運動を前後方向の往復運動に変換する。クランク機構8は、ピニオンギヤ41が結合されるベベルギヤ42と、ベベルギヤ42の偏心位置に設けられる偏心ピン43と、偏心ピン43とスライダ9の後端部に設けられた連結ピン44とを連結するコネクティングロッド45とを有する。
【0063】
スライダ9は、クランク機構8により前後方向に移動される。スライダ9は、ホルダ46及びスライダガイド47に前後方向にガイドされる。
【0064】
ブレードホルダ10は、スライダ9の前端部に接続される。ブレードホルダ10は、クランク機構8によりスライダ9と一緒に前後方向に移動される。ブレードホルダ10は、クランク機構8を介して伝達されたモータ6の回転力により駆動される。ブレードホルダ10は、先端工具の一種であるブレードを保持する。ブレードホルダ10は、先端工具が装着される先端工具保持部として機能する。
【0065】
ガイドシュー11は、スライダ9の下側に設けられる。ガイドシュー11は、前後方向にスライド可能なスライドバー48と、スライドバー48の前端部に固定され、ブレードホルダ10に装着されたブレードが挿入されるシュー49とを有する。
【0066】
トリガレバー15が操作されると、モータ6は、バッテリパック22から供給される電力により駆動する。回転軸AXを中心にロータ25が回転すると、ロータシャフト33の前端部に設けられているピニオンギヤ41が回転する。ピニオンギヤ41が回転すると、ピニオンギヤ41に結合されているベベルギヤ42が回転する。ベベルギヤ42が回転すると、偏心ピン43がベベルギヤ42の回転軸に対して偏心運動し、スライダ9がコネクティングロッド45を介して前後方向に往復運動する。スライダ9が前後方向に往復運動すると、ブレードホルダ10に装着されているブレードが前後方向に往復運動する。ブレードが前後方向に往復運動することにより、切断対象が切断される。
【0067】
[ロータ]
図3は、実施形態に係るロータ25を示す前方からの斜視図である。
図4は、実施形態に係るロータ25を示す後方からの斜視図である。
図5は、実施形態に係るロータ25を示す側面図である。
図6は、実施形態に係るロータ25を示す断面図である。
図7は、実施形態に係るロータ25を示す前方からの分解斜視図である。
図8は、実施形態に係るロータ25を示す後方からの分解斜視図である。
【0068】
ロータ25は、ロータコア31と、永久磁石32と、ロータシャフト33とを有する。
【0069】
ロータコア31は、実質的に筒状である。ロータコア31は、相互に積層された複数の鋼板を含む。複数の鋼板は、カシメ加工により相互に固定される。ロータコア31には、カシメ加工により形成されたカシメ部31Cが設けられる。ロータコア31は、前後方向に延びるシャフト孔60と、前後方向に延びる複数の磁石孔31Aとを有する。ロータシャフト33の少なくとも一部は、シャフト孔60の内側に配置される。永久磁石32は、磁石孔31Aの内側に配置される。
【0070】
シャフト孔60は、ロータコア31の前端面と後端面とを貫通するように形成される。回転軸AXに直交する断面において、シャフト孔60は、円形である。前後方向において、シャフト孔60の内径は、一定である。回転軸AXに直交する断面において、シャフト孔60は、ロータコア31の中心に設けられる。
【0071】
磁石孔31Aは、ロータコア31の前端面と後端面とを貫通するように形成される。回転軸AXに直交する断面において、磁石孔31Aは、実質的に長方形である。磁石孔31Aは、シャフト孔60の径方向外側に設けられる。磁石孔31Aは、周方向に複数形成される。実施形態において、磁石孔31Aは、周方向に等間隔で4つ形成される。永久磁石32は、複数の磁石孔31Aのそれぞれに配置される。
【0072】
磁石孔31Aに配置された永久磁石32の表面と磁石孔31Aの内面の少なくとも一部との間に空隙部31Bが形成される。空隙部31Bは、磁石孔31Aに配置された永久磁石32の周方向一方側及び周方向他方側のそれぞれに1つずつ設けられる。空隙部31Bに合成樹脂が充填される。合成樹脂の一部は、ロータコア31の前端面においてスリーブ52を形成する。スリーブ52は、ロータコア31の前端面に接続される。
【0073】
ロータコア31の後端面よりも後側のロータシャフト33に、スリーブ51が固定される。スリーブ52よりも前側のロータシャフト33に、ファン7が固定される。
【0074】
スリーブ51及びスリーブ52のそれぞれは、ロータ25の回転バランスの修正のために設けられる。スリーブ51は、真鍮(黄銅)製である。スリーブ52は、合成樹脂製である。なお、スリーブ51及びスリーブ52両方が、合成樹脂製でもよいし、真鍮のような金属製でもよい。スリーブ51及びスリーブ52の少なくとも一方が切削されることにより、ロータ25の回転バランスが修正される。スリーブ51及びスリーブ52の少なくとも一方により、ロータ25の静バランス及び動バランスが改善される。なお、スリーブ51及びスリーブ52の一方又は両方がロータシャフト33に固定されてもよい。
【0075】
[ロータシャフト]
図9は、実施形態に係るロータシャフト33を示す後方からの斜視図である。
図10は、実施形態に係るロータシャフト33を示す側面図である。ロータシャフト33は、前後方向に長い。ロータシャフト33は、鉄又は鋼のような金属製である。回転軸AXに直交する断面において、ロータシャフト33の外形は、円形状である。
【0076】
ロータシャフト33は、ロータシャフト33の前端部に設けられるピニオンギヤ41と、ピニオンギヤ41の後側に設けられる軸受保持部71と、軸受保持部71の後側に設けられる逃がし部72と、逃がし部72の後側に設けられるファン圧入ガイド部73と、ファン圧入ガイド部73の後側に設けられるファン圧入部74と、ファン圧入部74の後側に設けられる逃がし部75とを有する。
【0077】
また、ロータシャフト33は、逃がし部75の後側に設けられる第1中間部76と、第1中間部76の後側に設けられる溝部77と、溝部77の後側に設けられる第2中間部78とを有する。
【0078】
また、ロータシャフト33は、第2中間部78の後側に設けられる太径圧入部79と、太径圧入部79の後側に設けられる太径圧入ガイド部80と、太径圧入ガイド部80の後側に設けられる逃がし部81と、逃がし部81の後側に設けられる細径圧入部82と、細径圧入部82の後側に設けられる細径圧入ガイド部83と、細径圧入ガイド部83の後側に設けられる逃がし部84とを有する。
【0079】
また、ロータシャフト33は、逃がし部84の後側に設けられるスリーブ圧入部85と、スリーブ圧入部85の後側に設けられるスリーブ圧入ガイド部86と、スリーブ圧入ガイド部86の後側に設けられる逃がし部87と、逃がし部87の後側に設けられる軸受保持部88とを有する。軸受保持部88は、ロータシャフト33の後端部に設けられる。
【0080】
細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれは、ロータコア31のシャフト孔60に圧入される。前後方向において、太径圧入部79は、細径圧入部82とは異なる位置に配置される。実施形態において、細径圧入部82は、太径圧入部79よりも後側に配置される。回転軸AXに直交する断面において、細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれの外形は、円形状である。細径圧入部82の直径Ds2及び太径圧入部79の直径Ds1のそれぞれは、シャフト孔60の内径Dcよりも大きい。細径圧入部82の直径Ds2は、太径圧入部79の直径Ds1よりも小さい。前後方向において、細径圧入部82の直径Ds2は、一定である。前後方向において、太径圧入部79の直径Ds1は、一定である。細径圧入部82は、シャフト孔60に第1の圧入代で圧入される。太径圧入部79は、シャフト孔60に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される。
【0081】
第1の圧入代とは、シャフト孔60内径Dcと細径圧入部82の直径Ds2との差をいう。第2の圧入代とは、シャフト孔60内径Dcと太径圧入部79の直径Ds1との差をいう。
【0082】
前後方向において、細径圧入部82の寸法L2は、太径圧入部79の寸法L1よりも小さい。すなわち、太径圧入部79は、細径圧入部82よりも長い。
【0083】
細径圧入ガイド部83は、細径圧入部82の後端部に隣接する。細径圧入ガイド部83は、細径圧入部82の後端部から後方に向かって直径が細くなるテーパ状である。
【0084】
太径圧入ガイド部80は、前後方向において細径圧入部82と太径圧入部79との間に配置される。太径圧入ガイド部80は、太径圧入部79の後端部に隣接する。太径圧入ガイド部80は、太径圧入部79の後端部から後方に向かって直径が細くなるテーパ状である。
【0085】
逃がし部81は、前後方向において細径圧入部82と太径圧入ガイド部80との間に配置される。逃がし部81は、太径圧入ガイド部80の後端部に隣接し、細径圧入部82の前端部に隣接する。逃がし部81の直径は、細径圧入部82の直径Ds2よりも小さい。
【0086】
回転軸AXに直交する断面において、細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれの外形が円形状になるように、細径圧入部82の外周面及び太径圧入部79の外周面のそれぞれが研磨加工される。
【0087】
軸受保持部71の直径Db1は、ファン圧入部74の直径Dfよりも小さい。太径圧入部79の直径Ds1は、軸受保持部71の直径Db1よりも小さい。スリーブ圧入部85の直径Diは、細径圧入部82の直径Ds2よりも小さい。軸受保持部88の直径Db2は、スリーブ圧入部85の直径Diよりも小さい。すなわち、実施形態においては、[Df>Db1>Ds1>Ds2>Di>Db2]の関係が成立する。このような関係が成立することにより、ロータコア31の前方からロータコア31にロータシャフト33が圧入され、ロータシャフト33の前方からロータシャフト33にファン7が挿入された後、ロータシャフト33の前方からロータシャフト33にロータベアリング38が挿入される。また、ロータシャフト33の後方からロータシャフト33にスリーブ51が挿入された後、ロータシャフト33の後方からロータシャフト33にロータベアリング37が挿入される。
【0088】
図11は、研磨加工されるロータシャフト33を模式的に示す図である。ロータシャフト33は、金属製のベース部材を例えば旋盤で切削加工することにより形成される。ロータシャフト33は、切削加工によりおおよその形状を決定された後、研磨加工により仕上げられる。
図11に示すように、例えば細径圧入部82を研磨加工する場合、細径圧入部82の外周面に研磨加工の砥石100が当てられる。細径圧入部82の外周面は、砥石100で研磨加工される。
【0089】
研磨加工の前に、切削加工により逃がし部81が設けられる。逃がし部81は、前後方向において細径圧入部82と太径圧入部79との間に設けられる。逃がし部81の直径は、細径圧入部82の直径よりも小さい。切削加工により逃がし部81が設けられた後、細径圧入部82の外周面が砥石100で研磨加工される。逃がし部81が設けられない場合、細径圧入部82の外周面を砥石100で研磨加工するとき、砥石100が太径圧入部79に干渉してしまう可能性がある。砥石100と太径圧入部79との干渉を抑制しようとすると、
図11に示すように、細径圧入部82の前端部に非加工部101が残ってしまう可能性がある。逃がし部81が設けられることにより、砥石100が太径圧入部79に干渉することが抑制された状態で、細径圧入部82の外周面が砥石100で研磨加工される。
【0090】
軸受保持部71は、ロータベアリング38に保持される。軸受保持部71の外周面は、研磨加工される。逃がし部72は、軸受保持部71の後端部に隣接する。逃がし部72は、ファン圧入ガイド部73の前端部に隣接する。ファン圧入ガイド部73の直径は、軸受保持部71の直径よりも大きい。逃がし部72の直径は、軸受保持部71の直径よりも小さい。軸受保持部71の外周面を砥石100で研磨加工することき、逃がし部72により、砥石100がファン圧入ガイド部73に干渉することが抑制される。
【0091】
ファン圧入部74は、ファン7に圧入される。ファン圧入部74の外周面は、研磨加工される。ファン圧入ガイド部73は、ファン圧入部74の前端部に隣接する。ファン圧入ガイド部73は、ファン圧入部74の前端部から前方に向かって直径が細くなるテーパ状である。
【0092】
逃がし部75は、ファン圧入部74の後端部に隣接する。ファン圧入部74の直径は、太径圧入部79の直径Ds1よりも大きい。逃がし部75の直径は、太径圧入部79の直径よりも小さい。太径圧入部79の外周面を砥石100で研磨加工することき、逃がし部75により、砥石100がファン圧入部74に干渉することが抑制される。
【0093】
第1中間部76及び第2中間部78のそれぞれは、前後方向においてファン圧入部74と太径圧入部79との間に配置される。実施形態において、第1中間部76の外周面及び第2中間部78の外周面のそれぞれは、研磨加工されない。溝部77は、前後方向において第1中間部76と第2中間部78との間に配置される。
【0094】
スリーブ圧入部85は、スリーブ51に圧入される。スリーブ圧入部85の外周面は、研磨加工される。スリーブ圧入ガイド部86は、スリーブ圧入部85の後端部に隣接する。
【0095】
逃がし部84は、細径圧入ガイド部83の後端部に隣接する。逃がし部84は、スリーブ圧入部85の前端部に隣接する。細径圧入ガイド部83の直径は、スリーブ圧入部85の直径よりも大きい。逃がし部84の直径は、スリーブ圧入部85の直径よりも小さい。スリーブ圧入部85の外周面を砥石100で研磨加工することき、逃がし部84により、砥石100が細径圧入ガイド部83に干渉することが抑制される。
【0096】
軸受保持部88は、ロータベアリング37に保持される。軸受保持部88の外周面は、研磨加工される。逃がし部87は、スリーブ圧入ガイド部86の後端部に隣接する。逃がし部87は、軸受保持部88の前端部に隣接する。スリーブ圧入ガイド部86は、軸受保持部88の直径よりも大きい。逃がし部87の直径は、軸受保持部88の直径よりも小さい。軸受保持部88の外周面を砥石100で研磨加工することき、逃がし部87により、砥石100がスリーブ圧入ガイド部86に干渉することが抑制される。
【0097】
[製造方法]
図12は、実施形態に係るロータコア31のシャフト孔60に圧入されるロータシャフト33を示す後方からの斜視図である。
図13は、実施形態に係るシャフト孔60に挿入されたロータシャフト33を示す後方からの斜視図である。
図14は、実施形態に係るシャフト孔60に挿入されたロータシャフト33を示す側面図である。
図13及び
図14において、ロータコア31は仮想線で示される。
図15、
図16、
図17、及び
図18のそれぞれは、実施形態に係るシャフト孔60にロータシャフト33を挿入する動作を模式的に示す断面図である。
図19は、実施形態に係るシャフト孔60に挿入されたロータシャフト33を模式的に示す断面図である。
【0098】
図12に示すように、実施形態において、ロータシャフト33は、ロータコア31の前方からシャフト孔60に圧入される。ロータシャフト33は、ロータシャフト33の後端部からシャフト孔60に挿入される。細径圧入部82がシャフト孔60に圧入された後に、太径圧入部79がシャフト孔60に圧入されるように、ロータシャフト33の圧入方向が定められる。
【0099】
図15に示すように、ロータシャフト33の後端部がシャフト孔60の前端部に挿入される。ロータシャフト33の後端部がシャフト孔60の前端部に挿入された後、ロータシャフト33が後方に移動することにより、細径圧入ガイド部83がシャフト孔60に挿入される。細径圧入ガイド部83の外周面は、細径圧入部82の後端部から後方に向かって直径が細くなるテーパ状なので、細径圧入部82がシャフト孔60の後端部で引っ掛かることが抑制される。また、細径圧入ガイド部83により、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入するとき、ロータシャフト33の中心軸とシャフト孔60の中心軸とを一致させることができる。
【0100】
細径圧入ガイド部83がシャフト孔60に挿入された後、
図16に示すように、ロータシャフト33が更に後方に移動することにより、シャフト孔60に対する細径圧入部82の圧入が開始される。
図17に示すように、ロータシャフト33が更に後方に移動することにより、シャフト孔60に細径圧入部82が圧入される。
【0101】
シャフト孔60に細径圧入部82が圧入された後、ロータシャフト33が更に後方に移動することにより、太径圧入ガイド部80がシャフト孔60に挿入される。太径圧入ガイド部80の外周面は、太径圧入部79の後端部から後方に向かって直径が細くなるテーパ状なので、太径圧入部79がシャフト孔60の後端部で引っ掛かることが抑制される。
【0102】
太径圧入ガイド部80がシャフト孔60に挿入された後、
図18に示すように、ロータシャフト33が更に後方に移動することにより、シャフト孔60に対する太径圧入部79の圧入が開始される。
【0103】
ロータシャフト33が更に後方に移動することにより、
図13、
図14、及び
図19に示すように、細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれがシャフト孔60に圧入される。
図14に示すように、細径圧入部82の後端部は、ロータコア31の後端部よりも前側に配置される。なお、前後方向において、細径圧入部82の後端部の位置とロータコア31の後端部の位置とが一致してもよい。太径圧入部79の前端部は、ロータコア31の前端部よりも前側に配置される。
【0104】
ロータコア31に対してロータシャフト33が後方へ移動され、シャフト孔60に細径圧入部82及び太径圧入部79に圧入された後、ロータシャフト33の後方からスリーブ51がスリーブ圧入部85に圧入される。スリーブ圧入部85の後側にスリーブ圧入ガイド部86が設けられているので、スリーブ51は、スリーブ圧入部85に円滑に圧入される。スリーブ圧入ガイド部86により、スリーブ51をロータシャフト33に圧入するとき、ロータシャフト33の中心軸とスリーブ51の中心軸とを一致させることができる。ロータシャフト33の後方からスリーブ51がスリーブ圧入部85に圧入された後、ロータシャフト33の後方からロータベアリング37が軸受保持部88に挿入される。
【0105】
ファン7は、ロータシャフト33の前方からファン圧入部74に圧入される。ファン圧入部74の前側にファン圧入ガイド部73が設けられているので、ファン7は、ファン圧入部74に円滑に圧入される。ロータシャフト33の前方からファン7がファン圧入部74に圧入された後、ロータシャフト33の前方からロータベアリング38が軸受保持部71に挿入される。
【0106】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、ブラシレスモータであるモータ6は、回転軸AXを中心に回転するロータ25と、ロータ25の周囲に配置されコイル29を有するステータ24と、を備える。ロータ25は、ロータコア31と、ロータコア31のシャフト孔60に配置されるロータシャフト33と、を有する。ロータシャフト33は、シャフト孔60に第1の圧入代で圧入される細径圧入部82と、回転軸AXに平行な前後方向において細径圧入部82とは異なる位置に配置され、シャフト孔60に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される太径圧入部79と、を有する。
【0107】
上記の構成では、細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれがロータコア31のシャフト孔60に圧入されることにより、ロータコア31とロータシャフト33とが固定される。細径圧入部82及び太径圧入部79の作成においては、ロータシャフト33が曲がってしまうことが抑制される。また、細径圧入部82の外周面及び太径圧入部79の外周面のそれぞれとシャフト孔60の内周面とが密着する面圧入により、ロータコア31の中心軸とロータシャフト33の中心軸とがずれることが抑制される。そのため、ロータ25の回転バランスの悪化が抑制される。また、細径圧入部82の外周面及び太径圧入部79の外周面のそれぞれとシャフト孔60の内周面との面圧入により、ロータコア31とロータシャフト33とが強固に固定される。そのため、ロータコア31とロータシャフト33とが相対回転してしまったり、ロータコア31とロータシャフト33とが軸方向に相対移動してしまったりすることが抑制される。したがって、モータ6の性能の低下が抑制される。
【0108】
実施形態において、回転軸AXに直交する断面において、細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれの外形は、円形状である。
【0109】
上記の構成では、ロータ25の回転バランスの悪化が抑制される。
【0110】
実施形態において、細径圧入部82は、太径圧入部79よりも後側に配置される。ロータシャフト33は、細径圧入部82の後端部から後方に向かって直径が細くなる細径圧入ガイド部83を有する。
【0111】
上記の構成では、細径圧入ガイド部83により、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入し易くなる。また、細径圧入ガイド部83により、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入するときにロータコア31に過度な応力集中が発生することが抑制されるので、ロータコア31の損傷が抑制される。
【0112】
実施形態において、ロータシャフト33は、前後方向において細径圧入部82と太径圧入部79との間に配置され、太径圧入部79の後端部から後方に向かって直径が細くなる太径圧入ガイド部80を有する。
【0113】
上記の構成では、太径圧入ガイド部80により、太径圧入部79をシャフト孔60に圧入し易くなる。また、太径圧入ガイド部80により、太径圧入部79をシャフト孔60に圧入するときにロータコア31に過度な応力集中が発生することが抑制されるので、ロータコア31の損傷が抑制される。
【0114】
実施形態において、ロータシャフト33は、前後方向において細径圧入部82と太径圧入ガイド部80との間に配置され、細径圧入部82の直径よりも小さい直径の逃がし部81を有する。
【0115】
上記の構成では、細径圧入部82の外周面を砥石で研磨加工するとき、逃がし部81により、砥石が太径圧入部79に干渉することが抑制された状態で、細径圧入部82の外周面が砥石で研磨加工される。
【0116】
実施形態において、前後方向において、細径圧入部82の寸法は、太径圧入部79の寸法よりも小さい。
【0117】
上記の構成では、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入した後に、太径圧入部79をシャフト孔60に圧入する場合、ロータシャフト33をシャフト孔60に圧入し易い。また、太径圧入部79が細径圧入部82よりも長いので、ロータコア31とロータシャフト33とが強固に固定される。
【0118】
実施形態において、細径圧入部82は、太径圧入部79よりも後側に配置される。細径圧入部82の後端部は、ロータコア31の後端部よりも前側に配置される。太径圧入部79の前端部は、ロータコア31の前端部よりも前側に配置される。
【0119】
上記の構成では、細径圧入部82がロータコア31の後端部よりも後側に配置されないので、例えばロータコア31よりも後側のロータシャフト33にスリーブ51を圧入する場合、スリーブ51を圧入し易い。また、太径圧入部79がロータコア31の前端部よりも前側に配置されるので、太径圧入部79の外周面とシャフト孔60の内周面との接触面積が大きくなる。これにより、ロータコア31とロータシャフト33とが強固に固定される。
【0120】
実施形態において、電動作業機1は、上記のモータ6と、先端工具であるブレードが装着され、モータ6の回転力により駆動される先端工具保持部であるブレードホルダ10と、を備える。
【0121】
上記の構成では、ロータ25の回転バランスの悪化が抑制されるので、電動作業機1を用いる作業において、電動作業機1の振動又は騒音の発生が抑制される。
【0122】
実施形態において、電動作業機1は、ロータシャフト33の前端部に設けられたピニオンギヤ41と、ロータシャフト33の前端部側からロータシャフト33に挿入されるファン7と、ロータシャフト33にファン7が挿入された後に、ロータシャフト33の前端部側からロータシャフト33に挿入される第1ベアリングであるロータベアリング38と、ロータシャフト33の後端部側からロータシャフト33に圧入されるロータコア31と、ロータシャフト33後端部側からロータシャフト33にファン7が圧入された後に、ロータシャフト33の後端部側からロータシャフト33に挿入される第2ベアリングであるロータベアリング37と、を備える。
【0123】
上記の構成では、電動作業機1が効率良く製造される。
【0124】
実施形態において、回転軸AXを中心に回転するロータ25とロータ25の周囲に配置されコイル29を有するステータ24と、を備えるモータ6の製造方法は、回転軸AXに平行な前後方向に延びるロータコア31のシャフト孔60に、シャフト孔60に第1の圧入代で圧入される細径圧入部82と、回転軸AXに平行な前後方向において細径圧入部82とは異なる位置に配置され、シャフト孔60に第1の圧入代よりも大きい第2の圧入代で圧入される太径圧入部79と、を有するロータシャフト33を圧入することを含む。
【0125】
上記の構成では、細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれがロータコア31のシャフト孔60に圧入されることにより、ロータコア31とロータシャフト33とが固定される。細径圧入部82及び太径圧入部79の作成においては、ロータシャフト33が曲がってしまうことが抑制される。また、細径圧入部82の外周面及び太径圧入部79の外周面のそれぞれとシャフト孔60の内周面とが密着する面圧入により、ロータコア31の中心軸とロータシャフト33の中心軸とがずれることが抑制される。そのため、ロータ25の回転バランスの悪化が抑制される。また、細径圧入部82の外周面及び太径圧入部79の外周面のそれぞれとシャフト孔60の内周面との面圧入により、ロータコア31とロータシャフト33とが強固に固定される。そのため、ロータコア31とロータシャフト33とが相対回転してしまったり、ロータコア31とロータシャフト33とが軸方向に相対移動してしまったりすることが抑制される。したがって、モータ6の性能の低下が抑制される。
【0126】
実施形態において、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入した後に、太径圧入部79をシャフト孔60に圧入する。
【0127】
上記の構成では、細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれがシャフト孔60に適正に圧入される。細径圧入部82よりも先に太径圧入部79をシャフト孔60に圧入してしまうと、太径圧入部79の直径に合わせてシャフト孔60の内径が拡大するようにロータコア31が塑性変形した後に、細径圧入部82がシャフト孔60に挿入されることになる。すなわち、太径圧入部79の直径に合わせて拡大したシャフト孔60の内径は、細径圧入部82の外径よりも大きい可能性があるので、細径圧入部82は、シャフト孔60に適正に圧入されない可能性がある。太径圧入部79よりも先に細径圧入部82がシャフト孔60に圧入されることにより、細径圧入部82の直径に合わせてシャフト孔60の内径が拡大しても、拡大したシャフト孔60の内径は、太径圧入部79の外径よりも小さいので、太径圧入部79は、シャフト孔60に適正に圧入される。
【0128】
実施形態において、細径圧入部82は、太径圧入部79よりも後側に配置される。ロータシャフト33に、細径圧入部82の後端部から後方に向かって直径が細くなる細径圧入ガイド部83が設けられる。細径圧入ガイド部をシャフト孔60に挿入した後に、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入する。
【0129】
上記の構成では、細径圧入ガイド部83により、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入し易くなる。また、細径圧入ガイド部83により、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入するときにロータコア31に過度な応力集中が発生することが抑制されるので、ロータコア31の損傷が抑制される。
【0130】
実施形態において、前後方向において細径圧入部82と太径圧入部79との間のロータシャフト33に、太径圧入部79の後端部から後方に向かって直径が細くなる太径圧入ガイド部80が設けられる。太径圧入ガイド部80をシャフト孔60に挿入した後に、太径圧入部79をシャフト孔60に圧入する。
【0131】
上記の構成では、太径圧入ガイド部80により、太径圧入部79をシャフト孔60に圧入し易くなる。また、太径圧入ガイド部80により、太径圧入部79をシャフト孔60に圧入するときにロータコア31に過度な応力集中が発生することが抑制されるので、ロータコア31の損傷が抑制される。
【0132】
実施形態において、前後方向において、細径圧入部82の寸法は、太径圧入部79の寸法よりも小さい。
【0133】
上記の構成では、細径圧入部82をシャフト孔60に圧入した後に、太径圧入部79をシャフト孔60に圧入する場合、ロータシャフト33をシャフト孔60に圧入し易い。また、太径圧入部79が細径圧入部82よりも長いので、ロータコア31とロータシャフト33とが強固に固定される。
【0134】
実施形態において、回転軸AXに直交する断面において、細径圧入部82及び太径圧入部79のそれぞれの外形が円形状になるように、細径圧入部82の外周面及び太径圧入部79の外周面のそれぞれを研磨加工する。
【0135】
上記の構成では、細径圧入部82及び太径圧入部79の加工方法として研磨加工が採用されることにより、ロータシャフト33が曲がってしまうことが抑制される。したがって、ロータ25の回転バランスの悪化が抑制される。
【0136】
実施形態において、前後方向において細径圧入部82と太径圧入部79との間に細径圧入部82の直径よりも小さい直径の逃がし部81を設けた後、細径圧入部82の外周面を研磨加工する。
【0137】
上記の構成では、細径圧入部82の外周面を砥石で研磨加工するとき、逃がし部81により、砥石が太径圧入部79に干渉することが抑制された状態で、細径圧入部82の外周面が砥石で研磨加工される。
【0138】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、電動作業機1は、電動工具の一種であるレシプロソーであることとした。電動工具は、レシプロソーに限定されない。電動工具として、インパクトドライバ、ドライバドリル、震動ドライバドリル、アングルドリル、スクリュードライバ、ハンマ、ハンマドリル、及びマルノコが例示される。
【0139】
上述の実施形態において、電動作業機1は、園芸工具(Outdoor Power Equipment)でもよい。園芸工具として、チェーンソー、草刈機、芝刈り機、ヘッジトリマ、及びブロワが例示される。
【符号の説明】
【0140】
1…電動作業機、2…後ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、3…前ハウジング、4…バッテリ装着部、5…コントローラ、6…モータ、7…ファン、8…クランク機構、9…スライダ、10…ブレードホルダ、11…ガイドシュー、12…モータ収容部、13…ハンドル部、14…バッテリ保持部、15…トリガレバー、16…ロックオフボタン、17…窓、18…第1吸気口、19…第2吸気口、20…フック受け、21…吊り下げ用フック、22…バッテリパック、23…コントローラケース、24…ステータ、25…ロータ、26…ステータコア、27…後インシュレータ、28…前インシュレータ、29…コイル、30…バスバー、31…ロータコア、31A…磁石孔、31B…空隙部、31C…カシメ部、32…永久磁石、33…ロータシャフト、34…センサ基板、35…モータケース、36…クランクケース、37…ロータベアリング、38…ロータベアリング、39…止め板、40…ねじ、41…ピニオンギヤ、42…ベベルギヤ、43…偏心ピン、44…連結ピン、45…コネクティングロッド、46…ホルダ、47…スライダガイド、48…スライドバー、49…シュー、51…スリーブ、52…スリーブ、60…シャフト孔、71…軸受保持部、72…逃がし部、73…ファン圧入ガイド部、74…ファン圧入部、75…逃がし部、76…第1中間部、77…溝部、78…第2中間部、79…太径圧入部、80…太径圧入ガイド部、81…逃がし部、82…細径圧入部、83…細径圧入ガイド部、84…逃がし部、85…スリーブ圧入部、86…スリーブ圧入ガイド部、87…逃がし部、88…軸受保持部、100…砥石、101…非加工部、Dc…内径、Ds1…直径、Ds2…直径、L1…寸法、L2…寸法、AX…回転軸。