(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183534
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】レーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20231221BHJP
G01S 13/88 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G01V3/12 B
G01S13/88 200
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097100
(22)【出願日】2022-06-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】512273266
【氏名又は名称】KEYTEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和彦
【テーマコード(参考)】
2G105
5J070
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB11
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105GG03
2G105LL02
5J070AC02
5J070AE11
5J070AF02
5J070AK39
5J070BE01
(57)【要約】
【課題】電磁波レーダ装置によるレーダ走査を行って、コンクリート中に平行に複数本配置された鉄筋の位置を把握するに際して、レーダ走査毎の走査開始位置の位置合わせをファジーに行っても、鉄筋の配置状況が正確且つ鮮明に表示される画像が得られる鉄筋配置情報取得装置及びその動作方法を提供する。
【解決手段】コンクリートC中に埋設されて平行に複数本配置された鉄筋の配置情報を取得する鉄筋配置情報取得装置であり、複数の鉄筋にわたって直交する方向であって異なる経路を通る複数のレーダ走査を行って取得したハイパボーラ情報を保持するハイパボーラ情報保持部0361と、保持されている異なる経路を通る複数のレーダ走査によるハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期するハイパボーラ情報同期部0362と、同期された異なる経路毎に得られたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成する配置情報生成部0363と、を有する。
【選択図】
図3D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート中に埋設されて平行に複数本配置された鉄筋の配置情報を取得する鉄筋配置情報取得装置であって、
平行に配置されている複数の鉄筋にわたって直交する方向であって異なる経路を通る複数のレーダ走査を行って取得したハイパボーラ情報を保持するハイパボーラ情報保持部と、
保持されている異なる経路を通る複数のレーダ走査によるハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期するハイパボーラ情報同期部と、
同期された前記異なる経路毎に得られたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成する配置情報生成部と、
からなるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置。
【請求項2】
前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を特定するための入力を受付ける起点入力受付部をさらに有する請求項1に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置。
【請求項3】
前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を取得する起点取得部をさらに有する請求項1に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置。
【請求項4】
前記配置情報生成部で生成された配置情報が画像情報である請求項1又は請求項2に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置。
【請求項5】
コンクリート中に埋設されて平行に複数本配置された鉄筋の配置情報を取得する鉄筋配置情報取得プログラムであって、
平行に配置されている複数の鉄筋にわたって直交する方向であって異なる経路を通る複数のレーダ走査を行って取得したハイパボーラ情報を保持するハイパボーラ情報保持プログラムと、
保持されている前記異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期する同期プログラムと、
同期された前記異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成する配置情報生成プログラムと、
を有する計算機である鉄筋情報取得装置に読み取り実行可能に記録したレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得プログラム。
【請求項6】
前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を特定するための入力を受付ける起点入力受付プログラムをさらに有する請求項5に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得プログラム。
【請求項7】
前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を取得する起点取得プログラムをさらに有する請求項5に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得プログラム。
【請求項8】
前記配置情報生成プログラムで生成された配置情報が画像情報である請求項5又は請求項6に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得プログラム。
【請求項9】
コンクリート中に埋設されて平行に複数本配置された鉄筋の配置情報を取得する鉄筋配置情報取得装置の動作方法であって、
平行に配置されている複数の鉄筋にわたって直交する方向であって異なる経路を通る複数のレーダ走査を行って取得したハイパボーラ情報を保持するハイパボーラ情報保持ステップと、
保持されている前記異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期する同期ステップと、
同期された前記異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成する配置情報生成ステップと、
からなるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置の動作方法。
【請求項10】
前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を特定するための入力を受付ける起点入力受付ステップをさらに有する請求項9に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置の動作方法。
【請求項11】
前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を取得する起点取得ステップをさらに有する請求項9に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置の動作方法。
【請求項12】
前記配置情報生成ステップで生成された配置情報が画像情報である請求項9又は請求項10に記載のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート内部探査用の電磁波レーダを用いてコンクリート内部に埋設されている鉄筋の配置情報を取得する際に利用されるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置及びその動作方法に関する。なお、本発明の鉄筋には、断面円形の丸鋼と呼ばれる鉄筋、及び、表面に凹凸を設けた異形鉄筋と呼ばれる鉄筋の双方を含むが、本明細書において、便宜上断面円形の丸鋼として扱うこととする。
【背景技術】
【0002】
老朽化対策や、近い将来の発生が予想される大地震に対する備えとして、近年、ビルや橋梁や原子力発電所建屋等の多くの鉄筋コンクリート構造体に対する補強の施工が行われている。この補強施工を行う場合には、鉄筋コンクリート構造体のコンクリートに埋設されている鉄筋の配置状態等の情報を取得する必要がある。
【0003】
従来において、鉄筋コンクリート構造体に埋設されている鉄筋の配置状態等の情報を取得する方法としては、例えば、非特許文献1に記載された非破壊試験によるコンクリート構造物中の配筋状態及びかぶり測定方法がある。
この非破壊試験によるコンクリート構造物中の配筋状態及びかぶり測定方法は、コンクリート内部探査用の台車状を成す電磁波レーダ装置を用いた方法であり、鉄筋コンクリート構造体である例えば床に互いに直交して埋設されている鉄筋の配置状態の情報は、以下のようにして取得される。
【0004】
まず、
図1Aの床の平面図に示すように、床に互いに直交して埋設されている鉄筋の予想される配置方向(X軸方向及びY軸方向)に合わせて、床表面0100にX軸基準線及びY軸基準線をマーキングする。
【0005】
次いで、
図1Bに示すように、床表面0100にX軸基準線に平行な複数本のX軸方向走査線0111をマーキングすると共に、Y軸基準線に平行な複数本のY軸方向走査線0112をマーキングする。すなわち、床表面0100に対して、格子状を成すようにしてX軸方向走査線0111及びY軸方向走査線0112をマーキングする。
【0006】
そして、
図1Cに示すように、床表面0100にマーキングしたX軸方向走査線0111及びY軸方向走査線0112に沿って電磁波レーダ装置を順次移動させてレーダ走査を行い、1回のレーダ走査において鉄筋で反射して戻る電磁波レーダからの電磁波(反射波)の強度に基いて測定される鉄筋通過位置(
図1Cにおける○印はY軸方向の鉄筋通過位置、×印はX軸方向の鉄筋通過位置)にマーキングし、これらのマーキングした鉄筋通過位置を結んで床表面0100にX軸方向の鉄筋(
図1Cに一点鎖線で示す)の位置及びY軸方向の鉄筋(
図1Cに二点鎖線で示す)の位置を作図する。
【0007】
最近において、床表面0100に鉄筋位置を作図するといった手間のかかる作業を無くすべく、床に埋設されている鉄筋の配置状態を画像化する技術が開発されている。
この鉄筋の配置状態を画像化する技術は、電磁波レーダ装置で走査を行う際に、電磁波レーダ装置が一体で有する或いは電磁波レーダ装置とは別体に用意されるレーダ画面に表示されるハイパボーラ波形(情報)に基く技術であり、このハイパボーラ波形は、
図1Dの二次元画像(断面画像)に示すように、電磁波レーダ装置0120が鉄筋0130の直上を直交する方向に通過する時点において、反射波の強度に基いて計測される鉄筋0130をピークとして表示される左右対称の山形波形である。つまり、例えば、
図1Eのレーダ走査のイメージ図(1本の鉄筋、その鉄筋に対するレーダ走査方向、レーダの反射強度をまとめて合成した図)に示すように、上記した複数本のX軸方向走査線0110に沿って電磁波レーダ装置を順次移動させてレーダ走査を行う際に、それぞれのレーダ走査で同一のY軸方向の鉄筋0130の直上を電磁波レーダ装置が横切るときに表示されるハイパボーラ波形W1~W3のピークの位置に基いて、床に埋設されているY軸方向の鉄筋0130の位置を画像化することができるようになっている。なお、ハイパボーラ波形(情報)については後段で詳述する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】平成30年10月に国土交通省大臣官房技術調査課が作成した「非破壊試験によるコンクリート構造物中の配筋状態及びかぶり測定要領」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した従来における鉄筋の配置状態を画像化する技術において、電磁波レーダ装置にはリニアエンコーダやロータリーエンコーダ等の距離計が組み込まれており、経路の異なる各レーダ走査において、走査開始位置ST1,ST2,ST3から鉄筋0130の直上の位置p1,p2,p3(ハイパボーラ波形W1~W3の各ピークに対応する位置)までの距離がそれぞれ測定されて、これらの距離の関数として前記反射波の受信強度が鉄筋0130の位置の画像化に利用される。
しかしながら、鉄筋の配置状態を画像化する技術では、経路の異なる各レーダ走査において、走査開始位置ST1,ST2,ST3がスタートラインSLに合致していない場合には、
図1Fに示すように、直線状に表されるはずの鉄筋0130が画像上波打って表示されてしまう。したがって、鉄筋の配置状況が正確且つ鮮明に表示される画像を得るためには、経路を変えてレーダ走査を行う毎に走査開始位置の位置合わせを慎重に行う必要があり、このように走査開始位置の位置合わせを慎重に行う分だけ、多くの手間暇がかかってしまうという問題があり、これを解決することが従来の課題となっている。
【0010】
本発明は、上記した従来の課題を解決するためになされたものであり、電磁波レーダ装置によるレーダ走査を行って、コンクリート中に平行に複数本配置された鉄筋の位置を画像化するに際して、レーダ走査毎の走査開始位置の位置合わせをファジーに行っても、鉄筋の配置状況が正確且つ鮮明に表示される画像を得ることができ、その結果、慎重な走査開始位置の位置合わせを必要としない分だけ、レーダ走査の時間短縮及び作業性向上を実現させることが可能である鉄筋配置情報取得装置及びその動作方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の鉄筋配置情報取得装置を提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、コンクリート中に埋設されて平行に複数本配置された鉄筋の配置情報を取得する鉄筋配置情報取得装置であって、平行に配置されている複数の鉄筋にわたって直交する方向であって異なる経路を通る複数のレーダ走査を行って取得したハイパボーラ情報を保持するハイパボーラ情報保持部と、保持されている異なる経路を通る複数のレーダ走査によるハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期するハイパボーラ情報同期部と、同期された前記異なる経路毎に得られたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成する配置情報生成部と、からなる構成としている。
【0012】
また、本発明の第二の態様は、前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を特定するための入力を受付ける起点入力受付部をさらに有する構成としている。
【0013】
さらに、本発明の第三の態様は、前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を取得する起点取得部をさらに有する構成としている。
【0014】
さらにまた、本発明の第四の態様は、前記配置情報生成部で生成された配置情報が画像情報である構成としている。
【0015】
一方、本発明の第五の態様は、コンクリート中に埋設されて平行に複数本配置された鉄筋の配置情報を取得する鉄筋配置情報取得プログラムであって、平行に配置されている複数の鉄筋にわたって直交する方向であって異なる経路を通る複数のレーダ走査を行って取得したハイパボーラ情報を保持するハイパボーラ情報保持プログラムと、保持されている前記異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期する同期プログラムと、同期された前記異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成する配置情報生成プログラムと、を有する計算機である鉄筋情報取得装置に読み取り実行可能に記録したレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得プログラムとしている。
【0016】
また、本発明の第六の態様は、前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を特定するための入力を受付ける起点入力受付プログラムをさらに有する構成としている。
【0017】
さらに、本発明の第七の態様は、前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を取得する起点取得プログラムをさらに有する構成としている。
【0018】
さらにまた、本発明の第八の態様は、前記配置情報生成プログラムで生成された配置情報が画像情報である構成としている。
【0019】
そして、本発明の第九の態様は、コンクリート中に埋設されて平行に複数本配置された鉄筋の配置情報を取得する鉄筋配置情報取得装置の動作方法であって、平行に配置されている複数の鉄筋にわたって直交する方向であって異なる経路を通る複数のレーダ走査を行って取得したハイパボーラ情報を保持するハイパボーラ情報保持ステップと、保持されている前記異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期する同期ステップと、同期された前記異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成する配置情報生成ステップと、からなるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋情報取得装置の動作方法としている。
【0020】
また、本発明の第十の態様は、前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を特定するための入力を受付ける起点入力受付ステップをさらに有する構成としている。
【0021】
さらに、本発明の第十一の態様は、前記異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて前記同期をとるための起点となる部分を取得する起点取得ステップをさらに有する構成としている。
【0022】
さらにまた、本発明の第十二の態様は、前記配置情報生成ステップで生成された配置情報が画像情報である構成としている
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電磁波レーダ装置によるレーダ走査を行って、コンクリート中に平行に複数本配置された鉄筋の位置を画像化するに際して、レーダ走査毎の走査開始位置の位置合わせをファジーに行っても、鉄筋の配置状況が正確且つ鮮明に表示される画像を得ることができ、したがって、慎重な走査開始位置の位置合わせを必要としない分だけ、レーダ走査の時間短縮及び作業性向上を実現させることが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】従来における鉄筋の配置状態等の情報を取得する方法を説明するための鉄筋コンクリート構造体である床の平面図である。
【
図1B】
図1Aに示した床にレーダ走査線を描いた状態の床の平面図である。
【
図1C】
図1Bに示したレーダ走査線でレーダ走査を実施して得られた鉄筋位置を記した状態の床の平面図である。
【
図1D】レーダ走査で得られるハイパボーラ情報の二次元画像を模した図である。
【
図1E】1本の鉄筋、その鉄筋に対するレーダ走査方向、レーダの反射強度をまとめて示したレーダ走査のイメージ図である。
【
図1F】従来における鉄筋の配置状態等の情報を取得する方法において得られた鉄筋が波打って表示されている画像を模した図である。
【
図3A】実施形態1に係るレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の概略構成図
【
図3B】レーダ走査のスタートラインを設定する要領を説明するための床の平面図である。
【
図3C】レーダ走査のスタートラインを設定する要領を説明するための床の部分拡大平面図である。
【
図3D】実施形態1におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の機能ブロック図である。
【
図3E】実施形態1におけるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の電磁レーダ装置と埋設状態にある鉄筋とのレーダ走査時おける位置関係を示す模式図である。
【
図3F】ハイパボーラ情報を説明するための模式図である。
【
図3G】3本の鉄筋、それらの鉄筋に対するレーダ走査方向、レーダの反射強度をまとめて示したコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の電磁レーダ装置によるレーダ走査のイメージ図である。
【
図3H】3回のレーダ走査で取得したハイパボーラ情報を並べて示す二次元画像を模した図である。
【
図3I】
図3Hのハイパボーラ情報から生成された鉄筋の配置状況を示す画像情報を模した図である。
【
図4】実施形態1におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】実施形態1におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の処理フローチャートである。
【
図6A】実施形態2におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の機能ブロック図である。
【
図6B】3回のレーダ走査で取得したハイパボーラ情報を並べて示す二次元画像を模した図である。
【
図6C】実施形態2におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の鉄筋配置情報の一取得例を示す床の平面図である。
【
図7】実施形態2におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図8】実施形態2におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の処理フローチャートである。
【
図9A】実施形態3におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の機能ブロック図である。
【
図9B】2回のレーダ走査で取得したハイパボーラ情報を並べて示す二次元画像を模した図である。
【
図10】実施形態3におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図11】実施形態3におけるレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1,4,5,8,9,12に関し、実施形態2は主に請求項2,6,10に関し、実施形態3は主に請求項3,7,11に関する。
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0026】
<本発明を構成し得るハードウェアについて>
本発明は、原則的に電子計算機を利用する発明であるが、ソフトウェアによって実現され、ハードウェアによっても実現され、ソフトウェアとハードウェアの協働によっても実現される。本発明の各構成要件の全部又は一部を実現するハードウェアでは、コンピュータの基本的構成であるCPU,メモリ,バス,入出力装置,各種周辺機器,ユーザインターフェースなどによって構成される。各種周辺機器には、記憶装置,インターネット等のインターフェース,インターネット等機器,ディスプレイ,キーボード,マウス,スピーカー,カメラ,ビデオ,テレビ,実験室又は工場等での生産状態を把握するための各種センサ(流量センサ,温度センサ,重量センサ,液量センサ,赤外線センサ,出荷個数計数機,梱包個数計数機,異物検査装置,不良品計数機,放射線検査装置,表面状態検査装置,回路検査装置,人感センサ,作業者作業状況把握装置(映像,ID,PC作業量などで)等),CD装置,DVD装置,ブルーレイ装置,USBメモリ,USBメモリインターフェイス,着脱可能タイプのハードディスク,一般的なハードディスク,プロジェクタ装置,SSD,電話,ファックス,コピー機,印刷装置,ムービー編集装置,各種センサ装置などが含まれる。
【0027】
また、本発明のシステムは、必ずしも一つの筐体によって構成されている必要はなく、複数の筐体を通信で結合して構成されるものであってもよい。また、通信は、LAN,WAN,wifi(登録商標),ブルートゥース(登録商標),赤外線通信,超音波通信であってもよく、一部が国境を跨いで設置されていてもよい。さらに、複数の筐体のそれぞれが異なる主体によって運営されていてもよく、一の主体によって運営されていてもよい。本発明のシステムの運用主体は、単数であるか複数であるかは問わない。また、本発明のシステムの他に第三者の利用する端末、さらに他の第三者の利用する端末を含むシステムとしても発明を構成することができる。また、これらの端末は国境を越えて設置されていてもよい。さらに、本発明のシステムや前記端末の他に第三者の関連情報や、関連人物の登録のために利用される装置、登録の内容を記録するためのデータベースに利用される装置等が用意されてもよい。これらは、本発明のシステムに備えてもよいし、本発明のシステム外に備えてこれらの情報を利用することができるように本発明のシステムを構成してもよい。
【0028】
図2に示すように、コンピュータは、マザーボード上に構成される、チップセット,CPU,不揮発性メモリ,メインメモリ,各種バス,BIOS,各種インターフェース,リアルタイムクロック等からなる。これらはオペレーティングシステムやデバイスドライバ,各種プログラム等と協働して動作する。本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウェア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。
【0029】
≪チップセット≫
「チップセット」は、コンピュータのマザーボードに実装され、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとの連絡機能、つまり、ブリッジ機能を集積した大規模集積回路(LSI)のセットである。2チップセット構成を採用する場合と、1チップセット構成を採用する場合とがある。CPUやメインメモリに近い側をノースブリッジ、遠い側で比較的低速な外部I/Oとのインターフェースの側にサウスブリッジが設けられる。
【0030】
(ノースブリッジ)
ノースブリッジには、CPUインターフェース,メモリコントローラ,グラフィックインターフェースが含まれる。従来のノースブリッジの機能のほとんどをCPUに担わせてもよい。ノースブリッジは、メインメモリのメモリスロットとはメモリバスを介して接続し、グラフィックカードのグラフィックカードスロットとは、ハイスピードグラフィックバス(AGP,PCI Express)で接続される。
【0031】
(サウスブリッジ)
サウスブリッジは、PCIインターフェース(PCIスロット)とPCIバスを介して接続して、ATA(SATA)インターフェース,USBインターフェース,Ethernetインターフェース等とのI/O機能やサウンド機能を担う。高速な動作が必要でない、あるいは不可能であるようなPS/2ポート,フロッピーディスクドライブ,シリアルポート,パラレルポート,ISAバスをサポートする回路を組み込むことは、チップセット自体の高速化の足かせとなるため、サウスブリッジのチップから分離させ、スーパーI/Oチップと呼ばれる別のLSIに担当させることとしてもよい。CPU(MPU)と、周辺機器や各種制御部を繋ぐためにバスが用いられる。バスはチップセットによって連結される。メインメモリとの接続に利用されるメモリバスは、高速化を図るために、これに代えてチャネル構造を採用してもよい。バスとしてはシリアルバスかパラレルバスを採用できる。パラレルバスは、シリアルバスが1ビットずつデータを転送するのに対して、元データそのものや元データから切り出した複数ビットをひとかたまりにして、同時に複数本の通信路で伝送する。クロック信号の専用線がデータ線と平行して設けられ、受信側でのデータ復調の同期を行う。CPU(チップセット)と外部デバイスをつなぐバスとしても用いられ、GPIB,IDE/(パラレル)ATA,SCSI,PCI等がある。高速化に限界があるため、PCIの改良版PCI ExpressやパラレルATAの改良版シリアルATAでは、データラインはシリアルバスでもよい。
【0032】
≪CPU≫
CPUは、メインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは、コンピュータ内での演算を行なう中心として機能する。なお、CPUは、演算の中心となるCPUコア部分と、その周辺部分とから構成され、CPU内部に、レジスタ,キャッシュメモリ,キャッシュメモリとCPUコアとを接続する内部バス,DMAコントローラ,タイマ,ノースブリッジとの接続バスとのインターフェース等が含まれる。なお、CPUコアは一つのCPU(チップ)に複数備えられていてもよい。また、CPUに加えてグラフィックインターフェース(GPU)若しくはFPUによって、処理を行ってもよい。
【0033】
≪不揮発性メモリ≫
(HDD)
ハードディスクドライブの基本構造は、磁気ディスク,磁気ヘッド及び磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。外部インターフェースは、SATAA(過去ではATA)を採用することができる。高機能なコントローラ、例えば、SCSIを用いて,ハードディスクドライブ間の通信をサポートする。例えば、ファイルを別のハードディスクドライブにコピーする時、コントローラがセクタを読み取って別のハードディスクドライブに転送して書き込むといったことができる。この時ホストCPUのメモリにはアクセスしない。したがってCPUの負荷を増やさないで済む。
なお、不揮発性メモリとしては「NANDフラッシュ」から構成されるSSDをHDDとともに採用してもよいし、HDDに置き換えて採用してもよい。
【0034】
≪メインメモリ≫
CPUが直接アクセスしてメインメモリ上の各種プログラムを実行する。メインメモリは揮発性のメモリでDRAMが用いられる。メインメモリ上のプログラムはプログラムの起動命令を受けて不揮発性メモリからメインメモリ上に展開される。その後もプログラム内で各種実行命令や、実行手順にしたがってCPUがプログラムを実行する。
【0035】
≪オペレーティングシステム(OS)≫
オペレーティングシステムは、コンピュータ上の資源をアプリケーションに利用させるための管理をしたり、各種デバイスドライバを管理したり、ハードウェアであるコンピュータ自身を管理するために用いられる。小型のコンピュータではオペレーティングシステムとしてファームウェアを用いることもある。
【0036】
≪デバイスドライバ≫
デバイスドライバは、オペレーティングシステムを介して計算機に付属する各種のデバイスをユーザやアプリケーションに利用可能にするためのデバイスのハードウェアを制御するプログラムである。
【0037】
≪BIOS≫
BIOSは、コンピュータのハードウェアを立ち上げてオペレーティングシステムを稼働させるための手順をCPUに実行させるもので、最も典型的にはコンピュータの起動命令を受けるとCPUが最初に読取りに行くハードウェアである。ここには、ディスク(不揮発性メモリ)に格納されているオペレーティングシステムのアドレスが記載されており、CPUに展開されたBIOSによってオペレーティングシステムが順次メインメモリに展開されて稼働状態となる。なお、BIOSは、バスに接続されている各種デバイスの有無をチェックするチェック機能をも有している。チェックの結果はメインメモリ上に保存され、適宜オペレーティングシステムによって利用可能な状態となる。なお、外部装置などをチェックするようにBIOSを構成してもよい。
【0038】
≪I/Oコントローラ≫
I/Oコントローラは、外部機器との接続に利用される。USBコネクタもその一例である。
【0039】
≪USB,IEEE1394コネクタ,LAN端子等≫
USB,IEEE1394コネクタ、LAN端子等は、最も代表的な通信規格のインターフェースである。
【0040】
以上については、本願明細書中の全ての実施形態におけるハードウェア構成の説明で共通に利用される構成である。
<実施形態1>
【0041】
本実施形態は、主に請求項1,4,5,8,9,12に関する。
<実施形態1 装置 概要>
【0042】
本実施形態に係るレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置は、コンクリート中に平行に複数本配置された鉄筋の配置情報を取得する装置であり、平行配置されている複数本の鉄筋と直交する方向で且つ互いに異なる経路を通る複数のレーダ走査を行うことで取得されるハイパボーラ(hyperbola)情報の反射強度の繰り返し周期を同期させて、互いに同期された複数の経路毎のハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成する。
【0043】
このような鉄筋配置情報取得装置では、コンクリート中に平行に複数本配置された鉄筋の位置を画像化するに際して、複数のレーダ走査における走査スタート位置のずれを自動的に補正することができるので、レーダ走査毎の走査開始位置の位置合わせをファジーに行っても、鉄筋の配置状況を鮮明に画像化することが可能であるという効果を奏する。
なお、一般的に鉄筋の配置は、床面配筋の場合には壁面に対して直交方向に配筋する傾向が高く、壁面の配筋の場合には床面に対して直交して鉛直方向に配筋する傾向が高い。 したがって、レーダ走査を開始する場合には、この前提に立って走査を開始するのが通常である。また、配筋に対して直交方向に走査できていない場合には、直交配筋の両配筋に応答するレーダ反応があるので、これを検知することができる。つまり、直交方向の配筋の一方向の配筋のレーダ反応のみが得られる状態でレーダ走査するように工夫することは作業現場では困難なことではない。なお、鉄筋の配筋はおよそほとんどの配筋が直交配筋となっている。強度計算が容易だからである。
<実施形態1 構成 主に請求項1,4,5,8,9,12に対応>
【0044】
図3Aに示すように、本実施形態のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置0360は、台車状を成す電磁波レーダ装置0350を用いて、鉄筋コンクリート構造体(本実施形態では建築物の床)0300のコンクリートCの内部に配置されている複数本のX方向鉄筋0301、及び、これらのX方向鉄筋0301と略直交する複数本のY方向鉄筋0302の配置状況を取得するための装置である。本実施形態では、コンクリートCの内部に配置されている鉄筋群が上下二層である場合を例示しているが、鉄筋群が三層以上である場合も当然適用可能である。
【0045】
台車状を成す電磁波レーダ装置0350は、コンクリートCの内部に配置されている鉄筋に対して電磁波を輻射する送信アンテナ0351と、輻射した電磁波の鉄筋からの反射波(
図3AではX方向鉄筋0301で反射する電磁波を示している)を受信する受信アンテナ0352と、受信アンテナ0352での反射波の受信強度をその電磁波レーダ装置0350の鉄筋からの位置に応じて表示するレーダ画面0353とからなっている。この場合、電磁波レーダ装置0350には、リニアエンコーダやロータリーエンコーダ等の距離計が組み込まれており、後述するように、構造体表面上を移動してレーダ走査する際のレーダ走査起点(スタート位置)から現走査位置までの距離を測定することができるようになっている。そして、レーダ画面0353において、レーダ走査起点からの距離の関数として前記反射波の受信強度を記録し表示できるようになっている。なお、電磁波レーダ装置0350でレーダ走査を行うの際の移動速度は、X方向鉄筋0301及びY方向鉄筋0302の配置状況の把握に関与しないので、レーダ走査に際して電磁波レーダ0350装置を手動で移動させてもよいし、例えば、モータにより一定の速度で自動走行させてもよい。
【0046】
このような電磁波レーダ装置0350を用いて構造体表面をレーダ走査する場合において、上述のように、電磁波レーダ装置0350をX方向鉄筋0301と直交する方向に移動させると共に、Y方向鉄筋0302と直交する方向に移動させる必要がある。
そこで、X方向鉄筋0301及びY方向鉄筋0302が格子状に規則正しく配筋されていることを考慮して、本実施形態のように鉄筋コンクリート構造体が建築物の床0300である場合には、
図3Bに示すように、まず、床0300の一角(図示Y方向に沿う壁(又は辺)Waと図示X方向に沿う壁(又は辺)Wbとの交点)の近傍位置から、電磁波レーダ装置0350を図示Y方向及び図示X方向に一回ずつ移動させて、壁(又は辺)Waに最も近い位置に埋設されているY方向鉄筋0302及び壁(又は辺)Wbに最も近い位置に埋設されているX方向鉄筋0301の位置を把握すると共に、X方向鉄筋0301及びY方向鉄筋0302の各ピッチ(間隔)を把握する。
そして、床0300上における図示Y方向に沿う壁(又は辺)Waの近傍にX方向のレーダ走査のスタートラインLaを設定して、壁(又は辺)Waに最も近いY方向鉄筋0302の手前(壁側)からX方向のレーダ走査を行うようにする。これと同様に、床0300上における図示X方向に沿う壁(又は辺)Wbの近傍にY方向のレーダ走査のスタートラインLbを設定し、壁(又は辺)Wbに最も近いX方向鉄筋0301の手前(壁側)からY方向のレーダ走査を行うようにする。そして、壁際(又は辺際)に設定したスタートラインLa,Lbには、構造体表面上に、目印として例えば線を描いたり、テープを貼付したりすることが好ましい。
なお、床0300の周囲を囲む壁(又は辺)Wa,WbをスタートラインLa,Lbとして利用することができる場合には、例えば、Y方向のレーダ走査において、
図3Cの部分拡大図に示すように、図示X方向の壁(又は辺)Wbに電磁波レーダ装置0350の後部を突き当てた状態でスタートさせるようにすることが好ましい。これと同じく、X方向のレーダ走査においても、図示は省略するがY方向の壁(又は辺)に電磁波レーダ装置の後部を突き当てた状態でスタートさせるようにすることが好ましい。なぜなら、複数回行うレーダ走査のスタート位置の相互のずれを少なく抑えることができるからである。
【0047】
ここで、電磁波レーダ装置を、例えば、モータにより一定の速度で移動可能な自走式のものとした場合には、例えば、ビル屋上や原子力発電所建屋の屋上や橋梁等の屋外におけるレーダ走査において、GPS(全地球測位システム)を用いて自走させるようにしてもよい。一方、例えば、ビル床面等の屋内におけるレーダ走査では、ビルの内部に複数のビーコンを配置すると共に電磁波レーダ装置にビーコン用の受信端末を搭載して、複数のビーコンに案内されて自走させるようにしてもよい。
<実施形態1 構成 主に請求項1,4,5,8,9,12に対応>
<実施形態1 構成 機能ブロック>
【0048】
図3Dに示すように、本実施形態のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置0360は、ハイパボーラ情報保持部0361と、ハイパボーラ情報同期部0362と、配置情報生成部0363と、を有している。
<実施形態1 構成 主に請求項1,4,5,8,9,12に対応>
<実施形態1 構成 機能ブロック ハイパボーラ情報保持部>
【0049】
「ハイパボーラ情報保持部0361」は、上記電磁波レーダ装置0350により取得したX方向鉄筋0301に係るハイパボーラ情報を保持する。このX方向鉄筋0301に係るハイパボーラ情報は、
図3Aに示すように、X方向鉄筋0301と直交する方向に電磁波レーダ装置0350を移動させるレーダ走査を実施することで取得され、このレーダ走査を略平行に配置されている複数本のX方向鉄筋0301にわたって経路を変えて複数回実施することで、複数本のX方向鉄筋0301に係るハイパボーラ情報が取得される。この場合、経路を変えて複数回実施するレーダ走査毎に取得される各ハイパボーラ情報には、複数ある経路のうちのどの経路を通過したレーダ走査によるものであるかを識別するためのレーダ走査経路識別情報がそれぞれ付与されるようになっており、「ハイパボーラ情報保持部0361」では、レーダ走査経路識別情報が付与されたハイパボーラ情報を保持するものとなっている。
また、この「ハイパボーラ情報保持部0361」は、X方向鉄筋0301と同様に、電磁波レーダ装置0350により取得したY方向鉄筋0302に係るハイパボーラ情報を保持する。略平行に配置されている複数本のY方向鉄筋0302に係るハイパボーラ情報も、Y方向鉄筋0302と直交する方向のレーダ走査を複数本のY方向鉄筋0302にわたって経路を変えて複数回実施することで取得される。そして、この経路を変えて複数回実施するレーダ走査毎に取得される各ハイパボーラ情報も、レーダ走査経路識別情報がそれぞれ付与された状態で、「ハイパボーラ情報保持部0361」に保持されるようになっている。
この際、
図3Bで示したレーダ走査のスタートラインLa,Lbの交点、すなわち、鉄筋コンクリート構造体が建築物の床0300である場合には、壁際(又は辺際)Wa,WbにおけるスタートラインLa,Lbの交点を原点Lpとして設定し、原則としてこの原点Lpからレーダ走査経路識別情報の通し番号を順次付与することが好ましい。
【0050】
ここで、
図3EのX方向鉄筋0301の埋設状態の模式図に示すように、電磁波レーダ装置0350をX方向鉄筋0301の配置方向と直交する方向に移動させてレーダ走査を行う場合、送信アンテナ0351から輻射される電磁波は、コンクリートCの内部において進行方向及び後退方向に広がりを持って進むため、例えば、電磁波レーダ装置0350がX方向鉄筋0301の直上を通過する手前の位置P1でも、X方向鉄筋0301からの斜めの反射波R1を受信することとなる。この際、
図3Fのレーダ画面を模した図に示すように、電磁波レーダ装置0350のレーダ画面では、位置P1で輻射された電磁波が反射波R1となって戻る際の反射強度が電磁波レーダ装置の位置P1に対応して表示されるようになっている。そして、電磁波レーダ装置0350がX方向鉄筋0301の直上の位置P2を通過する時点では、この位置P2で輻射された電磁波が反射波R2となって戻る反射強度が最も大きくなり、レーダ画面において、この反射強度が位置P2に対応して表示されるようになっている。その後、電磁波レーダ装置0350が位置P3を通過した際は、通り過ぎたX方向鉄筋0301からの斜めの反射波を受信することとなり、電磁波レーダ装置0350のレーダ画面では、位置P3で輻射された電磁波が反射波R3となって戻る際の反射強度が位置P3に対応して表示されるようになっている。
その結果、レーダ画面には、X方向鉄筋0301をピークとする左右対称の山形波形、すなわち、X方向鉄筋0301の位置情報であるハイパボーラ波形(情報)が表示される。
なお、X方向鉄筋0301からの反射強度が最も大きくなるX方向鉄筋0301の直上の位置P2を電磁波レーダ装置0350が通過する際に、この電磁波レーダ装置0350の通過を周囲に認識させるための通過音や光を発するように構成することができる。
【0051】
例えば、
図3Gのレーダ走査のイメージ図(3本の鉄筋、それらの鉄筋に対するレーダ走査方向、レーダの反射強度をまとめて表した図)に示すように、経路を変えてレーダ走査を複数回(図示例では3回)実施する場合、第1の走査経路SC1に沿うレーダ走査で取得されるX方向鉄筋0301A,0301B,0301Cに係るハイパボーラ情報は、その走査終了後に電磁波レーダ装置のレーダ画面に表示される。これと同様に、第2の走査経路SC2に沿うレーダ走査及び第3の走査経路SC3に沿うレーダ走査で取得したX方向鉄筋0301A,0301B,0301Cに係る各ハイパボーラ情報も、それぞれの走査終了後に電磁波レーダ装置のレーダ画面に表示される。
【0052】
そして、第1の走査経路SC1~第3の走査経路SC3の各レーダ走査で取得したX方向鉄筋0301A,0301B,0301Cに係る各ハイパボーラ情報は、
図3Hに示すように、レーダ走査経路識別情報Wx1,Wx2,Wx3がそれぞれ付与された状態で「ハイパボーラ情報保持部0361」に保持される。
【0053】
このようなX方向鉄筋の場合と同様に、電磁波レーダ装置をY方向鉄筋の配置方向と直交する方向に移動させてレーダ走査を行うと、レーダ画面には、Y方向鉄筋をピークとする左右対称の山形波形、すなわち、深さ方向の波形の情報であるハイパボーラ波形(情報)が表示され、レーダ走査を経路を変えて複数回実施して取得したY方向鉄筋に係るハイパボーラ情報は、レーダ走査経路識別情報がそれぞれ付与された状態で「「ハイパボーラ情報保持部0361」に保持される。
なお、上記本実施形態に係るレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置では、鉄筋の配置情報を取得するだけでなく、電磁波レーダ装置の送信アンテナからコンクリートの内部に電磁波を輻射し、鉄筋で反射して戻る反射波を受信アンテナで受けることによって、鉄筋の埋設深度(かぶり深さ)も測定することができる。
【0054】
ここで、鉄筋の埋設深度D(m)は、送信アンテナから輻射された電磁波が鉄筋で反射して受信アンテナで受信されるまでの時間T(s)の半分(片道分)に、コンクリートを透過する電磁波の速度V(m/s)を掛けて求められ、式1で表される。
D=(1/2)×T×V 式1
【0055】
この際、電磁波の空気(真空)中の速度は3×108(m/s)であり、この電磁波がコンクリートを透過する際の速度Vは、媒質であるコンクリート固有の比誘電率で定まり、式2で表される。なお、コンクリートの乾燥でも湿潤でもない標準的な比誘電率εrは6~8である。
V=(3×108)/(εr)1/2 式2
【0056】
したがって、鉄筋の埋設深度D(m)は、式1及び式2により、式3で表される。
D=(1/2)×{(3×108)/(εr)1/2}×T 式3
<実施形態1 構成 主に請求項1,4,5,8,9,12に対応>
<実施形態1 構成 機能ブロック ハイパボーラ情報同期部>
【0057】
「ハイパボーラ情報同期部0362」は、ハイパボーラ情報保持部0361に保持されている複数のハイパボーラ情報、すなわち、異なる経路を通る複数回のレーダ走査によるハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期させるべく機能する。
【0058】
具体的には、
図3Hに示すレーダ走査経路識別情報Wx1,Wx2,Wx3がそれぞれ付与された3つのハイパボーラ情報において、例えば、レーダ走査経路識別情報Wx2が付与されたハイパボーラ波形(情報)の走査開始位置S2が、レーダ走査経路識別情報Wx1,Wx3がそれぞれ付与された他の2つのハイパボーラ波形(情報)の走査開始位置S1,S3に対してずれている場合に、「ハイパボーラ情報同期部0362」は、レーダ走査経路識別情報Wx2が付与されたハイパボーラ波形の反射強度の繰り返し周期を、
図3Hに仮想線で示すように、他の2つのハイパボーラ波形の反射強度の繰り返し周期に同期させるべく機能する。なお、ここでは、レーダ走査経路識別情報Wx2のハイパボーラ波形の走査開始位置S2が、他の2つのハイパボーラ波形の走査開始位置S1,S3に対してずれている場合を例示したが、例えば、レーダ走査経路識別情報Wx1,Wx2,Wx3のハイパボーラ波形(情報)の各走査開始位置S1,S2,S3が互いにずれている場合において、「ハイパボーラ情報同期部0362」は、いずれか1つのハイパボーラ波形、例えば、レーダ走査経路識別情報Wx1のハイパボーラ波形における反射強度の繰り返し周期に同期させるべく機能する。
【0059】
つまり、「ハイパボーラ情報同期部0362」では、異なる経路を通る複数回のレーダ走査によるハイパボーラ波形(情報)の走査開始位置の互いの誤差を自動的に補正するべく機能する。
<実施形態1 構成 主に請求項1,4,5,8,9,12に対応>
<実施形態1 構成 機能ブロック 配置情報生成部>
【0060】
「配置情報生成部0363」は、異なる経路毎のレーダ走査で得られたハイパボーラ情報であってハイパボーラ情報同期部0362で互いに同期されたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報を生成するべく機能する。
【0061】
この「配置情報生成部0363」で生成する鉄筋の配置情報は、ハイパボーラ情報同期部0362で互いに同期された複数のハイパボーラ情報、すなわち、異なる経路を通る複数回のレーダ走査による反射強度の繰り返し周期が互いに同期されたハイパボーラ情報に基づいて生成されるものであり、本実施形態では、
図3Iに示すように、鉄筋0301,0302の配置状況を鮮明な画像情報として生成する。なお、この鉄筋の配置状況を示す画像情報は、
図3Aに示す鉄筋配置情報取得装置0360のディスプレイ0365に表示されるが、電磁波レーダ0350のレーダ画面0353にも表示するようにすることが望ましい。
<実施形態1 ハードウェア構成 主に請求項1,4,5,8,9,12に対応>
【0062】
図4に示すように、本実施形態のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置0460は、CPU0461と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0462と、D-RAM等のメインメモリ0463と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0462には、プログラムとしてハイパボーラ情報保持プログラム、ハイパボーラ情報同期プログラム、配置情報生成プログラムが格納されている。データとしては、電流信号や位相角の情報であり、これらのプログラムやデータは、メインメモリ0463の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
<実施形態1 処理の流れ 主に請求項1,4,5,8,9,12に対応>
【0063】
本実施形態のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置では、
図5に示すように、ハイパボーラ情報保持ステップS0501が実行されて、平行に配置されている複数の鉄筋にわたって直交する方向であって異なる経路を通る複数のレーダ走査を行って取得したハイパボーラ情報が保持される。
次いで、ハイパボーラ情報同期ステップS0502が実行されて、保持されている異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期が同期される。
次に、配置情報生成ステップS0503が実行されて、ハイパボーラ情報同期ステップS0502で同期された異なる経路ごとに得られたハイパボーラ情報に基づいて鉄筋の配置情報が画像情報として生成される。
<実施形態1 効果 主に請求項1,4,5,8,9,12に対応>
【0064】
本実施形態に係るレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置では、レーダ走査を行って、コンクリート中に平行に複数本配置された鉄筋の位置を画像化するに際して、レーダ走査毎の走査開始位置の位置合わせをファジーに行っても、鉄筋の配置状況が正確且つ鮮明に表示される画像を得ることができるので、慎重な走査開始位置の位置合わせを必要としない分だけ、レーダ走査の時間短縮及び作業性向上を実現させることが可能であるという効果を奏する。
<実施形態2>
【0065】
本実施形態は、主に請求項2,6,10に関する。
<実施形態2 鉄筋配置情報取得装置 概要>
【0066】
本実施形態に係るレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置は、実施形態1を基本とし、異なる経路を通る複数のレーダ走査を行うことで取得されたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期させるにあたって、この同期の起点となる部分を特定するための入力を受付ける起点入力受付部をさらに有することを特徴としている。
【0067】
このような鉄筋配置情報取得装置では、ハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期を同期させるに際して、起点入力受付部において同期の起点となる部分の特定が成されるので、ハイパボーラ情報保持部に保持されているハイパボーラ情報における反射強度の繰り返し周期の同期が迅速に行われることとなる。
<実施形態2 構成 主に請求項2,6,10に対応>
<実施形態2 構成 機能ブロック 起点入力受付部>
【0068】
図6Aに示すように、本実施形態のレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置0660が、実施形態1の鉄筋配置情報取得装置と比べて特徴とするところは、異なる経路を通る複数のレーダ走査により取得されたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期をハイパボーラ情報同期部0662で同期させるのに先立って、この同期の起点となる部分を特定するための入力を受付ける起点入力受付部0664をさらに有している点にある。
【0069】
この起点入力受付部0664では、
図6Bに示すように、例えば、異なる経路を通るレーダ走査により取得されたレーダ走査経路識別情報Wx1,Wx2,Wx3のハイパボーラ波形(情報)の各走査開始位置S1,S2,S3が互いにずれている場合において、各反射強度の繰り返し周期の起点となる部分、具体的には、例えば、レーダ走査経路識別情報Wx1,Wx2,Wx3の各ハイパボーラ波形における走査開始から最初に現れる同一の鉄筋0601Aに係るピークの位置L1,L2,L3を入力する。つまり、レーダ走査経路識別情報Wxnまでのハイパボーラ波形(情報)がある場合には、同一の鉄筋0601Aに係るピークの位置Lnまでを入力する。
【0070】
したがって、本実施形態に係る鉄筋配置情報取得装置0660では、ハイパボーラ情報保持部に保持されているハイパボーラ情報における反射強度の繰り返し周期の同期が迅速に行われることとなり、レーダ走査による鉄筋配置情報の取得時間のさらなる短縮化が実現する。
また、例えば、
図6Cに示すように、鉄筋コンクリート構造体が建築物の床0600であり、その四隅に柱等の出っ張り部0650がある場合には、すなわち、埋設されている鉄筋0601と直交する方向への矢印で示すレーダ走査の走査開始位置S1,S5とS2~S4が異なる場合には、走査開始位置S1,S5からのレーダ走査で得られるハイパボーラ波形と、走査開始位置S2~S4の各レーダ走査で得られるハイパボーラ波形とでは、走査開始から最初に現れる鉄筋が異なることになる。具体的には、走査開始位置S2~S4の各レーダ走査で得られるハイパボーラ波形において、走査開始から最初に現れるピークは鉄筋0601Aに係るものであるが、走査開始位置S1,S5からのレーダ走査で得られるハイパボーラ波形では、走査開始から最初に現れるピークは鉄筋0601Cに係るものとなる。
本実施形態に係る鉄筋配置情報取得装置0660では、このような場合において、まず、走査開始位置S2~S4の各レーダ走査で得られるハイパボーラ波形の走査開始から最初に現れる同一の鉄筋0601Aに係るピークの位置を起点として入力する。そして、走査開始位置S1,S5からのレーダ走査で得られるハイパボーラ波形の走査開始から最初に現れる鉄筋0601Cに係るピークの位置を起点として入力する際に、走査開始位置S2~S4の各レーダ走査で得られるハイパボーラ波形においても、鉄筋0601Cに係るピークの位置も起点として入力することで対応する。
このように、本実施形態に係る鉄筋配置情報取得装置0660において、異なる経路を通るレーダ走査により取得されたハイパボーラ波形(情報)の各反射強度の繰り返し周期の起点となる部分を複数設定することができる。
<実施形態2 ハードウェア構成 主に請求項2,6,10に対応>
【0071】
図7に示すように、本実施形態の鉄筋配置情報取得装置0760は、CPU0761と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0762と、D-RAM等のメインメモリ0763と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0762には、プログラムとしてハイパボーラ情報保持プログラム、ハイパボーラ情報同期プログラム、配置情報生成プログラムに加えて起点入力受付プログラムが格納されている。データとしては、電流信号や位相角の情報であり、これらのプログラムやデータは、メインメモリ0763の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
<実施形態2 処理の流れ 主に請求項2,6,10に対応>
【0072】
本実施形態の鉄筋配置情報取得装置では、
図8に示すように、ハイパボーラ情報保持ステップS0801が実行された後、ハイパボーラ情報同期ステップS0802及び配置情報生成ステップS0803が順次実行されるのに先立って、起点入力受付ステップS0804が実行される。この起点入力受付ステップS0804では、異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて、ハイパボーラ情報同期ステップS0802で同期をとるための起点となる部分を特定するための入力の受付が実行される。
<実施形態2 効果 主に請求項2,6,10に対応>
【0073】
本実施形態に係るレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置では、レーダ走査により鉄筋配置情報を取得する際の作業時間のさらなる短縮化を実現することが可能であるという効果を奏する。
<実施形態3>
【0074】
本実施形態は、主に請求項3,7,11に関する。
<実施形態3 鉄筋配置情報取得装置 概要>
【0075】
本実施形態に係るレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置は、実施形態1を基本とし、異なる経路を通る複数のレーダ走査を行うことで取得されたハイパボーラ情報における反射強度の繰り返し周期の同期がなされるのに先立って、この同期の起点となる部分を取得する起点取得部をさらに有することを特徴としている。
【0076】
このような鉄筋配置情報取得装置では、ハイパボーラ情報における反射強度の繰り返し周期の同期が成される時点において、同期の起点となる部分が起点取得部によって取得されるので、ハイパボーラ情報保持部に保持されているハイパボーラ情報における反射強度の繰り返し周期の同期が迅速に行われることとなる。
<実施形態3 構成 主に請求項3,7,11に対応>
<実施形態3 構成 機能ブロック 起点取得部>
【0077】
図9Aに示すように、本実施形態の鉄筋配置情報取得装置0960が、実施形態1の鉄筋配置情報取得装置と比べて特徴とするところは、異なる経路を通る複数のレーダ走査により取得されたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返し周期をハイパボーラ情報同期部0962で同期させるのに先立って、この同期の起点となる部分を自動的に取得する起点取得部0965をさらに有している点にある。
【0078】
この起点取得部0965では、
図9Bの上部に示すように、例えば、異なる経路を通るレーダ走査により取得されたレーダ走査経路識別情報Wx1,Wx2,Wx3のハイパボーラ波形(情報)の最初に現れる各ピーク位置が互いにずれている場合において、各反射強度の繰り返し周期の起点となる部分、具体的には、例えば、レーダ走査経路識別情報Wx1,Wx2,Wx3の各ピーク位置を自動的に取得する、つまり、所定の個数分のピーク位置を自動的に取得する。
このように、反射強度の繰り返し周期の起点となる部分としてレーダ走査経路識別情報Wx1,Wx2,Wx3の最初に現れる各ピーク位置(鉄筋0901Aに対応)を自動的に取得することで、ハイパボーラ情報同期部において、
図9Bの下部に示すように、ハイパボーラ情報における反射強度の繰り返し周期の同期がなされることとなる。
【0079】
したがって、本実施形態に係る鉄筋配置情報取得装置0960においても、ハイパボーラ情報保持部に保持されているハイパボーラ情報における反射強度の繰り返し周期の同期が迅速に行われることとなり、レーダ走査による鉄筋配置情報の取得時間のさらなる短縮化が実現する。
<実施形態3 ハードウェア構成 主に請求項3,7,11に対応>
【0080】
図10に示すように、本実施形態の鉄筋配置情報取得装置1060は、CPU1061と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ1062と、D-RAM等のメインメモリ1063と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ1062には、プログラムとしてハイパボーラ情報保持プログラム、ハイパボーラ情報同期プログラム、配置情報生成プログラムに加えて起点取得プログラムが格納されている。データとしては、電流信号や位相角の情報であり、これらのプログラムやデータは、メインメモリ1063の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
<実施形態3 処理の流れ 主に請求項3,7,11に対応>
【0081】
本実施形態の鉄筋配置情報取得装置では、
図11に示すように、ハイパボーラ情報保持ステップS1101が実行された後、ハイパボーラ情報同期ステップS1102及び配置情報生成ステップS1103が順次実行されるのに先立って、起点取得ステップS1104が実行される。この起点取得ステップS1104では、異なる経路のレーダ走査によって得られたハイパボーラ情報の反射強度の繰り返しに基づいて、ハイパボーラ情報同期ステップS1102で同期をとるための起点となる部分の取得が実行される。
<実施形態3 効果 主に請求項3,7,11に対応>
【0082】
本実施形態に係るレーダ走査によるコンクリート中の鉄筋配置情報取得装置においても、実施形態2に係る鉄筋配置情報取得装置と同様に、レーダ走査により鉄筋配置情報を取得する際の作業時間のさらなる短縮化を実現することが可能であるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0083】
0360 鉄筋配置情報取得装置
0361 ハイパボーラ情報保持部
0362 ハイパボーラ情報同期部
0363 配置情報生成部